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▼わたしが読了したミステリー Part2:セレクト商品

弥勒の掌 (文春文庫)弥勒の掌 (文春文庫) (詳細)
我孫子 武丸(著)

「読んだ後、ニヤリとしてしまう」「我孫子武丸ここにありと再認識する本です」「巧みな叙述の目眩まし」「短編ミステリの「お手本」」「一気読みの快感」


GOTH 夜の章 (角川文庫)GOTH 夜の章 (角川文庫) (詳細)
乙一(著)

「表現が怖いところがあります」「ノベル界のトリックスター」「淡々としてる」「GOTH 夜の章」「読み終えるのが惜しいとすら思いました。」


GOTH 僕の章 (角川文庫)GOTH 僕の章 (角川文庫) (詳細)
乙一(著)

「不思議なホラー(ミステリー?)」「予測できない話」「江戸川乱歩の再来」「呑まれてしまった」「これぞ乙一マジック本当やられた」


ロートレック荘事件 (新潮文庫)ロートレック荘事件 (新潮文庫) (詳細)
筒井 康隆(著)

「迸るロートレックの画を別に」「かつて味わったことのない種類の感動」「あっぱれ!筒井トリック」「ミステリーの論法を当てはめてはいけませんっっ!」「これぞ小説の醍醐味」


MAZE (双葉文庫)MAZE (双葉文庫) (詳細)
恩田 陸(著)

「ドキドキさせられます!」「じわじわ攻めてくる不気味が◎」「うーん、楽しめました」「人々の迷路」「とっても上品なミステリーです。」


クール・キャンデー (祥伝社文庫)クール・キャンデー (祥伝社文庫) (詳細)
若竹 七海(著)

「明るい毒」「デリシャスキャンデー」「最後の最後でどびっくり!」「二転三転、真相反転、目前暗転」「ミステリのお手本のような快作」


流星の絆流星の絆 (詳細)
東野 圭吾(著)

「現代エンタメの最高峰=超一流シェフの最高級料理」「久々に最高レベルの面白さ」「「最大の誤算は妹の恋心だった。」」「爽快感」「文字通り“すべての東野作品を越えた”」


星降り山荘の殺人 (講談社文庫)星降り山荘の殺人 (講談社文庫) (詳細)
倉知 淳(著)

「ミステリ入門書」「騙された」「騙されてみて下さい」「ウェルメイドな王道ミステリ」「賛否両論もしかたないです。」


クレオパトラの夢クレオパトラの夢 (詳細)
恩田 陸(著)

「謎だらけ」「今回も謎がいっぱい」「恩田陸ファンよりミステリファンが楽しめそうな一冊です」「恩田作品では比較的、わけのわかる方かな」「雪空の描写」


探偵ガリレオ (文春文庫)探偵ガリレオ (文春文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)

「ドラマより面白い!」「何となく得した気分になれる本」「実に面白い」「理系東野」「面白いです。」


予知夢 (文春文庫)予知夢 (文春文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)

「東野作品の真骨頂」「超常現象のようなことも科学的に解決!!湯川教授の推理の冴えを堪能しました!」「読み出すと止まらない」「読みやすい短編集」「ドラマ『ガリレオ』シリーズを観よう!」


容疑者Xの献身 (文春文庫)容疑者Xの献身 (文春文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)

「この作品における不遇な高校教師“石神”の描写は素晴らしい、現実的で悲しい。エンターテインメントとしては好い。」「●数学って、実に面白い!!」「トリックは純愛」「完璧なトリックと不完全な人間」「映画を見てから本を読みました 」


メビウス・レター (講談社文庫)メビウス・レター (講談社文庫) (詳細)
北森 鴻(著)

「普通に面白かった。」「上手い」「まあ普通に」「トリックに騙される快感。」「ちょっと不完全燃焼の結末」


さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫) (詳細)
乙一(著), 羽住 都(イラスト)

「青春の一冊」「乙一さんの本を読み始めたきっかけになった一冊」「乙一 セツナ系代表」「魅力がつまっています。」「せつなさの達人なのだろうか?くすりと笑わせる達人なのだろうか?」


失はれる物語 (角川文庫)失はれる物語 (角川文庫) (詳細)
乙一(著)

「読ませる力がある」「乙一ってすごい」「文庫版がお勧め」「あなたと分かち合いたい」「これこそ小説」


マリオネットの罠 (文春文庫)マリオネットの罠 (文春文庫) (詳細)
赤川 次郎(著)

「新装版刊行、喜ばしい出来事です!」「新装版」「初期赤川次郎の傑作長編」


夜想曲(ノクターン) (角川文庫)夜想曲(ノクターン) (角川文庫) (詳細)
依井 貴裕(著)

「タイトルに惹かれて」「ミステリ史に残すべき超絶技巧の名トリック」「トリックはいいが」


火車 (新潮文庫)火車 (新潮文庫) (詳細)
宮部 みゆき(著)

「平成の幕開けとともに生まれた傑作」「自らが居合わせてしまったような緊迫感」「最高傑作!」「読み応え十分」「「社会派ミステリー」の傑作」


五分後の世界 (幻冬舎文庫)五分後の世界 (幻冬舎文庫) (詳細)
村上 龍(著)

「村上龍のディープ・インパクト」「”勇気とプライド”」「ある意味完璧な世界」「「凄い!」小説です」「時計を五分進めてみるという行為」


ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2 (幻冬舎文庫)ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2 (幻冬舎文庫) (詳細)
村上 龍(著)

「村上龍氏の本領発揮作第二弾」「同じ世界観の別の作品」「2冊目も面白かった」「暗い世界」「現代人に下される最後の審判。」


月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫) (詳細)
有栖川 有栖(著)

「純粋な残酷」「青春小説」「クローズドサークル」「折り重なる偶然と哀しみ」「Temptation of the Moonlight」


孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (詳細)
有栖川 有栖(著)

「個人的ベスト」「中身も良いけれど」「「密室トリック」より「密室」が好き」「雰囲気満点のちょっとせつない青春ミステリ」「面白かった!!」


双頭の悪魔 (創元推理文庫)双頭の悪魔 (創元推理文庫) (詳細)
有栖川 有栖(著)

「長かったけれど面白かった。」「江神二郎の理非曲直が悪魔に照らす愛」「ミステリファンへの最大の挑戦&最大のプレゼント」「トリック以外の魅力」「江神さん」


夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫) (詳細)
森見 登美彦(著)

「読んだ者しか分からない、お腹の底が暖かくなる迷宮」「本編は語るまでもなく」「女の子の趣味が素敵すぎる!」「とにかく可愛い!」「一流の娯楽小説」


宿命 (講談社文庫)宿命 (講談社文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)

「最後の10ページに僕は惹かれました。」「タイトル「宿命」に込められた究極の意外性―絡まった「糸」は解きほぐされるか?」「文句なし」「ミステリーを二重に仕掛けている」「意外な事実がつぎつぎに現れます!」


▼クチコミ情報

弥勒の掌 (文春文庫)

・「読んだ後、ニヤリとしてしまう
我孫子作品が好きで気軽に読みはじめたのですが、途中から「あれ?」て思ってしまいました。 「これ・・ページ数、足りなくね?^^;」それほどの短さなのです。

しかし物語は変わらぬペースで進み、「え?!え?!大丈夫かこれ?!大丈夫?!大丈夫?!?!」と妙に焦ってしまいます。

・・・ついに残り十数ページ。

「もうダメだー><終われねーッ><!!」 と思った途端、 スコーンスコーンスコーンって決められて『バン!!』て終わりました。

あとがきにもありましたが、え?!て結末なのに 何故か読んだあと爽快な気分が漂うのです。。タバコ一本吸い、じんわりニヤリとさせて頂きました。

いやぁ、面白かったー^^

短くて負担にならない作品なので、気楽に購入して楽しめる一本です。

・「我孫子武丸ここにありと再認識する本です
ミステリー小説を読む際、私は犯人当てやトリックを推理するよりもストーリー性や人間の心理を読む事に重きを置いています。そして読み終えた後、作者にしてやられたと思わされる事が何気に好きです。

殺戮にいたる病で、衝撃を受けましたが、この本も同じような衝撃を受けました。

人間の心理描写が見事に描かれており、読み終わった後、久々にちょっと放心してしまいました。

イニシエーションラブや、殺戮にいたる病が好きな方は是非読んでもらいたいです。

・「巧みな叙述の目眩まし
綾辻行人、有栖川有栖らをはじめとする新本格第1世代作家の一人、我孫子武丸が自身の最高傑作といわれる『殺戮にいたる病』からなんと13年ぶりに書き下ろした実力作である。

ある日突然失踪した妻を捜し求めて、新興宗教団体≪救いの御手≫の存在を知った高校教師。妻を殺され復讐を誓いながらも、汚職の嫌疑をかけられ、本庁人事監察から内部取調べを受けるベテラン刑事。やがて二人の行動は≪救いの御手≫の本部で交わって、事件は思わぬ展開を見せる。

刑事の妻の殺害は、果たして≪救いの御手≫の手によるものか。そもそも彼らの正体は?

折原一の諸作品を彷彿とさせる、アンフェアーぎりぎりの巧みな叙述の目眩ましは、衝撃のサプライズに収束してゆく。よほど注意して読み進んでも、まずだまされることうけあいだ。

また昨今の分厚い大作ブームの中、本書は、だまされながらも“謎”を楽しんで一気に読みきるパズラーという点では手頃な長さだった。

ちなみに本書は、文藝春秋のミステリー叢書「本格ミステリ・マスターズ」レーベルの一冊として発表された作品の文庫化であり、原書房発行の探偵小説研究会編「本格ミステリ・ベスト10」で’05年第3位、「このミステリーがすごい!」では’05年国内編第19位にランクインしている。

・「短編ミステリの「お手本」
ページ数にしておよそ300。数時間で読みきれる分量。その短さもあって一気に読んだ後、「しまった」と思った。

勢いがつけばつくほど、物語の進行にのみ注意が向きやすいのは、車などの運転と同じだ。細部に注意がいかなくなってくる。このページ数は、単純な仕掛けなのに気づかせないようにするという狙いもあったのではないかと思われる。

もっとも、話が魅力的かといえばそんなことはなく、個人的な思い出も相まって、読んでいる途中からもう陰鬱な気分。結末ですっきりする人も少ないだろう。

その構成の綺麗さに敬意を表したい。

一番すっきりしないのは、表紙かな…(弥勒菩薩の手の形と違う)

・「一気読みの快感
 話の構成(教師編と刑事編が交互に進む)とボリューム(短っ!!)から私には珍しく一気読みしてしましました。

 冒頭の妻の失踪あるいは殺害の謎、そしてその結末には十分驚かされましたし読後感は概ね満足なものでした。

 ではなぜ星3つかというと、私のミステリに求めるカタルシスに達していないからという、それだけの身勝手な理由です。 そのライトな味わいが満腹感を生まないと言うか、腹八分目というか……。

 でも他の作家が書かれたこの題材この構成の某作で激しく鬱になったことを思えばこの結末は嫌いじゃないです。面白かったです。

弥勒の掌 (文春文庫) (詳細)

GOTH 夜の章 (角川文庫)

・「表現が怖いところがあります
推理小説のようなライトノベルのような本です。ただやはりグロいところがありますので注意。(ホラーってわけではないです)失踪HOLIDAYやCALLING YOU等のイメージから入ってくるのはやめましょう。

・「ノベル界のトリックスター
内容は結構グロいのですが、それを感じさせないほど美しく様式的な描写が読む者を惹きつけてくれます。

凶悪犯罪者に対し崇拝に近い感情を抱く二人の学生が数々の事件に関わっていくストーリーが正義も悪も廃した「只の事実と当人の感情」を中心に描かれております。

文章のみで全てを伝える小説ならでは(とゆうか小説でしかできない)トリックが使われており普段小説に触れない方には是非読んで欲しい作品です。きっと活字の新たな魅力に気付かれる事でしょう。

・「淡々としてる
どう考えてもありえないくらい異常です。主人公が淡々としすぎていて驚きました。罪悪感とか、良心というものを持ち合わせていないようですね。これだけ淡々としていると逆に面白いです。普通の人ならトラウマになるようなことを平気でやってのけてくれます。

少々残酷なシーンもあります。その手のものが嫌いな人にはお勧めしません。また、正義感の強い人にもお勧めしません。登場人物の性格がすさまじいので、憤慨するかもしれません。

・「GOTH 夜の章
僕はマンガ版しか持ってないなかったので、これを機に飼ってみようかと思い購入しました。ずばり、当たりでしたね。乙一さん(作者)の作品は、デビュー作の夏と花火と私の死体しか持っていなかったのですが、この人の作品は、ただのホラーとは違う、独特の異質なモノが入ってます。普通の小説版の内容はどうか知りませんが、これの内容は、マンガ版の話+1でした。その+1の話もかなり面白く、お勧めです。やはりこの人は情景を出す演出が巧みすぎます。風景の描写のタイミングは完璧。さらに、話の謎を解く『鍵』となる伏線も無数にちりばめられています。

普通にホラーが好きな方や、ちょっと変わった話しが好きな人は、普通に楽しめると思いますよ。

・「読み終えるのが惜しいとすら思いました。
とても乙一らしい作品で、魅力的です。文章が非常に読みやすく、繊細な描写がとても綺麗です。主人公の「僕」は、どこか人間的な感情の欠落した少年なのですが、残酷で無感動な彼の心情や心理に、不思議と「人間らしさ」を感じました。ただ、作中グロテスクな表現も多いので、物語と現実を混同して考えてしまう方にはお勧めできません。

GOTH 夜の章 (角川文庫) (詳細)

GOTH 僕の章 (角川文庫)

・「不思議なホラー(ミステリー?)
GOTH 文庫本の下巻。死体や事件に興味を持った高校生が、いろいろな事件に巻き込まれていく物語。上巻は森野夜に焦点が当たった物語が、これは僕に焦点が当たった「リストカット事件」「土」「声」の三篇が入った一冊。事件そのものや、描写に現実味があるようなないような、不思議な感覚に陥ります。どんでん返しがあるので、やられた!!という意味でも楽しめます。いつものごとく、あとがきも作者の近況とかがわかって面白いです。夜の章を読んでからの方が、こまごまとした部分が「ああ、あれか」と分かっていいかもしれません。

・「予測できない話
この本の魅力は「僕」の名前が最後まで出ていない所だと思う。犯罪を目撃する事が好きな「僕」。「僕」が事件に関って行きながら、彼の中のGOTHが変化して行く様を三編に渡り違う角度から見る事が出来る。関わってくる級友森野夜との、ある一定の距離や関係が面白い。

背景の描写はグロテスクな所が多い。けれどそれを感じさせない予測不可能な展開は、続きを読んで真相を知りたいという気持ちにさせる。とても読みやすい、情景を思い浮かべやすい本です。

・「江戸川乱歩の再来
「夜の章」は軽い読み物という印象が強かったが、こちらに収録の「土」は江戸川乱歩を彷彿とさせ、読み応えがある。今後が非常に楽しみな作家である。あとがきには本来やりたいのは小説ではなく映画であるというようなことが書いてある。作家をやめてしまうのはもったいないね。

・「呑まれてしまった
私はこの本が漫画で出ていることも知らなかったが、たまたま手にとって読んでみて、雰囲気に呑まれた。夜の章もすばらしかったが、僕の章では、videoが良い。情緒的な繊細さと、全くの異質さが、彼の中では共存しているようだ。現代の少年・少女が持つといわれている、心の中の闇のようなものが、彼の作品の中には表されているようだ。作者が言うには、ティーンズ小説しか読まない若者に、本格ミステリーを読んでほしかったということ。いまいち頭の悪い私には、惹きこまれながらも翻弄されることしかできなかった。

・「これぞ乙一マジック本当やられた
今までの乙一作品の中で1番気に入ったのがこの作品!主人公とクラスメイトのどこか謎めいた森野夜との近すぎない関係の中様々な事件を見ていく!本当に面白い!

GOTH 僕の章 (角川文庫) (詳細)

ロートレック荘事件 (新潮文庫)

・「迸るロートレックの画を別に
すれば、

お決まりの舞台で、本能剥き出しの劇中人物が踊り、お定まり通りの惨劇が幕を開け進行していく訳ですが。何がどう違ったか予測しえない結末が待ち受けています。神秘的な構成力。最後まで著者の施した仕掛けに気づかなくても身震いするだろうし、途中でトリックに気づいても同じように身震いするでしょう(ちなみに僕は後者、、別に自慢じゃないもん)。どちらの読者になっても幸せだろう。

そして、ただ欺瞞において前人未到の開拓を達成しただけではなくて、筒井らしい攻撃精神はジャンルが変われど存在していて、いや寧ろ男と女の生々しい愛情劇を扱ったミステリーだからこそ、より痛烈に顕在しているのかも。愛や恋を無味乾燥なものにしてしまった社会に対する批判・風刺じゃなかろうかこの絶望的なオチは。。ロートレックも真っ青です。推理小説という手法を借りて出来た筒井康隆の一大芸術をご堪能あれ。

・「かつて味わったことのない種類の感動
世にミステリの名作と言われるものはたくさんあり、その中には、文学としても優れたものもありますが、通常、その文学性は、ミステリのトリックとは必ずしも関係ありません。

ところが、この小説の場合、トリックと文学性が不可分に結びついており、そのことが読者に異様な感動を与えます。

この作品のトリックを見抜けなかった人は、読み終えてから、なぜ自分はダマされたのだろうと考えてみてください。そのときあなたは、筒井氏の本当のオソロしさに気づくことでしょう。。。

この作品が、いまいちポピュラーでないのは、その紹介のしにくさが一因と思われますが、個人的には、筒井氏の数多くの作品の中でも、十指に入る傑作ではないかと思っています。

・「あっぱれ!筒井トリック
 読んでいるあいだ中ずっと、モヤモヤを感じていた。すべてを読み終えてもまだこの感覚は続いた。理解できないわけではないが、スッキリとしないのだ。更に解説まで読んで初めて「とんでもない事を読み落としていたのではないか」と気付き、最初から読み返す羽目となった。

不明瞭な点を確認するために作品を読み返すのは珍しい事ではない。大抵はパラパラとページをめくり、ストーリーを思い出しながら重要な点を深く掘り下げて読む。ところがこの作品では、一言一句たりとも疎かにできないのだ。細心の注意を払いながら読み返していくと、出るわ出るわ、随所に散りばめられた筒井氏のトリック。最初に読んだ時は、まったく気付かなかったのに...

こうして読んで気付くのは、気が遠くなるほどの推敲を繰り返し、最初から最後まで一句たりとも矛盾の無いストーリーを創り上げた筒井氏の執念深さである。これほどまでに計算し尽くされた完成度の高い作品を、私は他に思い浮かべることができない。翻訳して海外に紹介されても、必ずやこのトリックは絶賛されることであろう。私は常々筒井氏を天才だと思っていたが、その天才のレベルの高さを再認識させられた。多作の著者にあっても、屈指の傑作であると言いたい。

また、巻末の解説についても書き加えたい。解説と言えば、作品そっちのけで自分の知識ばかりひけらかそうとする鬱陶しい物が多いが、この解説は素晴らしい。トリックに気付くための鍵を示しながら、決して必要以上の謎解きをしない。必要最少限をわきまえた節度ある解説に好感を覚えた。この解説が無ければ、あれほどまで仔細に読み返さなかったであろうし、仔細に読み返さなければ、この作品の本当の価値を見出せなかったであろう。

蛇足ではあるが、いわゆる「差別用語」が多用されている点については、後の「断筆宣言」の背景を理解していただければ、著者の意図を読み取ることができると思われる。 

・「ミステリーの論法を当てはめてはいけませんっっ!
本格ミステリーだと思い込んで読むと、読後に脳内血管がぶち切れることとなります。というか、この作品を探偵が活躍してトリックを解明するミステリーと思い込むこと自体、読む前の段階で間違えています。ラグビーとサッカーを間違えるようなものです。

この作品の特徴はミステリーの材料を利用して、ミステリー的な予定調和から意図的に逸脱することにあります。その逸脱の仕方は「日本SFの最大の功労者の一人」である筒井康隆らしいものです。つまり、ミステリー的な手法から如何に飛躍するか、ということに作者の視点が向いているわけです。

ですから……「ワシはミステリーしか読まん!!!」という頑固で石頭の人は読むのを止めておきましょう。一方で「純文学だろうがSFだろうが歴史小説だろうがミステ!リーだろうがなんだって読むぜ!ようは面白きゃ何だっていいんだよ」という文化的雑食動物のあなた、この作品を読みなさい。そういう人はこの作品の面白さを理解できると思います。

・「これぞ小説の醍醐味
まだ読んでいない人、絶対読んで下さい。これは小説でしか表現できないおもしろさなんですね。映画や舞台にはできないんですよ。トリックを考えながら、ぞくぞくするような楽しみがありました。久々に「本」の面白さを心の底から味わった感じです。読むときは、真剣に、丁寧に読んで下さいね。そして最後にああっ!と驚いて下さい。

ロートレック荘事件 (新潮文庫) (詳細)

MAZE (双葉文庫)

・「ドキドキさせられます!
恩田陸作品に初めて触れたのがこの本でした。『MAZE』の意味は、「迷路」。単行本の装丁がとても凝っていて、透明のカバーと本体の模様とが重なって浮き上がって見えるような、ステキな本です。

内容は、まさに「迷路」に関する話。ある国の人の寄り付かない山奥にある白い「箱」では、中に入っていった人が消える・・・。二人の日本人の男がその謎を解明しようとするストーリー。

その「箱」は、白くて四角い。入り口がひとつ。高さは背丈以上で、外からは中がどうなっているか分からない。中に入ると消えてしまうかも知れないので、調査は難航する。女言葉の男に半ば無理やり連れてこられた男が、与えられた情報を基に人が消える原因を推理していく。

私が気に入っているシーンは、「白い箱」は何で出来ているか、という謎を推理していくところ。とっても、ドキドキします。そこからより一層謎が深まっていく予感がします。そして、結末は超意外で、それまでの正体のわからない不安による恐怖は、読み終わった後は消え去ります。巧みなストーリー展開のミステリー小説です。おすすめ!

・「じわじわ攻めてくる不気味が◎
不気味不気味〜超不気味!勝手に言葉を作るなら「不気味面白い」恩田陸!活字だけで久々にぞくぞくきたよ。。「Q&A」のじわじわくる恐怖感が好きな人ならきっと好きだと思います。遠い異国の奥地にぽつりとそびえる白い建物。そのなかに入った人間は、次々と消えてしまう。だが、生きて帰って来れた人もいる。その違いは?中はどうなっている?建物の調査に臨んだ男四人は、ラストまで生き残っているのでしょうか?怖がりの私は深夜に読んだことを後悔しちゃいました。でもこの怖がらせ方にハマっちゃいました☆

・「うーん、楽しめました
人が消える白い建物。主人公たちは、なぜ人が消えるのか?どのような場合に消えるのか?消えない人もいるのはなぜ?誰が、なのために?・・を推理しながら、その謎に迫って行きます。その主人公達に迫る、影・・・。主人公は、謎を解き、無事生還できるのか?という話でした。

いやー、楽しめました。結末は、そう驚くべきものでは、ないです。が、そこに至る過程が、楽しい、楽しい。いったいこの建物はなんなんだ?自分だったら、どんな結末にするか、SFチックな妄想が、渦巻いて、ワクワクして読めました。量も丁度よく、気になって一気に読める本でした。

本とは別の解も、いくつでも考えられる、なかなか「おしゃれ」な本でした。あなたなら、どのような「仕掛け」にしますか?

・「人々の迷路
登場人物だけではなく、読者も迷路に連れ込まれる感じです。途中の展開と最後の至ったことがどれだけ納得できるかは、読者にゆだねられますが、自分としてはまだきちんと納得できていない面もあります。

・「とっても上品なミステリーです。
ミステリーというと殺人事件と思いがちな私にとって、恩田さんのこのMAZEはああ、こういうミステリーってとってもいいなと思います。砂漠の中に白い建物、そして人体消失という、ちょっとみると荒唐無稽な状況設定でも、ページをめくると神秘的な謎に包まれたストーリーにどんどん引き込まれました。最後の場面を読み終わると、ほっとすると同時にとっても暖かい気持ちになりました。

MAZE (双葉文庫) (詳細)

クール・キャンデー (祥伝社文庫)

・「明るい毒
 実に、おもしろい。薄い本なのに。こんなに楽しめるミステリ、さすが、若竹七海。  最後のページまで、その最後の1行まで気を抜けません。こんな結末が待っていようとは、全く予想しませんでした。タイトル通り、ぞっとするような、ひんやり感。人間のうちに潜む「毒」が見事に描かれていますね。

 それでも陰鬱な感じがしないのは、若竹さんならでは。なんといっても、登場人物のキャラクターがいいんですよねえ。強さも弱さも合わせ持った、ちょっと生意気盛りのかわいらしい渚。かっこいいだけじゃない、努力家の兄。それを疑ういやらしい(ほんとに嫌なやつ!って感じに描かれている)刑事たち。仕事とはいえ、こんな嫌みな人間とはあまり知り合いたくない。

 他人のことなどおかまいなし、わがまま放題のお嬢様だった兄嫁の死から物語が始まります。兄嫁につきまとっていたストーカーが死んでしまったおかげで兄が疑われ、無実を証明するために奔走する渚がかわいい。子どもと大人の間で微妙な女心がよ〜くわかります。渚の心理描写が、物語全体を明るくしているのかな。でも、ただ明るいだけじゃない。年齢的には子どもでも、人というのは十分「毒」をはらんでいる。そんな恐ろしさも垣間見えます。

 あっという間に読めてしまいますが、満足感はピカイチです。

・「デリシャスキャンデー
読み終えたあとはまさに、ひんやり、クールキャンデー。小粒でも凍りつく。若竹七海を私は、驚かされたいから読む。しかしただ驚かされているのじゃつまらない。必死で驚かされないようにして読む。だから、あらゆる、とまでは言えないがとにかく自分が考えうる限りの結末を考えながら読んでいるのに、やっぱり驚いた。若竹七海の上手いところは、しっかり書いているのにべたべたしてないところだと思う。トリッキーな結末はもとより、主人公もその他の登場人物も、きちんと書いてあるのにさらっとしていて、感傷的なべたつきが無い。生き生きとしてみずみずしくて、思わず「ウマイ!」と言ってしまいます。

・「最後の最後でどびっくり!
値段も重みも内容も軽い!と思えば最後におーーっとぉという結末が待っています。兄嫁がストーカーの襲われて自殺をはかり、命を取りとめたが数日後病院で死亡。更にその同時刻にストーカーも変死した。アリバイのない兄貴が殺人犯として疑われ、それを晴らすために夏休みに奔走する中学生の渚。

始終明るくまとめられているからこそ、結末に驚くこと間違いなしです。

・「二転三転、真相反転、目前暗転
若竹七海に思春期ã‚'書かせたらいã'ませã‚"ね(誉め言è'‰ï¼‰ã€‚キャラがæ'»ãæ'»ãã-すぎです。ä¸-の中にæ-œã«æ§‹ãˆã€ãã‚Œã§ã„て無防備で傷つきやすい。思わず説教ã-たくなるくらいです。

14歳の誕ç"Ÿæ-¥ã¨å¤ä¼'み初æ-¥ã‚'明æ-¥ã«æŽ§ãˆãŸä¸­å­¦ç"Ÿãƒ»æ¸šã€‚そã‚"な折り、ストーカーに襲われ重æ...‹ã ã£ãŸå...„嫁がä»-界ã-、同時刻にそのストーカーも交通事æ•...で変死。ã-かもその容ç-'è€...とã-てå...„・良è¼"が警察にマークされてã-まう。動機十分・アリバイなã-の良è¼"。渚はå...„è²'の無実ã‚'証明ã-、人ç"Ÿæœ€æ‚ªã®å¤ã‹ã‚‰æŠœã'出せるのか?

150枚にã-ては登å '人物が15人以上出てきて大é¨'ぎなã‚"ですが、その一人一人ã‚'ã"うやって思い出せるほど印象付ã'に成功ã-てるのがすã"いなぁ。それぞれã‚'印象的なセリフや行動で色分ã'ã-てるうちに、ç"°èˆŽç"ºã®é-‰éŽ-性が浮ã!‹ã³ä¸ŠãŒã£ã¦ãã¦ã¿ãŸã‚Šã€‚事件の手がかりã‚'与える任務ã-かない登å '人物でも、é§'扱いせずに物語å†...に巧くå-りã"ã‚"でる。宮部みゆき『火車』に通じるかも、というのは言い過ぎか。

それにã-てもã"のラストはすã"い。たった1ページでサãƒ-ライズ、たった2行でネガ反転。è¿'å¹'希に見る刹那のどã‚"でã‚"è¿"ã-。夏のæš'さから一瞬で冬のå¯'さへ。おすすめです。

・「ミステリのお手本のような快作
明日から夏休み!しかもその日は誕生日!!嬉しいことが二つ重なる明日を楽しみにしていた渚の元に突然の悲報が。入院していた年の離れた兄のお嫁さんが亡くなり、そのきっかけを作ったストーカーの男が殺される。その容疑が兄へと向けられて・・・。殺人者の妹になるのが絶対にイヤな渚は、兄の無実を信じて真犯人を探しはじめる。文庫本にして160ページ(しかも1ページの字数が少ない。なんとかムリヤリ160ページにした感じ)と短く、とても読み易い文体で書かれているため、スラスラと読み進めることができ、一、二時間もあれば読み終えることができるでしょう。が、短いと侮るなかれ、ミステリとしてプロットがしっかりしているし、何よりも最後に待っている驚きといったら!これには見事にやられました。ミステリのお手本のような快作です。それにしても、主人公の渚。冷めた目で大人たちを観察していたり、腹の中で大人をからかっていたりと、なんとも小生意気。なのですが、よくよく思い返してみると、今を去ることン十年前、自分も中学生だった頃は大人の言うことなんて聞きもしなかったし、こんな感じだったなあと。それなのに渚のことを生意気だと感じるということは・・・。思いたくもないですけど、年を取ったということなんでしょうねえ。

クール・キャンデー (祥伝社文庫) (詳細)

流星の絆

・「現代エンタメの最高峰=超一流シェフの最高級料理
「現代エンタメの最高峰」という帯の言葉にあながち嘘はないと思います。見事にからみあった伏線。いきもつかせぬストーリー。 100頁を過ぎるあたりからは、ぐんぐん加速する感じでいつのまにか物語の虜になっていました。キーパーソン三人の性格設定や書き分けも見事です。間違いなくドラマ化でしょうね。翌週が待ち遠しくてたまらない、高視聴率間違いなしの、話題作になると思います。 ただし残念なのは、やはり、良くも悪しくも「エンタメの最高峰」になってしまっているということです。ストーリーが面白すぎて、人間の深みや痛み、業のようなものを感じる「淀み」が感じられないのです。『白夜行』『手紙』や『秘密』などにはそれを感じられただけにそれだけが残念です。ないものねだりかもしれません。贅沢なお願いですね……。 この作品は、いわば、超一流のシェフが見事に作り上げた料理といった感じでした。美しくて工夫に満ちていて、きちんと王道を行っています。もちろん抜群の美味しさです。けれど、不器用なりに、懸命に作った家庭料理というのも、小説の魅力のひとつなのだと思います。 しかし、そんな「ないものねだり」は、星一つ減じるほどのことではありません。最高級の楽しみを堪能できました。五つ星です。 

・「久々に最高レベルの面白さ
個人差はあると思うが、ここ最近の東野作品に少しもの足りなさを感じていたのだが、これはいい!相変わらず文章が上手いのでスラスラと読んでしまい止まらなくなる。そして登場人物達の感情の描写が、、、(ネタバレになるので詳しくは書きませんが)とてもせつなくて胸が締め付けられました。「白夜行」「秘密」に並ぶ傑作だと思います。

・「「最大の誤算は妹の恋心だった。」
この帯に惹かれて読んでみました。さすがは東野圭吾さん、これだけの内容がありながらも読みやすいし、テンポよく、読み手を先へ先へとどんどん引っ張っていくのは、いつもの作品と同様。すごいですね。一度読み始めたら止まらなくて、一気に読んでしまいました。

たしかに皆さんおっしゃられている通り、人間の持つ黒さ、憎悪、徐々に物語の真相に迫っていく焦燥感では同著者の「白夜行」の方が抜きんでていると思います。「流星の絆」も、過去の犯罪・復習のために罪に罪を塗り重ねていく…という点では、たしかに「白夜行」とは似た点もありますが…大事にされてるテーマは違うんじゃないかとも。

「流星の絆」はどのようにして犯罪を犯していくか、いかにして自分達の罪を隠すか、ではなく、傷を負った彼らがそこから生きていくか、に焦点をあてられている気がしますね。だから復讐劇、犯罪モノという先入観で読むと、展開があっさりしすぎているように感じていたり、物足りなさを感じたりするのかな、と。メインテーマは人間の心の闇でもなく、残虐な殺害事件の真相でもなく、あくまでも人と人との絆ですからね。あんなふうに大事にされる「シー」が羨ましかったり。

賛否両論あるようですが、文学の価値は一様ではないですしね。私としては、面白かったし、ドラマ化も非常に楽しみです。キャストを聞いて、功一役の二ノ宮さん、静奈役の戸田さんはピッタリだなと納得です。泰輔役の錦戸さん、とてもいい俳優さんだと思うんですが、とても落ち着いていて、眼力ある方なので、泰輔というよりは…どちらかというと錦戸さんは頭のキれる功一役の方が似合いますよね。

まあ、なにはともあれ、映像の中で、功一、泰輔、静奈の三人がどう生きてくれるか、とっても楽しみにしています。

・「爽快感
ラストのもっていき方はさすが東野さんと言わざるを得ない。東野さん作品の特徴でもある謎めいた女性が今回も登場するが、今回の作品では従作品よりも人間味のある設定となっており、ストーリーのキーパーソンを巧く散りばめている。そしてサスペンス系を読み終えて爽快感が残った作品は私にとってこの一冊のみ!もう素晴らしいの一言。

・「文字通り“すべての東野作品を越えた”
刊行されてすぐに購入し、ほぼ徹夜して二日で読み切った。それほどほんとに息をもつかせぬ展開で、東野作品ならではアッという間です。

とにかくラスト。まじで涙が出ます。

僕は「秘密」「容疑者Xの献身」より遙かに感動した。

三兄妹の「絆」、必見です。

流星の絆 (詳細)

星降り山荘の殺人 (講談社文庫)

・「ミステリ入門書
各章の始めに起こること、言うなればミステリの舞台裏が説明されて、それから本編を読み進めるという形式で、この章では伏線張ってあるだの、出し惜しみせず全てを曝け出す。これはもう“ミステリ入門書”とでも呼ぶべき代物ですね。ミステリの楽しみといえば、フェアに騙され、自分の思考力を疑い(笑)、酩酊に入ることだと思う。そういった意味では酩酊レベルMAXでした。注意すべきは、表向きのミステリ(ストーリー)だけを読まないこと。大事なのは作者が施した仕掛け!“ヤラれた”と思った時に気付いて下さい。“フェアだ”と思えたら、立派なミステリ読者!?

・「騙された
 山荘物というのは、好きな人にはたまらない。そういう私も知人のすすめで読んでみたが、見事に騙された。派手さはないが、昔に読んだのに、その騙された悔しさを今でも覚えている、それは私のようにかなりのミステリを読んでいる者にとっては、珍しいことだと思う。倉知さんという方は、結構曲者。要チェックです。

・「騙されてみて下さい
とにかく騙されてみて下さい。騙されれば悔しさ以上に心地よい快感があるはずです。とことんフェアプレイに拘り、伏線も提示された中での犯人当て。そこで騙されたら、作者に快哉を送らずにはいられません♪

・「ウェルメイドな王道ミステリ
本作は各章の冒頭に、その章の要約を兼ねた注意書きが掲げられているのが特徴。

たとえば、一番最初の文章では、語り手(ワトソン役)が事件の犯人でないことが、はっきり明言されます。

登場人物はわずか九人。

しかも、先のワトソン役に加え、何人かは被害者となるため、容疑者の枠から外れていきます。

よって「意外性」という観点から残った人たちをふるいにかけ、犯人を推定することは、比較的容易だといえます。

しかし、犯行の方法や経緯を含めた事件の全容を、あくまで論理的に解明しようとするなら、細部までしっかり読み込む必要があります。

その点で作者は実にフェア。

作中のあるシークエンスまでに解明に必要な材料をすべて提示するだけでなく、注意書きにおいて、伏線の場所まで明示しています。

まさにパズラーとしての条件を、余す所なくそなえた正統派ミステリといえるでしょう。

読者を幻惑する変化球や魔球、あるいはバットを振ることも許さない剛速球といった作品は数あれど、本作のように、打ちごろのストレートで読者を空振りさせるような王道作品は、現在では希少なのではないでしょうか。

・「賛否両論もしかたないです。
楽しみかたを間違えなければ、充分におもしろいと思う。

人間の関係を描いたドラマとか、心理描写とか、登場人物に対する感情移入とかを求めているかたには読むことをすすめない。かなりの確率で、「怒り」を感じるはずだからだ。

いろんな意味で作者を全面的に信頼して、素直な気持ちで読むこと。こころを充実させることや、物語の意味などに意識を向けてはいけない。なめるように文字をおい、状況を頭のなかで映像化し、あたたかい気持ちで作者と作品と探偵をみまもること。

星降り山荘の殺人 (講談社文庫) (詳細)

クレオパトラの夢

・「謎だらけ
北国のH市が舞台。そこに住む双子の妹を、主人公が連れ戻しにやってくるところから、物語が始まります。同時に起こった妹の不倫相手の死、それは、本当に事故なのか?そして、妹の隠す秘密、「クレオパトラ」とは何なのか、主人公につきまとう影、そして主人公自身の秘密・・・。

とにかく謎だらけでした。殺人(?)、犯人、皆が追い求めるもの、裏を持つ登場人物たち、誰が見方で、誰が敵なの?その謎が、次々とあきらかになっていき「えーそーだったの!」の連続でした。途中で読むのを、とめられません。分量的には、多くない中、内容の豊富さにびっくりです。やっぱり、この筆者すごい、と思わせる本でした。

・「今回も謎がいっぱい
 今回も『MAZE』に続いて謎にあふれている。と言ってもシリーズ前作のようなSF的なものじゃなく今回は完全にミステリーという感じに仕上がっているが伏線が沢山。

 日本に帰っていた神原恵弥は双子の妹の和見に呼び出される。今回の舞台はH市。和見の不倫相手の若槻慧が自宅で階段から落ちて事故死してしまった。散らばったものと背後にあるもの。本当に事故死だったのか。

 最初から因縁じゃないが核心に迫るんだから面白い。ある程度の伏線があって繋がるミステリーではあるんだが神原恵弥という存在自体がそうさせるのか分からないが。和見にしても侮れないし、恵弥は前とは違った印象を受ける。何というか立ち向かっていった恵弥が今回は追われる立場にもあるというのと彼女らしいと思っていた部分がなくなってしまう。だが、それでより一層プラスもマイナスも明らかになった神原恵弥という人物造形には成功している。

 散りばめられた謎。それが伏線として次第に繋がっていき、という些細なミステリー。騙し騙され、思い描いた思考の向かう先にある陰謀。何で私なの!とあるように本来和見に対象が向けられるはずのものが恵弥に向けられたり、と。

 クレオパトラはH市に何をもたらしたのか、もたらそうとするのか。そもそも何なのかというテーマを掲げながら小さな謎で読者を引き込ませようとするのが特徴的。迷路でも大きな謎はあったが例えば若槻の死体現場にあった地図だったり恵弥自身の製薬会社という仕事にも繋がってきたり。ああそう思えば納得するなというラストに仕上がっているし決して失望させるものではない。個人的に迷路では失望、というかちょっと残念かなという感じもあったので。

 どのように全体が調和されていくのかはあまり多くはないが鍵を握る登場人物たち。魅力があるわけではないがミステリーな感じにはなっている。終わり方がミステリーっぽくないんじゃないかと言われてもそれまでの展開が一転落ち着いた感じになったもの。というか裏を返せば本題であるクレオパトラに戻っただけなのだが本題を忘れさせる面白さは恩田らしいと言っていいのかな。

 楽しませてくれることは確かで迷路を読んで十分魅力的でミステリアスなキャラである恵弥に興味を抱いたなら読んでみるべきかな。 

・「恩田陸ファンよりミステリファンが楽しめそうな一冊です
今回はMAZEの不思議な雰囲æ°-はなく、とても現実的なミステリです。「クレオãƒ'トラ」というキーワードが解ã'た後も誰も彼もが何かã‚'隠ã-、騙ã-あっていきます。「木曜組曲」や「不安な童話」に似て物語が展é-‹ã™ã‚‹æ¯Žã«æ„å¤-なæ-¹å'へ進む面白さがある一冊でã-た。二転・三転するのでé€"中で止められず一æ°-に読まされまã-たね。

今回のメインは登å 'ã-ているï¼"人の個性。よく考えると恩ç"°ã•ã‚"って主役ç'šã‚'ï¼"人にするの好きですよね?MAZEもだã-å...­ç•ªç›®ã®å°å¤œå­ã‚‚だã-é»'と茶でもï¼"人でã-たã-・・・・。

恵弥だã'でも個性が強いと思っていたのに、å'Œè¦‹ã‚‚æ...¶å­ã‚‚多ç"°ã‚‚一筋縄では行かない人é"ばかり。

ã-かも肝心の語り部・恵弥さえも何かã‚'隠ã-ている雰囲æ°-があるので読ã‚"でいて私自身がç-'å¿!ƒæš-鬼になりそうでã-た。(ç¬')

ただ恩ç"°ã•ã‚"のé­...力の一つで読ã‚"でいて鮮やかに浮かぶ風景が今回はなかったですね。肌で感じる季節感もè-„いã-・・・・・そういう意å'³ã§ã¯ã¡ã‚‡ã£ã¨ç‰©è¶³ã‚Šãªã‹ã£ãŸã‹ãªã€‚

ただMAZEの神原恵弥シリーズ第二弾になっているのですが、MAZEの主人å...¬ã¯æº€ã§ã™ã‚ˆã­ï¼Ÿæ­£ç›'個性的だã'どMAZEの時には恵弥は女言è'‰ã‚'å-‹ã‚‹ç"·ã®äººã¨ã„うイメージã-かなかったので彼のシリーズものになっているのがå°'ã-不思議だったのですが・・・・。クレオãƒ'トラã‚'読ã‚"だ後みてもう一度MAZEã‚'読みたくなってã-まいまã-た。

・「恩田作品では比較的、わけのわかる方かな
 恩田氏の作品は幾つかの系統に分類できるが、私は「わけのわからない雰囲気のある」作品のファンである。例えば「三月」とかが大好きだ。 本書は、どちらかといえば「わけのわかる雰囲気のある」作品。ネタばれはもうされているようなので構わないと思うが、北方のある都市が何度も大火に見舞われるのはなぜかという謎を追う物語。確かにスケールは帚木氏の「アフリカの蹄」ほど大きくはないが、天然痘絡みの話はやっぱり怖い。今はやったら、すぐには対処できないんだよね、多分。新しい病気も怖いけど、撲滅したと思い込んでいる病気の方が怖い気がする。 これはちゃんと答えの出る作品なので「三月」系が苦手な方も読めると思う。雰囲気を味わう価値は大きいと思うので、ぜひどうぞ。

・「雪空の描写
静かに始まり、静かに終わりました。その終わりも、事実がはっきりしない推測の域を出ない終焉だけど、読後の満足感はありました。

劇的な結論があるミステリーが好きな私。それが恩田陸に出会ってから、その登場する人なり場面なりを愛しく思えるようになりました。

今回は筆者が東北出身とあってか「雪空」の描写には、同じ雪国出の私としては共感するところ多々あり。

神原恵弥の人物像は、意外におもしろかったです。個人的には気に入ってない「MAZE」だけどもう一度読んでみようかな?筆者がこうしてもう一度書こうとした登場人物なのだから・・。

クレオパトラの夢 (詳細)

探偵ガリレオ (文春文庫)

・「ドラマより面白い!
ドラマが面白かったので、読んでみました。ドラマとはまたイメージが違うんですね。ドラマだと理系的な会話が雰囲気だけで物足りないです・・・でも、ついて行けない人がかなり出そうだし。ドラマで面白いと思った人は、一度読んでみて欲しいです。本のほうがずっと深みがあります。

・「何となく得した気分になれる本
いきなり後頭部から発火したり、海上に火柱が立ったり、心臓だけ腐った死体が見つかったり…事件のきっかけは、警察も手を焼く超常現象。けれど、天才物理学者・湯川助教授の手に掛かると、「合理的」かつ「理論的」な説明で、いとも簡単に解決してしまう。

事件だけ見てると、これは確実に完全犯罪だったのにね…と思わず犯人に

同情してしまうくらい、凝った計画犯罪だったりします。

事件はオカルトっぽいですけど、内容は至って読みやすいミステリーです。

理系嫌いの人間でも、湯川助教授のキャラクターは好きになれると思います。内容は面白いし、豆知識は得られるし…お得な推理小説です。

・「実に面白い
新しいドラマ“ガリレオ”のオリジナルな本。僕は日本人じゃなくて、日本語もペラペラできませんのに、この本のことが大好きになりましたよ。でも、もしあなたは科学って大好きじゃなければ、少し分かりにくくなりますね。そうですけど、本当にすごかった本ですよね。カナダから日本の本屋まで行ったの僕、実にこの本は最高のプレゼントだったと思ってます。話毎は短かったから、特に僕のほう、読みやすくにしました。

唯一つのことって残念と感じてます…僕はこのシリーズのことをわからなかったから、続きの『予知夢』などを買いませんでしたよ!!もしかして日本へ再び行かなければいけませんの?!高いから… :(

・「理系東野
理系東野圭吾氏ならではの作品。

東野圭吾氏の作品は取り扱う題材の幅の広さが凄い、ということはよく知られていることだ。デビュー作は学園を題材にしたものであったために出始めの時はその方面の作家と思われていたが、その後の作品を読むとどれもこれも全く違う作品。”前に読んだのに似てる”ということのない稀有な作家の一人である。

 今回の作品は短編集。大学の教授と刑事というコンビが謎を解く。理系東野の理系的推理、そして理系的解答。実際科学的にこうなったのだと証明される過程はスリリングである。東野氏の作品のなかでも一押しの作品。

・「面白いです。
これが私の東野圭吾初作品だったのですが見事にはまってしまいました。刑事の草薙は不思議な事件が起こったので、大学時代のテニスサークルの友人で物理学科助教授の湯川の所へ向かいます。いつも湯川は人の気付かない所に気付き科学によって事件を解決します。こんな事普通の人間が出来るのか?という疑問もありますが、面白いミステリーだと思います。

探偵ガリレオ (文春文庫) (詳細)

予知夢 (文春文庫)

・「東野作品の真骨頂
数々の難事件を物理学者の湯川が解決していきます。 東野さんの作品はやはりこのようなミステリーものが一番です。 ついつい物語の中に引き込まれていきます。 このようなトリックを次々と考え付く東野さんはすごいです。

・「超常現象のようなことも科学的に解決!!湯川教授の推理の冴えを堪能しました!
ガリレオシリーズの第2弾短編集です。

不思議さが増した、オカルトめいた事件が起こります。草薙刑事も頭を悩ませたのでしょう、物理学教授湯川のもとに飛んでいきます。

それを文系人間にも分かるように、時に実験しながら解明してくれる時の爽快感はたまりません。

前作よりも登場人物たちの内面が描かれ、そちらのほうが好きな方(私もそうです)も楽しめるかと思います。

ある時期からぐらぐらゆれるようになった家の事件は、とても謎めいていて、真相はかなりどろどろしていて、いい雰囲気でした。ふたを開けたら真相は単純なのですが、解明されるまで落ちが分からないのが本当に巧妙。(単に私の勘が鈍いのかもしれませんが)

どの短編も非常に面白いのに、読む時のストレスが少ない秀作だと思います。

・「読み出すと止まらない
警察が解けないオカルト的な事件でも、ガリレオこと湯川助教授にかかれば科学的に立証されてしまう。メインの主人公は草薙刑事(殺人課)だと思うのですが、湯川の前では無知なイメージがついてしまう。これは探偵物の刑事の悲しい宿命か。それでも草薙は不可解な難事件を解決すべく、理工学部物理学科第十三研究室のドアを開ける。今回も事件には予知夢や幽霊といったオカルト的な出来事が起こっている。短編なだけに少し読み進めれば犯人が誰かわかってしまうが、内容は短編ミステリとしては面白いと思う。読み出せば一気に読めてしまうが、一気に読めるのは面白い証拠なのでは?ガリレオシリーズの続編は長編ミステリなので、そちらも読みたくなった。長編で草薙と湯川の活躍が楽しみです。

・「読みやすい短編集
TVドラマのDVDを見てから原作を読むことにしました。こちらは、原作の2冊目になりますが、TVドラマはこの1冊目と2冊目の全10話を元に作られています。

順番が違うのでまずは対比をしておきましょう。「予知夢」→TVドラマ1章 霊視る→8章2章 夢想る→6章3章 騒霊ぐ→3章4章 絞殺る→5章5章 予知る→7章

TVドラマを見た方へのレビューのつもりで書きます。前作も同じ感想でしたが、そもそもドラマとは湯川の事件への取り組み姿勢が違います。学友だった草薙刑事には協力的に活躍します。短編ということもあり、無駄な時間がないため、トリックはわりと短時間で解かれることが多くなります。原作だけでは湯川の人物像をきちっと捉えることは難しいでしょう。かと言って、ドラマとは全然違う雰囲気があります。純粋にトリックを楽しむという読み方が良いのだと思いますが、ドラマと種明かしは同じなので、TVドラマを見た人にはその楽しみが半減します。ただし、人物関係は多少違ったり、動機も変わっていたり、犯人が違っていたりしますので、そういう発見をして楽しめます。

1作目よりも若干薄くなっていますが、こちらの方が読みやすく感じられました。少々オカルトちっくなネタになっていますが、何故かそういう事件になると草薙は湯川を訪れます。最後には湯川の影響で、オカルトを科学で解明できるというような発言に、湯川も驚かされています。不思議に思える現象、偶然に思える現象も、それが実は必然的なものだと考えれば、そこに人の意志があり、事件の裏があるということです。小さな疑問から一気に推理を広げていく様が、湯川の本領という感じで面白いです。

・「ドラマ『ガリレオ』シリーズを観よう!
この書と、前作『探偵ガリレオ』を、徹底解体し、愉快なドラマ『ガリレオ』が誕生した。草薙警部の代わりに、可愛い柴崎コウが新米女性刑事として、福山雅治演じる湯川学と組んで難事件に取り組んでいく。快適なテンポと内容の分かり易さは、この小説を凌駕している。ドラマ『ガリレオ』を観た者としては、ドラマのために書かれた小説と思ってしまう。ドラマと小説を比較するのは、まことに贅沢な遊びである。手抜き無く、思いっきりふくらませたドラマ『ガリレオ』をご覧になることをお薦めする。本当に面白いのだから。福山と柴崎の魅力が最高に引き出されていることを保証する。

予知夢 (文春文庫) (詳細)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

・「この作品における不遇な高校教師“石神”の描写は素晴らしい、現実的で悲しい。エンターテインメントとしては好い。
この作者の「ガリレオ」シリーズは全部我が家にありますが、読むのは家族で、私は主人公天才物理学者の名前の付け方の安易さが厭で読みませんでした。しかし、この作品では、主人公より、天才的な頭脳を持ちながら、結局は、高校の数学教師という不遇な日々を送る”石神“の描き方が、精神面も含めて非常に現実味を帯びていて悲しい。これは論理的に生きてきた男の性でもある。作者の描写は成功していると思う。エンターテインメントとして楽しめました。

・「●数学って、実に面白い!!
事前に『数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!』を読んでいたためか、文系出身の私でも、かなり楽しく読めました。数学的思考力によって「サキヨミ」ができる能力があると知っていると、天才数学者・石神の思考過程や行動が非常にリアリティーをもって感じることができました!

数学って、こんなにもスリリングでサスペンスな実用的な思考の訓練を学べる、超実用的なものだったのですね!私の人生は、これまで損をしていたように感じました。

理系のかたが書く本って、実にわかりやすくていいですね。ワクワクしながら読めました。これなら映画のほうも期待大です!

・「トリックは純愛
トリックを知った時鳥肌が立った小説を月に20冊は読む僕は推理小説を読むとトリックが解る事があるこれは全く想像もつかない展開そして想像もつかないトリック東野圭吾には感服推理小説でもこれ以上に凄い作品はもう出ないだろうと思う

・「完璧なトリックと不完全な人間
タイトルと背景、人物設定、トリック、その全てが見事な計算のもとに絡み合っている。ここまで無駄なく完璧に組み立てられた小説は他に知らない。これだけでも、十分すぎる程すばらしいが、その上に、繰り広げられる人間模様との対比がまた深みを持たせている。計算しつくされた、完璧で無機質な流れの中で戸惑う、不完全で有機的な人間心理。まさに傑作。

・「映画を見てから本を読みました 
映画をみまして、いろんな方から「本もいい!」と伺い、読んだ次第です。

原作を読んでしみじみ、映画は結構原作に忠実だったんだなあ。と思いました。まあ、映画は柴咲コウがいたので、じゃっかん設定は違いますけど。

草薙が絶対に必要だったので、北村一輝が出てたのはわかりました。・・・まあ、やはり品川とか真矢さんは必ずしも必要ではなかったな…というのもわかりました…。

それにしてもガリレオ先生。本で読むほうが頭よさそうです。まあ、いったセリフがくっきりと残っているからかもしれませんが。

そして、石神が花岡靖子の涙に吠えたあのシーン。

期待しすぎていたのか、そこは結構普通でした。それよりも、石神から花岡靖子にあてた手紙。あそこで涙がふっとでてきました。

終わり方は少し映画のほうが先までやっていましたが、原作の終わり方もとても情感があってよかったと思います。

よかった、と表現するには、とても切ないような悔しいような悲しいような、妙な気分ではありますが…。

容疑者Xの献身 (文春文庫) (詳細)

メビウス・レター (講談社文庫)

・「普通に面白かった。
面白かった。良く考えたら「在り得ないだろ」と思う点も多々あったが、文章構成も設定もしっかりしていて読んでて飽きなかった。関係ないような事柄の糸が、絡まりあっていくような恐怖はゾクゾクした。「必要ないだろ」と思える登場人物もいたが、案外あっさりしていて読み易いです。個人的にはかなりお気に入りなので星5つ。

・「上手い
映像化は不可能でしょう話が複雑に絡み合ってるため、こんがらがってしまいそうになったが面白い。「小説を読む楽しさ」を体現している作品。

・「まあ普通に
読む人が限られるだろうなーという作品(・д・)

好き嫌いはっきり分かれそう…(・∀・)

ぼくはまあ普通におもしろく読めました(・ー・)

でも北森氏の作品だったら他のが好きかも(・ω・)

・「トリックに騙される快感。
北森さんの小説は登場人物が暖かいのと、トリッキーなところが大好きです。

この話は、

・過去に、ある高校で起きた焼身自殺と、男子高校生の殺害事件。

 それを解明しようとする≪僕≫。

・阿坂龍一郎という作家のまわりで起こる編集者の殺害、連続放火、近所の主婦によるストーカー行為。

という二つの事件を軸に物語は展開します。

いろいろな事件や人が複雑に絡み合って、最終的に予想も出来なかった結末。



でも犯人の動機、何故そこまでして彼に近づかなければならなかったのかが、

いまいち腑に落ちないので、ちょっとラストがすっきりとはいかない感じでした。

・「ちょっと不完全燃焼の結末
「すべてがひっくり返る驚愕の結末とは」という言葉に惹かれて買ったのですが、うーん、確かにひっくり返ってはいるんですけれど、犯人はどうしてその人を殺さなければならなかったのか、どのようにして殺したのか、というようなことが描ききれておらず、読んだあとに何の感情も湧いてこないというか、あまりにあっけない結末に「え、それで終わり!?」と少し物足りない気がしました。

北森氏の作品の魅力は、その場の空気やにおいまで感じ取れるようなうまい文章、登場人物の魅力的なキャラクターにあると思っています。『花の下にて春死なむ』の工藤哲也とか『凶笑面』の蓮丈那智とか。今回のストーリーの性質上、あまり主人公について詳しく書くこともできなかったのでしょうが、なんだかぼやけたまま最後まで来てしまった、という感じが否めない。過去から届く手紙の主の意図は?なぜ阿坂龍一郎あてに届くのか?男子高校生は本当に自殺だったのか?などの謎は幾分おもしろかったものの、”傑作”というには程遠いできではないかなあと思います。

メビウス・レター (講談社文庫) (詳細)

さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)

・「青春の一冊
高校時代に読んだ本の中で、もっとも印象に残った本でした。何度も読み返し、その度せつなくなると同時に暖かな気持ちになれました。孤独を抱えている青年層の方に、ぜひ読んでもらいたいです。大切な仲間に出会えますように…

・「乙一さんの本を読み始めたきっかけになった一冊
有り得ないだろう話なのに、有り得るような気になり、読後、こみ上げてくる感動。乙一さん特有の、謎めき、独立しているように思える出来事が、最後につながるスピード感のあるストーリー。それなのに、時間が丁寧に流れる表現は素晴らしいと思います。孤独さえ、その人の温かい優しさなのだと感じさせてくれるような、人との関わりっていいものだなと思える作品でした。一つ一つが程よい長さなのも読みやすいです。

・「乙一 セツナ系代表
「未来予報~」は嘘か誠か予知能力のある友人により意識させられたあまり接点のなかった女の子との赤い糸にようやく素直に向き合えた時、初めて自分の大切なものが見え進路が切り開けるという物語そのものの面白さと感動に交え著者自身が将来への不安や危機感を抱いていた時期に書かれ

たせいもあってか成長過程の若者の心理が上手く織り込まれていたと思う。「手を握る-」はドジな泥棒が偶然掴んだ女の子の手によって思いがけないチャンスも掴んでしまったというコミカル風な一話。「フィルム-」はホラー要素たっぷりでありつつ最後は優しい目線での幕を閉じ方を。

ラストを締めくくる「失はれる物語」だけは今までにない切なさと言うより恐怖を感じた趣の違う一編。「ただ生きているだけ」の恐怖と孤独をシンプルにも鮮明に描き出している。 もう一つのお楽しみと言っていい著者のあとがきは、日記のような素直な気持ちが書かれており作品とのギャップが楽しめる!

・「魅力がつまっています。
とても読みやすいのに心にくるものがあります。気軽に感動したいなーなんて人にはいいんじゃないでしょうか。もちろん乙一ファンでも読めば感動です。

・「せつなさの達人なのだろうか?くすりと笑わせる達人なのだろうか?
"乙一氏の切なさ爆発"といったところだろうか。『失はれた物語』は彼の書いた作品の中で最高峰の切なさだ。身近にありそうな問題で感覚を失ってしまった主人公の物語なのだが、思わずコレを自分に置き換えてしまったらなんともいえない気持ちの波に襲われた。コレは本当に"買い"の本です。

彼の才能はコレだけではなく、小生が評価したいのはもうひとつある。彼の"あとがき"だ。彼が垂れ流すあとがきはちょっとした笑いがこめられている。辛気臭い話が嫌いだという方は彼のあとがきだけでもみてもらいたい

さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫) (詳細)

失はれる物語 (角川文庫)

・「読ませる力がある
短編全て満足。本作にはグロ系がなく、全体的に切ない系。乙一さん独特の世界観にどっぷりと浸れた。 読むたびに思うけど、乙一さんの文には読ませる力がある。かたく退屈な場面がなく、終始ワクワクできる。 また、思い切った設定がこの人の特徴であり、魅力でもあると思う。本作は短編集なので、様々な不思議な世界を味わう事が出来る。非現実的ではあるものの、どこか現実味のある物語。絶対にあり得ないとはわかっていても、「もし自分がこんな場面に出会ったら・・・」と必ず考えてしまう。それくらい自分が乙一ワールドに引き込まれてる。本作でなぜ読者の支持を集めるのかが実感できた。   実際今自分の中で、『ボクの賢いパンツくん』が意外な感じで印象に残ってる。登場からやけに好印象なパンツくんに最初は笑ってしまいそうになったが、ボクとパンツくんのふれ合いたった数ページの中に、子供の純真さ素直さが詰まっている。この作品で、乙一さんの新しい一面を見ることが出来た。

・「乙一ってすごい
久々に「これが小説だ!」と云いたくなる本です。破滅的で暗い話が多いですが、「幸せは猫のかたち」は最高に感動しました。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、残された手紙にある最後の一文は泣けます。私は年間100冊ほどの小説を読みますが、その中でもベスト3に入る傑作だと思います。

・「文庫版がお勧め
■もとはライトノベルの短編 『calling you』『失はれる物語』『傷』 『手を握る泥棒の物語』『しあわせは子猫のかたち』■本書書き下ろし 『マリアの指』■文庫版で新たに収録 『ボクの賢いパンツくん』『ウソカノ』(どちらも超短編)

ライトノベル(角川スニーカー文庫)で出された作品の良いとこ取りをして、一般向けに再録した感じです。どれもこれもが素晴らしい出来なので、あれが面白い、これが面白いなんて言ってられません。本当に全てが良いですから。ライトノベルを読むのに抵抗があった人に是非読んで欲しい短編集。

ラノベは全部持ってるよ、って人でも『マリアの指』を読まないのは勿体無いので、文庫化を機会に読んでみてはいかがでしょうか。『ウソカノ』も短いですが、優しく心に残る作品です。

・「あなたと分かち合いたい
八篇からなる短篇集。最初の短篇『Calling You』から、架空の携帯電話で話をするというデティールの巧みな使い方に惹きつけられる。終わり方にもどこか希望の光がある。リリカルな怪作と言われている『ぼくの賢いパンツくん』にはパンツくんと明るいお話をするようになって、穴があいたから「さらばだ」というところで笑ってしまった。このようにどうしようもない主人公でも最後に光明を見いだせる文章に勇気づけられる。また映画にもなった『傷』や、『失われる物語』では、主人公のとてつもない優しさに言葉を失う。『KIDS』の前作を読んでみたかったのだが、他の短篇も傑作ぞろいで是非ミステリー好きの皆さんに読んで欲しい一冊となっている。

・「これこそ小説
久々にショックを受けました。「失はれる物語」これは凄い。小説はこういうものだと感動しました。たった一本の腕を題材に、これまで話を膨らませられる作者の腕に驚きました。稀に見る才能というんでしょうね。胸が苦しくなる程感動しました。毎月20冊以上の本を読んでいる私でさえ、しばらく他の本を読まずに考えてしまいましたからね。読後は思わずかたまってしまいましたよ。書くという作業に行き詰っている方、是非読んでみて下さい。世界が変わります。

失はれる物語 (角川文庫) (詳細)

マリオネットの罠 (文春文庫)

・「新装版刊行、喜ばしい出来事です!
赤川次郎氏の処女長編の新装版が刊行! ・・・と言われても、若い読者のかたにはピンとこないかもしれないので、おせっかいながら、わたしなりに若干の背景説明を(あくまで個人的解釈ではありますが)。

本書は、「ユーモアミステリー」で出版業界を席巻していた著者の「異色作かつ隠れた名作」であり、  「えっ、赤川次郎がこんな陰惨なミステリーを書いていたの?」  「しかも処女長編がこれ?」と、多数の読者を驚かせてきた一冊です。今回の新装版刊行で再びスポットが当たり、かつての読者がなつかしく手に取ることを、また新しい読者の目にとまることを喜ばしく思います。

この本を読んだ当時(中学生ぐらいだったでしょうか?)、衝撃を受けました。「ユーモアミステリー」→本書の順で読んだので、作風の違いに驚いたこともありますが、緻密な構成とストーリーテリングの妙、つまり騙しの巧さ、意外な結末にうならされる処女長編とは思えない作品だったのです。そして赤川氏の作品が映像的であることはよく指摘されていますが、描写の怖さたるや、横溝映画ばり! うら若き頃のわたしは恐ろしさに耐えつつも、ラストまで一気読みでした。ストーリーにはふれませんが、非日常的設定にぐいぐい引き込まれ、重厚感と知的な雰囲気が漂い、かつ読みやすさはいつもの赤川作品どおり。実に印象深い一冊でした。

今回、改めて読みましたがやっぱりなかなかのものだと思います。新装版の記念に星1つプラス。せっかくのこの機会に、ぜひ、お手にとってみてください。

・「新装版
懐かしさが先にたって手に取った新装版はいまだ根強い人気の処女長編作品。プロローグは雨の中の殺人。金持ちの姉妹にフランス語の家庭教師として雇われた修一が巻き込まれた奇禍、同時進行する連続殺人事件そして…日本が舞台でありながら全体にヨーロッパの雰囲気漂うダークな小説。二十年近くたって読み返すと自身が年を重ねたせいか細々目に付きます。けれどもそれを補って余りある構成の妙。ある一定の世代以降の読者を容易に作品世界へ誘う技量。エピローグ、修一と婚約者それぞれの表情は読み手のなかだけにいる役者が完璧に演じきっています。

・「初期赤川次郎の傑作長編
「死者の学園祭」や「幽霊列車」「上役のいない月曜日」など短編長編を問わず傑作を連発していた初期の赤川次郎。本作も初期長編であり、そして傑作である。最近ではあまり名を聞かないが、「この文庫がすごい」にランクインし、久々にその名を見たときは懐かしさがこみ上げてきました。

洋館を舞台に一種館モノめいた雰囲気で始まり、舞台は都会の街中へと移る。散りばめられた伏線とそのスピーディな展開、そして途中から主人公が変わるその構成の妙。そしてなんといっても衝撃のラスト。ホラー・サイコ・本格・どんでん返し、その全てを含んだ極上のミステリーをどうぞ堪能してください。

マリオネットの罠 (文春文庫) (詳細)

夜想曲(ノクターン) (角川文庫)

・「タイトルに惹かれて
ショパンの夜想曲が好きなのでタイトルに惹かれてこの本を選んだのですが、先が知りたくて1日で読んでしまいました。読んでいてあれ?て感じた違和感の原因がだんだん明らかになっていくのは少し快感ですが、結末は「げ!」て感じです(笑)またこの作者さんの作品を読んでみたいです。

・「ミステリ史に残すべき超絶技巧の名トリック
区役所の同期会が催された山荘で、三日続けて起きた絞殺事件。

・「トリックはいいが
 1999年に出た単行本の文庫化。 けっこう凝ったトリックが使われており、その部分には感嘆させられた。面白いことを考えつく人だ。ただ、小説としての魅力が乏しい。というか、プロットの整理が得意でないようで、読んでいてストーリーが把握しづらい。結末で謎解きが行われても、そこだけ浮いているような印象を受けてしまう。 まあ、後学のためにも読んでおいて損のない一冊とは思う。

夜想曲(ノクターン) (角川文庫) (詳細)

火車 (新潮文庫)

・「平成の幕開けとともに生まれた傑作
このたび私は、リストマニア機能を使い、「日本ミステリ【マイ・ベスト・テン】」を掲載した。そこに挙げた作品の中で、真っ先に再読したくなったのが、本書「火車」である。本書は、カード破産をいち早く取り上げた作品として、1992年の発表当時、話題になった作品であり、著者がその後直木賞作家となっていく礎を築いた作品であるとともに、現在も多くの読者に読まれている人気作である。

ミステリの楽しみ方として、密室殺人や孤島ものなど、現実から遊離した世界を楽しむのも一興であるが、その時代の矛盾や暗部をミステリの手法を使ってあぶり出していく、いわゆる社会派の存在も見逃すことはできない。本書はそうした「社会派」の傑作と呼ぶにふさわしい作品だ。

ベストテンのひとつに、私は松本清張の「ゼロの焦点」を掲げたが、この作品が昭和を代表する社会派ミステリであるとするなら、本書は、平成の幕開けとともに生まれた社会派ミステリの傑作である。

この両作品、扱っている題材は違うが、物語の発端が「失踪事件」であるのは興味深い。「ゼロの焦点」では新婚カップルの夫の失踪、「火車」では婚約カップルの女性の失踪が冒頭に起こり、物語が展開していく。愛する人との新生活を控え、希望に満ちていたはずなのに、その生活を捨ててしまわなければならないほどの理由とは何か、そんな魅力的な謎を追っていく物語なのである。

本書「火車」のテーマ「カード社会」について、ひとつ感じることがある。私事で恐縮であるが、本書を初めて読んだ1992年当時、カードといえば銀行のキャッシュカードを1枚持っているのみであったが、その後、複数のクレジットカードを取得し、現在に至っているのである。カード社会は作品発表時より、さらに浸透しているのではないかというのが、実感であり、それゆえ本書は、発表後17年を経てもなお、輝きを失っていないと思う。

本書は、カード社会の矛盾を分かりやすく、ミステリの手法を借りて描ききった作品として、これから読まれる方の心にも必ずや深い余韻を残す作品となるであろう。

・「自らが居合わせてしまったような緊迫感
社会的問題を背景にして、個人がひょんなところから過ちを犯し、落ちていく。しかしラストはそれを幾分か救うような温かい眼差しが注がれているように思う。人間への温かい心を持ちつつ、社会の暗部を描き、そしてその周りの人の気持ちを詳細に書き綴るこの作品は世界に誇れると思う。

そして読者には、その現場に居合わせてしまったような緊迫感漂う

ラストシーンが待っている!!

・「最高傑作!
名作の多い宮部作品のなかでも、私はこの「火車」が最高傑作だと思います。物語の進め方、一つ謎が解けていくたびにはっきりとしてくる事件の輪郭。そしてなによりあのラストシーン!・・・流石宮部みゆき、と言ったところでしょうか。

犯人の人を殺す理由がとても切なく、思いっきり非難できないのも良いと思います。私は一度も姿を現さない犯人の女性に、とても感情移入してしまいました。

・「読み応え十分
宮部ミステリーの良さは、「量は重いけど苦にならず、読んだ後に充実感がある」ところにあり、本作品もその一つ。「借金」から逃げる為、「別人」になることを決意した犯人の人物像を、本人を最後まで登場させずに描ききるあたりはさすが宮部みゆきといった感じ。おすすめ。

・「「社会派ミステリー」の傑作
社会派ミステリには2つの要素がある。

一つは純粋にミステリとしての謎解きの面白さ。 そしてもう一つは社会の影を映し出す鏡の役割。

宮部みゆきはこの二つの要素を兼ね備えた秀作を 世に多く送り出してきている現代を代表する作家だが、 僕は彼女の作品の中でも「火車」が一番だと思っている。

物語は一人の女性の謎めいた失踪から始まる。 そしてそれを追う主人公は彼女の過去を探るうちに、 一つの信じられないような真実に辿り着く。

カード破産、戸籍、家族の形・・・ いくつものテーマが織り込まれながら、 謎解きに向かって進むストーリー。

必読の一言に尽きる。

火車 (新潮文庫) (詳細)

五分後の世界 (幻冬舎文庫)

・「村上龍のディープ・インパクト
とにかく圧倒された。まわりの景色がわからなくなり、時間と場所の感覚が無くなっている、そんな状態がおとずれる。作品の出来や文章の質を問わずともかくインパクト、ということならダントツで1位に挙げる。ゆえに時間のない時片手間に、というのは絶対にいけない。「もしも○○でなかったら」「もしも○○だったら」というのはドリフは言うに及ばずこれまでも各メディアで表現されてきた題材であるのに、このインパクトというのはいったいなぜなんだろう。思うにこの作品は、「体感」とくに「痛覚」に訴えるように書かれている。だいたいがしょっぱなから、雨の山中をえんえん行進、ああ、しんどい。その後も手足がちぎれとび、目には砂が入り、とにかく痛い。ごていねいに、アメちゃんの相手をさせられる村の女の子のピアスまで引きちぎられる。ああ、痛い。にもかかわらず、痛みを感じなくなる幻覚剤によって死ぬまで撃ち続ける兵士、なんて人をおちょくったものまで登場させて、さらに読者の「痛覚」が刺激される。村上龍は徹底して「この痛みを感じろ」と迫る。「頑丈なやつ」村上。キッツい作品だ。でも、体で感じた痛みは忘れない。何かをふっきりたい時には効くかもしれない。そんな痛い小説。

・「”勇気とプライド”
僕が本というものを読み出した初期に出会ったのが村上龍さんでした。もう5年程前になりますが、子どもにも分かるくらいはっきりとした物言いの本が多かったのが印象的でした。あまりにはっきりとした物言いなので、嫌悪することも多かったですが。この本に関しては特別の印象を受けました。

・「ある意味完璧な世界
「村上龍は、結局これが言いたかったんだ。」と言っても過言ではない作品かも知れない。彼の苛立ちの殆どの要因は、曖昧で和を重んじるだけで「結果」を最優先事項とすることが馬鹿らしいくらいタブーとされている現日本の腐りきったモチベーションに対するものでもある。私自身働いていて思うが、「会社員」として一番大事なのは、「仕事に対する誠実さ。」ではなく、「その場を、いかに上手く誤魔化すか。」である。その陳腐な構図は、今や国家レベルで日本列島を当たり前のように腐食させている。何故ならそれをやってれば、「世界のことはわからないが、とりあえず日本国内では可愛がられる。」からだ。私は、個人的に肌身に染みて知っているが、そんなもので絶対に「長期的利益」は上がらない。いずれ今の日本は、「危機感」と「当たり前の生活」に飢えた発展途上国に簡単に追い抜かれてしまうであろうことは、確実だと思う。「飢え」と「危機感」は、生命体が何らかの進化をとげるのに、最も有効的な分子的な触媒以上の爆発力を持っているからだ。だから私は、この作品鑑賞して見る限り、村上龍が、安易に日本批判を趣味としているとはどうしても思えない。批判せざるを得ない要因が、世界の目から見て、明らかに日本を題材にした場合に多すぎるのは、世界の公正な目から見て、あまりにも現日本が甘すぎるからだ。その甘さを、この作品は完璧に払拭してくれる。むしろ世界を凌駕してくれている。フィクションというだけで絶望的かもしれないが、そこからフィジカルでストレートなモチベーションを引きずり出してくれるのは、私にとって、この作品だけかも知れない。

・「「凄い!」小説です
内容を追うごとに肌がひりつく様な感覚を覚えます。決して安心して読めるという類の本ではありません。主人公が体験する2度の戦闘シーンはあまりにも長大で、読んでいると胸が苦しくなってきます。中間部にある無駄なものを一切排したようなアンダーグラウンドの世界の描写がその感覚に拍車をかけるかのようです。ここまでインパクトのある本は近年みたことがなかったです。作者は現代の作家と呼ばれる方々のなかでも一線を画した存在だと思わされました。

・「時計を五分進めてみるという行為
 読む前は、村上龍が「歴史のイフ」あるいは「パラレルワールド」に挑戦したのかなぁ、などと漠然と感じていた。ノベルス系で有象無象あふれている「仮想戦記」の龍バージョン? と。

 しかしもちろん、そこは村上龍である。本土決戦決行後の日本を描くとは……。本土壊滅後もゲリラ戦を技術力、そして勇気とプライドでサバイブしていく(もう一つの)日本人たちの姿は、爽快にして鮮烈に印象に残る。颯爽とした兵士たち、カッコいいんだな、コレが。

 だけど、現代日本というか、戦後民主主義へのイラ立ち、絶望は、決して「ぷちナショナリズム的」じゃぁ、ない。小説家の矜持を持ってスマートに描かれているのだ(主人公・小田桐がのぞく「五分後の世界」の歴史教科書をご覧あれ!)。

 執拗な戦闘シーンの描写には意見が分かれるところだろうが、私は是。あの迫力、リアリティこそが、読者の時計を「五分進め」るスイッチなのではないだろうか?

五分後の世界 (幻冬舎文庫) (詳細)

ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2 (幻冬舎文庫)

・「村上龍氏の本領発揮作第二弾
  本書は、前書である五分後の世界を読んでいることが前提となっています。  なぜならこのパラレルワールドの説明がないからです。前書を読んでいない  と理解に苦しむでしょう。  前書の登場人物はこのパラレルワールドの異常性を表現するために、外部の  人間である時空をこえてきた人間が主人公でした。

  今回は、外部ではありますが、より内部性が強いパラレルワールド内の外部  である他国のジャーナリストが主人公となり、UG軍の異常性を表現してい  ます。そしてここで問題となっているのはあるウイルスです。  このウイルスに関する医学的表現の細かさには圧倒されました。人物描写よ  りもかなりのページ数がさかれていました。

  このウイルスに感染して生還できるのは、日常的に危機感をエネルギーにか  える作業を行ってきた人だけという著者のメッセージは非常に示唆的である  と感じます。  ある世界を表現するための手法はごく一般的なものですが、内容が一般的で  はなく、非常に奥深い(深すぎるのかもしれません・・・)

  前書の五分後の世界を読んだすぐあとに読むことをおすすめ致します。

・「同じ世界観の別の作品
前作「五分後の世界」と同じ世界で展開する別のお話です。前作と同じ登場人物での後日譚ではありませんので、それを期待して買おうとしている方はご注意を。作品としては同じ軸の上にあり、魅力はいささかも落ちるものではありません。相変わらず徹底した取材による描写は凄まじいものがあります。村上龍さんは類まれな努力家であり、知的好奇心の充足に対しての意欲が人並みはずれて旺盛なのだと驚嘆するしかありません。情報を詰め込むだけでなく、消化して自分の文章にして、なおかつ主題から逸脱しないでこれだけ書き込める力は驚異的ですね。

小説の中では感染力、致死率共に驚異的に高い「最悪」なウィルスという形で、短期的で避け切れない「危機」を発生させています。圧倒的かつ驚異的な速度で進む危機の象徴としてウィルスを使っているのです。小説中で語られるこのウィルスに感染しても生存するための条件こそ、現実のこの国に暮らすわれわれ一人ひとりに求められている事なのではないかと感じて、背筋に冷たいものを覚えました。現実はウィルスほど劇的でなく生活習慣病的であるだけ、気づいたときには手遅れという事かもしれません。「危機感」そのものをわれわれは持てるのでしょうか。

・「2冊目も面白かった
前作五分後の世界の続編です。前作を読んでないと理解できませんので読まれたほうがいいと思います。映画、レットゾーンを彷彿させるウイルスの話。非常にリアルに人が朽ちていく描写は村上氏ならではのもの。正直気持ち悪くなります。戦闘の描写も前作に負けておらずまるで戦争ゲームをやっているような感覚になり興奮しました。相変わらず、日本国民は高いプライドと技術力、そして日本独自の文化で世界から注目されていました。

・「暗い世界
村上龍氏の小説はトパーズ、限りなく透明に近いブルーなど、どちらかと言うと現実にありそうな話が多いのですが、”五分後の世界” ”ヒュウガウイルス”に限ってはSFチックで少々違った感じです。感じ方は人それぞれだと思いますが、この本を読んだ時の興奮は鈴木光司氏のリングや螺旋を読んだ時に感じたものに近かったです。

現実には起こりえないことにも関わらず気がつけばその世界にのめり込んでしまっていた、そんな感じでした。ただリング等と違う点はもっとファンタスティックな世界があります。ダークでどろどろしたファンタスティックな世界です。

・「現代人に下される最後の審判。
 前作、「五分後の世界」の世界観を継続したファンタジー小説。CNNのアメリカ人女性記者、コウリーの見た五分後の日本、そしてアンダーグラウンド。 本当の知性と、生き抜く為の力は「危機感」から生まれる。ウイルスに悪意は無く、進化を促す媒介であり、メタファーである。さて、ヒュウガウイルスが象徴したものはいったい何だったのか?   辛辣な筆者が現代人に下す最後の審判。

ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2 (幻冬舎文庫) (詳細)

月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)

・「純粋な残酷
作者初期の作品。大学生はこのころ今よりももっと、純粋で潔癖だった(というより世間がそうだった)ので、こうした動機が成り立つ。今ではクラシックにあたる。綾辻行人氏の「十角館」しかり。

でもそれを言ったら、90年代のバブル崩壊以前とあとでは、こうしたモラル・イシューはまったく様変わりしてしまった。肥大した「自己肯定」や「自己弁護」にくるまる若者が、共感できるかは疑わしい。しかし、どちらが「心地いいいき方」なのか。

山でキャンプを張る、英都大学推理小説研究会と他大学の面々。夏のキャンプとあって、ゲームをしたり、語り合ったりと楽しみは尽きない。夜うるさいこという親もおらへんし、何の危険もない。はずだったが…

臨場感あり、緊迫感あり。活字で手に汗握れるのがうれしい、感動した作品です。

作者の短編しか読んでない人は、ぜひこれから読んでください。トリックもGOODです。

・「青春小説
有栖川有栖の作品はどこか青臭い雰囲気が魅力なのだが、大学の合宿を舞台にした本作は、その魅力を十分に堪能できる傑作である。本作の登場人物は大学生だけである。また舞台は、火山の爆発により孤立した山中のキャンプ場である。これらの設定は、青春時代の、仲間内だけが世界のすべてであるような、生ぬるい雰囲気をよく出している。また、そこで起こる事件は、青春の残酷さを、非常にうまく表現できてると思う。事件が解決した後に、ようやく他者の存在が意識されることになる。麗しくも残酷でもあった青春=事件の終わりと、社会=他者との必ずしも快適とはいえない出会いとを象徴しており、非常に印象的な結末である。推理小説としては、正統派の本格であり、「読者への挑戦」もついている。そして、本作は、本格密室推理小説が、青春を描く上で、すばらしい舞台を提供しうるということを、証明している。

・「クローズドサークル
面白かったです。設定は少し無理があると思いますがそれでも良いです。アリスや江神さんのキャラ設定がこの後の3作とは微妙に違う気がするのもまた味だと思います(私は双頭から読み始めました)。アリスの恋愛事情も楽しめました。

・「折り重なる偶然と哀しみ
こっちの学生シリーズは敬遠してたのです。だって人ですぎ。眠れない日々が続き、ふと手にとって読み始め...戦慄をおぼえた。もう、本当に読み終えるまで眠れなかった。否、読み終えてからも恐ろしくて、息を呑んだまま。ああ、この人はすごい。本物だって、そう思った。思い知らされた。閉ざされた空間、連続殺人事件。見事本格。けれど、この作品ほど「閉ざされた空間」を見事に描き出し、非現実的な中ここまで背筋をこおらせるものはないのではないかと。突然噴火する火山。自然の驚異。其処に更に人の恐ろしさが加わり、逃げ場は無い........こわくて、たまらない。それでも「本格」の雰囲気が、荘厳にすべてを包む。アリスがね、いいんだよ。やっぱいいんだよ。江神氏当然好きなんだよ(笑)。そしてやっぱり...哀しいミステリを書く人ですね、アリス先生。苦しかったし、切なかった。痛かったです。久しぶりに、いえ覚えている限り初めて「登場人物のように恐怖を同じくした」小説でした。厚いのは本そのものだけじゃありません。素晴らしい贈り物を、ありがとう。

・「Temptation of the Moonlight
 月夜にキャンプで知り合った3つのグループで楽しんだ「マーダーゲーム」が現実に・・・。 殺人、火山の噴火、閉ざされた空間=クローズドサークル、ダイイングメッセージ、読者への挑戦・・・。 ミステリの要素が贅沢すぎるくらいつまっています。 それに、学生アリスの切ない感情も。  読むたびに「月の光」に引きずり込まれます。

 「月光浴」しながら読んでみてください。 きっと見えてくるはずです・・・・ 

月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫) (詳細)

孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

・「個人的ベスト
個人的に女王国も含めた江神シリーズ中の白眉だと思うのが本書だ。

氏らしく、論理の糸がたぐられていく興奮はシリーズ随一ではないだろうか。

結末まで読めば、あらゆるジーンは必要不可欠であったことがわかる。

とりわけ中原中也の詩を引用しつつ夜の海に漕ぎだすシーンは詩とのシンクロが非常に印象的な場面だが、少し恋愛要素が強すぎ陳腐な気もしたものだ。

だが読了してあのシーンさえロジックを組み立てる1つのブロックだったことに気付かされる。心温まるシーンの裏には、冷たい論理の罠が張り巡らされている。

よく本格ミステリは人が描けていないと言われるが、上質なミステリにおいては人の感情の機微や人間性さえパズルの一つのピースに過ぎないのがよく分かる。

パズルはモアイだけではない。人と彼らの性格や発言までもが、この孤島のパズルだ。

・「中身も良いけれど
小説の出来は素晴らしいです。読んでおいて損はありません。出来れば、学生のうちに読んで欲しいものです。

そしてこの本にはもうひとつ、注目すべき点があります。それは光原百合さんの解説です。かつてミステリの解説においてこんなものがあったでしょうか!ご本人も書かれていますが、まさしく「江神さんへのラブレター」なのです。光原さんの最大の魅力であろうあの優しい文章で、江神さんについて徹底的に語り尽くされています。他の作品で江神さんを気に入った方、単行本で読んでいる方は是非読んでみて下さい。多いに共感できるでしょう。私もそうです。

・「「密室トリック」より「密室」が好き
推理研の江神部長とアリスが活躍するシリーズ第2作。

唯一の女性部員・マリアが初登場する本書では、彼女の伯父の別荘がある孤島を舞台に、連続殺人事件と時価数十億円に相当するダイヤ探しが並行して描かれていきます。

殺人事件では、たった一つの物証によって、犯人特定に至るロジックが鮮やかであり、ダイヤ探しでは、島に無数に設置されたモアイ像が鍵となった「進化するパズル」の趣向が秀逸です。

また、本書において著者は、じつに法学部卒らしい密室トリックを用いているのですが、作中で江神に

   「『密室トリック』より『密室』の方が好きなんかもしれん」

と語らせ、名探偵に密室のドアを板と釘で封印して去らせたい、との願望を述べさせています。

このあたりの著者の真意を忖度するのも、一読者としての娯しみといえます。

・「雰囲気満点のちょっとせつない青春ミステリ
 南の孤島の世界にどっぷり漬かれました! 雰囲気満点。アリスの語りも愛嬌があっていい。マリアと夜中にボート遊びする場面での中原中也の詩の引用はロマンティック(なんという作品なのかな)。ミステリマニアじゃないわたしは最後まで犯人がわかりませんでした。殺人は起こりますが気味の悪い描写がなかったのでさわやかな雰囲気がすべて吹き払われることはなくてよかったです。読んでよかったと心底思える作品です。 単行本の解説は北村薫氏によるものです。

・「面白かった!!
双頭の悪魔を読んでから逆走でこの孤島パズルを読みました。双頭でのマリアの心の傷はこの島でできてしまったわけですね。 推理小説をあまり読まない私(今のとこ双頭と孤島だけ)なのでトリックがどう、とかは、よくわかりませんがやはり世界観が素晴らしかったです。隔絶された島、島に散りばめられたモアイ象、イキイキしたマリア、バタバタするアリス、渋くかっこよく時にユーモラスな江神二郎、残念ながらチョイとしか登場しないが大好きな織田先輩と望月先輩。三年前の事件を核に秘め、次々におこる殺人事件、島の宝の謎解き、アリスとマリアの絶妙な、友達ちょっと以上、恋人全然未満の関係!!

まるで自分が嘉敷島の岬に立ち夏のかぜを感じているかのごとくに読み進められた一作でした。さらに逆走して月光も読みたいと思います。

孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (詳細)

双頭の悪魔 (創元推理文庫)

・「長かったけれど面白かった。
学生有栖川&江神先輩シリーズ第3作。単独でも読めないことはないが、キャラクターの説明、特に有馬麻里亜の「家出」の理由などは前作を読んでいないとわかりづらいので、なるべく『月光ゲーム』『孤島パズル』の2作を読んでからの方がいいように思う。

外部の人間を拒む芸術家の村・木更村に迷い込んだ麻里亜を連れ戻して欲しいと彼女の父親に頼まれ、四国のド山奥にやってきたアリス一行だが、折しも大雨で橋が流され、マリアと江神、アリスらは木更村と麓の村、川の両側に分断されてしまう。しかもその両方で殺人事件が起き、互いに全く連絡の取れない中で、江神は一人、そして江神のいないアリスらはそれぞれ真相を探り始める。アリスとはビミョウな関係のマリア、そのマリアを気遣うアリスのやきもき感が切なく、また、女嫌いの江神先輩も前作の心の傷を残すマリアには兄のように接するのも彼の意外なやさしさが見えてこちらもせつない。

大掛かりな舞台設定で話も長いが、トリックそのものは前作よりもわかりやすかったと思う。しかし、どうも犯人は動機よりも先にトリックが浮かんだのではないか、と思えるほど、動機自体はいささか弱いような気もする。

なお、このアリス&江神シリーズは現在3作で中断しているが、作者あとがきによればあと2作が既に(ずっと)用意されており、5部作になるらしい。もう一つのシリーズ、作家アリス&火村も好きだが、火村に比べれば家族構成や生い立ちもわかっている江神のシリーズがどんな結末を迎えるのか、やはり早く知りたい。

・「江神二郎の理非曲直が悪魔に照らす愛
学生シリーズの3作目です。この大作だけでも十二分に楽しめる内容ですが、より楽しむ為に『月光ゲーム』・『孤島パズル』を読んでから手を伸ばされる事を強くお薦めします。

四国山中の芸術家が集う風変わりな村に迷い込んだマリア。そんな彼女を追う江神部長やアリス達が活躍します。横溝ばりの雰囲気作りもいいですし、不測の事態で二手に分断されてしまう過程をスリリングに描き飽かさず、双方で巻き起こる不可解な殺人事件でみせる謎解きもしっかりしていて読み応えあり。なにせ3回も読者への挑戦状が挟まれる異色中の異色な密度。そして、その意味を納得するにいたる手練手管の総本山ともいう黒幕と対峙したとき江神部長は(!?)。この一冊、純粋な気持ちで読んでいると有栖川の凄さがよくわかります。綾辻は存在自体が一個の達成であった事は間違いないが、純粋に本格の手法を駆使した功績なら前者に軍配が上がる。この鮎川先生が大好きな作者はあくまで頑固だ石のように頑固。人によっては鈍重かつチマチマして徒然と感じる方もあろうと思うが、ソコが...その論理の積み重ねこそ魅了されてやまない。。

・「ミステリファンへの最大の挑戦&最大のプレゼント
 絶対に行き来できない2つの場所で起こった2つの殺人。この真相を解き明かすのが、探偵・江神二郎、そして読者の役目である。真相を明らかにする過程において、解決すべき下位目標をクリアすることによって読者は真相に近づくことができる。しかし、その真相は本当に恐るべき人の心から産まれたということに江神とともに読者は慄然とするだろう。心の歪み、底知れぬ悪意、恐れ、不安は、この本の登場人物に共通するものであり、それがまた辛さを増幅させる。  また、江神以外のミステリ研メンバーが江神とは対照的な方法で1つの謎を解くのも見物である。

・「トリック以外の魅力
有栖学生編3部作目。前作孤島パズルからの流れで話が始まって行きます。もちろん前作を読んでいなくとも楽しめますが、前作、出来れば最初の月光ゲームから読むのをお勧めします。

シリーズ共通して登場するキャラクターはとても魅力的というか愛着がわき、彼等のやりとり、巻き込まれていく様子等、時に漫才の様な会話も繰り広げられていき、

ミステリー本来の謎解きという楽しみ以外に、『また彼等に会える』という楽しみまで出てくるでしょう。

今作も同様、壮大で難解なトリックと共に愛らしいキャラクター達がその謎に奔走する世界は、長編という事を忘れさせる程に読者を虜にさせる作品でした。

・「江神さん
学生アリス、江神氏シリーズ三作目。これで終わりじゃないって聞いて安心しました、先生。お待ちしてます、ねばり強く。今回は少々趣向が変わっているやもしれません。アリス・マリアの両視点から描かれてゆく、二つの殺人事件。交錯してゆく謎、二つの村を覆う謎、そして何より「人間」の謎。こんな村本当にあったらすごい。でも、あってほしいなんて思っちゃいました。「ここからいつか出て行く、でも今はもう少し...」マリアの心理描写も素晴らしい。私はよくわかる。今の私と一緒だ。このままじゃいけない、こんなぬるま湯につかってていいわけない。でももうこれ以上歩けない、歩きたくない。進むのが怖い、こんなに辛いんだからもう少し...でも、先に進まなきゃ。吾輩がおりました(苦笑)。私はシドが好きだ。私に近いと思う是。そしてやはり江神氏。かっこよすぎだってば。貴方の過去は痛々しい。私も貴方がいてくれることにありがとう、と言います。やはりマリアが江神氏に憧れているのでしょうね...何かしてあげたい、と思う。アリスとは一緒にふざけあえる。アリスは少しだけ、マリアを思い始める...いや、気づき始める。やはりこのシリーズは青春小説でもあるようで。全作「孤島パズル」を読んでいると、尚深みがまします。そしてあげるべくはモチさん信長さんリターン★祝♪O・ヘンリー、大いに笑わせて頂きました。

双頭の悪魔 (創元推理文庫) (詳細)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

・「読んだ者しか分からない、お腹の底が暖かくなる迷宮
単行本は2006年11月リリース、文庫化は2008年12月25日。本作で山本周五郎賞、本屋大賞第2位(ちなみにこの年の第1位は佐藤多佳子の『一瞬の風になれ』)を受賞している。山本周五郎賞を獲る作品が本屋大賞で第2位なのが面白い。

読み出すともうすぐに『森見ワールド』に没入してしまう。巻末の羽海野チカ氏のイラストのように、イメージが跳梁跋扈して、転がり廻り渦を巻く。それはマジックリアリズムというより、京都という希有なポジションの上に、コトバとシーンを貼り付けていくステキなモノ、という感じだ。おともだちパンチ→偽電気ブラン→詭弁踊り→赤玉ポートワイン→二足歩行→ダルマ・・・と枚挙にいとまがない。もう、読んだ者しか分からない、お腹の底が暖かくなる迷宮である。

そして思うのはここには男子特有の『気持ち』というのが圧倒的に顕在化しているなぁ、ということ。きっと森見ワールドを完璧に『分かる』のは男子だけだと思うのだ。諸君、異論があるか!?あればことごとく却下だ!!

・「本編は語るまでもなく
面白いです(あくまでも自分にとってはですが)内容にあまり触れるのもアレなんで…。この作品独特の語り口調で展開される物語に馴染めるかどうか〜が一番のポイントかと思います。自分は単行本ですでに読んでいますが、文庫版も買ってしまいました。中村さんの表紙イラストに惹かれる方なら問題なく楽しめるのではないかと。

単行本をすでにお持ちの方へ。文庫版には巻末に羽海野チカさんの解説が収録されています。これだけでも買う価値はあるかと思います。読んでる間羽海野さんのキャラクターが動き回ります^^;2足歩行!

コミック版も羽海野さんが描いてくれればなぁ。

・「女の子の趣味が素敵すぎる!
森見さんは女の子の趣味が素敵すぎる!、『四畳半神話大系』、『太陽の塔』など他の作品にでてくる乙女も魅力に溢れていますが、特にこの作品の「黒髪の乙女」は老若男女を問わずだれもが胸を捕まれてしまうのではないでしょうか。独特の文体も好き嫌いがあると思いますが、私ははまってしまいました。一癖も二癖もある文章で、ファンタジーであるというものすごい森見さんの世界にどっぷりはまり込み、読み終わってしまうと、寂しくてまだまだ読み足らなくなって他の森見作品にも手を出してしまいました。この『夜は短し歩けよ乙女』から入って、『四畳半神話大系』、『太陽の塔』と出版年順には逆から読んでいったのですが、共通の登場人物などが出てきて、あのことがここにつながっている!など発見ができて面白かったです。関西出身の作者だけあって京都を舞台にいきいきと描かれて京都好きにはたまらないのでは。羽海野チカさんの「かいせつにかえて」も森見さんの世界が羽海野さんの世界観で絵になっていて素敵でした。

・「とにかく可愛い!
独特な文なので、馴染めるかはそれぞれですが・・・この「独特」感が滲み出る文面とそれに合わせて読み進めるリズムがたまらなく面白い!

個性あるキャラクターもみんな可愛い!なんとも愛らしい!特に乙女の行動は天然っぽさがあふれていてすごく可愛い!先輩の行動にもどこかしら驚かされたりして…つい「がんばれ!!!」と応援したくなります。後半はもう止まりません!どんどん終盤へ加速していっちゃいます。読むのがやめられないです。

個性あふれるキャラクター、独特な世界観・・・

まさに「キュートでポップ!」

さらに文庫には羽海野チカさんの解説もついていて、これまた可愛い!解説まで飽きずに「見れます」。

是非お勧めしたい。

・「一流の娯楽小説
今まで読んだ小説で一番笑ってしまった作品。

ジャンルで言えばラブコメになるのでしょう。軽妙な語り口にテンポの良い展開、神様も現れるファンタジックな要素を持ち合わせた娯楽性ある物語と素敵な要素が満載でとにかく読んでいて楽しい!古風で独特な言い回しながら簡潔で読みやすい文章も良いです。また、春の飲み屋街、夏の古本市、秋の学園祭、冬の風邪騒動という四季に焦点を当てた四章構成も上手くまとまっていますね。頭の中に1つ1つの場面を鮮明に想像することが出来る、色彩豊かな描写力を感じます。

でも、この物語の一番の魅力は個性溢れる登場人物であると断言しましょう。理屈屋で不器用な主人公「先輩」と時代錯誤的な純真さで周りの誰をも幸せにしてしまう「黒髪の乙女」を中心に、大酒飲みの女傑、空飛ぶ学生天狗、偽電気ブランで富を築いた高利貸し、錦鯉センターを経営する心優しきダメ中年などアクが強く愛嬌あるキャラクターばかり。微笑ましくて、愛おしくなること請け合いな人物が揃っています。他にも様々な人々が登場しますが、誰一人無駄にならず活かされている点も素晴らしい。いい意味で著者の手から離れて活き活きとキャラクターが動いていますね。

ファンタジー的要素など好みが分かれる部分もあると思いますが、楽しい小説を読みたければ一度は手に取ってほしいです。難しいことを考えず気楽に読んでもらいたい作品。「ハチミツとクローバー」や「3月のライオン」で有名な漫画家・羽海野チカさんのあとがき(?)もオススメです。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫) (詳細)

宿命 (講談社文庫)

・「最後の10ページに僕は惹かれました。
本の帯にラストを先に読まないでくださいとかかれていますが、本作品の結末を読んで、やはり東野圭吾は旨いなーと改めて感じました。 名作「白夜行」の基となった作品でしょう。主人公の人物描写に若干弱い部分があるかもしれませんが、作品の展開、終盤からラストまでの構成は、やはり並大抵の作家では書くことが出来ないはずです。

・「タイトル「宿命」に込められた究極の意外性―絡まった「糸」は解きほぐされるか?
 東野圭吾の作品は、講談社文庫として全部で25作品刊行されているが、それらのなかで最も読まれているのがこの『宿命』だろう。「宿命」とは、「前世から定まっており、人間の力では避けることも変えることもできない運命」だ。本書のストーリーもまさにこの言葉に完全に合致する内容である。「序章」と「終章」を除く全6章の意味深な言葉に盛り込まれた作者の意図を味わいながら、本書を読み進めるのがよいだろう。

 本書においても殺人事件は生じるが、その事件の解明に関する詳細は、多くの読者にとって「二の次」だったのではないか。巻末の「解説」にある作者自身の見解が示しているように、本書の主眼はそこにはない。主人公を含む二人の男に課された「宿命」の意味とは何であるのかということに、われわれは必然的に集中する。その当時に作者が関心のあった「脳」という題材や社会派的な要素も随所に登場し、初期作品としてもかなりの自信作であったに違いない。「終章」は、繰り返し読み返したくなる名シーンだ。そこで明らかになる衝撃的いや「究極の意外性」に、一瞬ではあるが、時間が止まったような感覚を抱く。それゆえ、ラストを先に読んでは絶対にいけない。きちんとそれまでの歴史的経緯を知ったうえでのラストなのだから。

 主人公(の二人)は、医学部進学を断念し父親と同じ警察官の道を進んだ和倉勇作と大企業の御曹司で、勇作が諦めた医学部に進学した瓜生晃彦である。同じ高校にいた彼らだが、ここから先の進路は決定的に違った。とはいえ、先の「宿命」という言葉にあるように、「糸」はずっとそれ以前から、つまり彼らが生まれる前から絡まっていた。晃彦の父親が他界する時に、彼が残した最期の「晃彦、申し訳ない、よろしく頼む」という言葉の真の意味とは何かを念頭に置き、作者の世界に足を踏み入れよう。読了後、不意に考えるかもしれない。自分にも「宿命」があるのか、と。

・「文句なし
 おもしろかったです。本当に読みやすいし「宿命」っていうタイトルがピッタリで・・・。単なる推理モノじゃなく人間の因果みたいなものがにじみ出てます。おすすめ最近のヒットです。ドラマ化して欲しいくらい!!

・「ミステリーを二重に仕掛けている
東野氏の作品は、いくつかのカテゴリーに分けることができ、この作品は、白夜行、幻夜とおなじカテゴリーに入れることができると思うが、これらと比べるとミステリーの要素が強い作品である。作品中でおこる殺人事件の他に、もう一つのミステリーを二重に仕掛けているところが、作者らしく、また、うまいところだと思う。また、このほかに「家族」というテーマもうまく取り込んでおり、完成度の高いエンターテイメント作品だと思う。一方で、私の場合、白夜行、幻夜を読んだ後でこの作品に接したのであるが、読書中に、言葉にはうまく表せないのであるが、何か物足りなさを感じることがあった。この作品の初出が1990年であることを考えると、作者が(元々完成度が高いが)成長していると言うことなのかもしれない。

・「意外な事実がつぎつぎに現れます!
すっごいおもしろかったです。読み始めたらとまらなくて、あっという間に読んじゃいました。(他のやらねばならないもろもろのことを放っておいて・・・)ちょっと先ですらどうなるかわからないし、意外な事実が次々にあらわれて、最後の最後までどきどきはらはらでした。リアリティもあって物語りに引き込まれていっちゃいます。こんなに夢中になって読んじゃうような本にあったのは本当に久しぶりです。

宿命 (講談社文庫) (詳細)
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