蘇我氏四代の冤罪を晴らす (学研新書) (詳細)
遠山 美都男(著)
「勝ったモノと負けたモノ」「最新の研究が示す蘇我氏の興亡」「論証の点で難ありだが」「「日本書紀」に縛られているのは著者でしょう」「いまいち」
北方領土奪還作戦〈6〉 (C・NOVELS) (詳細)
大石 英司(著)
卑弥呼誕生―『魏志』倭人伝の誤解からすべてが始まった (新書y) (詳細)
遠山 美都男(著)
「「卑弥呼機関説」は、合理的で面白い考え方だと思います。」
螺鈿迷宮 上 (角川文庫) (詳細)
海堂 尊(著)
「『ジーン・ワルツ』の誕生と『螺鈿迷宮』の死」「軽く読めるけど、なかなかの完成度です」「文庫シリーズの中では一押し!!」「「死」の意味」「一番好き」
ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫) (詳細)
海堂 尊(著)
「海堂作品が再びおもしろくなってきた!」「ワクワクする読み応え。」「今回は、救命救急医療」「海堂爆発!」「その外科医は男気に溢れた神である」
天使と悪魔 (上) (角川文庫) (詳細)
ダン・ブラウン(著), 越前 敏弥(翻訳)
「ダヴィンチコード前作、文庫化!」「映画よりも原作が好き」「ストーリー作りの巧みさに脱帽」「科学と宗教を問う」「いかにも映画になりそう。」
名をこそ惜しめ―硫黄島 魂の記録 (文春文庫) (詳細)
津本 陽(著)
北方領土奪還作戦〈7〉 (C・NOVELS) (詳細)
大石 英司(著)
「さて次はどこが舞台かな?」「戦争絶対反対」
「悪所」の民俗誌―色町・芝居町のトポロジー (文春新書) (詳細)
沖浦 和光(著)
「学者の書いた本と思えない」
「色んなピクトさんに出会えます。」「世の中をこんな角度で見ているとは!」「もっと早く出会いたかった。。。」「ピクトさん、万歳」「けなげなピクトさん」
四国巡礼葛藤記―駆け出し僧侶が歩いた四国八十八カ所 (詳細)
青野 貴芳(著)
「おすすめ!」「超おすすめ!」「死ぬまでに一度は四国巡礼に行きたくなりました!」「冒険小説として、僧侶入門書として」「アッ、買わなきゃ!」
西国巡礼の寺 (角川ソフィア文庫) (詳細)
五来 重(著)
マリアナ攻防戦―鋼鉄の海嘯 (C・NOVELS) (詳細)
横山 信義(著)
「そろそろ技術的設定にムリがでてきましたね」「空戦+陸戦+海戦」
四国遍路の寺 上 (角川ソフィア文庫) (詳細)
五来 重(著)
「四国遍路の奥義が分かる」
知恵と慈悲「ブッダ」―仏教の思想〈1〉 (角川文庫ソフィア) (詳細)
増谷 文雄(著), 梅原 猛(著)
「いざ、原始仏教の世界へ!」「仏陀とは誰か」
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫) (詳細)
司馬 遼太郎(著)
「ある朝」「胸が熱くなります。久々の感覚!」「明治に生きた最後の武士達」「心の奥底に余韻が広がっていきます」「明治という時代が本当によくわかる作品」
都と京 (新潮文庫) (詳細)
酒井 順子(著)
「もう一歩の踏み込みが欲しいかな。。。」
台湾沖決戦―鋼鉄の海嘯 (C・NOVELS) (詳細)
横山 信義(著)
「「敗北主義者」の汚名返上は成し遂げたものの…?」
日本の仏像―飛鳥・白鳳・天平の祈りと美 (中公新書) (詳細)
長岡 龍作(著)
「美術鑑賞を超えた本質論」「仏像の創生と展開」
首相専用機を追え!―蝶紋島極秘指令 (C・NOVELS) (詳細)
大石 英司(著)
「新境地の開拓、ですね」「軽いSFで最高です!」「新たなヒーロー誕生ですな。」
仁王―知られざる仏像の魅力 (中公新書) (詳細)
一坂 太郎(著)
法然上人とその弟子西山上人 (詳細)
ひろ さちや(著)
怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書) (詳細)
アルボムッレ スマナサーラ(著)
「怒らない人へ」「なぜ怒ると損なのか、がよくわかる本」「怒りについて知ることから、そしてその先へ。」「この本はいい!」「正しい怒りなどない」
栄光の岩壁 (上巻) (新潮文庫) (詳細)
新田 次郎(著)
「戦後派登場」「主人公の人柄」「山岳小説の最高峰」「戦前から現代まで」
孤高の人 (上巻) (新潮文庫) (詳細)
新田 次郎(著)
「何度も繰り返して読んでいる本です。」「ヒマラヤがゴールだったのに…」「「孤高」とは」「孤高の人生」「加藤文太郎の魅力が引き出せています」
● この妖怪が出てくるシリーズがミステリーぽい!! BEST5
● 硫黄島
● 日経ビジネスアソシエ CULETIVATION PROGRAMで紹介された本/DVDです。
● 2009読書
● 最近読んだ本
● 君の意見は完全に間違っているという点に目を瞑れば概ね正解だ
● 4月に読んだ本
● 2009年購入本
● 産休中に読んだ本
● オススメリスト
● 角川文庫(海外)
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>あ行の著者>その他
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・「勝ったモノと負けたモノ」
正史は勝者が編む。日本書紀もしかり。著者は負けた蘇我氏に注目して、語られなかった真実を繙く。
・「最新の研究が示す蘇我氏の興亡」
どんな資料であれ、そこにどんな事実を、またどのように記述するかは完全に客観的中立であることはありえず、なんらかの政治的立場からは完全に自由ではありえない。日本最古の正史である日本書記とて例外ではない。 そこに描かれた蘇我氏についての様々な物語はよく知られ、常識とされるものも少なくない。ここに遠山氏は、綿密な史料批判から、不当に貶められた蘇我氏の実像を明らかにし、「冤罪」を晴らす。歴史家の矜持が感じられる一冊だ。 百済渡来人説、物部氏との抗争、崇峻天皇や厩戸王子と関係など、よく知られているものもについても歴史的真相に迫り、古代史研究の最先端を示してくれる。 口調は簡潔で、明瞭な論旨の読みやすい一冊である。
・「論証の点で難ありだが」
評価4ポイントの内訳は、論証不足から3ポイント(甘いかな?)、意義ありに1ポイントです。
日本書紀に書いてあることをひたすら正しいとする多くの学者(最近はそれほど多くも無いか?)とその解説書が出回る中、大変意義のある本だと思います。しかし意義があるだけに、小説家が書いているわけではないですから、論証を緻密にしなければならないのでは?と思います。かと言って本格的な研究書ではないですから、緻密に展開するのも大変であることは理解できます。著者の研究書を読んでいないので分かりませんが、是非本格物とこのような啓蒙書の2本立てで我々の目を覚ませて頂きたいと思います。
ところで、例えば韓国扶余の王興寺(P.150)などは、百済の王様が王子の為に作り、その技術が日本(その当時は倭)に来て蘇我氏が飛鳥寺を作っているのですからもっと言える(つまり蘇我氏はただの豪族ではない、ひょっとして大王だったかも?)ことがあるのでは?とも思います。
・「「日本書紀」に縛られているのは著者でしょう」
古代史上、悪名の高い蘇我氏の名誉回復を試みた本。蘇我氏が別に悪者でない事は常識なのだが、何か新規な論があるかと思って手にしたが得るものはなかった。
「蘇我氏=悪玉」論は主に日本書紀に依っている。そもそも、日本書紀は持統天皇の意向を汲んだ不比等が編纂して、天智系の正統性の確立(と藤原氏自身)のために書いているのだから、天智の政敵であった蘇我氏を貶めているのは当然である。蘇我氏を討った、父鎌足を称える意味もあったと思う。この事実を知っている方にとって、「蘇我氏=悪玉」論は不比等の創作である事は自明であろう。著者は一般人が日本書紀に縛られていると言うが、縛られているのは著者の方に見える。物部氏との神仏闘争、崇峻暗殺、飛鳥寺の建立、山背大兄王の殺害事件等を日本書紀の記述内容を前提にして、蘇我氏に都合が良いように"解釈"しているが、そんな解釈は意味がない。どれが創作でどれが事実か分からないのだから。天智の前に強大な勢力を持った豪族が居たという事が分かるだけである。不比等でさえ、その強大さを書かずにはいられなかった程だから、蘇我氏が本当に大王の地位を狙っていたとしてもおかしくない。「蘇我氏=忠臣」論は著者の身贔屓であろう。
本書で唯一、私と意見が合うのは「天皇」号が初めて成立したのは天武朝としている点である(このため本書では天武以前は天皇ではなく大王と記している)。私は天皇制なる制度を発案・確立したのは藤原鎌足・不比等父子だと考えているので、この点は賛同できる(天智が初代と言う可能性もある)。
古代史ファンのレベルを低く見過ぎた徒労作。
・「いまいち」
推定を元に論を進めていき、突然「だったのだ」と断定している。およそ論理的な文章とかけはなれている。タイトル自体は面白そうだったのだが、この論理性のない展開にはしらけてしまいます。
●卑弥呼誕生―『魏志』倭人伝の誤解からすべてが始まった (新書y)
・「「卑弥呼機関説」は、合理的で面白い考え方だと思います。」
著者の「卑弥呼機関説」は面白い考え方だが、私にとってのこの本の面白さは、そのような歴史解釈の結果だけではなく、その手法の合理性にもあった。
ここで面白さをかもし出している合理性は、絶対的なものではなく従来との比較による相対的なものである。その合理性と対照を成すのは、宗教やイデオロギーによって硬直化した人の心がもたらす非合理性であり、更にその対照的な風景がかもし出す人間存在であるが、それが浮き出てくるのがまた面白いと思った。
古文書は言説であるから、その内容についての真偽は広く周辺を綜合しなければ推定できないことは判っていように、一般人のみならず歴史学者まで何故結論の真偽に拘ろうとするのだろうか?。そんな昔の事は良くわからないのが当たり前であるから、多くの仮説に基づいた多くの推論が存在するのが妥当だろう。だから証拠に基づいて諸説を論議してより真実に近い説を合理的に判断し続けるから面白いのであると思う。
文学や芸術ではなく、学問として史実を解明し続けるには、その動機はどうであろうと、証拠を発見して積み重ねながら解明し続けるという科学的合理性に負う以外にはないし、だから面白いのである。
・「『ジーン・ワルツ』の誕生と『螺鈿迷宮』の死」
オリジナルは、2007年11月30日リリース。海堂氏はいつも小説というメスで日本医療の患部はどこか、を白日の下に曝す。『ジーン・ワルツ』では産婦人科医がなぜ激減したかだけでなく、明治時代のまま変わらない法律の矛盾や、アンケートばかりとっている厚生労働省の逼迫した現実への無反応・無為無策さ、名ばかりの少子化対策といったあらゆるものの問題点を全て提示していた。『ジーン・ワルツ』が人間の『誕生』への問題提起であるとすると、本作は人間の『死』に対する問題提起として書かれている。そしてこの2つの小説は対となって構想されたのでは、と思える。
デビュー作の『チーム・バチスタ・・・』で既に死者へのMRI検査の重要性を説いているが、本作では医者とは切っても切れない『死』の問題と、現代医療にとって『死』とはどのような存在なのか、を読むものに気がつかせる。 そして頭を過ぎるのがマイケル・ムーアの『シッコ』だ。アメリカ医療の酷さはどことなく今の日本の医療の先の姿のように思えてならなかった。
ここに登場する桜宮病院の院長の言葉、『医学とは屍肉を喰らって生き永らえてきた、クソッタレの学問だ。お前にはそこから理解を始めてもらいたい。医学の底の底から、な』が、この作品を象徴している。厚生労働省の考える『死』、病院の受け止める『死』、自殺志願者の『死』、末期癌患者の『死』・・・どれも同じ『死』であるはずなのにこの作品では違って感じられる。それは各々の『生』が螺鈿のように様々に光り輝いているからなのかもしれない。圧倒的な読後感を残す傑作である。
・「軽く読めるけど、なかなかの完成度です」
現実の医療業界の問題を内容に織り込む小説を書くこの著者は、ここでは「終末期医療」の問題を取り上げていますが、読者にただ単にその存在を認識させるだけでなく、その裏に潜む「闇」の根の深さを認識させられるような描かれ方をしています。そのため、小説自体は上下通して比較的短時間で読み終わったものの、その「問題」の重さはしっかりと受けとめることができました。
また、ミステリーとしても、上巻から数々の「謎」を読者に提示し、「この先どうやって謎が明らかにされるんだろう」と読者を引き込む力がありますし、伏線の張り巡らし方もバランスがいいです。現実の医療業界の問題点を、主軸をぶれさせることなくミステリーと融合させている、その完成度が今までで一番高いと感じます。
また、キャラクターの面からみると、『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』で、田口・白鳥コンビのやりとりの面白さを楽しんだ方々にとっては、こちらはそのコンビのやりとりはなく、田口自体、ほとんど出てこないため、いささかの寂しさを覚えるかもしれません。しかし、その2作で名前は出ていた「氷姫」がついにここで登場します。切れ者なのか、天然なのかわからないそのキャラクターは、田口、白鳥にはない不思議な存在感。一読の価値ありです。
・「文庫シリーズの中では一押し!!」
文庫化されてすぐ買い、一日で読み切りました。そのぐらい面白かったです♪今回は非常に話のテンポが良く読んでいて飽きが来なかったです。
このシリーズでどんどん文庫化されて欲しいです!!
・「「死」の意味」
東城大学医学部付属病院から舞台を移し、碧翠院桜宮病院でこの物語は展開します。
登場人物も白鳥・田口コンビから白鳥・姫宮(氷姫)コンビに変わり、物語の主な語り手として天馬大吉と言う医学生が登場し活躍します。
碧翠院桜宮病院は、老人介護センター、ホスピス施設、寺院までを一体化した複合型病院になっています。 そこには、桜宮巌雄とすみれ、小百合の双子姉妹がいます。 この物語は、別宮葉子の依頼でそこに潜入した天馬大吉の冒険譚になっています。
ここで取り上げられるのは、今までのAiの問題に加えて「死」の問題が提起されます。「安楽死」の問題にも絡むこのデス・コントロールの問題は、改めて人間にとっての「死」の意味を問いかけてきます。 この病院にいるのは、他の病院で見捨てられた末期患者たちです。そんな彼らが役務を与えられて、限界を超えて生きながらえています。生命維持装置で生き続けさせられている患者と比べると雲泥の差です。
その他にも現代的な問題がいくつか提起されています。 昨今問題になっている「後期医療制度」の問題です。 この碧翠院桜宮病院が、どうにも経営が立ち行かなくなるのもこの制度のせいです。 「医療費の適正化」の名のもとに、終末期医療に対する社会保障費がどんどん削られているのです。
更には、医療問題とは直接関係ない「自殺サイト」の問題も取り上げられます。
こうした様々な問題を提起しながら、全体としてはエンターテイメントに徹した非常に面白い読み物になっています。 このあたりのバランスの良さに作者の非凡さを感じます。
・「一番好き」
海堂尊氏の作品は「チーム・バチスタの栄光」にたまたま興味を持って読んでみたことがきっかけでしたが、それをきっかけに私はこのシリーズにすっかりハマってしまいました。彼の作品は後半にいくにつれてどんどん物語に引き込まれていく、不思議な魅力があると思います。
この「螺鈿迷宮」は、外伝ではありますが、個人的に一番シリーズの中で好きな作品です。 本編だけでなく、これも映像化してほしいな!と純粋に思う作品です。 特に、主人公の天馬大吉くんが、本編の田口先生に負けず劣らずステキなキャラクターで、すっかり気持ちを持っていかれてしまいました。作中の登場人物たちがなんだかんだ言って天馬くんに手を差し伸べてしまう気持ちが良く分かります。 また、天馬くんには、今の社会が抱えるいろいろな問題に対面して立ち止まってしまっている現代の若者の姿も映し出されている感じがして、そういった“現代っ子ぽさ”がほんとに良くできているなと思います。 これはほんとに個人的なイメージなのですが、もし映像化されるなら天馬くんは嵐の相葉くんとかがぴったりだなと思うんですが(ファンだから言っているという訳ではないですよ)。
なにはともあれ、一読の価値ある作品だと思います。 シリーズ全てにおいて言えることかもしれませんが、この作品も、医療、社会、人の倫理感など、取り扱っているテーマは決して易しいものではありません。しかし、一見出来そこないだけど純粋な心を持った1人の医学生の目を通してみることによって、普通の人が読んでもすんなりと物語に入っていける作品となっています。そこが、海堂尊氏のほんとにすごいところですね。
・「海堂作品が再びおもしろくなってきた!」
まずは、『バチスタ』→『ナイチンゲール』→本書と刊行順に読まれることをおすすめします。特に『ナイチンゲール』は本書と時間軸・人物を共有する作品。ぜひ先に『ナイチンゲール』をお読みくださいませ。
著者の一貫した姿勢、現在の医療に対する問題提起というテーマをエンタメ小説に仕立て上げる、その腕前が一層際立つ本作。読みどころは多々ありますが・・・・舞台となる救命救急センターの緊迫した空気とスピーディーな展開・救急センター部長「ジェネラル速水」の華やかさ・入り組んだ人間関係がもたらす緊張感や葛藤・バチスタスキャンダル決着の思わぬ副産物〜田口の大出世〜に伴い、彼に降りかかる数々の災難・逆風(ひとり歩きするヒーロー田口像が本人に全く見えていないおかしさ)・対田口リベンジチーム(エシックス)と田口チームの闘い(対決のクライマックスは・・・会議(笑) 解説の大森望さん曰く「ただ会議をしているだけなのにページをめくる手が止まらない」)・氷姫(姫宮)の素っ頓狂な存在感。藤原看護師の暗躍(女子もがんばってます!)・・・その他、ぜひお読みになってお確かめください。
速水のヒーロー像がステレオタイプかな、と思わないでもないですが、『バチスタ』の桐生同様、圧倒的実力と高邁な理想・使命感を有するわかりやすいヒーローがいてこそ、田口や白鳥のおかしさが活きてるんだろうなあ。泥沼的おっさん連中のくだらなさも。
めりはりのきいたキャラクター、物語を楽しみつつ、医療の理想・使命と現実について思いをはせずにはいられなくなる一冊です。
・「ワクワクする読み応え。」
前作「ナイチンゲール〜」がイマイチだったが、今作の前に読んでおくと、ストーリーの裏側がわかって楽しさが増します。バチスタのときと同様、登場人物がかっこよく活躍。今回はとくにジェネラルルージュこと速水の活躍が印象的。前作、前々作で名前だけ登場していた「姫宮」もついに登場。この作品だけ読んでも十分に読み応えがありますが、前の2作品を読んでから読むとさらに面白いこと間違いなし。
・「今回は、救命救急医療」
冒頭の部分を読んでゆくと「ナイチンゲールの沈黙」と同じ描写に、「おや!前に読んだっけ!」と一瞬心配になりました。ところが、読み進んでゆくと「ナイチンゲール・・・」が小児科での話だったのに対し、こちらは救命救急センターが舞台だと言うことが解ってきます。そして、どうやらこの2作品は同時並行に展開する2つの事件だと解ります。 従って、2作品それぞれに必要としない描写があります。それは、もう一方の物語の事件に関係している部分と言う訳です。
本作のテーマは、救命救急医療のあり方です。 ここ東城大学医学部付属病院の救急医療は、速水部長の手にあります。そして、この速水部長に収賄疑惑の内部告発があります。この事件の解決に引っ張り出されたのは、今回も田口公平でした。 この速水部長の描写が素晴らしく、緊急医療の現場の雰囲気を垣間見ることが出来ます。この速水部長の言動は、感動的ですらあります。 もちろんこれ以外にも、医師倫理の問題や、Ai、医療用のヘリの問題なども登場します。
作者のエンターテイメント性の素晴らしさが、読者を引きつけてやみません。
・「海堂爆発!」
読む、べき!
海堂尊の才能が爆発してる。
今回は社会派サスペンス。といってもいいんじゃないかと思います。病院内部の確執や政治関係といった複雑かつ面倒くさい背景を元に一通の内部告発文書が物語をつむぎだす。内容はここに書きたくないのでとにかく買って読んでみて。知り合いだったら貸してあげたい。
今までの作品(バチスタ除く)にあった、無理やり殺人事件でミステリーを作ってる感がさっぱり消えて映画を見ているかのような超ど級の緊張感とエンターテイメント性を備えてます。
ちなみに映画といっても邦画的ではありません。完全にアカデミーハリウッド級!舌戦です。俺はアルパチーノの「セントオブウーマン」と「インサイダー」を彷彿とさせられました。まぁ作風とか全然違いますけど…
映画化されるらしいけどこけるな…原作以上にできるはずがない。断言できる。すばらしい作品です。
マジで貸してあげたい。
・「その外科医は男気に溢れた神である」
オリジナルは2007年4月23日リリース。所謂『田口&白鳥シリーズ』の第3巻。圧倒的な筆力である。他の作家の書き方が単なる空想世界の縮こまった描写だとしたら、海堂氏のそれはまさに医療の現場の声そのもので出来ている。だからリアリティが凄い。現場の罵声が聞こえてくるような錯覚に陥る。
中でも外科医速水の男気溢れる生き様の描き方はまさに剛速球投手の筆力である。氏は今の医療の現場に欠けているモノ・・・例えばオートプシー・イメージング Autopsy imaging(Ai=死亡時画像(病理)診断)や、医師用緊急ジェット・ヘリが、どういった状況下で必要不可欠で、それを阻害する主因の行動しない口舌の輩が行動する人間を批判する体質(これは医療現場だけに限らないが)がどれだけ存在しているかを知らしめるために書いているとしか思えない。それだけに読むものは読んでいて眼が覚める。
それにしても海堂氏は理系だというのになぜにこんなに国語に強いのか・・・難解な漢字の弾丸に撃たれながら最後につまらないことを思った。間違いなく今最も素晴らしい作品を書いているのはこの人だ。
・「ダヴィンチコード前作、文庫化!」
映画化も決定し、ついに文庫化になった!題名とは裏腹に、インディージョーンズばりの痛快なストーリー。主人公のロバートはミッキーの腕時計をもつアメリカン。しかし…取り扱っているテーマがでかい。科学は間違いないと日本人はまず考え、日用生活の善心が心を支えると言うだろう。しかしその心は、なにか事が迫るとき、神と思えるものに祈るのは何故だろう。
・「映画よりも原作が好き」
友人に上巻だけもらいました。映画化されたということは知っていましたが、
ダビンチコードも読んでいないし見ていないしなにより歴史、世界史が大嫌いなのでテキトーに読もうと思いぱらぱらし始めました。
最初の10ページほどは読みにくかったもののその後は一気にジェットコースター気分でした(笑)。
登場人物の対話を通して細かい歴史や状況設定が説明されていて、読んでて違和感無く背景を理解で行きました。
しかも僕の好きな量子の話があり、反物質まで出てくるのは驚きでした。
映画も見に行きましたが原作の上中下巻を読むだけで10時間近くかかるのを2時間半に収めるのは無理だったようで
感動指数は原作のほうが圧倒的に高かったです。こういう小説を読むとすごく気分がいいですね。
・「ストーリー作りの巧みさに脱帽」
著者であるダン・ブラウンの緻密な調査に基づくストーリー作りの巧みさに脱帽です。
科学と宗教とは手を結び合えるものなのか。それとも水と油のように決して混じり合えないものなのか。はたまた科学と宗教とは同じ宇宙の真理を別の観点から追求しているのか。この主題を中心に、謎解きとアクションがふんだんに織り込まれた悲劇性と意外性の強い緊迫したストーリーが展開され、全編一気呵成に読んでしまいました。
基本的に宗教が自らの自己保身のために行ってきた数多くの罪悪が糾弾されますが、しかしながら一方的に宗教を否定するほど単純な内容ではありません。思うに、宇宙の真理の探究は科学にまかせ、宗教は人を罰したり救ったりするような人格神信仰を捨て、純粋に人が人としていかに生くべきかの指針を示す倫理観や道徳観など説くべく生まれ変わる必要があるでしょう。
本作はもちろんフィクションですが、その記述の多くが真実に基づいています。例えば〈インターネットのウェブと言う概念はセルンで発明され素粒子物理学者の間で培われた〉は事実です。ただし、セルンで反物質を作り出すことはできますが、それを大量に安定して保存することは現在の技術では不可能です。その他、事実と創作が見事なまでに組み合わされており、その融合も見事です。
巻頭の芸術作品の写真やローマとヴァチカン市国の地図も良い参考になります。
ただ訳者に一言。〈Particle Physics〉は、〈粒子物理学〉ではなく、正しく〈素粒子物理学〉と訳してもらいたかったですね。
・「科学と宗教を問う」
『ダ・ヴィンチ・コード』で知られるダン・ブラウンの"ロバート・ラングドン"シリーズ、第一作『天使と悪魔』の上巻。物語の前半が描かれるこの巻は、科学的なエッセンスと宗教的なエッセンスが見事に折衷されており、先の展開を色々と予想出来る。一見、これは科学の読み物ではないかと思われる程に緻密な科学描写に好奇心を掻き立てられる。尤も、自分は理系の人間なので、子供騙しな記述に惑わされるというでもないのだが、それでも物語全体の必要十分な要素が盛り込まれている。
舞台はCERN、スイスの欧州素粒子物理学研究所、この研究所で有能な研究者が殺害され、新発見の反物質が盗まれた。殺人の真相を探ると共に、核兵器に及ぶ破壊力を持つ反物質の行方を追って、ロバート・ラングドンと研究者の娘ヴィットリアは、反物質が確認されたというヴァチカンへと急ぐ。反物質の爆発までに残された時間は僅か。国家を丸ごと瓦礫の山にしてしまう時限爆弾を止める為、二人は事件に関連する伝説の秘密結社イルミナティの存在を追う。
『ダ・ヴィンチ・コード』に比べると、歴史的・宗教的な色は薄いが、却って親しみやすい小説となっている。特に序盤の上巻は、含みを持たせる場面が多く、結末が待ち遠しい。『ダ・ヴィンチ』では様々な場面に飛火しがちな展開もあったが、この作品は主軸がある程度はっきりしており、話が不用意には途切れない点も統一感がある。 ラングドンシリーズの第一作で、どちらかというと『ダ・ヴィンチ』を読む前にこちらを読んだ方が、双方を楽しめたかも知れない。又、疑わしい刑事と護衛、事件に深く関わる女性など、登場人物は勿論の事、キリスト教の規律に訴える主題も『ダ・ヴィンチ』にも通じるところがあって、もう少しバラエティに富んでいてもよい気もするが、逆に両者を比較してみると、共通点や相違点が楽しめるかも知れない。
・「いかにも映画になりそう。」
ラングドン登場第1作。今回はスイス→ローマ・ヴァチカンが舞台。ダ・ヴィンチ・コードでもそうですが、「真犯人は誰か?」という謎解きサスペンスは作品の面白さのカギではないと感じます。
美術・歴史にちょっとでも興味があれば、本当にワクワク読めます。トンデモな部分も大層ありますが、それでも、映像を頭の中でイメージしながら読めるので、あまり複雑でも難しくもありません。
現地ロケした映像で、実際の建造物や、数々の名作をみっちりと観てみたくなります。ということで、映画化されるのは当然ですし、楽しみです。(ただ、製作費は物凄そうですが…)
ところで、本作ではラングドン教授が、まさに『たとえ火の中・水の中』の、ものすごーいアクションを見せます。(これをトム・ハンクスが演じるのはちと無理がありそう…)
読み終えてすぐに、『ダ・ヴィンチ・コード』を読み返すと、導入部でちょっとニヤリとさせられます。
・「さて次はどこが舞台かな?」
大石先生が満を持して、「北方領土」+「戦略核」の、設定の「最終兵器」まで使って書いた作品だけあって、このシリーズはやはり絶品でした。戦術核「ヴォストーク」、意外な活躍をした「シーバスター」、マニア心をくすぐった「マメタン」の花道を飾る大活躍、ドレをとっても渾身の一作ですね。
「ハーモニー・ダウン!!」で無敵の司馬サンがとうとう負傷した(「合衆国」ではMr.オメガに敵わず悔しがってましたけど)り、設定大サービスでしたが、サテ次のネタは? ここまでヤッてしまうと、「北」も一回使ってしまったし。とうとう半島を舞台に人民軍の正規部隊と殴り合いになるか… 「第二次朝鮮戦争」はまだ早そうかな。
別ラインの作品で「首相閣下」も秀作だったけど、ソッチのラストでチラっと出てた、アフガン編になるか… 興味の尽きないところです。
・「戦争絶対反対」
大石先生いつも楽しい作品をありがとうございます。今回のシリーズの完結編でしたが、読ませていただき改めて戦争の悲惨さ、戦争に勝者は居ないのだという事を考えさせられました。これからも期待しています
・「学者の書いた本と思えない」
退官した学者の書いた本……だが、全てが唐突。自らの生い立ちから始まり、話は中世に飛んだり、売春宿に飛んだり、古代の信仰に飛んだり、ものすごくとりとめない。単なるエッセイか??と思えるほど。筋道立てて論理的にある話題を分析・解析する本とは思えない。が、それぞれの章は面白く、文章も分かりやすく、頭の中に??を溢れさせてとりあえず読み進めることができてしまう。読みながら無理矢理引きずられる様な感覚がある。退官してなお、進行中の研究・思考をそのまま述べた本なのであろうか? 民俗誌という言葉から怪しげなカオス的雰囲気が漂ってくるなら、それをそのまま本にまとめたようなのがこれ。多種多様で雑多で俗っぽくて、田舎っぽくて、怪しげな神秘性を含むものをとにかく羅列して、学者自身の抱く印象・考えを片っ端から述べているだけに思われる。 ……面白かったけど、わけ分からない。
・「色んなピクトさんに出会えます。」
誰もが知らぬ間にお世話になっていて、知らぬ間に身代わりになってもらっている。
そんな有名な「ピクトさん」の本です。
日本だけでなく、海外からも寄せられた色んなピクトさんに出会えます。
こんなに肉体労働してるんだ…!くだらないけど、何だかはまるんです。
・「世の中をこんな角度で見ているとは!」
非常口の案内表示で走っている人を思い浮かべて欲しい。あの「人型」を「ピクトグラム」というのだが、世界中のピクトグラムを「ピクトさん」と呼び、人格を与え、あたかも生態系を紐解くかのように分類までし、そして彼らが世間に貢献している事(危険に対する警鐘)を称え、労をねぎらう…大笑いというより失笑に近いか? とにかく笑わずにはいられない。 そして町を歩いているときにふと目にする「ピクトさん」を、「これは落下系だな」なんて言いながら頭の中で分類し始めている自分に気づく!!
仕事で煮詰まっているときや、勉強の息抜きに、そっと開いてみたい一冊。
・「もっと早く出会いたかった。。。」
ピクトさんという名前を知ったのは今年。今までは何気なく見かけていて知らない関係ではなかったはず。なのにずっとすれ違い。。。って感じです。こんなにもいろんなところで体を張った活躍をしていたとは。ただただピクトさんには脱帽です。今では街を歩いてはピクトさんを探してしまう。そんなことになってしまっています。
・「ピクトさん、万歳」
表紙が非常にシンプルで良いと思います。内容はとても軽くて、通勤通学の合間でも読めます。「被苦人」という当て字もナイスだと思います。筆者の解説がとても面白く、ナイスだと思いました。
ピクトさん、万歳!!
・「けなげなピクトさん」
意匠そのものはシンプルなのに、こんなにヴァラエティに富む動きをしているなんて・・・。ちょっとファニーな失敗から、シリアスな事故まで、身をもって危険性を示してくれるピクトさんに感謝。そして、あまりの健気さに拍手。
・「おすすめ!」
若者の誰もが抱える不安や悩みは、なんて小さなものなんだろう。自然の中で仏教に包まれながら歩いている著者。僧侶として、人間として葛藤している様子が私には羨ましく思えた。
・「超おすすめ!」
私が読んだお遍路関係の本で、一番面白かったです(^o^)読み終わった後、気持ちがスッキリしました♪
・「死ぬまでに一度は四国巡礼に行きたくなりました!」
公園で野宿したり有料道路をひたすら歩き続けて巡礼することは、よほどの精神力がなければ、達成できないのではないでしょうか。野宿でのやぶ蚊との葛藤を想像しただけでも、大変だったことと思います。この本は、自分が頭に描いていた四国巡礼の古臭いイメージを塗り替えてくれたのと同時に、野宿はできませんが、四国巡礼に魅力を感じ、行きたくなりました。作者の方に感謝しています。ありがとうございました。
・「冒険小説として、僧侶入門書として」
東大印哲の博士課程を終えて、福井の永平寺と宝慶寺で修行した著者が思い立って30そこそこでお遍路さんに出る。托鉢で道中費をまかない、野宿をしながら2ヶ月弱、1100キロを歩き通した記録。
著者は柔道の有段者でもあるので体力的には問題はないはずだが、一寸先は闇の冒険譚になっており、淡々と書かれているのに読んでいてハラハラ、1日の日記が終わるたびにホッとするほど。
道中で考えたことが随所に挿入されているが、それがいちいち深い。仏教とは何か、禅とは何か、修行とは何か、真理とは何か……。特に僧侶が衆生をどうやって救えるのかという問題は、道中通して葛藤していたことであり、何度読んでも唸らせられる。
その他、禅宗で重んじられる坐禅と法要の法式はどう結び付けられるのかということや、現世利益の意義、菜食主義や不飲酒の是非など、僧侶として避けて通れない問題にも、真正面から取り上げていて傾聴に値するものばかり。
何よりも禅語がぽんぽんと出てきて、それを自分のこととして咀嚼していくのがすごい。訳が分からないまま引用して何となくありがたかっているなどということはなく、分かりやすい言葉で説いているのはただならぬ才能である。咀嚼するだけでなく、「葛藤記」という言葉が表す通り、大学の研究室や寺院の僧堂で培われた理念に自分の姿を重ね合わせようと努力し、それができずに慙愧するという繰り返しは、無骨なほどに真面目で頭が下がる。
貴重な歩き遍路のガイドブックとして(?)だけでなく、冒険小説としても、現代僧侶論としても面白く、示唆に富んだ本である。 私も「区切り打ち」でもいいから行ってみたくなった。
・「アッ、買わなきゃ!」
みんな買いましょう。
・「そろそろ技術的設定にムリがでてきましたね」
この著者が一貫して描いてきた「WW-2・艦隊戦シリーズ」の最新作です。前作の「巡洋戦艦・浅間」シリーズが、どちらかといえばイケイケ系でノリが良かったのに比べて、本作は一貫してシビアで緊迫感ある設定で、戦術・戦略とも良く練られています。対米戦において徹底した戦闘機重視の攻撃機掃討戦術、戦闘艦でなく補給・輸送部隊を叩くことで敵艦隊航空戦力の消耗を強いる戦術、これを反復しつつ徐々に戦線を後退させて暫減作戦を行う戦略とも、地味ながら玄人向けの設定で唸らされるものがあります。
・「空戦+陸戦+海戦」
マリアナ諸島を巡る日米の決戦を描く。クライマックス一歩手前の巻である。新鋭戦闘機「光風」vs「ヘルキャット&コルセア」、「T-34(呂号)&ヘッツァー(四式)vsシャーマン」、「鳥海vsボルティモア級重巡」と言う、陸海空の三戦を楽しめる。戦闘シーンはいつも通りの描写で新鮮味に欠けるが、手堅くまとめられているとも言える。ファンなら楽しめるだろう。
・「四国遍路の奥義が分かる」
安っぽい「お四国巡り」のガイドブックではない。宗教民俗学者五来重が探り出す四国遍路本質・奥義の講話である。第一講は八十五番五剣山八栗寺の奥の院難所から始まる。
辺路修行歩きはもともと難行苦行なのだ。弘法大師の修行した険阻な山頂や洞窟の霊場。日本民族の宗教の原点を浮き彫りにしている。上巻は44番札所大宝寺から86番札所志度寺まで、主に瀬戸内海側の札所をめぐる。下巻は1番札所霊山寺から38番札所金剛福寺まで主に紀伊水道・太平洋側の寺々。空海の名著『三教指帰』に書かれている修行の形態が「辺路」修行そしていわゆる「遍路」巡礼になっていく。
各寺の特質紹介と四国巡礼の奥義を知るには本書をお薦めする。
●知恵と慈悲「ブッダ」―仏教の思想〈1〉 (角川文庫ソフィア)
・「いざ、原始仏教の世界へ!」
角川文庫ソフィア「仏教の思想」全12回の第1巻である。
このシリーズは昭和43年から45年にかけて刊行されたロングセラー、角川書店「仏教の思想」の文庫版であり、第1部を専門の仏教学者、第2部を第一部の執筆者と第三部の執筆者である哲学者の対談、第3部が哲学者が書くというサンドイッチ型の構成になっている。
哲学者という客観的な眼が入ることにより、専門の穴にこもってしまいがちな仏教書とひと味違った立体的なものになっているのがこのシリーズが読み継がれてきたゆえんであろう。
本巻は仏教の原点である釈迦を中心とする原始仏教を論ずる。長い間、日本仏教は大乗仏教というフィルターを通して釈迦を見てきた。ところが、大乗仏典は仏陀滅後数百年経って仏陀の名の下にいわば捏造された経典群である。近代仏教学はそのベールをぬぐい去り、実に人間的な仏陀像を示してくれた。本書を手がかりに原始仏教の世界に入っていこう。
・「仏陀とは誰か」
宗派は違っても仏教徒の人が多い日本ですが、どれだけの人が仏陀という人物を知っているでしょうか。私は、この本を読んで、自分がどれだけイメージに毒されているかを知り、ソクラテスと同じぐらい、仏陀という人物に衝撃を受けました。
前知識は無しでいいので是非読んでみてください。
(ただ、第三部は読んでません。第二部の対談はまだしも、 ここで哲学者に仏教を語らせることに意味があるのでしょうか。 西洋哲学から仏教を考えるのは、読者のやることだと思いますが。。)
・「ある朝」
ある朝のことだった。通勤電車の中で中年のサラリーマン風の人が熱心に古びたハードカバーの本を読んでいた。カバーもせずに読んでおり、何を読んでいるのかなと覗き込んでしまった。それがこの本であった。司馬遼太郎の著作で評価の高いことも知っていたが、かなりの長編であるし、最近は歴史小説もあまり読んでいないこともあって、正直どうかなと思っていたがどうしたわけか読み始めてしまっていた。 新しい時代「明治」に生きる、好古、真之、子規ら松山出身の彼らの成長を読み進めるうちにいつの間にか引き込まれてしまった。新しい日本を作っていこう、国を良くしていこう、そのために自分自身で何を成し遂げようか、そういった驚くほど前向きで壮大な志しをそれぞれが持ち自分の道を進む。現代ではなんとなく抱き難い、そういった真っ直ぐな目標や夢を持ち、そのための努力をし、前に進んでいく。そんな姿に、「歴史小説」であるにもかかわらず、「オレもがんばろう!」という気にさせられてしまう。 この兄弟が特別な才能をもった特別な人間なのか?決してそうではなさそうである。著者のあとがきにもあるように、”かれらがいなければいないで、この時代の他の平均的時代人がその席をうずめていたにちがいない。” 長いこと時間をかけて全8巻を読み終えて、ようやく著者のあとがきを読んだとき、「坂の上の雲」という最高に素敵な題名をつけた司馬遼太郎にありがとうを言いたい気持ちになった。
・「胸が熱くなります。久々の感覚!」
1973年生まれの私は、当然父でさえも戦争を知りません。
この本は、職場の支店長が強烈にすすめておられたので、思い切って読み始めました。感想は、、、『支店長!ありがとう!!!』です。聞いてみると、周囲には読んだ人がとても多かった。今更ながらではあるが、でも、出会えて本当によかった。
日本人の純粋さ、まっすぐさに強烈に感動しました。
現代に生きる私たち日本人の中にも、いまだ武士の魂というものが脈々と行き続けているのでしょうか?
愚直な、現代では信じがたいほど鈍臭く真っ直ぐすぎる主人公達に新鮮な感動を覚えました。引き込まれていくのであっと言う間に読み終わることができました。もっともっと若い人たちにもどんどん読んでいただきたい。
私自身、決して戦争を肯定するものでも、帝国主義を肯定するものでもありません。ただただこの時代の人たちの生き様を目に焼き付けて欲しいと強く感じました。
今は、これを読むのが楽しみです。素晴らしい作品です。
・「明治に生きた最後の武士達」
明治という時代は一体どういう時代であったのか?を多角的、多視点的に捉えた、司馬 遼太郎渾身の一大歴史巨編。
明治維新後、急激な速度で近代国家となりつつあった日本。しかし、日清戦争後の講和条約で世界の大国ロシアに日本領土を脅かされ、日本は国の未来、日本人の意地をかけてロシアと戦争をする。その勝ち目のない戦争で日本を鮮やかな勝利へと導いた、無名の男達の群像を描いた長編歴史小説。
日本陸軍騎兵隊隊長でロシアの世界最強と言われたコサック部隊を破った伊予松山生まれの「古武士」こと秋山 好古。
その弟で日本海軍第一艦隊の副参謀で、日本海海戦で勝利を収めた秋山 真之。同じく伊予松山出身の日本歌壇界、文学界、そして、俳句界に大きな足跡を残した夭折の文学人、正岡 子!規の三人を主人公にし、明治天皇に殉死した乃木 希典、日本と大国イギリスの間で日英同盟を締結させた外務大臣、小村 寿太郎他、明治に生きた無名の武士達を取り上げた、壮大かつ秀逸でいつまでも心に大きな礎を残す感動作。
単に歴史だけでなく、その時代の世界の人々の生き方、生活、背景なども公平かつ冷静な、愛情溢れる視点で描いた、歴史に残る作品。
・「心の奥底に余韻が広がっていきます」
1巻から8巻まで読み終えました。読み終えてなんとも言えない空虚感を感じています。しかし、実はその空虚感こそが、司馬遼太郎が「坂の上の雲」で本当に書きたかったことなのではないかと思うようになりました。
・「明治という時代が本当によくわかる作品」
もうすぐNHKでもドラマ化しますし、相当認知度の高い作品で、あまり紹介する必要がない気もするのですが・・・しかし!あまりに好きな作品なので少し書かせてください。
当然星5つ。司馬遼太郎の作品で一番有名なのは「竜馬がゆく」かもしれませんが、個人的にはこちらの方が好きです。
明治維新後15年しかたたない弱小国家である日本が世界の一流国の仲間入りをするために(というか不平等条約を改正してもらうために)、涙ぐましい努力で陸海軍を増強し、結果として日清戦争で清を破り、さらにそのたった10年後にはロシア帝国というとんでもない超大国を相手に戦争を起こし、それをも結果的にではありますが戦勝国としてポーツマス講和条約に望むのです。当時としてはまさに奇跡としか言いようのない大番狂わせだったわけです。
明治に生きた3人の主人公を軸にその日清・日露戦争をジャーナリストのような視点で克明に描いているのがこの作品です。3人の主人公とは・・・陸軍初の騎兵隊を率い、当時最強といわれたコサック騎兵を破った『秋山好古』、日露戦争の勝利を決定的なものにした日本海会戦で、その作戦の全てを担った男、『秋山真之』、真之の幼馴染であり、明治期の俳句に革命をおこした『正岡子規』です。ちなみに真之は好古の弟です。
日本人ならば、読めば必ず日本人としてのアイデンティティーをそこに感じることでしょう。とかく第二次世界大戦の敗戦が直近の戦争として、よく取り上げられます。しかしたった100年前の同じ日本で、このような誇り高き戦争(もちろん戦争はよくありませんが)がおこなわれたということは皆が必ず知って欲しいことだと思いました。
日本人なら、とにかく読んでくれ!!!
・「もう一歩の踏み込みが欲しいかな。。。」
観光客的に京都を見る目線が、一般的すぎでしょうか。。。読者の共感呼ぶのかもしれないけどナルホド感がなさすぎてサラーーーッとぶゞ漬感覚で読めてしまいます
・「「敗北主義者」の汚名返上は成し遂げたものの…?」
一時、太平洋戦争を舞台にした負け戦(「八八艦隊」系)が多くて「敗北主義者」のレッテルを貼られていた筆者ですが、今作品はなんとか講和に持ち込んだようで、一区切りという感じですね。一時多かった、「設定秀逸・記述ダラダラ」というような傾向も、前作の「巡洋戦艦・浅間」シリーズあたりから冴えてきて、今シリーズは楽しめました。
ただし、前巻のレビューでも書いたように、戦術・戦略は冴えているものの、技術設定にそろそろ無理が限界にきているようで、メカに興味が強い者としては少々ムチャというか、「勝たせんかな」的な力みが感じられてきています。「鋼鉄のリヴァイアサン」以来読み継いでいる読者としては、第二次大戦モノはモウお腹一杯(本棚に並べるとどのシリーズか判別つかなくなる)状態。「東京地獄変」以外に目ぼしい近代/現代モノが少ない筆者ですが、そろそろ脱却して、現代の「北」とか中東、あるいは逆に戦国武将や古代ローマに舞台を移したシリーズを期待したいと思います。
本巻に限っては迫力も記述も十分なので、技術設定でズッコした分のみ減点して星4つ。少女萌えや奇想天外(=デタラメ)設定の「架空戦記」が多い中、しっかりした考証(最近ちょっとズルがある?)で書かれる筆者にはエールを送りたいと思います。
・「美術鑑賞を超えた本質論」
昨今の仏像ブームは結構なこと。しかし美術鑑賞に終始していては物足りないと思う向きには格好の手引書である。
願いがあって仏像は生まれる。その仏像はコスモロジーのなかにある。どのようなコスモロジーのなかに仏像はおはすのか、まず台座に注目とは目を開かされる。仏教と中国神仙思想の習合のなかに仏像があったことがよくわかった。
博物館で鑑賞するのが当たり前になっているが、じつはこれはじつに不自然なことなのだと改めて思うことだった。つぎは仏像と、仏像が安置された仏殿の空間との関係について語っていただけることを期待したい。新書にしてはかなり高度な内容だが得るところはとても大きかった。
・「仏像の創生と展開」
仏教は近代以前の東アジアにおける重要な思想文化体系であり、仏像とはその中で目に見える形をもつものであるという点で、きわめて重要な意味を持つ。 本書は日本における仏像の起源と展開、発展を総括的に論じているものである。新書としては膨大で重厚な一冊である。(インド、中国、朝鮮は直接は論じられない) 仏教の理念から、なぜ仏像が作られたかを明らかにし、日本という風土においてそれがどう発展、展開したかを詳細かつ全体的に示している。何気なくあちこちのお寺で参拝していたものであるが、壮大な文化と歴史の重みを踏まえているものなのである。
・「新境地の開拓、ですね」
この著者の一連のシリーズは、ミリタリ系・ミステリ生物系・小説系とも殆ど読んでいるのですが、これは新境地というか、新ジャンルの開拓ですね。
設定世界自体は「サイレント・コア」シリーズですが、ストーリーはタイムスリップを含めた「神はサイコロを振らない」に近い。更に、最近の著者のメルマガで盛んに描かれているサバイバル系描写(これは「サハリン争奪戦」でもありましたが)も入って、今までにないノリの作品になってます。今までの作品群の中では、「深海の悪魔」に一番近いと思いますがパロディ的要素もあってとにかく面白い。
キャラが立ってるのがナンといっても「総理閣下」。サイレント・コアの設立の秘密や、最近の量子力学の話題も盛り込まれて、更に某スペースオペラの伏線やらイラン戦争の後始末やら「タイムスリップもの」ならではのお遊びがテンコ盛り。著者自身が書いてて一番楽しかった作品ではなかろうか?
「特定のモデルは居ない」とされているお方に一部謹呈してはいかがかと思います。きっと大笑いしつつ、「この結末はねぇだろぉ!!」と唇をひんまげて抗議されそうな気がします。
本来の「サイレント・コア」シリーズとは少し違うパラレル作品、と思うのですが、これが本流になった場合、今後の音無隊長の去就が注目されますね。あと、一番笑った田口隊員の名セリフ。「この人が比嘉より使えたらどうしようか…」。滅多に感情を顕わにしないリザードが、この作品の中ではかなり感情的になって音無氏をぶん殴ったりしてるし、どうなることやら…
・「軽いSFで最高です!」
大石先生の得意な感じのストーリーです。ホントのSFではなく、もしかしたら有り得るの!?みたいな・・・先生の作品の『レイン・フォレスト』を思い出し、また『僕らはみんな生きている』のような私の好きな展開です。中学生になった息子にも読ませます。ヲタクの世界に引き込んでしまいそうです。
小学生の頃から『現代用語の基礎知識』を読みふけり、メカニックマガジンやラジオライフを読み続けている者としては先生を抱きしめてチューしてあげたい位感謝できる作品です。先生ありがとうございました
・「新たなヒーロー誕生ですな。」
笑っちゃうくらいかっこいいヒーローの誕生ですね。(いろんな意味で)老い先短いかもしれませんが、これ1本じゃなくて、あと2本くらい作品にして欲しいかも。星5つじゃないのは、将来に期待を込めてひとつ残しました。もっと活躍できる!筆者が盛んにブログで言ってますが、モデルは実在しないそうですよ。読者100人中100人が同じ特定の個人を思い浮かべるような気がしますけどね。続編が出版される、とか、映画化される、とかあと2〜3年続くと実現されるかもしれません。
・「怒らない人へ」
「怒る人は負け犬です。知性のかけらもありません。たんなる怒りで動く肉の塊です」とか、発言がストレートすぎてちょっと「ひく」人もいるかも知れないが、こういう圧倒的な真実がテンポよく語られる、ほとんど名人芸的な法話である。「怒らないこと」もちろん非常に難しい事だが、長老が冷静にしかし熱心に語っているとおり、この道を徹底できれば確実に幸福に生きられる。なにしろ、うかつにも怒ってしまうと、ストレス全開で内臓をはじめ身体に悪く、口から悪臭ただよう言葉が吐き出され、まわりの人間は不快になり負のエネルギーが環境に満ち溢れ、自分をとりまく世界は闇に包まれやがて最悪の来世への扉が開いてしまう。これは、何とかして避けなくてはならない。すなわち、「修行」の日々が始まるわけである。精神を研ぎ澄まして、自分の心に生じる「怒」の存在を常に発見し概念でつかまえてそれを消去し、恥ずかしがらないで笑顔をたやさず暮らし、プライドという自己的なエゴと嫉妬や羨望という他者的なエゴの両者を放棄しながら一所懸命に生きて行くのである。そうすれば、「たとえ泥棒が来て、私をノコギリでバラバラに切っても、私は怒らない。怒ったら私の負けだ」という悟りの境地に到達する。ま、そこまで行くのには大変な道のりがあり、おそらくは大多数の人間にとって「無理」と断言できるそこは境地であろう。けれど、そうした理想をいつも念頭においておくことは、とても素晴らしいことだと思う。その理念と現実のはざまでも、人は少しずつ怒らない生活を、つまりより幸せな人生を送ることができるはずだから。
・「なぜ怒ると損なのか、がよくわかる本」
言うことを聞かない部下に毎日怒鳴りまくっていたときに出会った本。怒鳴ってしまった後はとても心が痛むものだが、本書を読むと、怒りのメカニズムがすんなりと抵抗なく頭に入ってくる。
すべての怒りは「自分は正しい、だから相手は間違っている」というエゴから起こるもの。それなら、自分の心を直せば怒らなくても生きていける、ということが書かれている。
また、攻撃を受けたときは、相手の言葉をスポンジのように吸い込む心ではなく、水晶玉のように汚されてもふき取れるような心を持って対応すべきだ、とある。
部下が言うことを聞かないとき、普通に「指示を守ってね」と言えば問題は解決するものを、「言うことを聞かないのは、私のことをバカにしているからだ」と思い込んで、問題解決とは関係のない、自分の感情だけで怒鳴りまくっていたことに気づいた。また、その感情は「バカにされるようなことをしている」という心のやましさから起こるもので、やましいことさえなければ怒る必要はなく、怒れば自分の心の方が傷むことにも気づいた。それが、著者のいう「水晶玉のような心」の本質なのだろう。
「怒り」というひとつの感情に目を向けるだけで、ここまで人生観を変えてくれる本に、いままで出合ったことがなかった。著者の他の本も読んでみたくなった。
・「怒りについて知ることから、そしてその先へ。」
仏教や、瞑想などのアルボムッレ・スマナサーラの著作
怒りについての本。怒りは毒である。自分を苦しめ、相手を苦しめる。怒りの毒が幸せを壊していく。
どうして怒るのか?自分が正しい、自分ことが唯一正しいと思うからである。実は人間である自分は間違えだらけと知ると、怒らない。正しい怒りなんて存在しない、どこまでも自分も相手もゆるしてあげよう。
怒らないためには、まず怒っている自分の感情をしる事からである。自分が怒っているその瞬間に怒っている感情を受け止める。それだけで怒りが抑えられるもの。あと、笑いが重要だそうである。笑いについて記述がある、なんか、ホット救われる
・「この本はいい!」
「怒らないこと」は仏教の戒(十重禁戒など)のひとつで、これまでもいくつかの方法を実践してきたのですが、私にはなかなか守れなかったのです。本屋さんで平積みになっている本書のタイトルを見て思わず手に取りました。この本はいい!いっぺんでスマナサーラ長老のファンになりました。
この本を読んで今まで自分が何で怒っていたのかよく分かりました。つまり「怒りたいから」怒っていたのです。本当はもう何にでも怒りたくて怒りたくて仕方がないのです。とんでもないバカですね・・・。この本を読むと、二度と頭を沸騰させないようにすることも不可能ではないと思えます。すぐに実践します。
合掌低頭。
・「正しい怒りなどない」
世の中で不快だと感じることは多い。殺人、強盗、競争…など枚挙に暇がないが、ひとつ共通の要素を持っている。「怒り」だ。怒りが人の気分を害することは誰でも経験的に知っている。しかし、怒ることがどれほど悪いことなのかを説明できる人は少ない。そこで、本書は仏教的な見解から怒りへの深い洞察を示してくれる。
まず、スマナサーラ長老は、「幸福の仇敵である怒り」と表現している。人が怒っている時、対象を冷静な判断力をなくしてしまう。その人は相手も怒らせ、傍観者の気分をも害してしまう。つまり、人の心から生まれた怒りはまず自分のからだを燃やし、他人へも飛び火し幸福を奪ってしまう性質を持っているのだ。仏教では怒りを「炎」として表現する。なるほど燃やしてしまう性質は炎と同じだ。ほかのものを巻き込んで燃やせば、さらに火炎の勢いは増すように、怒りの炎も相手の怒りによってエスカレートする。したがって、スマナサーラ長老もおっしゃるように「正しい怒りなど仏教では成り立ちません。どんな怒りでも、正当化することはできません」(p69)なのだ。
本書を読むのに前後して、太平の世をもたらした神様徳川家康を祀る日光東照宮へ行った。そこで見た家康公の遺訓と、本書における怒りの仏教的考察との多くの類似点に驚いた。
「人の一生は重荷を負て、遠き道を行くが如し。急ぐべからず。不自由を常と思へば、不足なし。こころに望みおこらば、困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基。いかりは敵とおもへ。勝事ばかり知りて、まくることをしらざれば、害其身にいたる。おのれを責めて人をせむるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり」
両者とも、怒るのは自分が悪い。他人を赦してあげなさい。怒りを容認してはならないという点が一致している。これは実際、太平の世の中を築いてきた者の智慧である。やはり「正しい怒り」はないのだ、ということを諭された思いだ。
・「戦後派登場」
芳野満彦さんがモデルだといわれています彼は高校生のころ八ヶ岳に登り凍傷になりましたそれで足の指をすべて切断しました彼の足のサイズは普通の人の半分くらいです足が小さいのでバランスが悪い足の指先の感覚が無いので微妙なスタンスがとれないクライマーとしては致命的なハンディを負っていますそれでも命をかけて山に登るのはなぜか通常に人には狂気としかうつりません加藤文太郎が戦前派なら芳野満彦さんは戦後派です時代は変わっても山に登る人の熱い心は普遍です
・「主人公の人柄」
「孤高の人」「銀嶺の人」そしてこの「栄光の岩壁」。どの作品の主人公たちもそれぞれほんとうにすごい輝きを放っており、それぞれすばらしい、としか言いようがない。中でもこの作品は、主人公の人柄が明るく、どこかお茶目なところがあり、読後は爽快で、あたたかい気持ちにさせてくれる。登山以外でのエピソード、登場人物の人生にも胸打たれる場面が多い。元気をくれる1作。
・「山岳小説の最高峰」
戦前に幼少期を過ごした竹井岳彦は18歳のとき八ヶ岳で遭難し、凍傷によって両足先の大半を失う。足を奪われながらも強烈に山に引きつけられる岳彦。鴨居からロープをつるしての簡単な歩行訓練から始め、徐々にリハビリを重ねる。やがて”ない足”を蘇らせて、未登攀の岩壁を次々に征服し、日本人として始めてマッターホルン北壁を制覇する。彼にとっての登山の理由とは「そこに山があるから」という自然への征服欲だけでなく、半人前の足しか持たない自分が一人前以上の力を出せることを証明するための自己征服欲求があった。戦後の荒廃した空気の中でも熱くたぎる青年の血を感じることができるだろう。山岳小説の傑作。
・「戦前から現代まで」
「孤高の人」からの流れで、読んでみた。こちらも芳野満彦氏という、実在モデルがいるらしい。高校時代、凍傷で足指を失ってから、トレーニングでない足を蘇らせ、山小屋の冬季番をしたり、山仲間と触れ合いながら岩壁登りにのめりこむ前半。メーカーに就職し、山の映画の企画開催等、社会人としての奮闘、その中での出会い、結婚、そしてアイガー北壁に挑戦する…、というのがあらすじである。ガキ大将だった小学校時代から、悪役が終止付きまとう。これが、あまりにも分かりやすく悪者すぎる上に、しつこい。この悪役にもモデルがいるのかどうかが、気になるところである。創作だとしたら、やり過ぎだろう。この悪役がからんでこない、会社での奮闘や、結婚にいたるまでの部分が、一番面白かった気がする。終盤のアイガー、マッターホルンでの登攀描写は、「神々の山嶺」のような現代につながっている。
・「何度も繰り返して読んでいる本です。」
学生時代に初めて読んでから、いままで一番繰り返し読んだ本だろうと思う。実際の人物を描いた山岳小説であるが、山にまったく興味がなかったのに無性に山に登りたくなった。そして主人公の魅力に取り付かれてしまった。 何度読んでも味わい深い内容である。山について語りながらも、仕事について、恋愛について、そして人生について語っている。
先日再び高取山に登ってみた。小説の中で主人公の加藤文太郎がこの山に何度も登るシーンがあるが、いまも当時とかわらない神戸の美しい街が広がっていた。
この本との出会いは、自分にとっては限りなくかけがいのない「出会い」とでもいうべきものだったと思う。
・「ヒマラヤがゴールだったのに…」
主人公:加藤文太郎の人生を描いたこの著作は、山岳小説の域を遙かに超え、愛と命と勇気を描いた作品である。作中、そうありたい自分・そうあってはならない自分の狭間で、選択すべきを折々に悩む。しかし、遠く大きく輝いた目標を定め、決して自己を見失わない。目的達成を目論んだストイックな思考と行動は、見事である。 しかし、悪い奴もいる、文太郎の生き血を吸うやつらが…。金を無心する同級生。彼の知性を我が物としよう忍び寄り、さらには自分の失態を押し付ける影村。しかし、こうした存在もまた、いっそう小説にリアルさを補完する。 終盤、彼なりの、「命」「愛」「人間」の証明を目指し、後輩との登山を目論んだ。彼は遭難、そして死。危険な雪山を避け、安全にヒマラヤ登山に成功して欲しかった。そう考えるのは私だけではないはずです。恩師や家族や多くの登山家、そしてこの読者も同様の筈です。
・「「孤高」とは」
孤独とはいかに強く、そして脆いものか。物語を通じて、主人公の次々と達成する「単独行」という偉業を追いながら、彼の心に落とす影が見事に描かれている。「人は所詮ひとり」と、「人はひとりでは生きられない」。どちらかを選ぶ必要はないけれども、うまく折り合いをつけられず悩む主人公の姿が忘れがたい。「銀嶺の人」「栄光の岩壁」と読み比べるのもおもしろい。
・「孤高の人生」
実在の登山家・加藤文太郎の人生を、山岳小説の雄・新田次郎が描く。新田氏は富士山観測所勤務の折に故人と一度会っているという。本文中に観測所での職員とのやり取りが登場するが、実際もこんな様子だったのだろうか。
魔が差したとしか思えないたった一度のパーティによって、単独行の加藤は還らぬ人となる。結末がわかっていながら夢中で読み進め、次第に危険な方向へと向かい始める加藤の行動をこの時この人と出会っていなければ或いは・・・・・・と詮無いことを考えてみる。
若い頃の加藤は他人とパーティを組むなど考えられなかった。それは、不器用さから他人に対し心を閉ざし、常に一人で行動してきたからだ。しかし、妻・花子との生活により人の温もりを知った加藤は、もう以前の加藤ではなくなっていた。
物語のなかで、人は何故山に登るのかとの問いが何度か繰り返される。私自身、何かを振り切るように山の中に身を置いた時期があった。しかし、今あの時のような山行をしようとは思わない。あれは、当時の自分にとって必要な時間であったと今になって思う。
趣味として登る山と人生そのものを賭ける山はまったく別のものだろう。加藤氏の山はどのようなものだったのだろうか。
・「加藤文太郎の魅力が引き出せています」
新田次郎の文章力は大したものである。登山をやっていないものであっても、おそらく、文中に引き込まれてしまうであろう。
加藤文太郎は登山界において大変に有名な人であるが、それは彼の精神力によるところが大きいのではないだろうか。それ故、他人に合せず、「孤高」と言われるまでの存在になったのではないだろうか。
そんな彼が、20代後半に結婚する事によって、意識的にか無意識的にか、孤高の世界から和の世界に移り始めた。その変化を楽しんでいるときに起きた悲劇は、他人とのスタンスをいかに取るべきかという点までを考えさせる好著である。
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