マリアのウィンク―聖書の名シーン集 (詳細)
視覚デザイン研究所・編集室
「聖書をらくらくお勉強」「名画を見ながら聖書の世界が良く分かる」
ダレンシャン 外伝 (詳細)
ダレン・シャン(著), 田口 智子(イラスト), 橋本 恵(翻訳)
「ダレンの知らないダレン・シャン」「サイコー!!」「こちらもシリーズ化して欲しいです!」「著者の写真いらないから・・・」「中高生向けかな」
むかし、レオナルド・ダ・ヴィンチが… (詳細)
シルヴィー ラフェレール(著), アンヌ タルディ(著), クレール メルロ・ポンティ(著), 大西 昌子(翻訳), 大西 広(翻訳)
海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年〈下〉 (塩野七生ルネサンス著作集) (詳細)
塩野 七生(著)
「最盛期を迎えた国家が衰退に向かい滅亡するまで・・」「ヴェネツィアの興亡」「塩野女史のベネツィアへの愛情がこの本の魅力です」「なるほど(下)」
海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年〈上〉 (塩野七生ルネサンス著作集) (詳細)
塩野 七生(著)
「地中海で隆盛を誇った貿易国家を描いた、警句と示唆に富んだ作品」「ローマ人の物語シリーズが終わることを心配な方へ・その3」「美術館のような都市を残した経済大国」「『物語』は楽しんでこそ。」「ヴェネツィアの興亡」
「二面性をつきつけられる」「嘘で固めた過去」「たくさんの嘘」「女ってこわいな」「女の友情とは?」
「切れ味バツグン」「作者の心が垣間見られる一冊」「著者の新しい一面」「のびのびした石田衣良が、この本の中で歩いている」「少しだけ、手の内覗けます。」
「人生ってこういうものだよなぁ。」「素直によかった。」「生活について振り返る」「しみこむ」「泣くということ」
神の代理人 (塩野七生ルネサンス著作集) (詳細)
塩野 七生(著)
「塩野作品の傑作!」「表現手法の斬新さ!」「「 神の代理人」 とは誰か」「4人の法王とイタリアの衰退」「政教分離以前」
ローマ法王―世界を駆けるヨハネ・パウロ2世 (岩波ブックレット) (詳細)
宮平 宏(著), 藤谷 健(著)
「新法皇が引き継ぐべき前任者はいかなる巨人だったのか」
ローマ教皇歴代誌 (詳細)
P.G. マックスウェル‐スチュアート(著), P.G. Maxwell‐Stuart(原著), 月森 左知(翻訳), 菅沼 裕乃(翻訳)
「教皇が変わると政治も変わる」
修道院にみるヨーロッパの心 (世界史リブレット) (詳細)
朝倉 文市(著)
わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡 (塩野七生ルネサンス著作集) (詳細)
塩野 七生(著)
「マキアヴェッリに対する暖かい視点」「この1冊でコシモ・メディチ以降のフィレンツェ共和国の歴史がわかります。」「愛をこめて」「フィレンツェ共和国を守ろうとした男」「悪魔の書ではありません!」
「印象的なイメージの連続」「「肉欲」と「信仰」の対立」
「いろんな女のショート・ショート」「女性の方、読んでみて下さい」「別れ」「男女のビミョーなニュアンスを表現したアフォリズム」「女を女としか見れない男と11人の関わった女たち」
包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書) (詳細)
天童 荒太(著)
「映画→小説の順が○」「絶望と諦念の底から浮かび上がるもの」「包帯をまくという事」「素晴らしい力量」「天童ファンにもそうでない人にもオススメ」
黄金のローマ―法王庁殺人事件 (朝日文芸文庫) (詳細)
塩野 七生(著)
「難しい歴史書を手に取る前に。」「三冊とも読んでください」
ローマ法王―二千年二六五代の系譜 (中公文庫) (詳細)
竹下 節子(著)
「入門書として。」
物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書) (詳細)
藤沢 道郎(著)
「「物語」としての「歴史」の復権」「心なごみ心ふるわす歴史夜話」「最高のガイドブック」「「ひと」が動き、「ひと」が流される」「イタリア周遊の旅のお供に」
物語 スペインの歴史―海洋帝国の黄金時代 (中公新書) (詳細)
岩根 圀和(著)
「スペインって面白い、と思った」「とにかくスペインは面白い!」「興味のある時代が合えばよし…」「華やかな国の重い歴史を楽しく語る」「少しバランスの悪いスペイン通史」
ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6) (詳細)
J. K. ローリング(著), J. K. Rowling(原著), 松岡 佑子(翻訳)
「やっぱりハリーポッター最高\(‾o‾)/」「緊迫感にみちて次回に続く!?」「次回を早く読みたくなる。」「夢中で読む中で、死について、差別について考えさせる成長物語」「悲しみと感動」
● Novel
● おすすめ
● 2009年の読書
● 「ローマ人の物語シリーズ」が終了して虚脱感におそわれている人へ、お薦めの本
● 恋愛小説
● 中学生はこれを読め!第3回本屋のオヤジのおせっかい - 12/20
● 乱読。
● 乱読
・「聖書をらくらくお勉強」
私は西洋美術が大好きなのですが、そのモチーフは聖書がたっくさん使われます。だから、聖書についてわからなかったらその絵の背景がちんぷんかんぷんで、その絵について半分も理解できないことになります。それで少し勉強しようと思ってこの本を手にしました。
この本は新約聖書、旧約聖書の有名なお話がカラーイラストや漫画でビジュアル的に紹介され、とっても気楽に聖書の世界に入れるとっておきの入門書です。有名な宗教絵画もたくさん引用して、その絵の解説もしてくれますし、美術のお勉強にもなりますよ。文章も堅苦しくなくて、さくさく読めちゃう。
これを読むと意外と聖書の逸話を知っていたんだなーと驚いたり、聖書ってゴシップ誌みたいだなぁーって思ったり、意外な楽しい発見がいろいろあると思います。
聖書って何が書いてあるの? キリストって何をしたの?別に深く宗教について知りたいわけじゃない。でも世界的に広く信仰されている宗教だから、ちょっと興味があってのぞいてみたい。
そんな人にオススメです。
・「名画を見ながら聖書の世界が良く分かる」
最初は図書館で借りたんだけどあまりの良さに買っちゃいました。世界の名画とかわいいイラストとおもしろい解説とで、なんだかよく分からなかった聖書やキリスト教の世界がとてもなじみ深くなりました。他にもギリシャ神話の世界を書いた「ヴィーナスの片思い」天使についての「天使のひきだし」悪魔についての「悪魔のダンス」黙示録についての「オレたちに明日はない」あまりのよさに買っちゃいましたよ計5冊。きれいな絵やイラストを見てるだけでも癒されます。ぜひぜひお勧めです.
・「ダレンの知らないダレン・シャン」
本編はダレンシャン主観で描かれるために一方的な価値観で語られ、なぞのまま終わってしまう出来事も多かったけど、この外伝には別の視点から見た話が描かれ、またダレンの知らない出来事などが語られている。読んでいて「なるほど、そうだったのか」とか、改めて感動することがいっぱいあった。
これを読むのと読まないのでは、物語に感じる深みがかなり違うと思う。
・「サイコー!!」
楽しみにしていたファンブック読みました。まず全ページカラーなのがいい!バンパイアの雰囲気を出しているって感じです・あと、スティーブの作文!!えっ!スティーブってこんなこと考えていたんだ。とスティーブを違う角度から見ることもできました。とにかく!おすすめの一冊です!
・「こちらもシリーズ化して欲しいです!」
本編とは違う目線、脇役達の裏話を堪能できるのが面白いです。たくさんの出演者達、それぞれにお話があると思うので、こちらもシリーズ化していただければ・・・と期待しています。
・「著者の写真いらないから・・・」
ホームページの外伝は英語で読むのが大変で今回の外伝の発刊はとても嬉しかったし、面白かったです。
でも著者の写真がとにかく多すぎで物語に集中できません。著者も超美形っていうならともかくアレですよ・・・。しかもバンパイアのコスプレって(;'Д`)かなり引きました。
しかも各話へのコメントやら何やらに現実的なこと(お金のこととか)が書かれていて日本人にはキツイ感じ。好感度下がりまくりました;;
あとこれは私の頭が悪いのかもしれませんが、スティーブの作文の魔女の文のところがよくわかりません。だから・・・って前の文章とつながっていなく感じます。
それとバンパイアのうそホントみたいな表のところ、右の欄と左の欄が対応してるのかと思ったらそうじゃなかったり・・・。
そりゃ最初の章で推敲そんなにしてないとは言ってたけど分かり辛いというか萎えます。
物語に☆三つ・・・。
大好きなお話だけに非常に残念です。
・「中高生向けかな」
本編には描ききれない、ファンにとっては垂涎の逸話が語られていて楽しい作品ではありますが、となりのページに著者の写真があって話の中には深く入っていけなかったり、大人が読むには物足り無さを感じました。ファン感謝デーのようなお祭りのようなものだと考えれば納得がいくと思います。
●海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年〈下〉 (塩野七生ルネサンス著作集)
・「最盛期を迎えた国家が衰退に向かい滅亡するまで・・」
ジェノヴァとの制海権争い、オスマントルコとの断続的な戦争を戦い抜くヴェネティアだが、時代はすでに大航海時代にはいっていた・・・。海運の衰えを工業や農業の発展で補い、18世紀にヴェネティア文化は爛熟に至った。同世紀末、ナポレオンのイタリア侵攻により同国の独立は終わりを告げる・・・。
「歴史家は、国の衰退はその国の国民の精神の衰微によるという。だが、なぜ衰微したかについては、われわれが納得できるような説明を与えてくれない。」著者は、隆盛を極めたひとつの国家が終焉を迎えるまでを丹念に描いていく。こうも言う。
「少なくともヴェネティア史に関するかぎり、このような単に精神の衰微や堕落のみに立脚した論にどうしても賛同することができない。」こうした視点で描かれる歴史は、前巻に増して、諫言・警句・教訓に富み、飽かせない。「20世紀のわれわれは、君主制はすべからく悪である、という色めがねを外すことから始めなければならない。」
「社会の上下の流動が鈍り、貧富の差が固定化し、結局はその社会自体の持つヴァイタリティの減少につながる。こうなってはもはや、いかなる改革も、いかなる福祉対策も効果はない。」「英雄待望論は、報われることなど期待できない犠牲を払う覚悟とは無縁な人々が、自己陶酔にひたるに役立つだけだからである。」
歴史に学ぶ、とは言い古された言葉だが、そうした知的好奇心を満足させてくれる名著。「栄枯盛衰が歴史の理ならば、せめてこのヴェネティアのように、優雅に衰えたいものである。」見事!
・「ヴェネツィアの興亡」
ヴェネツィア共和国の誕生から成長、大発展までを描いた本。政治、文化、一般庶民の暮らしぶりまでさまざまなな側面を描いています。筆者の文章は読みやすく、その分量にもかかわらず、まったく読むスピードが落ちませんでした。歴史の紹介だけではなく、ヴェネチアに対する筆者の洞察も秀逸。数年ごとに読み返したくなります。また、この本を読んでからヴェネツィアへ旅行へ行くと旅行がとても豊かになります。
・「塩野女史のベネツィアへの愛情がこの本の魅力です」
私の敬愛する竹田青嗣氏によれば、世の中の価値観は「真・善・美」に集約されるという。
この考えが正しいのであれば、歴史の場合、「善・悪」の価値観で評価するのではなく「真・偽」の価値観で認識すべき「事象」のように思う。
「情」と「理」の対立軸でいうならば、「情」で評価するのではなく、「理」で評価すべきなのではということ。
塩野女史の著書を通読していると、彼女の歴史観というのは、、常に「善・悪」や「情」でなく、「真・偽」及び「理」の視点で認識しようとする姿勢があり、非常に気に入っている。
しかしながら、塩野女史は、「善・悪」で評価はしないものの、「好き・嫌い」で評価しているところは読み手も共感できるところだ。本人も言及している「カエサル」好きはともかく、「ヴェネツィア」に対する彼女の愛情はこの著書を読みながらひしひしと読者に伝わってくる。
下巻の394ページより、「栄枯盛衰が歴史の理ならば、せめてこのヴェネツィアのように、優雅に衰えたいものである。そして、ヴェネツィアが優雅に衰えられたのは、ヴェネツィアの死が、病気や試練をいく度も克服してきた末に自然死を迎える人間の、死に似ていたからではないだろうか。」
あらゆる苦難を国民の団結と知恵で切り抜けてきたヴェネツィア。私はこの「第13話 ヴィヴァルディの世紀」の最後に記されたこの文章を繰り返し読みながら、すっかりヴェネツィアの虜になってしまった。
・「なるほど(下)」
ん~~。正直言って戸惑ってしまった。この本の前半部分、これが同じ人が書いたものかと。著者がもっとも信頼していた編集者が物故したのは、みなさんご承知の通り。編集者が違うとこうも違うものかと。全編を流れる文章のリズムと「節」立てが、明らかに違うのである。しかも、文章が硬直しているのである。さすがに、150ページ過ぎたあたりからは、七生流に流れはじめるのではあるけれど。この本は、いろいろな意味において、彼女の作家生活にとって大きな転機になっているのは、間違いない。彼女曰く「スペンシェラータ(気楽なとか、無責任なという意味)ではもはやなくなった、つまり大人になったということでしょう。」まったく、なるほど、である。
●海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年〈上〉 (塩野七生ルネサンス著作集)
・「地中海で隆盛を誇った貿易国家を描いた、警句と示唆に富んだ作品」
いまではゴンドラと運河、という観光都市の印象が強いヴェネチアの都市国家としての千有余年に渡る歴史を描いた。地中海で隆盛を誇った貿易国家の興亡の歴史を、「美術史以外、ヴェネチア史ついて書かれた書物が皆無」の日本に紹介した逸品。大部の作品だが、決して難解ではなく、著者独特の硬質の筆致に慣れると大変おもしろく読める。
後年の「ローマ人の物語」でも顕著だが、著者はこの国家の歴史を描くにあたって、単に歴史上の事象を追うのではなく、その背景となる文化、技術、考え方など周辺事象を含め、余さず描いていく。干潟の上につくられた都市の構造から説き起こし、船の構造や発展、銀行や為替といった商業制度とその発展、政治制度、服飾、女性史などなど。もちろん歴史としても、第四回十字軍、ラテン帝国、ジェノヴァとの制海権争い、オスマントルコ・・・と内容には事欠かない。ヴェネチアが、キリスト教文化圏にあって、十字軍の狂信からも、宗教改革とその反動の独断からも、魔女狩り、異端裁判といった気狂い沙汰からも自由でいられたのはなぜか?
君主制を選ばず、かといって宗教国家でもなく、それでいて強力で統治能力に優れた政体を維持できたのはなぜか?「すべての国家は、必ず一度は全盛期を迎える。しかし全盛期を何度も持つ国家は珍しい。・・・それを何度も繰り返すのは、意識的な努力の結果だからである。」などなど、全巻にわたって示唆に富む。
・「ローマ人の物語シリーズが終わることを心配な方へ・その3」
これまでこのレビュー・タイトルで、「神聖ローマ帝国」と「ビザンツ帝国」の本について書きましたが、ローマ人の物語シリーズが大団円を迎えた後、お薦めする作品の大本命は同じ作者による本作ということになるでしょう。残念ながら文庫本は品切れのようですが、私が持っている文庫本版で上下巻併せて千頁を超す大作。ゲルマン民族に追われ、撃退して独立を保ってから、ナポレオンに滅ぼされるまでの、ヴェネツィア共和国(いかに徹底して君主制を排除したかも丁寧に書かれています。)の悠久の千年の歴史は、必ずや読者を惹きつけてやまないでしょう。ヴェネツィアを中心に、ライヴァル国(例えば同じイタリアならジェノヴァ等の他の海洋国家、イタリア外ではビザンツ帝国やオスマン・トルコ)との抗争、他のイタリア都市国家や法王との集合離散など、イタリア千年の歴史を俯瞰するのに格好の本です。作者には「レパントの海戦」等、本書に取り上げられた1エピソードに焦点を合わせた一連の好著がありますが、まずは本書でマクロ的にヴェネツィアを中心とするイタリアの通史を抑えてから、個々のエピソードの本を読むとよいのではないでしょうか。聖地巡礼パック旅行やヴェネツィアの女たちといった章もあり、本書は当時の人々の生活に目を配ることも忘れていません。これだけ充実した内容でこの分量、一度読み始めるとまさに巻を置くこと能わず、読書の醍醐味を味わうことができるでしょう。
・「美術館のような都市を残した経済大国」
ローマ人の物語で知られる著者であるが、中世ヴェネチアに対する彼女の洞察も、なかなかにすばらしいものがあります。なかでもエルサレム巡礼を記した”パック旅行”など、商人であり経済大国であった彼らの行動を、実におもしろく伝えてくれます。交易に必要なためもあったのでしょうが、他宗教にも寛容な彼らの精神が、どうして現在の西欧諸国に残らなかったのでしょうか。塩野女史の見解を伺てみたいものです。
・「『物語』は楽しんでこそ。」
私は塩野さんの視点が好きで彼女の作品をよく読む。この『海の都の物語』は以前から読みたかったのだが、仕事の合間を縫ってちょこちょこと読み進め、やっと半年かかって読了した。私の評価☆5つの理由は単純で、半年もの間、「あー、続きが読みたい」と思って読んだ本だからである。歴史書をお求めの方は他の本を当たった方がいいかもしれない。史実とは最終的に「実」と言いながら確かめる術のないものであり、現存する資料を基に推測するしかない。「これは完全に客観的な歴史書である」と謳っているならともかく、『物語』と銘打ってる本は素直に物語として楽しむのが良い。(ただし下巻は☆3つです。→共和国の衰退振りが読んでいて痛々しいから、かな?)
・「ヴェネツィアの興亡」
ヴェネツィア共和国の誕生から成長、大発展までを描いた本。政治、文化、一般庶民の暮らしぶりまでさまざまなな側面を描いています。筆者の文章は読みやすく、その分量にもかかわらず、まったく読むスピードが落ちませんでした。歴史の紹介だけではなく、ヴェネチアに対する筆者の洞察も秀逸。数年ごとに読み返したくなります。また、この本を読んでからヴェネツィアへ旅行へ行くと旅行がとても豊かになります。
●四つの嘘
・「二面性をつきつけられる」
多かれ少なかれ誰しもが持つ外面性と内面性を、赤裸々に描ききると、かくも衝撃を与えるのかということを実感させられた。読後感は、後味の悪さであるが、それは、自身の二面性を、これでもかというくらいに、直面させられる感覚に通ずるものがある。ある程度の覚悟を持って、読み始めることが必要だ。気持ちが弱っている時には、お勧めできません。
・「嘘で固めた過去」
41歳の女性が事故死をします。その事故の知らせを受けて、高校で同級生だった3人の心にあることが蘇ります。無邪気だった上に残酷だったあの頃。そこから生きていくうえでついてきた懸命な嘘。しかし、その嘘が今、暴かれようとし、それを必死で守る3人。
それぞれ「女であること」を武器にして、生きていく姿を描いた物語です。
・「たくさんの嘘」
四人の女の人生。そこにはたくさんの嘘がある。しかし、ここで語られるうそは大して悪気のある嘘ではない。だから予想外の結末があるわけではないし、謎が解き明かされるわけでもない。それでも話の展開に目を離すことができない。桐野夏生が描くような邪悪な女たちではないという点で、安心して読める。
「子供の頃には、到底越えられないと思ったハードルを、四十代になると、こんなにも簡単に越えられるのかと思うと、生まれて初めて、歳をとることはステキなことだと感じた」
ありがちな設定の小説だが、エンタテインメントとしては良くできていると思う。おすすめ。
読みながら嘘を数えていったら、あっというまに50個を超えた。4つの嘘ってどういう意味?
・「女ってこわいな」
4人の高校のクラスメートの女性が主人公です。設定ではもう40歳近くなっているって話だけど。この本は女の人のみんなが持ってると思う、ドロドロした感情とか嫉妬とか妬みとか見栄とかが書かれてて、女って年とともにキレイになんて生きられないのかなぁなんて思っちゃいました。それと、人が持っている本当の自分。大人になると、我慢を覚えてどんどん丸くなっていくけども、子供の頃からの生まれ持っての性質ってやっぱり大人になっても残ってる。いくら大人の女性でも内面ではどうにもならない愛情みたいな憎しみみたいなドロドロの感情があるんだと、もしかしたら年と共に増えていく、人間の気持ちなんてがリアルに書いてあって、同じ女としてもちょっと怖いような、でも分かるなって感じの本です。
・「女の友情とは?」
大石さんの本は、エッセイしか読んだことがなかったのだが、思ったより読み応えがあった本であった。都会の女子高校生にありがちな日常と非日常生活が、生き生きと描かれていて、友情を多方面から写しだしている。ほろ苦い青春の行く手を、面白く、そして、せつなく表現している。永遠のテーマを感じた。
・「切れ味バツグン」
I・W・G・Pの切れ味バツグンの文章力を使って、ひとつの物語を10枚の原稿用紙に表して集めたのが一冊の本になる。スッキリと読めてちょっと心をくすぐる物語がとても面白い。
直木賞受賞後の作品を読んでみても、どうしても忙しさからかもしくは量産体制に入ってしまったからだろうか、物語の輝きが個人的にはくすんでいたように思えたのだがこのショートショートで久しぶりに石田衣良らしさを感じた
・「作者の心が垣間見られる一冊」
いつもと違う石田衣良が見られます。仕事に恋に。短いショートストーリーなので読みやすくて手にとっていただきたいこの一冊。何かが変わります。
・「著者の新しい一面」
2年かけて小雑誌に書いた原稿用紙にして10枚ずつの掌編集で、この作者にしては唯一のものでは無いかと思います。 最初の方はまだ慣れない堅さが残ってるようなところがあるのですが、だんだん手慣れていって石田さんの新しい境地を切り開いてると思いました。 実験的な試みもあり、著者が書くことをリラックスして楽しんでいるのが感じられます。 ファンは必読でしょう
・「のびのびした石田衣良が、この本の中で歩いている」
小説家になるまで小説家になろうとしたいきさつ小説家になってから石田衣良が透明感溢れる文体で自身を描いた1冊もちろん小説として、身体のパーツを送りあう遠距離恋愛のカップルやら10枚の原稿用紙以上に感じる充実した短編も折りこまれなかなか重厚な1冊です。個人的には1冊の本が読み手によって変化し巡ってゆく『旅する本』が好きボロボロになるまで必要とされ、常に人に求められ、人の手に渡ってゆく本それは本が一番幸福に見えるから慈しんで読めたのかもしれない。
・「少しだけ、手の内覗けます。」
個人的に、作家と作品とを同列に結びつけて論じる事は、不幸にして面白くない(付言するならば、失礼な)読み方だと思っている。 けれど、氏の作品を読んでいると(但し、これまた個人的に、「池袋ウエストゲートパーク」だけは別格)、どうしてもテレビで目にするコメンテーターとしての顔が浮かんできてしまう。 澱みなく、そつがなく、綺麗にまとまった、ささやかな社会批判も加えた、優等生的それらのコメント。 頭の良い方なのだろうとは思う。しかし、危惧していた。それは、一言で述べるなら「この人には、伝えたい事なんて何もないんじゃないのか?」という事だ。で、この掌編集の話になる訳だが、これまた一言で述べるなら、「僕のそんな疑問に答えてくれた本」という事になる。どんなに軽々とやっているように見えても、様々な思惑(思いつき)、産みの苦しみが作り手にはあって、意図したように出来上がったり、思いがけない結末を迎えたり、作者自身にも読み切れない部分がある、といったような当たり前の事。 あれですよ、水鳥が一見優雅に水面を泳いでいるようで、実は水面下で滅茶苦茶足掻きしているのに似てます。 勿論、頭の良い方だろうから、手の内全ては明かしていないだろうが、 少なくとも創造の端緒に触れられたような気にはなれます。一読み手として。 余談ですが、何気に一番感動した(というのも変な言い方ですが)のは、実は短編全てよりも、後書きでの、お亡くなりになった母親への献辞の方でした。 いつか、氏に彼女との思い出について、半自伝的なお話を書いて頂きたいです。もしかしたら、多大な苦しみとなるかもしれませんが、その話を是非とも僕は読んでみたい。 不遜にも、そう思いました。
・「人生ってこういうものだよなぁ。」
ただ悲しいとか泣けるとか感動するとか、物語の主人公になったつもりで自分に置き換える話じゃなくて、なんていうか、こういう人生を送っている人もいる、人生ってこういうものなのかもなぁと感じられる話だと思いました。生きていれば「死」というものに直面するのは誰だって同じだし、大切な何かを失うことだってある。だけど、辛くても大変でも生きていかなければいけないわけで・・・。切ない話であることは変わりないけれど、前向きで自分にとっての大切なものを気づかせてくれる、とても素敵な作品だと思います。
・「素直によかった。」
言葉の使い方がすごく優しい感じで読みやすかった。誰にでも起こりうるような話の内容で、悲しいけど人生ってこういうものかなと素直に納得できました。
・「生活について振り返る」
生きるということは特別な行為ではなくて、みんなそれを知っている。主人公の視点から描かれた大切なはずの時間は、いつもと変わらない時間でしかないはずなのに、人はその中で喜んだり、悲しんだり、笑ったり、苦悩したりして過ごす。
全体的に、わかりやすい文章で、叙情的に話が流れていきます。読み終えた時にかみしめることになる感動は、繰り返し読むごとにまた深まっていく。とてもいい作品だと思います。
それはありふれたものかもしれないけれど、生きていくことの答えのひとつが、この作品にはあります。
・「しみこむ」
しみじみとしたやさしさが心にしみこんでくるような本です。さあ泣け、さあ笑えといったおしつけがましさがなく、かえって何度でも味わえる感じです。表紙もすごく素敵で、ながめているだけで音楽がきこえてくるようです。
・「泣くということ」
読みやすく、やさしくて暖かみのある文章。世界が彼らを祝福しているように思えた。静かに幸せが二人を包み込む。同じ世界にいて、同じ時間を過ごし、同じ未来を見ていた。主人公というよりはこの二人の世界に感情移入をして読み進めた。そんな世界がゆるやかに描かれる。そして、婚約者は重い病気にかかる。実生活の僕も婚約期間中だったから、読んでいて厳しいものがあったのは確かだが、それでもこの本が素晴らしいことに変わりはない。幸せな記憶が多いから、その数だけ涙がこぼれる。
・「塩野作品の傑作!」
四人のローマ法王の壮絶な生きざまを描いた、塩野作品の傑作。彼女の作品というと、『ルネッサンスの女たち』が有名なので、ついついロマンティックな内容を期待してしまうところだが、とんでもない!生き馬を目を抜くような時代を、虎視眈々と生き抜いた壮絶なドラマが、塩野独特の美文で綴られて行く。『ローマ人の物語』では内容を重視するあまり、美文にあまり気を配らなかったようであるが、本編では終始『塩野節』が炸裂する。法王たちの陰謀の前には、我が国の政治家たちは何をやっているのだろう?と感じずにはいられない。塩野七生『ルナッサンスもの』最高傑作。必読。
・「表現手法の斬新さ!」
塩野七海の著作に、読者が期待することは人間ドラマの模様と歴史的考証の正確さであろう。この本は、そのどちらをも兼ね備え、かつそれを越えた小説としての驚きをもたらしてくれる。塩野七海は、ここで法王を主人公とする古代の政治全体を劇場であるかのように見立てている。塩野七海が書いているのは、歴史書ではなく、あくまでも小説である。表現手法という形式的な側面から、小説としての面白さに迫ったのがこの作品だ。収録されている短編全てに違った驚きを読者は見いだすことができるだろう。オススメ!
・「「 神の代理人」 とは誰か」
「神の代理人」は何度読んでも面白い。時代を超えて、現在の人間の生き様のようにリアルに感じられる。著者の淡々と、冷静に描写していることが反って迫力と情熱を醸し出す。ルネサンスを現代のわれわれにこれほど身近に感じさせてくれることに、塩野ファンならずとも唸ってしまうだろう。
戦後の日本では、アレッサンドロ6世のような人間は、「悪人」の代名詞的な存在だった。話合い、平等、民主主義を声高に唱えた前世紀の結果はどうだろう。将来の我が国どころか、自分がどう死んでいくかさえ分からず、不安と絶望がとぐろを巻いている新世紀に入った。アメリカ一極集中型の世界観がテロによって簡単に崩れ落ちようとし始めている。自分たちはどうなるのか、なぜ民主主義が崩れ始めたのか。何も回答が
・「4人の法王とイタリアの衰退」
ルネッサンス時代の方法4人の物語をそれぞれスタイルを変えた叙述形式で書き分けています。十字軍の最高を夢見るピオ二世宗教改革の先駆けとも見れる修道士サヴォナローラとしたたかに相対するアレッサンドロ六世信念と行動力が裏目に出て、イタリア、カソリック協会の衰退をもたらすジュリオ二世イタリア・ルネッサンス末期を彩るお祭り好きのレオーネ十世これら4人の法王の姿を通じて、カソリック教会の俗界における権力の衰退、イタリアの衰亡、ルネッサンスの終焉が重ね合わさって描かれていきます。日本語で読める同時代を描いた書籍が少ないことを考えれば、イタリア史やルネッサンスに興味がある人なら読む価値は十分にあるでしょう。
・「政教分離以前」
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●ローマ法王―世界を駆けるヨハネ・パウロ2世 (岩波ブックレット)
・「新法皇が引き継ぐべき前任者はいかなる巨人だったのか」
2001年5月刊の岩波ブックレット。55頁の大変手頃な入門書です。 ポーランド人カロル・ボイティワとしての生い立ち、78年のコンクラーベの様子、「空飛ぶ聖座」といわれた精力的な外交活動、中絶や同性愛などに関しては保守的であった思想まで概観できます。
ヨハネ・パウロ2世がユダヤ教との和解や共産主義への牽制を進めたのは、母国ポーランドで目撃したホロコーストや共産主義の圧制の記憶があります。本書で改めてそのことに言及している部分を読んで、あることを思い出しました。 「ローマ教皇とナチス」(大澤 武男著/文春新書)は第二次大戦中のローマ法王だったピウス12世について論じた書ですが、彼がナチズムに対してあまりにも寛容であった理由のひとつに、ドイツで聖職者活動を行なった体験があり、個人的にドイツに強い愛着を抱いていたことを挙げています。また無神論的共産主義への防波堤としてナチズムを頼りにしていたということも指摘しています。 このように若き日の体験が、各法皇のその後の行動を大きく左右する可能性があるのです。
だからこそ、今月(2005年4月)のコンクラーベが指名する人物がどんな体験を持つのかを注目するべきだと感じます。 有力候補の一人に中米ホンジュラスのOscar Andres Rodriguez Maradiaga大司教の名が挙げられています。私も首都テグシガルパのあるパーティでお見かけしましたが、彼は反グローバリズムの立場を取り、第三世界での債務問題などについても積極的な発言をしてきました。またヨハネ・パウロ二世とは逆にキリスト教の教義についてはリベラル派でもあり、彼がかりに法皇に選出されれば、バチカン外交も様変わりすることでしょう。
いずれにせよ、新法王が引き継ぐことになる前任者がどんな巨人だったのか、その生涯を短時間で知るには適当な書であると思います。
・「教皇が変わると政治も変わる」
初代教皇の聖ペテロから現在のヨハネ・パウロ二世まで、263人の教皇が漏れなく収められている。本名、出身地、在位期間などの情報が詰め込まれており、個人としての教皇を知るには最適の一冊。歴史的背景は出来るだけ省略し、それぞれの教皇が何を行ったかが政治的、宗教的、文化的に描き込まれている。 教皇にはやはり、能力のある人物が多く、政治的手腕には感嘆させられる。しかし一方で、教皇が変われば為政方針が一変することも多く、教皇政治というものの難しさ・複雑さを教えられた。教皇の在位期間は数ヶ月から数年という例も少なくないので、一定した政治が行えず、すぐに諸国との関係が悪化したりする。そのあたりの面白さが存分に味わえた。
●わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡 (塩野七生ルネサンス著作集)
・「マキアヴェッリに対する暖かい視点」
権謀術の代名詞で、どちらかというと暗いイメージがまとわりついているマキアヴェッリを従来とは全く別の視点で描いた本。ルネサンスの終焉、フィレンツェの崩壊を冷静に見つめた暖かい(血の通った?)人間像にフォーカスしています。歴史的背景などの説明も的確で分かりやすい。同じ著者による「マキアヴェッリ語録」と併せて読むのがおすすめ。
・「この1冊でコシモ・メディチ以降のフィレンツェ共和国の歴史がわかります。」
イタリアの都市国家、なかでもルネサンスの中心となった共和国として、フィレンツェとヴェネツィアの歴史はおさえておきたいところです。後者に関しては同じ作者に「海の都の物語」という大作・好著があり、それがカバーしてくれますが、前者、特にコシモ・メディチが実質的に支配するようになって以降の歴史は、501ページに及ぶ本作がカバーしてくれます。というのは、本書はマキアヴェッリがフィレンツェ共和国の官僚として、そして失脚して以降の本人の言動を中心にすえて彼が活躍した時代を生き生きと描くとともに、その前後の歴史、つまりマキアヴェッリが生まれる前、生まれてから官僚に登用されるまで、そして死後フィレンツェ共和国がトスカーナ大公国になってしまうまでの歴史も簡潔に記してくれているからです。この構成が素晴しい。
マキアヴェッリ本人は有能だが、決して権謀術策の人ではなく、まさに「わが友」と呼びかけたくなる人間味あふれる人物だったことが本書でよくわかります。特に失脚中に、夜書斎で読書、つまり古の人と対話をするときにわざわざ官服を身につけていたという冒頭のエピソードが感動的です。わが国の漢詩に「一穂の青燈万古の心」という読書の醍醐味を集約した名句がありますが、それに通じます。歴史ものの読書を愛する人にとって、このエピソード一つとっても「わが友」と呼びかけたくなる人物にマキアヴェッリが思えてきませんか。
・「愛をこめて」
塩野七生という作家は 自分が女性であることを縦横無尽に使っている点では 特筆すべき作家である。好きな男に肩入れしている時の塩野は 「だって好きだからしょうがないじゃない」と言い切っている。これに反論することは難しい。塩野自身が それを分かっていて そう言っている。これを確信犯と言うのである。
そんな塩野の想い人の一人が マキアヴェッリである。彼は「君主論」で 日本でもよく知られている。マキアベリズムという言葉は 日本でも悪い響きを持って言われる。そんな彼の悪評に我慢がならないのが 深情けをしてしまっている塩野である。
本書で マキアヴェッリの生涯に親しく触れることが出来た。そこで描かれる彼は 幾分が滑稽味を帯びた 我々と等身大の男である。塩野は 彼を我々の目線に下げた上で その稀代の現実主義を説く。 実際 「君主論」を読んで見ると 彼は 科学者の視点で人間を語っているだけのように思えてしかたない。善悪を超えて 実態を冷静に叙述する彼は 正しく科学者である。 そんな彼を 愛をこめて塩野七生が描き出す。面白くないわけがない。
・「フィレンツェ共和国を守ろうとした男」
16世紀のイタリアはフィレンツェ共和国に官僚として生き、運命の波に翻弄され、その著作により歴史に名を残すことになる、マキアヴェッリ。
フランス、スペイン、ヴェネツィア、ドイツ、法王といった軍事力のバランスの中でなんら主体性を持ちえなかったフィレンツェ共和国。
この両者を縦糸横糸としてフィレンツェ共和国に象徴されるルネッサンスの終焉が物語られていく。
読んでいて現在の日本の姿が重なって見えてきた。
・「悪魔の書ではありません!」
塩野七生を理解するにはこの人を外しては考えられません。彼女の著作すべてに脈々と内包されている透徹した目は、マキアベッリそのものではないですか。世の中そんなに甘くない、天国に行きたい人は、地獄への行き方を知っているほうがどんなに役に立つことか。表面的なあるいは情緒的な反感はこの際すっぱり捨てましょう。生きることは戦いである。進化論を待つまでもなく、自然淘汰は世の常ではないですか。そこにこそ人生を生き抜くアルテがあることを認識しましょう。マキアベッリを知らずして、世の栄達はないにちがいない。あとは、あなたにフォルトゥーナがありますように!ついでに、サマセットモームが書いた「Then and now」もいっしょにどうぞ。
●血と聖
・「印象的なイメージの連続」
200ページに足りない薄い本なのに、読んだあとに濃い印象が残る。これは、映画への挑戦状ではないのか。ドナート神父は天空高く浮かび上がる。崇高な光景。そして、ドサっと地上に落ち、正気に返れば、深手も負わずケロっとしている。この神父の役にあった俳優を探してきて、うまく映画化されれば、客席のあちこちでクスクス笑う声が聞こえるだろう。何度も繰りかえされる。おいしい役だ。渥美清みたいな人がやれば最高。はじめて、タミラが修道士アルノルフォに逢うシーン。修道院の前の木立のなか、柊の茂みの前で小用を済ませたあと、町の外を流れる急流の音に導かれるようにして、(女の匂いをプンプンさせた)タミラはアルノルフォと出会う。魂と魂がひきよせられていく。そして、タミラの死の真実が明かされる。
はじめと終わりの静寂な聴聞室のシーン。タミラの侍女のアウレリアと修道士アルノルフォの配役は見当がつかない。アウレリアにハル・ベリーは、いいかも。
・「「肉欲」と「信仰」の対立」
16世紀末のイタリア、聖ロレンツォ教会を舞台にした豪商の娘タミラと修道士アルノルフォの間に繰り広げられる禁断の恋を描いています。許されぬ恋と肉欲の高まりとの間で悩み、苦しむ狂おしい愛です。作者は、カトリック教会の影響下にあるイタリアの田舎町の雰囲気に読者を誘います。その中で、この「愛」を「肉欲」と「信仰」の対立構造の中に置きます。「肉欲」の果てとして、不倫により裸でさらし者にされる男女を描きます。その対極として、「信仰」の極致としてドナート神父の奇蹟を置きます。その二つが重なり合う時、二人の禁断の恋はクライマックスを迎え、二人はそれぞれの決断をします。いかにも坂東眞砂子らしい壮絶とも言える「魂」の揺らぎの描写が魅力の作品です。
・「いろんな女のショート・ショート」
こういう短編小説、一日に一作品づつ読めれば毎日がより充実しそうである。いや、一度にまとめて読んだってもちろんかまわないのだが(私は2、3編づつ読んだ)、なにしろ数も限られているのでちびちびとやりたいところである。今日はどんな女の人だろう、と、思いながら読んでいろいろと楽しんで、その後で現実の女性に会うと、なんだかいつもとは違う気分で彼女たちに出会えたりする。すんなりと読みとおせる短い仮想の文章が、日々の退屈な経験をふくよかにしてくれる。様々な女性の日常(非日常)の断片が、どれも「うわあ、センスいいなあ」といちいち感嘆させられる描写力でもって表現される。いるね、こういう人、な女性がおり、あるいは謎がありすぎる女性がいる。おお、と、つきあってみたく思わせる女性がおり、もしくは、あまりお近づきにはなりたくはないけれど、微妙な距離にいってもらって話題のネタになってくれるとありがたい女性がいる。もちろん、これは男性の側の視点である。この本も、どちらかといえば男性からみた女性の姿がたくさんのせられているようではある。けれど、あらためて確認するまでもなく、AV的な非中立性はこの作者にはほとんどない。女性はこうあるべきだ、こうあってほしい、というわがままはそこにはない。むしろ人間ってこうなんじゃないのかなあ、という問いかけが一貫してあり、それがそれぞれ異なるからだとこころをもった女性の姿で書かれている、のではないかと感じた。
・「女性の方、読んでみて下さい」
とても面白かったです。テンポも良くて、本を読んでいるのが気持ちよかった。今まで、女の私には「男から見た、女の不可解さ」なんて解らないことでした。けれど、吉田修一はそれを見せてくれた気がします。11人の女の出てくる11話の短編は全て、男の視点から見た世界で描かれています。長編小説ではなく、短編小説であることも良い。11話それぞれの男の心理に集中しながら読め、11人それぞれの女を読者が「観察」できる。男の迷いや甘えとは裏腹に、女は、密やかな自分の世界を守りながら逞しく生きている。それが、女を不可解なものに見せるのかもしれないなぁ…と、私は思うようになりました。
・「別れ」
女性が見ている現在は時として既に過去となっていることがある。現実に夢を重ねて見ているから、夢から覚めた瞬間に次の現実を探し始める。当然それまでの現在は過去に変わる。
そしてその逆も然り。現実的という言葉がぴったりなくらい毎日をこつこつと生きることが出来る。しかしこの場合にも、ふと全てを投げ出したくなる時、自分のためにということを考える時がくる。その感情に理由なんてない。最近増えているという熟年離婚もそういうものではないかと個人的に思っている。
・「男女のビミョーなニュアンスを表現したアフォリズム」
11人の男がそれぞれが付き合った11人の女の思い出を語る短編集。「十一人目の女」という作品をあえて十番目に置いたのも洒落てる。それにしても、この、男女にまつわるエピソードのヴァリエーション、リアリティはさすが。枚数も少ないし、軽く読み飛ばせる気楽さもあるんだけど、コンセプチュアルな長編よりも、こういった短編のほうが著者のエッセンスが無防備な形で表出している気がする。 それにしても、著者の観察眼、感じ方、表現は「現代」とずれていない。意外なことに、小説家で「現代」とずれていない人って稀少だと思う。今回、特に印象に残ったのは男女間のビミョーなニュアンスを表現した数々のアフォリズム。 「頭では来るはずがないと分かっているのに、心では来ないはずがないと思っているのだ」 「住みたいところじゃなくて、みんな、住めるところに住んでるんだよねぇ」 「好きでなかったわけではない。ただ、好きだったわけでもない。きっとこれから好きになれると、そう思っていたのは間違いない」 「恋愛でもなんでもそうだが、沈黙に耐え切れなくなるのは、必ず優位な立場にいるほうだ」 こうしたフレーズが象徴するように、どの作品もわりと輪郭がはっきりしていて、シーンや言葉が印象に残る。一番面白かったのは「明るいオーラ」と「暗いオーラ」に関する考察で、これはフムフムと思った。気になる人は是非ご一読を!
・「女を女としか見れない男と11人の関わった女たち」
11人の女に関する短編は、男が関わった、見てきた女で彼女以外もある繰り返した転職の中で関わった女ただ電車で見かけた女中学生の同級生だった女11人の女に関わったきたであろう男は、女を女としてしか見ない女にまめでもなく、優しい様子でもなく、自分の人生に手一杯だ。でも、女は結局そういう男に人生を絡めてしまう。男に絡めてきた女たちの気持ちが時を経てぼろぼろ出てきたような感じで何か面白い。一人では生きていけない男は、常に女を物色して観察する。そんな男の思い出の女たちは、ひたむきな感情が隠していても洩れている。すれ違っていった彼女たちの幸福に思いを馳せてしまう
●包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)
・「映画→小説の順が○」
映画を観た後に小説ではどんな風に書かれているか気になり読んでみました。比較するとそれほど大差は無いのですが、小説と比べ映画ではディノの心の傷がハイライトになっており、小説では成人になったディノの消息が物語りを引っ張る牽引車になっておりました。そのほか映画独自の演出がありましたが、小説には無い盛り上げ方をしていて映画も小説も楽しめました。映画を観てしまった後で小説を読んでも楽しめるので二度おいしかったです。この作者の小説は今回初めて読んだのですが、主人公の心の動きが瑞々しくて良かったです。残念なのは他のレビューを見させて貰うと、この作品は天童荒太の小説としては異例であるということです。
・「絶望と諦念の底から浮かび上がるもの」
天童荒太は新潮文庫から書き下ろし改訂版の「家族狩り」を出して以降、よりスタンスを明確にしてきたと思う。ミステリ作家ではないのだ。救いのない理不尽な世の中に生きる我々の苦しみを滾々と小説という媒体で詳らかにし、答えではないけれど、ヒントのような処方箋を読者に訴える。そのため道徳の時間のお話を拝聴しているような、宗教的な気配も漂う。「なんだか説教くさいなあ」とひかれてしまうリスクを内包したギリギリの境界線上で物語が構成されている。安易に鵜呑みにしてもいけないだろうと思う。こういう考え方、感じ方もいろんなものの中のひとつにはあるだろう、という距離感が必要だ。だが最終ページで目頭が熱くなり、心打たれていることに気がついた。
・「包帯をまくという事」
この作品はおそらく著者の代表作とはならないだろう.重厚なテーマで重く心に突き刺さる「永遠の仔」,家族という存在を様々な視点から鋭く描いた「家族狩り」の両作品には内容,分量とも遠く及ばない.それでも私はこの作品は大好きだ. 今の日本で,本当に大切な,皆が切実に考えなければならない問題は何なのか.文盲なC調系のマスコミに多くは望まない.それにしても,今現在報じるべきことは,IT社長の動向や,タレントだか政治家だかわからないような人々の言動や行動ではないだろう.また,取って付けた様に社会に潜む闇を第三者的な立場から論じた所で,一体それが何になると言うのか. 天童荒太はそんな私の持っている不満に対して一つの回答を示してくれた.完全な回答ではなく,明確でもないが,とても優しく,大切な回答だった.
・「素晴らしい力量」
好きな作家は少なからずいる。尊敬している作家もいる。しかし、信頼できる作家の数はそう多くはない。天童荒太は、私の中でそんな「信頼できる」作家の中の一人だ。
この人はどうしてこんなにも人の心の痛みがわかるのか。おそらく、彼自身が物語の中の登場人物になって書いて行くからなのだろう。そして、心の奥深くの痛み、苦しみ、喜びを我が物として感じるという作業を必要とするがゆえに、寡作なのだろう。
ある精密機器の製造で有名な地方の高校生の話。彼らは心の傷がある場所に包帯を巻いていく。その情景がとても鮮やかだ。美しい。
・「天童ファンにもそうでない人にもオススメ」
人は誰でも、生きていれば傷つく。 他人から見れば、どんな他愛のないことにでも。 そんなことで傷ついたんだ、ということを周りには悟られたくなくて、自分も認めたくなくて、傷から目をそらす。 と、その傷は化膿し、ぐちゅぐちゅと膿んでゆく。 やがて、突拍子もない死に走らせたりするくらいに。 他愛のない傷を傷として認めよう、そしてその傷に包帯を巻いてあげよう。 傷を傷として認めることから、その傷は少しずつ癒され、再生されていくから。 と、これはそんなお話。 これ、本当に天童作品か?というくらい優しく、自分の中にあった無数の小さな傷にしみていく。 でも、一つ一つの物語はきちんと「痛み」や「つらさ」を伝えている。 安直な癒しや慰めではないあたりが、天童作品の天童作品たるゆえんだろうなあ。 今までの天童作品を、「重すぎて辛い」と思っていた方にオススメします。
・「難しい歴史書を手に取る前に。」
都市シリーズ三部作の、三作目。高級娼婦オリンピアの過去が明らかになる。
このシリーズは、ヴェネツィア共和国の名家の出身マルコ・ダンドロと、オリンピアの関わりを中心に、マルコの目で見た、実際に体験したことを、最近あったことのように、生き生きと描いている。マルコの、見事な観察眼は筆者の目でもあるからだろう。
古代という大きな遺産を抱えたローマで、マルコの目は私たちの目にもなる。ミケランジェロとの遭遇、老人とともに歩く遺跡群、政治から離れた彼は、実にのびのびと、趣味の世界に浸る。面倒くさい歴史書、色話に陥りがちな興味本位の歴史本に比べれば、誰が読んでも、すんなりとルネサンス世界に入っていけるだろう。
しかし、彼の方も周囲も、共和国の政治から彼を放っておくわけはなかったが・・・。
衝撃を抱えてローマを去るマルコ。次回作を期待する。
・「三冊とも読んでください」
この本は、緋色のヴェニツィア、銀色のフィレンツェとの三部作の最後の作品です。これら三冊の本は、ミステリーと愛情物語を織り交ぜながら、歴史の舞台を面白く説明している。主人公は架空の人物だが、それと交錯する人々は史上の大人物で、その想像と史実とが綾なす世界が、塩野さんのテクニックの高さによって、とても面白く描かれている。
彼女の作品は、ともすれば教科書か歴史書のように難しいものもあるけれど、これらは実に読みやすく、この時代背景への興味を開くものとしては、有益である。
・「入門書として。」
以前に新書ででていた内容の文庫版。ヨハネパウロ二世が死去ののち、タイムリーに文庫になって、出版された。法王庁の歴史、法王の日々の生活、職員達、女性職員の福利厚生などまで書かれていて、なかなか面白いです。入門書として、最適。ダンブラウンの小説にででてくる、法王庁と比較しても結構面白い。
・「「物語」としての「歴史」の復権」
中公新書「物語各国史」、イタリアの巻は西ローマ帝国の崩壊からカブールによる統一に至るまで、この国の1500年に及ぶ歩みを対象としています。皇帝フェデリーコ(フリードリッヒ2世)やコジモ・デ・メディチ、さらにはカサノーヴァなど、イタリア史の各時代を彩った著名人士10名を登場させ、かれらの生涯を通じて時代時代のパースペクティブを説き明かそうとしています。 語り口は極めて平易であり、扱われている事案・事件の類もメジャーなものばかりですが、政治・経済・社会・文化の各分野を総合的な「ヴィジョン」として鳥瞰していく手法は見事というほかなく、久しぶりに歴史読書の楽しさを堪能できました。 筆者によれば、もともとイタリア語では「歴史=物語」なのだそうです。しかるに昨今、歴史学はイデオロギーとミクロの実証主義が専横を極め、ストーリー性は影を潜めざるを得ない有様です。そうした中、本書は、いわば歴史の原点たるべき「過去の時間を物語によって秩序づけ、それを未来に向けて語り継ごうとした長い伝統」への回帰に向けた「手探りの試行」として、見事成功を収めたものと言えましょうか。 歴史の楽しさを実感できるという観点から、特に若い人たちにおススメしたい一冊です。
・「心なごみ心ふるわす歴史夜話」
中公新書・物語~の歴史シリーズでは「北欧」「バルト三国」「ラテン・アメリカ」と読んできたが、本書「イタリアー解体から統一まで」が一番読み応えがあった。編年体の歴史叙述ではなく、10人の著名人の事績を描きながら、各々の時代背景をうかびあがらせている。一種の歴史夜話のスタイルで、そのへんに読みやすさや面白さが感じられる原因があろう。ここに扱われている10人は、アッシジの聖フランチェスコ、美術家ミケランジェロ、作曲家ヴェルディといった周知の人物から、皇女ガラ・プラキディア、女伯マティルデ、サルディニア王ヴィットリオ・アメデーオといった我が国では知名度の低い、ややマニアック(?)な人物までが著者の生き生きした筆致により、血の通った存在として現れてくる。またマティルデや皇帝フェデリーコの物語では、中世ヨーロッパを呪縛した皇帝権力と教皇権力との葛藤の歴史がうかがえる。コジモ・ディ・メディチとミケランジェロの章はイタリア・ルネサンス期の歴史背景を巧みに織り込んで、本書のクライマックスを形成しているといってよい。とにかくイタリアという古代ローマ以来ヨーロッパの重心として大きな影響力を世界に及ぼした国の華麗にして複雑な歴史に私たち極東の民を招き入れてくれる好著として皆さんにおすすめできる。
・「最高のガイドブック」
イタリアを旅行する時は是非ともこの本を事前に読むことをお勧めします。イタリアの各都市は、町全体が博物館のような雰囲気をもっていて、初めのうちはその雰囲気に酔ってしまうのですが、いくらか時間が経過すると、各都市によって多少は違いますが結局は教会・古い建物・石畳の道の繰り返しでちょっと退屈してしまいます。
そこで、この本を事前に読むのです。本書の「歴史」=「物語」が実際に起きたその土地で登場人物やその当時の生活を想像しながら街を訪れれば、忘れられない旅の思い出ができる事でしょう。
実際に、私もこの本を読んでから、AssisiのSan Francesco教会へ旅行に行きました。建造物としての教会もすばらしかったですが、それ以上に心に残ったのは、聖者フランチェスコが実際にきていたボロ着です。ボロ着が展示されている前で、この本に書かれている彼の人生を想像している時間は最高の旅の思い出です。
・「「ひと」が動き、「ひと」が流される」
歴史は、「ひと」によって作られてきた。 そして作られた流れは「ひと」を押し流してきた。 雑多で強烈な歴史の「流れ」を目の当たりにしても、目をこらしてみれば、その流れの中心には必ず中心たるべき人が居ます。その時代を示すかのように。 本書はそんな「歴史の流れの中心」を作ってきた、あるいはそれによって中心を流されてしまった「ひと」のなかから、イタリアを語るに不可欠の十人を取り上げ、それぞれの、歴史との関わり、人との関わりを解いていきます。 同じ中公新書の『〜の物語』シリーズを既に幾つか読んでいるのですが、その多くは「編年体」(年代毎の記述で、歴史教科書的な構成)です。本書は今述べたように「紀伝体」(「ひと」の物語を集めた構成)的であり、最初見た時は違和感があったのですが、読了後は構成に大納得でした。 すばらしいのは、たっぷりとした「ひと」の物語を読んでいる感覚が残るにもかかわらず、非常にコンパクトな処です。これについては筆者もあとがきで、不要な部分を削りに削った、と書いています。「ひと」中心でありながら、無駄のない記述で歴史の流れも明らかにし、《イタリアの歴史を知ろうと考える読者》にとっては飽きることがありません。 尤も、字ィばっかりなんで、「物語」を好まぬひとにとっては旅行案内書的使用に適しません。活字によって歴史的想像力が喚起されるということが余りない向きは、無理せず写真と絵がたっぷり貼られた旅行案内書を買いましょう。^^
・「イタリア周遊の旅のお供に」
イタリア旅行に先立って、読み始め、結局は飛行機内で読み終えたのですが、機内食が煩わしく感じるくらい、熱中しました。
イタリア旅行に行かれる方で、特にローマ、ミラノ、フィレンツェ、ベネチアなどを周遊されるイタリア初心者にお勧めかと思います。イタリアの歴史とそれに基づく文化、雰囲気の違いの理由を、楽しい物語として知ることができます。
ただ、固有名詞・人名などはある程度の知識を要求されるので、万人にお勧めできる本ではないです。だいたいざっと高校レベルの世界史が頭にある人なら、大丈夫だと思います。
文章の読みやすさなどは、一番調子の良い時の塩野七生さんより上かと思います。
・「スペインって面白い、と思った」
とりわけスペインに興味があったわけではないのだが、ヨーロッパ各国の歴史を知る必要に迫られこの本を読むに至った。そして、今までパエリヤとしかスペインと縁の無かった私に、‘スペイン’そのものへの興味を持たせてくれたのがこの一冊である。 興味を抱かせてくれた理由の一つは著者の文章力+“どの人にもわかりやすいように”という優しさが込められた「史実とフィクションのかけ合わせのうまさ」である。『物語 スペインの歴史』という題名の‘物語’という部分を最大限に生かし、史実を妨げることのない想像の光景や登場人物の感情等がこの本にはふんだんに盛り込まれている。 もう一つの理由は、本文の数章の主役が、幼い頃に読んだ『ドン・キホーテ』の著者セルバンテスであったことだ。幼かった私にとって、ドン・キホーテの行動、言動があまりに理解不能だったため、薄っすらながらあらすじが脳裏にずっと残っていた。今回その奇妙なキャラクターを描き出したセルバンテスが軸になる章に出会い、『ドン・キホーテ』の中にセルバンテスの人生の破片がちりばめられていることをはじめて知ることができたことは自分にとって思いがけない収穫であった。セルバンテス自身の人生は彼自身の著した物語よりも奇なり、といってもいいのではないかと思う。 また、‘スペイン無敵艦隊’が実は無敵ではなかったという事実は衝撃であった。歴史教科書にさえ採用されているこの名称が実は当時の敵国イギリスによって皮肉の意味を込めて言われたものであったとは! 私は、中公新書の『物語 ○○の歴史』シリーズを数冊読んだが、自分の感性にもっともしっくりきたのがこの本であった。
・「とにかくスペインは面白い!」
著者のもう一つの作品である「物語 スペインの歴史 人物編」を読み、スペインからの風に導かれるままにこの本も手にしたのだが、スペインはその歴史が波乱万丈だから、スペイン人の生き方があれほどに情熱的になるのか、或いは、スペイン人が自らの生き方を充実したものにせんと欲するとあまり国の浮き沈みが激しくなるのか。とにかくスペインは国も、人も面白い。この本ではその時々の人物を主体に書かれているので、スペインの歴史の総括版ではない。それ故に、物語として話に引き込まれて読めるし、スペイン人の民族性を深く知る事ができる。それにしても、過去において宗教が違えども、同じ国に平和に生活出来た事実がある事を現代に生きる我々は忘れてはいけない。
・「興味のある時代が合えばよし…」
本書の特徴はまさにその章立てに如実に示されている. まえがき/第I章 スペイン・イスラムの誕生/第II章 国土回復運動/第III章 レパント海戦/第IV章 捕虜となったセルバンテス/第V章 スペイン無敵艦隊/終章 現代のスペイン/あとがき/スペイン略年表 3,4,5章が充実している一方,無敵艦隊以後「市民戦争勃発」まではほとんど触れられていない.あとがきによるとアンバランスは承知の上であえてそうしたようだ.著者と興味が一致した読者には有用な参考書となろう.
・「華やかな国の重い歴史を楽しく語る」
スペインという国、小生はモチロン行ったことがありませんが、闘牛だのフラメンコだの、何やら情熱的でエキゾチック、よく分からないけど楽しくて明るい国、というイメージです。歴史的にも、イスラム勢力とキリスト圏の交錯地、ハプスブルク世界帝国の牙城、そして大航海時代の先駆者など、派手で華やかな雰囲気に包まれているように見えますが、実際のところ、その歩みには、やはり重くて深いものが秘められているようです。 本書は、スペイン史上の幾つかの場面をピックアップし、それぞれの時代背景等にも簡単に説明を加えつつ、オムニバス風にこの国の歩みを紹介するものです。ターリックのイベリア征服、レコンキスタ運動と異端迫害、カール5世のスペイン統治とレパントの海戦、無敵艦隊による英国進攻の計画、スペイン内戦とETAの跳梁跋扈など、この国の歴史を彩ったハイライトとも言うべき名シーンが取り上げられており、きわめて大雑把ながら、この国のアイデンティティー形成につながる粗々の流れが一望できるように工夫されています。 著者の専門はスペイン文学というだけあって、本書の文章は詩的な表現に彩られています。まがりなりにも歴史の本にしては情緒的に過ぎるというご意見もあろうかとは思いますが、読んでいて殊のほか味わい深く、「物語」と銘打った本シリーズに相応しい趣向ではないかと思います。 スペイン史をきちんと理解したいという方々にはともかく、「スペインって一体どんな国なのか、取り敢えず知りたい」という向きには手ごろな良い本だと思います。
・「少しバランスの悪いスペイン通史」
副題が『海洋帝国の黄金時代』となっているので、ローマ時代のイベリア半島、西ゴート王国時代を完全にはしょって、数世紀に渡るイスラム・アル・アンダルズの歴史も駆け足で、カスティーリャ・アラゴン両王国の統一によるスペイン黄金時代の記述に偏り、しかも終章で突然現代のスペイン内戦の話題が出てくるなど、バランスが取れていないという印象はぬぐえない。私個人としてはセルバンテスのレパントの戦いやアルジェ幽閉の話が詳しいので興味深く読んだ。スペイン通史としては当然パランスが悪いが、さいわい同じ中公新書からローマ時代と西ゴート王国を扱った本も出ているので『物語スペイン・イスラムの歴史』を別に書き起こしてもらって、また現代スペインを扱った本を別に設けてもらいたい。そうすれば本書を「海洋帝国」の通史とし少しは改善されるだろう。
●ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6)
・「やっぱりハリーポッター最高\(‾o‾)/」
今までハリーポッター全作品の中で一番感動しました!
やはり読者の中であの人の存在はとても大きく、ハリーにとってもすべてを超越した親のような存在だったのではないでしょうか・・・。その人がまさかあんなことに・・・!!!
しかしそのことがあったことにより、最終巻につながる決意があったのだと思います。何の後ろ盾もなくなった今、ハリーはあの人の言葉を胸にきちんと自分の中で消化し、一人の人間として立ち上がるのだと。
ハリーはきっとヴォルデモートを倒してくれると信じています!!そして憎まれ役のあの人は敵ではないと信じています。あの人の最後の言葉を無駄にしてほしくない!!
次回作がとっても楽しみです☆でもあと2年くらいはかかるのかなー?
・「緊迫感にみちて次回に続く!?」
ハリー、ロン、ハーマイオニーにジニーを含めての新しい関係の確立。最終巻に向けてビル、ルーピン、ネビルなどの人間関係の結論がでてきました。そして、ヴォルデモート卿の過去。彼の不死性の謎。 ダンブルドアはハリーを見守る位置から直接指導する位置へと変化しました。ハリーと、ハリーにとってこの世で最も偉大な魔法使いの葛藤がこの話の一つのテーマでした。そして、次々に出てくる謎、謎、謎。スネイプとハリーはこれからどうなるのでしょうか?ハリーは仲間とともに旅立ちます。
・「次回を早く読みたくなる。」
今回は次回作への複線という感じでした。次回作どうなるんでしょうか。かなり期待しています。読んだことがない人は、最初から全部読んで欲しいです。
・「夢中で読む中で、死について、差別について考えさせる成長物語」
創造力を刺激する数々の魔法のアイテムや生き物などをちりばめた、謎が謎を呼ぶ学園ミステリー。。。そして最後は驚きのどんでん返しと痛快な友情の勝利が心地よい!といった印象で当初は読み始めたハリー・ポッター・シリーズでしたが、お話はここへ至り、すっかり重く、暗く、ヘビーになっています。正直、読んでいて息苦しいぐらいです。「死」について、「差別」について、「約束を守る困難」についてなどを考えさせられざるを得ない重厚な成長譚になっています。そのように印象が変わっても、相変わらず引き込まれ、夢中で読ませる作者の筆力はさすがですね。だいぶ読むのがしんどい分量になってきましたが、ぜひ多くの方にここまで読んで欲しいと思います。こうした重いテーマと「剣と魔法」の痛快さをあわせ持った作品として、私は「ダークエルフ物語」全三巻や、「クレリック・サーガ」なども強く併読をオススメしたいと思います。前者は、差別されながらも孤独と戦い、成長し、ついには一人、また一人と友情を見いだしていく、ダークエルフの少年の物語。後者は、同じ作者による最新作ですが、第一巻はかなり明るい展開なのに、(原書で読んだ)2巻以降は、やはり嫉妬や怒り、そして信じる心など重厚なテーマをはらみつつ指輪物語のような壮麗な世界が展開する興奮作です。最初は明るいのに、次第に人間が生きる上での重いテーマをはらんでいく、という点でハリーポッターに通底するものを感じます。ハリー・ポッターの映画の続きも楽しみですが、「クレリック・サーガ」などの良質な海外作品が次々と日本で今後翻訳されていくことに期待したいです。そして何よりも、「あの先生はいったいどうなのよ?」といった、ハリー・ポッターのすべての謎が解ける最終巻が楽しみでならなくなる、第6巻でした。
・「悲しみと感動」
ハリーポッターシリーズはすべて購入していますが、今作が1番好きです!!!下巻の最後4章は読むのを止められずに、読み終わって気付いたら夜が明けていたほどでした。ハリーの胸を焼くような悲しみが伝わってきて涙を流しながら読みました。そして最後の章での彼の成長。本当に最終巻が楽しみです。このシリーズはこの6巻で私の忘れられない本になりました。本当はあとは読者の想像に任せて、このまま終わっても良かったのでは?と思ってしまったほど。ただしこの感動は1巻から読み続けてきたから感じられたものだと思います。突然6巻だけ読んでも感動は薄いでしょう。
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