ハサミ男 (講談社文庫) (詳細)
殊能 将之(著)
「新人離れした卓越した手腕」「『シリアル・キラーが探偵役の謎ときミステリ』」「納得しちゃあいけない。もっと怖いんだから。」「世界は意外と狭い」「日常」
異邦の騎士 改訂完全版 (詳細)
島田 荘司(著)
「まるでそこにあったように」「久しぶりに感動した」「サスペンスではなく恋愛小説」「主人公達と島田荘司氏はほぼ同年代という設定」「文句なしの傑作!!」
ぼくらの天使ゲーム (「ぼくら」シリーズ) (詳細)
宗田 理(著)
脳男 (講談社文庫) (詳細)
首藤 瓜於(著)
「読みやすく良質なスピード感を持つ小説」「読みやすかったです」「面白かったですよ」「脳だけの男?」「さて、」
「読みたてホヤホヤ!」「久々に面白かった折原作品」「読者幻惑物の快作」「現代の都会の怖さを縮図的にまとめた恐怖小説」「エンターテインメントに徹した、独特の“折原マジック”を堪能する」
冤罪者 (文春文庫) (詳細)
折原 一(著)
「マトモな人を探せ」「折原ワールドの到達点」「ミステリー界に、また一つ驚きが」「してやられたり。悲喜劇ジェットコースター!」「ヤバい・・・ハマった・・・」
13階段 (講談社文庫) (詳細)
高野 和明(著)
「「死刑」についていろいろ考えさせられた作品」「驚いたぁ」「理想から乖離した現実に打ちのめされることになる」「罪を背負って生きること、罪を背負って死ぬこと」「やられた・・・」
「これが「小説」ですね。」「先ずは一小説として」「人は「物語」から逃れられない」「向日葵」「素晴らしい傑作」
厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ) (詳細)
三津田 信三(著)
「民族学とホラーと本格の巧みな融合」「読みづらさも怖さのうちか」「《刀城言耶》シリーズの第一長編」「「蛇」シリーズ?」「まとわり付く視線」
凶鳥の如き忌むもの (講談社ノベルス) (詳細)
三津田 信三(著)
「民間伝承の引用も巧みです」「直球勝負の不可能犯罪」「理が勝ち過ぎている気が...」「ラストに納得できない(ネタばれです、注意!)」「《刀城言耶》シリーズの第二長編」
首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ) (詳細)
三津田 信三(著)
「《刀城言耶》シリーズの第三長編」「麻薬の如きハマるもの」「すばらしい」「濃厚な伝奇ホラー風味と本格味が見事に融合した一級品」「探偵小説の復活」
山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ) (詳細)
三津田 信三(著), 村田 修(イラスト)
「期待を裏切らずです!!」「だんだんおもしろくなる」「2008年の傑作」「待望のシリーズ四作目!!」「表紙もいい!」
悪を呼ぶ少年 (角川文庫) (詳細)
トマス トライオン(著), Thomas Tryon(原著), 深町 真理子(翻訳)
「時代を超える心理的恐怖」「綾辻つながりで」
戦場の画家 (集英社文庫) (詳細)
アルトゥーロ ペレス・レベルテ(著), Arturo P´erez‐Reverte(原著), 木村 裕美(翻訳)
「戦場の暗さと朝日のまぶしさ」
「スピード感があります。」
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>さ行の著者>殊能将之
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>さ行の著者>島田荘司
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>あ行の著者>折原一
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>た行の著者>その他
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>ま行の著者>その他
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>あ行の著者>その他
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>さ行の著者>その他
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・「新人離れした卓越した手腕」
作者のデビュー作にしてメフィスト賞受賞作。凡作の多い同受賞作にしては出色の出来。サイコ・キラーの「ハサミ男」が自分の犯行手口を真似て殺された女性の死体を偶然発見するというギャグ的発端から始まって、目くるめく結末まで精緻な構成で読ませる。
自殺未遂を繰り返す「ハサミ男」の真の姿が徐々に明らかになっていく展開、「ハサミ男」が自分の犯した犯行のうち冤罪だけは晴らそうとするナンセンス、「ハサミ男」の冤罪事件の真犯人の意外な正体、"長さん"というデカがいる明らかにTVの刑事もののパロディの捜査陣。これらが渾然一体となって、とぼけたユーモアと乾いた文体で綴られていく。この作者の手腕は新人離れした卓越したものがある。
作者はこの後も、「美濃牛」、「黒い仏」など多彩な作品を発表しており、久々に期待の作家登場という感じがする。人間の深層心理を鋭く抉ったサイコ・キラーものの傑作。
・「『シリアル・キラーが探偵役の謎ときミステリ』」
「シンプル」かつ「巧妙」。精巧に作り上げられた秀作。一回読み終えた後、もう一度最初から読み返したくなる話。
・「納得しちゃあいけない。もっと怖いんだから。」
映画版は、ぜんぜん違う作品だった。ひどくどんよりしていたし、原作が「納得させまい」としているのに対し、映画は「納得できる理由」を用意してしまった。 事件の謎は解けるが、作中最大の謎は、最後まで解けない。そこが、実に不気味で、この小説の肝である。 ミステリを読み慣れている鋭い人なら、意外と簡単に、トリックが見破れるらしい。しかし、トリックが見破れたからといって喜んで、それだけでこの作品を“駄作”だと決めつけてはいけない。この小説は、もっと怖い。
「ハサミが切り裂くのはあなたの心の闇―」
というのは映画版のキャッチコピーだが、闇を切り裂いても、そこから光が射し込むわけではなく、むしろ、その裂け目から、内なる闇が染み出してくる怖さ。ハサミ男の闇と、そのハサミ男によって切り裂かれた、ある人物の心から染み出した闇とが、この小説の全篇を覆っている。それでいて、文章は妙にカラッとしていて、ユーモアがあって、軽い。それがよりいっそう、怖さを際立たせてもいる。
映画「模倣犯」が好きな人なら、この「ハサミ男」も気に入ると思う。報道に対するシニカルな見方とか、似ている。作中の言葉を借りるなら、「納得したい」人には、薦められない作品だ。「納得したい自分」をちょっと見直して、深みにはまってみることができる人なら、最高に刺激的な読み物だと思う。
・「世界は意外と狭い」
全く赤の他人だと思っていた人が、実は意外な所で自分と接点を持っていた――と言う事は以外に多い気がする。
正直この話を未だ読んだ事が無い人は、レビューを見ない方がいいと思う。その方が読んでいて楽しいし、読み終わった後の気分もだいぶ違ってくるはずだ。
・「日常」
殺人鬼の日常を描いた作品です。この殺人鬼は、何故殺人をするかなんて事を自問自答したりはしません。朝起きたら顔を洗うように、空気を吸うように、人を殺す事をごく当然のことだと思っています。
殺人鬼の視点から書いたパート、警察の視点から書いたパートが交互にでてくるんですが、私は、殺人鬼の視点から書いたパートが好きです。殺人の下調べの為にどの駅を使った、仕事場で上司にこんな仕事を頼まれた、喫茶店で何を頼んだかまで、細かく描写しています。そのおかげで、殺人や自殺といった非日常的なことをやってるのに妙な人間臭さ、現実感が漂ってます。そんな、非日常と日常の混ざり合った混沌とした空気がいい味出してます。
最後でひっくり返すミステリー的なトリックを使ってはいるんですが、そんな物おまけ・付けたし・飾りなんですよ。私は、トリックを知った上で二回目を読んでも充分楽しかった。これは、殺人鬼の日常を楽しむ作品です。
・「まるでそこにあったように」
このお話はかなり衝撃的でまず記憶喪失の男の視点でいきなり始まって何が何やらわからぬままに強引にめまぐるしく展開していき、そのまま完結しようとするから「おい、ちょっと待て何か違うぞ...」と思ってた矢先にドーン!!!!ですね。。
トリック以前にストーリー自体が今一つ構築されきっておらず色々批評があるのは確かなんだが、この「異邦の騎士」のどこに魅かれるのかと考えると人物のなまなましい描写ですよね(御手洗潔とゆう常人とは逆に一周廻る過程で最高に人間臭い男を合わせて、、)。骨組みは脆いが、もう何だろう有り余るほどのふくよかな肉付けが最高なんです。
そして何よりすばらしいこのタイトルは、、、この作品は色々な諸事情があってタイトル付けも随分苦心惨憺したらしいのですが、バイクにまたがる御手洗の件といい、リターン・トゥ・フォーエヴァーの浪漫の騎士の件といい、様々な思惑の中異邦の地で巻き起こった事件の先にあった泥臭い騎士道精神といい、まるで最初からそこにあったようなナイスネーミングだ。
ミステリーとして読むには多少難がある作品ではあるが、とはいえ大ドンデン返しは純粋に衝撃的だし何より純粋に友情や愛や人間について考えさせられたり得るものが多いですよ!
・「久しぶりに感動した」
まさかいい年こいて本読んで泣くとは思わなかった。自分の昔の貧乏時代を思い出してしまった・・・正直ミステリーのプロットには無理があるような感じもしたが、そんなものはどうでもよくなる”何か”に感動した。うまく表現できないけどこれが島田氏の筆力なんでしょう。
・「サスペンスではなく恋愛小説」
『御手洗潔のメロディ』収録の「さらば遠い輝き」を読み、非常にいやな予感がしたので、長年積読状態だった本書を手にした。
あぁ、やっぱり(溜息)。
『異邦の騎士』のラストで明かされるある趣向が、「さらば~」におもいっきり書かれてた...。 「さらば~」の初出はアンソロジーだから、『異邦の騎士』未読の人が読むことはまずなかったんだろうなぁ、講談社のバカヤロー。
閑話休題
私がこれまで読んできた『斜め屋敷の犯罪』や『奇想、天を動かす』、『北の夕鶴2/3の殺人』といった島荘長編は、正直大技(物理トリック)以外、ほとんど記憶に残っていない。今年『ネジ式ザゼツキー』を読み、大技なしでも魅力的な話を書ける人なんだなぁ、と認識を改めたが、本書を読んで脱帽、すいませんでした。 こんな切ない話を初期に書いていたとは...。 近年の島荘を彷彿とさせる、脳関係(記憶)の話題も出てはくるが、本筋からおもいっきり浮いているし、御手洗は終盤大活躍するものの、あくまでもサブ的扱い。 文庫裏表紙の粗筋を読んで、大技炸裂サスペンス物だと長年思っていたが、サスペンスというより恋愛小説ですね、これ。
・「主人公達と島田荘司氏はほぼ同年代という設定」
この作品は島田氏の実質的第一作であります。主人公の荒々しさと若さは、まるで氏のそれがそのまま文章に叩きつけられているようです。ミステリー要素もさることながら、あふれ出す青春小説的魅力が島田氏の作品のなかでも特に人気がある要因かと思われます。
余談ですが、作中で触れられているアルバム「The Incredible Jazz Guitar」は全くのジャズ素人の私でも気軽に聞ける、お勧めの作品です。
・「文句なしの傑作!!」
あまり本を読んで感動することなど無い私なのですが、この本に関しては別でした。
私が思うこの本の見所は、島田氏特有の筆力も大トリックもそうなのですがやはり何より、普段は人に無感心な御手洗潔がこの本で見せる優しさに他ならないとおもいます。友人を助けるために必死になった彼の姿は、読みおえた時の私の心をとても暖かくしてくれました。彼のような友人がいたらどんなにすばらしいだろうとも切に思いました。
今からこの本を読もうとしている人へ。必ず御手洗シリーズを二、三冊読んだあとで読むことをお勧めします。そうすることで感動の度合いが変わることは間違いありません。そして御手洗潔のシリーズから目が離せなることも。
本当にすばらしい、心に残る作品です。
・「読みやすく良質なスピード感を持つ小説」
連続爆破事件容疑者を逮捕する場面にいた怪しい男[脳男]まるで警察や爆破事件容疑者さらには関係者の手の内や心理状態まで見透かしているようで、はたして彼[脳男]は共犯者なのか味方なのか様々な問いや場面に遭遇しても落ち着き払い動揺の片鱗を見せない彼は一体何者なのか?逃亡中の爆破事件の容疑者が引き起こす第二第三の事件・逃亡中の容疑者と脳男との関係を疑う刑事・次第に脳男の考え方に引き込まれていく脳男を調べる側の女医 など事件の時間経過で変わる設定場面での登場人物の心理と脳男の不可思議さなどがスピード感を持ってうまく絡まり面白さに引き込まれ爽快な読後感と江戸川乱歩賞受賞作としての奥行きさも感じる小説です。
・「読みやすかったです」
皆様厳しいご意見のようですが、私は楽しめました。思わず手に取ってしまう「脳男」というタイトルもすごいと思うし、それで?どうなるの?と、ドキドキしながら読み進めました。他の作品も読んでみたいので、早く文庫になって欲しいです。
・「面白かったですよ」
タイトルに良い意味で裏切られました。おどろおどろしい怪奇サスペンスかと思いましたが、バットマンのようなダークヒーローの誕生秘話のようで、私は大満足して終わりました。次回作に期待します。
・「脳だけの男?」
「私のどこが私なのだろう」などと哲学めいたことを考えたことがあるが、このように科学(医学?)の方向から考えることもできるのかと、とても興味深かった。皮膚移植のあたりは少しできすぎでないかと感じたが、テーマが新鮮で、登場人物のネーミングもおもしろく、ぐいぐいと引き込まれる。 この著者自身にも興味をひかれた。次作が楽しみである。
・「さて、」
つまらないで当たり前、とまで言われた江戸川乱歩賞の概念をひっくり返した話題作。 脳男の人物を探るまでですでにスリリングであり、それは後半の爆弾事件でさらに加速する。読み応えたっぷりの作品。 だけど、ラストがちょっとあっさりしすぎかな。もう一回どんでん返しみたいのがあってもよかったと思うけど。
・「読みたてホヤホヤ!」
またまたはめられました折原ワールド全快!!です題からしてもゾクゾクしましたが読み始めていきなりゾクッ〜〜あとは 頭が混乱しながらあれよあれよとページを進めていくとラストがまたびっくりでしたなぜ この方はこんな面白いものがかけるのでしょう?なのに、あんまり世間に広がってないのがすご〜くくやしいですこの”〜者”シリーズでは一番面白かったしぞくっとしました5年前の失踪事件とうまくつながる瞬間はたまりません!!この方の本を読もうか迷ってるなら過去の作品から読んでみると馴染みやすいかもしれません!
・「久々に面白かった折原作品」
個人的に、折原作品の中では冤罪者以来久々に面白い長編作品でした。冤罪者以降ありがちだった、「オチでがっかりする」こともなく、最後までひたすら楽しく読めました。それにしても、折原一という作家は終盤まで面白く読ませることにかけては一流だと思います。問題なのは最後のオチな訳ですが・・・。まあこの作品に関しては最後まで裏切られることはないと思いますよ。
・「読者幻惑物の快作」
複数のストーリーをまったく別の登場人物が語ることにより進行していく。それぞれのストーリーの接点はどこにあるのか?が最大の謎でありそこに興味をそそられる。進行について,登場人物が主観的視点から語っていくが,ここが「ミソ」というか,いつの間にか読者を惑わせる秘密がある。最近この手の「読者幻惑物」の作品が増えてきているが,客観的にストーリーが語られることを前提に,古典的かつ典型的な「謎解き」を求める読者の方は,「はぐらかされた」感を持つかもしれない。これは作品の善し悪しというより好みの問題であろう。場面が頻繁に切り替わる割には読みやすく良くできていると思う。以下 5段階で評価 ユニーク度4 手軽さ4 知識欲満足度1 結末納得度3 引き込まれ度4
・「現代の都会の怖さを縮図的にまとめた恐怖小説」
結末近くに、名探偵コナンが事件解決のときに登場人物全員をまえに小五郎さんを眠らせる、あの場面を連想するところがありました。また底なし沼、都会の安アパートの場面の描写、東京近郊の公園を歩く会社帰りの女性の描き方など、読者の想像力を駆り立てるうまいかき方にはさすが、と感じ入りました。
・「エンターテインメントに徹した、独特の“折原マジック”を堪能する」
昨年11月の『グッドバイ叔父殺人事件』以来の、折原一42作目の最新作である。
本書はお馴染みの<・・・者>シリーズの書下ろしである。“叙述ミステリーの第一人者”、“語りの魔術師”、と呼ばれる折原一の著作ペースはほぼ1年1作なので、ファンにとっては1年ぶりのお楽しみだ。
埼玉県蓮田市で、一家4人が忽然と姿を消した。朝食を食卓にのせたまま・・・。ライターの‘私’こと五十嵐みどりは、取材を通じて、家族の“闇”を浮き彫りにしてゆく。同じ頃、売れない推理作家の‘僕’は、謎の通り魔事件に遭遇して・・・。
折原作品の特長は、過去から現在へとつながる一連の事件をばらばらのピースに分解して、さも「同時進行の別々の事件・エピソード」のように“見せかけ”てストーリーを進行させてゆくところにある。
それらは一般のミステリーで言うところの「伏線」とは異なり、まさに“叙述・語りのミステリー”の体裁をとっている。そしてラストで「過去」と「現在」が激しく交錯して、それぞれのピースがひとつの時間軸のなかで見事にはめ込まれ、真相へとなだれ込むのである。
読者はそれぞれの物語の関連と、落ち着く先が最後まで分からない。知らないうちにサスペンスフルなストーリー展開に没頭してしまい、最後の最後に騙されていたことに気づくのである。
本書も、その例外にもれず、一家失踪事件とそれに先立つ一家4人惨殺事件、そして通り魔事件という、一見して別々の同時進行に見える事件が、どうつながってくるかというのが最大の読みどころになっている。
本書で読者は、エンターテインメントに徹した、一般のミステリーとは一線を画した、独特の“折原マジック”を堪能することができる。
・「マトモな人を探せ」
丁寧に読み進めた人ほど、巨大なカタルシスが跳ね返ってきます。冤罪事件がテーマということで、いわゆる社会派的な作品かなあ、というイメージで敬遠する方もいらっしゃるでしょうね。
確かに前半はそういう感じなのですが、後半それが一転。それまで築き上げた世界が攪拌され、ジェットコースターのように振り回され、思いもかけない着地点に連れて行かれます。入り込んだら止まらない。描写、物語が抜群に面白いので、(あくまで僕の中では)少ーし甘いのですが、星5つ。
・「折原ワールドの到達点」
折原一といえば、叙述トリック!この作品でも読者は作者にだまされる快感を味わえます。しかし、「冤罪者」は叙述トリックだけの小説ではありません。
折原氏の初期の作品はトリックに凝るあまり、着地点が乱れる傾向があって、読み終わった後も「真犯人は誰だったんだ!!」と呆然としたものです。でも、この作品ではそのあたりがすっきりまとまっているので、最後まで一気に読み終えることができます。
もちろん、一般に「折原ワールド」と呼ばれる異様な世界は健在です。奇人変人は続々登場しますし、異常心理への誘導も文句無しです。なぞ解きを楽しみつつ、ショックを受けたい人、必読です。
・「ミステリー界に、また一つ驚きが」
見事にやられた。帯の解説を見て、よくあるデッドリミット物かと思い、読み始めたのだが、予想を裏切る、裏切る。読み進めるうちに、全ての人物が怪しく思えてくる。ある意味反則な犯人とその動機。そして、全てが終わったと思えた時に明かされるある人物の本性。人間の執心、欲望は法をも超える恐ろしさを実感。映画にしたら面白いだろうな。
・「してやられたり。悲喜劇ジェットコースター!」
騙されます。騙されるとわかっていながら、見事に。
正直、話は重く、結末に向かうにつれ悲しさも増します。しかし!前半の冗漫な導入とはうって変わって、サスペンスと読むにつれて二転三転する叙述の罠。悲劇なのに、喜劇。そんな感覚にとらわれます。
相変わらずレビューを書きにくい作家さんですが、とにかく、折原作品の中ではベスト5に入れられる秀作です。
・「ヤバい・・・ハマった・・・」
折原一作品は初体験。私は始めて購入する作家の本は最初の数ページを試し読みして、その文章のリズム感を確認する。小説を読むという行為は私にとって娯楽だから、ここで違和感を感じる作家の本はレジに持っていかない。この作品を試し読みした後、すぐレジに向った。
折原一の文章は情景描写・心理描写ともに秀逸で、この作品は三日で読了した。
冒頭は冤罪を主題にした社会派ミステリとして始まり、ラブロマンス(古っ!)、サイコパス、ストーカーと一気に展開するプロットには引き込まれる。WEBサイトやMAILの使い方にも重要な意味づけがされていて感嘆した。特に「なぜ電話でなくMAILなのか?」には正直驚いた。なるほど、そうだよな~~~~~~
読了後、折原作品をまとめて4冊購入した。もう試し読みは不要だ。
・「「死刑」についていろいろ考えさせられた作品」
死刑囚の冤罪を晴らすため、刑務官の南郷と前科を持つ三上が調査に乗り出す。
物語が進み、徐々に真実が明らかになる中で、登場人物のほとんどが真犯人に思えてくるほど、多くの伏線が張ってある。物語の後半から一気にストーリーが進み、真犯人は非常に意外な人物であった。作中、死刑制度の詳しい解説・死刑執行の方法が書かれており、読み手の知的好奇心を満足させてくれる。死刑執行の描写は非常に生々しく、サスペンスとしてもお勧め。罪を犯した人間を国によって殺す「死刑制度」の必要性についてや、国が発出する命令書のため現場で実際に死刑を執行せねばならない刑務官の苦悩など、普段あまり意識していなかった死刑について深く考えさせられた。
・「驚いたぁ」
私の大好きな宮部さんが絶賛してるというオビに惹かれて購入。正直、最初の数十ページは、とくになんとも思わず、内心「失敗したかな」って思いました。ところが読み進めていくうちにハラハラと涙が出てきて止まらず、読み進めていくと、、、ページをめくった次の瞬間、目に入った言葉に「絶句」したのはこの本がはじめてです。思わず、「なんで」って独り言言ってました。読後感はやるせなさが残りますが、最近のイチオシとなりました。
・「理想から乖離した現実に打ちのめされることになる」
たいへん面白かったです。 死刑囚が思い出した「記憶の断片」「階段の記憶」を無罪の証拠とするために、弁護士が取り次いだ篤志家の意向を受けて刑務官の南郷と仮釈放中の青年純一が調査をはじめます。 すると、その事件にはやはり、別の犯人がいる可能性がでてきて…。 死刑囚が判決を受けるにいたった事件のほか、刑務官南郷の今までの職務内容や純一の起こした事件など、たくさんの事柄が語られていてとても興味深い筋立てになっています。 そのうえ、それらが後に伏線だったことに気がつかされ、何度も驚かされます。 とても重いテーマを扱っているのに文が巧みでスラスラと先に読んでいけます。 登場人物が魅力的で、感情移入がしやすくその心理描写が丁寧に描かれているうえ、推理小説としての謎解きも申し分なく描かれています。 一気に読めて、とても読み応えのある小説。 私が今年読んだ小説のなかで一番に面白かった本です。
・「罪を背負って生きること、罪を背負って死ぬこと」
死刑。死刑制度は今、その有無が問題になっています。私はこの本を読むまで、罪を背負って死ぬ「死刑」について深く考えたことはありませんでした。正直、死刑制度についてどんなことが行われているのか…わかったのですが、あまりに衝撃的でした。読んでいただくとわかるのですが、死刑を執行するという仕事に関しては、まして考えたことなどありませんでした。「だれかがやらなくてはいけない。」そんな言葉が強く印象に残っています。死刑が良いか悪いのかは、はっきりとは言い切れませんが、罪や死と向き合う登場人物達は人間味がありました。だからこそ、深く考えさせられました。
内容としては、読み始めると続きが知りたくなるようなミステリーです。私は、夜読み始めて、止められなくて読み終わるころには朝方になっていました…
・「やられた・・・」
正確には4,5点くらいかな?ただ、素直に面白かった、というのは確か。犯罪者の社会復帰や、それにまつわる保護司という社会派のテーマでありながら、しっかりとトリックなども生きていて面白かった。乱歩賞作品はいくつか読んでいたのだが、どちらかと言うとアクションというかサスペンス的な要素が強く、ミステリとしては弱い部分が目立つ作品が多かっただけに、賞に対しても見なおした。
ただ、筋は通っているのだが多少トリックに無理があるような・・・。微妙にその辺りが気になってしまった。
・「これが「小説」ですね。」
これぞ小説、といったミステリー作品。ミステリーというジャンルは、ゲーム的要素が強いと言われる。犯人当てや、あるいはトリックを仕掛けることを主眼としている作品が多いからだろう。それ故、内容は、読者をミスリードすることに執心して無駄に長い無関係な描写が書き連ねてあったり、やたらと登場人物が多かったりする。ゲームを楽しむことは、小説じゃなくてもできる。そこで、「向日葵の咲かない夏」。これは上質の「小説」だと感じた。ノスタルジックな景色の中で展開する、物悲しくも温かく、そして切ない物語。臨場感のある描写。実際に耳で聞いているかのような会話。そして最後にわかる、題名に隠された、ほんとうの意味。著者の前作「背の眼」では、民俗学的な謎と現実の事件の謎の絡みが面白かったが、本作品はそれとは見事に180度違った面白さがあった。
・「先ずは一小説として」
変な予備知識無しに読むことができてよかったと思います。未読の方も読む前に書き込まれているレビューを読むのは控えることを勧めます。
前置きした上で感想を書いてしまいますが……。絶望的世界、どこまでも閉じられた世界を目の当たりにし、読み終えて読んでいる最中の酩酊した感覚の正体を悟り、そして再びその閉じられた有様に愕然とした上で、其処にわずかに残された狂気をはらんだ明るい一筋の光に戦慄しました。抽象的ですね。
・「人は「物語」から逃れられない」
小学四年のミチオ(僕)が住むN町では、犬や猫を殺して足を折り、口に石鹸を押し込むという忌まわしい事件が頻発していた。
・「向日葵」
扇情的な帯の紹介にひかれて購入しました。ホラーサスペンス大賞特別賞受賞第一作ということらしいです。
夏休みに入る直前の小学校をS君は休んでいた。S君への用事を引き受けた「僕」がS君の家で見たものは、彼が首をつっている姿だった。先生に報告して駆けつけてもらったのはいいものの、その後、S君の体がなくなっていたことを僕は知った。そんなとき、僕の部屋に現れたのが、自殺したはずのS君だった。ただ、その姿が――。
悲劇を予感するような冒頭にはじまり、上に書いたような謎にひきこまれていきます。新人の二作目ながら筆力は圧倒的で、セリフが説明的になってしまうところ以外、ぐんぐん引き込まれていきました。そして、ここで帯の言葉を借りるなら、「分類不能、説明不可、ネタバレ厳禁!」です。物語の全貌がみえてくる興奮、そして恐怖。不条理。著者のこの物語に対するスタンスに、ものごっつい意志を感じました。向日葵が、とても印象に残っています。
・「素晴らしい傑作」
月に何十冊と小説を読んでいますが、5本の指に入る素晴らしい小説です。最初の出だしから、面白い小説は分かりますがこの本も、そうでした。最後まで3時間で読みました。最後のどんでん返し、素晴らしいです。一気読みをオススメします。
・「民族学とホラーと本格の巧みな融合」
面白い!分野もホラー的民族学をベースにしてるし今までなかったのでは? 雰囲気十分!読みながら主人公の気分で閉鎖社会(小野真由美「黒祠の島」の感じ)で起きる不可解な事件を味わえます(その代わりに主人公の個性がやや薄いかも)。 そして最後には本格も味わえるという上手い作品!( 章の作り方に賛否があるかもしれませんが) 民族学と本格が上手く融合した作品。 今世紀登場した本格作家では加賀美雅之氏と双璧なしてると思います!作品も一番(07末現在)ではないかと思います。 主人公の個性は負けますが、京極堂の民族学版に近いです。
・「読みづらさも怖さのうちか」
刀城言耶シリーズの第1作です。私は読む順番が逆で、第4作「山魔の如き嗤うもの」を最初に、次に第3作の「首無の如き祟るもの」と読んできまして、本作「厭魅の如き憑くもの」を読むに至りました。
こうして遡ってみるとわかるのですが、第1作はなかなか読みづらいです。逆に言うと、シリーズを重ねるごとに読みやすくなっています。でも、民俗学的ホラーの雰囲気は、読みづらい分、この第1作が一番かもしれません。作品の舞台のおどろおどろしさを醸し出すのに随分とページを費やしているといえます。
実際、事件が起きるのは、物語も半ばになってからです。でも、心配ご無用。驚愕のラスト、つまりミステリとの融合は本作品でも果たされていますから。
「カカシ様はいつでも見ている。」−−帯広告のこの文言が、読み終わってみるととても身に沁みる作品でした。
・「《刀城言耶》シリーズの第一長編」
横溝正史的世界観を持つものの、あまりに過剰な民俗学的ガジェットや登場人物の非現実的なネーミングのため リアリティが希薄な本作 は、一種のパラレルワールドものといえるかもしれません。
・「「蛇」シリーズ?」
作者の以前の作品である「蛇棺葬」「百蛇堂」と同系列の作品。直接的にではないが、作者の以前の作品の登場人物や触れられていた人物も登場している。ホラーミステリーであり、この作者が得意とするテーマではあるのだが、話が盛り上がるたびに視点が変わり、なんだかテレビでドラマが面白くなってきたところでCMを入れられたような気分になる。また、以前は「家」が中心だったのに対して、今回は「村」が中心となり登場人物が増えたためか、個々のキャラは希薄である。しかし、ホラーミステリーとしては、決してつまらない作品ではない。作者なりの世界を構築しようとしている点に好感がもてるし、何よりも良く考えられて伏線が張られている。少なくとも、ムチャクチャなことを書いて「メタミステリ」と称する最近の作品群よりははるかによい作品である。「蛇棺葬」「百蛇堂」のファンならば、読んでも決して損はしないと思う。
・「まとわり付く視線」
迷信やしきたりが多く残る閉鎖された村で突然起こった憑物騒動、そして神隠し。対立が続く、村の名主の息子と憑物一家の巫女、そして推理作家の目を通して出来事が語られる。次々起こる怪奇現象は、読者の背筋をぞっとさせ、まるで不気味な視線が自分を見つめているような錯覚さえ覚える。物語が進むにつれて、不気味さはどんどん増していき、先が闇に取り込まれそうな感を受けたが、最後のストーリー展開は何ともいえなかった。しかし、謎が解き明かされた時残るのは、更なる恐怖
・「民間伝承の引用も巧みです」
三津田信三は、私が最も新作を望んでいる作家の一人である。彼の作品はミステリとホラーの両要素を併せ持っているが、作品によってその着地点はミステリ寄りだったりホラー寄りだったり様々である。しかし、その作品群はいずれも間違いなく一級のエンターテーメントの性格を持っている。着地点が自由であるがゆえに、読者はこの作品がいったいどこに向かって進んでいくのだろう、というリアルなスリルを体験することになり、それもまたこの作家の作品を読む大きな魅力である。逆に束縛の緩さを感じるかも事があるかもしれないが、概して再読してみると意外といえるほどいわゆる“本格ミステリのルール”を遵守していることに気付くだろう。
民間伝承の興味深い引用も巧みで、よく設計されている。「蛇棺葬」では葬儀に関わる民俗的な儀礼の引用も見事だったが、本作品では、集落の形成形態と信仰の係わりが巧妙なエッセンスとして効いている。作品中で紹介されている、例えば「共潜き(ともかずき)」のエピソードのように、語り継がれる伝承は妙に暗示的で不気味なものが多い。そのような歴史の中で刻まれた「畏れ」の有り様を用いて、作者は作中の登場人物と読者の心理に鮮やかなトリックを仕掛けてくる。それが読み手の悦楽となる。
・「直球勝負の不可能犯罪」
ミステリとホラーが見事に融合した「刀城言耶」シリーズの第2作です。2009年2月現在、第4作まで出ていますが、一番構成がストレートな作品です。
【怪異譚を求め日本中をたずねる小説家・刀城言耶は瀬戸内にある鳥坏島の秘儀を取材しに行く。島の断崖絶壁の上に造られた拝殿で執り行われる<鳥人の儀>とは何か?儀礼中に消える巫女!大鳥様の奇跡か?はたまた鳥女と呼ばれる化け物の仕業なのか?本格ミステリーと民俗ホラーを融合させた高密度推理小説。】
・・・そんな作品紹介が本の裏面に記載されていますが、本作は正に人間消失の謎オンリーで、直球勝負をしてきます。
人間消失が起き、その謎を刀城言耶が解く。この作品はそれに尽きると言えます。他の3作のように複数の謎が提示されたりすることはなく、人間消失の謎のみが語られていきます。また、章ごとに描写の視点を変えるようなこともなく、ずっと刀城言耶の視点で語られていきます。その点では、構成がすっきりして読みやすい作品になっています。ホラー色は他の3作より薄いですが、その分、ミステリ色の強い作品に仕上がっていると言えるでしょう。
人間消失のトリックが最後に明かされますが、衝撃度はなかなかなものです。思う存分、驚いてみてください。
・「理が勝ち過ぎている気が...」
民俗学的怪奇譚と本格ミステリ味の融合を持ち味とする作者の特徴が良く出た作品。時代は戦争直後、舞台は瀬戸内の漁村。この時代設定に伝奇ロマンを活かそうとする意図が感じられる。海岸から少し離れた島に守護神社があり、そこでは代々の巫女によって秘儀が行なわれる。この秘儀が物語の中心である。
前半は鳥を絡めた島の妖異性と巫女の秘儀が語られる。特に18年前、当時の巫女が秘儀を行なった際、立会人を含めて巫女の子供を除いた全員が行方不明となる事件が聞かせ所である。生き残った子供が現在の巫女である。巫女は18年振りに秘儀を行なおうとする。怪奇譚収集家で探偵役を務める主人公は立会人となる事を請われる。前半は、民俗学や宗教、海難等に基づいた怪奇譚が中心なので、もっとオドロオドロしい描写であっても良かったのではないか。主人公の性格と共にアッサリし過ぎている感がある。もっとも、主人公は合理主義者に設定されているのだが。後半、主人公の目の前で密室状態での拝殿の中で秘儀中の巫女が消失すると言う事件が起こる。ここからは本格ミステリの路線を進む。主人公の合理主義が活きるのだが、ここでも事件の特異性、妖異性の書き込みが淡白のような気がする。
巻末の参考文献にあるように、作者が民俗学を勉強している事は明らかなのだが、その学究肌が邪魔をして、ストーリー展開や結末の理が勝ち過ぎている気がする。もっと題名にふさわしく、禍々しい怪異性に満ちた物語にした方が魅力が増したのではないか。
・「ラストに納得できない(ネタばれです、注意!)」
驚愕のラスト、脱出不可能な空間からの人間消失の謎が明らかになる。
で、その回答なのだが、ハゲワシによってわずか数十分で、成人女性の遺体が骨だけになるって無理がないか。エグイ話で恐縮だが、内臓の一部くらいは残るだろう。いやこれ、あくまで小説なんですけど。こうした疑問に応えるように「鳥葬では15分ほどで骨だけになる」との補足説明が入っているものの、それはあくまでそうなるように適切な処理を施した状態(ようするにバラバラ)での話であって、関節をはずしたくらいじゃどうなのかなあ。これまで森博嗣の「屋敷が丸ごと回転しちゃったトリック」とか、島田荘司の「事件現場が実は日本じゃなくて海外だった」とかとんでもない「回答」には慣れていたが、さすがにこれは納得できなかった。
・「《刀城言耶》シリーズの第二長編」
十八年ぶりに鳥坏島で行われる“鳥人の儀”。
・「《刀城言耶》シリーズの第三長編」
ミステリではお馴染みの〈顔の無い屍体〉トリックの巧緻なアレンジが秀逸な本作。
・「麻薬の如きハマるもの」
三津田信三の快進撃が止まらない。本作「首無の如き祟るもの」は「厭魅の如き憑くもの」「凶鳥の如き忌むもの」に続く刀城言耶シリーズの第3弾になる。ただし、この作家の作品だけあって、これは確かに刀城言耶シリーズだけどはたして???(あまり具体的には書けないですね・・苦笑)といったまたまたメタなナゾを含んでいる。
それにしても面白い。いつものように土俗的・民俗的な信仰の世界を、彼なりのタッチで精緻に描いており、その「設定」の面白さ、それに付随する人間たちの振る舞いの妙なリアルさが見事だし、それは環境を整えた巧みな設計によって支えられている。また、ミステリとしての成立がきちんとしていて、その点、おそらく何度も試行錯誤したのであろうと思うが、非常にフェアな(だけどトリッキーな)書きぶりは見事。だから、最後に語られる「何がナゾなのか」「どこに解決策があるのか」といった理知的な論法が見事に決まる気持ちよさがある。
視点を描き分けることで(誰の視点か、というのは大事だ)、言葉の定義の境界条件をたくみに操る様は超一流だ。加えて極上のエンターテーメントに仕上げてしまうという力量を持っている。
「集落」「因習」「信仰」といったキーワードはどことなく横溝正史を彷彿とさせるけれども、登場人物には現代的な思考の持ち主も入り混じり、そのことが私には近づきやすい。終結部で、たった一つのボタンをかけかえるような仮説を立てるだけで、多くのナゾがつぎつぎにとき解かれていく様子は演出効果も抜群で圧巻。早くも次回作を期待しています。
・「すばらしい」
とてもおもしろく読めた。シリーズ3作目であるけれど、この作品が群を抜いてよかった。雰囲気、トリックどれをとっても文句なし。難点は、シリーズ物に共通するマンネリ感だろう。今はまだそれも楽しめるが、これがいつまでも続くとどうなるか?伝統を重んじる本格ミステリ愛好者にとってはそんなことは問題ないのだろうか?とはいえ、それはこの作品の出来のよさとは無関係のことである。
・「濃厚な伝奇ホラー風味と本格味が見事に融合した一級品」
民俗学と本格ミステリを融合する試みで知られる作者が、媛首村と言う山奥に伝わる"首無女"伝説に纏わる殺人事件を扱った秀作。叙述形式も凝っていて、全体は事件が起こった時の捜査担当巡査の妻で、現在は作家の妙子が書いた事になっており、その奇数章は使用人の少年斧高の視点で、偶数章は妙子の夫の高屋敷の視点で書かれている。冒頭で、妙子は「事件の真相は私も知らない」と断っている。媛首村を治めるのは、一守(主家)、二守、三守の秘守一族。媛首村には"淡首"と言う首の無い女の亡霊が、一守の跡継ぎ(男)に祟ると言う伝承がある。徹底した男尊女卑を貫く一族では、一守に跡継ぎが居なければ他家が取って代る事も可能で、このため一族の人間関係はドロドロ。
まず戦時中、一守の跡継ぎの長寿郎が儀礼のため媛首山の神社に向け、提灯を手に階段を登って行く様子が描かれる。ここまでは、柳田国男氏「遠野物語」、横溝正史氏「獄門島」の香りが濃厚。媛首村の村人は柳田が言う所の"山人"だろう。長寿郎の後に二卵性双生児の妹の妃女子も続く。斧高は長寿郎に憧れを抱いており、二人を付ける。そして、妃女子は不可能状況の下、井戸の中で死体で発見される。犯行方法も謎だが、被害者が長寿郎でない点も謎であり、怪異な雰囲気が横溢する。事件はウヤムヤに終り、次の舞台は10年後、高屋敷が復員した後に起こる一守の"婚舎の集い(嫁決めの場)"。花嫁候補は3人。二守、三守の娘と遠戚の娘で毬子と言う長寿郎の同人誌仲間。毬子は怪奇作家江川蘭子の世話人で、この辺り、乱歩へのオマージュの意図か。そして媛首山で連続して起こる、毬子の首切り殺人、長寿郎の失踪、蘭子の出現、そして長寿郎らしき男の首切り殺人...。
結末も凝っている。精緻な計算の下で書かれた作品で、濃厚な伝奇ホラー風味と本格味が見事に融合した一級品。
・「探偵小説の復活」
横溝正史を「最後の探偵小説作家」と呼ぶらしいが、一度絶滅してしまった探偵小説がまるでトキやコウノトリのように復活した...初めて読んだ三津田信三を、わたしはそんな風に感じた。設定、時代背景、猟奇的な犯罪、なまめかしさ、どれをとっても推理小説というより探偵小説と呼ぶにふさわしいテイストだった。すばらしい。
読者は、この禍々しい物語の犯人が誰で、どう犯罪が行われて、その動機は何かを、神経を研ぎ澄ませて、作家が綴るコトバ一つ一つをかみ締めながら読む。それでも、あのラストの大どんでん返しには驚かされるし、確かにフェアだよなぁ...と思いながらも、そこに気を止めず読み進めてしまったことを悔しく思った。再読の必要性に迫られる一作だ。1回目は単純に楽しむため、2回目は確認をするため......。ヤラレター! このどんでん返しは、想像つかなかった。トリックの複雑さはクロフツの「樽」を少し思わせ、覆い尽くす黒く不気味なムードは、やはり横溝正史の遺伝子だと思った。夢野久作っぽくはない。
ただ、大ラスの不気味さは、「ドグラ・マグラ」の『ブゥーーーーーーーン』に匹敵すると感じた。このラストが描きたいがために、作者はこの形式を取ったのだろうか。作家の筆を借りる形で、物語が進む方式はこれまでもあったが、これは......。
戦後ミステリの好きな方なら、クスリと笑ってしまうようなトリヴィアがいっぱい詰め込まれている点も見逃せない。だって、主要登場人物の一人に江川蘭子ですよ! これを知ったら、もう読むしかないでしょう。
・「期待を裏切らずです!!」
初戸の地で行われる古い習わしに基づく成人式。そこから起こる連続殺人事件は、地元にある六地蔵にまつわる奇妙な童唄を模倣して繰り広げられて行く…。怪奇幻想作家の刀城の名推理が犯人像をあげてゆくが…!?★う〜ん…。一言でやっぱりこのシリーズはなんとも禍々しく不気味です。三津田さんのホラー小説の中ではお勧めなのではないでしょうか!!★地元に伝わる古い伝承、そして忌み山。この2つがあるからこそこの物語が成立して行くのです。そして、古い旧家だからこそある家々の確執。★前作『首無き如き祟るもの』の続き、私的はお勧めの1冊でした(表紙が不気味で怖いですけど…^^;).
・「だんだんおもしろくなる」
「刀城言耶」シリーズは、だんだんおもしろくなってきている!私の好きな、金田一耕助・島田潔・京極堂シリーズに近づきつつあるこのシリーズは今後も期待していい。
・「2008年の傑作」
前回の「首無の如き祟るもの」も傑作だったが、この作品も劣らず傑作であった。終盤のどんでん返しもあり、非常に楽しめた。この作家はホラーと本格を見事に融合させて、すばらしい作品を生み出しているので次回作も期待している。これから読む人は、横溝作品が好きならばかなり楽しめるのではないかと思う。個人的には、2008年に読んだ作品の中で一番面白かった。
・「待望のシリーズ四作目!!」
本格+民俗学の奇跡的融合が売りの本シリーズ(勝手に名付けました)。今回も良い雰囲気を出してましたよ。良い本の定義は人それぞれですが、僕は読後の余韻と再読したいかの二点ですね。バッチリ(?)クリアー!本格と他の分野のミックスといえば京極堂、今が旬なガリレオですが、本シリーズも堂々仲間入りですね!前三作品とはまた違うトリックは著者の才能の成せる技。 本作がシリーズ初めての方はラッキーです、残り三作品もあるなんて!…ファンはまた一年待たないと…。どんでん返しの連続が賛否の別れ目かな。あと前作と比べると上記融合がやや薄れた感が…(佐藤大)
・「表紙もいい!」
店頭で本誌の妖美な表紙を発見し、早速レジへ。予想していなかった新刊に、にやにやしながら帰宅してページを開きました。冒頭の不気味さ、引き込まれ具合は、前作「首無の〜」を上回るほど。言耶が登場してからは、もう一気に読んでしまいました。忌み山で起こる現実とは思えない凄惨な事件の数々が、言耶の論理的な推理によって解体され、最後に究極のどんでん返しが起きて読者を震撼させる……パターンはこれまでと同じながら、やっぱり読んでてぞぞっとしてしまいました。面白い!ラストの衝撃と不気味さでは前作のほうが上かなという気がしますが、それでも星五つ級の傑作です。この作品の面白さは、京極夏彦さんの小説とは真逆で、「不思議なことというのは、本当にあるものなのだ」を徹底していること。子供の頃、様々な怪談話を聴いたときに感じた戦慄がよみがえります。早く文庫にもなってほしいです。もちろん、表紙は今のままで。
・「時代を超える心理的恐怖」
私は映画を先に見ていたのですが、小説はさらに伏線がきいていて、細かい描写もあり、心理的な怖さが増していると思います。映像的なショックは(当然ながら)映画に分がありますが、語り部たる人物が過去の事件を振り返る導入部と、語り終えて自らを語る終結部が、映画では語られない物語の「枠」となっていて、その人物の辿った運命に哀しささえ覚えます。
物語の中心となる双子の兄弟は13才。冷酷で悪魔的なホランド、優しく明るいナイルズ。しかし主導権はいつもホランドにあり、ナイルズは彼なしに物事を決定する力を持っていない、そういうバランスで暮らしている兄弟の周辺で、奇妙な事故が続けざまに起きます。
そこにあるのは、悪魔の仕業なのか、それとも……。すべてが明らかになった時、読んでいるこちらまで一緒に追い詰められているような胸苦しさを覚えずにいられませんでした。
映画がDVD化されそうにないのが残念でなりませんが、もし機会があれば本と共に復活して欲しい一本です。
・「綾辻つながりで」
綾辻行人の「暗闇の囁き」のあとがきで、この作品の映画を下敷きに作品を書いたようなことが書かれていたので読んでみました。
翻訳物なので、文章がこなれていない感じがしますが、自分以外のものになりきるごっこ遊びの描写は良かったです。蛍の視点でみた世界の描写は綺麗。
ただ、「暗闇の囁き」を先に読んでいると楽しさが半減とはいいませんが、ちょっと・・・。(これを読んで私の中の「暗闇の囁き」に対する評価は下がりました。)
映画も見たい気がしますがビデオは品切れ、DVDはないようです。
・「戦場の暗さと朝日のまぶしさ」
戦争ばかりを撮り続けた元カメラマンの男。今はひとり、地中海にのぞむ望楼で戦争風景の壁画を描き続けている。 その戦場の画家のもとに、ひとりの男が現れる。元クロアチア兵士の男は、かつて戦場の画家に写真を撮られたという。そのたった1枚の写真で、自分の人生は変えられたのだと。そして、戦場の画家を訪れた理由を告げる。 「あなたを殺すためですよ」
・「スピード感があります。」
上村先生の守護天使もそうでしたが、小説にスピード感があります。とても、軽快に読めて、読後感も最高でした。特に最後は読んだことが無い、爽快感を感じました。映画化が望まれます。
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