現代SF1500冊 乱闘編 1975―1995 (詳細)
大森 望(著)
「書評としてではなくエッセイとして」「場外乱闘もあります」「詰め込みすぎ」
現代SF1500冊 回天編 1996‐2005 (詳細)
大森 望(著)
「疾風怒濤の10年間」「シロウトさんには不向きかな?」
読むのが怖い! 2000年代のエンタメ本200冊徹底ガイド (詳細)
北上 次郎(著), 大森 望(著)
「出ましたね」「この2人て何冊くらい本を読んでるんだろう」「「今まで読んできたあらゆる小説の中でこれが最低」(by大森望)」「面白い」
文学賞メッタ斬り! (詳細)
大森 望(著), 豊崎 由美(著)
「文学賞を楽しむ。二人の著者の視点を楽しむ。」「笑える文学賞ガイド」「文学賞を笑え」「まだまだ活用できる参考書」「抱腹絶倒」
「紹介本に終わらない」「原題が乗っていて便利」
「軽快・軽薄なテンポで綴るジョーク」「未読王なだけに・・・」「「読まない」作者の作品を読む矛盾」
「本好きなら共感できます」「愛書家を誘惑する造本に注目」
「愛書家悶絶闘魂獅子奮迅捻転記」
そんなに読んで、どうするの? --縦横無尽のブックガイド (詳細)
豊崎 由美(著)
「信頼できる本」「小説愛」「値段以上の価値アリ。」「「想像力っていう、強いチカラを身につけんの」(542頁)」「3つの魅力でおトクな本でーす」
どれだけ読めば、気がすむの? (詳細)
豊崎 由美(著)
「なにより読み物として楽しいです!」「やや安易な作り」「圧倒される「抽斗の多さ」」「それは愛ゆえに」
紙つぶて―自作自注最終版 (詳細)
谷沢 永一(著)
「代表作の最終決定版。一家に一冊。」「本に関する知識の集積された、最高に贅沢な一冊」
背たけにあわせて本を読む (詳細)
向井 敏(著)
「なじみの古本屋が一軒できた気分」「さ・よ・う・な・ら」
すてきな絵本 たのしい童話 (中公文庫) (詳細)
向井 元子(著)
フィールド・オブ・イノセンス (詳細)
川本 三郎(著)
走れナフタリン少年 (中公文庫) (詳細)
川本 三郎(著)
お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き (角川文庫) (詳細)
吉野 朔実(著)
「芥川は天才、漱石は秀才。その根拠は???」「心理描写を描かせたら随一の漫画家の書籍紹介エッセイ漫画!」「気が付くと鞄に入っている本」
川原泉の本棚―おすすめ本アンソロジー&ブックガイド (詳細)
川原 泉
「カワハラ「を」読むか?カワハラ「と」読むか?」「面白い本。大好きです。」
ほんの本棚 (創元ライブラリ) (詳細)
いしい ひさいち(著)
「がんばれタブチくん、おじゃまんが山田君の絵が好きでした。」「変化球的書評」
水曜日は狐の書評 ―日刊ゲンダイ匿名コラム (ちくま文庫) (詳細)
狐(著)
「エレガント」「書評家・読書家の鑑」
もっと、狐の書評 (ちくま文庫) (詳細)
山村 修(著)
皆殺しブック・レヴュー―かくも雅かな書評鼎談 (詳細)
佐藤 亜紀(著), 松原 隆一郎(著), 福田 和也(著)
「この自信はどこから来たのか(「お前は世界の王様か」原田宗典)」「一貫している人。」
「12年分の厚み」「「ぜひ、うちで吉川英治の宮本武蔵をやってほしい」」「感動です!!」「12年分の「漫画ノート」」「マンガ界のフォレストガンプ」
● 資料(SF)
● 喜国雅彦
● エッセイ
● @【 最新? SFブック・ガイド 】―取り敢えず気づいたものをリストアップしてみました (^^)/
● いろんな歴史
● ガイドブック
● 欲しい本・実用書
・「書評としてではなくエッセイとして」
書店で手に取り、購入しようと価格を見て躊躇しましたが、購入して良かったと思います。著者の1975ー1995に掛けていくつかの雑誌に掲載されたSFに関する書評が載っています。私は書評を読むというよりも、SFにまつわるエッセイとして楽しませてもらいました。私はSFはそれほど読み込んでいないのですが、東京創元社はある時期(昔なつかしの)ゲームブックがはやっていたころ、編集者が兼務だったためSFの発行点数が減ったといった話は面白く読ませてもらいました。書評としてみたときは、著者名と署名の索引もついていますし、出版年表や点数付けも重宝する人がいるでしょう。ただ私としては、海外の作品の場合、著者と作品の英語表記もあるともっと良かったと思います・
・「場外乱闘もあります」
SF小説の第一人者である著者が、20年間分のSF小説時評をまとめた本だ。何せ、75年から95年というスパンの書評だから、文章を通して、その当時の雰囲気が見えるのも魅力。また、筒井康隆『文学部只野教授』や蓮實重彦『小説から遠く離れて』などのへの言及のように、SFに限定されない場外乱闘もあり。(なお、著者の場外乱闘をもっと楽しむには、『文学賞メッタ斬り!』と『読むのが怖い』の二冊がいいと思う)SFファンならもちろん楽しめようが、それ以上に、どこから手をつけていいのかわからないSF小説初心者にこそ読んで欲しいと思う。巻末のINDEXや翻訳SF出版年表も極めて親切。
・「詰め込みすぎ」
詰め込み過ぎでひとつひとつ内容が浅い。ただの好き嫌いで点数をつけているのか、基準が不明。
・「疾風怒濤の10年間」
1995年~2005年10月末までの10年間、著者がいろいろな雑誌で発表した書評がまとまって収録されています。SFを巡る当時の状況を示す資料、もしくは単純にSFを巡るエッセイとして読む分には楽しめると思います。しかし、ブックガイドとして読むには一冊ごとの紹介が短く限定されていることと、この本自体が比較的高いことを考慮すると、新書館の「SFベスト201」のほうをお勧めします。とはいっても、私もこの本で紹介された小説から何冊か読んでみたいと思う本に出会ったので、ブックガイドという読み方も出来ないわけではありません。
・「シロウトさんには不向きかな?」
「乱闘編」に続く10年分のブックガイド(書評じゃないよねこれは)集大成。SF者の〈一般常識〉がないとこの内輪向けのノリはちょっと辛いかも。逆に「昔はSFよく読んでたけど今はあんまり……最近のオススメは何?」という人にはうってつけのガイド本。「楽しめる」本はジャンルSFにこだわらず紹介しているところも◎。
●読むのが怖い! 2000年代のエンタメ本200冊徹底ガイド
・「出ましたね」
月刊誌に連載されている北上次郎氏と大森望氏の対談を一冊にまとめました。毎回編集部と北上氏、大森氏の選んだ本計9冊をA~Cまでのランクをつけて評価します。出版されて日が浅いものが中心で、普通に手に入れられるもが大半ですから、何を読んでいいか分からない人には特におすすめします。
・「この2人て何冊くらい本を読んでるんだろう」
書評家の中でも屈指の読書量を誇る(であろう)2人による書評対談です。取り上げられる作品は2000年代に出版されたエンターテイメント系小説が主で、編集部が3冊、北上次郎が3冊、大森望が3冊作品を持ち寄り、それについて2人が語るという形式です。年の終わりには年間ベスト5をそれぞれ作成しそれについて対談します。 編集部のセレクションは普通に話題になった作品なんですが、2人は自分の趣味に忠実に作品を選ぶので、筆者のどちらかのファンだと(僕の場合は大森望のファンなんですが)もう一方のセレクトは結構知らない本が多くなると思います。
大森望は「文学賞メッタ斬り!」「ライトノベル☆めった斬り! 」と対談本の雄となってきていますが、この人は語る内容も好きなんですが、それ以上に語り方というか話芸が上手な人で「対談」という形はその良さが一番生きるのかもとなんて思ってみたり。
ただ今回は相手が北上次郎なので一味違った雰囲気になっています。「本の雑誌」ではおなじみですけどこの2人の小説観は相当ちがうので意見はかなり合いません、というかその食い違いが一番の読みどころでしょう。また2人ともかなり率直に評価を下していますが、意外とタイトルや広告で受けるイメージほど「貶し本」という印象は受けません。それは褒めるときには作品への愛情があるからというのもありますが、北上次郎の飄々としたキャラクターによるものも大きいと感じます、
・「「今まで読んできたあらゆる小説の中でこれが最低」(by大森望)」
Yoshi『Deep Love』に対し、普段は、貶すにしても斜めからクールな視点で批評する大森望氏が、もうベタに斬りまくりw
「今まで読んできたあらゆる小説の中でこれが最低」「途中で本を破り捨てたくなる衝動をこらえるのに苦労しました」「『Deep Love』はたんに頭が悪い(笑)」などなど、嫌悪感丸出しです。
そして、売れた理由を〈小説は読みたくないけど物語を求めている人がたくさんいる〉と分析した後、この小説は〈若者版『一杯のかけそば』(栗良平)〉だと剔抉していますw
私自身、ケータイ小説そのものには何の関心もありませんが、莫大なセールスを上げ、小なりとはいえ、一時代を築いた現象に関しては、非常に興味深く思っています。
ヒットのメカニズムを分析した本があれば、読んでみたいですね。
・「面白い」
選ばれている本がどうとか、それについての評価がどうとかより、何よりまず二人のキャラが強く、読んでいてめちゃくちゃ面白い。本の批評という形では、読みやすく非常にベストな形で出ていると思う。
・「文学賞を楽しむ。二人の著者の視点を楽しむ。」
この本を読むと、文学賞受賞作と文学賞を楽しめるようになる。
文学賞のキャラクターを楽しく解説している。結果、自分好みの賞や作家と出会える。
著者二人の視点は、決して中立でも公平でもないが、一冊通読すれば立ち位置がわかり、良い参考になるだろう。自分と同じ趣味、価値観の人間はとても頼りになるが、違うタイプでも一貫しているなら役に立つ。この二人は一貫している。
受賞作を単純に持ち上げないから、キャラクターが「立つ」のです。
・「笑える文学賞ガイド」
SFを中心とした小説の書評、SF翻訳で活躍する大森望と、現代海外文学中心の書評をメインテリトリーとしながら、文芸以外の記事も多い豊崎由美の2人が、日本国内の文学賞について対談(「はじめに」によれば飲み屋の放談)形式で語りまくる文学賞ガイド。
各文学賞の成立の経緯、性質、ゴシップ的な内幕など内容は豊富で興味深いし、なにより2人の対談の「芸」が楽しく、笑えます(個人的にはROUND4が爆笑しました)。ノリとしては「このミステリーがすごい」のかつての匿名座談会に近いかもしれないです(もちろん匿名ではないわけですが)。
アカデミックな研究本というわけではないので、対談する2人の主観がかなり入った内容になりますが、そこがネタとしての面白さなので、これは1つの意見という感じで距離感をもって楽しめば問題ないです。タイトルからすると内幕暴露本みたいな感じで、実際そういう面もないわけではないですが、「この状況を告発してやるんだ」と肩に力の入った本では全然ないので、お気楽に読めます。
・「文学賞を笑え」
有名な賞から結果が地方新聞にしか載らないような地方賞まで取り上げ、賞の成り立ち、受賞作の傾向、選考委員のお偉方、存在価値、などを罵倒したり誉めそやしたりけなしたり認めたりけちょんけちょんにしたりする、正直な2人の対談本。
私みたいな門外漢が読んでも面白いですが、純粋に文学を愛しちゃってる人はあまりに正直な意見に怒りを感じるかもしれません。
・「まだまだ活用できる参考書」
文学賞の受賞作品が発表になると、ついこの本をめくってしまう。「この賞はどういう位置づけの賞だっけ?」その意味で、わたしにとってこの本は今後も長く文学賞の参考書であり続け、受験生のそれのように、手垢がつくまで活用されるでしょう。(多少、意味合いの変わっていく賞もあるでしょうけれど。何年かごとに改訂版が出されるといいかも!)
巻末の受賞作採点など、旬でなくなった部分もありますが、その分、新人賞受賞作家がどれだけ「残って」いるかなど、ちょっと意地悪な楽しみ方もできます。
これからでも十分活用の機会がありますので、未読の方、ぜひご購入を。
・「抱腹絶倒」
抱腹絶倒の快著である。「書評の王道」を教えられた。そもそも今、まともな書評などどこに掲載されているのか? どんな屑本でも「いい本だ」という書評ばっかりではないか。売れていようがいまいが、いい本はいい本なのであり、屑は屑として葬る、それがプロではないのか。お手盛り書評の流れに屈服せず、大森と豊崎はきっちりといい仕事をした。芥川賞作家の本を買う前に、この本を買うべし。
・「紹介本に終わらない」
SFへの問いかけと愛情に満ちた本である。単なる面白本紹介に終わらない一つの翻訳SF30年史でもある。伊藤典夫氏の前書きも評論として面白く、SFファン、研究者にもお勧めである。面白本紹介本の体裁をしているのが惜しまれる。
・「原題が乗っていて便利」
1970年代から2000までの翻訳もののSFから主なものをピックアップして解説した本。原題も記載されているので、原書に挑戦する際、この本で当たりをつけて探せるので便利です。・・・しかし、致命的な欠陥が。この本の欠陥ではないのですが、面白そうと思って原書を探しても品切れになっているものも多いようです。
・「軽快・軽薄なテンポで綴るジョーク」
気がついたら一気読み。何よりも日記という形態が“覗き見”気分を助長するようで、スケベ気分を味わいつつ読了。それにしても、この人は凄い。蔵書2万冊も凄いが、そのほとんどが未読、そして買いまくる、買いまくる。マニアの域をとうに超えてしまった崇高な世界に足を踏み入れた人を、初めて見たような感じだ。
しかし、これだけで驚いてはいけない。活字中毒者なら分かるだろう。著者の知識の幅広さと深さが引き付けるのだ。国内外のミステリから時代モノ、芸能、映画、漫画に至るまでマニアの心を揺さぶるような内容である。その上、軽快・軽薄なテンポで綴るジョークが心地よい。『未読王購書日記』はネットでも人気サイトになっているので、合わせて“覗き見”するのも楽しいだろう。
・「未読王なだけに・・・」
未読王の日記なので、いまだに未読です。前書きなどが面白かったです。少し字が小さいので、読む気がうせました。なので未読です。いつかは読むかも知れませんがしばらくは未読です。読むものがなくなったら読むかもしれません。
・「「読まない」作者の作品を読む矛盾」
「とにかく俺は読まないの!」と断言している著者の作品を読む矛盾。
まだブログが幅を利かせていない頃の日記である。 デジタルコンテンツを書籍化すること自体が珍しかった頃に、こともあろうに、本の雑誌社は、古本をただただ集めまくるコレクターの日記を書籍にしたのだ。 何と言うアドベンチャー。
しかも後発の「電車男」や「生協の白石さん」等と違って、対話形式一切なし。 なんせ日記である。 しかも、買った本の名前がただただ羅列してあるだけ。 そして、本題名以外は、99%が嘘。 いや、嘘と言ってしまうほどの嘘ではない嘘もあるんだけど、ニュアンスを変えるとこうまで内容は変化するんだって見本のようなもの。
と言うことで、まえがき・あとがきで、くどく書かれているように、この本を読んでも何の役にも立たない。書評でもないし、データとしてもデタラメなものも平気でそのまま載っている(と公言している)
ただ一点、いいところがあるとすれば、「本を読むと言う呪縛から自分を解放しろ!」とか言ってた筆者の意図とは真逆に、無性に本が読みたくなる。 未読本の山に囲まれて、貪り読む自分を夢想したりするのだった。
ただ、作品の中にタイトルが載ってたしダブリ本だって言ってたし・・・・と考えて、未読王本人に「くれ」と言っても、おそらくムダです。 おそらく本人も、その本が自分の家のどこにあるのか分からないから
・「本好きなら共感できます」
古書の世界がこんなにも深く、そして恐ろしいものとは思いませんでした。でも、この本を読めば、その恐ろしい世界をもっと知ってみたくなることでしょう。
・「愛書家を誘惑する造本に注目」
内容は軽目の古書マニアものだが、このジャンルは小難しい本が多いのでこういった読みやすいものがあるのは却って有難い。この本の価値は造本にある。そう、話題が古書だけに、古書マニアをときめかせるギミックが一杯につめこまれているのだ。
古書マニアにとって大切なこと・・・それはその本が函・帯・月報が揃った「完本」であるかどうかだ。本書ではその「気になるポイント」に不必要なまでに力が込められている。函と帯は古き良き時代のミステリー小説を意識したレトロなデザイン。
さらに月報は出版社の正規のものではなく、この本のためにわざわざ作られたこれまたレトロ調のフェイクで、著者のコレクションの表紙がズラリと並んでいる。これらは美大出身の漫画家であり、ミステリーマニアでもある著者が自ら題字・装画・装丁原案を手がたものだ。聞くところによれば、製本段階で予期せぬ事態が起き、結果的に著者検印にカバーのついたバージョンも少数出回ったという。そういったつまらない差異に躍起になるのはマニアの悪癖である。だが、本書はそれを自覚した上であえてマニア心をくすぐることをやっている。まるで我々を嘲笑するかの様に。
愛書家はこの洒落っ気にくすりと笑い、それでもこの本を蔵書する悦びを手に入れたいと願わずにはいられない。本書はたちの悪い悪女の様なものだ。それが媚態だということが解っていてなお、その魅力に勝てないのである。
・「愛書家悶絶闘魂獅子奮迅捻転記」
~ 今まで喜国氏のことは「なんか漫画描いてる人」というイメージしかなかったが、古書マニアだということがわかり一気に親近感がもてた。 本書は「ミステリ」「古書」をキーワードに、ひたすらアツイ趣味に走る著者のコラムが満載である。この本、函入りでかなり凝った作りになっている。それも著者の意図するところだし、フェチな情熱の昇華なのかなと妙~~にナットクしてしまった。~
・「信頼できる本」
基本的には、著者が読んで気に入った本を紹介している。 つまり、書評ではなく、書名の通り「ブックガイド」である。 といって、何でもかんでも誉めているわけではなく、基準はしっかりしている。 好みの傾向としては、古川日出男や長嶋有がよく、吉田修一は少し違う(著者は採り上げていない)という人なら合うだろう。 その傾向で、翻訳ものに手をひろげようというときに、参考になると思う。
・「小説愛」
批評理論で文学を裁断するのではなく、小賢しく重箱の隅をつつくわけでもなく、純粋に面白い小説を見つけてきて、小説を読むって本当に楽しいんだよっ!というメッセージを直球、変化球取り混ぜて、読者に投げ込んだ一冊。ジャンルも片寄っておらず、国内外に渡る純文学、ミステリー、伝奇などなど、多様な分野にまたがっている。その小説の面白さについて力説してやまない著者ではあるが、かといって彼女は単なるヨイショ書評家ではない。それを知るには、巻末の袋綴じに収録された、一群の小説家に対するきっつい批判を読めば、十分に分かるはず。読書好きなら、手元に置いておくべき本だ。
・「値段以上の価値アリ。」
辛口書評家、豊崎由美氏のブックガイドです。下のレビュアーの方が書かれているとおり、小説愛に満ち満ちた一冊となっておりボリューム満点。
海外文学のページが多いのがとにかく嬉しい。(特にクレストブックスとか海外文学の単行本て高いからいつも買うのに迷うので参考になる。)
日本でも人気のマキューアンやらR・ブラウンやらアーヴィングやらの人気作家から、最近注目を浴びている若手作家やら盛り沢山。私自信既に読んだ事がある本も結構あったけど、本読みのプロの書評と自分の感想を照らしあわせてみるだけでも視点が広がって楽しいし、まったくの範囲外だった中国文学についての書評なんかは凄くタメになった。
私は故・中村光夫氏や小説家の高橋源一郎氏の評論の様に”わかりやすさ”を重視した評論なり書評なりしか読めないので(頭いー人が書く評論は難しくて読む気にならない)、豊崎さんはそんな捻くれ読者の私にも安心できる書評家だ。
・「「想像力っていう、強いチカラを身につけんの」(542頁)」
「そんなに読んでどうするの」に対する著者の答えがレビュータイトルです。職業病を超越した読書量。すごい量。村上春樹氏がゴダールに強く影響されているところなんかを喝破していてさすがの眼力です。
初出が例えばダカーポ誌であったり、GINZA誌であったり、熊本日日新聞であったりの(ほとんどが)初出ありですが、比較的短い書評の集大成。
巻末の黄色い頁と著者の紹介写真(裏表紙の見返し部分参照)が大変ユニークです。充実の索引をほこる、ホントに凄い本です。
黄色い巻末袋とじの「...アホ面こいてベストセラーなんか読んでる場合?(抄)」ですが、文藝春秋の「タイトル」誌の2001年2月号の記事の一部で、いきなり「うわけで」と始まり、「・・・連載中の『愛の流刑」(ルケでおしまい)で、おわっちまうという、乱暴なつくり。抄だからいいんだといわれりゃまったく異議ナシですが、こういうのもありなのね、OKてなわけです。ローマ数字でIからVIIIとふってあるのですが(黄色い頁)これでいいのかなそれともきりとられてあるのかな、などと考えてしまった。
わたし、人形_美は由美さんの大ファンであるから石渡皓基カメラマンのとった由美さんのポートレートについて、特にコメントはしたくないのですが、わざと男に見えるようにポーズしているのかどうか。名作平積み大作戦(BS2のテレビ番組)でみた「蟹工船」を紹介する由美さんは素敵でした。
だから、このような写真でわざとポーズをとっているのかと思うと、妙な気分になってきます。結構はずかしがりやだったりして。失礼。
・「3つの魅力でおトクな本でーす」
主に小説中心のブックガイドで、500ページ以上あるのにこのお値段。 とてもお得感のある本です。が、……。
目次を開いて衝撃を受けました。 ガーン! 知ってる本が一冊もない! PART1の日本文学編96作品、PART2の世界文学編143作品、全て読んだことのない作品ばかりです。知っている作家も登場しますが、私の読んだことのあるメジャーな作品(代表作)ではなく、あまり有名でない作品が取り上げられているのです。
一つひとつの書評はともかく、本書には大きな3つの魅力があります。
魅力その1――巻末の「読みたい本がみつかる書名INDEX」という表
全ての作品が、恋愛・友情・青春・笑いなどの全部で21の分類に該当するかどうかをまとめています。 「落涙」しそうな「犯罪」ものが好き、などと自分の好みが分っていれば、ぴったりの小説をいくつも教えてもらえます。
魅力その2――某大作家先生が激怒した伝説の辛口書評を特別袋綴じ掲載
「読者諸君!アホ面こいてベストセラーなんか読んでる場合?」というタイトルで書かれた辛口批評が最高です。袋綴じというのは見かけ倒しが多いものですが、期待を裏切りません。 槍玉に上がった某先生が文藝春秋社に怒鳴り込んだおかげで、当の雑誌は廃刊。筆者は2年も文春から注文をもらえなくなったとのこと。 それでも著者は、 「ったく、○○野郎がよー。お偉いさんに言いつけずに、オレに直接 抗議してこいよ、相手になってやっからよー」 と気焔をあげており、全く懲りていません。
魅力その3――「そんなに読んで、どうするの?」との問いに答える
著者があとがきに示す答えはオーソドックスですが、これだけの読書量を背景にして開陳されると説得力がありますねぇ。
・「なにより読み物として楽しいです!」
「本の雑誌」などの雑誌に連載された記事だそうで、なによりも読み物として面白いです。評論家の書評というと、難しくて素人には解らない、という感じの印象しかありませんでしたが、この本は、まるで親しい友人が、最近読んだ本について文句を言ったり誉めたりしている、っていう感じで、逆に、すんなり入って来ます!そのうえ、口調は、平易でわかりやすい言葉です!読み物としても充分に楽しく、文字通り、雑誌を読むように、お気軽です!読み物として、楽しく時間を過ごすことができました!
・「やや安易な作り」
著者が激賞している某作家(TY氏としておく)に関して、二箇所記載があり、そのどちらも同じ長編について、ほぼ同じことを書いている。なぜ整理しないのだろう。それに、その作品から後、TY氏は何冊も本を出している。これほどアツく語っているのだから、誉めるなり貶すなり何かフォローがあって然るべきではないか。作品紹介や批評はまっとうなのだから、もう少し丁寧に作ることを願う。
・「圧倒される「抽斗の多さ」」
帯に書かれた「読みも読んだり341冊」は、期間が示されていないので多いのか少ないのかわからないが、読み進んでいくうちに、本当に読んだ冊数はこれの何倍にもなるだろうことは容易に想像できる。
そう思うのはひとつの本を紹介するときに、他書を引き合いに出したり比較したりと縦横無尽に書名・著者名が跳びだしてくるからだ。
取り上げられている著者のお勧め本は自分の好きなジャンルでも未知のものが多く、ブックレビューとしては素人レビューをはるかに超えている。読んでみたい本がたくさん増えてしまったが残りの人生で読みきれるだろうか、それだけが心配だ。
・「それは愛ゆえに」
私に書評という仕事が命懸けで、職人技で、そして何より愛の伝道だということを感じさせてくれたのはまさにこの著者なのです。いかに著者が本の世界を愛しているか、そして愛ゆえにこの業界の行く末を憂いているか。圧倒的な知識と麗しいボキャブラリー。時にはせつせつとかきくどき、時には少女のように胸に本を抱きしめ、時には落ち込み、しかし日が昇ればまた衆愚のために道を照らす。それは、さながら旗を掲げて民衆を扇動するドラクロワの女神、もしくは立て板に水の口上で大衆を惑わせ、煽って購買に導く大道芸の達人を彷彿とさせます。それでもなぜなのか、この本で太鼓判を押された本たちを読むことはこれからもないような。彼女の書評の熱さにすっかり燃え尽きてしまったからというのもありますが私は、自分が「本読み」ではないんだということを思い知らされてしまったのかもしれません。女神のアジテーションに心を奪われつつ、ついていきたいけれど一歩足を踏み出せず遠巻きに眺める大衆に紛れて隠れてしまいたいような。だってあまりに厖大で深淵な世界。踏み込んだら戻ってこれないことでしょう。「メッタ斬り!」シリーズとの併読がさらにアツイ!
・「代表作の最終決定版。一家に一冊。」
書物に関するコラムニストとしての著者の代表作が、自注を付して最終版として出た。
見開き2頁に、本文と新たに付された注が配され、次々と読み進められる構成ながら、凝縮された情報量と、かけられた元手、付け焼刃でない知識に裏打ちされた見識はさすが。たとえば世評の高い白川静学説への疑義や旧弊な学会に対する痛烈な批判は爽快そのもの。
著者の政治的な意見や世俗的人生論風の著作には違和感を覚える読者でも、書誌・文献分野や文学研究者としての年季に裏打ちされた発言には耳を傾けざるをえないだろう。
旧版の単行本・文庫を持つ人も買って損はない。この質と量でこの定価は驚くほど安い。出版した版元の英断も賞賛に値する。
・「本に関する知識の集積された、最高に贅沢な一冊」
谷沢永一の本はこれ一冊で充分!!と言っても過言ではないだろう。従来の紙つぶての新しい注釈をつけて増補した自作自注最終版。この本を開くたびに発見があり、世の中にまだ読まれるのを待っている本がこんなにあるのか!と思うと溜息が出るが、それも読書好きならではの苦悩と言うべきだろう。谷沢永一の知識が全力で注がれた本。1頁読むとその圧倒的知識に驚いてしまう。
・「なじみの古本屋が一軒できた気分」
あまり読まないジャンルの本、というものがあります。それでも、よい書評に出会うと読んでみようか、と言う気になるものです。つい誘われてしまうだけでなく、評した人の心が伝わってくる書評がこの本には並んでいます。 巻末に掲載されている丸谷才一さんの文に著者への評価は尽くされるでしょう。曰く、「人柄と仕事が同じ形をしている」「書評の代表者」「評価の的確さ、領域の広さ」等々。。。 どれをとっても、この評価があてはまります。あまり読まない時代小説や推理小説の類も、食わず嫌いをせず読んでみようという気持ちにさせてくれました。有名タレントの書いた本だから、とタイトルだけで通り過ぎていた本が実は結構面白そうだ思われたり。 時に歯切れのよい評価、苦言をひとひねりのユーモアに包んだ評価など、良質の書評ばかり。この一冊を手がかりにして、また積み上げる本が増えてしまいそうな予感がします。紹介されている本の署名索引、初出年が最後にまとめられているのも親切です。
こういう良い書評の本は、ときどき、読む本に倦んだ時に開いてみたいもの。ふらりと立ち寄る古本屋のように、思いがけない本とめぐり合えるかもしれない期待を持って。気をつけなくてはいけないのは、一度にたくさん眼を通してしまうと、読みたい本が山積みになってしまうこと。これもよい本屋ではつい買いすぎてしまうのと同じです。この本を見つけたのは、なじみの古本屋が一軒できた気分になりました。 惜しむらくはこの本を「古本屋のよう」と評さなくてはいけないこと。向井さんはこの本の出版された平成14年に亡くなられました。この本には1995年ごろから2002年1月の絶筆までが収められていますが、これから出る良い本を著者が紹介してくれることはもうありません。残念です。
・「さ・よ・う・な・ら」
本の腰巻きに「書評の名人、最後の仕事」とある。文字どおり、これが向井敏の最後の仕事になった。
巻頭の「書評千篇」というエッセイでは、業界紙に600字のコラムを書くことから出発したといった経歴を語っている。この人の書評には、いかにも楽しんで読んでいますといった大人の余裕があった。初期の村上春樹にエールを送ってみせたのも向井敏だったが、氏が亡くなってから出版された『海辺のカフカ』についての言及は、もちろんない。しかし向井敏だったら、この小説をどんなふうに読むのか、ちょっと聞いてみたい気もする。
この本のなかで、向井敏は「短い書評にも功徳はある。本の見どころ勘どころを数行の言葉にきりりと絞りこめたときにやってくる快感がそれであろう」と語っている。そんなことはめったになかったと謙遜しているが、それがどうであったかは、読者のほうがよく知っている。
丸谷才一のあとがきは、東京会館で朗読されたものだという。じめついたところがなく、華麗で、向井敏という人物へのみごとな「書評」になっている。表紙の、とぼけた味わいのある墨の人物画は田能村武田。本の装丁は、最後の本にふさわしい瀟洒な出来ばえで、これもうれしい。
・「芥川は天才、漱石は秀才。その根拠は???」
とにかく思春期から本を読み飛ばしている作者ならではの、愛と偏見に満ちた読書感想文(?)読んでいて楽しいのは、それが常に「誰かと」語り合う形で出てくるからでしょう。姉妹編、「お母さんは赤毛のアンが大好き」の中で著者が言っていた通り、「ほんの話ができる人でないとつきあいたくない」
というポリシーに従って、たくさんのお友達が登場します。
たのしいなあ。
もちろん、何冊か、ここで紹介された本を読みました。
本が好きな、「本の虫」のつぼにはまる本ですよ。
・「心理描写を描かせたら随一の漫画家の書籍紹介エッセイ漫画!」
心理描写の奥深さで知られる吉野朔実氏の書籍紹介エッセイ形式の作品(漫画)。私的ながら、私はこの本で救われたと言っても過言ではない。何度も線路に飛び込もうと思っていた時に、この本の初版(ハードカバー版)に出会って、「まだ私の知らない本がある、読みたい本がある」そう思って線路はとりあえず思いとどまり、現在も生きている。
メジャーからマイナーまで、紹介されている本は様々だが、それだけ興味そそられる本が多く紹介されていたのと、何より作者自身の描き方が秀逸。ただ誉めるだけでなく、其処には吉野氏の純粋な感想や思いがある。それが賛同であっても反論であっても「読んでみたい…」という気持ちになるのだから、不思議。吉野氏の人格なのだろう…。
このシリーズは2003年現在3巻まで出ており、この一巻に紹介されている本達は少々古いものばかりだが、ネット検索などでは、割と簡単に入手できるものも多いのでは。とにかく一読をお薦めする。
・「気が付くと鞄に入っている本」
電車の中でぱらぱら。家で何気なくぱらぱら。漫画で書評、ですが重点は書評でなく「本にまつわる人々」が中心。それが心地よくて、ついつい何度も読み直してしまう本。文庫化されて持ち運びやすくなって、何度も何度も読んでしまう。そして読んでいる内に、ついつい紹介されてある本も読んでしまう。
途中途中に入っている対談もお勧め。本好きの会話の妙が楽しめます。
・「カワハラ「を」読むか?カワハラ「と」読むか?」
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・「面白い本。大好きです。」
おすすめ本のあとにある「おすすめのわけ」が、川原泉って感じで「なるほどなるほど」と面白かった。おすすめ本の短篇なら全文、長編なら抄が、掲載されているので、本を探さなくても、すぐ読めるところもよかった。読んでない本が多くて、それも又よかった。 なかでも、かんべむさし「水素製造法」は、抱腹絶倒した。亀谷了「おはよう寄生虫さん」もええぇ!と、笑ってしまった。 恐るべき読書量、川原泉のユーモアのセンスに脱帽です。
・「がんばれタブチくん、おじゃまんが山田君の絵が好きでした。」
漫画は読まずに書評のみを読んで行きました。たぶんどこかで書かれた書評をまとめられたのだろうと思ったら、そのようでした。少し前のものなので、その時代に流行ったものを考えながら、時代を感じることができました。中で特に読みたいと思える本はないもののその当時読んだ本も何冊かあり、楽しめました。マンガが少しめんどくさかったので、読み飛ばしました。絵は好きですが、ここでの漫画はわたくしは少しめんどくさかったです。書評はよかったと思います。
・「変化球的書評」
この本のメインを占める部分は、見開きの左ページに書評、右ページにその本についての4コママンガという構成が取られている。
こういうセットを考えた試みは大変評価できるし、4コマも多くが面白いものであった。しかし、肝心の書評部分には興味がわかない。本文中でしきりに、素人の読書感想だということが言われているが、これゆえに不満を感じると言うことは、自分が読みたいのは、プロによる書評ということになるのだろう。みなさんはどうでしょうか?
●水曜日は狐の書評 ―日刊ゲンダイ匿名コラム (ちくま文庫)
・「エレガント」
とにかく書評のスタンスが柔軟だ。岩波の漱石全集における謡曲の注釈は正確ではないと鋭く指摘する一流の知識人であり、難解と思われがちなナボコフの小説の快楽を分かりやすく説く啓蒙家でもある。山田宏一や岡崎京子の魅力を一ファンとして恥ずかしげもなく正面から褒めちぎり、ロジェ・グルニエの短編集の書評では好敵手として阿部昭を持ち出すトリッキーなコラムニストでもある。科学の世界でエレガントとはシンプルに本質を抉ったような論証に冠せられる形容詞であり、狐の書評はまさにエレガントな文章の連続と言える。後継者が特に見つからないのが残念だ。
・「書評家・読書家の鑑」
書評の書評は不毛(と、少なくとも私はそう思っている)なんだけど、ことこの狐の本に関しては書きたいことがありすぎる。
2004年発行、過去最新4年分(連載自体は22年間。驚異)のものだが、文章の瑞々しさや論評における比較方法・引用などはまったく色あせない。こういうのを普遍的というのか。
しかしまぁ狐さん、なんでも読むわ読むわ。
白眉は川上弘美『センセイの鞄』。
・「この自信はどこから来たのか(「お前は世界の王様か」原田宗典)」
1986〜1995年に諸々の雑誌等へ掲載したまんが評の集成。1995年11月に単行本として出版され、2000年に文庫化された。私にとって気になる本であったが、著者の個性を全面的には支持しない私は、古書として安く売られているのを見つけるまで入手をためらっていた。
冒頭の「漫画の読み方」が圧倒的に面白い(interesting)。うまいまんがの見分け方が実に具体的に書かれている。他人が描いた悪い例まで例示する手法は同業者にとっては迷惑であろうが、読者としては興味深い。まんが家にしか書けない種類の文章である。一方、非常に面白い(strange)と思ったのは、これに続く各論での評価が、必ずしもこの文章と相応しない点であった。結局、まんがの評価とは「好き嫌い」なのだということを、本書は図らずも暗示しているように思われる。そして、作品のヒットはその質とはあまり関係なく、時代への適合や掲載誌といった「運」の要素が大きいことも、(もちろんそれらを自分へと引き寄せる何らかの力は必要なのだろうが、)残念ながら事実のようなのである。なお、文章は夏目房之介よりも安定している。夏目作品にはお気楽なところと妙に思索に嵌りこむところとがあって、後者が何ともやりきれないのであるが、本書にはそういう凸凹がない。そういう点では読みやすい本である。
それにしても「日本で四番以内の漫画読み」(p.16)を自称する著者の自信には、並々ならぬものがある。とり・みきの作品評(p.298-302)で開陳した絶大な自信は、いったいどこから来るのだろう。私は彼の「東京物語」「憂国」などを高く評価するが、パンクドラゴンの造形には感心しない。結局のところ彼自身の作品も、こうやって読者の好き嫌いで評価される運命にある。誇大ともとれるこれほどの自信を見せつけていいのだろうか、という余計な心配をしてしまうのであった。
・「一貫している人。」
この人の発言には賛成できない部分がある人も多いと思う。よく怒っている人がいるからだ。僕はそれを見てなんだかなあ、と思う。いしかわという人は、自分の感性で漫画を読み、自分なりの意見を語っているだけなのだ。それが面白ければ読まれるし、そうでなければ読まれることはないだろう。大事なのは科学的になることでも、万人がうなずくような意見を出すことでもないのだ。彼は自分に嘘をついていないと思う。だから一貫している。この本を読むことは、漫画を知ることでもあり、それと同じくらいいしかわじゅんという人間の生き様を知ることであると思う。
・「12年分の厚み」
傑作評論集「漫画の時間」以来、12年ぶりのマンガ評論集。項目数は約190、440ページという大部の本です。
「才能/表現のあるものが好き」「本当のことを言わずにいられない」という2つが、マンガ評論やエッセイを書いているときの、いしかわじゅんさんの一貫した姿勢です。同業者への遠慮だのなんだの、ふつうなら見合わせるんじゃないかと思うようなことも、すっぱりと書いてしまうあたりが読者の信頼を勝ち得る理由の一つではないかと思います。
2段組で440ページの内容は圧倒的で、(特にマイナーな)マンガを取り上げてその面白さを語るときの安定した語りくちは、平易でありながら鋭く、いしかわさんが、今の時点で一番面白く、信頼できるマンガ評論の書き手であることは間違いありません。ほとんどのマンガ評論が、マンガそのものよりつまらない中、いしかわさんの評論が面白いのは、文章表現の芸や実作者視点からの解説もさておき、ご本人が誰よりも該博な知識を持つマンガ読み、マンガマニアであることから来るのだろうと思われます。マンガに対する深い愛情が、この厚い本を支えています。
項目数が多い中、ギャグマンガに関する長めの分析「<笑い>を手に入れるために」(P.90-)は、かなり力の入ったもので、ギャグマンガ好きなら、これだけでもこの本を読む価値があります。また、巻末に置かれた吾妻ひでおインタビューは、ギャグ漫画家いしかわじゅんと吾妻ひでおの立ち位置と80年代の「抗争」、2人のその後を知っている人にとって納得の「締め」と思います。
残念なのは、それぞれの項目に初出がないこと。リライトされているとは言え、やはり初出がないと、文脈がわからない部分もありますし、12年間に状況も大きく変っています。また人名索引だけでなく、作品名索引も付けてほしかったところです。いしかわさんはご自分のウェブサイトをお持ちなので、そこで初出を公開していただけたら、資料としての価値がより高まると思います。
・「「ぜひ、うちで吉川英治の宮本武蔵をやってほしい」」
NHK『BSマンガ夜話』のレギュラーとしてもおなじみの漫画家・いしかわじゅん氏の漫画評論集である。本書の特徴としては一般的に漫画評論で取り上げられる機会の少ないブルーカラー志向の作品(特に『漫画ゴラク』)である『ミナミの帝王』(作:天王寺大、画:郷力也)や『修羅がゆく』(作:川辺優、画:山口正人)などを取り上げている事も興味深い。
・「感動です!!」
あと書きにも書かれていることですがこの本はただの漫画評論集ではありません著者であるいしかわ先生が漫画の周辺や漫画の作品について語り漫画家である先生のエッセイであり交友記であり自伝でもある作品ですだからそこかしこにあるただの漫画評論とは格が違う、漫画好きににはこたえられないエッセンスがたっぷりつまっていて読めば読むほど先生の漫画愛が伝わってきて「ああ漫画が好きで生きてきた俺はやはり間違ってはいなかったのだあ!」と岸壁に立ち太陽に向かって叫びたくなるような一冊
・「12年分の「漫画ノート」」
いしかわじゅん氏の漫画評の読みどころは、漫画家との交友や、業界裏事情といった少しゴシップ的な側面が挙げられます。
・「マンガ界のフォレストガンプ」
いしかわじゅんは漫画に詳しいだけでなく、マンガ界の事情に詳しい。作品が世間から孤立して生まれるわけではないのだから、それが描かれた時代背景や業界事情を勘案しなくては的確な評論はできない。いしかわじゅんは、まさにソコをついた解説をしてくれる。惜しむらくは、マンガそのものについての評論が文字によるものでしかなく、絵を使った技法の解説がなかったことだ。
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