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▼読んだ小説:セレクト商品

希望の国のエクソダス (文春文庫)希望の国のエクソダス (文春文庫) (詳細)
村上 龍(著)

「プレーヤーだからこそコミュニケーション」「この国は何でもあるが、希望だけがない」「未来の展望を感じる時」「浮き彫りにされる現在日本社会」「考えよう」


レヴォリューション No.3レヴォリューション No.3 (詳細)
金城 一紀(著)

「こいつらサイコーだよ!!」「若い頃は…なんて野暮なことは言わせない」「君たち、世界を変えてみたくないか?」「楽しかった!」「難しいことは何一つない」


フライ、ダディ、フライ (The zombies series (SECOND))フライ、ダディ、フライ (The zombies series (SECOND)) (詳細)
金城 一紀(著)

「とびっきりのエンターテイメント☆」「大好き!」「おっさんも頑張ってます。」「フライダディフライ」「シリーズ中で一番好き」


コンセント (幻冬舎文庫)コンセント (幻冬舎文庫) (詳細)
田口 ランディ(著)

「いまの日本の潜在意識を顕現した小説なのか?」「唯一無二の「田口ランディの世界」」「身体の底に繋がる」「おんなじところがある」「すごい」


アンテナ (幻冬舎文庫)アンテナ (幻冬舎文庫) (詳細)
田口 ランディ(著)

「体感小説だと思います」「とても癒されます。」「アンテナ」「めちゃくちゃ上手い」「アンテナ???」


モザイク (幻冬舎文庫)モザイク (幻冬舎文庫) (詳細)
田口 ランディ(著)

「仲間由起江だな」「自分的田口ランディの評価は」「世界の枠」「3部作の最後を飾るのにふさわしい作品」「ストーリーに飲み込まれる」


富士山 (文春文庫)富士山 (文春文庫) (詳細)
田口 ランディ(著)

「作家としのておそるべき力量を示した著書」「生きろ・・・」「富士山」「ひとりごと」


アジアンタムブルー (角川文庫)アジアンタムブルー (角川文庫) (詳細)
大崎 善生(著)

「強い気持ちになれました。」「「美しい死」など有り得ない」「切ない。」「虚無感の世代」「切なく暖かい」


症例A (角川文庫)症例A (角川文庫) (詳細)
多島 斗志之(著)

「リアルに描かれています。」「医療従事者が読んでも納得の面白さ」「精神科医の苦悩を切り取る名著」「読み応えあり」「病気に対する知識も得られる素晴らしい作品」


ルール (集英社文庫)ルール (集英社文庫) (詳細)
古処 誠二(著)

「人として、戦場で生きるためのルールとは」「戦争文学の復活」「ハンカチじゃたりません」「世界の見方をかえてしまう本」「辛いテーマを扱った作品」


反乱のボヤージュ (集英社文庫)反乱のボヤージュ (集英社文庫) (詳細)
野沢 尚(著)

「古典的な題材だが」「でも野沢さんの中で一番好きかもしんない」「圧倒的な構成力!!」「ミステリーでない野沢尚」「懐かしい」


アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫) (詳細)
伊坂 幸太郎(著)

「二年前と現在との交錯」「河崎、ドルジ、琴美 3人の切ない物語」「伊坂ワールド」「カテゴライズに困る本」「面白かった!!」


ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス) (詳細)
浅野 いにお(著)

「痛いせつなさ」「音楽と、愛と、生活。 何だか今日は空が高いや。」「23、24歳のリアル」「まるで僕ら」「退屈に続く毎日。」


▼クチコミ情報

希望の国のエクソダス (文春文庫)

・「プレーヤーだからこそコミュニケーション
 この著書の一つのキーワードは,「コミュニケーション」だったと思う。ひきこもり少年たちは,日本における希望のなさを問題視し続けるわけであるが,彼がその中でこだわっていたのは,「コミュニケーションのなさ」であった。「希薄さ」ではなく,「なさ」である。これに関して,p.28-30で中村君が語る話が印象的であった。話の中で,中村君は,「シカト」を「コミュニケーションをするためのコミュニケーションすら拒否すること」と定義し,これが人間にとって最も辛い仕打ちであり,自殺者さえ出ると語る。この語りの意味がもっと鮮明になるのは,後にp.303において,国会議員に対してASUNAROのリーダーであるポンちゃんが国会議員に対して「コミュニケーションできません」と答える場面である。 そしてこれに関連するもう一つのキーワードは,「プレーヤー」であったと思う。少年たちは,日本が子羊のようにのほほんとしている間に,金融資本が攻め込んできているということに危機意識をもっている。それはエクソダス計画のひとつの理由である。現状のままでは日本は養鶏場ようになってしまうという。生きることが,国が,常に戦いの中にあり,人は,構成員は,その戦いのプレーヤーであるというのである。プレーヤーだからこそ,人と交渉することが必要になる。つまりコミュニケーションが必要になる。これに対して,プレーヤーをやめてしまった人たちは,コミュニケーションをしていないというのかもしれない。

・「この国は何でもあるが、希望だけがない
確かに、今の日本経済は将来のビジョンを全国民に提示できていない。そのことについて、今の若い人は、この主人公たちと違って反乱を起こしていない。むしろ、現実から逃げているようにも思える。だからこそ、今の日本は危機感がない状況だろう。危機感がないけど、将来向かっている社会は、日本が崩壊する方向にむかっているんじゃないだろうか。今の社会は、物語で書かれている経済状況よりまだましだが、物語の方向に向かっているような感じはする。だから、まんざら物語上の話は物語で終わる感じがしなかった。

この話で衝撃的なところは、「この国は何でもあるが、希望だけがない。」という部分だ。結局、日本社会に期待しないで、自分の幸せについて追求するしかないのかなと思っています。

・「未来の展望を感じる時
改めて村上龍の現実表現力を感心させられる作品。あらゆるすべてのことが現実に即して展開され、物語が進んでいく。もちろんまだ村上氏がしらない未来のことも。

その擬似現実世界の中に織り込まれた村上氏の主張を代理する団体ASUNAROが繰り広げる活動、影響、態度。日本の今の状況がいかに脆弱で危険なものであるかよく分かる。

そしてこの小説は、読んでくだらないと思ったり、すばらしいと感じるすべての人の心に一つの課題を残す。

果たして日本はこのままでいいのだろうか?と。

ぜひ、中学生にわだかまりを残したまま高校生、大学生になった人たちに読んでもらいたい作品だと思います。

・「浮き彫りにされる現在日本社会
衰退の一路をたどる日本。その閉塞感の中で、80万人の中学生が一斉に不登校を始め、ネットビジネスを開始する。

中学生にこんなことができるのかという点よりも、この小説に出てくる中学生によって対存在として浮き彫りにされる現在日本社会が何よりもこの本で面白い点です。最も吸収力があり、保身化の要因となるようなしがらみを持たない中学生という存在は、非現実的な理想的存在ではありますが、社会批判という点において大きな役割を果たしています。

我々が常日頃いかに自己保身と正当化に身を任せているか、IT,金融という変化の象徴的な者に対していかに目を背けようとしているのかを、認識させられました。

・「考えよう
 この本はまさに現代人に対しての挑戦的な本であり、また希望を持たせてくれる本でもある。物語の後半の通貨アッタクの場面は緊張感たっぷりで久々に面白い本だと思った。 また現実離れしているように思われる中学生集団が行うインターネットビジネスも現代社会においては起こりうる事のようにも思える。実際の現状としては遅ればせながら色々なネット関連の法律も出来つつありこの本と同じ事を行うのは不可能だとは思うがやはりまだまだネット法には隙間が多いのも事実だ。また、プログラム等を理解するには中学生は既に十分な年でもある。ある発表では幼少期にコンピューターの知識をつけているのといないのでは後になって天と地ほどの差が出てくるという。いわゆる言語と同じような物で幼少期から慣れ親しんできた言語でなければ大人になってからでは理解力に天地の差が出るような物だ。そういう面では中学生で既に大人以上のPC知識を持っている人間がいたとしてもまったくといって不思議ではない。特に日本という国は技術力だけは以上に進歩していたのにネットの普及率が世界的に遅れを取っていたり(僕の周りはインターネットと無縁の生活をしている人達の方が多いくらいだ。)、いまだに会社役員のおっさん連中がPCを扱うことが出来ないようなわけのわからない状態なのだから。古い世代からの世代交代が必要になっているのは間違いがないだろうと改めて感じさせてくれる本だった。

希望の国のエクソダス (文春文庫) (詳細)

レヴォリューション No.3

・「こいつらサイコーだよ!!
高校生っていいなぁ…と思わせてくれる一冊。世界を変えるために結成されたゾンビーズ。と、まぁこれだけ見ると壮大な物語のように思われるでしょう。しかし要は落ちこぼれ男子高校生の集団が、お嬢様学校の文化祭に突入するために繰り広げる痛快青春ストーリーなんです。笑いあり、涙あり。さらに今の現代日本を風刺する場面もあって、面白いだけでなく考えさせられる部分もあります。読みやすいので読書をあまりなさらない方にもオススメです。ホント、面白いですよ!!

・「若い頃は…なんて野暮なことは言わせない
青春って楽しい!! つまらない10代を過ごした人でもこう思えてしまうような、落ちこぼれ男子高校生達の青春活劇です。 全編を通して笑いと勢いがあります。というか、むしろ笑いと勢いしかありません。

強烈な個性を放つ高校生達は魅力満点。 良い意味でひねくれていて悪い意味で純粋な彼らに言いたい。 あんたら最高!!

・「君たち、世界を変えてみたくないか?
この夏映画化される「フライ、ダディ、フライ」。この話で重要なのはやはり、鈴木一(堤真一)の復讐を手助けする舜臣(岡田准一)を含む、オチコボレ高校の生徒達(通称:ザ・ゾンビーズ)。レヴォリューションNo.3は、そのザ・ゾンビーズの物語第一弾で「フライ、~」から約一年後の話。レヴォリューションNo.3/ラン、ボーイズ、ラン/異教徒たちの踊り の三部構成で、それぞれ高校三年生の冬/3学期/夏 の話。読めばわかりますが、あえて高3の夏が最後ってところがミソ。主人公は、舜臣ではなく「フライ、~」に少し出てきた南方。ある日、先生に言われた「君たち、世界を変えてみたくないか?」の一言に衝撃を受けたザ・ゾンビーズの、世界を変える戦いと青春がこの一冊に。はっきり言って、リアルで眩しい!若いっていいですね…。(笑)読み終えた時、きっと、もう一度高校時代に戻って無茶をしたくなるハズ。興味のある方は、読みやすいので絶対に楽しめます。「フライ、ダディ、フライ」にハマった方も、共通点が多いので絶対に楽しめます。また、金城一紀ファンや「レヴォリューションNo.3」をすでに持ってる方は、これは新装決定版なので絶対に買うべきです!簡単に言えば「みんな、とりあえず読め!」って感じです。

・「楽しかった!
なんか好きだなぁ~こういうの。くだらないことに一生懸命になってる姿もまたいいと思う。とにかく、一生懸命はかっこいいんだ。自分が男だったら、こんな風にお馬鹿なことに盛り上がりたいな。男ならではのノリだと思う(^-^)

・「難しいことは何一つない
オチコボレ高校生集団、ゾンビーズが世界を変えます。所謂バカ高校に通う彼らが、憧れのお嬢様校の文化祭に潜入するため奮闘する「レヴォリューション No.3」他、ザ・ゾンビーズが活躍しまくる一冊です。バカで不器用でお調子者な彼らは何をするにも(勉強以外?)全力疾走。気付けば私も、本の中の彼らと一緒に一喜一憂していました。「青春」という一言では片付けられない魅力が詰まっています。

男子高校生の持つ限りないパワーと果てしない勢い。溢れんばかりの欲望にひたすら突き進む彼らはとびっきり輝いてます。

レヴォリューション No.3 (詳細)

フライ、ダディ、フライ (The zombies series (SECOND))

・「とびっきりのエンターテイメント☆
中3の娘に『これ面白いよ』と勧められるままに読んでみたのですが・・ほんとぉ~に面白い!!夜中に読み始めたのにとうとう最後のページまで・・金城さんは寝かしてくれません。骨太のストーリーに周到な計算のもとくすぐるエピソードがちりばめられめまぐるしい展開からちょっとしみじみの、テンポと間が絶妙だし活字を追っかけてると鮮明な映像が浮かんでくる感じがするしお見事!まいりました!の一冊です。机には『じゃぁ次これね』とSPEEDがおいてある、ダディに登場した高校生4人組が引き続き登場しているらしい。。(また寝れん・・・)

・「大好き!
金城さんは「GO」が有名だけど、私はこっちの方が断然好きです。笑いあり涙あり。何度読んでも面白いし、ラストも最高です。「自分も強くなりたい」と思わせてくれる作品です。「レヴォリューションNo.3」「SPEED」とも関連していて、こちらもおすすめです。日本では岡田准一、堤真一主演、韓国ではイ・ジュンギ、イ・ムンシク主演でそれぞれ映画化もされています。

・「おっさんも頑張ってます。
映画になって、ちょっと気になったから読んでみました。

山下って、いいですよね。世の中に本当に山下みたいな人がいるんだったら会いに行きたいです。

フライダディフライで金城さんを知って、ゾンビーズシリーズ読破。

一緒に文化祭に潜入したいし、学校でいろいろな事件を起こしたい。

現実から少しだけ離れた現実世界を見たいと思う人。読みます?

・「フライダディフライ
家族のためにがんばるとおちゃん。

最高にいかすぜ!!

・「シリーズ中で一番好き
映画にもなったゾンビーズシリーズ第二弾。今回は少し情けない中年サラリーマン(おっさん)が主人公。娘に大怪我を負わせた男子高校生に復讐を図るといった内容です。ゾンビーズの一員であるスンシンに格闘技術を教わるのですが、日を追うごとにつれてまるで親子のような関係になっていく二人の姿が、もうなんとも言えずいいです。金城さんの書く人間関係(友愛であったり親子愛であったり)は心に直に響きますね。読んでいて登場人物みんなが愛しく思えました。映画もよかったですが、やはり原作の面白さに勝るものはありませんね!

フライ、ダディ、フライ (The zombies series (SECOND)) (詳細)

コンセント (幻冬舎文庫)

・「いまの日本の潜在意識を顕現した小説なのか?
「コンセント」「アンテナ」「モザイク」と一挙に読んでしまった。一挙に読ませるのだから、この3つの小説は面白いのである。

田口ランディ氏自身がかなり長い期間うつで苦しんだと聞いているが、この小説の中で、主人公が、かつてカウンセリングを受けていたドクターを圧倒して去る場面では、ランディ氏が、恐らく自分自身の中でも、大きな部分を占領されていた「心理学」を越えたこと、ないしは決別したことを象徴的に表現したのではないかと思わせる。

そして、ランディ氏がこの3つの小説の中で向かっていったところは、シャーマニズムだといえよう。

「なんとかの泉」とか占いとかが、これでもかというぐらいTVや雑誌、本で取り上げられる。その光景の方が異常に感じるのは、私だけだろうか?

我々は「普遍性」に留まる必要があるのではないだろか?少なくとも知的に領解できて普遍化できるものでなければ、本当に影響力を持つことはできないのではないだろうか?

田口氏最近の作品のリストを眺めると、シャーマニズムから抜け出して「哲学」に踏み込んでいるように見える。最近の作品を読んでみたいと思わせる。

この時期の作品は、いまの日本の「潜在意識」が、田口ランディのという一人格によって汲み上げられたものといったら大げさになるだろうか?

そういう意味では、時代が呼んだ小説といえるかも知れない。

・「唯一無二の「田口ランディの世界」
話の展開や構成、おもしろさ、そういったものを求めると評価は低くなるかもしれない。小説としては技術的につたないところがある。文体も洗練されているとは言い難い。カウンセリングや沖縄のシャーマンといった素材も消化不良の感はぬぐえない。しかし、しかし。一個の「田口ランディの世界」がここにはあって、それは他では絶対に経験できないものだ。この強さ、自分の感性についての揺るぎのなさはホンモノだ。小説をいかに世界をつくりだしたかで評価するならこの本は五つ星以外あり得ない。あと特記すべきこととして、死臭をうまく描いている。臭いはもっとも言葉や思考から遠いものだが、それをリアルに感じさせることに成功している。読者は言葉のむこう、自分の経験の奥底にある臭いについて思いながらこの世界に深く入り込んでしまうという仕掛けだ。

・「身体の底に繋がる
田口ランディは屋久島やベトナムの紀行文・エッセイを中心に読んできたが、実は、この「コンセント」シリーズが彼女をメジャーにしたのだと最近聞き、初めて、手にした。

私はあまり小説が好きではない。「事実は小説より奇なり」が信条で、太宰治や「ワイルドスワン」「沈まぬ太陽」のような、事実がかなり大きな部分を占めるものしか、パワーを感じないのだ。

そんな私が、この「コンセント」にはパワーを感じた。彼女の私小説的な部分がベースになっているからかもしれないが、まさに「繋がった」感じがした。男性作家の手により、どこか女性には空々しい感じで描かれる事の多いセックスシーンも、彼女の本の中で、女性の説明の付かない衝動的本能として、ためらい無く等身大で描かれている。また、人間の精神やその変容が、コンピューターのOSやディスクやアプリケーションに喩えられ、説明解説されているのも今日的だろう。普段PCに接している人ほど、PC用語に喩えられた彼女の小説は身近なのではなかろうか。また、金融に対しての、主人公の感覚も、非常に金融が生き物のように感じられ、興味深かった。

そういったディティールの面白さもあるが、やはり、何より、小説全体が中だるみ無く面白いものだった事が第一。3部作を読みきるのが楽しみになってきた。

・「おんなじところがある
身内の死を体験すると、ストレスからなのか本当に出てるのかわからないけれど、理論で整理のつかない現象、というのが、自分にもある(あった)。また、死んだ人間がこの世に現れるということを考えると確かに怖いが、ユキの周囲の父、母、兄や、かつての恋人でかつ恩師、その他もろもろの生きている(た)人間のやっていることもまた怖さと不可解なことが多々ある。私はユキの兄のような生きている実弟をもち、ユキの父のような父を亡くし、ユキの母のような叔母と同居していた。母は病死だ。「自分はかわいそう」と口に出している祖母は、実は誰よりも健康そうにも見える。そういう人間関係の中でいままで生きてきた自分もまた、ユキのようにしなやかでありたいとおもいながら本を閉じた。不思議なことに、「身内の死」を取り扱った本を他にも読んだが、どちらにも共通するのは嗅覚異常 セックス(娼婦) である。人は身内を失うと、上記のことにつながり、元気になっていくのだろうか…??

イタコ(シャーマン)に口寄せでもしてもらいたいと感じるのは、身内を亡くした人なら思うことではないかなあ、と私は考えた。著者に親近感を覚えてしまった。 

・「すごい
田口ランディという固有名詞は聞いたことがあったが今まで読んだことはなくて、偶然読んでみた作品だった。読み始めるとあっという間にその世界に引き込まれてしまった。風景や感情などといった描写、私を引き付けてならなかった文体、どれをとってみてもすごい。読み終えてもまだ『コンセント』の世界から抜け切れていない。

コンセント (幻冬舎文庫) (詳細)

アンテナ (幻冬舎文庫)

・「体感小説だと思います
不思議な世界観とエロティックな雰囲気にものすごく惹き込まれた。前作よりも強烈で、拒絶する人とアンテナの世界に入ってしまう人の両極端ではないかと思う。この本を読んでトリップしてしまった私にとってこの本のどこに惹かれたかは読んでもらわないとわからないだろう。

《コンセント》と成り得る人、《アンテナ》を持って生まれた人というのはいるのだろうなという気になります。

・「とても癒されます。
泥濘に落ちて行こうとする主人公が、必要とする相手を感じる「アンテナ」によって結ばれた人々に導かれ、逆境に挑んで行きます。

ストレスと抑圧と虐待によって、精神的に傷ついた人間をテーマに、独自の精神世界を描いたとても官能的なストーリーです。

現代社会にとてもマッチしています。読んでて癒されました。

田口ランディさんすばらしい。超おもしろいです。読んでみてください。

・「アンテナ
 ハード版が改訂されたとの事で文庫版も読みました。文庫版が、より文章を整理していて、読み易くなった印象でした。  兎に角、いい小説デ、読後感が形容のしようがない感覚に陥ります。

・「めちゃくちゃ上手い
 消えた妹。新興宗教にはなる母。発狂する弟。 そんな中、主人公の男はSMの女王に触れて、心の痛みを解放させていく。 癒しを激しくストレートにかいた作品。お勧め。

・「アンテナ???
田口ランディさんの作品が好きで買いました。消えた妹と「アンテナ」というキーワードを巡って主人公の男性が開眼していくさまに共感を持ちつつも奇妙な違和感を感じさせる不思議な作品です。 自分の夢が他人に漏れる・・ そんな事がありえるのか、それとも既に誰かに自分の夢は感じ取られているのかなんて今までに発想もしなかった自分の好奇心を擽られるような感じでした。まだ田口ランディさんの作品を読まれた事の無い方にはオススメの一冊です。

アンテナ (幻冬舎文庫) (詳細)

モザイク (幻冬舎文庫)

・「仲間由起江だな
トリィクという映画が今月ロードショウ公開された。主人公は大好きな仲間由起江だ。テンポの早い展開と意外性彼女の個性がおもしろい。さて,仲間由起江と,モザイクの主人公ミミがだぶってしまったのは僕だけだろうか。携帯電話、電磁波、引きこもり,新興宗教、と現代のオカルトをミミがさまよう。あっというまに読んでしまった。おもしろかった。

・「自分的田口ランディの評価は
 コンセントで大ブレイク、アンテナで急降下、モザイクで大爆発、という感じ。 衝撃的な話である。いわゆる正常と異常の境界なんてなく、世間一般的に異常と見られる人だって一部の人、つまり、その人を理解できる人からすれば正常になる。 そんな視点で見れば、今の渋谷に集まる若い人たちは全員正常なのである。事件を起こそうがそこには本人なりの正常があり、それは誰にも判断できない。 電波やチェンメのくだりは読ませる。存在意義が謎の登場人物がいたり、最後のほうの展開はちょっと気に入らなかったが、十分に面白く読める範囲である。 

・「世界の枠
田口ランディは四角い文章を書く。ヒトの生活感あるいはヒトをそして精神をも淡々と描いてしまう。そっけなさを感じるものの、後ろ髪をひかれる。そんな彼女らしさというか、彼女の根源的な思惑がうかがえる作品だ。個々が[個]であることの寂しさ、安らぎであることの皮肉さを私達は知りながらも、それは完全であると。-完全なる不完全-私達はモザイクの一辺だ。あらゆる枠に翻弄されながらも。

・「3部作の最後を飾るのにふさわしい作品
「コンセント」「アンテナ」「モザイク」と、主人公が女性、男性ときて、最後は女性となった。正直、「コンセント」の主人公が非常に田口ランディのイメージに近く、インパクトがあったので、続く作品の主人公がどうなるのか不安だったのだが、「アンテナ」「モザイク」共に興味のわく人物像であったので、楽しめた。

私がこの本で一番興味を感じたのは、身体を研ぎ澄ます事で大容量の情報がコントロール出来る様になるのではないかという可能性だ。作者が書くように、ここ近年で、情報の質と量が大きく変わってきたのに、人間のOSはなかなかバージョンアップされていない。また、バージョンアップされたとしても、初期不良が多々起きるのだろう。

その中で、身体の研ぎ澄ましを行う事は、初期不良を乗り越えるのに大きく役立つのではないかと思った。PCの世界は文章から画像、音声、動画と進み、様々な形式を持つことで、情報量の増加を加速化してきた。が、それと同時に、受け止める側が情報を前面で受け止める事に腐心し、薄っぺらくなってきている気がするのも確かだ。身体全体で「聞く」事が出来る様になれば、全人性は回復し、雷同不和により安定性を得るよな安易な真似をしないで済む様になるのかもしれない、との希望を感じた。(この本の真のテーマとは少し離れるような気もするが)

興味が湧いたのが、もう一つ。この作家の作品レビューに対しての評価の片寄りだ。肯定的なレビューに対して、「参考にならなかった」票が多く集まっている事。他の作家では見られにくい現象だ。好印象・悪印象どちらであっても、心の深い琴線に触れる作品を提供しているという事が、作家の力なのだろうと思った。

・「ストーリーに飲み込まれる
超自然科学的な話を、電磁波、分裂症、ネット、メール、新興エセ宗教など現代の話題を媒体に詰め込んで、一つのストーリーにしたという感じの話です。確かに、どっかで聞いたことのある説や噂や世界観だな、という感じはありますが、それを違和感なく組み立てていった著者の構成力。そして、相変わらずくどさがなく、臨場感のある文章。

話のリアリティがなくなりそうでなくならない、ぎりぎりのラインをうろうろする感覚です。

映画を見るようにおもしろく読める一冊。

モザイク (幻冬舎文庫) (詳細)

富士山 (文春文庫)

・「作家としのておそるべき力量を示した著書
私は、田口ランディは日本の文学史に名を残す人だと思っています。この1冊を読めば納得できるでしょう。

表現者として極北に屹立しているすさまじい内容です。ここまで描写できるその心の強さ、表現者としての使命感。

彼女がここまで到達したその速度の陰にどのくらいの努力があったのか。。。進化し続ける田口ランディのひとつの到達点としておすすめします。

・「生きろ・・・
ランデイさんらしいオカルトチックな短編集。生き難い人々の富士山にまつわる話ですが、どんな人間でも、とにかく生きろ・・そう富士山が言ってるのでしょうか。ランデイさんの人間くさい優しい目、ピュアでフェアな魂を通して、メッセージが伝わってきます。

・「富士山
富士山がどの作品にもシンボルとして出てきました。富士山になじみの無い私が読むと、富士山というものに興味がわいてきました。

内容としては作品ごとに好みが別れるだろうなーと思いました。私もどうも納得のいかない話もありましたし最後の話はなんだか読んでいて女性として苦しかったりしましたがそういう不快な感情を呼び起こすのもまた小説の魅力なんだろうなあと思います。

・「ひとりごと
評者は田口さんのエッセイを高く評価し、小説については少々苦手とすることを、正直に申し上げる。本当は、好んでいるものについてだけ書くのがよろしい。何かを書くときには、少しでも胸の高鳴ることを書きたい。そう思っているのだが、この本を読んで不思議な連想が湧いたので、短く記します。

この短編集に出てくる人々は、コムデギャルソンの店員にはなれそうもない。そう感じた。

何を言いたいのか。コムデギャルソンで服を買ったことのある人ならばわかると思うのだけれど、店員さんは声をかけるまでは寄ってこない。セールスしない。アピールしない。

それに対し、田口さんの小説世界の人物たちは、放っておいても「何かをしでかす」。

どちらがよいという問題ではない。しかし、田口さんの小説の世界観を持つとコムデギャルソン的世界が見えなくなる。世界の広さや多様性と切り結んでいるように自分では感じながらも、静謐な世界を見落とす、というのはちょっともったいない。

だって、さっぱりとした敬意を向け合う日常ならば、目をあければどこにでも見つかるのだから。

富士山 (文春文庫) (詳細)

アジアンタムブルー (角川文庫)

・「強い気持ちになれました。
愛する人が死んじゃう話に泣く予定で読み始めましたが、泣きはしなく、その代わりに、深く心に残りました。悲しむ話ではなく強くなれる話です。不確かなものだらけの世界の中、一瞬でも確かな愛を感じられたら幸せだろうなあ。

・「「美しい死」など有り得ない
本書の骨格は、山崎と葉子との恋愛である。しかし、葉子は、冒頭から既に死んでいる事が分かっているのに、二人の恋愛の凄まじい経緯が、強いうねりとなって盛り上げられる。本書の持つパワーを見せつけられる。そして、涙が出るほど、切ない。

一方、本書は、多くの死を描く。鳥のヒューズに始まり、中川宏美の夫に至るまで、どれをとっても死が美しいなどと言える代物ではない。

本書で描かれる風俗業界の諸々は、象徴的にも読み取れる。つまり、性、すなわち生そのものが、死と対極的であるからだ。

美しい死など有り得ない。望まれるのは、美しい生だ。

・「切ない。
とても、切ない。久しぶりに本を読んで泣いた。

愛する人が死を前にした時、いったい何ができるのだろう。

最愛の人の命がもう短いと判断されたら、私はここまでできるだろうか。

・「虚無感の世代
学生闘争が終焉した退廃的ムードの漂う大学で青春時代を過ごした人たち共通の「虚無感」と、「永遠」や「無限」といった概念に打ち勝つことの出来なかったモラトリアムの時代感覚。ポリス、ビートルズやキース・ジャレットの音楽の流れる過去と現在を、ヒロミや宏美、ヒューズや葉子が重なり合いながら、恋人との最後の日々が突き上げる悲しさの中で語られています。同世代の私にとって自分では語りえなかった同世代の感情を透明感がありながらも情緒あふれる文体でつづってくれたこの小説は、彼を村上春樹以降で最高の作家と確信させるに充分でした。

・「切なく暖かい
この作品には「ノルウェイの森」を彷彿とさせる一種独特の虚無感が漂っています。去ってゆく者と置いていかれる者。愛する人の死という避けられない現実。もしかしてこれは全て夢なんじゃないか、助かるんじゃないかという淡い希望。読んでいくうちに、淡々とした切なさや悲しさがあふれてきていつの間にかどっぷりとこの世界に浸ってしまったという印象です。物語は現在の「僕」の心境と、葉子と共に過ごした日々が交差するように描かれています。終盤に進むにつれてじわじわと葉子の「死」に収束されていくわけですが、生々しい印象はなく、ほんわりとオブラートに包まれたかのような表現で切なさと同時に暖かさを残します。涙なしには読めないすばらしい恋愛小説です。

アジアンタムブルー (角川文庫) (詳細)

症例A (角川文庫)

・「リアルに描かれています。
解離性人格障害者を題材にしたストーリーと第二次大戦末期に国立博物館の収蔵品を疎開させるストーリーを交錯させて仕立てたもの。作者は、実によく精神科領域の疾患を調べている。統合失調症と境界例と解離性同一障害、いわゆる多重人格の微妙な症状を切れ味鮮やかに描いているのは、相当な取材と筆力によるものだろう。診断が危ういものを、境界例として診断する傾向がこの業界にはあるが、その危うさと解離性人格障害の診断の見極めなどは、読んでいて、そうそう、とかなるほどなぁ、とか思わず合いの手を入れたくなるほどだ。本屋で偶然、手にした1冊ではあるが、一気に読んでしまった。

・「医療従事者が読んでも納得の面白さ
症例Aというタイトルに惹かれて購入しましたが,大変面白い作品でした.精神疾患を患う複数の女性,彼女たちにかかわる精神科医,博物館の職員の女性が複雑なドラマを展開する中に,学術的な興味をふんだんにちらばめた読み応えのある一冊です.おすすめ度100%.

・「精神科医の苦悩を切り取る名著
以前、患者を自殺させてしまった過去を持つ精神科医。 仮名で入院してきた少女の治療にあたる。 そこから始まるストーリーは精神科医の苦悩とそして最近、その立場が認知されてきた臨床心理士のアプローチ、そして三者を取り巻くストーリーは一気に展開、驚くばかりのスケールの大きさに圧倒され、一気に読破してしまいました。

多島斗志之氏の名前も知らず、心理学の興味があったことから買った本ですが、一読の価値あり!と申し上げるにふさわしい本だと思います。

・「読み応えあり
「海賊モア船長の遍æ­'」という不思議に爽やかなå†'険物の作è€...である…その人の作å"ã‚'また読める!å-œã³å‹‡ã‚"で手にとったのですが、ã"れまた難ã-い「多重人格」というテーマã‚'選ã‚"でいます。海賊とはまたえらい違いです。

精神ç-...や神経ç-‡ã€è¨˜æ†¶éšœå®³ã¨ã„ったものã‚'扱ったサスペンスは昨今の流行で、またか、という印象がないでもありませã‚"。でも、ã"の作å"ã¯ã€ã€Œå¤šé‡äººæ ¼ã®æ‚£è€...が殺人犯なのか!?」という刺激的なミステリではありませã‚"。多重人格の「å...ˆé€²å›½ã€ã§ã‚るアメリカで催眠療法による誘導が患è€...にニセの記憶ã‚'植え付ã'るã"ともあるなどなど問題点が指æ'˜ã•れて以来、精神分析や催眠療法に懐ç-'的な見æ-¹ã‚‚多い中で、「治す」とは何なのか、現代社会のルールにあっているものが「正常」とされているだã!'のã"とではないのか、とç-'問ã‚'抱きながらも治療にå-り組む医師が、難ã-いç-‡ä¾‹ã®ã²ã¨ã‚Šã®å°'女患è€...に「解離性同一性障害」いわゆる多重人格のç-'いã‚'持ち始める物語です。

é-€å¤-漢である私ですが、エキセントリックな興å'³ã‚'持ってã"の題材ã‚'扱っているのではないå'¨åˆ°ã•ã‚'感じ、治療のæ-¹æ³•ã‚„ç-‡çŠ¶ã®èª¬æ˜Žã‚‚ä¸¹å¿µã«ã•ã‚Œã¦ã„ã‚‹ã«ã‚‚é-¢ã‚ã‚‰ãšã€ãã®åŒ»å­¦ç"¨èªžã‚'飛ばã-てã-まいたい衝動にかられない程度に読みやすく、ã-かã-扱っているテーマはずっã-りと重いのでã-た。

並行ã-て語られる東京都博物館の所è"µå"ã®çœŸè'‹ã‚'めぐる物語がまた、奇妙なå'³ã‚'出ã-ているのですが、美è¡"å"ã®ä¸-界もまた、真物とは何か、その美è¡"å"ãŒ3000å¹'前に作られたã"とが事実とã-て、そã"に美ã-さが感じられないとã-たらその価値とは何なのか、そã‚"ã!ªå°½ããªã„ç-'問ã‚'含ã‚"だä¸-界であるだã'に、精神ç§'医の物語とは、離れているようでリンクã-合っているのです。

ショッキングな事件があるわã'でも、大きな陰謀があるわã'でもない、それなのに精神医療について丁寧に説明ã-ながら、それã‚'退屈させないストーリイテリングのé­...力と、題材そのものの興å'³æ·±ã•にぐいぐいと読まされてã-まいます。

・「病気に対する知識も得られる素晴らしい作品
恐らくこれほどまでに、綿密な取材や文献の検索、練ったプロットの作品は見たことがない。

しかも、本当のもう1人の主人公がわかった時、それが新たなドラマの始まりとなっていくストーリーにはさすがというしかありません。

またこの小説を読めば、誰もが自分も他人に対して病気の原因になるような行動は行わないようにしな

ければならないという、今まで気がつかなかったことを自覚させてくれます。

特に親は、しつけと虐待の境界でよく悩みますが、その際にも、大変参考となるないようです。

但し、この本を読んだ翌日には、記憶がたまにないといういうことの恐ろしさを知ると、自分はそうでないと思っていても、実際無意識のうちではなく

意図的に、危険なものをしまったり、窓をしめたりしたりするようになってしまいました。

人の行動にまで影響を少なからず与えてしまうほど強烈な作品であることは否定できません。

病気に対する知識を得る為にも、いろんな人に読んで欲しい作品です。

症例A (角川文庫) (詳細)

ルール (集英社文庫)

・「人として、戦場で生きるためのルールとは
 福井晴敏絶賛、と文庫本の帯に書かれていたが、分かる気がする。追いつめられた状況を淡々と克明に書いている古処誠二。どこか共感できる節があるのだろう。ただ、古処誠二はエンターテインメントを書いているわけではないだろう。

 太平洋戦争末期の日本。いつ降伏してもおかしくない状況にいた。フィリピンのルソン島で、鳴神は和泉に小隊の隊長としてゲリラが出没する地域での物資輸送を命じられる。ただそこに待っていたのは飢えるか植えないかの現状。マラリアにも感染し、限界点に近づく中、一人の兵士が米軍機を撃墜した。落ちてきたアメリカ人パイロットと遭遇し、捕虜として連れて行くことになる。

 書きたかったものは極限状況の人間。前にも書いたがエンターテインメントの作家でないのは読んでいて明らか。とにかく重たい。それほど分厚くないのだが、やけに密度の濃い内容だったか。読んでいて、文字を追うのが辛くなる。

 実際経験して来たものは本作に書かれている以上のものだったかもしれない。苦痛を遙かに通り越した苦痛。飢え。幻覚。死への恐怖というものではないかも知れない。そんなものを知らないし、経験したくもないが、60年前、確かに日本の誰かが経験していたことなのだろう。。だからこそ、ショックが大きすぎるのか。

 メインの鳴神、八木沢、姫山、そしてアメリカ人パイロットのオースティン。彼らの生への執着。こんなところで死なないために。出来れば兵士なら兵士らしく死ぬために。ここまで酷だったという悲劇ではあるものも、体をボロボロにしてまでもルールの基に生きることをやめなかった男達のドラマとも言える、のではないか。

 オースティンは目の前の状況を見てただ困惑する。人間であって、人間でないものを見ている。戦争での死は、戦場の死だけではないということの現状を。今ではやはり考えられないだろうから、か。オースティンの視点は、今を生きる自分たちの視点ともダブるかも知れない。それだけ、書かれている事は想像を凌駕している。そういう意味で、ただ出くわしただけでなく彼の存在は大きいと言える。

 後半分かり始めてくる事実は重たく、そしていかに自分たちが軽く見られていたか。あまりに無力だったというか、残るものがないというか。それが戦争というもの、敗戦という事実でもあるのか。最後に多少のどんでん返しがあるものも、それはタイトルである「ルール」の意味を示すためでもあるはず。姫山の最後の一言がとにかく重い。淡々と書かれてあるから、余計にその重さがひしひしと伝わってくる。

 やはり、今だからこそ読むべきか。読み通して欲しいと思う。

・「戦争文学の復活
この作家の作品はまずサイパン戦のものを読んだ。その後この小説を読んだ。兵隊の呼吸が聞こえるようだった。フィリピンは比島と書かれるが生還者は悲島とあてる。この小説は悲島に送られた兵隊を書いている。北部ルソン戦に関心があれば現地部隊の世俗考察に驚く。ことに兵隊隠語はなまなましい。大岡昇平で終わっていた戦争文学である。

・「ハンカチじゃたりません
号泣。嗚咽。タオルが必要です。誇りとか尊厳とかをやすりにかけられて、それでも耐えて守っていく姿に涙なしではいられませんでした。

人前で読むのは危険です。

・「世界の見方をかえてしまう本
終戦間近のフィリピン戦線、灼熱の中行軍を続ける日本軍。彼らの敵は灼熱でも、連合軍でも、病でもなかった。彼らの真の敵は飢餓だったのである。本書は、戦争によって極限状態におかれた人間の行動を描いて戦慄を呼び起こす。人間としての尊厳、倫理や道徳といった最低限のルールがあり、人はそれを本能的に尊重するように生まれてきているものだ。禁忌を犯すことに対する恐れは誰の心にでもある。しかし、その禁忌を犯させてしまうほどの状況が現出する恐怖よ。戦争の罪は広範囲で、その影響は計り知れない。戦争はあらゆるところに入りこみ、その忌まわしい毒牙によって関わったすべての人に一生癒えぬ傷を残してゆく。ただ生きるためだけに、生きたいがためだけに、どうしてこれほどの選択をせまられなければいけないのか?いったい何のために生きるのか?そこまでして生きるのが正しいことなのか?本書を読んでる間中、堂々巡りのような問いかけが始終頭にあった。自分ならどうする?もしこの状況におかれたら、ぼくならどうする?食うのか?やっぱり生きるために食うのだろうか?平穏な毎日では、決して表出することない問いかけが頭をかけ巡るのである。極限状態の人間心理と尊厳を保つ最低限のルールを天秤にかけて、物語は淡々と語られてゆく。淡々と、静々と、ことさら煽りたてることもなく堅実に歩調を乱さず。この現実感をどうか味わって欲しい。フィクションではなく、リアルに感じて欲しい。かつて、誰かが経験したであろうこの地獄をどうか体験してみてほしい。そうすれば、世界の見方が変わるかもしれないから。

・「辛いテーマを扱った作品
 この作品はエンターテインメントではなく文学であるから、必然的にテーマが似ている大岡昇平の「野火」と比較することになるだろう。正直な感想を言えば、芸術作品としての質という点では、この作品は全く「野火」には及ばないと言わねばならないだろう。人物が多少都合良く描かれているし、なによりどうしようもない状況を描いている割に、人物にヒロイックさが感じられることが気になった。 しかし、それはともかく、私が気になるのが「何故彼が“戦争”を描いているのか」という点である。現在、太平洋戦争を題材に小説を書く作家は、愚劣な三文作家以外には殆どいないだろう。それは当然で、時代の隔たりによる書き手、読み手のリアリティーの希薄化があるからだ。エンターテインメントならいざしらず、文学的なアプローチで「戦争」「極限状況」を描くことは現代作家にとって非常にリスキーである。 しかし、古処氏は「戦争」、「極限状況」を描く。しかもかなりの濃度で。それは彼の作家としての才能だけではなく、この題材に我を忘れるくらい没入したことによって達成されたとしか思えない。それを考えると多少の気味悪さすら、私は感じてしまった。私は彼の作品を初めて読んだが、他の作品も是非読んでみたい。

ルール (集英社文庫) (詳細)

反乱のボヤージュ (集英社文庫)

・「古典的な題材だが
学生寮に管理人としてやってきた元機動隊の名倉。主人公の薫平らは、「若者が嫌いだ」と放言する名倉の持ち出した厳しい規則などから反発をするが、自殺未遂、ストーカー騒動・・・それらの事件に真摯に相談に乗り、態度で示す名倉に信頼を深めて行く。

私の読んだ野沢作品はミステリが多く、序盤に大きな事件が起こって、そこから最後まで全力疾走というスピード感溢れる作品が殆どだったのだが、この作品は全く毛色が異なる。事件と言っても、序盤は散発的なちょっとしたトラブルばかりだし、それだけで一気に・・・ということもない。ただ、それらの細かな事件をきっかけに名倉への信頼が強くなり、薫平らが成長していく姿がしっかりと描かれ、最後の大事件へと少しずつ加速していく。登場人物それぞれの心理がしっかり描かれていて、心地よく読み進めることができた。

はっきり言って、現代の無気力な若者が、昔気質の大人に触れ、反発しながらも成長するだなんて、古典的も良いところである。が、そんな古典的な題材でありながらも全く古さを感じずに料理している、というのは、著者の筆力以外の何者でもあるまい。

面白かった。

・「でも野沢さんの中で一番好きかもしんない
野沢尚ときいて貴方は何を思い浮かべるでしょう?深紅、砦なき者、破線のマリス、リミット...数多くの作品とともに、バイオレンスで暗い作品を作る作家というイメージも拭いきれない作家です。

しかし、この反乱のボヤージュは違いますこの野沢は深紅などの悲哀を引きずりながらも、かなりさわやかな作調になっております。そう、今までの野沢が「夜の野沢」とするなら、この野沢は「昼の野沢」ではないでしょうか?

・「圧倒的な構成力!!
始めはたくさんの登場人物があちこちに散らばっている感じだけど、最後には全員が揃ってのクライマックスとなる。それぞれのキャラクターが、これだけの人数分しっかり立てたのは凄いと思う。テーマは、愛とか友情とか、シンプルなものです。シンプルでいて重厚な味わいがある、そんな作品です。

・「ミステリーでない野沢尚
舞台は2000年、エリート大学の学生寮 「自治」を掲げる寮生と、廃寮したい大学当局。 寮を管理すべく送り込まれた元機動隊の舎監。 寮生ながらそれを一寸引いた視点で眺める主人公。

しかし、寮生や彼自身に起こった事件の中で、 そして舎監名倉憲太郎との対話から、 主人公は自分を見つめ、少しずつ変化を見せる。 しかし無情にも廃寮が決定し・・・。

主人公のひとり語りで進む物語は、 これまでの3作に比べるとスローテンポ。 殺人もなければテロもない。

こう書くと退屈そうだが、作者独特の、 読み始めたら止まらない魅力は健在。 擦り切れた現代の若者への警鐘ともいえる一作。

気に入った台詞 廃寮に抵抗して寮に篭城した夜、 舎監の名倉さんが主人公に向かって言う。 「結局は皆さんの未来を傷つけるだけかもしれない。  しかし、何も傷つかない生き方より、  それははるかに意義があるのではないかと・・・」

・「懐かしい
 20年ほど前、学生時代に某国立大学で寮生活をしていたのですが、まさにこんな感じでした。大学の学生寮の特殊な雰囲気がよく出ていてとても面白く読みました。筆力があると言ってしまえばそれまでですが、この雰囲気を出すのにどんな取材をしたんでしょうか?作者自身寮生活の体験があるんでしょうか?ちょっと興味を持ちました。 権力に抗い、最後はどうなるのかとハラハラしながら読みました。田中角栄が、街頭デモをする左翼の学生について、「女の尻を追い掛け回したり、マージャンをしている腑抜けどもよりよっぽどましだ。国家の将来を案じており見所があるのだ。」とアメリカの要人に語っていたいう話を思い出しました。寮の監視に来た管理人は、現代の腑抜けた学生に我慢がならず、自ら「当局」と対決することになったのではないでしょうか。腑抜け社会人の私としては、長いものに巻かれる自分に反省もしながら読了しました。

反乱のボヤージュ (集英社文庫) (詳細)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

・「二年前と現在との交錯
引っ越してきたアパートで出会った青年、河崎に、本屋襲撃の計画を持ちかけられる僕。その一方で、二年前の出来事が、河崎の元恋人、琴美を通して語られます。

現在にも二年前にも登場するのは河崎。“二年前”は、河崎にとっては終わっておらず、現在も続いています。本を読み続けていくうちに、現在と二年前がつながってきて、話の全貌が明らかになります。所々に話の謎を解くキーワードが散りばめられているので、細部にまで注意をして読みたい本です。

・「河崎、ドルジ、琴美 3人の切ない物語
 物語は現在と2年前が交互に繰り返され進んでいきます。 それぞれの語り手は椎名と琴美。

 現在の場面の冒頭で 椎名は進学のために引っ越してきたアパートで初対面の河崎に書店を襲う計画を持ちかけられます。 

 2年前の冒頭では琴美とドルジがペット殺しの犯人と遭遇する所から始まります。

 一見まったく関連性のない2件の事項ですが、読み進めていくうちに深い関連性があることがわかります。(もちろんここでは書きませんが・・・)

 伊坂幸太郎の作品を初めて読みました。読みやすい文体で、内容もよく練られていて飽きも来ず一気に読み終えました。 また好きな作家が一人増えました。

・「伊坂ワールド
小説の中だからこそ作れるミステリーという感じ。

現在と二年前のストーリーが交互に展開していって、それまでの不思議な行動や、些細な会話も全部納得できて、ストーリー的にもちょっと感動できるラスト。

伏線の張り方がさすがだなと思いました。なんとも言えない後味を残すのがすごい。

・「カテゴライズに困る本
ミステリーなんだろう。ミステリーなんだと思う。

でも、印象に残るのは人物の心。

人物の心をこれだけ淡白な文章で表現できるのは凄い。私の場合、人物の心を追って読んでいたので、結構読後はもやもやした。人の幸せとか不幸ってのは、その人物にしか分からない事であって、現実なんて、そんなもんで、そして自分は生きていて・・・・・・

そんな感じでもやもやした作品。読後は悪かった。もやもやしたし。でも、印象に強く残る作品。

好き嫌いではなく、なんかよく分からないけど、凄いなって思う作品。読後の印象が悪いのに星5つあげたくなる作品。

でもって、読後の印象はいまだにもやもやしてるんですけどね・・・

・「面白かった!!
昔と今が錯綜している構成が活きてる。言葉がリンクしてハッとさせられたりちょっとしたエピソードで人物をより際立たせたり。

この方はキャラ作りが上手いのかな。濃く思い浮かんで、それだけでも惹き付ける。

それと、気になるのは言葉。

「一緒に本屋を襲わないか」 目的は広辞苑 とか。

「神様を閉じ込めに行かないか」

突拍子も無いけれどちゃんと収束して意味あるものに形を変える。その持っていきかたが好み。

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫) (詳細)

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

・「痛いせつなさ
なんだろう・・・冒頭のリアリティのある日常描写に惹かれて、ページをめくる手がとまらなくなった。

現代の若者は25才くらいまでモラトリアム期間が続くのだという。もちろん私もその一人。日々、当たり前のように仕事に出かけているが、一方で歌手や役者や、そういう夢を追いかけ続けている友達もいる。仕事が辛いときや投げ出したいときは、そう、芽衣子のように、ふとしたきっかけでそちら側へドロップ・アウトしたくなる時だってある。そんなことは珍しくもなんとも無く、きっと、ありふれた出来事。「そちら側」という言葉を使ったけど、きっと本質は同じなんだと思う。不満を持ちながら社会に出て仕事をする、不安に押しつぶされそうになりながら夢を追いかける・・・どちらも、同じくらい苦しいし、こわい。

愛しい人が居たならそれはなおさらだろう。

芽衣子と種田はモラトリアムな若者の等身大の姿だ。だって、すごく共感するもの。種田が言ってほしい言葉を言ってくれたとき。私も芽衣子と同じように涙が出そうになった。長く付き合った二人のぬるま湯のような依存や猜疑心や微妙なズレさえ、朝倉にいおさんは丹念に、まるで映画に撮るみたいに、忠実に描き出していく。同じような状況を経験したことがある人なら、共感しないわけはない。

このまんがには、20歳以上の、社会にほっぽり出されたくせに、いまだに自らの位置を見出せず、進むべき方向も見つからず、ただ愛している人やものはある、そんな世代の心を決定的につかむものがある。読めばきっと、「痛いくらいのせつなさ」を感じて、しばらくボーっとなってしまう。

本当にステキなまんがでした。ありがとう。

・「音楽と、愛と、生活。 何だか今日は空が高いや。
好きな作家の一人です。出版社が「注目の次世代作家」と一押しするだけあって、若い人に支持されそうな若者の人間ドラマが描かれています。以前から、この作家の漫画は持っていたのですが、ここまで唸らされたのは初めてだったので勢いを借りて文章にしてみます。

さて、作品のタイトルの「ソラニン」ですが、ご存知の方も多いと思いますが、ジャガイモの緑の部分や芽の部分に含まれる毒性物質ですね。神経性の毒だとかで、けっこう当たり前に存在している恐ろしい毒です。古くなったジャガイモはもったいないとか思わないで捨てた方が無難なんだとか。余計な拘りは捨てた方が生きやすい、そんなことと重ねてみますね。現代に生きる若者の夢と現実と未来。大人になるにつれて何かに折り合いをつけて生きていかなければならない私たち。

音楽に生きることと、食べなければ生きていけない現実。好きな男の子を応援したい気持ちと、ほんとうに?、と問う自身の声。

現実ってこんなもんか?自分の力を信じてどこまでも行けたらいいのに。そんな事を考えながら読み進んで、「―俺は、幸せだ。 ホントに? 本当さ。 ホントに? (声無き叫び)」  …このシーンで、私の中に主人公のやるせなさが怒涛のように押し寄せました。1巻の終わり方が気になる!!先が読めてきたような、それを裏切って欲しい、幸せになってほしい。感情が渦巻いて、読後思わず「わあー!」と叫んでしまいました。

日常的な、神経性の、毒だ。(笑)

・「23、24歳のリアル
セリフのすべてが、自分の想いと丸カブりだった。等身大というか、そのまんま。不安も、期待も、恋人や友達に対する気持ちとか。

初めて読んだときは、芽衣子たちよりも年下だったのに同じ年齢になってついに年上になってしまった。でもまだ、私は抜け出せていない。

・「まるで僕ら
全2巻の作品。

日々の描写がリアル過ぎて嬉しくて悲しい。長さもストーリーも絵もとても良く、ぼろぼろと何回も泣いてしまった。バンドをやっている自分としては、音楽をやっててよかったとこの漫画を読んで何故か思えた。

大事な本のひとつ。是非読んでください。

・「退屈に続く毎日。
種田は叫ぶ『だって俺らの未来には全然希望の光は見えてこなくて劇的な変化もなく退屈な毎日が続くんだ!!!』

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス) (詳細)
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