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▼買いたい本よせあつめ:セレクト商品

異物異物 (詳細)
玄月(著)

「果たして異物は誰か」


空気のおいしい禁煙レストラン&カフェガイド―エリア別 東京・横浜・鎌倉などの完全禁煙・分煙の232店空気のおいしい禁煙レストラン&カフェガイド―エリア別 東京・横浜・鎌倉などの完全禁煙・分煙の232店 (詳細)
分煙社会をめざす会レストランプロジェクト(編集)

「お値段以上の価値があります!」「気持ちよく食事するために」「タバコがだめな東京人なら、買って損なし」


バースト・ゾーン―爆裂地区バースト・ゾーン―爆裂地区 (詳細)
吉村 萬壱(著)

「アルマゲドン世界破滅文学」「意味のない生はいらない」「正に爆裂、タイトルに偽り無し。」「この世界は糞ったれだ」「不愉快だが楽しい奇妙な読書体験」


孤宿の人 上孤宿の人 上 (詳細)
宮部 みゆき(著)

「読みやすい!」「孤宿の人(上.下)」「ひたすら泣ける時代ミステリー」「やはり凄い宮部先生とこの傑作。」「宮部みゆきの新境地を開く傑作」


孤宿の人 下孤宿の人 下 (詳細)
宮部 みゆき(著)

「じんわり。」「静かに」「ひたすら泣ける時代ミステリー」「感動の結末」「人生って・・・・」


日暮らし 上日暮らし 上 (詳細)
宮部 みゆき(著)

「何とも心が騒ぐ、あったかい話でした。」「久々の宮部の時代物、やっぱり面白い!」「大失敗!!」「順番間違えた……」「弓乃助が大活躍!」


日暮らし 下日暮らし 下 (詳細)
宮部 みゆき(著)

「優しき世界」「江戸ものの担い手」「活き活きとした江戸文化」「後半ちょっとだれる…でも止まりません」「湊屋チョッとウザイ(謝)」


天使のナイフ天使のナイフ (詳細)
薬丸 岳(著)

「面白い!」「静かな夜に一気に読んでください!」「審査員が5人とも絶賛」「久々の感動作」「読み応えたっぷり!」


ストロボ (新潮文庫)ストロボ (新潮文庫) (詳細)
真保 裕一(著)

「作者の技量の結実した作品集」「「思わず二度読み」」「芸術だけではなく人生について考えるには絶好の一冊」「もっと早く手に取るべきだったと後悔」「しーんみりと」


トライアル (文春文庫)トライアル (文春文庫) (詳細)
真保 裕一(著)

「ギャンブル競技の競技者や裏方を描いたドラマ」「競技者」「競輪、競艇、オート・・・選手たちを主人公とした練達の短編集」「家族愛」「うん!真保裕一。」


ボーダーライン (集英社文庫)ボーダーライン (集英社文庫) (詳細)
真保 裕一(著)

「「生まれながらの犯罪者というのは存在するのか」というテーマを背景にしたハードボイルド」「実の父と探偵が追う、生まれながらの悪を宿した少年」「普通じゃない人。。。」「悪を描くむづかしさ」「反則かなこれは?」


Barefoot Gen vol.1: A Cartoon Story of Hiroshima (Barefoot Gen)Barefoot Gen vol.1: A Cartoon Story of Hiroshima (Barefoot Gen) (詳細)
Keiji Nakazawa(著), Art Spiegelman(著), Project Gen(翻訳)

「Please read this book!」「All humans in the world should read this.」


Barefoot Gen vol.2 : The Day After (Barefoot Gen)Barefoot Gen vol.2 : The Day After (Barefoot Gen) (詳細)
Keiji Nakazawa(著), Art Spiegelman(著), Project Gen(翻訳)

「Time to face reality」


Barefoot Gen 3: Life After the BombBarefoot Gen 3: Life After the Bomb (詳細)
Keiji Nakazawa(著), Project Gen(翻訳)


Barefoot Gen: Out Of The Ashes vol.4 (Out of the Ashes)Barefoot Gen: Out Of The Ashes vol.4 (Out of the Ashes) (詳細)
Keiji Nakazawa(著), Project Gen(翻訳)


てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書 (講談社文庫)てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書 (講談社文庫) (詳細)
黒川 博行(著)

「ぜひ地元局でTV化を!」「ある意味、癒し系コンビ!?」


左手首 (新潮文庫)左手首 (新潮文庫) (詳細)
黒川 博行(著)

「一気に読めまっせ!」「お勉強になりますよ(笑」


絵が殺した (創元推理文庫)絵が殺した (創元推理文庫) (詳細)
黒川 博行(著)

「あれ、皆読んでないの?」


ドアの向こうに (創元推理文庫)ドアの向こうに (創元推理文庫) (詳細)
黒川 博行(著)

「安心して読める(?)ミステリー」「僕はイチバンかな…」「軽妙にして本格」


蒼煌蒼煌 (詳細)
黒川 博行(著)

「黒川博行さんの新しい世界です。」「黒川博行さんの新しい世界です。」「黒川博行さんの新しい世界です。」「息をつかせぬ展開」「実像当て推理小説 黒川流 知的学習型エンタテイメント」


文福茶釜 (文春文庫)文福茶釜 (文春文庫) (詳細)
黒川 博行(著)

「続編,続々編が読みたいくらいの傑作」「著者はきっと賢い」「後学のために是非読んでみてください」「もっと読みたい!」「文福茶釜とはよく言ったもの」


星条旗の聞こえない部屋 (講談社文芸文庫)星条旗の聞こえない部屋 (講談社文芸文庫) (詳細)
リービ 英雄(著), 富岡 幸一郎(解説)

「日本人とは何か」「感受性の強い米国人少年を主人公とした、1967年との時代を感じさせる小説。」「情緒の漂いが感じられました」


最後の国境への旅最後の国境への旅 (詳細)
リービ 英雄(著)

「とまどい、不安、そして気持ちの変化を楽しめる」


▼クチコミ情報

異物

・「果たして異物は誰か
ヌーベルバーグの映画の如く場面が何度もカットバックしながら物語は進む。玄月というある意味特異な存在の芥川賞作家が描く現代の大阪の断章。在日の世界の中で繰り広げられる現在の問題。在日2世3世のアイデンティティは何か。日本人は、新しく半島から来る韓国人は。多層的に繰り広げられる人間の営みとどうしようもない事柄。この混沌さを見事に描く作家の力を私は素直に評価したい。

異物 (詳細)

空気のおいしい禁煙レストラン&カフェガイド―エリア別 東京・横浜・鎌倉などの完全禁煙・分煙の232店

・「お値段以上の価値があります!
生まれつき気管支が弱く、タバコの煙が超苦手な私には夢のような本でした!

掲載されているお店は、スタッフの方が自ら探し出しただけあってお店の雰囲気、お料理など全てが五つ星級のお店ばかりです。お手ごろなカフェから記念日デートに使えそうなお店まで多岐にわたって掲載されており、お値段以上の価値は絶対あり!

妊娠中の方や、小さなお子さんをお持ちの方にもお勧めします。

・「気持ちよく食事するために
外食は好きだけど、タバコの煙は大嫌い。おいしいものをきれいな空気の中で、気持ちよく食べたいと思っていた私には待望のレストランガイドでした。多くのレストランガイドの情報は禁煙席の有無のみで、実際どの程度分煙されているのか、全くわかりません。でも、この本はノンスモーカーの気持ちがわかる人たちが、足でまとめたガイドなので信頼できます。分煙社会をめざす会の地道な取り組みに感謝します。

・「タバコがだめな東京人なら、買って損なし
なかなか理解してもらえないことが多いのだが、タバコがどうしてもだめな人というのは、私も含めて一定数いると思う。

そのような人が、東京で外食をしようとすると、大変に苦労する。禁煙レストランは、感覚で言うと10軒に1軒あるかないかだからだ。外食をするたびに、毎回苦労していた。

そんなふうに困っていたときに、この本に出会った。外に出るときは、必ずもって出る。それくらい頼りにしている。インターネットでも同様のサイトはあるが、急なときでも使えるので本書の存在意義は薄れない。

本書に掲載されているいくつかの店は、残念ながら閉店してしまっているが、それを差し引いても大変に役に立つ本。

空気のおいしい禁煙レストラン&カフェガイド―エリア別 東京・横浜・鎌倉などの完全禁煙・分煙の232店 (詳細)

バースト・ゾーン―爆裂地区

・「アルマゲドン世界破滅文学
文学界新人賞受賞作の『クチュクチュバーン』、芥川賞受賞作の『ハリガネムシ』と面白く読ませてもらい、新作はまだかと待ちわびてるところに発表されたのが、この長篇SF小説『バースト・ゾーン―爆裂地区』でした。

読んでる間中脳の中を掻き回されるような読書感。不条理の連続に超過激な暴力描写、グロテスクな笑いの畳み掛けるような展開に完全にやられてしまいました。『ハリガネムシ』ではジャンル純文学な小説でしたが、デビュー作のブッ飛びSF『クチュクチュバーン』の方が好きだった僕には最高の小説です。

なんて面白いのか。一気読みでした。そして、何よりも全てが明かされたときの驚き。まさに《驚愕》。

《驚愕》《衝撃》《破滅》《破壊》

が波のように押しかけてくるアルマゲドン世界破壊文学です。読後感はまさに脳が《殲滅》されたような状態に。

吉村萬壱さん、スゴすぎです!

・「意味のない生はいらない
~生き残りたい。でも生き残るには、生きる事に必要な意思や意味や目的を捨てないといけないのか。じゃあ、何のために生き残りたいのか。この矛盾した中で、5人がとるそれぞれの行動は、誰の中にもあるように思える。「テロリスト」という言葉から想像しうる作品ではなく、人間として生きていく事の悲しみ、人間の存在そのものをとらえた、深みのある作品。~~圧倒されながら一気に読破です。~

・「正に爆裂、タイトルに偽り無し。
~まず、最初に言えることは、出版社からのコメント、内容紹介から予想する内容とは違うということ。それはコメント制作者が稚拙という訳ではなく、この作品の紹介があまりにも難しいという理由からなると思われます。クチュクチュで著者の虜になり、ハリガネムシで落胆した人達にこそ奨めたいと思います。人間も含めた魑魅魍魎が跳梁跋扈です。僕の稚~~拙な筆では内容を紹介すればするほど、この作品の本質からは離れていってしまう気がするので、少しでも興味を持った方には読んでもらいたいと思います。~

・「この世界は糞ったれだ
著者は、人間が嫌いなのだと思う。人間の「尊厳」を踏みにじるような描写が延々と続く。人間は糞だし、この世界は糞ったれだ。だけど、糞にも(糞だから?)メタンガスのような「幻想」がポツポツと発生し、さらなら爆発を招く…。町田康の『告白』にも匹敵する傑作だ。俺は支持するぞ。

・「不愉快だが楽しい奇妙な読書体験
たっぷり人が死んで、しかもきわめてグロい描写ばかりなのでとても万人にはオススメできないが、そういうのがへっちゃらな人なら、かなり楽しめると思う。

最初、テロリストの愛称(?)として「テロリン」はないだろう、と思ったが、これも狙ってのことなのかもしれない。悪意に満ちた世界を戯画化する装置としてうまく働いている。ストーリーも設定も無茶苦茶だけど(もちろんこれも計算ずくだろう)、勢いでぐいぐい読ませる。特に大陸に舞台を移してからは、謎解きと新たな謎が入れ替わり立ち代り提示されて飽きさせない。

そして、まったく救いのないエンディング。不愉快極まりないけど、読書体験としては楽しいという、なんとも言えない後味が残るのであった。芥川賞作家とは思えない、サービス精神に満ち溢れた作品である。

バースト・ゾーン―爆裂地区 (詳細)

孤宿の人 上

・「読みやすい!
とにかく読みやすくて良かったです。最後は感動で涙してしまいました。(上)は(下)への伏線的な感じがします。(下)に入ると本当に一気に話が進んで行きました。僕は時代物はあまり読まないのですが、これを機にさらに時代物が読みたくなりました!おすすめです!

・「孤宿の人(上.下)
 宮部みゆきさんが好きな人は宮部ワールドにどっぷりつかる幸せを味わえるし今まで読んだことない人はきっと新たな宮部ファンになることを確信します。 登場人物に一人として悪人はいません。時代の流れ、政治に翻弄され不幸な目に会う人はたくさん出てきます。それでも悲しい物語にならず、感動が残ります。 作者が自ら書いてるように悲しい物語だけどそれだけに終わらないようにした、というのがよくわかります。 でも私は下巻の最後のほうはティッシュをにぎりしめ泣きながら読みました。悲しい涙ではなく、せつなくて。 登場人物の中で、私はほう、と加賀さまが好きです。二人が出てくる場面が美しくて何度も読み返したくなります。そのほかにも魅力的な人物がいっぱいです。 宮部みゆきというすばらしい作家が生きている時代に自分も生きててよかったと真剣に思える作品でした。

・「ひたすら泣ける時代ミステリー
■薄幸の少女・ほう、10歳。数奇な運命から彼女は、讃岐国丸海藩に流された幕府の罪人・加賀殿の幽閉屋敷で下女として働くことに。やがて芽生える加賀殿とほうの不思議な心の交流。物語は、ほうを気遣う女性・宇佐をもう一人の主人公にすえて、藩に渦巻く陰謀とそれに翻弄される人々を描く。危険が迫る中、加賀殿がほうに授けた知恵とは? 哀切ここに極まり、クライマックスはひたすら泣ける。

・「やはり凄い宮部先生とこの傑作。
わたしは、宮部みゆきの時代劇が好きだ。反対に現代を舞台にした物語はあまりに心に食い込んでくるのでなかなか読めないでいる。切なすぎるのだ。

おそらく、ひとのこころを直接に感じなくて済むのが嬉しいのだ。だからといってリアリティがないと言うわけではありません。

時代考証にこだわりぬいて、マニアックな輝きを放つようなタイプの作品ではないが、宮部先生の感じさせるひとのリアリティを随所で感じる。それは、日常に根ざした会話であったり、お金に関すること(つまり当時の人の感じるリアルなものへのこだわり)であったり、人情であったり。

そういうものを描かれるからには、敢えて時代物をやる意義がわかるし、いたずらに新作を著作リストに並べていくだけのルーティンワークでないということがわかる。

真実の江戸時代ではないかもしれないが、宮部みゆきの見た江戸時代を感じることができる一作。

・「宮部みゆきの新境地を開く傑作
これまで著者が描いてきた江戸下町の人情モノとはまたひとあじ違った時代小説。帯に「新境地を開く傑作」とあるが、期待を裏切らなかった。読み終わってしばし余韻にひたった。一気読みで、物語の中に入りこんでいたので、どこかに旅行にでかけたような疲労感。

『孤宿の人』とは舞台となる讃岐の国丸海藩に幽閉される「加賀殿」のこと。怪物・妖怪と呼ばれ、この地で起こる様々な怪異現象・事件の原因とされてしまう。その裏には様々な人々の思惑がうごめいているのだが。ここにもう一人の主人公「ほう」という少女が絡んで物語は展開する。後半「ほう」と「加賀殿」との交流がいい。

孤宿の人 上 (詳細)

孤宿の人 下

・「じんわり。
野育ち、あほう、と言われる「ほう」を中心にとつとつとした光景が描かれる上巻。登場人物が多く、藩の背景も丁寧に描かれているので中だるみ、と言う意見があるのも頷けるところですが、下巻に入って一気に読ませます。四国の丸海藩に流されてきた江戸の大罪人・加賀と、無垢なほうとの心のやり取り。人の心の闇を嫌と言うほど見てきて人生に倦んだ加賀と、人の心の闇によって丸海藩に居つく事になったほうの手習いのシーン、二人の別れのシーンは涙をこぼしました。小気味よい江戸ものも上手な宮部氏ですが、この作品は悲しい物語。でもじんわりと、心に響く何かがあり、読後感は悲しいながらもとても暖かです。

ほうはその後、どうしたのかな。幸せだといいな。と読み返すたび思う作品。

・「静かに
筆者自身も言うとおり悲しい話でした‥加賀殿お預かりという一つの出来事をきっかけに、多くの出来事が起こり、様々な人々の思いが行き交います。正しいからといってそれを貫き通すことが出来ず、知ってるのにそれを嘘で覆い隠す事が正しいとされる、そんな世の中に対し怒りを感じる者、それを上手く利用して暗殺を行う者、傍観する者。けれども、登場人物それぞれが自分自身の信念をもち自分にとって正しい道を探し、進んでいきます。悲しい話です、けれどもその中での人々の思い、信念に、胸を打たれ、読み終わったあとには静かな感動が広がる話です。

・「ひたすら泣ける時代ミステリー
■薄幸の少女・ほう、10歳。数奇な運命から彼女は、讃岐国丸海藩に流された幕府の罪人・加賀殿の幽閉屋敷で下女として働くことに。やがて芽生える加賀殿とほうの不思議な心の交流。物語は、ほうを気遣う女性・宇佐をもう一人の主人公にすえて、藩に渦巻く陰謀とそれに翻弄される人々を描く。危険が迫る中、加賀殿がほうに授けた知恵とは? 哀切ここに極まり、クライマックスはひたすら泣ける。

・「感動の結末
上巻での事件の進展はあっというまに広がるが、その中で少女「ほう」と悪鬼として怖れられている「加賀様」の交流が始まる。二人の交流はおぞましい事件の中での癒しのシーンである。蕃全体がパニックになる中で純真な少女の動きが美しい。ラストシーンではいつもの宮部作品には涙を流さない私なのに、珍しく泣いてしまった。宮部ワールド大好きの私であるが、今回は最後にぐっとくる結末で本当に久々の大感動であった。

・「人生って・・・・
久しぶりに本を読んで泣きました。上巻から下巻へと流れるようにお話が進んで、心の中に丸海の人たちが住みつきました。こうなると分かっている結末ですが、最後に涙が止まりませんでした。人生の中でどうにもならないものに向き合った登場人物たちが、それぞれに一生懸命生きている。彼らの生き様を通して、人生って何なんだろう?人間って?普段忘れがちな、大切な事を思い出すことができました。話を読みながら、登場人物といっしょに、悲しみ、苦しみ、怒り、そして最後に「頑張ろう!」という気持ちを「ほう」から貰った気がします。

孤宿の人 下 (詳細)

日暮らし 上

・「何とも心が騒ぐ、あったかい話でした。
 鉄瓶長屋を舞台にした前作『ぼんくら』の事件から一年が経った頃、井筒平四郎と彼を取り巻く人たちの前に、再び新たな事件が持ち上がります。先の「鉄瓶長屋」事件の火種は消えておらず、今回は大火事が起きたとでもいった風に話が繋がっているので、ぜひぜひ、『ぼんくら』を読んだ後に本書に向かうことをお薦めいたします。

 前作同様、この『日暮らし』でも、初めにいくつかエピソード的な話が置かれた後に本編に進むという構成になっています。最初の四つの話に登場する人物と事件が、本編に入って寄り合わされ、織り上げられて行く。登場人物と彼らのエピソード風の話が、一枚の美しい衣装の中に織り込まれて行くんですね。特に本編の後半から終盤へと話が進むに従って、「ここにあの時の話が繋がってくるのか」「ここであの場面が生きてくるのか」と、何度も膝を叩きたくなりました。

 井筒平四郎に弓之助、おでこ、お徳。彼らを始め、登場人物のキャラクターが実に生き生きと描き出されていて、自然、親しみを覚えました。彼らに注がれる作者の眼差しがあたたかく、そして厳しくもあったところ。そこにも共感させられました。とりわけ、登場人物それぞれの胸の奥に潜み、彼らを苦しめる“心のざわめき”を描写する件りでは、読んでいるこちらの胸の中もざわざわと騒いだり、ぐっと胸を衝かれたりしました。

 話のラストでは、「ああ、あともうちょっとで終わっちまう」と惜しい気がして、ゆっくり、味わうようにして読んでいきました。そして最後の頁を閉じて、「ああ、いいものを読んだなあ」と、胸の中がほこほこしてきました。

・「久々の宮部の時代物、やっぱり面白い!
時代小説「ぼんくら」の続編です。ぐうたら同心平四郎と甥の超絶美少年弓之助が、江戸の町に起こる事件を解決していくという筋立ては前作と同様。 登場人物が皆個性的で楽しい。大人と子供のコンビを描くのはうまい宮部さんですが、私のお気に入りは、弓之助と、何でも覚えて諳んじてしまう特技を持つおでこ(額が人一倍大きいのです)の仲良しコンビ。大人の身勝手から起こる事件の中で、ほのぼのとした良い味出してくれています。 物語は5章に分かれていますが、4章までは「ぼんくら」を読んだことのある方なら、短編としても十分楽しめます。「ぼんくら」の最終章の葵の意味深な登場に考え込んだ方は、この続編の展開に納得でしょうか。葵の息子佐吉が落とした一滴の涙。そのまま下巻へつながるので、2冊一度に買った方が精神衛生上良いようです。焦らされるのが好きな方は上巻を読み終わってから購入してもいいかな。しんみりしたり、はらはらしたり、色んな味付けを楽しんでいるうちに読み終えてしまいます。宮部さんの時代小説が好きという方は多いですが、現代が舞台では出せないしみじみとした風情が漂っていて、この感じが好きなんだなと実感しました。

・「大失敗!!
「ぼんくら」の続編であることは知っていました。知っていたのに、こちらから読んだ私は、間違いなく失敗しました。ここまで「ぼんくら」の内容が出てくるとは・・・ここまで、「ぼんくら」の事件背景がからんでくるとは・・・

・「順番間違えた……
僕は大変なミスを犯してしまいました、「日暮らし」を読んでから「ぼんくら」を読んだのです…。もしこの「ぼんくら」を読んでから「日暮らし」を読んでいたなら、より大きな感動を得られた筈なのに…。皆さんは僕のようにならないように気をつけて下さい。

・「弓乃助が大活躍!
傑作「ぼんくら」の続編。ぼんくらを読んでからの方が数倍楽しめます。短編4作の後に本編「日暮らし」が構成されてますが、短編のお話が本編の事件にちゃんと結びついており、ひとつの長編としても読むことができます。

あの弓之助が「ぼんくら」以上にさらに活躍します。ところどころで弓之助が呟く言葉が人生の教訓めいていて、色々と気づかされることも多いです。

登場人物ひとりひとりの個性がちゃんと描かれており感情移入しやすいです。

おでこの登場がちょっと少ないのが残念。

日暮らし 上 (詳細)

日暮らし 下

・「優しき世界
人は誰でも後悔や怨念や悋気や贖罪の念の中で七転八倒しているものなのだから、自分だけが苦しんでいると思うこともないのだよ、と優しく諭されているような。あらためて業の深さを思い知るような。胸に沁みる言葉に立ち止まっては、行きつ戻りつ、ストーリーテラーのエンターティメント性もありのこれぞ宮部ワールド?

・「江戸ものの担い手
宮部みゆき氏の江戸ものはすべて欠かさず読んでいますが、このシリーズは一番好きなものです。本作は前作「ぼんくら」に比べてかなりミステリー仕立て。とはいえ、宮部氏の得意とする、お徳さんや岡っ引きの政五郎をはじめとする「人情味溢れる市井の人たち」の描写はバッチリです。今回は弓之介とおでこが大活躍ですが、その分井筒の旦那と前作での主人公の一人・佐吉の影がちょっと薄くなったのが残念かな。そして葵奥様が出てきたと思ったら死んじゃったのがとても残念です。この人のお話、もっと掘り下げて書いてほしかったなぁ。

それにしても宮部氏の江戸ものは読ませる読ませる。あかんべえ然り。現在連載中の「おまえさん」も早く単行本化してほしいと心から気になる、秀作です。宮部氏は本当に「江戸ものの担い手」だと思う。

・「活き活きとした江戸文化
『ぼんくら』の続編。だるい同心・平四郎と美形の甥っ子・弓之助事件簿。

短編4本と長編1本で更正されています。

《収録作品》おまんま………記憶の達人・おでこが生きていくたづきのはなし。嫌いの虫………所帯を持って幸せになった佐吉がまた湊屋に振り回されるはなし。子盗り鬼………前作から話題の女性・葵の人間性がよくわかるストーカーのはなし。なけなし三味…生々しい色恋のはなし。日暮らし………これは長編。上巻の四分の一と下巻はこのお話。

前作『ぼんくら』で明らかになった湊屋のどろどろした人間関係が出て来るので、こっちを読む前に『ぼんくら』は必読。

どちらも時代物でありながら読みやすいのでさくっといけます。

私は『子盗り鬼』がいちばん気に入りました。前作では捨てられた息子視点でしたのでとにかく自分勝手で何を考えているのやら、と、ちょっと薄気味悪い存在に感じられた『葵』がきっぷのいい、とても格好良い女性だったのが印象的です。

『日暮らし』では、いままであまりにも泰然としすぎていて怪物のように感じられた湊屋の主人がひっそりと人知れず見せた人間性がとてもせつなかったです。

甘い話ばかりではありません。むしろ突き放している部分もたくさんあるのですが、それもひっくるめて人情味溢れる作品です。

・「後半ちょっとだれる…でも止まりません
葵の下手人は誰か。平四郎の何気ない一言から弓之助が解決に導くまで、一気読みして疲れました。ついでに睡眠不足に…。真犯人登場のどんでん返し、途中なんとなく見当はつくもののその理由には、ちょっとこじつけ気味の感がなくもないですが。 弓之助が、大人も気がつかない人の心の裏側に踏み込んでいくところは小気味良いですが、「おねしょ」をはじめ子供子供したエピソードで憎たらしくならないところが、宮部さんのうまいところです。 最後まで謎なのが湊屋総右衛門。真実何を考えているのか皆目分からないところが、犯人よりも不気味で、全編を通して暗い闇に鎮座しています。 最後は、皆それぞれの問題を抱えながら納まるところに納り、ご愛嬌で明るく仕上がっていて、上巻に比べねちっこく重い展開を挽回しているといったところでしょうか。

・「湊屋チョッとウザイ(謝)
 江戸庶民時代劇ミステリー。美少年「弓之助」のキャラクターが目を引く。異才の「おでこ」も、なかなか。八丁堀勤めの「平四郎」も、ひょうひょうとした人間味で魅力的だ。 江戸時代版「探偵少年コナン」という感じでしょうか。お菜屋「お徳」の成功物語が、隅の縦糸となって小説世界全体を少々明るくしているのがミソだ。そうでなければ、この湊屋騒動のドロドロには、「平四郎」同様、正直閉口した。上巻の短編部分は印象的で切れ味があったが、下巻の中盤あたりで、けっこうしんどかった。もう湊屋なんかほっとけよ、とチョッと思った。

日暮らし 下 (詳細)

天使のナイフ

・「面白い!
細かいことを書くとこれから読む人に申し訳ないので書かないが、掛値なく面白い。少年犯罪を題材に使っているのだが、ストーリー展開が絶妙で、特に後半は本に引き込まれてしまう。最後の意外なオチがまたよい。お薦めである。

・「静かな夜に一気に読んでください!
 少年犯罪と少年法、社会が抱える多くの矛盾と問題点。こうしたテーマで書かれた小説は特に珍しいものではないが、その多くは加害者或いは被害者どちらかの視点に偏ったものが多かった。しかし、本書は双方の視点から見ることが出来るよう仕掛けが施されている。 ストーリーは少年に妻を殺害された夫がその事件の真実を追い求めようとする過程を中心に展開していくが、その過程で加害者、被害者の家族、社会が抱える問題点に頷きながら読み進み、中盤以降目まぐるしく展開する「仕掛け」に驚かされる。そしてラストに明かされる事件の真相。 また、テーマのわりに読後感が重すぎない点には、ストーリーを包み込む作者の人間愛を感じた。静かな夜に一気に読まれることをおすすめする。

・「審査員が5人とも絶賛
第51回江戸川乱歩賞受賞作

少年犯罪・少年法という近年特に話題とされることが多く、取り扱いの難しいテーマを取り上げた作品であるが、被害者のみでなく加害者の視点からもこれらの問題をとらえ、うまくまとめている。巻末の選評を読むと、初回の投票でダントツで賞が確定したそうであるが、それも納得できる出来映えであった。また、近年ではあまりないことであるが、審査員が5人とも絶賛していることからも、質の高さがうかがえるのではないだろうか。(昨年の受賞作の選評は、受賞作とは思えないほど酷評されていた。)作品を読んでいて気になったのは(以下少しネタバレ)、被害者の預金通帳と、初回の殺人の動機である。いくら妻を殺されたショックがあるとはいえ、500万円という大金を事件直前に妻が引き落とし、それが何に使われたかわからないとなれば、普通、夫として疑問に思い、調べるのではないだろうか?すくなくとも数年間放置することは、普通考えられない(かつ、このことを夫が調べていれば、2回目の事件は起こらなかったわけだが)。また、初回の犯罪の動機も、納得できるものではなかった。この程度の動機で、赤の他人を殺せるものだろうか? とわいえ、これらの欠点(?)を些細なものと感じさせてしまうほど、作品としてはよくできていたと思う。次回作も読んでみたいと思わせる作家である。

余談であるが、候補作の中に、プロットはすばらしいと審査員全員に褒められながら、文章が稚拙とこれまた審査員全員に酷評されている作品がある。どんな作品か読んでみたいと思うのは私だけだろうか(詳しくは巻末の選評をどうぞ)

・「久々の感動作
妻を殺した少年が殺されたところから、桧山は妻の過去をもしっていくことになる。少年に近しい者を殺された人々の苦悩や悲しみが伝わってくる感動作である。動機にも説得力がある。また、最後に周到な結末が用意されていて、ミステリーとしても一級品である。

・「読み応えたっぷり!
江戸川乱歩賞受賞作品として 華やかにスタートを切った薬丸岳著の作品。

天使のナイフ (詳細)

ストロボ (新潮文庫)

・「作者の技量の結実した作品集
作者の技量の結実した作品集

真保裕一の作品は大別して二種類に分けることができる。「ホワイトアウト」「奪取」「小役人シリーズ」に代表される、ミステリー性の高い作品、そして

「奇跡の人」「発火点」に代表される、ベースにミステリー性はありながら、主人公の成長を描いた作品である。エラリー・クイーン藤子不二雄や岡嶋二人のように二人の作家がいるのではないか?などとくだらないことを考えたくなるくらい、はっきりと色分けされている。

本作品は、後者に属する短編集であり、既にカメラマンとしての地位を得た喜多川の人生を50歳・42歳・37歳・31歳・22歳という順で振り返る作品である。なぜ、22歳から成長を追うのではなく、50歳からはじまるのか。この答えは作者自身による「あとがき」!に記載されている。決して先には読まないようにご注意いただきたい。

この作品は、評価が分かれると思う。おそらく女性にとってはつまらない小説なのではないだろうか。しかし、30~50代の男性にとってはたまらない作品集である。この条件に該当する方にとっては、514円は安い!おすすめである。

・「「思わず二度読み」
真保裕一さんの作品は好きですが、短編作品だけは敬遠していました。真保裕一さんの真髄は長編だと思っていたからです。しかし、友人の評判を聞き読んでみたところ、今まで読まなかったことを後悔しました。多くの本を読んでいると、自分の人生観を変えさせられるほど、影響力のある作品に出会うことがありますが、その中でこの作品がそれにあたります。読み終えたときの高揚感。巧みに構成された物語。魅力ある登場人物たち。個人的な感想としては不満な点が思い当たりません。短編作品だからこその素晴らしい作品です。真保裕一さんのファンなので偏った評価になっているかもしれませんが、真保裕一さんの作品の中で好きな作品をあげろと言われたら「ストロボ」はまず入ると思います。

・「芸術だけではなく人生について考えるには絶好の一冊
芸術家とは如何にあるべきかを、読者に構えさせずにさりげなく問う作品。遺影」「暗室」「ストロボ」「一瞬」「卒業写真」の五編からなる連作小説集。カメラマン喜多川の人生を22歳、31歳、37歳、42歳、50歳という年齢で区切り、各時期で流されていく人間の弱さ、そしてそれに棹差す人間の気高さを描いている。人の死を前にして、芸術家は単に芸術家に過ぎないのか、それ以上の人間としてあるのか。

 ともかく、構成が上手く、メモを取ろうと目次をみて愕然。そうか、こういう仕組みかと納得。本を片手に何度も肯いてしまう。

「慣れと計算と年期で仕事をした10年、代わりに失っていくもの」「昔と変わらぬ情熱」などという文字に、自分の仕事への姿勢を思い、省みざるを得なくなる。単に、人間の感情だけはなく、社会人としての仕事や芸術家としての誇りを描いたために、物理的なボリューム以上に重厚な作品になっている。

 江戸川乱歩賞作「連鎖」など社会派の作家として出て来た時は、どちらかと言うと理知的な作風という印象だったが、「トライアル」で小説作りの腕をあげた。今回は、泣かせるだけでなく、さらに人間のあり方を深く考えさせる作家になってきた。

「奇跡の人」や「ホワイトアウト」で評価を固めた人だが、僕はそれらを評価しない。人間の掘り下げが甘いし、本当の罪とはという問いかけの部分で安易な部分があるからだ。

しかし今回の「ストロボ」には文句の付けようが無い。芸術だけではなく人生について考えるには絶好の一冊だ。

・「もっと早く手に取るべきだったと後悔
新保裕一氏の小説の主人公は地味な職業、設定の人物が多い。いわゆる「小役人シリーズ」と呼ばれるくらい定着している。その中でカメラマンを題材にした本書は、何をする職業か明確でありながらも興味がわかずに手に取らなかった一冊でありました。(ちなみにその他のものはほぼすべて読んでいます)

加えて50代から20代まで主人公の過去を遡る手法にいまいちピンと来なかったのです。出張先での雪害のため列車のダイヤが乱れたために時間つぶしにと思いやっと手に取った本書。第五章から始まり、第一章で完結する作り。第五章・・・「ふ~ん」第四章・・・「ほほう」第三章・・・「ううっ」第二章・・・「ぐぐっ」第一章・・・「ふ~っ」

よくわからない擬音ばかりでスミマセン。何が言いたいかというと、読み進めるに連れてのめり込みと心への訴えかけが凄いのです。もちろん現在の自分と主人公のジェネレーションには違いがあります。

しかし、ひとつの仕事を巡る自分の情熱、取り組み方など、もしかしたら忘れかけていたり、妥協したりしていたかも・・・と初心を思い起こさせてくれました。そして何より、「妻」の存在。その時々の「女性」の存在。男というのはつくづく女に翻弄されつつも守られていく生き物なのだな、と思いました。読後、何とも言えない暖かい気持ちになります。

・「しーんみりと
 小役人ものを書いたスピーディーなミステリとはまた趣向が違う。トライアルとも違う短編集。やけにしんみりさせられるのは気のせいではないだろう。

 本作は五章構成になっている。連作集というのは現在から見たものを集めて書くものだと思っていたが本作は違う。あとがきによるとそうとも言えないのだが、本作は第五章で50歳、そこから22歳まで遡るという異色の形式をとっている。力作だと、まず言っていいか。

 主人公はフリーカメラマン喜多川光司第五章遺影はラストシャッター。最後の最後に見せる顔は。第四章暗室は昔喜多川に憧れていたハルミの話。彼女が山で撮った写真は、壮絶すぎるもの。第三章ストロボは友人の黒部と。第二章一瞬は昔の恋人美佐子と。ラストを飾るのは卒業写真。喜多川いとって、本作にとって重要シナリオとなっている。ベストかもしれないな。

 写真に打ち込むのは何故だろう。何故そこまで写真が好きなのか。喜多川にとってそれをとくためのストーリーがこれ。特に暗室や一瞬、卒業写真と言った酷く思い入れの残るシナリオは欠かせない。

 ただのサクセスストーリーというのは惜しすぎる。これは喜多川光司という存在のヒストリーだと思う。何故美佐子と別れたのか。彼女の存在の意味は。ハルミは何故そこまで写真にこだわったのか。全てのストーリーには刻まれた喜多川の歴史がある。

 一作読むごとに手を休めた原因はなんだっただろう。しーんみりとして落ち着きたかったのかな。基本的に一気に読める真保らしいところはここでも十分に発揮されていると思う。ミステリーじゃないが個人的にお薦めできる。

ストロボ (新潮文庫) (詳細)

トライアル (文春文庫)

・「ギャンブル競技の競技者や裏方を描いたドラマ
競輪,競艇,オートレース,競馬と,ギャンブル競技の競技者や裏方にスポットを当て,彼らの生活,家庭,精神的焦燥・葛藤,不正などを描いた短編集.どの競技にも詳しくないので,それぞれの内部事情や裏方事情が分かって面白く,またドラマ性も高くて楽しめた.

・「競技者
いわゆる「ギャンブル」が題材の場合、その物語の主人公は「賭ける」側の人間というのが多いが、この小説は「競技者」にスポットを当て、その人たちのドラマを展開している。 異色の短編集とも言えるが、お薦めの1冊だ。

・「競輪、競艇、オート・・・選手たちを主人公とした練達の短編集
イギリスのミステリ作家ディック・フランシスによる競馬ミステリのシリーズは有名だが、本作は競輪、競艇、オート、競馬といわゆる公営ギャンブルの選手を主人公にした短編集。競輪、競艇選手を描いたコミックはあるが、小説となるとなかなか珍しい。公務員など小説の主人公として成り立ちにくい(と思われてきた)職業の人物を描いてきた著者の面目躍如たるところがある(著者の代表作『ホワイトアウト』ですら、主人公は電力会社職員だし・・・)。新人からベテランまで同じ条件で行われる完全な競争社会であること、厳正な競技のために選手たちに課せられている様々な制約など一般に知られることが少ない競技によって異なる環境・条件を緻密なディテールで積み上げ、さらにそこにミステリの風味を効かせた人間ドラマを練り上げる。まさに練達の作家による練達の作品群。中でも競輪選手を主人公に7年ぶりに現れた兄に対する複雑な思いを描いた「逆風」、競馬の厩舎を舞台に出自不明の流れ者の中年調教師と若い騎手を描いた「流れ星の夢」が出色。

・「家族愛
競輪、競艇、オートレース、競馬というギャンブルの世界で生きる人間を描いた短編集。ただギャンブルを扱っているのではなく、特殊な世界に生きる人間と、それを取り巻く家族の話が根底にあり、家族愛こそがこの短編集の真のテーマだと思う。世界こそ特殊だが、テーマは一般的なものであるために、詳しくない人でもストーリーを楽しむことはできるだろう。

ただし、どうしてもなじみの無い世界ということで、専門用語の説明などが多くなってしまっているのが残念。

・「うん!真保裕一。
!!と納得させてくれるプロット。「ギャンブル」に詳しくない人でも楽しめるような筋書き。特に最終章「流れ星の夢」は、ほんの一文読み流してしまうと「謎の厩務員」の正体はつかめません・・

さすが真保裕一。お見事な一冊です。

トライアル (文春文庫) (詳細)

ボーダーライン (集英社文庫)

・「「生まれながらの犯罪者というのは存在するのか」というテーマを背景にしたハードボイルド
ロサンゼルスで日系信販会社の調査部に勤めている探偵(調査員)が主人公のストーリー。ある日本人を捜す依頼を受けて調査を始めると、その相手は人なつっこい顔で握手をするように簡単に人を殺す殺人鬼だった。彼の行方を追う父親も登場し、主人公はさらにこの父親も追うことに。相変わらず詳細で緻密な描写が随所に見られ、カリフォルニア南部とアリゾナ南部を丹念に取材したことが伺えます。登場人物の会話(の文章)が冴えているのも相変わらずで、その独特の世界へ心地よく吸い込まれていきます。

一言で言えば「生まれながらの犯罪者というのは存在するのか」というテーマを背景にしたハードボイルド。決して目新しいテーマではないものの、笑顔のまま他人を撃ち抜ける精神は先天的なものなのか、教育の問題なのか、社会的な要素が影響するのか等々、父親と探偵が夜を明かして議論する過程は読ませるし、考えされられることも多かった。タイトルの「ボーダーライン」は、殺人鬼が密輸商売をやっているアメリカとメキシコの国境という意味だけでなく、物語のあちこちで(それとなく)触れられている目に見えない境界線(殺人鬼と普通の人、社会と個人、会社と個人、親と子、愛情と憎悪、モラルと犯罪など)のことも示唆しているのだろう。

・「実の父と探偵が追う、生まれながらの悪を宿した少年
個人的に、真保作品の中でベスト3に入る作品。ロスで探偵業を営む永岡が探すことを依頼された少年・信吾には、人を殺すことに罪の意識はない。彼は、天使のような笑顔を称え、人を殺せる人間なのだ。人間に罪を犯させるのは、環境なのか?それとも生まれながらに、悪意を秘めた人間が存在するのか…??愛され、慈しまれ育ったにも関わらず、罪を重ねていく少年。死を覚悟しつつも、その暴走を止めようと、息子に向き合おうとする父。別々に信吾を追う父と永岡が、彼に近づくほど見えてくる現実…。人間の闇を描き、キレイごとで終わらせない本作は、ずっしりと重く心に影を落とすが、読み応え十分!

・「普通じゃない人。。。
ボーダーライン、というタイトルではあるけれども「サニー」という”笑いながら人を殺す男”は、普通じゃない人、です。この人と小学校を襲ったTという男をなんとなく重ね合わせてイメージしていたのですがそれは見事に裏切られました。どちらかというと「サカキバラ」かな??

「サニー」は実際にはほとんど第三者、もしくは身内の話の中でしか登場しません。だから、なんとなく『ほんとかな??』という実体として捕らえられない、そんな印象を受けました。

日常生活に必要な知識や判断力などは持ち合わせているけれどもどこか異常な部分(しかも強烈な)がある、、そんな男を 探偵の主人公が探す。。。というストーリーです。

この「サム」という探偵のアメリカンドリームに焦点を当てながら「サム」との対決に進んで行くのです。初めてサニーに出会った場面は、どきどきします。とても恐い。ここから一気に盛り上がります。

普通じゃない人が、普通の顔をして生活している、、そんな今だからこそ読みたい、そんな一冊だと思いました。

・「悪を描くむづかしさ
 本作では,純真無垢な子供のように微笑しながら,喜んで虐殺行為を繰り返すという人物が描かれる。幼子が昆虫などを相手に,残酷な遊びをすることがあるが,善悪を知らない幼児の精神そのままに,肉体的に成熟し,残酷な行為の相手が虫から人間にかわってしまったのだ。

 もし自分の愛する子がそのように育ってしまったら,親として,あるいはそのような人物と関わりをもったものは,どうしたらよいだろうか。本作の問いかけの一つである。

 著者は本作以前の「小役人シリーズ」では,社会問題を取り入れてきたが,本作ではより普遍的な「悪」が問題として取り入られているのだ。その結果,かえって読後の印象は薄くなった。作品が面白くないのはない。ただ,社会問題に巻き込まれた主人公のモラルを描くのと,悪に対峙した主人公のモラルを描くのとでは,作者に要求されることが異なってくる。

 社会問題ならば資料集めをすればよいが,悪を説得的に描くには,自身の心のなかの虚無を徹底的に観想する作業が不可欠だ。体験しない悪を読者に説得的に提出することはできない。 小説として面白く書けているから,読んで損はないが,著者の本領が十分発揮されているとは言い難いと思う。

 

・「反則かなこれは?
前半はアメリカという国家での探偵のあり方をうまくとらえていてかなりリアリティを感じることができましたが、(日本の作家の場合はマーロウの焼き直しが多すぎます)後半になるに従ってぼろが出てきたように感じます。特にラストシーンはいい意味で裏切られたと感じられる人とこれは全面的に反則だと感じられる人が半々ではないでしょうか。

ボーダーライン (集英社文庫) (詳細)

Barefoot Gen vol.1: A Cartoon Story of Hiroshima (Barefoot Gen)

・「Please read this book!
Volumes 1 of Nakazawa's famous comic series about a boy called 'Gen' and his life in Hiroshima during the WWII and soon after the atomic bomb. The first two volumes of this series are probably the most important ones. After I read them, I just had to lend them to everyone I knew. If you read this story, you'll realise how silly to hear some popular opinion 'Dropping two atomic bombs in Japan was necessary to end the war'. The author Nakazawa says that each and every event illustrated here is a true story. You'll see, for example, that two young brothers fight against each other for a little grain of rice. Gen trying to encourage a girl who used to be dreaming about one day becoming a professional dancer, but now her face was badly burnt by the bomb, although she still didn't know it - he refuses to let her see the mirror.

The bombs were dropped onto civilians in two cities, and in Hiroshima alone 100,000 people, including children, elderly people and western prisoners of war, were killed instantly, and the pain they suffered from it was tremendous. The way some of Gen's family members, including a new born baby sister, were slowly dying is simply too sad to look at. But the reality is that it actually took place and was caused by human hands.

I sincerely hope that many people will find the opportunity to read this book at least once in their life-time, and I strongly believe that this book will enlighten the whole world with the message: 'What really happens when a nuclear bomb is dropped onto humanity', which hasn't really been talked about in history books for some reason. But I think it's time to face reality.

・「All humans in the world should read this.
All humans in the world should read this.

Barefoot Gen vol.1: A Cartoon Story of Hiroshima (Barefoot Gen) (詳細)

Barefoot Gen vol.2 : The Day After (Barefoot Gen)

・「Time to face reality
Volume 2 of Nakazawa's famous comic series about a boy called 'Gen' and his life in Hiroshima during the WWII and soon after the atomic bomb. The first two volumes of this series are probably the most important ones. After I read the first two volumes, I just had to lend them to everyone I knew. If you read this story, you'll realise how silly to hear some popular opiniton 'Dropping two atomic bombs in Japan was necessary to end the war'. Nakazawa says that each and every event is true. You'll see, for example, that two young brothers fight against each other for a little grain of rice. The bombs were dropped onto civilians in the middle of the two cities, and, in Hiroshima alone, 100,000 people, including western prisoners of war, were killed instantly, and the pain they suffered from afterwords was tremendous. The way some of Gen's family members, including a new born baby sister, were slowly dying is simply too sad to look at. But the reality is that it actually took place and was caused by human hands.I sincerely hope that many people will find an opportunity to read this book at least once in their life-time, and I strongly believe that this book will enlighten the whole world with its message: 'what really happens when a nuclear bomb is dropped onto humanity', which hasn't really been talked about in history books for some reason. But I think it's time to face the reality.

Barefoot Gen vol.2 : The Day After (Barefoot Gen) (詳細)

てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書 (講談社文庫)

・「ぜひ地元局でTV化を!
大阪の朝日放送で部長刑事という番組があったが、この作品を原作にドラマ化して欲しかった。と思うくらい、普通の大阪人の刑事たちが主人公です。

作者は、一貫して大阪弁の、関西を中心にしたミステリーを書き続けている希少な存在です。東野圭吾や高村薫にしても、最初の頃は、関西を舞台に大阪弁をふんだんに使った小説を書いていましたが、やがて東京弁の小説を書くようになってしまいました。だから、尚更、黒川頑張れ!って言いたいね。

無論、謎解きとしての芯もちゃんとあって、尚且つ、会話が楽しいのです。捜査会議で班長から、「そこのクロ・マメだまっとれ!」と怒られる刑事なんて想像できますか?

・「ある意味、癒し系コンビ!?
本書は、著者のデビュー作「二度のお別れ」や「八号古墳に消えて」でもお馴染みの大阪府警の黒マメコンビが活躍する作品を中心にした6作品からなる短編集である。表題作の「てとろどときしん」(「河豚の記憶」を改題)は87年出と、いまから17年前の作品であることも本書を楽しむ要素となろう。黒マメコンビとは、大阪府警捜査一課の刑事である黒木憲造と亀田淳也のコンビである。作品の魅力ともなっているのが、二人の漫才のような会話である。亀田がホームズで黒木がワトソン役で、上方漫才よろしく、のらりくらりとした会話のなかから事件解決の糸口をたぐる。しかし、このコンビは盛名をはせない。ストレス社会の現代では、あくまでも売れない漫才師を地でいく二人に共感すら覚え、とても魅力的である。関西弁が大好きな書評子は、著者の作品を読むと癒されるのだ。ギスギスした満員電車の中でさえ、癒しの関西弁ワールドを局地的に展開してしまうという魅力的な作品である。

てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書 (講談社文庫) (詳細)

左手首 (新潮文庫)

・「一気に読めまっせ!
今回は、金に目がくらんだ連中が何人も登場しますわ。ま、正味な話しが、短編集ゆうこっちゃ。どいつもこいつも、悪い奴らなんやけどな心底は憎みきれん感じがするんよ。悪いことしたら、罰が当たるワケやけど、この、なにわの犯罪者たちには逃げおおせてもらいたい!そない思うんはワシだけなんやろか?きっと皆さんも、そう思うに違いないわ。一晩で読んでしまえるテンポのよさに満足やな。

・「お勉強になりますよ(笑
金に目がくらんで、ひどい目に合う人たちのお話(笑

二宮君シリーズよりも、シビアで笑えないかな?

そのぶん、臨場感たっぷりです。

短編集なので、時間の隙間に、ちょいちょい読めます。

世の中の裏が、よーくわかりますよ。

純粋培養の「お坊ちゃま」「お嬢様」

是非に読んでお勉強してください(笑

左手首 (新潮文庫) (詳細)

絵が殺した (創元推理文庫)

・「あれ、皆読んでないの?
毎度お馴染み大阪府警捜査一課。今回の主人公は新婚の吉永と昼行灯小沢のコンビである。事の発端は竹の子に押し上げられて発見された頭蓋骨。被害者は失踪した売れない画家とあっさりと判明する。が、彼は日本美術界の有象無象、魑魅魍魎が跋扈する世界に身をおいていた。どうみても胡散臭い美術ブローカーと奇妙な共同捜査を進めるうちに彼らが気づいた真実とは・・・ストーリーの展開、人物造形、そして読後の哀しさ、切なさ、爽やかさ。秀作ぞろいの大阪府警シリーズの中でも一番の傑作ではないだろうか。もうこういうの書かないのかな?今のアングラすっとこどっこい大阪人達も大好きだけどさ。

絵が殺した (創元推理文庫) (詳細)

ドアの向こうに (創元推理文庫)

・「安心して読める(?)ミステリー
「キャッツアイ転がった」で、サントリーミステリー大賞に輝いた黒川氏の作品。この「ドア・・」は、1989年の作品で、作者が教員を辞し、株の売り買いで生計を立ていた頃の作品。ミステリーとしての内容は、充分の濃さを持っていて、氏の「軽快に読める」作品の一つだと思う。関西弁の妙というか、鋭利で冷たい感じの作品が多い最近、あまり見ない、ドキドキしながらも温かみのあるミステリーだと思う。

・「僕はイチバンかな…
毎度おなじみの『ブン』と『総長』が解決していくわけです。あ! もう一人、機動隊あがりの『五十嵐(だったかな?)』が二人に加わることで、更なる「アジ」を出してくれてます。内容について触れてしまうと、結末に影響するので避けます。黒川作品については、使い古された言葉になりますが大阪弁での会話が最高ですよね。

今回もそれが、いかんなく出ています。また、本格ミステリーとしての完成度も高い作品で謎解きも、じっくりと楽しめること請け合いです。最高傑作といえるのでは!?

・「軽妙にして本格
~解説によれば、警察小説と本格推理の面白さが融合した希有な例だとか。類似作品を探す癖のある私は、貫井徳郎や北森鴻あたりが書きそうだな…と思ったが、新本格好きには、そういう系統を想像してもらえれば分かるかと。

確かに本格チックな密室殺人と、人海戦術による情報収集+アリバイ崩し、などは解説通り本格+警察もの。大阪弁による会話の~~面白さは、小説としても独特の(良い)雰囲気を形成している。

自殺しようとする犯人に対して「あんたがここで死んでくれたら要らん裁判することもないし、無駄な税金を使うこともない。」というのは、ギャグでもドライでもあるようだが、確かな真理でもある。~

ドアの向こうに (創元推理文庫) (詳細)

蒼煌

・「黒川博行さんの新しい世界です。
黒川さんといえば、ナグリあいやドツキあいのあるハードボイルドな動きのある作品をつい想像してしまいますが、この作品は今までの黒川さんの作品とは一味違った作品になっています。日本画壇の裏世界をするどくあぶりだした力作です。芸術院会員から最終到達地の文化勲章まで受賞するには、贈収賄はもちろん泥にまみれた大変な努力とお金が必要で、その為にはなりふりかまわないという人間の名誉欲のすざましさを日本画壇の世界を通して描かれています。登場する画家、政治家、企業名がそれとなく、実在の人物や企業を想像できる為、現実の社会にある裏事情をあぶりだしています。黒川さんの作品の特長であるテンポの良さあり、ドンドンと吸い込まれる様に読んでしまいました。是非一読を

・「黒川博行さんの新しい世界です。
黒川さんといえば、ナグリあいやドツキあいのあるハードボイルドな動きのある作品をつい想像してしまいますが、この作品は今までの黒川さんの作品とは一味違った作品になっています。日本画壇の裏世界をするどくあぶりだした力作です。芸術院会員から最終到達地の文化勲章まで受賞するには、贈収賄はもちろん泥にまみれた大変な努力とお金が必要で、その為にはなりふりかまわないという人間の名誉欲のすざましさを日本画壇の世界を通して描かれています。登場する画家、政治家、企業名がそれとなく、実在の人物や企業を想像できる為、現実の社会にある裏事情をあぶりだしています。黒川さんの作品の特長であるテンポの良さあり、ドンドンと吸い込まれる様に読んでしまいました。是非一読を

・「黒川博行さんの新しい世界です。
日本画壇の裏事情を描いた力作です。ナグリあいやドツキあいのある、ハードボイルドな、今までの黒川作品とは、一味違ったものになっています。この小説が事実とあまり相違ないならば、日本画の世界では、芸術院会員から文化勲章を受けるまでの出世街道を突き進んで行くには、贈収賄のからんだドロドロとした世界があった事が想像できます。作中の人物や企業名、政治家などはそれとなく想像できる実在の会社や人物名が浮かんで来てなんとなく納得して想像できてしまいます。とにかく、美術界にかかわらず裏社会の真相をあぶり出した意欲作であること間違いありません。是非、一読を

・「息をつかせぬ展開
とても面白かった。この本を手にしてから、読み出したらどんどん引き込まれ、1日で読み切ってしまいました。私は、どこまで書いていいのか悩みますが、絵に関わる人間で、この世界の真っ只中にいる人間です。私の周りで起こる事柄のそれぞれの点が、この本で線になり、すべての疑問を埋めてくれる思いがしました。勿論、フィクションであるとわかった上で、ここまでよく史実と実情を調べ上げたなという思いで、驚きました。揺れ動く人間の心の弱さ、めくるめく状況の渦に目が離せなくなり、最後まで息をつかせぬ展開に読み終えた後、心地よい疲れを覚えました。

・「実像当て推理小説 黒川流 知的学習型エンタテイメント
~日本画の系統図を手元において、現実の画人を推理すると10倍楽しめる。日展、院展、創画展、京都市立芸術大学、京都造形大学(小説中は京都芸術短期大学(これ私立です))、高島屋、大丸、などなど 法人はすぐ解ります。問題は、画号。誰でもわかる HI学長は温厚なお顔からはとても察することの出来ない、大俗物でした。三代にわたる日本画家は京都人なら誰~~でも知ってます。頭の中で、日本画壇系統図に、小説の登場人物の系図を重ね合わせていく。それに、背景、社会状況、政治家が書き込まれていく。新しい知的ゲームが味わえます。貴方が、全ての登場人物が現実の名前に当てはめられた時 がこの推理小説の答えです。美術展の帰り、お連れに何気なく日本画を語れる様にはなっていますよ。~

蒼煌 (詳細)

文福茶釜 (文春文庫)

・「続編,続々編が読みたいくらいの傑作
「何々鑑定団」関連の本などで贋作の話がでてきますが,本書はそのような,古美術の贋作とそれを巡る人間のお話です。なんといっても短編集であることで成功しています。それぞれの話がドキドキハラハラなので,長編ではとてもこの緊張感が持ちません。また,騙し騙される話ですが,諸悪の権化のような悪人は登場しません。登場人物たちは読者にオーバーラップしそうな人々で,それがこの本を荒唐無稽な話ではなく,リアリティの感じられる芯のしっかりした小説にしています。もちろん著者の豊富な経験と知識もストーリーに過不足のない肉付けをしてくれています。なお,「解説」は本書のネタ晴らしそのものです。お気を付けください。

・「著者はきっと賢い
黒川氏の「大博打」をなにかのきっかけで読み、非常に面白かった。秀逸なのは、どなた様もお亡くなりにならない点である。これはこの上なく評価できる。

この「文福茶釜」なる題名の作品(短編集)も、著者は著者のそういう持ち味を存分に発揮している。どうしたら、こういう話を考え出せるのだろうか。柔軟な脳味噌の持ち主であるに違いない。

騙されたと思わぬうちに、ぜひ皆さん、読んで下さい。どうして、まあ、こんな話をいっぱい書けるかね、とお考えになること間違いなし。

膨大な数の推理小説が世に溢れる中、毎作もれずにどれも被害者がまず死んでくれないとお話しが始まらないような作品は、お話しにならない。

最後に、黒川氏のこれら作品が面白い方には、(少々生臭さはあるものの)本所!次!郎著『銀行芝居』をこの場を借りてお薦めします。

・「後学のために是非読んでみてください
アマゾン中古で単行本、本日現在196円 文庫本より安くてお得です。

・「もっと読みたい!
芸大卒業後、美術教師をしていたという著者の作品だけあって、作品中の古美術品に関する専門知識や偽物作りの描写等は非常にリアルで、大変興味深く読めました。美術品等の知識が無くても全く問題なく楽しめます。美術品でひと儲けを画策し、騙し騙され、転んでもタダでは起きない登場人物たちも、とても魅力的。面白すぎてあっという間に読み終えてしまった後、もっと読みたい!と思った本は久しぶりです。おすすめ!

・「文福茶釜とはよく言ったもの
まさにこのタイトルがふさわしいほどの化かしあいです。古美術の世界で起るリアルな駆け引きに騙しあいという内容ですが、ちょっと古美術などに関心がある方には面白いと思いますし、なによりこの小説は不快に感じることがありませんでした。水墨画、茶釜、茶碗、茶筅、彫刻、漫画、古美術や骨董品の贋作作りがいかにして行われているのか、またその贋作が必要となるいきさつも多様であり、そして商品が回っていく事が良く分かります。結局は人間の欲のなせる業なのでしょうが…。

ただ僕が唯一後悔したのは、先に「蒼煌」を読んでしまったということです。この「文福茶釜」が短編集であり色々な駆け引きの物語であるので、これを読んだ上でさらに昇華させた「蒼煌」読んだ方がいっそう楽しめたと読み終えた後に感じてしまいました。

まだ読まれてない方には「文福茶釜」を読まれた上で、さらに美術界の熾烈な権力争いが繰り広げられる「蒼煌」をお勧めします。

文福茶釜 (文春文庫) (詳細)

星条旗の聞こえない部屋 (講談社文芸文庫)

・「日本人とは何か
 「日本語を母語としない著者による、はじめての日本語の小説」ということだが、そういうジャーナリスティックな評価とは別に、小説としても、また読後感としても、一級のものになっているとわたくしには思える。 表題作の主人公は、作者の分身であるように思われる。アメリカ外交官の息子として日本で暮らしている主人公は、日本人より中国人に親近感を覚える父親、逆に主人公を「アメリカ人」としか見ようとしない日本人の両方に反発し、彼を「人間」として見てくれるひとりの同級生と行動を共にするようになり、最後は父親が出入りを禁止していた新宿の町並みの中に消えてゆく。 父親が息子である主人公に言う科白が印象的だ。「オマエがいくら日本人になろうとしても、日本人は決してオマエを日本人と見なすことはない。」天皇陛下に忠誠を誓っても、日本語を流暢に話そうとも、それは白人たる彼が日本人となれる条件ではない、とすると、果たして「日本人である」とはどういうことなのか。これが、この小説の、われわれに突きつける最も重い問いである、とわたくしは感じた。 収録されている他の小説は、この表題作の続編である。なので、実際にはひとつの作品である、と考えてもまちがいではない。

・「感受性の強い米国人少年を主人公とした、1967年との時代を感じさせる小説。
・ 日本語の読み書きが出来る米国人の半自伝的小説で、私はこの作者の経歴に興味を持ったので読んでみた。主人公のベンは17歳の高校生で、1967年の話である。もちろん現在ほど外国人は日本に多くはなく、敗戦から約20年、ベトナム戦争、安保の時代であって、日本人の外国(本作では米国)文化に対する理解度・許容度が低い時代である。・ 学生運動、三島由紀夫などの時代を象徴する語彙が散りばめられている。少なくともこの連作短編集では、作者の鋭い感性が表現されている。・ どこまでが実体験を基にしていて、どこからが創作なのかは知らないが、もっとも印象に残ったのは、父、祖母、ユダヤ教とベンの関係(P.26)。これは今でも通用する事象なのだろうか?

・ なお、作者がなぜ日本語で小説を書いたかだが、彼自身は、日本語が美しいから書きたくなった、と述べている。それもあるだろうが、私は、他人に表現を任せたくないからだ、と感じた。

・「情緒の漂いが感じられました
~古典的な私小説のような内容であり、行間から情緒の漂う小説です。

内容を一言で言うと、居場所のない少年の自分探し、です。アメリカの母のもとを出て、主人公が幼い頃に離婚し、若く美しい中国人と結婚して日本で暮らす父の元へ身を寄せます。特権階級の西洋人として日本で暮らしながら、西洋人も日本人も半ば見下している強い父に反発し、両親が軽視す~~る日本語に主人公は惹かれていきます。~

星条旗の聞こえない部屋 (講談社文芸文庫) (詳細)

最後の国境への旅

・「とまどい、不安、そして気持ちの変化を楽しめる
タイトルに魅かれてこの本を手にとった。津軽、上海、ドイツの都市。著者はひたすら歩き、そこで遭遇したものを彼がとまどいながら必死になって習得した日本語で記述する。

説明や解説はない。ただ目にしたこと、感じたこと、出会った人のことを一番ふさわしい言葉を模索したかのように文章がつながる。大きな山も谷もないが、時折はっとさせられる。

京都の歴史や文化から外れた辺境の津軽の自然に、東アジアにつながる海を発見、独自の開放感をともに味わう。中国大陸ではまだ人々の記憶に残っているだろう歴史を、読みながら感じる。ドイツでもそうだ。

結論らしきこと、明快な発見、提言といったものはない。しかし読み進むうちに現在のリアルな情景、自分が体験したかのような気持ちが味わえる。上海のバンド、旧東ドイツ地区、満州、朝鮮国境。見知らぬ路地裏を歩く時の不安と興味。そして気持ちの変化を楽しめる一冊だ。

最後の国境への旅 (詳細)
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