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▼No ordinary love(Strange love):セレクト商品

オン・ザ・ロード (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-1)オン・ザ・ロード (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-1) (詳細)
ジャック・ケルアック(著), 青山 南(翻訳)

「近代におけるジブン探し」「河出書房の英断に拍手」「ハチャメチャな行動の裏側」「毎日が退屈な方へ、そして、毎日がつらい方へ」「非生産的なドライブ」


地下街の人びと (新潮文庫)地下街の人びと (新潮文庫) (詳細)
ジャック ケルアック(著), Jack Kerouac(原著), 真崎 義博(翻訳)

「基本的に…」「当時の色、音、街の匂い等が浮かび上がってくる」「やさしくてきれいじゃないか」「涙」「愛と疑念」


トルネイド・アレイトルネイド・アレイ (詳細)
ウィリアム・S. バロウズ(著), William S. Burroughs(原著), 清水 アリカ(翻訳)

「短いのですぐ読みきれる!」


内なるネコ内なるネコ (詳細)
ウィリアム バロウズ(著), William Burroughs(原著), 山形 浩生(翻訳)

「前知識」


ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション [DVD]ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション [DVD] (詳細)
アン・リー(監督), ヒース・レジャー(俳優), ジェイク・ギレンホール(俳優), アン・ハサウェイ(俳優), ミシェル・ウィリアムズ(俳優), ランディ・クエイド(俳優), リンダ・カーデリーニ(俳優), アニー・プルー(原著), ラリー・マクマートリー(脚本), ダイアナ・オサナ(脚本)

「I swear・・・」「"i wish i knew how to quit you."」「人生の切なさといとおしさに泣けた」「ハリウッド作品とは思えない」「ただただ泣きました」


暗闇のスキャナー (創元SF文庫)暗闇のスキャナー (創元SF文庫) (詳細)
フィリップ・K・ディック(著), 山形 浩生(翻訳)

「他人の苦しみに胸を痛めるということ」「ドラックにずぶずぶの日々に泣く」「痛いけど、面白い!」「悲しい物語です」「プライマル・スクリームもインスパイアされてます。」


バンド・オブ・ザ・ナイト (講談社文庫)バンド・オブ・ザ・ナイト (講談社文庫) (詳細)
中島 らも(著)

「とても面白いです」「忘れられない一冊です」「中島らも」「すごい生活だな」「実体験?」


永遠も半ばを過ぎて (文春文庫)永遠も半ばを過ぎて (文春文庫) (詳細)
中島 らも(著)

「らもファン必読!」「一瞬と永遠の真っ最中」「結局全部中島らも」「真・善・美」


失踪者―カフカ・コレクション (白水uブックス)失踪者―カフカ・コレクション (白水uブックス) (詳細)
フランツ カフカ(著), Franz Kafka(原著), 池内 紀(翻訳)

「ざらついた現実を描いた冒険譚」


キャッチャー・イン・ザ・ライキャッチャー・イン・ザ・ライ (詳細)
J.D.サリンジャー(著), 村上 春樹(翻訳)

「大人社会に疑問を持っている人へ」「50年たった今でも傑作だと思います。」「わからないけどいい」「青年文学を超えて」「最後まで読んでみて、」


ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)ナイン・ストーリーズ (新潮文庫) (詳細)
サリンジャー(著), 野崎 孝(翻訳)

「サリンジャー・ワールド」「よくわからないけど惹かれる」「不思議と心に残る」「9つの物語」「読めば読むほど味が出る。」


二十世紀旗手 (新潮文庫)二十世紀旗手 (新潮文庫) (詳細)
太宰 治(著)

「最高!」「すげぇ生麦文学!」「太宰本人に興味がある人むきです」


ねむれ巴里 (中公文庫)ねむれ巴里 (中公文庫) (詳細)
金子 光晴(著)

「不良国際人金子光晴」


マレー蘭印紀行 (中公文庫)マレー蘭印紀行 (中公文庫) (詳細)
金子 光晴(著)

「百回読むでもまだ読み飽きない秘密とは!〜」「悲しき熱帯」「アジアの世界がみえる本」「密林の闇は、緑?それとも深紅?」


ギンズバーグ詩集ギンズバーグ詩集 (詳細)
諏訪 優(著), アレン・ギンズバーグ(著), Allen Ginsberg(著)

「「この人は吠えている」」「普通の考えでは…」


麻薬書簡 (Serie Fantastique)麻薬書簡 (Serie Fantastique) (詳細)
ウィリアム・バロウズ(著), アレン・ギンズバーグ(著), 飯田 隆昭(翻訳)

「退廃と魅惑に満ちた冒険」「南米覚醒の旅」


平壌ハイ (文春文庫)平壌ハイ (文春文庫) (詳細)
石丸 元章(著)

「ゴンゾの面目躍如」「ゼンマイ仕掛けの真実」「クレイジーな国をクレイジーな文章で」「元章マンセ~」「北朝鮮マンセー」


冷血 (新潮文庫)冷血 (新潮文庫) (詳細)
トルーマン カポーティ(著), Truman Capote(原著), 佐々田 雅子(翻訳)

「持ってても買い。」「5年間かけて徹底的に取材したノンフィクション小説」「Portrait of Evil」「冷血というタイトルの意味」「実話をもとにしているからリアル!」


サラ、いつわりの祈り [DVD]サラ、いつわりの祈り [DVD] (詳細)
アーシア・アルジェント(監督), ジミー・ベネット(俳優), ピーター・フォンダ(俳優), マイケル・ピット(俳優), ジョン・ロビンソン(俳優), ウィノナ・ライダー(俳優), マリリン・マンソン(俳優)

「久々に心で考えさせられる映画!!」「なんてったてアーシア〜♪」「フィクションだが現実感ある作品」「ダーク」「激突!アーシアVs.マリリン・マンソン!!(もう一人のイージーライダーも)」


モンスター 通常版 [DVD]モンスター 通常版 [DVD] (詳細)
パティ・ジェンキンス(監督), シャーリーズ・セロン(俳優), クリスティーナ・リッチ(俳優), ブルース・ダーン(俳優)

「愛を描いた映画です!」「悲惨な人生。S.セロンの信じられないような熱演」「フィクショナルとフィクションの狭間で」「選択する意志」「才能をもった多くの映画人が集うと、こんなに優れた作品を作る事ができるという例」


心臓を貫かれて心臓を貫かれて (詳細)
マイケル ギルモア(著), Mikal Gilmore(原著), 村上 春樹(翻訳)

「一度読んでおいていいとおすすめできる本」「目を背けられない何か」「ギルモア家にまつわる長い運命のノンフィクション」「心のかたち」「Rockとの出会い」


ジャンキー 新装版ジャンキー 新装版 (詳細)
ウィリアム・バロウズ(著), 鮎川 信夫(翻訳)

「回復不能麻薬常用者の告白」「回復不能麻薬常用者の告白」「ジャンキー(麻薬中毒)という生き方」「ドラッグを、その無産性に」「リーさん、なぜあなたは麻薬を必要とするのですか?」


HEAVIER THAN HEAVEN―カート・コバーン・バイオグラフィーHEAVIER THAN HEAVEN―カート・コバーン・バイオグラフィー (詳細)
Charles R. Cross(著), 竹林 正子(翻訳)

「カートコバーンに興味がある方へ」「もっともクオリティが高いカートの本」「とても優れたノンフィクションBook」「読みやすいが・・・」「カリスマの素顔に迫る一冊・・・、」


うたかたの日々うたかたの日々 (詳細)
岡崎 京子(著)

「原作と岡崎京子の凄さ。」「リスペクトしている心が伝わってきます。」「キュートで、やるせない」「幻の名作がやっと今。」「岡崎京子的 !」


メゾン・ド・ヒミコ 特別版 (初回限定生産) [DVD]メゾン・ド・ヒミコ 特別版 (初回限定生産) [DVD] (詳細)
犬童一心(監督), オダギリジョー(俳優), 柴咲コウ(俳優), 田中泯(俳優), 西島秀俊(俳優), 渡辺あや(脚本)

「壁の意味するもの・・・。」「あなたが好きよ。。」「特典DISCがお勧めです。」「犬童一心監督、渡辺あやコンビまたしても傑作を」「可笑しいけど哀しい、切ないけど心優しい傑作。」


▼クチコミ情報

オン・ザ・ロード (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-1)

・「近代におけるジブン探し
“地下街の人々”は読んだことあったんだけど、そんなにピンと来るものがなかった私にも“on the road”は別格!!新訳と読むコンディションがハマっただけではない、胸に迫るものが。読み始めてすぐの面白みと読後に浸る感慨の距離や、移動という概念についてや、何気ない会話にまで及ぶ。このかき混ぜ方。ぐるぐるします。

・「河出書房の英断に拍手
河出書房新社の創業120周年記念として企画された「世界文学全集」。その第一回配本の名に恥じない名作です。作品には作者のケルアックのみならず、ウイリアム・バロウズやアレン・ギンズバーグなどなど、ビートゼネレーションを代表する作家たちがモデルとなって登場し、作品世界を走り抜けます。旧訳も悪くはないですが、新訳が本当に魅力的で、内容の薄い昨今のベストセラー作品とは全く違った深くて忘れがたい読書体験を下支えします。世界文学全集は商売にならないということでどの出版社も二の足をふんでいましたが、やはり老舗がやってくれました。河出書房新社の英断にも拍手したいです。

・「ハチャメチャな行動の裏側
フランシス・フォード・コッポラが、十年来、映画化しようとしているが、確固たる脚本が得られず実現できていない作品です。

五部構成からなるこの作品の第一部から第四部までは、それぞれアメリカを横断、縦断する語り手サルとディーンの放浪の物語です。

それは、「退屈な知識人」による既存の価値観に対する反攻の物語です。 安住の地を求めず、その時々の刹那的な「幸福」を求めての旅です。彼らは、街に行き着く度毎に馬鹿騒ぎをし、場合によっては、不法な事も構うことはありません。酒、薬、女、そして激しい音楽が、彼らを徹底的に乗せるのです。

サルは、ディーンを崇拝しています。ディーンは、時に狂気を示し、迷惑をかけます。それでも惹かれてゆく何かが、ディーンにはあります。 この本の中には「ヒップスター」と言う言葉が、頻繁に登場します。この意味は、「正業につかず、なにをやっているんだかよくわからない、ぶらぶら遊んでいるやつ」と言うことだそうです。でもサルは彼にそれ以上のものを見ているのでしょう。 それは、既存のものからの独立性なのかも知れません。そうした状況で生きてゆく勇気なのかも知れません。或いは、時代を先取りした先験的な生き方を見ていたのかも知れません。

訳者によると、「鋭い語感」が作者の特徴だそうです。表面的な意味と、その裏側にある意味とを巧みに使いこなしていると言うことです。 この物語を読んでいると、物語自身が表面的な物語の裏に何があるかが問題なような気がします。彼らのハチャメチャな行動の裏に何を感じ取るかが大切なのかも知れません。

・「毎日が退屈な方へ、そして、毎日がつらい方へ
旧訳が悪いとは申しません。ドラッグを美化する気もございません。この本が素晴らしいのは、その瑞々しさであり、語り手のきれいな口であり、素晴らしい翻訳であり・・・毎日を、ただなんとなく生きている方に、手を差し伸べてくれる・・・そういう点だけではないのですが・・・日々に退屈を感じている、我々にとって、とても素敵な物語である・・・到底、私のボキャブラリーでは語りつくせない魅力があるのです。ただ勘違いしないでください。決して本書は、怠惰に生きている人間たちのだらしなさをつづったものでもなければ、オカルトめいた、オルタナティヴ・ファンタジーでもないのです。本書では、登場人物たちに、厳しい現実が襲いかかってきます。そんな状況でも、つねに希望を持って、日々を生き、放浪を続ける人間たちの姿には、とても元気づけられるでしょう。話は変わりますが、私はこれを読んでいて、ボブ・ディランの「ミスター・タンブリング・マン」を思い出しました。ディランのこの曲にも、厳しく、ときには退屈な現実と向かい合い、生きていく人間たちの姿が歌われていました。私が初めて読んだのは旧訳のほうなのですが、やはり素晴らしいと感じました。そして新訳を手に取ったわけですが・・・いやあ、素敵だなあ。すらすら読めてしまうのです。「ビート・ジェネレーションを代表する一冊」というくくりで捉える方にも、そうでない方にも、是非お勧めできます。とにかく、読んでください。私のこんなレヴューなど、読んだあとには、きれいさっぱり忘れてしまうでしょうから。年月を重ねても、心に若さを忘れていない方に、感じてもらいたい。「オン・ザ・ロード」は永遠です。100年経っても、語り継がれていく書物です。ジャック・ケルアックには、もっと長生きして、もっと本を書いて欲しかったなあ。ウィリアム・バロウズだって、83歳まで生きたのだから・・・私のこんな愚痴など、忘れてください。

・「非生産的なドライブ
「路上と訳してしまっては何か大事なものが欠けてしまう…動く感じがないのだ…『オン・ザ・ロード』は『路上』をどこかへの『途上』と信じてひたすら移動を続ける若い連中の話」と紹介の冒頭に書いていました。そのとおりのストーリーが展開します。

この本を読んでいて、頭の中に映るのは、アメリカのハイウエイ。何百キロと同じ荒涼とした景色が続く。ハンドルを握りアクセルを踏む。時間とガソリンを道端に捨てる移動。長距離トラックの運ちゃんでもないかぎり、無駄な時間だ。非生産的というか。

でも、人生をふりかえってみると、この時間が大切な記憶として刻まれてしまう(そういうことってみんなありますよね?)。

この小説も非生産的なドライブみたい。ストーリーにハリウッド映画的なドラマ性はない。しかし、ひとつひとつの挿話が胸に脳に刻まれてしまう。印象的なシーンをひとつ。

サルは身勝手なディーンとディーンの元妻メリールウといっしょにサンフランシスコに来る。三人で共同生活をしようとしたのだ。ニューヨークからの長旅でお金を使い果たしたところで、ジェーンは現妻のところに行ってしまう。

「唐突にジェーンがじゃあなと言った…「どんなロクデナシか分かった?」メリールウが言った。「どんなに寒いところだろうが置いてけぼりにしていくのよ、自分の都合で」「分かってる」もくはいいえ、東のほうを振り向いて溜息をついた」

それでも、彼らはディーンを許してしまう。なぜ許せてしまうのか。その何故?がこの小説がアメリカ人に愛されている理由ですね。

オン・ザ・ロード (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-1) (詳細)

地下街の人びと (新潮文庫)

・「基本的に…
恋愛についての話は苦手なのですが、本作に初めて心打たれました。50年代のサンフランシスコ、ジャズ、等魅力的な要素のなかでの短くも濃い二人の時間がすごく伝わってきます。映画を見ているようでした。憧れの意味も含めての★5つです。

・「当時の色、音、街の匂い等が浮かび上がってくる
思い出すたびにいい意味で心がえぐられます。濃厚で透明な葡萄酒のような魅力的なマードゥー。チェロキーと黒人の混血の彼女。日本に住む私には、理解しがたい問題ですがマードゥーを知るにつれとても孤独で悲しい問題だと思いました。そんな孤独と悲しみが余計に彼女を美しく凄く自然の美しさで引き立たせているのだろうと思い二人に何が起きるのか何がそう起こすのか22年間しかまだ生きていない私に何かを与えられた気分になりました。登場人物が面白いほど魅力的でこの本の中でいつまでも生きているかのようです。

・「やさしくてきれいじゃないか
内省的で想いめぐらざるを得ない主人公の苦しい叫びが心に響いた時、僕は泣いた。

・「
涙とはtearsである。美しい。内省的で。〜まさにジョン・レノンの詩のような。。僕は泣いた。アイ・クライ・インステッド。

・「愛と疑念
ビート・ジェネレーションを代表する一人ケルアックが3日で仕上げたという自伝的な長編。

主人公レオがハーフの黒人女性マードゥへ抱く恋愛感情が、あるキッカケを境に嫉妬心を育み深まっていく。そして女々しい疑心暗鬼に嵌っていく。確かな愛情と疑念の狭間に揺れる様子の描写はとても生々しく、自分事のように胃がキリキリするような錯覚に陥るほどすっかり没頭してしまった。

綿密に構想されたというよりは、荒削りだが良質な素材を活かした素晴らしい小説です。

地下街の人びと (新潮文庫) (詳細)

トルネイド・アレイ

・「短いのですぐ読みきれる!
本文よりも付属の小論のほうが長い。ただ、清水アリカらの小論は、視点がするどく、よいでき。主として論点はコラージュやカットアップについてで、「意識と無意識の二元論からの脱却」がテーマとなっているようだ。彼らの小論はもはや何学的アプローチかわかりかねるが、精神分析とか哲学とかそんな雰囲気はだしている。さて、本編の方は「えっ終了?」ってくらい突然終了します。短編集かと思いますが、章の脈絡はないです。やや難解です。バロウズの作品なのだから本文に関する解説がほしいところ。

トルネイド・アレイ (詳細)

内なるネコ

・「前知識
バロウズ自身の人生や作品について一定の知識を持っている人の方が、晩年、ネコとふたりで隠居したバロウズのネコ達への愛に溢れたこの本の魅力が伝わりやすい。といっても、もちろん、前知識なくても、そのものでも十分楽しめる出来。

内なるネコ (詳細)

ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション [DVD]

・「I swear・・・
劇場には5回通った。上映が続いていればまだまだ通っただろう。回数を重ねるほどに、涙をおさえることができなかった。

・「"i wish i knew how to quit you."
「ニューヨーカー」に原作短篇が掲載されてから8年。幻の傑作と評判の脚本がようやく最適な監督の手で最良のキャストによって映画化され、05年の米で最も語られ、多くの観客を何度も劇場に向かわせた最も心に取り憑いた作品になったこと自体、奇跡でなくて何だろう。ほんの少し何かが狂っただけで無残な失敗に終わったはずで、そもそも全く日の目を見ない可能性さえあったのだ。さらに、未だにこの問題を冷静に受け止めず狭量な偏見丸出しで攻撃する人々が多くいる現実からも、この映画が語られる意味がわかるだろう。ある米のレビュアーは書いていた。「結婚して家庭を持つ男たちが、自分の本当の気持ちを決して表に出せずに、映画を見ながら『これは自分の物語だ』と思っていることを、いったい何人の者に想像できるだろう?彼らの妻達は、今まさに隣で起こっていることだとは夢にも思わず、自分とは無関係の物語として見るに違いない。もしかしたら『なんて可哀想な話なの』なんて感想を本人に漏らしつつ」。2人がゲイでないならという仮定は無意味だし、これはただ感動的にするために与えられた悲劇の恋物語などではなく、ある人々にとっては未だに痛いほどの現実なのだ。もっとも、監督が込めたのはそんな社会的メッセージではない。壮大な自然の中、ennisを完璧に体現したHLを初め俳優たちの演技は信じられないほど素晴らしく、無意味な映像やセリフは一切ない。だから人は彼らの20年を自分の中に再構築し、まるでその人生を共に生きたかのように彼らの苦悩を本物だと信じることが出来るのだ。本当は何の情報も先入観も持たず豊かなイメージに身を委ねてほしい。「ゲイのカウボーイの物語」という乱暴な括りに収まらない素晴らしい映像体験になるはずだから(もし共感できなくても自分の人生に重ねて何かを感じるはずだから)。これは言葉ではなく行間の映像で語り、彼らの人生を体験させる映画なのだ。

・「人生の切なさといとおしさに泣けた
間違いなく私の人生ベストワンの映画。これまでも、そしてこれからも。それほどこの作品が与えてくれた感動は深く、他に例を見ない類のものだった。イニスとジャックの運命について繰り返し繰り返し考え続けて、いつまでも後を引くのだ。過去のトラウマに縛られて、ジャックへの愛を認めることができないまま、彼の死後にやっとそのことに気付くイニスと、どんなに求めても決して報われない愛に焦がれ続け、無残な死に方をしたジャック。片道14時間の距離をものともせずに、20年もの間ひそかに育み続けた愛。未来もなく、生み出すものもなく、何の希望もなくても諦めることができなかった行き場のない愛。こんなひたむきで絶望的で混じり気のない愛のかたちを描いた物語は初めてだった。同性愛であろうと、不倫であろうと、ここまで真剣に愛に向き合って生きている二人を、私は非難したり嘲弄したりすることはできない。ただただ圧倒され、心にしみてくる感動に身を任せるしかなかった。すばらしい脚本、原作者、監督、そして俳優陣に大きな拍手を送りたい。

・「ハリウッド作品とは思えない
素晴らしい作品です。ゲイ映画と称されるのは間違いではありませんが、それはこの映画の1要素にしか過ぎないと思います。それだけで敬遠するのはあまりに勿体無い。ゲイを題材にすることによって、人間が社会のなかで思うように生きることの難しさを表現しているのだと感じました。

映画としての出来も非常に良かったと思います。演出、風景、演技、音楽、どれをとっても完璧に調和していました。近年のアメリカ映画の中でもトップクラスの良作だと思います。

・「ただただ泣きました
何故こんなにも泣けるのだろう?胸が、締め付けられるのだろう?悲恋物語だからだろうか?DVDの特典のリー監督のインタビューで分かりました。それは、この物語が、手の届かないロマンだからでは、ないでしょうか?そして、誰にでもある戻りたいところ=ブロークバックマウンテン。・・・、でも決して手に出来ない。だから見終わった後、こんなにも切ないんだ。イニスと牧場を一緒にやるジャックの見果てぬ夢に泣きました。ラスト近く、イニスとジャックの妻ラリーンが、電話越しの会話で、「青い鳥が、歌う桃源郷が、本当にあったのね」と言い、イニスが、「遥か昔の夏、あの山で二人で過ごしまた」と言った時、意外にもこの女性が、二人を一番理解したんじゃないでしょうか?イニスの言葉に涙が、溢れそうになるラリーン。その涙を見て、わたしは、また、泣きました。

ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション [DVD] (詳細)

暗闇のスキャナー (創元SF文庫)

・「他人の苦しみに胸を痛めるということ
長い間SF作家として活躍してきたディックは、晩年神秘体験をしたことをきっかけに神学的な小説に転向するのですが、これはその過渡期の作品で、一応SFに分類できるもののSF色は極めて薄く普通文学に近くなっています。延々と描かれているのはドラッグ中毒患者の悪夢のような生活です。そのような特殊の人達の苦悩を描きながら、読者に「これこそ僕たちの人生そのものだ」と思わせるところはさすがディックです。

悪夢の中でのたうち回る中毒患者たちにディックは何もしてやることができません。ただ彼らの苦しみに胸を痛めるだけです。しかし、他人の苦しみに胸を痛めることができるというのは素晴らしいことではないのか。既に何度も教えてくれたこのことを、ディックはまた改めて僕に教えてくれました。

・「ドラックにずぶずぶの日々に泣く
ディックらしいSFを楽しみたい人にはあまりおすすめできない内容。SF的要素は多いが、ドラックに翻弄される人たちを描く、オチがいまいち不発のミステリーっていった感じなので。その分、プロットの破綻も少なく、読みやすい。しかし、☆5つをつけたのは、ベトナム戦争前後の西海岸文化好きおすすめしたいゆえ。一時期、ディックは自宅にジャンキーたちを招き入れ、自らもドラックにずぶずぶでだったそうで、その体験に基づいたらしい、哀切きわまるエピソードの数々が胸をうつ。そういう状況からサバイバーになった人の言葉は、半端じゃなく重く、その当時の友人に捧げた、ディック自身によるエピローグは、何度読んでも泣ける。

・「痛いけど、面白い!
 1977年発表。ディックの長編作としては31作目となる。問題作といわれる「ヴァリス」の前の作品でもある。

 物質Dと呼ばれるドラッグが蔓延するアメリカ。覆面麻薬捜査官ロバート・アクター(=暗号名フレッド)は、捜査の為に自身も物質Dを服用しながら麻薬中毒者たちのグループに潜入して暮らしていた。アクターとそのジャンキー仲間たちはトリップしろくでもない会話をする日々を繰り返す。彼は他にも麻薬密売人でもあるドナという女性とは恋人関係を続けていた。ある日、フレッドは上司から任務命令を受ける。〜アクターの行動を見張るように〜と。それは一体どういう意味なのか。アクターの家に仕掛けられた盗撮カメラの再生映像で自分自身を監視するフレッド捜査官。彼の精神は次第に分裂していき、その日常は混濁へと向かい始める。 

 ディック自身がドラッグ・カルチャーと深く関わりあい、彼の自宅はジャンキーのたまり場になってしまった。そんなすさんだ生活の中で出逢った多くのジャンキー仲間のことや彼らとの語らいを記録したいというのが本書の執筆理由らしい。発表当時から約20年後の1994年のアメリカを描いた近未来小説だが、SF的なガジェットは主人公らの覆面麻薬捜査官が着用するスクランブ・スーツと呼ばれるアイテム(「攻殻機動隊」の光学迷彩みたいなの?)。これたったひとつのみ。ドラッグをメイン・テーマに描かれている日常風景は70年代アメリカ世相そのもの。それもかなりキツイ時代だった当事のアメリカを描いた普通小説に極めて近いスタンスだったりするこの作品は、メイン・プロットそのものが自己のアイディンティを喪失(崩壊)する話なので、読み進めていく程にどんどんと壮絶な内容になっていく。そうなった原因は麻薬作用だという答えが提示されるので、ディックの作品としては珍しく明確で単純なストーリー・ラインになっている。物語の内容も壮絶だけど、ディック自身が書いたあとがきにも驚嘆する。そこには彼の出逢ったジャンキー仲間(彼は同志と呼んでいる)の名前が数多く列挙されているが、その彼らの人生の終焉と言ったら!・・・。だが本作読後の余韻は素晴らしい! ディックらしいほんのささやかなどんでん返しが本当に嬉しい。                                                           

・「悲しい物語です
多分ネットで検索していただければわかりますが、実在の人物をもとに描かれている話とのこと。これを理解して読むとゾッとする描写がたくさんあり、いたたまれなくなります。猛烈に悲しい中に救いと感動のある作品ではないかと思います。

・「プライマル・スクリームもインスパイアされてます。
プライマル・スクリームのアルバム『イーブル・ヒート』に収録されている『A Scanner Darkly』はこの作品からインスパイアされて生まれた曲。破滅的で暴力的な歌詞が表現するディックのSF世界は、この小説をさらに加速させた感じ。プライマル・スクリームのファンなら一度読んでみてはどうだろう? 読後に襲ってくる圧倒的な不快感こそがディック小説の醍醐味だ。

暗闇のスキャナー (創元SF文庫) (詳細)

バンド・オブ・ザ・ナイト (講談社文庫)

・「とても面白いです
らもさんの自伝的な小説なのでしょうか?私はこの作品が大変好きです。

社会から見たらだめな人達ばっかりなのかも知れないけど、これまでに読んだどの小説より人間関係に愛情を感じました。嘘がないと思いました。著者のらもさんの愛情深さを感じます。メチャクチャで荒廃した生活なのに、皆すごく人間らしい。生きている感じがする。

何かを得るには何かを捨てねばならない、と言いますが、この人たちはお金や安定を捨てて代わりに何を得ていたんだろう。私は、その得たものを一緒に見てみたいと思ってしまいました。

・「忘れられない一冊です
ロックを感じさせる本だと思います。こういうふうに言われて、ピンとくる人には、とてもお勧めです。著者は、死んでしまいましたが、作品の中で彼は、自分の心臓を投げつけています、そう思います。異様に多い言葉の連鎖で、頁が埋められています。引用したいけれど、長いので。…ちなみにページをめくると、「歌詞なんて聞き取れる必要はないんだよ。ロックの場合はね」/ルー・リード、最後の解説は町田康でした。

・「中島らも
故・中島らものラリ中時代の自伝的小説。仕事を辞した主人公と彼の家に居候する愉快な人々との日々を描いた作品。他氏が「無意味な言葉の羅列」と書いておられるが、それらはラリッて混沌とした意識、無意識下でのものと見え、又、シュルレアリスムに傾倒した著者の自動筆記であろう。というのも、この作品中の「○○は××においてロックンロールだ」という部分があるが、これをブルトンの「○○は××においてシュルレアリスムだ」を借りたようであるからだ。無意味と言うと大いに語弊がある。脱線してしまうので割愛するが、シュルレアリスムについてはアンドレブルトンの「溶ける魚・シュルレアリスム宣言」(岩波文庫)などを読まれたい。

・「すごい生活だな
この本は薬を飲んでしまって、トリップしている状態の描写になると、言葉の羅列になって、訳が分からなくなってしまう。著者自身の体験も織り込み筒の話のようだが、これを書いたときはしらふの状態だったようだ。しらふで如何に飛べるのかを実験した作品だったようだ。余り上手くはいかなかったようだが・・・。

ジャンキーのような人たちの話ではあるが、何かに依存していなければだめな人たちの話とも見れる。薬の影響で死んでしまったり、自殺で死んでしまったりと、登場人物は悲惨になくなっていくのだが、主人公は最後まで生きていた。それが救いだが、また最後で薬を飲んでしまうので、先の安心はできない。

この間著者は酔って階段から落ち、その後亡くなってしまった。それで気になって読んでみたが、なんとも言えなくなってしまう本だった。(いろんな意味で)とにかく中島らもさん、安らかに。

・「実体験?
氏の著作を初めて読ませていただきましたが、言葉の軽快さと、登場人物の魅力にひかれて、サクサク読むことができました。ただ、ラリってる最中の言葉の羅列ですが…ひたすら出てくる言葉にはさすがに「読まされている」感を感じぜすにはいられませんでした。しかし、それでも何度も読みたくなる、快作です。是非、若い人に読んで欲しいです。

バンド・オブ・ザ・ナイト (講談社文庫) (詳細)

永遠も半ばを過ぎて (文春文庫)

・「らもファン必読!
本を読む前に映画「lie,liel,lie」を観て、すぐにこの本を買いました。映画も出演されている方が良く映画も素敵だったので、どうしてもその印象を重ねながら読んでしまいましたが、原作では、登場人物はもう少しくたびれている設定のような気がします。

この本では、らもさんのなかに住む3つの人格が強く各登場人物に投影されている気がしました。寡黙で思索的な写植屋、情報を重んじる知性の編集者、そして非現実な世界を懸命に構築しようとする詐欺師というように、各人物の性格が作者の中に同居している代表的な人格のように思えました。これまで読んだ作者の小説は、どれか一つの人格に光を当てて、“話し”を構築していく傾向があるように思いますが、この小説ではそれぞれの人格がそれぞれに目立つような構成になっています。たぶんそのようにバランスをとった結果として、読後の感想がライトで爽やかな恋愛小説になったんだと思います。

私はこの作者の本を多く読んでいるほうですが、この本を一番よく読んでいます。特に、睡眠薬を飲んだ後の写植屋の紡ぎ出す言葉の羅列が、圧倒的です。酒等を摂取してから、この小説のこのくだりを読める人にお勧めします。

・「一瞬と永遠の真っ最中
冴えた空気割って三日月輝き出す季節を感じる頃、決まって読み返したくなる一冊。亡くなるまで終始コミカルにシニカルに世界を笑い飛ばしてみせたエンターテイメント職人中島らもの真骨頂ここに在り!!電算写植機軋ませながら、今日も机に向かう俺。

漏れ溢れ出す、無意識が筆を動かせる自動書記。この世のものとは思えぬ程に、麗し美文で綴られて。幽霊が書いた作品やも!?と。詐欺師、というよりゃ、ぺてん師登場。編集者相手に丁々発止。知恵比べ、化けの皮!剥がし剥がされ、ヨヨイのヨイ。

かくして揃った3人組。波多野、相川、宇井美咲。文壇はおろか、揚げ句の果てに極道たちをも巻き込んで…。文字が言葉が繋がって唸り出す、踊り始める。純度高い芳醇な香りのスピリッツ。

一瞬に込めた永遠。そして永遠から解き放たれた一瞬。生きている真っ最中の半ば。ロックンロールな作品です。豊川悦司主演の映画版『Lie Lie Lie』と合わせてオススメします。

・「結局全部中島らも
写植屋・波多野、詐欺師・相川、編集者・宇井をはじめ、医師会の人とか出版社の人、印刷屋の跡取り息子や極道界の人、理解不能な作風の女性画家などなど、登場するさまざまな人物。これって、結局、全部「中島らも」なんじゃないの?ってそう思った。そもそも「ヒト」は、至極常識的な部分から全く非常識な部分まで、両極端をあわせ持つイキモノなんだ。そんな中島らもの哲学が、あふれ出ている一冊です。プラスアルファ、彼の「表現者」としての喜びも、そして苦悩も、波多野の言動を通して語られている。やっぱ、すごい、中島らも。どうしても会いたい。

・「真・善・美
詐欺師と写植屋と、出版会社勤務女性の真・善・美コンビの話 詐欺業界、出版業会の話と、薬、酒。 言葉と、言葉を吐く主体。 言葉を知っているからそのような気がする。 …「孤独というのは、「妄想」だ。孤独という言葉を知ってから人は孤独になったんだ。同じように、幸福という言葉を知って初めて人間は不幸になったのだ」

言葉を吐く主体は、何かが乗り移ったと後になって思う。 …「俺は写植屋だから、作家の先生方のことはよく知らない。知らないけれど、作家というのは多かれ少なかれ、何かに憑かれてものを書くんじゃないんですか」 中島らもの哲学の表明をみることが出来る作品だと思います

永遠も半ばを過ぎて (文春文庫) (詳細)

失踪者―カフカ・コレクション (白水uブックス)

・「ざらついた現実を描いた冒険譚
以前、角川文庫などで『アメリカ』として知られたものの作者手稿による新訳。面白い。いきなり「女中に誘惑され」、その女中に子供が出来たために、アメリカに旅立って自由の女神像を拝む冒頭から、下船する間際に上院議員の伯父に出会い、上流生活からアメリカ生活をスタート。しかし、急転直下、その伯父の気分を損ね風来坊に落魄れ、エレベーター・ボーイの職を得る展開が、お話としても面白く、そのくせ淡々としたカウリスマキの映画を観ているようだ。しかも、カフカには珍しくニューヨークやその郊外の匂いまで漂ってくる。死後の焼却を願っていた作者にしてみれば、全ての長編が習作だったのだから、本作品などは習作も習作、ひょっとするとカフカのものとわからなければ、今日の出版すら覚束ないものかもしれない。しかし、不条理などといった手垢にまみれた言葉ではなく、まさにリアルな手触り、「他者」の気配がムンムンする。原田義人訳の『アメリカ』よりも、池内訳は全体的に緩い。それが、独特な雰囲気を醸し出していると、ドイツ語を解さない評者は勝手な感想を抱いた。

池内紀訳では、カネッティの『眩暈』が秀逸であった。勿論、これは原作の素晴らしさだろう。私見では『眩暈』はカフカの『城』を超える世界文学である。

失踪者―カフカ・コレクション (白水uブックス) (詳細)

キャッチャー・イン・ザ・ライ

・「大人社会に疑問を持っている人へ
JFK、J.レノンを暗殺した犯人がポケットに入れていたという、いわくつきの小説。 高校を退学させられた少年・ホールデンが、大人社会を語り口調で痛烈に批判する。この作品の特徴は、50's米国の汚い若者言葉が連発されていることであり、それが発刊当初、図書館に置いてもらえなかったという理由の一つである。ホールデンの将来の夢は、一面に広がるライ麦畑で、どこを走っているのかわからず崖から落ちそうになる子どもたちをつかまえる役――"the catcher in the rye"――になることだったが、このryeは、嘘の多い大人社会という意味で、lieと韻を踏んでいると考えられないだろうか。あてもなく街を彷徨い、嘘ばかりの大人社会に片足を踏み入れて、誰かにつかまえて欲しいと願ったのは、本当は彼自身だったかも知れない。日本版は野崎・村上の2人によって訳されているが、野崎訳の攻撃的な言葉と流れるようなリズムが、よりホールデンという人物を的確に表現しているかも知れない。村上が、この作品をどう解釈したのか、著者(サリンジャー)の要請により実現されなかったという解説を読んでみたい気がする。

・「50年たった今でも傑作だと思います。
訳のせいもあるでしょうが、前半は、何もかもに反抗する自暴自棄な主人公が不自然に感じるかもしれません。しかし、彼は認めている人間には限りない羨望を惜しげもなく表現しています。妹だったり、NYで出会ったシスターだったり。そういう人たちへの観察力、分析力は、若さゆえに正直でまっすぐでピュアなものです。その半面、権力や地位や見栄で街を闊歩する多くの大人たちに対しては、遠慮のない憎悪、嫌悪を露にしています。後半、彼をとりまく大人たちから貴重な言葉が向けられます。10代がゆえに悩み、受け入れがたい現実社会の規律、規範・・・。そういった漠然とした青年期の葛藤が見事に描かれた傑作です。90年代初頭の高校時代に一度読み、30代に突入した最近また読み直しましたが、訳の違和感さえ取り除けば、ほぼ普遍的に読み継がれる作品だと思います。

・「わからないけどいい
村上春樹の「キャッチャー イン ザ ライ」を読んだときは、退屈で退屈で仕方なかったんですが、「フラニーとゾーイ」にえらく感動してしまい、野崎氏訳で読んでみました。

主人公ホールデンが痛々しくて、かわいそうで、つらかったです。「もうやめろよ、早くホテルに帰って寝てしまえよ」って思うのに、ぼろぼろの状態で街をさまよって、さらにぼろぼろになっていくホールデン。

フィービーの言葉が胸に突き刺さる。『兄さんは世の中に起こることが何もかもいやなんでしょ』多分あたってて、でも本当でもない。「そうだよ」て、返事できるようくらい割り切れてたなら、ホールデンはこんなに傷ついてないと思う。

斜に構えてるんじゃない。自分自身に対して、世間に対して、悩んで苦しんで一生懸命なんだと思う。だからぼろぼろになっても、何かを求めて街をさまよい続けるんだと思う。

…なんて、よくわからないけど、とにかくホールデンがつらすぎてかなり感情移入して夢中になって読んでしまいました。なので、野崎氏訳で読み直してよかったなと。でも、人によっては逆もありかもしれません。名作だと思いますので、だめだと思った方、他バージョンでも試してみてはいかがでしょうか?

・「青年文学を超えて
この本は知的な青年の多くが経験するであろう疎外感を巧みに表現していて、特に最後に近い章では涙を誘う物語である。しかし、ただの青年文学として位置付けられるものでもない。ホールデン少年の感性は、大人になった我々に、今をよりよく変えようという力を与える。いつページを開いても、やさしい気持ちと希望を与えてくれるのである。

・「最後まで読んでみて、
途中まで、なんでこんなに愚痴ばっかり言っているんだろう、と思いながら読んでいました。でも途中からそれなりにこの主人公にも自己内省のようなものがあるということが分かって、すごく面白かったです。少年期の独特の、ちくちくしている感じがよく現れていると思う。こう言う本が売れたり、評価されたりしているのは、非常にうれしい。

つまんないと思っても、最後まで読んでみてください。たぶん、新しい種類の感動があるはずだから。

キャッチャー・イン・ザ・ライ (詳細)

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)

・「サリンジャー・ワールド
サリンジャーの別著にも登場する人物たちのストーリーです。時代設定が少し古いので、ちょっとレトロな雰囲気もかもしだしていて、サリンジャー・ワールドを満喫できます。登場する若い男女は、現在のアメリカでのヤッピーの元祖ともいえ、会話がとてもしゃれていたり、生活振りもスタイルがあって、魅力的です。サバサバした文体でありながら、登場人物の微妙な気持ちがすんなりと伝わってきます。9つのショートストーリーなので、休日や勉強の合間の気分転換にぴったりです。ゆっくり味わって読みたいストーリーなので、通勤時間に読んだりするのはもったいない程です。

・「よくわからないけど惹かれる
『ライ麦畑でつかまえて』で有名なサリンジャーの作品を初めて読みました。さて、この『ナイン・ストーリーズ』はタイトル通り9編の短編を集めた短編集なのですが、正直言って何を描こうとしているのか私にはよく理解できないものも多かったです。でも、どの作品も不思議と心に引っ掛かりました。意味はわからないけれども決して眠くはならず、逆に妙に覚醒感を感じさせる作品群だと感じました。

この短編群の主人公たちは、精神がどこか壊れているような人達です。しかし、よく考えてみれば普通の人間というのは誰もがこんな非合理な一面を持っているものです。むしろ、一般の小説の登場人物たちというものが、あまりに単純化され、物語の中のある役割を担う為だけに創造された不自然な存在なのだということに気づかされました。

・「不思議と心に残る
なんてことないストーリーなのに不思議と心に残る。「ライ麦」もそうだが、この短編集でもそんなサリンジャーの特徴がよく表れてます。この人の場合、何が言いたいのかはあまり重要ではなく、心の機微の描写に読み手がうっすらとでも共感できればそれでいいような気がする。

よく読むと、作者はさりげないようで注意深くストーリーの動きと心の動きを計算し組み立てながら、心のプチ・クライマックスへと持っていってるのがわかる。だから何度読んでも飽きない、それどころか読めば読むほど読み手の心にじんわりしみわたってくるのだと思う。

・「9つの物語
あとがきで訳者の野崎氏が言及されているように、この短編集では多くの子供たちが登場する。そして、僕は、サリンジャーは子供という存在を描くのが抜群に上手いと思う。サリンジャーの描く子供、それは、ただ幼く無垢なだけの存在ではない。幼いながらも、そこに大人顔負けの哲学性を持った存在として描かれている。でも、それを幻想的だとは思うけど、虚構だとは思わない。というより、思わせないリアリティがサリンジャーの小説にはある。また、サリンジャーはあたかも絵を描くかのように、小説を書く人だと思う。そう感じてしまうのは、場面転換の描写があまりないせいだと思うけど、それでよけいに幻想的に思えてしまう。今はもう隠遁してしまっているようですが(シド・バレットみたいにいきなり訃報が届くのはやめてくれ!)、どうかもう一度筆をとってほしいものです。

・「読めば読むほど味が出る。
実は吉田秋生のマンガ「バナナフィッシュ」で知って、初めて読んだのですが、9つの短編はどれもアイロニーに満ちていて、全体的に悲しみが流れているのだけど、暖かい作品です。その絶妙なバランスが心地良いです。特に最後の『テディ』と言う作品が、無常のように淡々としていて好きです。旅行する時には絶対に持って行く本の一冊です。

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫) (詳細)

二十世紀旗手 (新潮文庫)

・「最高!
これを読んで吐き気を催すか、どっぷり太宰ワールドに浸かるか。太宰の作品の中でも、好き嫌いがはっきり分かれる類のものだと思う。僕は圧倒的に後者の方だ。とにかく言葉の持つ力が半端じゃない。特にこの作品に収められている「HUMAN LOST」は「人間失格」につながる小説(日記?)なので、太宰を語りたければ避けては通れない道だ。

・「すげぇ生麦文学!
マジヤベェ!古典作家なんて見くびりはきかねぇのが真の古典作家っすが太宰はやっぱサイコサイコサイコッ!実験精神溢れまくりで作品の調和とかねぇねぇちゅーかぶっ壊す勢いっす!すげぇパワー&アイディア〜!太宰やっぱサイコッ!YEAH!!

・「太宰本人に興味がある人むきです
太宰の作品が好きというよりは太宰本人に興味がある人にむいてます。小説というよりはエッセイ、むしろ日記に近いものです。しかも太宰が最も悲惨な時期(精神病院に入るなど)のものなのでかなり陰鬱です。しかしその時期だけに作者の本音のようなものを感じることが出来ます。私はそこまで太宰好きではないという人は避けた方が無難です。

二十世紀旗手 (新潮文庫) (詳細)

ねむれ巴里 (中公文庫)

・「不良国際人金子光晴
不良詩人金子光晴が、35歳頃、パリで過ごした2年間の記録。

冒頭、船でパリに向かっている中に衝撃的なシーンがある。

<僕の寝ている下の藁布団のベッドで譚嬢は、しずかにねむっていた。船に馴れて、船酔いに苦しんでいるものはなかった。僕は、からだをかがみこむようにして、彼女の寝顔をしばらく眺めていたが、腹の割れ目から手を入れて、彼女のからだをさわった。じっとりからだが汗ばんでいた。腹のほうから、背のほうをさぐってゆくと、小高くふくれあがった肛門らしいものをさぐりあてた。その手を引きぬいて、指を鼻にかざすと、日本人とすこしも変わらない、強い糞臭がした。同糞同臭だとおもうと、「お手々つなげば、世界は一つ」というフランスの詩王ポール・フォールの小唄の一説がおもいだされて、可笑しかった。>

時代は、二大戦間期の、中国で反日運動が盛り上がっていた頃である。この時期に、中国人の女の肛門をまさぐって、こんなことをつぶやいている詩人の胆力にあきれ驚かされる。われわれは普段、「世界が一つ」でない理由を臆病に並べ立てがちであるが、糞臭なんていうしょうもないことからでも世界は一つであることは感じることができるのかもしれない。

ねむれ巴里 (中公文庫) (詳細)

マレー蘭印紀行 (中公文庫)

・「百回読むでもまだ読み飽きない秘密とは!〜
詩人金子光晴が約80年前、33歳から訪れた南方アジア見聞録・散文詩だ〜 自然が擬人化され、実際に現地でも魔法にかけられた様に実感される〜自分の想像力が及ばない世界を見せてくれる万華鏡のような一冊だ! 〜センブロン河 ねこどりの眼 雷気 貨幣と時計 カユ・アピアピ 霧のブアサ 虹 スリメダン 鉄 コーランプルの一夜 ジャワ 蝙蝠 珊瑚島 スマトラ島〜  取り分け 余りにも 美しすぎて悲しいまでの珊瑚島 それを人人は意想(イデア) 無何有郷(ユートピア)となづけているのか!〜と 金子光晴の底知れぬ詩的密林への入り口としても最良の一冊だ!〜

・「悲しき熱帯
 もともとは昭和15年に出たもの。 昭和3〜7年にかけてシンガポール、マレー半島、ジャワ、スマトラと放浪したときの記録をまとめたもので、戦前の紀行文として最高水準のものと評価が高い。 確かに、素晴らしい文章であった。これに憧れ、真似しながら紀行文を書き始める人たちがいるというのも、十分に納得できる話だ。そういう観点から、現代日本の旅行記ブームを見直しても、面白いかも知れない。 それはさておき、どこが素晴らしいといって、熱帯のロマンと気だるさ、とこに生きる人間の哀しみが幻想的に融合している点である。良い酒のようで、ひたすら溺れていってしまう。 これまで何となく敬遠して読んでこなかったのだが、間違いであった。次は『西ひがし』あたりに手を出したい。

・「アジアの世界がみえる本
金子光晴の独特の世界が垣間見える一冊でした。夫人と一緒にアジアを旅するのですが、中でもマレーシアのバトゥパハの日本人クラブに滞在した際の一説に『私は毎朝、一杯の珈琲とロッテ、それにバナナを食べていた』というくだりがあり(表現の違いはお許しください)実際に私もその舞台となったバトゥパハに行ってきました。小さな港町で大きな川の近くに錆びれたコーヒーショップ(茶室)があり、プラスチックの机に椅子、そしてなみなみと注がれた珈琲にバターとザラメの砂糖をのせたトーストのロッテ、そしてバナナをここで朝からゆっくりと食べ、一日を川の流れのようにゆったり過ごした詩人の姿が見えるような気がした。そんな読みながらにして、アジアのゆったりとした時の流れ、激しい詩人の世界をみることの出来る一冊だと思います。東南アジア好き、旅行好きにはお勧めの一冊です!

・「密林の闇は、緑?それとも深紅?
1928年から1932年、シンガポール、マレー半島、ジャワ、スマトラとまわった紀行文。当時日本人が経営していたゴム園や、鉱山の様子がなまなましく描写されています。私が心惹かれたのは金子氏の描くジャングル。

マレー蘭印紀行 (中公文庫) (詳細)

ギンズバーグ詩集

・「「この人は吠えている」
アレン・ギンズバーグはポール・マッカートニーやジョン・レノンなどといったロック・アーティストとも親交の深い詩人としてロック・ファンにもなじみの名前だが(この詩集にも実際ビートルズのことを歌ったポートランド・コロセウムという作品が収録されている)、その宗教や人種を超越した表現はやはり彼自身が第一にロックンロールであることを証明してくれている。ランボオ好きな人やロック・ファンにもオススメできる非常にパワフルな詩集。

・「普通の考えでは…
僕なんかの頭では理解できる代物ではなかった。知らない「単語・人名」が沢山出たきた。詩なので理解ではないかも知れない。詩はそれぞれ読んだ人が想うことを楽しむものだから。しかし作者は何かに感動し、それを詩に表したわけだが自分はそれを感じ取ることができない詩が多かった。自分が無知すぎてまだ読むには早い本だったかもしれないが。なかにはバロウズの妻について書いた詩なんかは楽しく読めた。が、「バロウズの妻はバロウズによって殺された」という背景を知らなければ楽しめないかもしれない詩でもあるなと感じた。

なのでこの本はビート文学やその知識・時代背景を知らないと100%楽しめないのかなと思った。なので、皆さんの言うように、麻薬書簡などのほうが分かりやすいのかなと感じました。(自分は麻薬書簡を読んでないので想像でしかないのだが)

★三つをつけたのは世間一般の大多数の人からみたら(自分を含め)三つなのではないかなと思い、つけました。もしかしたらビート文学に精通している人にとっては★五つでは足りないものかもしれない。

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麻薬書簡 (Serie Fantastique)

・「退廃と魅惑に満ちた冒険
同性愛傾向のある麻薬中毒者。バロウズとギンズバーグの間に交わされた手紙。麻薬と売春、酒と窃盗に彩られ、むせかえるような景色に彩られた南アメリカ。幻のイェージを求め南米をさまよう。こびた目つきの自分の身を売る少年が股間をまさぐり、ポケットから金目のものをかすめとろうとする。第二部。7年後。ペルーから届く幻覚とイメージ圧倒的な世界を言葉にしようとした手紙。返答。そして物語は、3年後の二人の通信をエピローグとする。最後の通信「私は死にそうなんだ、ミースター?」。 手紙というものに込められた言葉の迫力を感じ取れる。麻薬に魅入られた二人。バロウズの最後の言葉が心に残る。逃げようとしても逃げられぬ想い。不幸すぎる幸福の中に二人はいたのかもしれない。

 巻末の解説として諏訪優の「麻薬考」も一読の価値あり。

・「南米覚醒の旅
63年、作家として知られるようになった頃のバロウズ作品。アヤワスカを最期のドラッグと期待し、南米を放浪するが、結果的には失敗。ドラッグは補助的な物質であると結論。バロウズ自身は、彼の人生そのものであるドラッグの旅に、ある種の終着点を見出しつつあった。それがこの作品の時期である。そのため、かなり現実的な実体験に基づいている。この旅の終盤では、ギンズバーグ宛てに、LSDによらない覚醒を促す手紙も送っている。当時、カウンターカルチャーの渦中にいた彼をある種「覚醒」に導いた重要な手紙のやりとりがなされている。この南米における一連の旅を通じ、バロウズは中毒や依存の無産性を確信すると同時に、人間とは何かに依存して生きていかざるを得ないという、それらヒントを見出した。

麻薬書簡 (Serie Fantastique) (詳細)

平壌ハイ (文春文庫)

・「ゴンゾの面目躍如
 石丸節、炸裂です。

覚せい剤使用による実刑は免れたものの、執行猶予でほとんどの海外にいけない筆者を迎えてくれる国、それが北朝鮮だった。旅のきっかけは「ぶっ飛べる」上モノのヤク「平壌ハイ」を求めて、というものだがなんとなくこれはメタファーなんだろうな、と読み進むうちに気づく。そう、「主体思想はディズニーランド」など、今回も独自の視点から、北朝鮮に対する鋭い考察がポップでキレのある文章で、押し付けがましくなく読者にしっかり届く仕掛けに。ぜひご一読を!

・「ゼンマイ仕掛けの真実
ã"ã"数å¹'に亘って、æ-¥æœ¬ã®ãƒ‹ãƒ¥ãƒ¼ã‚¹ç•ªçµ„ã‚'独占ã-続ã'るクレイジー半島åŒ-朝鮮。なのにã"の国の謎はまだまだ尽きる事はない。それどã"ろか、よくある中古車のようにどã‚"どã‚"問題はå¢-え続ã'るばかりだ。そã‚"な謎多き国にä¹-り込ã‚"だ一人の記è€...、石丸å...ƒç« æ°ã€‚たった5泊ï¼-æ-¥ã®ãƒ'ックツアーの中で見た奇想天å¤-な風景の数ã€...ã‚'

石丸氏特有のハイテンションなæ-‡é¢ã§æã„た作å"ã€‚

食æ-™ä¸è¶³ã€ã‚¼ãƒ³ãƒžã‚¤ä»•掛ã'の子供é"、ä¸-界一悲ã-い国境線ä¸-界一巨大な廃墟ホテル、国家事業とã-て密造されるドラッグ。そã‚"なç-›ã¿ä¸­ã§è¦‹ãŸã€â€çŠ¬ã‚«ãƒ«ãƒ"はおいã-い”という真実。悪い事ばかりじゃない。絶対ニュースにはならないような良いæ-‡åŒ-だってたくさã‚"あるのだとã"の本は教えてくれる。

それに現åœ!°ã‚¬ã‚¤ãƒ‰ã®ãŠå§‰ã•ã‚"による普段はあまり聞ã'ないような人æ°'とã-ての意見からはåŒ-朝鮮のç-›ã¿ã¨èª‡ã‚Šã€ãã-て何よりç'"粋さã‚'感じå-る事が出来る。

僕é"の知っているåŒ-朝鮮と人æ°'の知っているåŒ-朝鮮が違う。悲ã-いã'ど、それが真実なã‚"です。

・「クレイジーな国をクレイジーな文章で
北朝鮮に行きたい。読んでたら無性に行きたくなった。あんな謎に満ちて謎につつまれて胡散臭さが溢れる魅力に満ちた国を石丸元章が旅行に行き、文章にしてみたら…石丸元章氏の文章が好きな人や北朝鮮に少しでも興味のある人、いやどっちにも興味がなくてもいい。読めば絶対行きたくなるって。

・「元章マンセ~
その後、マ○ギョ○ボ○号から平壌ハイが見付かったそうな。元章氏の家にMマウスが置かれていたり。将軍様はコワいムニダ

・「北朝鮮マンセー
北朝鮮に迷い込んだ一人の平成いいかげん男石丸元章による北朝鮮滞在記。ボーリング話と北朝鮮の子供とアイドルグループスピードとの比較は秀逸。最後のほのかな恋話とホモ落ちも良い。

平壌ハイ (文春文庫) (詳細)

冷血 (新潮文庫)

・「持ってても買い。
待望(?)の新訳の文庫化です。そんな人いないとは思いますが、もし「夜の樹」や「遠い声 遠い部屋」なんかしか読んだことがなければ、同じ作者と咄嗟には了解できないかもしれません。この作品には、安易な言葉ではありますが、天才の情念と執念があります。読み進めていくうちに、なにかに手を入れたらいきなり手が抜けなくなったといったような怖さを多々覚え、読了前、後を隔てるなにかが自分のなかに芽生えているのを感じさせられます。「遠い声 遠い部屋」なんかは、自分の心の奥底に潜んでいる原初的な弱さを目の前に突きつけられそうで躊躇ってしまい、読むのに時間を要したのですが、この「冷血」はその長さを差し引いても、新聞に何ページにもわたって掲載された渾身のルポを読むような集中力と時間をこちらに求めてくる、そういう意味で時間のかかる作品でした。ジョージ・プリンプトンの「トルーマン・カポーティ」で一緒に写っている写真を見たせいか、ノーマン・メイラーの「裸者と死者」と似た手触りだともちらっと考えました。ところで、最近(でもないですが)「百年の孤独」の改訳やこの「冷血」の新訳のように、CDのリマスターさながらに再発されますが、読み直すいいきっかけですね。どこが変わったのかはさっぱりわかりませんが(皮肉じゃないです)。ラルフ・エリスンの「見えない人間」なんかは早川文庫や黒人文学全集を二十年くらい探して結局見つけられなかったので、うれしかったです。

・「5年間かけて徹底的に取材したノンフィクション小説
1959年11月15日(日)未明、カンザス州の片田舎で起きたショットガンによる一家惨殺事件。事件発生から、犯人逮捕、判決、そして絞首刑にいたるまでの5年の歳月を費やし、カポーティが惨殺された一家、その周辺、そして犯人たちの人となりに肉薄し、文学の新境地を切り拓いたノンフィクション・ノベル。

・「Portrait of Evil
Written as an experiment in blending fiction, non-fiction, and journalism, Truman Capote succeeds in creating a new genre, known now as creative non-fiction, with In Cold Blood. His narrative horrifies, yet compels the reader to experience the 1959 real-life, savage murder of four members of the Clutter family by Perry Smith and Dick Hickock in the rural Kansas community of Holcomb. While the new movie that is out has created a stir, that stir will probably move over to other Capote or Capote-related works: works such as “Other Voices, Other Rooms,” and the novel “A Tour of Southern Homes and Gardens” by McCrae which relies heavily on Capote and his genre. At any rate, Capote is here to stay.

・「冷血というタイトルの意味
実際の強盗殺人事件というモチーフに対して、不謹慎な言い方だが、これは文句なく、おもしろい。ノンフィクションでもルポでもなく、これはカポーティの「小説」として作品が成り立っているところが、まずすごい。詳細な調査や犯人との面談などに基づいて、作家が独自の時系列を設定し、大きな視点でこの事件を綿密に追っている。読後は長い映画を見た後のような、なんとも深い満足感と疲労感が得られる。とても直視できないような悲惨な事件を一つの作品に昇華させた作家の執念、エネルギーの凄まじさに圧倒されてしまう。「冷血」、とても考えられたタイトルだと思う。犯人、事件の周辺にいた大勢の人々、判事、検事、弁護士、作家。ほんとうに「冷血」なのはいったい誰か。

・「実話をもとにしているからリアル!
初めて読んだカポーティーは「ティファニーで朝食を」だった。だからカポーティーはスタイリッシュな作品ばかり書くのかと思い込んでしまった。次に読んだ「クリスマスの思い出」は物悲しく感動的で私のカポーティーに対するイメージは少し変化した。そして3度目に出会ったこの作品。今まで読んだどの作品とも違う「冷血」は私のカポーティーに対するイメージを完全に覆した。現在青少年による犯罪の低年齢化や犯罪の残虐性がさかんに叫ばれているが、50年前カンザス州のある田舎町でこんなに酷い事件が実際にあったという事実に驚いた。それも犯人の少年二人がとりわけ人より不幸な幼少時代を過ごしたとは思えないところに愕然とした。つまり現代特有と思われる事件でもいつの時代でもどの場所でも起こりうるということ。作品の中では事件とその後の犯人の行動・気持ちの移り変わり等が詳細に記載されている。後半部では特にカポーティーは片方の犯人に焦点を当て書いている。人の心の奥深くまで見ることが出来るカポーティーだからこそこの作品が書けたのだと思います。

冷血 (新潮文庫) (詳細)

サラ、いつわりの祈り [DVD]

・「久々に心で考えさせられる映画!!
始めは、酷過ぎる!何この映画!なんて気持ちでした。しかし終盤から最後には、息子の母を親愛する気持ちが心に打たれました(泣)非情に胸に打たれました!若い人、まだ母親ではない人、是非見て共感して欲しいです! 素敵な映画を見れてスゴく良かったです!

・「なんてったてアーシア〜♪
この映画は原作が著名人に人気がある、とかいろいろな理由があっておもしろいけど、原作はあくまで原作。映画は映画。ことこの映画に関しては優先座席は設けん。なぜなら監督兼主演のアーシア・アルジェントがめちゃめちゃ素晴らしいからや。彼女の演技と演出は素な位に自然でまったく違和感を感じへん。文句なしに星5つ。まだ観てへん奴は観んかい。(思い出して興奮気味)

・「フィクションだが現実感ある作品
自伝小説では無く、フィクションですが…社会問題に触れている作品だと思います。実際に虐待等の様々な問題がありますし…

この映画の感想は…サラも昔の教育等がトラウマになってるとしか思えない程の、反抗心、反発?から極端に正反対の方向へといき、危険で不安定な生活へ、どんどん転落していった状態。サラは精神的に脆弱で未熟なぶん、ドラッグやセックスの堕落した快楽に溺れてしまう。こんな感じで、サラも壊れていくが、子供の人格・心も歪ませるはめに…終始、痛々しく暴力的な描写。

・「ダーク
観終わった後はダークな部分が多すぎて、何とも言えない感情になります。児童虐待や宗教、ドラッグに売春…日本でぬくぬくと親の愛情をうけて育った私には到底想像つかない世界の数々です。。

でも逆にダークな部分をより写実的に撮影している点がこの映画の観る価値だと思います。

ストーリーは、里親に出されていた息子を、ドラック漬けで酒のみで、しかも男がすぐかわるという最低の親?サラが引き取って育てていくという話。いくら虐待されてもサラの愛を求める息子の無垢な目が印象的。

淡々と進んでいくストーリーに引き込まれて、あっという間に観終わった感じです。

いろんな意味で一見の価値はある映画だと思います。(内容以外にもマリリン・マンソンが出てたり…子役の子がすごいかわいかったり…これだけでも十分。)

・「激突!アーシアVs.マリリン・マンソン!!(もう一人のイージーライダーも)
私は原作を読んでいないため、あくまで映画のみの感想になるが・・・前監督作『スカーレット・ディーバ』でも感じたのだが、彼女は写実主義というか、とにかくリアルにありのままの描写を好んで撮影している。思いつきで撮ったような即興シーンやカメラワークの手ぶれ等、あたかも観客自身がその場の傍観者でいるかのような錯覚を起こす。この辺は上手い!と感じる部分である。

またストップモーションアニメを駆使して、ドラッグでのトリップ映像を表現するところは、ダリオ親父の雰囲気を彷彿とさせて思わずニヤリと笑ってしまう。やはり血は争えないか・・・

が、そういった唸る映像センスは前監督作からあるのだが、感情描写が苦手なようにも感じる。前半ジェレマイア少年がサラを嫌がって逃げ出し、警察に保護される部分なんかの少年の感情表現は良くできていたが、中盤〜後半にかけて、頼りない母でも少年が愛されようと求める映画の主題部分がどうにも表現しきれていない。今ひとつパンチがない。ここは残念な部分である。

映画自体は星三つ・・・だが次の作品のステップとしては上出来だろう。今後の彼女の活躍に期待したい。

では、いつものように・・・アーシアっ!!!いや〜っ、またまた今回も汚れ役ですね〜!また娼婦です。素晴らしい!!しかも娼婦なのに『ザ・キーパー』なみに脱がない!!ちょっと乳出したかと思っても、隠すのが早くてビーチクも確認できない!!でも、アップが相変わらず美しいので許します。しかし、ゾンビと戦った後に今度はマンソンも倒しちゃいましたよ!!この調子でバンバン悪者と闘って下さい!(あ、マンソン悪役じゃないか・・・)

サラ、いつわりの祈り [DVD] (詳細)

モンスター 通常版 [DVD]

・「愛を描いた映画です!
 アメリカで最初の女性による連続殺人をテーマにした、実話に基づく映画です。

 「純粋なものが最も人を苦しめる」映画の中でアイリーンが語る台詞ですが、この台詞がこの映画の全てを決定しているように思います。映画の冒頭のバーで、もしもアイリーン(シャーリーズ・セロン)がセルビー(クリスティーナ・リッチー)と出会わなかったら、そして仮にセルビーと出会ってもセルビーを愛することがなければ、アイリーンは手持ちの五ドルを使いきった後で自殺したでしょう。愛することさえ知らなければ、モンスターと呼ばれた連続殺人犯もきっと生まれなかったはずです。「愛」、この純粋な感情がこの映画に描かれる全ての悲劇の発端です。「愛」というものの罪、「愛」というものの苦しさがこの映画には描かれています。連続殺人の映画ということで、バイオレンスな描写もありますが、この映画はまぎれもなく「愛」の映画だと思います。

 また、この映画を見ると、アメリカという国は、暴力の被害者や、同性愛者、そして不幸にして道から外れてしまった人といった社会的少数派にとっては辛い国なのかなぁという気がします。実際、映画の中で主人公のアイリーンは、愛するセルビーのために娼婦から足を洗ってまともな仕事に就こうとするのですが、いとも簡単に断られてしまいます。しかも、その断られ方に人情が無いんですね。日本の職安でも、もう少し優しいと思うのですが、どうなんでしょう?

 生まれてから死刑に処せられるまで、ほとんど幸せというものを知らずに過ごしたアイリーンが映画の最後で言う台詞、この台詞は見るものの胸に強く訴えるものがあるので、ぜひ自分の耳で聞いてみてください。

・「悲惨な人生。S.セロンの信じられないような熱演
この映画は実話がベースで、悲惨というしかない悲しい女性の短い人生を描いています。モンスターと言われたアイリーンはすでに処刑されています。連続殺人犯としての死刑はやむを得ぬかもしれませんが、映画を見る限り、彼女にとってはNO WAYだったのではないでしょうか。見ていて、とても辛く、ヘビーな映画でした。この映画を事前になにも情報もなく見たら、アイリーン役があのシャーリーズ・セロンとは誰も信じられないでしょう。鬼気迫る熱演です。13キロ体重を増やしたそうですが、だからあのリアリティが出てきた。そう思います。彼女自身、辛い過去を持っていたからこの役を引き受けたのでしょうか。普通の俳優だったら怖気づく、それくらいの役づくりです。幼い頃レイプされ、13歳からの娼婦生活。彼女には心の休まる「家族」がなかった。同性愛のセルビーとの関係を続けるためにアイリーンは犯罪を重ねていくが、アイリーンにとってはじめての家族のような存在だったに違いありません。見ていて、同情をこえたある種の憐れみを感じるとともに、犯罪はモンスターでも彼女自身は若くして、これ以上はないという、悲惨な経験をし、傷つけられた被害者であり、本当は普通の女性だったのではないか、セロンの熱演はそう感じさせてくれます。ヘビーな映画ですが、ずしんとくる力作で、セロンという俳優の力量に驚かされました。

・「フィクショナルとフィクションの狭間で
「罪」という言葉と「犯罪」という言葉の間にあるものは何だろうか。観ていて、そんなことを考えさせられる作品だった。幼少から性的被害に遭い、後にも死ぬ寸前までの暴力を受けた女性。彼女が愛した少女と、(彼女の言葉によれば)「生きる」ために犯した殺人。さまざまな感情や価値観が映画の中では揺らいでいて、単純に評価を下すことはできない。こういう事件の場合の常套句は、「確かに犯人も被害者だが、だからといって罪が許されるわけではない」というものだろうが、この作品を観た後ではそう言うことも憚られてしまう。誰に同情できるか、という問題ではもはやない。この映画では、犯人も、犯人のパートナーも、被害者も、皆一様に深い悪と深い善を持っている。それはおそらく観ている我々も同じだろうし、それを表現できているということは、死を真摯に扱った映画としてあるべきかたちだろう。その点で、この映画は成功している。

・「選択する意志
シャリーズ・セロン演じるアイリーンが唯一心を許せる同性愛の恋人が滞在していた家の家主の女性が、言う台詞がある。売春婦や社会の下層にいる人たちは「選択を常に間違うのだ」という趣旨の台詞だ。この映画から僕が個人的に受け取ったメッセージはこの台詞に集約することが出来る。長編初監督であるパティ・ジェンキンスは見事に「選択を常に間違う人間」もしくは「選択の余地が他にないと思っている人間」の悲哀、悲劇を描ききった。この映画の舞台であるアメリカのフロリダという場所は、一般にはディズニーワールドや、温暖な気候、マイアミやキーウエストなどの存在から、リゾート的なイメージを持たれやすい。しかし、実際は社会の底辺で暮らす人々とお金持ちとの貧富の差が圧倒的に目立つような所だ。主人公であるアイリーンは、その底辺で生きていた。何故、自らが不幸になるような選択をするのか、それはフロリダのような土地柄では、一度堕ちた人間は改心しようとしても中々新たな選択をすることがほぼ不可能に近いからだ。売春婦から足を洗い、堅気で生きて行こうとする主人公を人々は拒否をする。少なくとも拒否と彼女は感じるし、憤りを覚えても彼女にはどうすることも出来ない。そういう社会を説得するだけのスキルもノウハウも彼女は持っていない。そうして、売春婦を心から軽蔑しながら、それでも自らの性的欲求を満たすために彼女を買おうとする男達を彼女は殺していくのだ。映画では彼女の生きて行こうとする圧倒的な意志の力と、彼女の圧倒的な無知によって引き起こされる悲劇が繰り返される。選択するためには、社会とどう折り合っていくのかという「知識」も求められるのだ、という生きていく上で最も重要で基本的なことを考えながら鑑賞した。華やかなショービジネスにいるシャリーズ・セロンが、そういう底辺の人間を演じきるというアクターとしての力量もすごい。いやぁ、考えさせられた映画です。

・「才能をもった多くの映画人が集うと、こんなに優れた作品を作る事ができるという例
 娼婦のリーは人生に嫌気がさして自殺を考えるのだが、稼いだばかりの5ドルを死ぬ前に使ってしまおうとバーへ立ち寄る。そこでセルビーと出会ってもう少し生きてみようという気になるのだが、リーはやがて売春相手の客を殺してしまい…。

 客にレイプされた末に相手を射殺する場面のシャリーズの演技は圧巻。こうした役柄であのシーンをあれほどまでの迫力で演じ切れる女優が日本に果たしているでしょうか。型どおりではない、胃の腑の奥底から激しく一気に突き上げてくるような彼女の感情表現に、見る側も拳をぐっと握りしめながら見つめることを求められる、そんな場面です。

 人を殺した後の彼女の乱れた呼吸音が、私の耳の奥にずっと残っています。人の命を奪ったことに対して戸惑いや激しい怒りをおぼえ、気持ちの整理がつかない彼女の内面が、あの乱れた呼吸音のなかに染み込み、広がっている様を見ました。

 シャリーズに対峙するクリスティーナ・リッチーも見逃せません。「アダムス・ファミリー」や「アイ・ラブ・アリー」などのコメディも見事にこなす彼女ですが、この映画では当初は愛情に飢える弱々しい女として登場しつつも、やがてどこか自分に対して怠惰な女の顔を現し、最後は保身に走る身勝手さを見せるといった具合に、不安定で脆いセルビーの変貌を無理なく演じきっています。

 おそらく見る側は映画の過半まではリーのことをやむにやまれぬ殺人を犯した女としてわずかに心寄せる思いで見るかもしれません。しかし彼女の最後の殺人は、私たちの甘い感傷を見透かしたかのように、心に一気に冷や水を浴びせかけるほど救いのないものです。これほど秀逸な脚本を、長編映画の経験が全くない監督が書き上げたということに驚嘆します。

 才能豊かな人々が大勢集まって一本の映画を作り上げるアメリカ。その「底力」を見せつけられる作品でした。

モンスター 通常版 [DVD] (詳細)

心臓を貫かれて

・「一度読んでおいていいとおすすめできる本
著者はこのノンフィクションの主人公である殺人者の末弟だが、肉親のひいき目なしに書く努力が誠実になされたと思う。

殺人者の本当の姿をこの595ページ(本文)の上下2段組で書ききる丁寧さでたどっていく時、「暴れ者で冷血無比なる殺人者」などという単純な人間はいないのだと知る。物事や人をわかりやすく捉えようとするのは、知性の働きに違いないけれども、本当の知性とは、表層的に物や人を見てわかった気になることではなく、はたしてそうだろうか?と本当の人間をみつめていくことだと自戒させられた。それというのも、この本の中心をなしているのは、恐怖でもスリルでも、おぞましさでも嫌悪でもなく、深くどうしようもない哀しみだったから。

殺人者ゲイリーのはげしい怒りと破壊的な感情は、気質も無いとは言えずとも、深く傷ついた哀しみによるものだったのではないか。愛を求めて得られなかったからとかいう単純な図式化は避けたい。是非ご一読いただきたい。複雑な、いろいろな思いをお持ちになるはずです。

死刑廃止の風潮を打ち破ってアメリカ死刑復活の第1号となった歴史的事件の丁寧な記録でもあります。損はないです、本当に。このボリュームではそうそう読み返せませんが、私は手放さないつもりです。いつか時間がたくさんすぎてから、また読んで何を感じるか、と思っています。

・「目を背けられない何か
酷くむごたらしい描写、目を背けたくなるような事実が次々と描かれるのにもかかわらず、殺人者の弟である著者は酷く理性的だと感じた。いや、理性的というよりも、当事者の一人であるはずの著者が、ここまで感情を押し殺せるのかと驚くような、淡々とした筆致なのだ。

出てくる人物は皆哀しい。それは、例えば恵まれない環境で幼少期を過ごさざる得なかった殺人者、といった同情心から生まれる感情ではなく、人が生きるということの根底に流れる哀しさだ。人が生まれ落ちたときからそれぞれが背負わざる得ない、一種の不幸やどうしようもない哀しさは、ここまで人生を浸食していくものなのかと、読み進めながらも呆然とした。

著者の視点は最後までぶれず、ただ事実をひたすらに積み重ねている。それがなおさらに、とても哀しいのだ。最後に、著者自身の今が描かれる。私はそのときになってようやく、著者自身が今も背負い続けている暗闇を垣間見た気がして、心底ぞっとし涙が溢れた。

単純に、死刑制度問題や、人間の業の深さといったものを描いた本ではない。重層的に重なった人々の人生を通して、読者に目を背けたくても背けられない現実を突きつけてくる。

・「ギルモア家にまつわる長い運命のノンフィクション
この本からの教訓はないかも知れない。自分の悪や暴力とゆう価値観を単純に定義できなくなる。それほど運命が深く絡み合いギルモア一家を巻き込んでゆく。原因や責任とかを考える前に個で対処できる物事を越えてしまっているし、またそれが事実とゆうことで言葉を失ってしまう。 村上春樹さんの翻訳ですが、翻訳本って読みづらいな、とよく思うのです

が、とてもスラスラ読めました。 個人的に村上さんの文章に対しての鋭さみたいなものを信用しているところはありますね。

・「心のかたち
読み始めたとき、文体が回りくどいのと、例えば「地獄」とか言った重苦しい言葉が並べられるのを見て、最後まで読み進めると退屈するのではないかと思いました。そんなふうに殺人事件を語るのは陳腐だと思ったからです。しかし読み終えて感じたのは、重苦しさでした。それは、この書物が人間の心は

一般に思われているほど自由ではないということを、いわば、実証してしまったからだ、ということもあると思います。それと、人間が夢をみたり、病んだり、信仰をもったりするのは、それがそのまま、思考の形とか生き方として必然性を持っているからではないかと、思わせるところが、この本の特質ではないかとも思いました。

・「Rockとの出会い
著者のマイケル・ギルモアはローリング・ストーン誌のライターでした。彼が兄弟の中で唯一まともな人生を送ることができたのは、おそらく末弟であったため、暴力的な父親との関わりが比較的少なかったからなのでしょう。でもRockとの出会いが彼を救ったのではないか、Rockが少なくとも何らかの助けになったのではないか、そんなふうに思ってしまいました。

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ジャンキー 新装版

・「回復不能麻薬常用者の告白
常用者としての15年間のバロウズのセミドキュメンタリー。常用者の視点で麻薬をとりまく世界全てが描かれている。他作品のような難解さは全く無く、非常に読みやすい作品。薬を求めて這いずり回り、禁断症状に苦しむ常用者達。

なんとなく手を出し、いつのまにか中毒患者になってしまった自分に驚く。狡猾な売人、常用者の末路。「麻薬をやめるということは、一つの生き方を放棄することだ」言い、回復治療の失敗を繰り返すたびより強力な麻薬を求めて彷徨う。麻薬で経験するすべてがここにある。薬に少しでも興味がある人なら十分すぎる程楽しめると思います。

著者が「常用者にならなかった場合の自分よりも健康になっていると思う」とのたまう自説には笑えます。

・「回復不能麻薬常用者の告白
常用者としての15年間のバロウズのセミドキュメンタリー。常用者の視点で麻薬をとりまく世界全てが描かれている。他作品のような難解さは全く無く、非常に読みやすい作品。薬を求めて這いずり回り、禁断症状に苦しむ常用者達。

なんとなく手を出し、いつのまにか中毒患者になってしまった自分に驚く。狡猾な売人、常用者の末路。「麻薬をやめるということは、一つの生き方を放棄することだ」言い、回復治療の失敗を繰り返すたびより強力な麻薬を求めて彷徨う。麻薬で経験するすべてがここにある。薬に少しでも興味がある人なら十分すぎる程楽しめると思います。

著者が「常用者にならなかった場合の自分よりも健康になっていると思う」とのたまう自説には笑えます。

・「ジャンキー(麻薬中毒)という生き方
アメリカのãƒ'ッãƒ"ームーãƒ-メントは、ベトナム反戦運動ともリンクã-てä¸-界的な盛り上がりも見せ、人類史上最大の若è€...による反ä½"制運動となっていた。そのå½"時の人の話ã‚'聞くと「ä¸-界ã‚'変えるã"とが本å½"にできた」という。「ä¸-界は変えられない」事ã‚'知っている現在から見ればそれがいかに大きな運動だったかわかる。

そã‚"なãƒ'ッãƒ"ーæ-‡åŒ-の隆盛にå...ˆé§†ã'るã"と10å¹'、後に「裸のランチ」などで一躍有名になるウィリアム・バロウズの処女作がã"の本だ。1953å¹'に発表されている。å†...容は、麻è-¬ä¸­æ¯'でも最も重いヘロイン中æ¯'とはどã‚"なものか? が書かれている。一人称による淡ã€...ã-た描写がç"Ÿã€...ã-くもæ-°é®®ã§ã€é¢ç™½ã‹ã£ãŸã€‚

バロウズは後のãƒ"ートæ-‡å­¦ã®ç¥žæ§˜çš„存在になるのだが、ã"ã"にはæ°-å-った表現などå°'ã!ªã!!ã€å®Ÿä½"é¨"の重みと何物にも遠æ...®ã-ないå'Šç™½åž‹ã®è¡¨ç¾ãŒã€ã¾ã‚‹ã§æ˜ ç"»ã‚'見ているかのようにすーっと頭にå...¥ã£ã¦ãã¦æ°-持ちがいい。

麻è-¬ä¸­æ¯'、とくにヘロイン中æ¯'ã‚'ジャンキーというのだが、ジャンキーはé‡'銭感覚が麻ç-ºã-ていて、時é-"の使いæ-¹ã‚‚いきあたりばったりで、

é‡'と計ç"»çš„な時é-"é...åˆ†ã«æ"¯é...ã•れるæ-¥å¸¸ã‹ã‚‰è¦‹ãŸã‚‰ã€æ-°é®®ã§ã€æ†§ã‚Œã•えも覚えた。

本書はæ-¥æœ¬ã§ã¯1969å¹'に初版本が発売禁止になったいきさつがある。いまのなã‚"でもありの麻è-¬æœ¬ã«æ¯"べたら、å...¨ç„¶ä¸Žãˆã‚‹å½±éŸ¿ã¯ãªã„のだが・・・

本書は、麻è-¬ã®è§£èª¬ã¨ã„う陳è...ãªã‚‚のではなく、æ-‡å­¦ã¨ã-て非常に優れていて、

ã"ã‚"なç"Ÿãæ-¹ã‚‚あるã‚"だ! という自信がわいてくるような発見があったと言っておã"う。

・「ドラッグを、その無産性に
バロウズの処女作。本作は直線的に麻薬常習者というものと向き合った超現実体験となっている。バロウズがあらゆるドラッグを体験し、麻薬、幻覚剤、覚醒剤に見切りをつけたことはとても重要な選択であり、意味があった。ただし、マリワナだけはドラッグの一部としてみなしていないのも重要。本書では、50年代60年代のビート世代やサイケデリック・ムーヴメントに与えたバロウズという人物の、最も堕落に満ちたどん底の時期にあたる描写がなされている。 ボードレールやド・クインシーの現代版で、それがより具体的な描写になったといった感じ。また、ところどころのユーモアも、バロウズの特徴でもある。

・「リーさん、なぜあなたは麻薬を必要とするのですか?
1950年代のバロウズ氏の実体験をもとにしたセミドキュメンタリー。自らを客観視し、冷徹に麻薬中毒者の周辺を描いていく。とはいっても、ユーモアにあふれ読みやすく、エンターテーメントとしても楽しめる。後に出版された「クィーア」(邦訳はペヨトル工房)はこの続編ともいえる内容で、両方とも私は好きです。「麻薬常習者になるのは、それ以外なにも有力な行動目的がないからだ。麻薬は競争相手がないことによって勝利を収める。」 本書、はしがきより。

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HEAVIER THAN HEAVEN―カート・コバーン・バイオグラフィー

・「カートコバーンに興味がある方へ
カートコバーンに興味のある方は充分に楽しめるでしょう。なんてったって500P近くもカートの人生を追っている本なのですから。しかしながら、親族や友人がコメントで登場しかなり’詳細’に書かれている部分もあるため「本当かよ?」と思う所もあります。あと希望としては、カートが絵を多く描いていた事や人形などを使ったアート作品をたくさん造っていたというような記載が結構あったので、原画や実物の写真を載せてくれれば、もっと満足でした。

でもやっぱり、文頭にも書きましたが500Pにもわたってカートの誕生から死までをかなり詳細に追っている本なので全てが本当かはわかりませんが、カートに興味のある人にとっては充分に楽しめる内容だと思います。

・「もっともクオリティが高いカートの本
今まで多くのカート・コバーン、ニルヴァーナの書籍が発売されてきたがこの本ほど正直に正確にカート・コバーンと向き合った本はなかっただろう。

今までの本の中にはニルヴァーナの関係者の意思とは全く関係ない形で金儲けのためだけに色々な雑誌から記事を切り貼りしただけの物も多かった。そんな状況の中であのコートニー・ラブ(カートの婦人)が作成に協力したというだけで著者の信頼度の高さが窺える。

内容はというと今までにあった様なただ雑誌のダイジェスト的な内容ではなくきちんと関係者に何回も取材をしたりコートニーの許可を得てカートの遺品などから得た情報を元に構成されているとあってとても生々しい。そこがまたカートの人生の激しさを物語っている。中には暴露的な内容もあって最後までルーティンになることなく読みきれる。

もしカートの人生に興味を持った人がいるのならまずはこの本を手にして欲しい。2002年に音源のベスト盤が発売されたがこの本は書籍のベスト版なのだから。

・「とても優れたノンフィクションBook
圧倒的な情報収集と情熱に基づいて、淡々と語られた一冊。

純粋に一冊のノンフィクションBookとして見て、とてもクウォリティーが高く、優れた本だと思います。

カート・コバーンというとても稀有な人間に、チャールズ・R・クロスというこれまた稀有でとても優れた作家が交わって出来た、奇跡的な感じすらする一冊。

個人的にはこの本があって初めて、コバーン作品が本当に完成したんじゃないかと思えるくらいに強い本です。

この本を読んだ後で初めてNirvanaの音楽に耳を傾けてみる、という入り口も全然アリだと思います。

・「読みやすいが・・・
期待していた程ではなかった。というのが正直な感想です。ほとんど他のバイオ本と内容が大して変わらないのではないでしょうか。バイオ本なのだから当然なのですが、読み物的な面白さをあまり感じませんでした。

肝心のカート・コバーン自身の日記は必見であると思います。この本の最大のポイントである事は確かです(当然か)。親戚などに送った手紙や、創作に関する走り書きメモの内容まで公開しており、それらを軸にかなり突っ込んだ部分もありました。人間、カート・コバーン自身を浮き彫りにする事には成功しているのではないかと思います。

「へ~、そうだったんだ」という正当な楽しみ方をお薦めします。

・「カリスマの素顔に迫る一冊・・・、
だがしかし!

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うたかたの日々

・「原作と岡崎京子の凄さ。
ボリス・ヴィアンの小説をほぼ忠実に要約して表現しています。ただし、ただ原作をなぞっているわけではなく、随所に岡崎京子特有の「あっ」と思わせる表現がいくつも見ることができます。平和な日常ではポップで軽快に、破滅に向かう過程では苦悩から絶望に満ちていく表現へと・・・。原作とは違う哀しさをしっかりと創り上げています。

また、ちょっとしたところでアレンジしているところもあり、それもしっかりと原作にフィットさせています。岡崎京子の力量だからこそという部分です。

もしこの作品に興味を持ったの方がいらっしゃるのであれば、ぜひ合わせて原作を読んでいただきたし、原作を読んだ方もこの作品を読んでいただきたいと思います。原作の凄さと、岡崎京子の凄さを再認識することが!できると思います。

・「リスペクトしている心が伝わってきます。
待ち焦がれていた単行本化で改めて目を通しました。

同時に「ヘルタースケルター」も読んだのでよく分かったのですが、細部まですごく丁寧に描かれていて、人の作った物語をあえて漫画にすることへのこだわりとか礼儀とかを感じました。

原作を読むほうが先だったのですが、読む人それぞれで違う印象を持たせるような、ヴィジュアル化するのが難しい物語を美しく、岡崎京子にしか出来ない粋な雰囲気で変換しているのには感激しました。

この作品に対して特別な気持ちがあるのが伝わってきます。

内容はやはり原作には敵いません。あの文体で味わってこその「もっとも悲痛な恋愛小説」だと思います。

だけど「肺から睡蓮の花が咲く奇病」という美しくて破滅的な病気を漫画で再現してくれて、その喜びは雑誌掲載時から改めて読んだ今に至るまで変わりません。

装丁も美しい。宝物になりそうです。

…帯は要りませんが。岡崎京子の台詞はどうあれ、中身が台無しになるようなくだらない文章で、知らない人は違う印象を受けるかも。

・「キュートで、やるせない
 寡聞にして、単行本がでてしばらくするまで、岡崎京子がボリス・ヴァインの「うたかたの日々」をマンガ化しているとは知らなかった。ご多分にもれず、わたしの周りにも、岡崎京子のファンというか信者たちは相当数いて、彼らから流れてくる風評も芳しいものばかり。原作の小説は相当に好きなさくひんだったが、あのシュールな作品をどのようにマンガ化/視覚化するのか、という興味もあって、手を出してみた。

 なにぶん、原作を読んだのが相当に昔のことなので、細部のかなりの部分が忘却の彼方に飛び去っているけど、記憶している部分に限っていえば、当初想像していた以上に原作に忠実だった。コランは坊っちゃんだし、クロエはクールビューティだし、シックはパルトル・ヲタクで、ニコラは格好いい。ネズミがいい味だしてたけど、これは原作にあったかなぁ? 記憶にない。けど、ラストの「十一人の盲目の娘たち」のくだりの文章は覚えているから、ひょっとしたら原作にも居たのかもしれない。

 さすがにスケートで体がバラバラになるようなところは省略されていたけど、クロエの病状が進むにつれてコランの屋敷がどんどん荒んでいくような視覚的に効果のある部分はしっかりと押さえているし、なにより原作読んだときの痛切な、やるせない感じを追体験出来たのは幸いだった。

・「幻の名作がやっと今。
連載終了した時から単行本化を待っていました。今日やっと手にできました。「CUTiE」で1994年から一年間連載されていたものだから…うわあすごく昔だ。ボリス・ヴィアンの名作、「うたかたの日々」の岡崎京子版です。

肺に睡蓮が取り憑くという奇病に冒された少女と、その夫と、ふたりをとりまく若者たちのお話。絵も、雰囲気も、すごく素敵で、もう。

あまりに昔のこと故、記憶もあいまいなのですが、かなり加筆、修正、再構成されているみたいです。当時読んだものよりもっと悲しく、切なく仕上がっているような気がします。原作もおすすめですので、これを読んで気に入ったら読んでみて下さい。原作をすでに読まれている方にもぜひ読んでみてほしいです。そして、岡崎さんの体の回復をお祈りしています。

・「岡崎京子的 !
岡崎京子が描くべき漫画だと思いました.お金と愛とポップアートの世界ですもん.

ストーリーは全く原作に忠実だけれど、ピアノカクテルがターンテーブルになっていたり....おかげで作品を50年程若返せることに成功していて、この先また50年間読める作品になっているんじゃないかと思います.

うたかたの日々 (詳細)

メゾン・ド・ヒミコ 特別版 (初回限定生産) [DVD]

・「壁の意味するもの・・・。
『犬童一心』監督の『メゾン・ド・ヒミコ』。 前作『ジョゼと虎と魚たち』が非常に良かったので、 昨年末にDVDで観て、すっかり気に入ってしまいました。

・「あなたが好きよ。。
映画館で観たときに感情に身を任せて泣くことが出来なかったので、DVDを購入いたしました。

色んな評がありますが、私は好きな映画です。

「ゲイの老人ホーム」ってところにこだわらずに観て欲しいですね。誰でも人生の最期の時を理解しあえるもの同士、良い環境の中で過ごしたい。そしてここは今まで世間の風当たりを強く受けた者たちが肩を寄せ合って仲良く暮らしている彼らの最期の楽園。

オダギリ演じるハルヒコの台詞は心に響きました。愛する人が少しづつ死んでいくのを看るつらさ、苦しさ。愛する人が死んだ後も生きていかなくてはならない不条理としか言いようの無いむごさ。一人で背負うに耐え切れないから巻き添えに彼の娘を呼び寄せたのでしょうね。しかし、その娘は今自分のおかれている状況はこの父のせいだと怨みこそすれ愛していない。目の当たりにした現実が極限だったから許しや理解を超えて触れ合う親子。

・・・後は本編でご覧下さい。

観終わって、優しくなろうと思いました。いろんな人に優しくなろう、と。理解なんてできるの待ってたら手遅れになっちゃうから。

・「特典DISCがお勧めです。
たくさんのパズルのピースをちりばめたような作品だと感じました。

つかみ所がないようで、それでいてどこか芯が通っている、そんな感じです。

きっと観た人の数だけ解釈の仕方があるんじゃないでしょうか。

オダギリさんの芝居は初見でしたが、そこに立っているだけで画になる人ですね。

雰囲気が違う。

柴咲さんは好演でした。

物語の前半から後半にかけて柴咲さん演じるサオリは明らかに変化していく様は見事でした。

一番印象に残ったのがダンスホール(?)でのシーンです。

それまでは毛嫌いしていたゲイの人の為に柴咲さんが本気で怒るシーンはグッとくるものがありました。

それにオダギリさんと柴咲さんの息のあったコミカルな踊りは必見です(笑)

特典DISCは主演二人のインタビューを含め裏話も充実しているのでお勧めです!

・「犬童一心監督、渡辺あやコンビまたしても傑作を
一見スキャンダラスな題材、老後問題、死というシリアスな問題も含めながら、独特のエロスと温もり、そして、哀しいけど『がんばろう』という気持ちにさせてくれる。

ゲイとして家族を捨てた男、その若き愛人、そして、父への憎悪を消せない娘。この三者が、相手に対する反発と、その裏に潜む孤独を共有しながら、「いつか、分かり合いたい」と試行錯誤する...。それぞれの登場人物が自分なりに一生懸命に生きている。そうした人々に対する優しいまなざしが感じられます。

オダギリジョーは、ほんと美しい。男の私(ゲイではない)でも惚れてしまえる魅力がある。彼だからこそ、映画として成立している部分も少なくない。柴咲コウは、彼女の性格ブス(?)をそのまま活かし、色気を消す為にノーメイクどころか、ソバカスを付けたりしてブスメイクで、出演している。その仏頂面がたまりません。(笑) そういう役作りが功を奏していて、魔法少女の振り付けを披露する場面やクラブでハジける彼女が、実にイイ。(笑)

・「可笑しいけど哀しい、切ないけど心優しい傑作。
 素敵な映画である。 可笑しいけど、哀しい。切ないけど、心優しい、独特なムード漂う傑作だ。 社会の規範から逸脱した同性愛者たちが集うホーム「メゾン・ド・ヒミコ」。南欧風の洋館にシャンソンが流れ、洒落モノが溢れるその空間で、感受性強く、自らの“性”に正直な老人たちが、片寄せあって生きるその姿は、滑稽ながらも胸を打つ。  ヒミコを愛し、献身的に尽くすオダギリ・ジョーの凛々しさと、沙織を愛撫する際のそのぎこちなさから来るナイーブさ。 田中眠の、全編ベットに横たわっているか、ソファに座っているだけにも拘らず、その強靭な存在感。 そして、自らの性的嗜好で自分たちを捨てた父を嫌悪し、老人たちに微妙な感情を抱く、柴咲コウの物帳面とジレンマ感。 どれも素晴らしい。 ダンス・ホールでの、“山崎”が昔の部下たちに卑下された後、「また逢う日まで」と共に、異性、同姓問わず、長々と続けられるダンス・シーンは感動的だ。 犬童一心、名監督になったなぁ。  

メゾン・ド・ヒミコ 特別版 (初回限定生産) [DVD] (詳細)
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