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▼読んで見て聞いて幸せ - 2007上半期:セレクト商品

肌ざわり (河出文庫)肌ざわり (河出文庫) (詳細)
尾辻 克彦(著)

「独特の世界観がとても楽しい。文学が苦手でも、面白いです。」


セックスボランティア (新潮文庫)セックスボランティア (新潮文庫) (詳細)
河合 香織(著)

「切り込んだからこそ見えた現実」「私はなんと傲慢な人間なのか」「当たり前のことなのに」「心を生かすもの」「近代主義的な性の抑圧を暴露する渾身のルポ」


廃用身 (幻冬舎文庫)廃用身 (幻冬舎文庫) (詳細)
久坂部 羊(著)

「堂々としたノンフィクション形式の書き方が好き」「救済と悪業の二つ巴」「数年前に読んだけど、未だに鮮烈さが甦る」「怒濤の迫力!」「たくさんの工夫がある、身体改造ホラー」


世界の終わり、あるいは始まり (角川文庫)世界の終わり、あるいは始まり (角川文庫) (詳細)
歌野 晶午(著)

「映像化したら」「オチはありません。」「この後どこに向かって行くのか?」「悪夢の連続」「親として最悪の事態に何を為す?」


ダイヤモンドダスト (文春文庫)ダイヤモンドダスト (文春文庫) (詳細)
南木 佳士(著)

「人生いいことばかりじゃないけれど」「淡々とした美しい世界」「名作」「美しい文体」「まさに題名どおり」


昆虫―驚異の微小脳 (中公新書)昆虫―驚異の微小脳 (中公新書) (詳細)
水波 誠(著)

「昆虫機械論」「新しい昆虫の魅力を知りました」「すごいぞ昆虫!!」「脳は大きいほどいい、わけではない」「微小な昆虫の脳」


月に響く笛 耐震偽装月に響く笛 耐震偽装 (詳細)
藤田 東吾(著)

「内容は、驚くことばかりです。友人に紹介しました。」「藤田さんの誠実さが分かります」「隠される日本の一部」「事件当事者でしか書きえない渾身の一冊」「マスコミは大罪を犯している」


心にナイフをしのばせて心にナイフをしのばせて (詳細)
奥野 修司(著)

「更生とは何なのだろう」「殺人者が弁護士になるのは矛盾している。これが実話とは!」「加害者の社会復帰の在り方」「更生とは」「読んでわが身・わが人生を振り返る。」


ひかりごけ (新潮文庫)ひかりごけ (新潮文庫) (詳細)
武田 泰淳(著)

「常に己を振り返らなくてはならない」「少数者へのまなざし」「なんじゃあこりゃあ」「閉ざされた空間の物語」「読めよ戦後文学」


人はなぜ太るのか―肥満を科学する (岩波新書)人はなぜ太るのか―肥満を科学する (岩波新書) (詳細)
岡田 正彦(著)

「肥満は奥深い」「全病院の外来に置いて頂きたい良著」「肥満(予備軍を含む)に悩む人の必読書」「具体的なのがよい」「ダイエットは徐々に徐々に安全に。」


ER 緊急救命室 XI 〈イレブン・シーズン〉DVDコレクターズセットER 緊急救命室 XI 〈イレブン・シーズン〉DVDコレクターズセット (詳細)
ノア・ワイリー(俳優), ローラ・イネス(俳優), アレックス・キングストン(俳優), ゴラン・ヴィシュニック(俳優), モーラ・ティアニー(俳優)

「一区切り!! なのかな」「飽きの来ない物語」「日本ではもう十四年目位?」「カーター」「このドラマ大好きです。」


栃木リンチ殺人事件―殺害を決意させた警察の怠慢と企業の保身 (新風舎文庫)栃木リンチ殺人事件―殺害を決意させた警察の怠慢と企業の保身 (新風舎文庫) (詳細)
黒木 昭雄(著)

「日産自動車は解散して霊に詫びよ」「嫌悪そして激昂」「人命より組織の面子を優先させた2つの組織」「正義の怒り」「日産も警察も・・」


家守綺譚 (新潮文庫)家守綺譚 (新潮文庫) (詳細)
梨木 香歩(著)

「静謐な世界」「最上の水彩文人画のような」「いつまでもいつも読み返したくなる」「感覚的な情景」「日本むかし譚」


新世界 (角川文庫)新世界 (角川文庫) (詳細)
柳 広司(著)

「進化と原罪の両立」「イザドアだけの選択」「科学者たちの苦悩」「人類史上最大の犯罪」「新世界とはどんな世界なのか」


汝ふたたび故郷へ帰れず (小学館文庫)汝ふたたび故郷へ帰れず (小学館文庫) (詳細)
飯嶋 和一(著)

「大人にとっての本当の小説」「一緒に戦った気分」「小説の力を感じられる傑作」「魂が熱く燃える出直しの話」「男児志を立てて郷関を出づ」


拝啓、父上様 DVD-BOX拝啓、父上様 DVD-BOX (詳細)
二宮和也(俳優), 高島礼子(俳優), 横山裕(俳優), 黒木メイサ(俳優), 福田沙紀(俳優), 梅宮辰夫(俳優), 高橋克実(俳優), 岸本加世子(俳優), 八千草薫(俳優), 倉本聰(脚本)

「珠玉の一篇」「ドラマって本来こうだと思う」「フジTVの倉本作品」「すばらしいドラマです」「下町の風情」


老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809)) (詳細)
小川 一水(著)

「「オチ」に説得力」「個人的な感想です。真のレヴューは本書解説でどうぞ。」「読後感、爽快」「日本SF短編集の傑作、文句なし」「ネタバレがあります。気になる人は読まないで」


ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫)ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫) (詳細)
池澤 夏樹(著)

「■【自信を持っておすすめいたします!】■」「この本を読まずにハワイに行くな!」「ハワイ旅行経験者にこそおすすめ」「この本を読んでいなかったら私はハワイの地を踏まなかった」「ハワイを単なる観光地から血の通った土地と人へと認識変換させる本。文庫本なので旅行に持っていって!」


星の航海術をもとめて―ホクレア号の33日星の航海術をもとめて―ホクレア号の33日 (詳細)
ウィル クセルク(著), Will Kyselka(原著), 加藤 晃生(翻訳)

「人はどうやって海を渡るのか?」「ポリネシアの人類移動に光をあてた航海実験の軌跡」「イメージが豊かになる本」


Reef Fish Identification - Tropical PacificReef Fish Identification - Tropical Pacific (詳細)
Gerald Allen(著), Roger Steene(著), Paul Humann(著), Ned DeLoach(著)

「写真も解説も丁寧に編集されています」「Reef Fish Identification - Tropical Pacific」「海外発の美麗生態図鑑」「読みやすい!!」


宇宙の果てまで―すばる大望遠鏡プロジェクト20年の軌跡 (ハヤカワ文庫NF)宇宙の果てまで―すばる大望遠鏡プロジェクト20年の軌跡 (ハヤカワ文庫NF) (詳細)
小平 桂一(著)

「こんな仕事をしてみたい」「尊敬される国になる」「プロジェクトの記録を超えた、多面的な内容の佳作」「R&Dに10%つぎ込め!」「筆者にとっては幸せだったのか・・・?」


生命のセントラルドグマ (ブルーバックス)生命のセントラルドグマ (ブルーバックス) (詳細)
武村 政春(著)

「日進月歩の世界なら仕方のないこと」「細胞に宿る生命の神秘」「生物学の基本が学べます。」「爽快!」「第3者の視点から」


デスパレートな妻たち シーズン1 COMPLETE BOX [DVD]デスパレートな妻たち シーズン1 COMPLETE BOX [DVD] (詳細)
テリー・ハッチャー(俳優), マーシア・クロス(俳優), エヴァ・ロンゴリア(俳優), フェリシティ・ハフマン(俳優), ニコレット・シェリダン(俳優), スティーヴン・カルプ(俳優), リカルド・アントニオ・チャヴィラ(俳優), ダグ・サヴァント(俳優), ジェームズ・デントン(俳優)

「華あり毒ありの崖っぷち妻たち 」「良くできてます。」「止まらない!」「怒涛の展開に目が離せない!」「オモシロ過ぎ!」


Q&A (幻冬舎文庫)Q&A (幻冬舎文庫) (詳細)
恩田 陸(著)

「こわい。」「前置きだけでグッときました」「いつも思うけど・・・」「本当の「小説」」「やめられません、最後まで」


香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)香水―ある人殺しの物語 (文春文庫) (詳細)
パトリック ジュースキント(著), Patrick S¨uskind(原著), 池内 紀(翻訳)

「尋常ならざる傑作」「天才と狂人」「新しい認識論。」「怖い・・・ グロテスク・・・ でも読みたくなる。」「活字ならばこそ」


▼クチコミ情報

肌ざわり (河出文庫)

・「独特の世界観がとても楽しい。文学が苦手でも、面白いです。
大分前に書かれた小説です。でも、一口に小説といっても、今まで読んだことのある作家とは違った切り込み方で、初めて読んだ時は、ホントに感動しました。しかも、何度読み返しても面白い作品です。父と娘の、日常的な一コマを描いているのですが、二人の言葉のやり取りに愛を感じるし、とても面白いのです。表題作以外に6作品が載っていて、全てこの父娘のお話です。特にお勧めなのは、「虫の墓場」!父と娘で自転車をこいでいる最中に、父の目に虫が入っちゃうんですが、その時のやり取りが何ともいえずにいいんですーぅ!!文学作品って苦手ってぇ、人でも絶対ウケること間違いなし!

肌ざわり (河出文庫) (詳細)

セックスボランティア (新潮文庫)

・「切り込んだからこそ見えた現実
障害者の恋愛と性について正面から取材したルポルタージュ。

障害のない人にもありうる恋愛と性行為にまつわる葛藤と、バリアフリーや介助の問題が複雑に絡み合う現実。

実際に性の介助を行ったまたは行っている側(障害者専門の風俗嬢、ボランティアで介助する男女など)と、介助を受ける側両方のインタビューが興味深いです。

全く実態を知らなかった者として衝撃を受ける場面がいくつもありました。自分の知らなかった社会の現実を、考えさせられます。

・「私はなんと傲慢な人間なのか
 数年前知的障害者施設の園長が、障害者たちに性的暴行を加えたとして逮捕される事件があった。その時の私の感想は「あり得ない」ことだった。「あってはならない」ことではなく「あり得ない」だった。障害者に対し性的な好奇心などないのがまともな人間だと思っていた。しかしその思いは、障害者を人間として認識していないことと同じなのだとこの本を読んで痛感させられた。私は何と傲慢な人間なのだろう。頭では彼等も人間であることは百も承知、ただ実感としてなかった。小学生の時、私は知的障害者のクラスの日々の掃除当番をすすんでしていた。それは誰もがやりたからないからだった。障害者への視点が欠落していた。冒頭からショックを与えられ昔のことをずっと心にとめながら一気に読まずにはおれなかった。

・「当たり前のことなのに
本書では、身障者の性について、綺麗ごとで済ませず、ありのままに正面から見据えています。考えてみれば、身障者に限らず、老人、容姿の醜悪によって異性からセックスの対象とされない人々にも、当たり前のことですが食欲と同じように性欲はある訳で、これだけ世の中に「性」が溢れかえっているというのに、どうして今まで触れられなかったのだろう。きっと、「性」というものが、究極のプライバシーに関することであり、自分も含めてオープンにしたくないものという意識があるからだと思います。そのように考えた時に、本書がいかなる労力をもって書かれた物であるか、裏を返せば、それだけ重いテーマだと気づかされました。筆者が取材中に、「あなたが、セックスボランティアをやればいい」と言われ悩む場面があり、実際に実践した方の話がありましたが、ボランティアが、困っている人達を無償で救ってあげることだとすれば、セックスに関しても同じ事だとも思えますが、ボランティアをする側にも愛情や感情がなければ出来ない行為であり、また興味本位で相手をしたとも取られかねず、本当にこの問題の重たさを実感しました。

・「心を生かすもの
 本書は1974年生まれの女性ノンフィクションライターが、2004年に刊行した初著作を、2年後に文庫本化したものである。これまで優生保護法の影響もあって、障害者の性はタブー視される傾向があり、恋愛や結婚を最初から諦めざるをえない風潮が強かった。しかし、障害者も人間である以上、性的欲望は本来あって当然であり、実際おおっぴらに語られていないだけで、介助の現場では多くの人が性の問題と直面している。無論、そうした障害者の性的要望に応えなければならない義務は、介助者にはない。しかし現場ではそう簡単に割り切れるものでもなく、悩みながらも性の処理に応じる介護者もいる。弱みに付け込んでいるという批判を受けながらも、障害者に配慮した形でのデリヘルやホストのビジネスも登場している。普通のアルバイトがなかなかできず、障害者専門風俗で働く障害者もいれば、障害者に性の実地指導を行う人もいる。困難を抱えながらも結婚した障害者もいる。その性の中身も、純粋に下半身の処理にとどまる場合には、かえって金銭を介在させる関係の方がすっきりするが、心の壁のない人間関係を求める障害者も多く、必ずしも下半身の快楽のみを意味するものではない。著者は日本での取材と共に、先進国オランダでの、役所からの資金による商業的・社会的売春、代理恋人療法の事例も取材したが、その利用件数は予想外に少なく、また役所もあまり公にはしたがらなかった。著者自身はセックスボランティアを行っていないが、この取材を通じて自分の性についても直面せざるを得なくなり、また人間の業ともいえる性と生の不可分の関係に、改めて気付かされるに至っている。性とは自分が生まれてきた意味を確認する作業であり、したがって正しい答えなどないのではないか、という指摘の意義は重い。誠実な試行錯誤に基づく、勇気ある問題提起の書。

・「近代主義的な性の抑圧を暴露する渾身のルポ
 あまりに衝撃的な内容である。今の時代、障害者に対する理解と認知は一般的になり、公共施設ではバリアフリーなど障害者に対する環境はいくらか整備されてきた。しかしながら、障害者の「人間」の基本的欲求である「性」だけは抑圧されてきた。本書はルポだが、障害者たちの性の姿を刻銘に映し出す。さらに、これは性という問題だけでなく、障害者の人としての「愛情」への欲求が満たされることができないというディレンマを見せている。

 本書は、深く考えれば「近代的な性」への考え方の限界を示している。障害者たちは、性に関する自由を享受できない。身体的不自由だけでなく、社会的不自由を被っている。近代的なロマンティック・ラブという思考は、障害者たちを、そして性を求める障害者たちを支援したいと願う者たちをも社会的に排除する。

 本書には答えなどありえない。これまで抑圧され、タブー視された事実を明らかにしたという点で、著者を高く評価したい。

セックスボランティア (新潮文庫) (詳細)

廃用身 (幻冬舎文庫)

・「堂々としたノンフィクション形式の書き方が好き
最初に「この作品はフィクションです」等のただし書きなしで、いきなりノンフィクションぽい書き出しで始まる本。あるライターが、死亡したある医師の生涯と所業を回想する形式。途中でいかにもな感じの新聞記事や雑誌の転用が挿入される。読み進めているうちに、扱っているテーマの大きさから、さすがにフィクションだと気づくが、最後まで「フィクション」と言い切らないところはすごい。最後の最後まで登場人物の架空の医師の経歴、書いたライターの経歴が載っている。じつは私自身いまだに十パーセントくらい「もしかしたら本当にあったんじゃ?」と疑っているが、麻痺した老人の足を組織的に切断する医師はいないだろう、と自分に言い聞かせている。それくらい読んでいる側を本の世界に引きずり込んでくれる本。

・「救済と悪業の二つ巴
いきなり、作中作の中表紙が書かれるという構成にまず唖然とする。そうやって物語に食いつかれたらもう終わり。一気に引き込まれて最後まで読まされてしまう。

「廃用身の切除」などといったものはフィクションでありながら、その向こうに描かれる「介護の現在」といったものは厳然たる現実のものであり、ノンフィクションとしての迫力を持つ。その一方、主人公たる漆原医師の本性を、最後まで全貌を明かさずに少しずつ、読者に固定したイメージを持たせないように異なる角度から浮き彫りにしていく、というのはフィクションとしての迫力だ。その二種類の迫力が相乗効果で読者に襲い掛かる、強力な小説である。

そしてもう一つ特筆すべきは、これが作者のデビュー作であり、小説とは無縁の医者という職業の傍らに書かれたものだという点だろう。読んでいただければわかるが、この異色の表現方法は、小説という形でなければ絶対に実現できない。デビュー作でありながら、「小説である」という特性を完璧に利用している。ただものではない技量であり、驚嘆するしかない。

一読の価値は、十二分にある。

・「数年前に読んだけど、未だに鮮烈さが甦る
介護をする人にも厄介な、動かなくなった重い肢体を切断という、あり?かも、と一瞬思えるけど、グロテスクな発想とは別に、主人公の、人間臭さなども、丁寧に描かれていて、いまだに、鮮烈な思いとともに、心に刻まれています。ぞっとするシーンは過激すぎですが、かなり面白です。(「破裂」も、好きです。「チームバチスタの栄光」の白鳥さんより、濃いキャラの登場人物が面白いです)

・「怒濤の迫力!
これはフィクション、フィクションと唱えていなければ本当にあったことなのだと思い込んでしまいそうです。事実私はノンフィクションだと思い込みました。それほど医師やスタッフ、患者たちの描写が心が力を持って押し寄せてきたのです。

事実著者は老人デイケア施設などを得て、現在も在宅医療専門のクリニックに勤めています。現役の医師です。その現場でしかわからないこと、現場でないと感じないジレンマ、ストレス、アイデア、感情がこの作品を包んでいます。読後、私は医師を責めることができませんでした。むしろこの治療はあってもいいのではないかとすら思いました。

著者である久坂部羊は言います。「廃用身は精神的にもお年寄りを憂うつにするもので、その切断は実際にあってもおかしくないと現場医師として感じる。もちろん痴ほうの改善などは虚構だし、この残酷な療法が現実になるとは思っていない。だが事態は奇麗事で済まないところに来ており、何らかの厳しい選択は避けられないでしょう」

激しい選択。それは近い将来私たちも必ずとらなければならない決断なのです。

・「たくさんの工夫がある、身体改造ホラー
~多くの方がミステリー小説だとされていますが、私はホラー小説だと思いました。実際、とても怖い思いをしながら読みました。大成功の作品だと思います。

トレパネーションを描いた漫画が人気ですし、スプリットタンなどを取り上げたムックもあるようですね。でも本書は「趣味としての身体改造」ではなく「必然性のある身体改造」を設定して追求しているの~~が面白い。趣味なら止められるけど、必然性があれば止められないからね。とくに前半のノンフィクション書籍の体裁を取った部分は、キレイキレイで白々しい雰囲気が良い。逆に怖さを倍増させます。描写もすごい。糞尿・痰唾・脂垢・膿汁まみれの介護現場から一転、すべすべの新しい皮膚が輝く切断面。この視覚的落差はすごいなあ。架空のノンフィクション書~~籍や週刊誌記事をでっち上げた腕前もすごいし、この著者は小説にとどまらない才能を持っていると思います。~

廃用身 (幻冬舎文庫) (詳細)

世界の終わり、あるいは始まり (角川文庫)

・「映像化したら
ドラマとかアニメとかでも面白いかも竹内義和のアニメ映画「パーフェクトブルー」を彷彿させたオチは賛否両論だろうけど

ハラハラがドキドキで一気読みしてしまう本は久しぶり

・「オチはありません。
ミステリーらしいオチはありませんでしたが、大変面白かったです。うすら寒くなります。父親の身勝手な所に閉口する場面もありましたが、人間なんて所詮こんなものかも…。少なくとも私には、自分はこんな人間ではないと言い切れる自信はありません。

・「この後どこに向かって行くのか?
近頃多い子供の殺害事件。「亡くなった子には悪いけど、自分の子じゃなくて良かった」と思う方、もっと悪い事態が想像できませんか?もし、自分の子供が、児童連続殺人事件の犯人だったら・・・。

兄が殺人犯で逮捕される東野圭吾氏の「手紙」が話題ですが、スリリングという点では本書の方が上です。

ただ、エンディングはこの後どこに向かって行くのか???そこは、世界の終わりなのか、あるいは始まりなのか、答えはどこにもありません。

・「悪夢の連続
いわゆる謎解きの爽快感はまったくない。読後、カタルシスも得られない。しかし、べらぼうに面白い。読み始めたら止められない。悪夢から目が覚めたと思ったらまた悪夢という感じ。小説でしか展開できないサスペンスである。

・「親として最悪の事態に何を為す?
わが子が殺人の被害者になることは当然、加害者になることも親としての最悪の事態だ。本書はわが子へ殺人者の疑念を抱いた父親の焦燥と悪夢が描かれている。読んでいるうちに、その 悪夢を同時体験しているかのように思えてくる構成。よく知っているはずのことが輪郭すらぼやけてくるような不安と言うのか、ネタばれになるので詳しくは説明しないが、ヒーローでない小市民的な父親の迷い・ためらいを目で追いつつ、「自分ならどうする」と考えてしまう。ラストは今ひとつすっきりしない。腹を据えた主人公が幕を引くのではなく、やっと幕を開けようとするのだが・・。しかし引き込まれるように一気に読めた。秀作だと思う。

世界の終わり、あるいは始まり (角川文庫) (詳細)

ダイヤモンドダスト (文春文庫)

・「人生いいことばかりじゃないけれど
 東南アジア難民医療団に参加した経験をめぐっての複雑な思いが、信州の冷厳な風土と響きあって描かれている。今回また文庫で読み直したが、まさしく文学の王道を行くように思える作品だ。

 表題作の悲しさが特に好きだ。人生のあっけなさがよくわかる。たまには舞い上がるように幸せなこともある。でもやっぱりときどき、本当にガッカリだよ、なんて目にあう。そして、それでも私たちは生きていく。やっぱりな、なんて思いながら生きていく。死んでいく人たちは、死んでいく。

 淡々とつましく生きていく人たちを、そして死んでいく人たちを確かな筆致で描いた作品。第100回芥川賞受賞作である。

・「淡々とした美しい世界
ã"の作å"ã¯ã€è'-è€...がまだ心身ã‚'ç-...む前に書かれた作å"ã§ã™ã€‚それにもかかわらず、末期癌のæ‹...å½"医とã-て、常に死とå'き合っていたè'-è€...の「誰もが死ã‚"でいく」という事実のå-ã'止めæ-¹ã«ã€æ„Ÿå‹•ã‚'覚えます。やはりã"の中でも表題作の「ダイヤモンドダスト」が一番好きで、芥川賞å-賞というのにもうなずã'ます。ã"の作å"ã¯ã€ç¹Šç'°ãªè‡ªç„¶æå†™ã®ä¸­ã§ã€ãã®ä¸­ã§æ­»ã‚'迎える人、あるいは残された人、ç-...ã‚"だ人が淡ã€...と描かれます。そのæ-‡ä½"には、透明感さえ感じます。ã"の作è€...には、欲とか邪念とかがないのではないかというæ°-がã-ます。ドラマティックな盛り上がりや、刺激ã‚'期å¾...するå'きには、ã"の淡ã€...とã-た姿勢が物足りないかもã-れませã‚"が、キラキラとã-たダイヤモンドダストとãƒ"ンと張りつめた雪国の冬の空æ°-が、ä!¼ã‚ã£ã¦ãã‚‹ç¾Žã-い作å"ã§ã™ã€‚

・「名作
作者の人生に対する哲学が本作の随所からにじみ出ています。洗練された文章で、達観した視点から死というものを見つめている名作です。

・「美しい文体
私の友人に弁護士がいますが、彼女は弁護士を辞めて今、普通の会社で経理業務を行っています。私も含めて多くの人は彼女に対して「もったいない。なんで弁護士を続けないの?」と聞きますが、彼女の答えは「私には向いていない」というものでした。その理由は、弁護士は依頼人の話を聞き、弁護することを使命とされますが、裁判等で検察側の尋問を受けた時、明らかに検察が言っていることが正しいと思うことが良くあるのだそうです。それでも仕事と割り切って被告人を弁護するべきなのか?を常に悩むようです。本書を読んで、医師とは弁護士以上に心労の多い職業ではないか?と再確認しました。人間にとって一番悲しいことは死です。それは死んでいく本人よりも残された人の方が強く感じるものです。その死を毎日のように直面する医師という職業はある意味人間としての感情を放棄した生き物なのかもしれないと思いました。そんな医師という職業につき、それについて多少矛盾を感じている著者だからこそ書ける小説だと思いました。文体も非常に美しく内容の濃さの割には読みやすかったです。

・「まさに題名どおり
「死」とは何か?医師でもある著者は、リアルに問いかけてくる。たんたんとした文章の中に、著者の強烈な感情が埋め込まれた文学作品。私は学生時代、教科書で著者を知りました。美化して描かれがちな「死」を正面から捉えた、容赦のない作品。

ダイヤモンドダスト (文春文庫) (詳細)

昆虫―驚異の微小脳 (中公新書)

・「昆虫機械論
新書が乱立し各社がラインナップを充実させようとするあまりに玉石混交となっている新書界で、本書はさすが老舗の中公新書と感じさせる傑作だと思う。ミツバチのダンスなど昆虫がユニークな行動をとることや、領域で驚異的な能力を発揮することは既に知られているが、本書はその行動のメカニズムを脳神経の最先端の研究成果を用いて解説していく。視覚、嗅覚にはじまり、記憶力や方向感覚、個体間の情報伝達など、本書の対象領域はそれぞれが極めて複雑なメカニズムであり、従来専門家だけの領域であった。しかし、本書では興味深い昆虫の面白い現象面だけを書くのではなくそれを可能にする神経系統、更にそれが進化のプロセスでどのように獲得されてきたのかを最新の世界の研究成果を参照しつつ解き明かし、それでも一般読者がわかるように、論旨は明快で文章もわかりやすく、情報量もよく制御されている。この内容を新書にするのは読者にとっては幸運であるが、筆者は情報を編集する作業に大変手間取ったのではないかと思うが、あとがきに執筆に3年を費やしたとあって深く納得した。さらに要点を太字にするなど、途中で放り出さないための工夫が随所に見られ、著者の情熱に心打たれる。生物学の知識が全く無ければ読解は簡単ではないが、世界最先端の学者が、昆虫の微小な脳の興味深い構造と、人工知能や人間の脳を理解するヒントを丁寧に語ってくれる幸福を味わってほしい。昆虫機械が現実世界に登場する日が遠くないことを感じる、文科系の読者も楽しめる一冊。

・「新しい昆虫の魅力を知りました
 「昆虫の脳」に焦点を絞った新書です。 昆虫のユニークな行動や優れた記憶力について紹介されている本は数多いのですが、本書ではそういった昆虫の認知能力が生み出されるメカニズムにまで迫っており、一歩踏み込んだ内容になっています。この本を読んで、昆虫の新しい魅力を発見した気分です。 「昆虫の脳」に関する最新の知見が実験の段階から解説されているため、自然に読み進むことができました。ゴキブリの脳に手術を施したり、薬剤注射でコオロギの記憶力をUPさせたり、ミツバチロボットに8の字ダンスを真似させてみたりと、「へぇ、こんなこともできるのか。」と驚いてしまう実験が沢山紹介されています。 今のところ「昆虫の脳」に関する唯一の一般書でしょうか。一部難解ですが、最新生物学が分かりやすく魅力的に解説されていて、昆虫好きな人、あるいは高校生ぐらいなら十分に読みこなせると思います。

・「すごいぞ昆虫!!
恥ずかしながら、昆虫に脳があることさえよく考えたこともなかったので、個人的には新しい知識を多く提供してくれた本になった。

グラフ・写真等の資料もよく揃っているし、解説も丁寧で、新書にしてて非常に充実した素晴らしい本になっていると思う。

ただ、読み手にかなりの理解力が求められるというか、正直難しくて半分も理解できてない(笑) そんな読み方しかできなくてもこんなに面白いと思ったのだから、全てを理解できる理系の人はもっともっと面白いのだと思う。悔しい。 大事なところは強調してくれているので、細かい実験の過程は難しいけれど、大筋を掴むだけなら(昆虫の凄さを理解するだけなら)文系の人も大いに楽しめるはず。生き物好きにオススメ。

・「脳は大きいほどいい、わけではない
 科学博物館の類人猿を扱うコーナーで、初期の哺乳類・サル・類人猿・そして人類の脳の大きさを比較されているのを見たことはないでしょうか。恐竜は図体は大きくても脳は小さいなどといった話とともに、ホモサピエンスの脳の大きさがひときわ目立つような説明・展示になっていたように思います。この発想の呪縛にかかると、別のアーキテクチャーの可能性を閉ざしてしまいます。 現役バリバリの研究者が、歴史的に重要な研究に加えてご自身のリアルタイムの研究成果も使って書かれた本です。一つ一つの実験の意味を正確に理解しようと思うと難解と感じるでしょうが、結論を支える研究の組み立てと結果の解釈は刺激的です。 比較することで格段にわかりやすくなることはありますが、問題は比較対象への興味がもてるかどうかかもしれません。

・「微小な昆虫の脳
「なお本書は一般読者向けの本であるが、現代生物学の最先端の研究について解説している。(中略)読者の皆さんは、難しい部分は読み流してもかまわないので、なんとか最終章までたどり着いてほしい。無事な航海を祈る」・・・と前書きにあるとおり、私はほとんどのページを読み流してしまいました(笑)。

しかしさすが理系の方!大事なところを太線で書いてあるので、大まかに論旨をたどることができました。勿論目からうろこが落ちるような話も沢山あります。トンボの特定の単眼を飛翔中に目隠しすると(視野が暗くなったトンボが)「空でなくて、大地に向かって俺は飛んでいる!」と判断して上昇しようとする、という話には感動しました。

最近ニュートンという雑誌に「砂漠アリは帰巣距離の測定に歩数を使っているらしい」という記事があり、帰巣には匂いを使うんじゃないのか?と思っていたら、本書によるとサバクアリは帰巣方向を太陽光と偏光を使って決めているのだと知り、ようやく疑問が解けました。

本書の視線の先には生物の生存戦略、進化、という問題が横たわっているようですし、また著者の関心は「昆虫の微小脳との比較において巨大脳を駆使する生物、その代表としての人間の生存戦略の適否」にまでにも向かっているようですが、さあて大きな課題ですね。今は東北大学にいらっしゃるようですが、ますますよい研究をなさっていただきたいものです。

昆虫―驚異の微小脳 (中公新書) (詳細)

月に響く笛 耐震偽装

・「内容は、驚くことばかりです。友人に紹介しました。
非常に感銘を受けました。まずこの本を、文芸春秋社が出版を突然中止した事。いったい文芸春秋社にどんな圧力が働いたのでしょうか。また、嘘を突き通したことで、却って出世した高級官僚が実名で出ています。さらに、藤田氏の勇気ある告発を、報道しようとしないマスコミ。建設業界から広告を引き上げられることを怖れているのでしょうか。あるいは、別の圧力に怯えて、筆を折っているのでしょうか。1月にはアパグループの耐震偽装がニュースになりましたが、これは藤田氏がかねてから指摘していたものだそうです。マスコミは藤田氏を無視し続けましたが、京都市が踏み込んだことで、責任を役所に負ってもらえることから、卑怯にもその後に正義面で報道しました。腰抜けの出版社、嘘つきの高級官僚、いくじのないマスコミ、そして不正ばかりの建築業界。日本はまるで清朝末期の中国のように腐敗しています。少しでも藤田氏を応援するつもりで、何人もの友人にこの本を紹介しました。

・「藤田さんの誠実さが分かります
大人がどんどんつまらない世の中を作っていっています。してはいけない事を「いけない!」といえない世の中。人の顔色ばかりうかがい、みんながみんな自分のことばかり考えている世の中。この本を読めば、藤田さんのような人が、新しい時代を切り開くのだと感じます。応援しましょう。是非呼んでください。

・「隠される日本の一部
これほど大きな出来事をこのまま世の中が忘れていいのでしょうか私の年代ではほぼ誰も興味すら示さず、何人かにはすでに忘れられた過去のものになっているかもしれません。ふと本屋で出会うことなどない本を父が郵送で手に入れていたことはとても貴重なことでした。私には全てを理解することは難しいですが、政府とメディアについて、決してこの出来事だけにとどまらない恐ろしさを感じました今はただただ誰かもっと多くの方に(欲を言えばマスコミからの情報を鵜呑みにしている方に)この出来事について読んでほしい、そして少しでも振り返ってもらいたいです様々な「圧力」により、この本がなかなか広まらない(広まることができない)ことがとても残念に思います

・「事件当事者でしか書きえない渾身の一冊
著者は、本事件において、全くの別件逮捕により自らの会社を失った、最大の犠牲者の一人である。であるだけに、正論を述べる本書での内容も、偽善には全く聞こえない。感動の一書である。特に、国交省への通報から記者発表までの経緯は、国民として必ず知っておくべき情報だ。その経緯からすれば、発表直後からイーホームズがマスコミの槍玉に上がることが、全く理不尽なことであったことがわかる。記者発表前には、イーホームズは国交省と一体となって、事件の全容解明に取り組んでいたのである。ただの一通報者であったわけではない。事件解明のための提出書類のコピー代だけで、ウン千万円をイーホームズは負担しているのである。本件に関しては、マスコミはじめ当事者以外のいくつかの著書が出ているが、それらがただの悪者探しに終始しているのに比べ、本書からは、日本の住環境の向上へ向けての熱い思いの中で、事件を解決していこうという、執念のようなものが感じられる。当事者のみが書きうる、まさに渾身の一冊である。

・「マスコミは大罪を犯している
「きっこの日記」をとおして、この「耐震偽装隠蔽事件」を知り、この本を知った。藤田氏の執念が詰まった一冊だった。文春への圧力により、「自ら出版する」と発表した後でも、販売する書籍店への圧力があれば難しいのではないか・・・と心配していた。実際私の住む地域では手に入らない。安倍政権への大打撃材料にもかかわらず民主党をはじめ、共産党すら口チャック状態。昔から政治家や官僚の不祥事や犯罪は多数あった、いや現在でも腐るほどあるかもしれない。ただ、いつでもマスコミがそれを問題として追究し、世間の目にさらされてきた。マスコミを子飼いにし、国と政府はやりたい放題。藤田東吾は国民の命が危険だと訴え、対処方法まで国に提案しながらも黙殺され、犯罪者に仕立て上げられている。そしてなんと隠蔽を主導した官僚は昇進している。隠蔽成功のご褒美??マスコミはなぜ黙っている!この国にはジャーナリストはいないのか!!命をかける政治家はいないのか!藤田東吾がんばれ!!!

月に響く笛 耐震偽装 (詳細)

心にナイフをしのばせて

・「更生とは何なのだろう
少年犯罪史の中でも有名なこの「同級生首切り殺人事件」は、酒鬼薔薇事件が起きたときにマスコミなどにも取り上げられて、加害者の少年が今では弁護士となり、地元の名士として暮らしていることも伝えられました。それを知ったときには、「もしかしたら、人の役に立つ職業に就くことで過去の償いをしているのだろうか」とうっすら期待をしたものですがそんな自分の甘さをこの本を読んで痛感しました。現実はあまりにも残酷でした。

この本は、事件後の被害者の家族、特に妹さんの視点に立ち、被害者家族がどれほど苦しみ、破壊されていったかを生々しく綴っています。ショックから立ち直ることができず、娘をどんどん追い詰めてしまう母親そんな親に反抗しながら、自分も呪縛から抜け出ることができない妹さん読んでいて少し苛立ちすら感じたのですが、でも、もし自分の身に同じことが起きれば、やはり同じように心が壊れただろうと思いました。苛立つほどに生々しい話だからこそ、リアルに感じ、共感することができました。ここまで語ってくださったご家族の方にお礼を申し上げたいです。

一方の加害者は、国費で教育を受けて成功者となったが被害者への謝罪の言葉は一度とてなく、賠償金もわずかな金額をを払ったのみでストップ、それどころか困窮する被害者家族に金を貸し付けて恩を着せようとする。それでも法的には何の問題もないし、多分この加害者は(法的に見れば)立派に「更生」した例なのでしょう。なんだかやり切れない気持ちになりますが、では、加害者が自責の念で廃人にでもなっていれば満足かと問われれば、そういうわけでもない。いったい更生とは何なのだろう、どうあったら一番良いのだろうと、いろいろ考えさせられました。なお、著者は被害者家族の側に寄り添って書いていますので、当事者に対して公平な見方をしていないと感じる読者の方もいらっしゃるかもしれません。私は、そういう立場で書かれた本だからこそ価値を感じて★5つ付けましたが、客観的なノンフィクションを好まれる方はその辺を割り引いてください。

・「殺人者が弁護士になるのは矛盾している。これが実話とは!
少年法に問題を提起した著者の勇気と執念に一票投じたい。

・「加害者の社会復帰の在り方
1969年春、横浜の高校で酒鬼薔薇事件に相当する事件が起きた。入学して間もない男子生徒が、同級生に首を切り落とされ、殺害されたのだ。本書の大部分は、殺された被害者の苦しみというか後遺症というものがありありと述べられています。被害者の苦しみというものは一生拭い去ることがないということがわかる。母は寝込んでしまい、父はその母を支えるために必死でがんばり、妹はリストカットに走る。

本書の場合は、被害者のその後のことが中心となっている。加害者のその後は、11章で述べられているだけである。その後加害者は、弁護士になって社会復帰して暮らしているそうだ。名誉も地位も手に入れている立場で、過去の事件はリセットされたうえで社会復帰している。この加害者は、700万円の慰謝料も被害者の謝罪もしていないのではないか。ましては、被害者の心をズタズタにしているのではないか。

本書を読んだときに思ったのは、社会復帰ってどういうことだろうかということだ。加害者に使うお金のほうが、被害者に使われるお金よりも多い。加害者の方が被害者よりも法律で守られている。少年のほうがなおさらそういう側面が強い。加害者が被害者に心からの謝罪ができてこそ、はじめて社会復帰ができるのではないかと思う。加害者がのうのうと暮らしていき、被害者が一生苦しむような社会ではいけないように思う。もう少し、国が被害者にもう少し心のケアをしていくのがいいのではないか。

・「更生とは
 他の方のレビューと重複になるが更生の意味について考えさせられた。社会復帰して弁護士になるのはかまわない。かなりの努力をしただろう。では更生したかどうかについては疑問だ。作者の言うように被害者に謝罪をして許しを得てから初めて更生したと言えるのではないだろうか。少年Aが子を持つ側になっても謝罪がないというのは許しがたいことだ。法的には問題ないかもしれない、だけど人間としては最低なことだと思う。子を持つ者のすることではない。元少年Aはこの書を読むべきだと思う。この書の出現によってネット上では元少年Aの実名と勤務先が露になっている。よって多少は社会的な制裁を受けるかもしれない。それは謝罪をしなかったことで生じたものだと思う。本当の人間ならどうするか考えて欲しい。

・「読んでわが身・わが人生を振り返る。
フィクション・ノンフィクション問わず優れた作品は、読後にわが身・わが人生を振り返る機会を与えてくれます。この作品もその一つです。もちろんこの作品の問題提起が最後に出てくる衝撃的な加害者の「その後」であることは間違いありません。そのことに僕もおおいに葛藤します。それでもやはり僕の心に残るのは、残された被害者家族がその後いかに生きたのかということ。長男を殺害された残りの3人の家族だけに焦点をあてず、父親の生まれ育ち、友人たちといった周辺の人間関係までを俯瞰しながら、「その後」を照らしていきます。読み進めていく中で、かつて自分自身の両親・家族・親戚の中で起こった不幸、事件、出来事に想いを馳せてしまうのは僕だけでしょうか。家族や親戚という血縁・地縁の中にいる自分。そんな自分をあらためて見つめなおすきっかけを与えてくれる本です。おすすめ。

心にナイフをしのばせて (詳細)

ひかりごけ (新潮文庫)

・「常に己を振り返らなくてはならない
人を食べたことのある人の頭の上には光の輪が見えるという。

「人を食べる」というのはあくまで暗喩だ。

戦争中におきた事件を題材に展開される物語を通して、強烈に批判されているのは、自分が正しいを信じて疑わない人たちであると思う。

僕たちも常に己を振り返らなくてはならない。気がつかないところで人を食べていないかということを。

・「少数者へのまなざし
 はじめて読んだときには意識しなかったが、「ひかりごけ」の前半にアイヌ出身のアイヌ研究者M氏という人物が登場する。この人物の経歴から見て、彼は以前武田泰淳と北大で机を並べた知里真志保であることはまちがいないだろう。ここに知里が登場することで、あらためてここに収録されている四編に共通する主題に気がついた。 武田泰淳には、辺境に住む者、異形の者、そして虐げられた者への深い共感がある。それはおそらく中国文学者であり、中国の文化・人民に深い愛情を抱きつつ、彼らを殺すものとして戦場に立たなくてはならなかった彼の体験が影響しているものと思われる。この四編に通じて流れているものは、自らを「正しい多数派」の側に置かず、少数派の論理、犯罪者の言い分をあえて共有しようとする姿勢である。 特に彼の怒りは、かたち上その少数者たちに共感するようなポーズを取る「偽善者」に向けられる。寒村での原始共産制を研究しようとする大学人に対する怒りというかたちで「海肌の匂い」では登場するこの感情は、大作「森と湖のまつり」でさらに深化されて再登場することになる。 「ひかりごけ」ではこの姿勢がストレートに提出されている。人肉食いという「倫理的に言語道断」という犯罪を無邪気に糾弾しようとする「多数派」に対する作者の倫理的糾弾は本作に現れている通りである。 文学史上に残る名作のひとつである。

・「なんじゃあこりゃあ
 最初の『流人島にて』は正直微妙だったのだが、次の『異形のもの』はすごい。閉ざされた寺院の中で、神的ものをこきおろした激しい感情うずまく傑作。 次の『海肌の匂い』は一見いい話なんだけど、最後の五行くらいでずがんと落とされる。そして衝撃の『ひかりごけ』。 カニバリズムがテーマ。実際にあった話だかなんだか知らないけれど、そういう予備知識なしに読める。ある種のメタフィクション的な技法を用いた後半の戯曲シーンはすごすぎる。 我慢し続けた船長、つまり、何を我慢したのかはわからないけれど、果たして人の肉を食うのを我慢するのか、食わないのを我慢するのか、そういった倒錯と、やっぱり人間すべてをこきおろす微妙な救いのなさが光る怪作。

・「閉ざされた空間の物語
 「流人島にて」「異形の者」「海肌の匂い」「ひかりごけ」 物語の展開で読ませる小説ではない。 短期間の、凝縮された、濃厚な時間を描く小説集だ。 特に「ひかりごけ」は、何があったのか最初にすべて語った上で、戯曲の形でそれを描いてみせる。「何が書いてあるか」ではなく「どのように書いてあるか」が重要だという見本だ。

 「流人島にて」は笹沢佐保の「木枯し紋次郎」シリーズの第1作「赦免花は散った」を思い起こさせるが、関連があるのかどうかはわからない。おそらくないのでは。 四作に共通するのは、いずれも「閉ざされた空間」を舞台にしている、ということ。

 「流人島にて」は孤島、「異形の者」は、ある宗団の修行者集団、「海肌の匂い」は、地理的には他の村と隔!絶しているわけではないが、「共産村」と呼ばれる独特の村、「ひかりごけ」は、遭難した船乗りたちがたどり着いた小屋。

 「ひかりごけ」の場合は、小屋が舞台といってもいいのだが、最初に「私」がひかりごけを見る洞窟の中ですべての物語が行われると考えてもいい。

・「読めよ戦後文学
戦後文学の代表作とされている表題作を含む4作品には、境界での生が描かれている。海と陸との境界、生と死との境界、俗世間と聖職との境界。この本は、決して読みやすい本ではないとは思うが、読んで時間の無駄にはならない本である。

ひかりごけ (新潮文庫) (詳細)

人はなぜ太るのか―肥満を科学する (岩波新書)

・「肥満は奥深い
 医者という職業柄、この手の一般向けの本にはいつも目を光らせているつもりだが、この本はとても良い。

 最新の知識がとてもよくまとまっている。私自身も大変勉強になった。この本を読むだけで、肥満に関しては、そこらへんの医者よりも賢くなれること請け合いである。(医者の一人として言い訳させてもらうなら、肥満や栄養学については極めて一般的な問題であるにもかからわず、医学部でも医者になってからも、系統だったことを学ぶことはなく、独学で学ぶしかないのが現状なのである。)

 今話題のメタボリック症候群に関しても、定義や、その医学的意味について、混乱があることをきちんと説明している。 BMIが24ぐらいの「ちょい太」が最も死亡率が低いとの結果も載っている。  エピローグに書いてあった「肥満者に対して、最も強い差別意識を持っているのは、ほかならぬ病院の医者なのだという。医者の前に座って最初に投げかけられる言葉は、病気のことではなく、きまって太っていることに対する非難らしい。」との言葉には反省。

著者も書いているように、肥満は医学的問題だけでなく、社会問題でもある。子どものころからの食育も関わっている。 げに、肥満問題は奥深い。

・「全病院の外来に置いて頂きたい良著
 医師という職業柄なんとか患者さんに良いダイエット本はないかと探しているのだが、本書は全ての意味で最良の本である。まず、著者の力量。「何故太ると高血圧になるの?」の問いは実は非常に高度であり、医師でもそう答えられる人はいない。私などは「肥満になるとインスリン抵抗性が増大し尿酸クリアランスが低下する。それにより血管の脈波が速くなる」「レプチンが増えることで交感神経が刺激される」などと、独りよがりで意味不明の説明しか出来ない。それを著者は実に感覚に訴える説明をしてくれている(詳細は読んでのお楽しみ)こういう分かりやすい説明は物凄い力量がないと出来ない。感服した。 ダイエットのありとあらゆる状況を考慮し非常に分かりやすくかつ高度(本書程度の内容を知らない医師は幾らでもいる)に書いており、患者に勧めるどころか私自身大変勉強になった。最近メッサーをGod Handと持ち上げることが多いが、この様な方をGod Handと呼ぶべきだ。

・「肥満(予備軍を含む)に悩む人の必読書
 肥満やその類似症(コレステロール、中性脂肪など)について書かれた本や雑誌、テレビ番組は毎日のように目にする。その治療法としてのダイエットに至っては、毎年のように新しいダイエット方法が報道される。多くの人々がその都度振り回されるが、これからは本書一冊を熟読、実行すれば良いと確信できる。 本書の良い点は3つある。第一に、実際の診療経験と研究結果(かなり論文を読んでいると見受ける。)とに基づいており、かつ、広範囲に亘っている。つまりこの本一冊読めば、肥満、ダイエットなどこの関係の知識は足りる。 第二は、分かりやすいことだ。それでいて、必要な医学的知識はきちんと解説している。また、やせる方法など具体的に書いてあるし、これがまた、自分でも出来そうだという気になるような実践的な方法である。1日で読める。 第三は、第一とも関係するが、現在の医学水準で分からないことは「分からない」「はっきりしない」と率直に書いてあることだ。私にとってうれしいことの一つは、「アルコールはカロリーとして身体に残らない」とはっきり書いてあることだ。 著者には、また数年後に、それまでの医学の発達等を踏まえて改訂版を出して欲しいものだ。

・「具体的なのがよい
よくできた本です。新しい文献も引用していますし、その調査結果を鵜呑みにしている訳でもありません。また一般の人(私は薬剤師です)が読みやすいように配慮がなされています。化学式を載せずに理解してもらえるよう図を工夫しています。BMIなどの数値についても解釈の仕方を中心に紹介しています。腹筋運動やジョギングなどの運動あるいは食事療法などもそのやり方によっては無意味であることなどを具体的に記しています。

・「ダイエットは徐々に徐々に安全に。
健康体であれば、基本的に急激にやせられるというようなとっておきのダイエットはない訳で、この書にあるように迷信や流布されすぎた誤解を避けながら、少しずつ時間をかけて健康的に体重を落としていく、百里の道も一歩から始めようと、力づけてくれる。しかし現在は電車に乗っていても老若男女を問わずデブが多い。電車の座席(通常7人掛け)にBMIが30以上のデブ1人が入ると、非常に迷惑を蒙る。またどうどうと座っている。やせる為にもデブは座らない方がいいでしょうし、つり革につかまりながら、本書を通勤・通学時に読むといいでしょう。若い女性で背骨が曲がって、足がしっかりしてなく、歩き方が非常に悪い人をよく見かける。本書にきれいな歩き方が紹介されているので、是非読んで颯爽と歩いて欲しい。

人はなぜ太るのか―肥満を科学する (岩波新書) (詳細)

ER 緊急救命室 XI 〈イレブン・シーズン〉DVDコレクターズセット

・「一区切り!! なのかな
ERは昔から大好きですが、やっぱりだんだんと患者の種類がマンネリ化しているような。。でも、出演者も色々変わってきてるので衝撃や印象が変わり、とてもいいです。

今回はカーターが去って寂しい気もしますが、ちょうどいいかなとも思いますね。私的にはアビーが好きなんですが、今回でニーラも好きになりました。ニーラの恋、見逃せません!!これからは、アビー、ニーラ、レイに注目なのかな★あと、モリスも気になりますね。この後もでるそうなので何か個人的なエピソードも期待したいです。

11シーズン、10シーズンより私は好きです★

・「飽きの来ない物語
ERは大好きです!!私は高校時代から現在まで見続けていますが不思議と飽きの来ない唯一の物語だと思います。ERは約10年以上続いているので、その当時は無名俳優でちょい役で主演してたのが、今では有名俳優に成長して色々な映画や…に主演みたいな、ある意味カーターの成長をERのストーリー上で観ているのではなく実際の俳優の成長とをタブらせて見ています。24やLOSTなどの台頭でERの視聴率が低いみたいですがこの物語だけは続けて欲しいです。

・「日本ではもう十四年目位?
コレクターズボックスを買うたびに、ああ、時間が流れてるんだな、って実感します。 日本ではBSで放送開始されたのが約十四年前ですから、長いですね。ドラマの雰囲気や流れも時代とともに変化してますが、変わらない面白さがあります。

・「カーター
ある意味カーターの成長物語だった・・・。ERにひと区切りがうたれますね。

新しいキャラクターや引き続きの方々。背景がいろいろ・・・あって。目が離せません。ず〜っと。レイ。アビー。ですね。今後の注目は・・・。

楽しみにしていて。改めて、一気に観れるDVD BOX。

・「このドラマ大好きです。
今BSで放送してい観ていますが、昔のERと比べてしまうとパンチには欠けます。でもそれなりに面白く観れてしまうのがERのいいところ。サムとコバッチュの関係も気になる。アビーもレジデントになったり人生の目的を見失っていたニーラもどうなるのでしょうか・・・。ただカーターも去ってしまうし、エリザベスの去り方もちょっと納得いかない。まあ、それはロマノもそうだったけど・・・。でもまだまだスーザンもいることだし、ずっと初回限定BOXで買っていたので今回もモチロン買います!!

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栃木リンチ殺人事件―殺害を決意させた警察の怠慢と企業の保身 (新風舎文庫)

・「日産自動車は解散して霊に詫びよ
恐ろしい話だが、警察不祥事ももう不感症段階である。警察が「市民の安全」「犯罪の防止と摘発」を第一の行動原理としていると信じている人は、日本にはもはや誰もいないだろう。優先順位としては、「組織のメンツを守る」と1番目として、せいぜい8番目か9番目、「よほど暇ならやってあげてもいい事項」だ。本書は、日産社員が同僚を含む3人組の不良に拉致監禁され、両親が16回も警察に足を運んで捜査を懇願したにもかかわらず無視され惨殺された事件のリポート。著者は単なる怠慢ではない、「絶対に捜査しない」という栃木県警の強い意志の背景を探る。一般には主犯が警察官の息子であるためと思われているが、ここでは不祥事の露呈を恐れる日産自動車が県警に強い圧力をかけたという推理が成される。この推理には直接的証拠はない。だが、本書を読んだ人間は百人が百人、「それ以外にまったく説明がつかない」ということに納得するだろう。そして百人が百人、今後は同社のロゴマークを忌まわしい、血塗られたものとして目に映ずるに違いない。過去「○○事件」として社名が歴史に刻まれた企業不祥事は少なくない。が、どれひとつとっても、おぞましさ、悪質さではこの事件の非ではないだろう。何しろ未だに被害者を諭旨免職処分にしたまま取り消そうともせず恥じないのである。解散して霊に詫びよ、と言いたい。この会社は存続する価値は寸毫もない。

・「嫌悪そして激昂
テレビでこの「栃木リンチ殺人事件」の報道を聞くといつも疑問に思うことがあった。いったい事件のきっかけは何だったのか。なぜ警察は捜査を怠ったのか。どうして被害者は助けを求めなかったのか。本書を読み、いずれの疑問をも理解することができた。ささいな発端、ある「意志」に従って動かなかった警察、そして強い意志を持って犠牲になった被害者。。。しかし、そのすべてを理解するまでには、あまりにもむごたらしすぎる凄惨なリンチに目を背け、栃木県警と日産の愚行に激昂せずにはいられなかった。。。本事件は「桶川ストーカー殺人事件」と並列に語られることが多いだろうか。しかし、日産という企業が介在した本事件は「桶川…」とは異質であることを、元警察官で著者の黒木昭雄が鋭く指摘する。被害者須藤正和さんのご冥福をお祈りするとともに、本書を少しでも多くのヒトに読んでもらいたいと切に願う。

・「人命より組織の面子を優先させた2つの組織
  この痛ましい事件に際し、被害者へのご冥福、そしてご家族の無念の気持ちを察するとともに、犯人の残虐さには強い嫌悪と憤りを新たにしました。  著者は、犯人が悪いとしながらも、犯人に被害者殺害を決意させた側面として、警察の怠慢と企業の保身があったと指摘します。即ち、主犯格の父が警察官として栃木県石橋警察署で当該事件に関わっており、警察の面子として、事件自体を闇に葬りたい意思が強く働いている節があること、一方で、被害者が勤務する日産自動車側も不祥事として露見を回避すべく石橋警察署に要請していた節が見受けられることを指摘します。日産自動車が被害者の報道が公になった後、被害者宛に無断欠勤による諭旨免職を諭す内容証明を送付していたことが何より事件に対する日産のスタンスを物語っていると感じました。

・「正義の怒り
この本を読んだら、まず大抵の人間は考えるまでもなくストレートに怒りを感じることは間違いない。だからとにかくまずは読んでくださいとしか言えない。この本の特出すべき点は、加害者と怠慢な栃木県警の責任を問うだけで終わっていないことだ。往々にして警察の問題として語られがちな事件に対し、日産と加害者の親にまで視点を広げているところだ。1999年6月カルロス・ゴーン氏、日産COO就任。そして1999年10月18日「日産リバイバル・プラン」を発表。2000年5月19日 2000年度3月期決算を発表。税引き後赤字は、事業会社として連結で過去最大の6844億円。NRPの真っ只中でこの事件は起こったが、もしゴーン氏がこの事件を知っていたら何かコメントを出していたと思う。周囲の人間がおそらくスポイルしたのではないかと思う。極めて残念なことに日産とゴーン氏はこの事件に対し真摯に向き合う機会を逃した。

・「日産も警察も・・
 日産も警察も言語道断におぞましい組織であるが、また加害者の親達の態度、この本にはそれほど載ってないがその後の裁判、示談などなど、この親あってこの子あり、という感じだ。 出てくる日産社員のSや警察のある人物など、人として常軌を逸していて恥ずかしくないんだろうか?と思わざるをえない発言をする。そんな世界にいて人生の時間を使うことに虚しくないんだろうか・・。  日産自動車の社風なんでしょうか??日産の方に聞きたいくらいだ。というか内部から声を出してほしい。出さないんだろうけど。

栃木リンチ殺人事件―殺害を決意させた警察の怠慢と企業の保身 (新風舎文庫) (詳細)

家守綺譚 (新潮文庫)

・「静謐な世界
読み始めてすぐに「これはヤバイ」と思った程、いい本に出会ってしまった。本好きサイトでも絶賛されていたので早く読んでみたいと思っていましたが、大勢の方が感想を述べている通り確かに心に染みる作品でした。続きを読むためにこの本を手に取る時、自然と心が安まりました。家守綺譚に出てくる草や花というホームページがあったので、どんな植物かわかってすっきりしました。見た目にも個性のある植物が多いですね。最後のほうで征四郎が葡萄を食べない理由を語ったシーンが最高です。 これで作品が引き締まった感じがしました。文庫にすると380円という安価ですが、読む価値は計りしれません。

・「最上の水彩文人画のような
亡くなった友人の家の家守をする主人公に、庭の前栽、里山の草木や動物たちが、懸想をし、悪戯をし、語りかけてきます。一編ずつは数ページの短いものですが、それらは互いに関連し合い、大きな一幅の作品となっています。身近な自然との交歓を、ほとんど散文詩のような文体で織りなしてゆくさまは、幻想的な水彩文人画を思わせます。色彩はあくまでも淡く、それでいてまなざしはあくまでも瑞々しく、その上死者さえも活き活きと描かれています。一編ずつ慈しむように手の中で転がして鑑賞したくなる作品です。

・「いつまでもいつも読み返したくなる
ハードカバーをもう持っていたのですが、綿貫の随筆を読みたかったのと外出先でも読みたかったので文庫版も購入しました。文庫が出て、人にすすめやすくなったのも嬉しいです。綿貫の随筆には溜め息をつかせる物がありました。いい意味での溜め息です。ちゃんと最後に読んでもらいたい。連作なので、通勤通学の間に読んだりするのにいいかもしれないが、不思議と次々と読みたい気持ちにさせる。ただ穏やかな空気ただようこの物語に、どうしてそんな力があるのか上手い説明は出来ない。どこか愉快で温かみがあり、惹かれるものを感じてしまう、物語の中に息づく人々。時代も曖昧な中でさも当然な顔をして存在する不思議。純粋なエンターテイメントとしても申し分なく、美しい日本の風景の描写は、美しい。けれど、それ等だけで終わらせたくない何かがある。安易なエンターテイメントとして終わらせたくない。好き、何度もページをめくってしまう、感慨深い一冊。

・「感覚的な情景
四季の情景などが、感覚的に描かれていて、本書を眼ではなく、感覚で読んだ。あくまで理屈ではなく、感覚だ。

季節感豊かな、この作品の情景に、自然と入ってゆける。サルスベリとの会話、まるで乾物の様な河童の話、花鬼などに違和感を感じない。そして、季節は盛夏からススキ、啓蟄、満開の桜へと移りゆく。すぐに、それらの季節に同化出来る。

読む度に新しい発見がある。物語は題材別に短く区切られているので、読み返しやすい。そして、読む度に、季節感豊かな情景に浸る事が出来る。

心が洗われる。

・「日本むかし譚
“ハリーポッター”や“指環物語”にそこまで入り込めない私は、ファンタジーが苦手なんだと思っていた。しかし、それは背景のちがいなんだとわかった。本書に登場する日本のファンタジーになら容易く馴染めたからだ。

掛け軸を媒介にあの世とこの世を行ったり来たりする亡き友を筆頭に、人間に恋心を抱くサルスベリやら、徳の高い犬、河童など、本書には不思議な生き物がたくさん登場する。

アメリカでヒットするホラー映画を観ても全然怖くないが、日本の怪談に背筋が寒くなったり五感には風土と切っても切れぬ深い関わりがあるのだと実感する。それは百年昔の物語であっても何ら変わるところはないのだと思う。

−最近筆が進まなかった。執筆にはペンとインキを用いているのに筆が進まないとは。しかし、ペンが進まないと云うより、筆が進まないと云う方が、精神の在り方に即しているような気がする。(中略)文明の進歩は、瞬時、と見まごうほど迅速に起きるが、実際我々の精神は深いところでそれに付いていってはおらぬのではないか。−

とは、日本人の根幹をなす部分をズバリ言い当てられたようで、ストンと胸に落ちた。『村田エフェンディ滞土録』とシンクロしているところも楽しい。

家守綺譚 (新潮文庫) (詳細)

新世界 (角川文庫)

・「進化と原罪の両立
原子爆弾。その響きは様々な意味を持つ。この本は、原爆を生み出した科学者たちと投下した軍人を描いています。

戦争を早く終結させるため、ロシア・ドイツに対向するための兵器開発。でも、彼らにとって口実だったのではないか。

科学者にとっては自分の能力と自然界の現象の可能性との挑戦し、軍人は英雄になりたかったのではないか。一人の力では何でもないことが大勢になると大きな力になることがある。そのことをミステリー形式で私たちに訴えている。後味も悪くなく読みやすいけれど、奥は深い作品。

・「イザドアだけの選択
 島田荘司氏についての評論で、彼は隠れ社会派であるとするものを見た。その時私は、本格であり社会派であることは、別に矛盾しないと思った。その後思いついたのが、まさしく柳広司がそれではないかということだ。 この小説は本格推理であり、原爆についても非常に論議がつくされ、そして、幻想的な場面によって、原爆を追体験してしまう。もちろん、これは小説であって、ノンフィクションではないのだけれど、優れた小説はもしかしたらある点で、フィクションであることによって、本質を伝えられるのではないかとさえ、思ったのだ。 リアリティを売り物にするのではなく、実際にはあり得ないものを、その本の中でだけあり得るように見せてしまうことを追求していると、かつて、有栖川有栖は書いた。もちろん、これは引用ではなく、私の解釈だけれど。 それなら、柳広司を有栖川有栖はどう読むのか、というのがずっと気になっていたことで、今回、有栖川氏の解説も興味深く読んだ。 本格推理としての面白さはいうまでもない。しかし、柳広司の著作の内、かなりの割合で幻想的なシーンが含まれ、そして、視点人物の価値観が揺さぶられる。大抵はその後に本格推理としての解決があり、元の価値観へ回帰していくわけだけれど……。 本格推理であることと社会派であることは矛盾しないと、以前、私は考えていた。しかし、本格推理であることによって、それを追求することによってのみ描ける「社会的」なものというものが、存在するのではないかと、今は考えている。 もっともこの論議もどきは、「柳広司の小説の面白さ」とは全く関係がないだろうけど。ただ、「読めばわかる、面白いから読め」ではレビューにならないから。

・「科学者たちの苦悩
柳広司を読むのもこれで三冊目。この作品は、「原爆の父」ロバート・オッペンハイマーを主人公に、第二次大戦終結直後、つまり広島、長崎に原爆を落とした後、ロスアラモス研究所で起きた奇妙な殺人事件を描く。

謎ときがメインというよりは、彼の作品は、その時代背景や思想などを丁寧に描き、人間とは何か、歴史とは何かといったことを考えさせてくれる。

この作品も、ストーリーよりも原爆を生んだ科学者たちの苦悩の筆致が優れていると思う。しかし、日本は原爆を落とされた唯一の国なんだということを改めて意識させられた。忘れちゃいけないことだ。

・「人類史上最大の犯罪
 2003年に新潮社から出た単行本の文庫化。 人類史上最大の犯罪に挑んだ作品として知られるミステリ。明確なメッセージ性があり、政治的な話が盛り込まれ、著者のミステリというものへのスタンスが強く伝わってくる。 そういうところが、私はちょっと苦手だが、これはこれでありなのかも知れない。 もちろん、ミステリとしてもしっかりと面白い。意外な犯人、ミス・ディレクションと、きっちりとつくられているのだ。ただ、テーマの重さの前に、かすんでしまっているような気も。 物語の全体に仕掛けられた「謎」も興味深い。結局、解決は与えられないのだが、考えさせられる構成になっている。

・「新世界とはどんな世界なのか
 原爆開発の指揮を執ったオッペンハイマーが、ロスアラモスで起きた奇怪な事件をフィクションとして記録した、という体裁のミステリ。 原爆に対する強いメッセージがうかがえる作品です。事件の謎解きは主軸ではないのですが、ミステリというジャンルでなかったら私が出会うこともなかったかもしれないので、形式として筆者がミステリを選んだことに感謝したいと思います。

 原爆を開発した科学者たちは、それを投下した軍人たちは何を考え、何を求めて動いていたのか。 新世界とはどんな世界なのか。 非常に重たい問いですが、取りつかれたように夜中まで読んでしまいました。 ロスアラモスの部外者からの視点で描かれていること、時折入れ替わる時間軸、そしてまさに翻訳調なのに読みやすい文章が、リーダビリティに貢献していると思います。 広く、長く読まれてほしい小説です。

新世界 (角川文庫) (詳細)

汝ふたたび故郷へ帰れず (小学館文庫)

・「大人にとっての本当の小説
最近、エンターテイメントの小説はそれなりにレベルがあがっている気がします。

・「一緒に戦った気分
圧倒的なスピード感を持った小説です。ボクシングを題材に小説を描いた本ははじめて読みましたが、減量の厳しさや試合前の緊張感や恐怖感がビンビン伝わってきます。そして実際の試合の場面ではものすごいスピード感も体感できます。いままでこんなに臨場感のある小説を読んだことはありませんでした。著者の本は「雷電本紀」と「始祖鳥記」を読みましたが、本書はこれら2冊と全く違うタッチで書かれています。とても同一人物の小説とは思えません。飯嶋氏の懐の深さを改めて感じました。

・「小説の力を感じられる傑作
初めての飯嶋和一作品でした。濃い人物描写と昭和の匂い、そして登場人物の息遣いすら感じられる圧倒的な描写。この小説は「はじめの一歩」という傑作ボクシング漫画に確実に影響を与えています。「フリッカージャブ」「チョッピングライト」というパンチをご存知の方なら読んで損は無いでしょう。間違いなく、傑作です。これほどのボクシング小説は今後、日本では出てこないのでは無いでしょうか。

カマーン!ハイデジャロウ、カマーン!

・「魂が熱く燃える出直しの話
短編集『汝ふたたび故郷へ帰れず』です。三本収録しています。いずれもおおざっぱにいえば出直しの話です。表題作『汝ふたたび故郷へ帰れず』は文藝賞受賞作で、ボクシングを扱ったスポ根です。離島出身の主人公が、一度はボクシングからドロップアウトしながらも、故郷で自分を取り戻し、復帰戦に挑むという話。『スピリチュアル・ペイン』は、主人公の父親が子供の頃からずっと引きずっていた、戦争に連れて行かれてそのままの馬への思いを、主人公がどう受け止めるか、という話。戦争へ馬が連れて行かれた、というエピソードが時代の流れとともに忘れられる。それに対して銅像を作る主人公。ところがその銅像すらも時の流れの中で忘れられます。『プロミスト・ランド』は小説現代新人賞を受賞した作者のデビュー作です。禁止された熊撃ちにあえて挑むマタギの話。マタギとは猟師のことです。自分の進むべき道を理不尽に閉ざされ、それでも信念を貫き、そして、再出発です。

ボクシング、馬、猟師と、三作それぞれに題材は違いますが、いずれも、大人の落ち着きをそなえた文体ながらも、主人公には炎のような情熱があり、エンターテインメント的な面白さも申し分ありません。専門知識に関する細かい描写も行き届いていて、三作ともきわめてハイレベルな珠玉の短編小説です。

・「男児志を立てて郷関を出づ
表題作の「汝ふたたび故郷へ帰れず」の他、「スピリチュアル・ペイン」「プロミストランド」が収録されている。どの作品にも共通しているテーマは生まれ故郷。自分が生まれ育った土地と、そこに住む人々との心温まる交流が描かれている。故郷とは人間にとってどういう場所なのか?生まれ育った場所という地理的な意味を超越した、故郷の大切さを教えてくれる。

特に「汝ふたたび故郷へ帰れず」で、主人公のプロボクサーが、夢破れて挫折して故郷に帰ってくるが、故郷の人達との交流により再生し、カムバックの道を選ぶ過程は感動した。

人間形成において、幼少時の環境というのは非常に重要なファクターだと認識した。私も都会で一人暮らしをしているが、帰るべき場所のある事の幸せを実感した。故郷を離れて頑張っている人達に是非読んで欲しい作品だ。

汝ふたたび故郷へ帰れず (小学館文庫) (詳細)

拝啓、父上様 DVD-BOX

・「珠玉の一篇
丁寧に丁寧に作られたドラマ。あざとい展開は一切無く、平凡に見える日常の淡々とした流れを時折きらりと光る切り口で綴っていく。圧巻はやはり八千草薫と森光子のガチンコ勝負か。言葉遣いから着物の着付けまできっちり描き分けられた二人の女。愛らしく頼りなげで世間知らずにさえ見えるほうが玄人で、しゃっきりと強く自己抑制のきいたほうが素人なのが面白い。が、かわいい愛人が実は風にしなう葦のように頸い精神を持ち、しっかりした未亡人が実は今にも折れそうな心をプライドで支えていることもふと感じさせてしまう。ドラマとはこういうシーンのためにこそあるのではないか。

そして主演の二宮和也の演技は素晴らしい。こぼれ落ちそうな細やかな感情の襞を全部掬い上げたかのような表情。感動は細部にこそ宿ることを本能的に知っているのだろう。私が好きなのは周囲の大人たちがいつも彼を信頼し、いろんなこと・・・運転手、家出人探し、現金盗み出しまで・・・を頼むことだ。この素直で優しい青年が温かく見守られ、愛されていることを微塵も疑わせない。

そしていくつか絡み合って進行した問題は結局どれも明らかな解が示されないまま、ドラマは静かに終わる。現実の生活の中でも「きっぱりカタがつく」問題など滅多にないのと同じように。

二宮君にはまた是非こういう上質な作品で演技をみせてもらいたいと思う。やっつけ仕事で才能をすり減らさないうちに、そして20代前半にしかない輝きを一つでも多く映像に残しておいてほしい。

・「ドラマって本来こうだと思う
私は前作の優しい時間がすごく好きでした。 倉本作品はいつもシナリオ本も発売されるのですが、是非あわせてみていただきたいです。本当に演技派な方々が集められたキャスティングなんだと改めて思えます。 優しい時間で圧倒的演技力を発揮した二宮さんの倉本作品2作目。 全くちがったキャラクターなのでとても新鮮です。 ドラマとともにすごく癒されます。最近ではまったくみなくなったこの雰囲気はやっぱり貴重。 是非両方みてください。

・「フジTVの倉本作品
料亭「坂下」が舞台の人情コメディを倉本聰が3ヶ月で書き上げた連ドラ。 北の国からを思わせる台詞まわしのナレーションですが、じっくり観る事ができます。 なんと言っても世界の二宮に倉本ですから。板前見習いの田原一平(二宮和也)の目から見たゆっくり流れる日常を・・・いや土地売却問題でゆれる神楽坂、老舗料亭「坂下」での人情ドラマを愉しみましょう。ゆっくりと、じっくりと。回が進むにつれてジワジワと引き込まれます。倉本作品は欠かす事なく見てこそ味が出ると思われますから。 個人的には中川時夫役の横山裕(関ジャニ∞)がツボにはまっていい感じです。 笑わせてくれます!! 森山良子サンの「パピエ」もドラマの世界感に合っていて余韻が残ります。 『拝啓、父上様』題名にもなった一平の父親はいったい誰なのか?一平の恋の行方は?坂下の皆は?最後まで興味がつきない展開です。

・「すばらしいドラマです
最近見たドラマの中では、大人の鑑賞に堪えられるイチオシのドラマです。ジャニーズファンの若者にはこの情趣は理解できないかもしれませんが、丁寧に作られていて、ユーモアのセンスにも富んで、本当にしみじみと心に残る素晴らしいドラマだと思いました。八千草薫の老女将の可愛らしさにやられました。二宮和也は、倉本聰が彼を頭に置いて脚本を書いたというだけあって本当に適役でした。彼のファンになりました。TVの放送を見逃した方は是非DVDでご覧下さい。

・「下町の風情
近代化が進んでいく中で最近のドラマも風情を感じられる作品が少なくなってきました。

この作品は大好きな倉本さんの脚本で、倉本さんが二宮さんありきで作り上げたドラマ。二宮さんの昭和っぽい顔(嫌味ではないです。いい意味で)黒木さんの不思議な雰囲気、すべてがマッチしていてとても心が温かくなりました。

個人的には高橋さんの演技もとても好きでした

拝啓、父上様 DVD-BOX (詳細)

老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))

・「「オチ」に説得力
過酷な環境の惑星に発生した特異な知性生態系と人類のファーストコンタクトを描く表題作をはじめ、魅力的な中編4つを収載。他の三作はいづれも、極限的な環境における人間の反応・適応を通して、ヒトが社会を作るのか、社会がヒトを作るのかを問う。中編集という形式ではあるが、ある意味でオムニバスもしくは同じテーマの変奏曲集といった趣きである。舞台はそれぞれに、食べ物も水も限られ他人を信じられない闇の世界(「ギャルナフカの迷宮」)であったり、生存を脅かすものは何も無い代わりに刺激は一切無く全くの孤独(「漂った男」)、あるいは望むものが全て具現化される仮想空間(「幸せになる箱船」)と様々であり、その結末も三様である。私はどちらかと云うとややユーモアのセンスさえ感じさせる「漂った男」が一番おもしろかった。

80〜90年代の日本SF界の主流であった神林長平や栗本薫、大原まり子などの作家たちは、それこそ卓越したアイデアや世界を見せてくれたが、正直やや難解な作風が多く読破し消化するのに随分とエネルギーを要す傾向があった(高校時代ならばともかく、今となっては読み進める自信はない。とほほ)。読後に妙な「ザワザワ感」が遺り、時に不快だったりもした。それらと比べ小川一水は読み易い。アイデアが安易だったり、「センス・オブ・ワンダー」が先の作家に劣るというわけではない。あえて簡潔に述べるなら、「オチ」に説得力があるというところか。今回私は初めて著者の作品に触れたが、もう1つ2つ手に取ってみたいと思う。

・「個人的な感想です。真のレヴューは本書解説でどうぞ。
この中篇集のレヴューとしてはノンフィクション・ライター松浦晋也氏による本書の解説がすばらしいと思います。実際の書店で手に取ることが出きるならば読むことをお薦めします。以下は個人の感想。「ギャルナフカの迷宮」あまりにも若々しい理想的な感覚が少々恥ずかしい。人工洞窟を利用した牢獄に投獄された主人公が、そこで人々をまとめあげ、自分たちを追放した世界を改革するために旅立っていく。謎解きも、心の動きの描き方も、平均的な気がします。「老ヴォ-ルの惑星」異星人コンタクトの物語。ハードSF風の味付けの中に、感動の物語が仕込まれている。表題作としてふさわしい位置にある。「幸せになる箱庭」タイトルがネタばれかもしれません。そこそこ面白いので、それが残念。「漂った男」都合の良い設定の中でのサバイバル物ですが、タテルマ少尉とタマリ中尉のやり取りは、心を動かします。物語の締め方はやや凡庸ですが、それも許してしまうかも。以上4編、決して悪い作品ではありません。自分は星五つ付けさせて頂きます。

・「読後感、爽快
あまり普段日本人作家のSFは読んでいませんが最近の洋物の不作続きにあらすじに誘われて手を出してみました。アーサー・C・クラーク の短編集を思い出させるような面白さ、読後感のよさがありました。ハードSFの好きな人にもお勧めです。

・「日本SF短編集の傑作、文句なし
作者の小説を初めて読みましたが、和製SFでありながら、久しぶりに洋物に負けないセンス・オブ・ワンダーを感じさせてくれる作品でした。この水準であれば、英語に翻訳すれば欧米でも相当な評価を得られると思います。翻訳者の力量にもよりますが。

どの話も非常に完成度が高く、テッド・チャンやグレッグ・イーガンの短編集と比べてもひけを取らない内容だと感じました。特に迷宮の話と漂流の話は、小説を読んで久しぶりに深い感動を味わえました。

また、本書はSF的アイデアが優れているだけでなく、リーダビリティも抜群です。収録話数が少ないのが寂しいですが、SF好きな方でしたら必読です。

・「ネタバレがあります。気になる人は読まないで
4編どれもよかったのですが、私は「漂った男」にやられました。

この物語は、最初に「絆」というテーマが設定され、それに合わせて世界を創造したのではないかと思います。あまりに都合のよすぎる設定なので。

でもそんなことはどうでもよくて、私は素直に中尉の心情に泣きました。

電車の中で読んでいて、目的の駅に着いたのにやめられず、駅の外の人通りのたくさんある広場のベンチに座り込んで読み続け、最後の1行を目にした瞬間、涙が止まらなくなりました。エラク恥ずかしかったです(>_<)。

前に「第六大陸」を読んだときは何とも思わなかったのですが、こんな話が書けるとは…。

老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809)) (詳細)

ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫)

・「■【自信を持っておすすめいたします!】■
自信を持っておすすめいたします!私は現在、マウイ島に住んで11年になります。

この本の99ページから127ページ「タロイモ畑で捕まえて」に登場する人物や場所もよく知っていますし、よく会います。

著者の池沢夏樹さんは本当に、よく"本物のハワイ"を研究されていると感心いたしました。

ハワイの文化や風土、歴史を正確に伝えてくれようとしてくださっている「語り部的な本」だと思います。自然と生命に対する畏敬の念がわき出てくるような本です。ここまで詳しくハワイ文化を紹介した本は今までに読んだことがありませんでした。

この本を読んで、マウイという島に住んで、毎日、自然の恵みのなかにいられることを改めて感謝するようになりました。

どうぞ、"本物のハワイ"を感じてみたい方、ぜひ、「ハワイイ紀行」を読んでみてください!また、ハワイに旅行されるときには、どうぞ、持参してください。必ず、読んできて良かったと思いますよ。

・「この本を読まずにハワイに行くな!
 とにかく、著者のハワイへの愛情の深さが溢れんばかりに伝わってくる本だ。

 『ハワイイ紀行』というタイトルがつけられているが、内容的には紀行文というカテゴリーには全く収まりきらない。歴史・言語・カルチャー・地理学・地質学等アカデミックな内容満載であるのに、その内容は全く難しい印象を受けない。これは著者のハワイへの愛情と深い理解のたまものであろう。

 私は、4年前ハワイに初めて旅行したとき、どうしてこの本を知らなかったのか、今本当に後悔している。ガイドブックには載っていない「知りたかったこと」と「知っておくべきこと」が何故この本にここまで凝縮されているのかはまさに驚愕である。

 ハワイへの旅の前、旅の間、旅の後、全ての時のマストアイテムであると断言する。まずこの本を読め!

・「ハワイ旅行経験者にこそおすすめ
ハワイ諸島を観光でなく、著者の経験、学術的な立場や、歴史などの視点で紹介するこの本は、ハワイ未経験者でも旅行好きなら十分楽しめる。ただ、できれば一度ハワイに行ってからこの本を読んでほしい。前に行った時には何気なく通り過ぎた土地や、興味がなかった街が違って見え、次に行く時には前回とはまったく違ったハワイが楽しめるだろう。

・「この本を読んでいなかったら私はハワイの地を踏まなかった
ハワイに行ってきました。ハワイなんてショッピングするだけ・・・と思ってしまう所ですが、この本を読んでいたおかげで「奥深いハワイ」を目にすることができました。

ホクレア号、ポイ、天文台すばる、フラ、等々。

この本の内容も良いのですが、池澤さんが参考にされた本も欄外に記載されており、それを読むのが更に良いです。

どの本もかなりの面白さなのです!!

ハワイに行く前も、旅行している最中も、帰国してからも、この本は楽しめます!!

・「ハワイを単なる観光地から血の通った土地と人へと認識変換させる本。文庫本なので旅行に持っていって!
500ページを超える重量級の本。ここにいろいろな角度から見たハワイイ(ハワイではなくこう呼ぶのがハワイ語に忠実ということ)が描かれる。

火山の島ハワイ島、ハワイの動植物とその由来、タロ芋から見た農業とその搾取、カメハメハ王と帝国主義下のハワイの歴史、フラダンスとレイの真の意味、ハワイ語の保存、サーフィンの発祥地としてのハワイ、海を渡ったハワイ人とその航海術、ヨットの話、鳥とミッドウェイ島、ハワイ島の日本人がつくった「すばる」望遠鏡。

最後の二つを後に足して、この完全版ができたわけだが、僕が個人的におもしろいと思ったのは最初の火山の章。ちょうどキラウェアを観光する前に読んだので、この、今はすっかり黒く冷たくなった溶岩が、ちょっと前まではどろどろと流れていて、そこに住んでいた人の家を少しずつ飲み込んでいった事実を知った上で、生きた溶岩が海に流れ落ちるエントリーポイントを遠くから眺めると非常に感慨深いものがあった。

あと、サーフィンの話もおもしろい。どちらかというと、読書家で生真面目な印象を受ける筆者が一度サーフィンのまねごとをしただけでハマったほどおもしろい。サーファーの言葉が感動的だ。「あと一年の命ですといわれても、やるのはサーフィン。あと一ヶ月の命ですといわれても、やっぱりサーフィンをする」。僕はワイキキでやろうと思っていたら、とんでもない人の洪水だったので、結局できなかったけど、日本に帰ってきてから絶対やろうと思った。

とにかくこの本を読むと、ハワイを単なる観光地だとしか考えていない人たちにとって、ハワイを立体的で血の通った土地であることを認識させられる。僕のように観光しながら読むといいだろう。飛行機も7時間かかるし、プールサイドで一休み、読む時間はたっぷりある。

ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫) (詳細)

星の航海術をもとめて―ホクレア号の33日

・「人はどうやって海を渡るのか?
 航海術の基本は、「船の位置を求めること」と「船の向かう進路を求めること」という、空間認知にあります。まだ海図や航海計器のなかった時代の航海者たちの心には何らかのイメージマップがあり、彼らは天体、風、風浪とうねり、潮海流、海水の色、鳥や魚、陸の匂いなど、自然のもたらす様々なサインを読み解きながら航海術を実現していたのでしょう。 こうした空間認知力は海を渡る航海者だけに特有のものだったのではなく、広大な草原や砂漠を旅する遊牧民たちにもあった筈で、人間は本来そのような身体知を駆使して旅をする能力を持ちうる存在です。そして、人が自然から受け取る多くのサインの中でも、星は特に重要な役割を果たします。 本書に登場するナイノア・トンプソンは、西洋化された現代のハワイ社会で育った人です。一方、彼に航海術を教えたマウ・ピアイルッグは、ミクロネシアの離島サタワルで生まれ、幼少の頃からカヌーで大海を渡りながら生きてきた、太古から続く身体知的な航海術を今に伝える稀有な人です。 ナイノアはマウから航海術を教わる際に、生まれたときから海と接してきたサタワルの若者たちが学ぶやり方だけでは無理だと悟ります。そこで、プラネタリウムを使って星の動きについての理解を深め、それによって自分の頭にイメージマップを作り上げていきます。 こうした論理的なアプローチと、マウから学んだ身体知的なアプローチは、ホクレア号というカヌーで大海を渡るという実践を通して、ナイノアの中で一体化していきます。本書はこのナイノアの学びの過程を描いたドキュメンタリーなのですが、僕は思わず興奮して引き込まれ、一気に読み通しました。 船や航海についての基礎知識がないと少し読みづらい箇所もあるのですが、加藤晃生さんの丁寧な訳文と訳注がそれをカバーしていますので、是非多くの人に読んでいただきたい一冊です。

・「ポリネシアの人類移動に光をあてた航海実験の軌跡
本書は2006年に出版されたのだが、原著 "An Ocean in Mind" は1987年の出版で、扱われているポリネシアの伝統航法によるハワイ−タヒチ往復航海は1980年に行われたものだ。新刊書なのに内容的にはえらい古いので初めは違和感を持った。航海で使われた「ホクレア号」が2007年に来日すると言う事で出版されたのであろうか。

ホクレア号の航海は、ポリネシアの人類の放散過程が、遭難等の偶然に依るものか、それとも、意図的な遠洋航海に依るものかの論争に決着をつけようとしたものだ。遠洋航海で小さな島に到達するためには、緯度、経度、方位を正確に知る必要がある。西洋航海術では緯度は六分儀による天測、経度は天測と正確な時計、方位は(特に曇天時の)磁石を用いる事でこれが可能となっている(現在ならGPS一発で全部分かる)。それらなしに例えばハワイ−タヒチ間を航海することは長らく不可能と考えられて来た。しかし、1976年にポリネシアの航海師マウのナビゲーションでホクレア号がタヒチ−ハワイ間の航海に成功して、意図的放散派が力を増していた。

ただ、そのナビゲーションがどのような原理で行われているかは、西洋的な説明に慣れないマウから詳細を聞き出せなかった。そこで、ポリネシア人の血を引き西洋の教育の元で育ったナイノア・トンプソンが航海師となるべく訓練をし、もう一度行ったのが1980年の航海だ。その結果、ポリネシア航海術は十分な精度でナビゲーションが出来ることを再度証明するとともに、その航海術の西洋的な理解が進んだのだ。

ポリネシア航海術で用いられるのは、やはり天測が中心だ。緯度の測定には基本的には星の高度を用いるのだが、「二つの星が同時に昇る/沈む」という観測で極めて精度の良い決定が出来るというのは感心した。方位は、水平線上にある星を用いる。もう一つ感心したのが、方位決定にうねりを使う手法だ。太平洋では例えば南氷洋でできたうねりが長距離つたわることが知られている。この波の方位は安定していて、船の方位決定に使える。問題は他の波と重なっているのを見分けるのは極めて難しそうだが、訓練された人間の感覚で見分けられるというのは、ありそうな話で、曇天での方位決定という問題がこれで解決する。航海師マウは船の船倉で揺れを感じているだけで、船の方位が分かると言う。

経度については、一定の方位である緯度まで進んで、それから方位を転換することで、経度の計測無しでも航海は不可能ではない。目的の島の緯度に島の風上側で到達するように航路を設定して、その緯度に達したら緯線に沿って風下へ進む事で島を発見する。それで島が見つかるかと言うと、海水、鳥、波を注意深く観察すれば島の影響領域は広く、100km離れていても島の方位を知る事ができるという。西洋文明に毒された我々は過去の技術を過小評価しがちであるが、復元できてみると極めて高度だし面白いという典型の一つである。

このレビューでは技術的な面のみを取り上げたが、ナイノアが航海術を獲得して行く間の人間模様、航海の記録、そしてプロジェクトの危機など、記録文学としても非常に面白い。翻訳もこなれていて読みやすく、お薦め。ただ、タイトルは原著のロマンが失われているように感じて少し残念。もっとも、『心の中の海』というタイトルでは手に取る事もなかっただろうから、適切なタイトルなのかもしれない。

・「イメージが豊かになる本
最初は星の見つけ方がつづくので、ちょっと引いてしまいましたが、そこをこらえて読むと、いつの間にか自分が大洋のなかにいて古代ポリネシアの人たちといっしょに波間に揺れているような気がしてきました。わたしたちが忘れかけている何かを思い出せてくれるなかなかの良書だと思います。

星の航海術をもとめて―ホクレア号の33日 (詳細)

Reef Fish Identification - Tropical Pacific

・「写真も解説も丁寧に編集されています
洋書の図鑑は、なかななか、出版されてなくて、手にとって見るチャンスがありませんが、この本は、スキューバダイビングをしている人には、特にオススメの内容です。写真は全てにおいて、カラーで表示され、解説も丁寧に一つ一つ書いています。海外の海だけでなく、日本の海にも対応しています。魚の英語名(俗名と学術名)の両方を覚えるにも、最適です。今は、円高ですので、特に手に入りやすいときかと思います。

・「Reef Fish Identification - Tropical Pacific
太平洋ほど私たちの想像力を膨らませる場所はありません。未開の地もまだ多く、ある島々にしか棲息しない魚のなんと多いことか。今まで著者たちが撮りまくった中から種類毎に1~3枚の写真を使い、手短にしかし要を得た解説を施しています。最新の分類にのっとった学名を紹介、写真には細い線を容れヴィジュアルな鑑別に役立ちます。種類数は圧倒的で、海域もインドネシアまでカヴァーしました。価格も抑えられお買い得ですが、今後10年は使える集大成とも言えましょうし、海水魚に興味を持つ人なら必携と言えるでしょう。

・「海外発の美麗生態図鑑
海外の図鑑にしては、国内のモノにひけをとらない非常にきれいな生態写真が載っています。しかも、同定のポイントとなる模様や形態の特徴が図解されている種も多く、とてもわかりやすいです。もちろん英語で書かれていますが、見たこともないような種も載っており、パラパラとめくるだけでも面白い一冊です。

・「読みやすい!!
日本に生息するものもいるのでかなり見やすいです。また、日本語の図鑑と照らし合わせることで英語での表現や英名を覚えるのにも役立ちます。魚類を専攻する大学生や太平洋圏でのダイビングや海遊びにも重宝すると思います。英語も読みやすく入門書としてもいいのではないでしょうか?

Reef Fish Identification - Tropical Pacific (詳細)

宇宙の果てまで―すばる大望遠鏡プロジェクト20年の軌跡 (ハヤカワ文庫NF)

・「こんな仕事をしてみたい
一級の人が一級の仕事をして一級の文章で本を書くと、こんな素晴らしい本が出来るんだというお手本のような一冊です。著者は学者としても当然一流でしょうが、プロジェクトマネージャー、タフネゴシエーター、作家としても超一流です。こういう人がいないと、ビッグプロジェクトは成功しないということが手に取るように分かります。一方で、すばるプロジェクトの合間に語られる著者自身の研究内容も魅力的です。人生一度はこんな仕事をしてみたい、しかも20年がかりの、そんな気にさせられる一冊でした。

・「尊敬される国になる
技術的な話ばかりかと思いながら読み始めました。もちろん望遠鏡に関する話題も豊富ですが、ハワイに高価な望遠鏡を設置するための国内の法的な支援体制を整えるための苦労が大きかったのがよくわかりました。例えば、すばる望遠鏡とその付帯施設は国有財産であり、それを外国の領土に設置すること自体に前例がなかったこと。あるいは天文台を管轄する文部省には予算を自由に使うことは許されず、すべて大蔵省に裁量権があること。その他、もろもろの苦労がこの本にはまとめられており、完成して最初の画像を発表した時の興奮が、読者にもよく伝わってきました。そして昨今の行政改革が長期的視野を欠いており、また短期的な利益を求める風潮に対し、尊敬される国になるために必要な基礎研究が大切であることも理解できました。

・「プロジェクトの記録を超えた、多面的な内容の佳作
標高4000mを超えるハワイ島のマウナケア山頂に、日本が所有し運用する世界最高性能の天体望遠鏡を擁する「すばる天文台」が出来るまでの20年間の記録。プロジェクトの発案者であり主導者であった天文学者の著者によって、大プロジェクトが実現されるまでの様々なドラマが記録されている。

日記を元に書き起こされているので、個人史的に偏るところも見受けられる。しかし内容は多面的であり、プロジェクトマネージメント、技術の挑戦、お役所の制度との戦い、プロフェッショナル・科学者・国際人・家庭人の生き方や天文学とはどういう学問なのかの紹介など、読み手によって印象が変わる著作だ。プロジェクトX的な臭いが気になるものの読み物として面白く、天文学に興味がある人はもちろんどのような読者にも訴える作品だ。個人的には、国の制度や予算獲得と運用の硬直性を描いたところや巨大望遠鏡を作る過程をのぞき見ることが面白く、また、著者が考える国際化とは何かについて共感をした。

・「R&Dに10%つぎ込め!
大きなプロジェクトを実施するためには、事前に十分なR&D(研究開発)が欠かせません。R&Dを十分行うことなく大きなプロジェクトに突入すると、失敗のリスクが大きくなります。リスクを減らすためには、それなりのお金を使ってR&Dしなくてはなりません。

すばる望遠鏡は、400億円の国家予算を使った大プロジェクトでした。小平さんによると「すばる望遠鏡のR&Dには、10年間で4億円しかかけていない。それしか予算がつかなかった」と言っていました。欧米では、RandDに本予算の10%くらいかけるそうです。そうすると、失敗のリスクがほとんどなくなる。

ところが、すばる望遠鏡のR&D費は本予算400億円の1%ぽっちだったということです。とすると、日本はRandDに金を出さないので、バクチみたいになっちゃうのではないでしょうか。

すばる望遠鏡は、少ないR&D費で成功を収めたわけですから、日本の技術力はすごいものだとも言えます。でも、RandD費が少ないため、リスク回避のために過剰設備になる、という面はないのでしょうか。R&D費をケチったために、他の部分で無駄が発生しているようにも思えます。

日本では失敗した大プロジェクトも多いようにも思えます。たとえば原子力船陸奥とか。あからさまに失敗だったとは言わず、「一定の成果が出た」なんて評価のものは、実質的に失敗のように思います。R&Dに10%程度の費用をかずに本格的な建造をしてしまったから、失敗したのではないか。この本を読んで、そんなことを思ったりしました。そんなことを思いましたが、実際はどうなんでしょうか。

・「筆者にとっては幸せだったのか・・・?
 ふと思ったんですが、科学者として、一研究者として、自分の研究に全身全霊を打ち込んでいくのと、こういう大きなプロジェクトに最初から最後までリーダーシップを発揮するのと、どちらが筆者にとって幸せなんでしょう?もし小平先生にお会いできるんでしたら一度伺ってみたいものです。 内容はやはりというか、前例のないことに幾度も壁にぶち当たり、それを周りの理解協力を得て何とか乗り越えていく。淡々と書かれてありますが、ものすごい苦労があったんだなぁとしみじみ思います。特に主鏡の運搬はホンの数行でしか書かれてませんが、私自身運送業に従事してますのでどれだけの苦労があったのか、なんとなくですが判るつもりです。  国家予算のつけ方も、これから見直して欲しいものですね。

宇宙の果てまで―すばる大望遠鏡プロジェクト20年の軌跡 (ハヤカワ文庫NF) (詳細)

生命のセントラルドグマ (ブルーバックス)

・「日進月歩の世界なら仕方のないこと
RNAを中心とした遺伝子の話をうまくまとめている本です。知識のリニューワルという本書を読もうとした目的を充分に果たすことができました。悔しいのは、現時点では解明されていないことが多いこと。「どのような役割を司っているのかは不明」といった消化不良がおおいこと。日進月歩の世界なら仕方のないことですが。

・「細胞に宿る生命の神秘
「細胞内でDNAからタンパク質が作られる」ということがどういうことか、かなり詳細に、しかも、明快な文章で、わかりやすく、解説しており、とても面白い内容でした。

・「生物学の基本が学べます。
DNA→RNA→たんぱく質の流れがわかりやすい例を挙げて説明されているため、大学一年時の基礎生物学を苦手にしている人にお勧めします。高校受験で生物未修了者は読んで損はないと思います。

・「爽快!
難しい内容なのに、すいすい頭に入ってくる。知らなかったこと、びっくりする新知識、まだわかっていない未知の大海原、それらが心地よい知的興奮を伴って押し寄せてくる。息をつく間もない爽快感で一気に読んでしまった。

前著「DNA複製の謎に迫る」でも感じたのだが、この著者、文章がすごくうまい!難しいことを難しく感じさせない文章の妙。たとえ話の巧さ。研究の現場にいる者ならではのこぼれ話。楽しくてしかたがないというのが伝わってくる。だから読者も楽しくなる。

・・・とはいえ、本当に難しい内容なので、分子生物学の基礎知識はある程度あったほうがいいとは思う(少なくとも高校レベルは必須?)

・「第3者の視点から
ブルーバックスでは、研究の最前線にいる人がライバルの話も含めて、レビューをしている内容が多いが、本書は第3者的な視点で描かれており、教科書のような記載です。

最終章でRNAワールドのことが書かれていますが、これはセントラルドグマを覆すというよりは補完していく発見だと思いました。

生命のセントラルドグマ (ブルーバックス) (詳細)

デスパレートな妻たち シーズン1 COMPLETE BOX [DVD]

・「華あり毒ありの崖っぷち妻たち 
 NHKで放映が決まったときは一悶着あったらしいです。デーブ・スペクター氏などは「NHKが?信じられない!」という趣旨の発言をしていたので、お色気路線のソープドラマかと思ったら・・。とんでもない。お色気は実はスパイスで、本筋はアメリカ中流階級の人々が織成す本格的心理ドラマ。ビターなユーモア、男と女の心理戦、女たちの見栄合戦など、瞬きする間も惜しいほどのエピソードが満載。それをいずれ劣らぬ華と毒のある女優群が烈しく、そして冷たく演じています。現代アメリカ人のある一面を拡大コピー的に活写しているという点で、最高の時事番組とさえいえるかもしれません。

・「良くできてます。
アメリカで友人に薦められてSeason3のTV放映を見てから興味を持ちSeason1のDVDセットをとりあえず購入。週末に寝る間を惜しんで全話制覇し、次の日に待ちきれずにSeason2のDVDセットも購入。正直少々現実ばなれした設定が多いですし、主人公の4人の女性はかなりクレイジーですが、どのエピソードも本当によく出来ていて、時にホロッとし、テンポの良い会話と次々と起こるありえない事件に爆笑し、先の見えないサスペンスにドキドキさせられます。今まで見たアメリカのTVドラマの中では24かFriendsが一番面白いと思っていましたがThe Desperate Housewivesは私の中でこの2作品を超えそうです。アメリカ人の友人達がハマル理由がわかりました。ちなみに主人公たちの話す英語は非常に分かりやすいので、英語を勉強中の方にもお勧めです!

・「止まらない!
女性4人が主人公という事で初めは『SEXANDTHECITY』と比べながら見ていましたが…とんでもない!全くの別物。ドラマ版『アメリカンビューティー』といった所でしょうか。とにかく見始めると止まりません!どんどん話に引き込まれるし、4人の女性の魅力に圧倒されます!要素の中に結婚とは?人生とは?と考えさせられる部分がたくさん有ります。ヒューマン、サスペンス、コメディ盛りだくさんでどんな方でも楽しめる作品です。

・「怒涛の展開に目が離せない!
 今NHKであっているものを見てハマリました。いくつもの謎をベースに笑いあり涙ありほのぼのありコメディーあり。私はサスペンスが大の苦手なのですがこれは不思議なくらい見やすくて夢中になっています。

人間とは多かれ少なかれ秘密と罪を持って生きているのだと再確認してしまいます。人の救いようのない愚かで醜い部分を垣間見ているようで結構落ち込んだりもするのですが、「人間ってまだ捨てたもんじゃないかも」と思える優しい描写もちゃんとあって、人間の心理を捉えるのが上手いなぁ〜といつも思います。

こういうドラマが日本にもあったらなぁと思います。日本の今のドラマつまらなすぎ!と退屈に思う人にはオススメです。

・「オモシロ過ぎ!
母がレンタルしてきたのが最初。面白いから見なよ〜見ないと損するね!の母の強引(?)な言葉にそこまで言うならと1本見たところ、ハマっちゃいました!フツー(?)の主婦たちがある事件をきっかけにデスパレート化していく様は見物です。あり得なそうであり得る日常をテンポよく追うストーリー展開は見ていて飽きません。綺麗な家に庭も素敵!百聞は一見にしかず!ぜひぜひ見て下さい!見ないと損しますよ(笑)

何度見ても飽きない私はボックスを購入。続きが気になってシーズン2も購入しちゃいました(笑)

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Q&A (幻冬舎文庫)

・「こわい。
淡々と進んでいく問答。淡々と綴られる物語は、少しずつ歪んで加速していく。

最初は無感動にページをめくっているのに、だんだん続きを読むのが怖くなる。

怖いです。ひたすら恐怖が続きます。ここにいる人たちは、あなたの隣人で、家族で、あなた自身です。

タイトル通りの『Q&A』 質問と回答しか書かれていない。ある出来事について、さまざまな質問がされ、さまざまな角度から検討がされる。しかし、この事件とも事故とも判らない出来事がメインなのではない。メインはあなた自身。

既作でも感じられたが、作者は読者を平気で置き去りにする。置き去りにされたら、読者は途方にくれるしかない弱者だ。

話の筋より人間の狂気より、何よりこんな話を考えた恩田陸が一番怖い。

・「前置きだけでグッときました
「2002年2月11日(祝)午後2時過ぎ、都内郊外の大型商業施設において重大死傷事故発生。死者69名、負傷者116名。未だ事故原因を特定できず――」

どうです? この前置きだけでゾクゾクきませんか?

タイトルが示すとおり、本書は“質問する者”と“回答する者”の会話のみで成り立つ、という一風変わった構成になっています。

インタビュー形式あり、タクシー車内での他愛もない会話(実は…これが怖い)あり、と様々なシチュエーションでQ&Aが繰り広げられます。人間が本質的な部分で持つ狂気をえぐり出すような会話術がお見事!

前後の会話が少しずつ絡まりあって編み出される独特の世界観が本書の肝かと。文庫本で400ページ近い作品ですが、謎が謎を呼ぶような展開の妙に、一気に読破してしまいました。

これはオススメ!

・「いつも思うけど・・・
確かに、この作品を恩田陸を初めて読む人には勧めないが・・・。だって恐いもん。

だが、やはり恩田陸の想像力というか妄想力、夢想力が凄い。あといっつも思うけどこの人、相当先見性あるよね?古臭いようで、結構時代を先取りする事旨いと思う。

・「本当の「小説」
「2002年2月11日午後2時過ぎ、都内郊外の大型商業施設において重大死傷事故発生。死者69名、負傷者116名。未だ事故原因を特定できず―。」



爆笑の太田が絶賛していた小説。

題名のとおり、1ページ目から最後のページまで質問と回答という会話だけで書かれている小説。

なので読者は想像力をフルに働かせることになる。

これぞまさに小説なんじゃないだろうか。

ミステリーが好きな人が期待する、カッチリはまるような「オチ」をこの小説に求めてはいけない。

そんな小説が好きな人はこの小説を読むと肩透かしを食らうだろう。



でもこの小説は怖いですよ。

・「やめられません、最後まで
ダイアローグ(対話)形式の連作短編。こういう表現上の縛りの強い作品は、書き手(と読み手)の力量が試されて面白いですね。何を書いてもネタバレになりそうで申し訳ないので、別の作品を紹介しましょう。井上ひさしの『不忠臣蔵』、こちらはモノローグ(独白)形式の連作短編。「登場人物のイメージが、読み進むうちに崩れ、別の形に変貌していく怖さ」、という点が、本作と共通しています。ぜひ、ご一読を。

Q&A (幻冬舎文庫) (詳細)

香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)

・「尋常ならざる傑作
尋常ならざる登場人物がぞろりぞろり出てくる。小さな子供や赤ん坊さえも、その存在の中に醜悪さと悪意を見出せるような書き方である。それが不快かといえば、そうではない。その不気味さに魅せられて、魅せられてぐいぐい読まされる小説である。ラストの、これまた通常の範囲外という終わり方は、これまたある意味衝撃的で、読後にはしばし放心し、その後「またこんな話が読みたい」という、飢えに襲われた。しかしこういう小説は早々お目にかかれない。傑作である。

・「天才と狂人
匂い、香りだけが世界の全てだったら・・・。読み始めてすぐに、ジャン=バティスト・グルヌイユのおかしな世界に夢中になるはずです。

悪臭の中生れ落ちたグルヌイユは、並々ならぬ生命力と忍耐で成長していきます。世界で唯一匂いのしない彼は他者に不安を呼び起こしながら、至高の香りを求めます。香りが全てであり、他者の生命すらも犠牲にします。そんな彼が手に入れた至高の香りは、何をもたらすのか。

読み進めるうち、匂いの奔流に圧倒されます。ぜひ体感してみてください。映画化のためか、赤毛の女性が印象的な新しい表紙で店頭に並んでいました。

・「新しい認識論。
ある調香師の生い立ちから殺人者にいたる人生の軌跡。幼い頃は白痴だと思われていた主人公が物を認識するのに匂いで判別し、匂いによる世界を構築していく。究極の香水を突き詰めていって、美しい処女の人体から立ち上る匂いに至り、殺人を犯すまでになっていく。このように特異な世界を作り出し、最後まで飽きさせない作者の筆力に圧倒される。香りに敏感な方、価値観が変わります。一読をお勧め。

・「怖い・・・ グロテスク・・・ でも読みたくなる。
薦められるがままに買ってみた一冊。何の期待も知識もないまま、旅先への長いフライト対策として読んでみた。読み始めると、あまりに描写がリアルで細かくて、驚かされた。あんまりにも緻密なので、フィクションかノンフィクションかわからなくなり、混乱に陥ったほど。舞台は18世紀のフランスなのに、絶妙で粋な池内紀さんの訳だからか、たまに江戸時代の町人文化が浮かんでしまった。それにしても、へんてこで、奇妙で奇想天外なお話。途中、怖くなったり、あまりのグロテスクさに負けそうになる。けれども続きがどんどん気になって、一気に読んでしまった。結構長いお話だけれど、それを全く気にさせないほどのすごい作品。結末は衝撃的で、しばらく不思議な感じが続いた。読み終わったときには、嗅覚が鋭くなってまわりにあるもの全ての匂いが妙に気になったのは自分だけかな・・・。

・「活字ならばこそ
この本の主役は嗅覚です。本文中でも書かれていますが、目や耳は閉じればよく、口に入れなければ味もしませんが、臭いだけは呼吸とともにあるのでどんなときも鼻に入ってきます。同じ臭いでも、それに対する印象は人それぞれでしょうし、敏感さも違います。この本にあふれるにおいの描写に対し、頭に描くイメージも十人十色でしょう。こうした、読み手に主導権がある表現は活字ならではだと思います。主人公が作り出す究極の香水ははたしてどんな臭いなのでしょう?また、この物語の主人公には体臭がありません。シャミッソーの『影をなくした男』のように、誰でもが意識せずに当たり前のように持っているものを持たないということはそれだけで異形なこととして描かれており、この主人公の不気味さを高めているように思います。

香水―ある人殺しの物語 (文春文庫) (詳細)
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