「メランコリックな成長を」「一読の価値あり。」「「ダメ、絶対」に爆笑」「森見節炸裂」「新参者が失礼いたします。」
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫) (詳細)
森見 登美彦(著)
「読んだ者しか分からない、お腹の底が暖かくなる迷宮」「本編は語るまでもなく」「女の子の趣味が素敵すぎる!」「とにかく可愛い!」「一流の娯楽小説」
ラ・タ・タ・タム―ちいさな機関車のふしぎな物語 (大型絵本) (詳細)
ペーター・ニクル(著), ビネッテ・シュレーダー(イラスト), 矢川 澄子(翻訳)
「小さなしろいお嬢さん機関車の冒険」「美しく繊細な絵に酔える一冊」「真っ白なお嬢さん機関車が、絵本の中の広くてさびしい世界を走ってゆきます」
電気ブラン 40°720ml (詳細)
オエノン合同酒精(株)
「本家、神谷バーとは別物?」
Sweet Blue Age (詳細)
有川 浩(著), 角田 光代(著), 坂木 司(著), 桜庭 一樹(著), 日向 蓬(著), 森見 登美彦(著), 三羽 省吾(著)
「有川浩ファンは読むべきである。」「「夜は短し歩けよ乙女」が出色/森見登美彦ファン必読」「今見るとすごいラインナップだ」「夢中な日々」「総合的にはそれなり」
四畳半神話大系 (角川文庫) (詳細)
森見 登美彦(著)
「1話1話が秀逸、4話揃ってさらに秀逸。」「森見さんすごい。すごすぎる。」「無類の語り口には微塵の揺らぎもないっ!」「文句なし!」「著者の筆力を物語る一冊」
太陽の塔 (新潮文庫) (詳細)
森見 登美彦(著)
「疲れない(飽きない)程度に分割して読むと、おもしろい部分が見える、かもしれないです。」「男汁たっぷりの部屋で語り合った経験のある人に贈りたい」「痛快」「これぞ童貞文学(?)の決定版!!」「紛れもない裏青春小説の傑作」
太陽の塔〈1〉 (大活字文庫) (詳細)
森見 登美彦(著)
「飄々としていて痛快。楽しかったです。シリーズ第二部にも期待しましょう」「奥ゆかしさ・バカバカしさ・妖艶さ」「面白い」「ぷりぷりのけぽっ」「誰にもまねできないモリミワールド」
新釈 走れメロス 他四篇 (詳細)
森見 登美彦(著)
「名作を現代に」「愉快愉快!」「爆笑リミックス5連発(感動もあり)!」「楽しめました」「【新釈】走れメロス他四編に就いて」
「京都+怪奇」「ぬるりとした感触」「夜は短し〜は苦手でしたが。」「幻想とは、若者が誰かと出会い、夢のように時間が過ぎることだ」「張り巡らされた糸が囁く」
「妄想エッセイ暴走中」「個人的には大満足」「健在です。」「森見好きのための一冊(?)」「わけの分からない面白さ」
「作家がどうして作家になったのか!?」
キョースマ ! (京都に住まえば・・・) 2009年 04月号 [雑誌] (詳細)
淡交社
編集会議 2008年 11月号 [雑誌] (詳細)
宣伝会議
文学・評論>SF・ホラー・ファンタジー>日本の著者>ま行の著者>その他
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・「メランコリックな成長を」
書簡体形式と言うから夢野久作の影響があるのだろうか堅苦しさや古さはなく深く勘ぐる必要はない序盤から森見氏の得意なウィットユーモア全開のセンテンス。軽快な韻を踏んだ文、あのフレーズをパロディしたりとページを繰る手が止まらない。 中盤中頃から少し様相が変わり学生時代末期特有の自己変革!?と恋の葛藤や先々への不安が入り混じった手紙(内容)に鮮やかにシフトしていく ともすれば、なセンチメンタルを阿呆な描写で笑わせ心地よさ引き出すワザは見事!いやはやあのような文体でありながら本質を外さず大事な所を散りばめていく所は真に稀有な作家です兎に角呟きたい科白満載ですそして終盤の収束転結も嬉しくなる「手紙」。果たして阿呆な手紙学生が編み出した恋文の技術とは如何に!?
また過去の作品を読んでる方にはニヤリとさせる遊び心もありでファンは絶対買いの一作
・「一読の価値あり。」
森見登美彦氏のファンならば迷わず読むべし。
さすが、登美彦氏。思わず吹いてしまったくだり多数。
更にファンになりました。
・「「ダメ、絶対」に爆笑」
連載時に「これは全部まとまってから読もう!」と思っていました。お待ちしておりました。
前作「美女と竹林」が個人的にイマイチだったため、悩みましたが、買ってよかった。ニヤリとする場面が数多にちりばめられております。これまでの作品を全部読んでる方にはさらなるニヤリが待っていることでしょう。
今年はじめにご結婚されたようですし、今年の夏は女性と宵山に行けますね。よかったですね。
短編小説のように読めます。短編小説ではありませんが。
・「森見節炸裂」
いやぁ、面白過ぎるでしょ。今回もへもかったですねぇ、もう どうしよう(笑)初めて本屋で目にした時は、正直不安でしたよ・・・ これオモチロイ?って感じで・・・正直、なんか実用書かと思いました(笑)この面白さは一部のファンだけにとどめておくのは勿体ないです。僕はさっそく友だちに薦めましたよ。でも、全体的におっぱいだった様な・・・女子に薦めてセクハラ扱いされないだろうか・・・急に心配になってきた・・・でも薦めたくなるくらい面白かったんです!分かって?
・「新参者が失礼いたします。」
ワタクシ「夜は短し〜」→「四畳半〜」で本書を読んだ森見ワールド新参者です。
文通武者修行で書かれた書簡という形式で描かれる本作。文通といいつつも相手からの返信は出てこないで主人公が書いた手紙の内容からその直前に来た返信を想像する。そして同時にいろんな人と文通しているので自分におこった一つの出来事を誰にどう書くのか。どのタイミングでどんな手紙を書いていたのか。主人公の書く手紙を読みすすめる事で送った先で何が起こっているのかが徐々に明らかになっていきバラバラのエピソードが複雑に絡みあっていく。
時間軸の作り方から各エピソードのつながりまで実に見事な展開。そして響きだけでも笑えてしまう森見先生の語感は素晴らしいと思います。そして馬鹿馬鹿しい。森見先生大好きです。
ワタクシまだ3作しか読んでいませんが森見先生の他の作品を読んでから本書を読んだ方が面白さが倍増する作品だと思います。
未読の作品を読み進めつつ新作をお待ちしております。オモチロイ新作に出会えますように。なむなむ。
・「読んだ者しか分からない、お腹の底が暖かくなる迷宮」
単行本は2006年11月リリース、文庫化は2008年12月25日。本作で山本周五郎賞、本屋大賞第2位(ちなみにこの年の第1位は佐藤多佳子の『一瞬の風になれ』)を受賞している。山本周五郎賞を獲る作品が本屋大賞で第2位なのが面白い。
読み出すともうすぐに『森見ワールド』に没入してしまう。巻末の羽海野チカ氏のイラストのように、イメージが跳梁跋扈して、転がり廻り渦を巻く。それはマジックリアリズムというより、京都という希有なポジションの上に、コトバとシーンを貼り付けていくステキなモノ、という感じだ。おともだちパンチ→偽電気ブラン→詭弁踊り→赤玉ポートワイン→二足歩行→ダルマ・・・と枚挙にいとまがない。もう、読んだ者しか分からない、お腹の底が暖かくなる迷宮である。
そして思うのはここには男子特有の『気持ち』というのが圧倒的に顕在化しているなぁ、ということ。きっと森見ワールドを完璧に『分かる』のは男子だけだと思うのだ。諸君、異論があるか!?あればことごとく却下だ!!
・「本編は語るまでもなく」
面白いです(あくまでも自分にとってはですが)内容にあまり触れるのもアレなんで…。この作品独特の語り口調で展開される物語に馴染めるかどうか〜が一番のポイントかと思います。自分は単行本ですでに読んでいますが、文庫版も買ってしまいました。中村さんの表紙イラストに惹かれる方なら問題なく楽しめるのではないかと。
単行本をすでにお持ちの方へ。文庫版には巻末に羽海野チカさんの解説が収録されています。これだけでも買う価値はあるかと思います。読んでる間羽海野さんのキャラクターが動き回ります^^;2足歩行!
コミック版も羽海野さんが描いてくれればなぁ。
・「女の子の趣味が素敵すぎる!」
森見さんは女の子の趣味が素敵すぎる!、『四畳半神話大系』、『太陽の塔』など他の作品にでてくる乙女も魅力に溢れていますが、特にこの作品の「黒髪の乙女」は老若男女を問わずだれもが胸を捕まれてしまうのではないでしょうか。独特の文体も好き嫌いがあると思いますが、私ははまってしまいました。一癖も二癖もある文章で、ファンタジーであるというものすごい森見さんの世界にどっぷりはまり込み、読み終わってしまうと、寂しくてまだまだ読み足らなくなって他の森見作品にも手を出してしまいました。この『夜は短し歩けよ乙女』から入って、『四畳半神話大系』、『太陽の塔』と出版年順には逆から読んでいったのですが、共通の登場人物などが出てきて、あのことがここにつながっている!など発見ができて面白かったです。関西出身の作者だけあって京都を舞台にいきいきと描かれて京都好きにはたまらないのでは。羽海野チカさんの「かいせつにかえて」も森見さんの世界が羽海野さんの世界観で絵になっていて素敵でした。
・「とにかく可愛い!」
独特な文なので、馴染めるかはそれぞれですが・・・この「独特」感が滲み出る文面とそれに合わせて読み進めるリズムがたまらなく面白い!
個性あるキャラクターもみんな可愛い!なんとも愛らしい!特に乙女の行動は天然っぽさがあふれていてすごく可愛い!先輩の行動にもどこかしら驚かされたりして…つい「がんばれ!!!」と応援したくなります。後半はもう止まりません!どんどん終盤へ加速していっちゃいます。読むのがやめられないです。
個性あふれるキャラクター、独特な世界観・・・
まさに「キュートでポップ!」
さらに文庫には羽海野チカさんの解説もついていて、これまた可愛い!解説まで飽きずに「見れます」。
是非お勧めしたい。
・「一流の娯楽小説」
今まで読んだ小説で一番笑ってしまった作品。
ジャンルで言えばラブコメになるのでしょう。軽妙な語り口にテンポの良い展開、神様も現れるファンタジックな要素を持ち合わせた娯楽性ある物語と素敵な要素が満載でとにかく読んでいて楽しい!古風で独特な言い回しながら簡潔で読みやすい文章も良いです。また、春の飲み屋街、夏の古本市、秋の学園祭、冬の風邪騒動という四季に焦点を当てた四章構成も上手くまとまっていますね。頭の中に1つ1つの場面を鮮明に想像することが出来る、色彩豊かな描写力を感じます。
でも、この物語の一番の魅力は個性溢れる登場人物であると断言しましょう。理屈屋で不器用な主人公「先輩」と時代錯誤的な純真さで周りの誰をも幸せにしてしまう「黒髪の乙女」を中心に、大酒飲みの女傑、空飛ぶ学生天狗、偽電気ブランで富を築いた高利貸し、錦鯉センターを経営する心優しきダメ中年などアクが強く愛嬌あるキャラクターばかり。微笑ましくて、愛おしくなること請け合いな人物が揃っています。他にも様々な人々が登場しますが、誰一人無駄にならず活かされている点も素晴らしい。いい意味で著者の手から離れて活き活きとキャラクターが動いていますね。
ファンタジー的要素など好みが分かれる部分もあると思いますが、楽しい小説を読みたければ一度は手に取ってほしいです。難しいことを考えず気楽に読んでもらいたい作品。「ハチミツとクローバー」や「3月のライオン」で有名な漫画家・羽海野チカさんのあとがき(?)もオススメです。
●ラ・タ・タ・タム―ちいさな機関車のふしぎな物語 (大型絵本)
・「小さなしろいお嬢さん機関車の冒険」
マチアス少年は、ちびだけど素晴らしく頭の良い発明家、水中翼船や空飛ぶ自転車などを発明しました。彼が何一番すきなのは機関車だったので街の機関車工場の道具を借り、ある日、自分専用の真っ白で素晴らしくきれいな小さな機関車を作り上げました。 それを見た意地悪な工場長が彼の小さな機関車を取り上げてしまい… ビネッテ・シュレーダーさんの幻想的な挿絵が素敵です。特に見開きの絵に迫力があります。
・「美しく繊細な絵に酔える一冊」
息子が汽車・電車系が好きで絵本であると手当たりしだい買っていた時期がありました「きれいねぇ」っと言ってうっとりみていた息子ももうそろそろ二十歳。ただ、いまみてもこの本の美しさは色あせることなくまた、体制への反発やら才能ある人への逆風やらけっこう深いメッセージが込められているのをあらためてかみしめたりしています。「絵本」としての完成度は高い作品です。
・「真っ白なお嬢さん機関車が、絵本の中の広くてさびしい世界を走ってゆきます」
白い妖精のように綺麗で小さなお嬢さん機関車が、作り手のちびのマチアスを追って、山のお城や荒れ野、石炭山の中を駆け抜けてゆくストーリー。その話にさほどの面白味は感じなかったけれど、シュレーダーの絵に惹かれた絵本でした。その絵は、訳者の矢川澄子が言い当てているとおり、「隅々まで丹念に描きこまれ」「つめたさと暖かさとの奇妙に入りまじった」魔法の味わいがあるのですね。工場長の庭園を描いた見開き二頁のシンメトリックな絵や、果てしなく広がっている世界をひとり行く真っ白な機関車の姿に、ほのぼのとしたあたたかみを感じました。 本書を手にとるきっかけになったのは、森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』の中で、黒髪の乙女が「宝石のように美しい絵本」「絵がとても幻想的で美しく」云々と語っているのを聞いて、「へーっ。そんな絵本があるんだね」と関心を誘われて。出会いをくれた黒髪の乙女に、thanks! 1975年7月、第1刷発行の絵本。ドイツはハンブルク生まれの絵本作家、ビネッテ・シュレーダーの絵本をもう何冊か、読んでみたくなりました。
・「本家、神谷バーとは別物?」
父に頼まれて注文したのですが、父曰く「店で飲んだ味と違う!」とのこと。ラベルも違うそうなので、同名異物なのでしょうか?
飲んでみた感想は、説明には「甘めのブランデー」と、ありましたが・・・どちらかというと、「辛めの養○酒」でした。
・「有川浩ファンは読むべきである。」
『クジラの彼』有川浩著 有川浩ファン、わけても『海の底』で、主人公にさりげなく手を差し伸べている、女慣れしていて、口の上手く、ひねくれた冬原三尉のファンになった方は必見です! 読んでなくても面白いですが、『海の底』を読んでから読むと!感想が天と地程も違います! 仕事の最中と彼女の前のギャップが、もう。こんな素敵な人、見たこと有りません。なんだこれ。こんなに素敵な彼なら、二ヶ月だろうと、三ヶ月だろうと、音信不通でも待ちますよ! タクシーに乗車拒否される程の異臭だろうと、関係有りません! なんて素敵なの、冬原さん! そんなきゅんとする、冬原さんの姿が読めてしまうのですよ! めちゃめちゃお得ですって!
あ、ありがたいことにアマゾンでは、野生時代のバックナンバーも注文できるので、冬原さんの相方、夏木さんのお話も読めますよ。『野生時代』vol.29 です。 ネット書店素晴らしい。
・「「夜は短し歩けよ乙女」が出色/森見登美彦ファン必読」
本書は、現時点で森見登美彦の短編(中編と言うべきか)が読める唯一の単行本である。本当にコアなファンなら雑誌掲載時に氏の全ての著作を読んでいるであろうから本書を購入する必要は皆無だが、雑誌を買わない主義のファン/その時に金が無かったファン/その時はまだファンではなかったファン・・・等の皆様には強くお勧めできる。 というのも、本書収録の「夜は短し歩けよ乙女」が紛うことなき傑作だからである。これほどまでに美味で、香り高く、人を陶酔させる小説を、私は近年読んだことがない。「太陽の塔」、「四畳半神話大系」において発揮されていた特異な才能・技巧に、さらに磨きがかかっている。“おともだちパンチ”、“偽電気ブラシ”、夜の街の支配者、そして、再登場する樋口さん・羽貫さん(!)・・・に私はもうめろめろである。
B6ソフトカバー1冊にこの値段は高いと思われるかもしれない(いや、明らかに高いですな)が、「夜は短し歩けよ乙女」を収録しているというただ一点のアドバンテージのため、本書の値段は、さほど暴利ではない。他の作家による6編を読めるという余禄もあるので。以下、折角なのでそれらの一部についても多少。 角田光代「あの八月の、」・・・20代後半女性向けか。 有川浩「クジラの彼」・・・20代前半女性向けか。 三羽省吾「ニート・ニート・ニート」・・・まさしくニート。まさしくモラトリアム。読み応えあり。本書の趣旨に最もよく沿った作品でありましょう。
・「今見るとすごいラインナップだ」
有川、桜庭、森見はみな既読だったので、三羽目当てで入手。しかし冒頭の角田の描写力の見事さにいきなり舌をまいた。角田らしい題材の女くささは、男性読者には敷居が高いが、それでも結婚を目前とした30代前半から青春を振り返ったときに見える世界のストレートな取り上げ方にはうならされる。この短編集ではじめて知った日向蓬も坂木司もどちらもいい味を出していた。日向の描く東北弁の少女のみずみずしさにも、坂木の描く沖縄のホテルでのバイト模様も、気持ちはすっかりその場所に持っていかれた。三羽の作品も期待通りの雰囲気の世界だった。
・「夢中な日々」
七人の作家の短編が集められた一冊ということで、私の好みからは当たり外れは感じるものの、初めて読む作家も多く、元は取った感じがする。
ちなみに、有川浩『クジラの彼』を目当てで購入。遠距離恋愛の待ち時間、気持ちの量に差はあるのではないかと、抑えても押えても立ち上る疑問。濃やかで、細やかで、誠実な冬原の対応が見事。うっとりするほど素敵で幸せな気分をもらえる。あの『海の底』の裏側でこの物語、というのが、またいい。
その他もそれぞれに魅力があったが、『夜は短し歩けよ乙女』が特に印象深かった。非日常的なものが日常的に、路地の奥に潜んでいそうな京都ならではの舞台装置。時代を感じさせる文体を駆使しつつ、もっともらしげに語られるのは、祝祭のような一夜。愛を込めた握り拳を、自分も作ってみる。なかなか楽しい一夜の夢であった。
・「総合的にはそれなり」
有川さんの「クジラの彼」が読みたくて手にした本です。これはもう、予想以上に面白かった。個人的には、「海の底」を読まれてからの方がより面白く読めると思います。「海の底」の冬原さんも好きだけど、彼女を前にした冬原さんも素敵でしたね。
他の方は全く知らない作家だったのですが、良かったものも合わなかったものもありました。それはまあ、複数作家の短編集では仕方のないことですが。中では坂木司さんの「ホテルジューシー」が好きです。
・「1話1話が秀逸、4話揃ってさらに秀逸。」
1話目を読んだ時点では、特に面白くもなく、つまらなくもない話だと思ってました。
2話目を読んでいる途中から、繰り返される回りくどい表現に引き込まれ、3話目を読む頃には、もう止まりませんでした。
そして、全てをまとめあげる4話目。圧巻でした。
何よりすごいのは、ここまでの興奮を味わっておきながら、同時になにか汚いものに触れてしまったような気分になること。
登場人物が誰一人尊敬できないし、起こる事件は心の底からくだらないのです(笑)
でも、(残念ながら)それが親近感にも通じるわけで、感情移入を誘います。最高の1冊でした。
・「森見さんすごい。すごすぎる。」
帯に青春コメディとあったので、私好みではないと思っていましたが、なかみ検索を読んでいたら続きが気になって買ってしまいました。読み始めたら面白くてとまらなくなりました。いや〜すごいな。よく考えてあるし、計算されている。青春コメディという言葉からはとても予測できなかった展開。馬鹿っぽくみえて実はかなり奥深い。森見さんってすごいなって感服してしまいました。文体も賛否両論あるみたいですが、私は大好きです。出町ふたばの豆餅は遠くて買いにいけませんが、カステラは食べたくなって買ってしまいました。例え一話目で、読みずらいな〜と感じても、一度慣れてしまえば引き込まれて、もっともっと読みたくなります。読み終えてしまうとなんだかさびしくなり、普通の文章では物足りなくてさらなる森見作品を求めてさまよいでてしまいました。この本に出会えて本当によかったです。
・「無類の語り口には微塵の揺らぎもないっ!」
のだが、そうした見栄えの良い形容が似合わないところが魅力なんである。無駄に多くを語らない、という美徳があるとすれば、これは斯様な美徳に真っ向からお尻を向けている。フリフリしているかもしれない。見る人の視点によっては、そのお尻は大変にキタナイものかもしれない。しかしまた別の視点から眺めると、そうして世に向け放たれたお尻達は、珍妙ながらたいそう愛しくも映るのだ。
本作は4つの章から成っている。描かれる世界はある意味とても小さい。そしてそこに意味がある。4話を通して読むと、最後にそのことが実に自然にふはふはと浮かび上がってくる。ほとんど悪ノリの態で紡がれる言葉に立ち向かう術はない。読めば呑まれる。無用の長物こそを武器に選び出すような、どうしようもない阿呆さと愛しさは、その人物造形や世界観と共に通底した魅力となって、ぐるぐると活発に、半ば無駄に動き回っている。
舞台設定は『太陽の塔』に近しい。だけどここには、前作には無かったような一つの仕掛けが用意されている。その仕掛けが分からないぶん、第2章あたりで一瞬躓く。現に自分も「なんたる怠慢!」「これでは体の良いコピー&ペースト地獄ではないか!」と憤りかけたりもした。しかし、その作りこそが肝だったのだね。
可能性ではなく、不可能性の認識から振り返り見た世界。その鮮やかな感触を最後にふわりと描き出した本作は、私的には稀に見る傑作。巻末解説は同じく大好きな作家/佐藤哲也氏が書いている。森見作品が好きな人は、一度佐藤氏の諸作も読んでみると面白いかもしれない。
・「文句なし!」
文句なしの星5つ。森見登美彦にしか書けないであろう、アホさといい軽快さといい。舞台が回る回る。それにつられて喋り捲る登場人物たち。パラレルワールドというのだろうか、有ったかもしれない過去の選択。しかし、どの選択肢の先にも…緻密なアホさ、精密な無駄、大迫力の空振り、広大な京都で、絶大な馬鹿達を引っさげて、主人公の青春群像が咲き乱れる。行き着く先は大円満か異次元か。京都の魔物、森見登美彦の真骨頂。
・「著者の筆力を物語る一冊」
同じ題材やキャラクターを用いて、四つの話が平行して繰り広げられる。太陽の塔さながらのユーモラスで軽快な語り口調は健在です。各話で同じ文章が何度も繰り返し出てくるのですが、不思議と飽きることなく、洗練されていて心地良い気分にさせてくれます。そして主人公である私を取り巻く小津や明石さんや樋口師匠といった一癖も二癖もあるキャラクターが魅力的です。
賛否分かれる作品ではありますが、僕にとっては手放すことの出来ない貴重な一冊です。
・「疲れない(飽きない)程度に分割して読むと、おもしろい部分が見える、かもしれないです。」
初めて森見登美彦の本を読み、文学的な文章というよりもこれはおたく的な文章だなと思いました。ひたすら濃く、くどい。話が掴みづらい上に文章は濃くどうにも疲れるので、途中からつらつらと流し読みました。結局息切れ切れになりながらも最後まで読みきりましたが、内容をあまり覚えていないのに妙な感覚だけが残るという変な作品でした。先日、数ヶ月前のその感覚を不意に思い出し、この話の何がひっかかったのか解明すべくじっくりと読み返してみました。結論として、私には二度読みがちょうどよかったです。私の疲れで見落としてしまっていた全体のお話や随所にちりばめられているシーンがとてもよく、危うく知らないままにするところでした。変な言い方しかできないですが、森見登見彦は感覚を外側から表現するのがうまいなと思いました。嫌々読んだはずなのに二度読みさせられた私の完敗です。
・「男汁たっぷりの部屋で語り合った経験のある人に贈りたい」
学歴コンプレックスの連中が京大だからと批判し京大卒の馬鹿どもが周辺地理を面白がる。この作品はそれだけの価値しかないのか?否、この作品は、日本語を愛し、もてないで悶々と過ごした青春時代をもち、自分というものの価値を信じているすべての男性のための切ない物語だ。そして、私はそう読めなかった人たちがうらやましくてならない。おそらく、男臭さむんむんとする部屋で友人と語り続けてた経験もなく成長されたのだろうと思うからだ。しかし、この作品はそういう人たちに読まれるべき作品ではない。女性にもスポーツにも縁がない学生時代を持つ(生きる)人にこそ読まれるべき作品なのだ。
・「痛快」
第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞。 理屈っぽく偏屈な男子大学生が元カノへの未練をジレンマにモンモンとした毎日を過ごす、という日常生活を面白おかしく、どこか切ないモノローグで綴った作品。 ・・・という、ありふれた紹介では収まらないほどに、異常な描写と思考が連続する痛快極まりない内容だった(笑)
読み始めた当初、これは精神異常者を題材にしたストーカー小説かな?と思った。でも違った。 確かに、異常すぎるほど豊かに展開される主人公の妄想と思考は変質者まっしぐらなのかもしれないが、そこには一般的な風潮や文化を否定したがる「哲」学生特有の青臭さと、意地が垣間見られる。 一般的なもの・・・それは特に男女の色恋についてだ。主人公は(そして彼のかけがえない友人達は)自分がそんなものに現を抜かすような俗深き人間ではない、と主張し続ける。俺は孤高だ、俺が答えだと叫び続ける。(無論心の中で)
一般的な道楽を正常とするなら、彼らは異常な存在だ。けれど異常な自分を肯定し続けることが彼らにとって正常なことであり、俗にまみれることが逆に異常なことなのだ。異常=異界に身をおく彼らにとっては、むしろ現実こそ異世界である。しかし、どうしても元カノである水尾さんが忘れられない主人公は、その境界線が実は真実ではないことに、うすうすと感づいている。もっと言ってしまえば答えは分かっているのだ。でもそれを認めたくないからこそ、彼はさらに異常な所業を、とひたむきに頑張るのである。
読者を異常な妄想譚で欺き弄び、お腹いっぱいになるまでシュールな笑いを提供してくれる本作品だが、主人公の意識にひっそり隠れている健気で臆病な想いに気づいた時、この小説は夏の青空ばりの清清しさを心に残してくれるはずだ。 失恋している人もそうでない人も、ぜひ読んでみて欲しい。
・「これぞ童貞文学(?)の決定版!!」
いわゆる「童貞」ジャンルの映画や漫画(吉田秋生とか)そして小説(みうらじゅん、原田宗典とか)って、実は結構たくさんあると思うんですが、この「太陽の党」は著者の膨大な知識と知性、そしてユーモアによって、一線を画す作品になっています!
実際のところ、主人公の「わたし」が童貞かどうかは分からないのですが、膨れ上がる欲望を女の子にぶつけることも出来ず、男同士でひたすら妄想を弄ぶ。そして世の幸福な男女へひたすら悪態をつき続けるその様は、まさに「童貞スピリット」。痛々し過ぎて、愛しくさえなってくるんです。男性のみならず、女性も共感できるのではないでしょうか?
これといった起承転結のストーリーもないし、ファンタジーノベル大賞受賞のわりにさしてファンタジーでも無いのですが、その語り口の軽妙さが最後まで読み手を引っ張っていってくれるでしょう。できれば「夜は短し歩けよ乙女」を読む前に読んでおいて頂きたいですね☆
森見登見彦さん、今一番注目している作家の一人です。
・「紛れもない裏青春小説の傑作」
遠藤周作〜椎名誠へと続く、明るく爽やかで清潔な男女交際・・・といった言葉とは完全にシンメトリーを成す青春文学小説です。しっかし、驚きましたよ。ここまで徹底的に自分をさらけ出すことができるなんて。この作者には間違いなく力があります。夜は短しの方はつまらなかったけどね。今後も頑張って欲しい。
・「飄々としていて痛快。楽しかったです。シリーズ第二部にも期待しましょう」
洛中を舞台に、天狗、人間、そして狸の眷属が三つ巴、縦横無尽の大活劇を魅せてくれる面白小説。
往年の天狗力、今いずこの赤玉先生。半人間、半天狗の美女・弁天。四匹よれば、時には百人力の狸魂を発揮する下鴨(しもがも)四兄弟。下鴨ファミリーとは宿命の抗争を繰り返す夷川(えびすがわ)ファミリーの金閣、銀閣の兄弟。などなど、登場するキャラクターたちの、のほほんとした言動と化かし合いが、なんとも飄々としていて痛快。楽しかったです。
また、『夜は短し歩けよ乙女』を彷彿させる、森見ワールドならではの歌い、踊り、流れるような筆致。ひょいひょいとつながって行くエピソード、その連係プレイがとってもイケてる話の展開。そういうところが、実にいいんだなあ。 終章の話の疾走感などは、遊園地で人気のアトラクションに乗ってるみたいな、スリリングな楽しさがいっぱい。帯の背表紙のところに書いてあるとおり、「面白きことは良きことなり!」であるなあと、存分に堪能させられました。
下鴨ファミリーを結ぶ強い家族愛にも、ぐっときました。そのほろりとさせられる味わいは、忘年会で鍋料理をはふはふ言いながら食すのにも似たあたたかさがあったなあ。
幻冬舎の「パピルス」、2005年10月号〜2007年2月号に掲載されたものに、書き下ろしを加えた作品。 この話につづく「有頂天家族」シリーズ第二部、第一話「二代目の帰朝」が、2007年10月27日発売の「パピルス」15号に掲載予定の由。待て、しばし。楽しみになってきました。
・「奥ゆかしさ・バカバカしさ・妖艶さ」
人間・天狗・狸が暮らす街・京都が舞台。京都という地の持つ奥ゆかしく味わいのある風景がこの3つの種族が共存する不思議さと見事にマッチしています。
はじめは相変わらずのモリミー節のバカバカしさに呆れつつも楽しく読んでいたのですが、父の死の真相がわかるにつれて怒涛の展開に!いちいち驚きの声をあげ、愛すべき毛玉たちに声援を送りながら熱い気持ちで読みました。
奥ゆかしさ・バカバカしさ・妖艶さ、この3つの絶妙なバランス感。そして主人公がかわいい狸だっていう力の抜け具合。バカバカしさをしっかり保ちながらも感動させてくれるから凄い!
巻末では第二部の始動が大きく予告されてあり、今後も毛玉4兄弟の活躍から目が離せません。
・「面白い」
狸と天狗と人間の話。
最初は登場人物(狸か)の紹介と状況説明が続く内容でこれは面白くないかも・・・なんて思いましたが、やはりそこはモリミーです。中盤から後半にかけて一気に読ませる面白さ。
もう、なんというか、阿呆さ爆発。出てくるキャラクターたちが非常に人間っぽくて、狸のくせに(笑)。周りにもこんな人、いや狸?、いるなぁ〜なんて。人間をキャラクターにして書いていたらありきたりな物語になってしまうところを狸や天狗を主役に持ってくることで、あっさりと面白い話に変えてしまう、そんなモリミーの筆力というか発想に感服。
狸たちがかわいくてしょうがありません。その化けっぷりも、叡山電車に化けて街中を走り回ったり、如意ヶ嶽に化けちゃったり、丸ごと蕎麦屋に化けちゃったり、どこまで妖力あるんじゃい!って突っ込みたくなるほどでした。そんな狸でもあっさり狸鍋になっちゃったり。ところどころ笑えるツボがしっかり抑えてあるし、また、親子兄弟の愛情考えさせられたり。ほろっとさせられたり。上手すぎです。
第2部も始まるようです。これから下鴨4兄弟や赤玉先生、弁天に何が起こるのか、楽しみですね。
・「ぷりぷりのけぽっ」
面白きことはよきことなり!!
ファンタジィである。しかしある意味謎ときミステリィであったりもする。
京の都には 人間と天狗と狸がいる。そしてそれぞれ三つ巴になりくんずほぐれつするのである。
糺の森に住む狸の4兄弟が 宿敵夷川親子と知力を尽くして戦い抜くのである。
と、言うとなんとも血なまぐさく聞こえるが(実際、兄を騙して狸汁にして人間に食わしちゃうくらい意外とノアールだったりする)そこはほれ、モリミーだからもう阿呆の血が騒ぎまくり七転八倒呉越同舟捲土重来樋口一葉なのである。
いやぁ もうなんとも面白いのなんのって読み出したら止まらないんだから。特に最終章のスピード感ったらジェットコースター並だから。
あちこちにちりばめられた森見的エッセンス健在。偽電気ブランやら怪しげ隠居やら腐れ大学生やら、キュートな擬態語やら…もうぷりぷり けぽっなのである。
あぁ 言葉にならないくらい 有頂天な小説なのだ
・「誰にもまねできないモリミワールド」
森見作品はどれもおもしろいので今回も楽しみにしていましたが、期待を裏切らない作品でした。特に中盤以降はストーリーがどんどん展開して、あっという間に読みきってしまいました。風変わりな設定だけに頼らず、物語の中身や何気ない表現にも工夫があって、小説としての完成度は今までで一番な感じです。奇抜な設定と独特の文体を使い、頑固に京都という舞台にこだわり…他のどんな作家にも追随できない王国を築き上げているのが本当にすごいです。これからもこの作風を貫いて頑張ってほしいです。
・「名作を現代に」
これは名作を一大学生の偏狭な世界観で描きたい作品なんですね、きっと。想像を絶した苦悩なんて、絶するゆえに多くの者にとってはどうでもいいことでしょうし。そういった高尚と考えられるものとずれた、駄目大学生の屁理屈の中に一片の真実を汲み取るかどうかなんじゃないかと思います。芸術としての小説だとか、敬遠されがちな古典ですがそれらは意外に自分達の身近な悩みに一々頷いてくれるものなんですね。その一つの面をふくらましたものとして、森見氏のこの本がある(原作の詳読記ではないのは当然のこと)。大いに笑えるものもあるし、切なくもなるものもあるし、なんだか不気味なのもある。京都が好きな人も、腐れ大学生を愛する方も、また原作を愛する人も、多くの人が楽しめる内容じゃないかなと思います。とにかく、「走れメロス」の奔走ぶりと、うってかわった「桜の森の満開の下」読後の余韻だけでも、一読の価値ありです。
・「愉快愉快!」
「山月記」斎藤秀太郎の底抜けの阿呆っぷりが、おいしすぎ。斎藤同様、〈もんどり〉が気になって気になって…。「藪の中」数人の証言から浮かび上がる真実。微妙な食い違いに注目。「走れメロス」絶妙なボケとツッコミ(さすが関西人!)に、噴き出すこと数知れず。「桜の森の満開の下」美しさは嫌というほど伝わってくるのに、体温が感じられない女の人が怖すぎる。「百物語」京都の蒸し暑い夏の夜。古い屋敷の座敷に自分も座っているかのような臨場感。
最近は“古典新訳”が流行りですが、こちらは“古典新釈”ときましたか!原作から受けるイメージを大切に、一編ごとに文体を自由自在に変える器用さはお見事です。彼の古風でノスタルジックなスタイルが、驚くほどハマッてしまった傑作でしょう。人によって好みの作品が異なりそうなところもおもしろい。それだけ多彩ってことですね。古書のような装丁もすてきです。
・「爆笑リミックス5連発(感動もあり)!」
標題のとおり、著者による近代文学の名作リミックス5編です。
行方不明となった文学狂いの青年と、かつての麻雀仲間との再会を描く「山月記」に始まり、登場人物がそれぞれの作品にかかわる様子は、藤沢周平の「本所しぐれ町物語」に通じるようにも感じます。原作と同じ表現を微妙にからませながら、おバカ方向まっしぐらの暴走だったり、切なさ倍増だったり(どちらの路線でも、心理描写がリアルでうならされます)…文学好きのツボを心得たコンビネーション攻撃を心から楽しめます。それぞれの作品と、原作が持つ緊張感が見事にシンクロしているところは「まいりました!」というほかありません。こういった連作集では「これが好きで、これはちょっと…」という順位ができてしまうものですが、どの作品も甲乙つけがたい面白さです。
舞台となる街の様子も、あたりを知るものにとっては「あそこ、そういうヤツいるよな」「そうそう、あのあたりはね…」とくすくす感を倍増させるスパイスとなっています。
森見作品を手に取るのはこれが初めてですが、「しまった、他の作品をもっと早く手にしていれば!」と悔やませるパワーがあふれています。装丁も小粋で、文句なく☆5つの評価としたいと思います。
・「楽しめました」
五篇のうち原作は「走れメロス」しか読んだことがありませんでしたが、他四編も充分楽しめました!原作読んでいると、笑えます!全篇で登場人物など設定が繋がっていて、原作も?と錯覚するマジックでした。読んでいない原作を読んでみたいと、思いました。
・「【新釈】走れメロス他四編に就いて」
新釈「薮の中」 多視点を形式にした有名な原作であるが、新釈では、素材が刑事事件ではなく学内恋愛または主人公の人格であるという点でより身近なものになっているように思う。周囲に誤解されやすい主人公の人柄に切なく共感した。
新釈「走れメロス」 あとがきで森見氏が原作の「作者自身が書いていて楽しくてしょうがないといった印象の、次へ次へと飛びついていくような文章」に惹かれたと書いているように、この新釈版も畳み掛けるようなスピード感が再現されており、『太陽の塔』や『夜は短し歩けよ乙女』の後半にかけての疾走感にも勝るとも劣らない、まさに森見氏の面目躍如、胸躍る思いで読んだ。映像化に向いていると思ったけれども、このスピード感を映像で表現できる監督はいないだろうと思い直した。
また、文章のスピード感だけでなく、「友情」をあのように再構成してみせたのは見事だと思う。あまりに美しくもばかばかしい友情に泣けた。相変わらずの笑いも満載で、存分に楽しんだ。
新釈「桜の森の満開の下」 大学生の頃、坂口安吾『桜の森の満開の下』を読んだとき、その意図するところがよく理解できなかった。森見氏の本作を読んで、「なるほど」と膝を打った。
結婚には幸福という記号が結びつけられていることは家族社会学者の指摘するところだが、事実の問題としては、必ずしも結婚が幸福をもたらすわけではなく、また、結婚しないことによって不幸になるとも限らない。「興ざめさせんな。ペシミスティックな自意識過剰野郎」と言われそうだが、おそらくこういうことだろう。一人で生きることは孤独だが、男と女とには本質的な違いがあるために両者が社会的結合関係に入った場合には、それゆえに男に別種の孤独をもたらすという事態が存在する。しかし、男にとってもこの幸福という記号に結びつけられている関係を捨て去るのは容易ではない。満開の桜の美しさには人を狂わせる力がある。登場人物の男は桜の森の満開の下で、女のもとを去り、一人でいる孤独を選ぶ。それは既婚男性一般にとっての憧れの決断であり、かつ哀しい決断でもある。
新釈「山月記」ほか 残りの二作品は原作を読んでいないので新釈をレビューする資格はないのかもしれないけれども、「山月記」は非常に面白かった。「性狷介で自ら恃むところすこぶる厚い」主人公が、自らの言語観に根ざした文学への絶対的信頼そして過剰な自信がともに費消され尽くして終いにはゲシュタルト的に崩壊するまでを、自ら述懐する様を通じて、現代京都を舞台にした青春の悲哀が語られていたように思う。
・「京都+怪奇」
京都好きの方にはたまらない小説です。京都という街がもつ不思議な雰囲気が存分に出ています。どの話も少しずつリンクしているようで、していないような…。同じ世界の話だけれど、どこかちょっとずつずれているような…。というような構成です。森見さんの他の話よりも少し笑い出してしまうような文体は少ないですが。
レビューのタイトルにも書いたとおり、京都という趣のある舞台+少し背筋がヒヤッとする奇妙な話、といった感じです。
京都好きにも、ちょっと不思議な話が好きな人にも、読みやすい小説だと思います。
・「ぬるりとした感触」
本を読むと時々「感触」のある本に出会うことがある。「感触」は読んでいる途中に文章が視覚以外の感覚を通して、体に入ってくるという感じでしょうか。単純な「ホラー」ではなく「するり」というか「ぬるり」というか、ページを通して、肌にそんな感覚を残していく本でした。特に描写に関しては、そんな感覚が強かったように思います。雨の描写では、鼻につんとくる雨の香りが漂い、起こるであろう恐怖を予感させる。そんな文章を超えた感覚が、この本にはあるように僕は感じました。
・「夜は短し〜は苦手でしたが。」
『夜は短し〜』は、どうもオタ臭い感じや登場人物が苦手でした。
・「幻想とは、若者が誰かと出会い、夢のように時間が過ぎることだ」
ホラーではありません。恐怖を正面に据えて、「ほら怖いでしょ?」と作者が語りかけてくるような作品ではありません。キング以降のモダンホラーとは、対極にあるのでしょう。伏線、登場人物の内面描写、謎解き、クライマックスといった約束事がないので、肩すかしにあう読者もいると思います。ところが、なかなか面白いのです。本作は幻想を語っています。たくさんの謎も提示されますが、どれも未解決のまま、放っておかれます。京都の夜、さびれた古道具屋、血縁の謎、ミステリアスな女、竹薮に囲まれた屋敷、琵琶湖疎水。想像力をかき立てる小道具は揃っています。連作ですが直接の関連はなく、次章を読む度「この古道具屋って?」と、物語の背景を想像させられます。本書は、とにかく半分だけ出して、あとは想像しなさいという小説です。
本作は、若者が道に迷い、誰かと出会い、夢のように時間が過ぎたエピソードを描いています。幻想として描かれてはいますが、描かれている感情って、結構普遍的なので、本作は面白いのだと思います。って、ことは幻想小説でもありますが、青春小説でもありますね。(随分屈折した方のです・・・)
・「張り巡らされた糸が囁く」
京都という舞台といくつかのキーワードを軸にして、時代や設定、人物を変えながらも巧みにリンクしていく四篇は、果実の中の龍で先輩が言っていた“神秘的な糸”が張り巡らされているよう。深読みしすぎたのか、伏線かと思っていたら以後全く触れられない箇所もありましたが、逆に意外なところが結び付いていたり、先へ先へ読みたくなる作品です。読後感はまさしくきつねにつままれたよう。恐怖と言うよりもう少し毒気の無い、奇妙とか不可思議と言ったほうがしっくりくるような、月夜にひっそり読みたくなるような一冊です。
・「妄想エッセイ暴走中」
果たしてこれはエッセイなのか小説なのか?エッセイだとしてどこまでが本当にあったことなのか?これでオチがついていると言えるのか、でもやっぱりついていないような…?なんてことを真面目に考えてはいけない。考えるだけ無駄である。というか、考えたら「負け」のような気がする(何に負けたのかは不明だけど)。とにかくこの本で楽しむんだ、とハラを括れる人だけが読もう。…実は、知り合いに「面白いよ」と薦めてみたのだけど、「あまりの馬鹿さ加減」に付き合っていられない、と途中で本を投げ出されてしまったので、こんな煙幕を張っているのです。もしかしたら、真面目に物事を考える人には向かないのかなあ。いや、勿論私も真面目な人間ですけどね(笑)。つまりは、こんなよくわからないレビューになってしまうような本だ、という事です。それに☆5つの評価を与えてしまっているのは正直なんだかなー、と自分でも思わないでもないけど、面白かったんだからしょうがない(と自分を納得させる)。細かい事とか堅い事とか気にせず、楽しみたい(もしくは呆れてみたい)という人にはオススメ(但し本当に楽しめるかは保証の限りではありませんが)。
・「個人的には大満足」
登見彦氏がとても好きな竹の話です。「例えばどのように好きか?」という問いにうまく答えられずに本1冊分の行動・過去語り・薀蓄・詭弁・妄想が繰り広げられます。
何となくとても好きなモノがあって、1時間くらい語れそうだけれども本当に語ると2分くらいで終わってしまう。それに纏わるエピソードなども語り行動し、友人を巻き込み結局理解はして貰えないけれども「好きだ」という事だけは伝わったしまあ楽しかったから良かったじゃないか、という事にする。
そういった事は自分もあるので完全にやり切ってくれて本当に愉快でした。
太陽の塔はとても面白かったけれど他の作品のファンタジー要素やドタバタ展開にはついて行き切れなかったので虚構も多々あると思うけれど、作者の良さはそのままに現実的でシンプルで愉快で良かった。
感動やドキドキハラハラの展開などは、当然現実的に無いので何らかの満足を求めて読むなら物足りないかも。人にも勧めにくい。太陽の塔、四畳半神話体系、夜は短し歩けよ乙女、等の主人公が好きなら楽しめる。
・「健在です。」
森見登美彦氏が友人と竹を刈る本です。といっても意味が分からないと思いますが、本当にそう言う本です。読み進むにつれてだんだん竹だけで話を進めるのが難しくなってきて、どうオチをつけたらいいのか収拾に困っているようなフンイキがたちこめてきます。彼独特の語り口によるおもしろさは本作も健在なので、上記のような脱線ぷりをも含めて笑おうという心構えで読む分にはオススメできます(作者は「無益だけど楽しい文章」と言っています)。けっこうおもしろかったです。
・「森見好きのための一冊(?)」
虚実空想入り混じった随筆作品。サラッと読めて、クスッと笑えて、サパッと面白い。けど、森見登美彦による森見ファンのための一冊って感じかなぁ。
ただ、登美彦氏が竹林を切る!というお話。切ろうとするが、持ち前のヘナチョコ魂を発揮してなかなか上手くいかなかったり。詭弁を弄して竹林と美女を結び付けてみたり。妄想を交えて竹林経営の未来を語ってみたり。
まぁ、そんな感じの本です。面白いですよ。
しかし、森見作品の入り口にはしないほうがいいかも。森見ワールド未体験の方は、先に『太陽の塔』か『夜は短し歩けよ乙女』を読むことをオススメします。
・「わけの分からない面白さ」
エッセイだよね?これ・・・といいつつ内容はほとんど妄想小説になりつつある。確かにエッセイらしくもあるけれど、本当に竹を刈り行っているのか机上の妄想なのか・・・・その不思議加減が妙に心地よく感じられるのが不思議だ。
竹林に対する登美彦氏の想い。常人には理解できかねるんですけど・・・。
事実と妄想と入り混じりながら最後の大団円へとたどり着く。この阿呆さ加減が森見さんの素晴らしいところだと再確認しつつ読み終えた。
あ、誰にでも理解できるものではない。だけど、面白い。無益だけど楽しい文章森見さんが語るように、まさしくそんな文章でした。途中途中「ぷっ」と噴出すところもあり、さすがは森見さん、そう感じずにはいられない作品でした。
・「作家がどうして作家になったのか!?」
本書は作家といわれる人々への読書体験に対してのインタビュー記事をまとめたものになる。
作家という人々はたくさん本を読んでいるのか。それはもちろん幼少の頃からなのか。古今東西のテキストは一通り目を通しているのか。
作家に対する普遍的なイメージ(?)と、実際の作家の読書体験のギャップ(?)が面白い。
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