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▼最近読んだ本【Novels】:セレクト商品

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (詳細)
海堂 尊(著)

「デビュー作とは思えない圧倒的な筆力」「強烈なインパクトのある作品」「一見軟らかいが、内容は硬派」「文句なしのこのミス大賞。読めば分かる。」「とにかく面白い」


チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (詳細)
海堂 尊(著)

「楽しみなシリーズの誕生」「説得力ある構成」「『パラサイト・イブ』以来の衝撃」「現場のノウハウが見事に本作では炸裂している」「ロジカルモンスターと万年講師」


狼と香辛料〈8〉対立の町(上) (電撃文庫)狼と香辛料〈8〉対立の町(上) (電撃文庫) (詳細)
支倉 凍砂(著), 文倉 十(イラスト)

「原点回帰」「GJ!」「久しぶりにハラハラした!」「これはもうただのラノベでは無い」「ネタばれはあかんから」


予知夢 (文春文庫)予知夢 (文春文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)

「東野作品の真骨頂」「超常現象のようなことも科学的に解決!!湯川教授の推理の冴えを堪能しました!」「読み出すと止まらない」「読みやすい短編集」「ドラマ『ガリレオ』シリーズを観よう!」


私の奴隷になりなさい (角川文庫)私の奴隷になりなさい (角川文庫) (詳細)
サタミ シュウ(著)

「引き込まれました」「マゾの生態に関しては納得できる」「通勤電車で一気読みしました。」「ただのアダルト小説には無いしっかりとしたテーマがある。」「売り方がうまいですね。」


太陽の塔 (新潮文庫)太陽の塔 (新潮文庫) (詳細)
森見 登美彦(著)

「男汁たっぷりの部屋で語り合った経験のある人に贈りたい」「疲れない(飽きない)程度に分割して読むと、おもしろい部分が見える、かもしれないです。」「痛快」「これぞ童貞文学(?)の決定版!!」「紛れもない裏青春小説の傑作」


殺意・鬼哭 (双葉文庫)殺意・鬼哭 (双葉文庫) (詳細)
乃南 アサ(著)

「二つに分かれた男の人生」「ハッキリ言って面白い(笑)」「乃南アサの代表作」「なにがどうなるか分からないということ」「殺した者と殺された者の恐るべき告白」


探偵ガリレオ (文春文庫)探偵ガリレオ (文春文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)

「ドラマより面白い!」「何となく得した気分になれる本」「実に面白い」「理系東野」「面白いです。」


償い (幻冬舎文庫)償い (幻冬舎文庫) (詳細)
矢口 敦子(著)

「考えさせられる一冊。」「帯広告の評価を超えた力作」「逝った者達の重さを抱えてよろめきながらも最後まで歩きぬく事」「帯につられて買ってみた」「作者の真摯な姿勢が光る」


▼クチコミ情報

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

・「デビュー作とは思えない圧倒的な筆力
海堂尊のデビュー作にして第四回『このミステリーがすごい!』大賞を全会一致かつ数分で決定となった作品。作者はオートプシー・イメージング Autopsy imaging(Ai=死亡時画像(病理)診断)の重要性と医療制度への導入を訴え続けている現役医で、外科医を経て病理専門医となった人だ。その現場のノウハウが見事に本作では炸裂している。

文体が非常に軽く読みやすい。まさに現代向きの文体。それでいてストーリーの骨格はデビュー作とは思えないほど精緻だ。そして最も大切なキャラクタの作り込みが実に良くできている。おそらく多くの人が『白鳥』というキャラクタの魅力に魅せられている。どこか京極夏彦の榎木津と似た魅力で読むものを圧倒する。

既に映像化されそれを記念しての文庫化で、映画では『田口』は女性になっている。8月のDVD化が楽しみだ。

・「強烈なインパクトのある作品
強烈なインパクトのある作品で、一気に読んでしました。 キャラクター、ストーリー、そして、そこにある緊迫感、リアリティと、どれを取っても最上級の作品でした。おまけに、現代医療の抱えている闇の部分をも表面化してゆくというテーマの面でも素晴らしい作品でした。 この本を読む上で先ず印象に残るのが、探偵役の白鳥圭輔である。一見常識はずれな言動を見せながら、“ロジック・モンスター”ぶりを発揮して、緻密な推理を組み立てて行きます。その相棒であるワトソン役の田口公平との凸凹コンビの組み合わせも魅力的です。 内容的にも、度重なる術中死が事故なのか、故意なのかという、その真実を求めて隠されたベールを一枚一枚剥がして行く手際のよさが、読み手を一層虜にしてゆきます。「手術室」という「密室」に近い状況の中で起こる「死」の真実は、読み進むものの興奮を誘います。 今年読んだミステリーの最高傑作の一つです。

・「一見軟らかいが、内容は硬派
文章は軟らかいが、内容は新本格派真っ青。非常に面白く、ぐいぐいと小説世界に引き込まれていく。電車とかの空いた時間に読んでいるが、すぐに小説の世界に入っていける本ということでは、バッテリー以来。医療の専門用語なんかも気にせず読める。これらは、物語に余分なところはスパッと切り取っているからだろう。これから下巻だが、どうなるか楽しみである。今のところ、褒め言葉しか浮かんでこない。

・「文句なしのこのミス大賞。読めば分かる。
ベストセラーになるのもうなずける、最高のエンターテインメント小説です。ミステリーとしての質はイマイチですが、それを補って余りうる展開の面白さと、魅力的な登場人物たちにやられました。田口&白鳥コンビはお見事です。

こういうタイプのミステリ作家は、きっとこれまでにはいませんでしたよね。本格派でもなく社会派でもなく、また重すぎず軽すぎず、なんともいえない絶妙な立ち位置をキープ。そして圧倒的なリーダビリティで、読者を飽きさせることなく一気に最後まで読み切らせる文章力。久しぶりの天才肌の新人だと思います。#石田衣良がミステリを書くとこんな感じになるのかなあ。

あまりにサクサク読めちゃうので、ちょっとバカっぽい小説に思えてしまうところはご愛敬。誰が読んでも確実に楽しめる小説なので、万人にオススメです。逆に言うと、コアなファンが付くような強烈な小説にはなり得ない感じですかねえ。。

それにしても、なんでこの薄さで上下巻2冊組にするかな。正直そこだけが不満です。

・「とにかく面白い
映画が面白いと浜村淳が絶賛していたので、新幹線のお供に新大阪で購入。あまりに面白くて寝るのも忘れて、仕事が終わったら速く読みたいと思ってしまった。

医学関連の小説は読むと後味が悪い(医者が嫌いになる)ので積極的ではありませんでしたが、帯のセールストークや平積みになってるので外れはないだろうという軽い気持ちだった。

内容は他の方が書かれているので書きませんが、とにかく面白いの一言です。題材は病院や医者ですが不快感もなく万人に受け入れられる作品だと思います。

ひさしぶりに小説の醍醐味を充分堪能させてもらいました。作者はこれが初めての小説でおまけに本業は医者と聞いてあまりの才能にびっくりしました。

他の作品も早速読んでみようと思います。久しぶりに完全にノックアウトされた素晴らしい作品でした。

文句なく星五つです

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (詳細)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

・「楽しみなシリーズの誕生
 下巻も読みました。 前半の上巻も面白かったけれど、後半の下巻もかなり面白かったです。大満足。 食わず嫌いで読んでいなかったのを後悔する面白いエンターティナメント作品でした。前作では、病院側から愁訴外来の田口医師が探偵役として全員の聞き取り調査をしていましたが、目の前で手術中に患者が死亡、謎は解明できずという事態を受けやむなくギブアップ。厚生労働省からロジカルモンスターこと白鳥技官が派遣されてきます。 この白鳥技官という人物がキャリア組の公務員というイメージにまったくそぐわない、傍若無人・はた迷惑・トラブルメーカーといった感じの一見どうしようもない人物なのですが、そこはそれ、物語の牽引役として登場するわけですから、実はずば抜けた知性と行動力の持ち主で、バチスタ・チームの術中死の謎を明晰にズバズバッと快刀乱麻を断つがごとくに解決していきます。ただ、さきほどに書いたような人物ですので、尊敬と威厳を滲ませつつというよりは、助手に駆り出された田口医師も辟易するような捜査術でそれを行う訳ですが、それが破天荒で面白かったです。 医学ミステリというと堅苦しいイメージがつきものですが、そういう印象をばっさりと切り捨ててくれる一冊でした。続編も多々出ているようなので、文庫化を楽しみに待ちたい楽しみなシリーズとなりました。映画のキャストなんて吹き消すほどの出来でした。

・「説得力ある構成
上巻ではわからぬ謎ときが、下巻で、徐々に、絞りこまれ、明かされていく。明かされた内容は、確かに上巻で、伏線がはられ、そう解釈できるヒントがちりばめられている。説得力のある構成だ。

・「『パラサイト・イブ』以来の衝撃
緊迫した展開で終了した上巻のスピード感は白鳥の登場によって更に加速度を増す。チーム・バチスタの面々は白鳥の力づくともいえるヒアリングによって有無を言わさず容疑者となり、心の奥底をえぐられる。心の外科手術とはよくいったもので、白鳥のメスはチームのほころびを次々に明るみにしていく。

現役医師だからこそ描ける医療の実態、そして新たな技術。医者だって一人の人間でしかない、ということをこれでもかというくらい見せつけられる。桐生ブラザーズの苦悩が本策の山場であろう。その後の真犯人確立までの盛り上がりは白鳥の存在が薄い分、長いエピローグの感じさえする。しかし、それはマイナス評価ではない。読み手の気持ちをクールダウンさせてくれている気さえする。

文句なしに面白い。田口&白鳥コンビの探偵劇はすでに続編が刊行中。しばらくは海堂作品にはまってみるのも悪くない。

・「現場のノウハウが見事に本作では炸裂している
海堂尊のデビュー作にして第四回『このミステリーがすごい!』大賞を全会一致かつ数分で決定となった作品。作者はオートプシー・イメージング Autopsy imaging(Ai=死亡時画像(病理)診断)の重要性と医療制度への導入を訴え続けている現役医で、外科医を経て病理専門医となった人だ。その現場のノウハウが見事に本作では炸裂している。

文体が非常に軽く読みやすい。まさに現代向きの文体。それでいてストーリーの骨格はデビュー作とは思えないほど精緻だ。そして最も大切なキャラクタの作り込みが実に良くできている。おそらく多くの人が『白鳥』というキャラクタの魅力に魅せられている。どこか京極夏彦の榎木津と似た魅力で読むものを圧倒する。

既に映像化されそれを記念しての文庫化で、映画では『田口』は女性になっている。8月のDVD化が楽しみだ。

・「ロジカルモンスターと万年講師
『四日間の奇蹟』を読んでかなりがっかりさせられて以来、<このミス大賞>作品に手を伸ばすことはなかったが、この作品の完成度は別格だ。現役医師でもある海堂尊によって描かれる大学病院医局の現場は生々しく、慣れない医学専門用語の意味を理解しないまま俳優が発している『医龍』なんかよりも、めちゃくちゃリアルであることは間違いない。

そして、特筆すべきは<ロジカル・モンスター>白鳥圭輔の笑劇度だ。このキャラクターの強烈な存在感はあの<伊良部医師>にも匹敵する。上巻はその白鳥とコンビを組む田口公平のバチスタ手術中死をめぐる受動的な聴取調査が中心で、白鳥はまだ登場してこない。このアクの強いキャラの登場をわざわざ下巻までとっておいた作家の狙いは、本書の中で見事に成功している。静寂の壁をぶち破るような<火喰い鳥>の出現は、ハニカミ王子のドライバーショットなみのインパクトがある。

イリーガルでファイな白鳥も田口も、組織からハミダシたいわばオチこぼれだ。そのオチこぼれコンビがこり固まった旧態依然とした組織(本書の場合は医療チームだが)にメスをいれていく図式は、ある意味横山秀夫の小説や『踊る大捜査線』とも共通している。最近のヒット作の中に、こうした<組織に対する反抗>が描かれるのは、日本人(特に若い人)の中に白鳥や田口と同じ不平不満が渦巻いているからだろう。おかしくなった組織の膿を切除するのは、やはり組織の外にいる人間にしかできないのかもしれない。

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (詳細)

狼と香辛料〈8〉対立の町(上) (電撃文庫)

・「原点回帰
雰囲気でいえば1巻や2巻に近いです。ロレンスが周りからの商売の大きな波にのまれてゆきます。

初めて読んだ時、商売とか全然わかんないので何度も何度も読み返しながら少しずつ読んでいった頃を思い出しました。

ホロとロレンスのやりとりも健在ですし、二人のいちゃつきよりも商売の緊迫感を味わいたかった私としてはコルがいても十分満足してます。唯一の難点は上下巻の上巻ということ。続きが気になる終わり方なので、我慢できない人は下巻まで待った方がよいかと思います。まあ、その難点も面白い本ならではの難点なのですが。

・「GJ!
コルの参加によってホロとロレンスのいちゃいちゃは若干減りましたが、このところご無沙汰だった商売関係の話が盛り上がってます。ほとんどなし崩し的にかかわる心算なんてなかったはずの大事に巻き込まれてしまったロレンスはどうなる?! という緊迫感。エーブの意外な一面や新キャラの凄みなど見所も多いです。

・「久しぶりにハラハラした!
今回の話は1、2巻に近い雰囲気でした。商売の話が結構でてきて難しかったけど、すごいおもしろかった。早く続きが読みたいなぁ

・「これはもうただのラノベでは無い
8巻・・・これはもうライトノベルというより大河小説です。最後まで読んで、あまりの怖さにロレンスと同じように鳥肌が立ちました。何が怖いかというとネタバレになるので書けませんが、エーブという一人の商人の恐ろしさです。7巻の短編でほのぼのしていたところだったので余計にえもいわれぬ恐怖を感じました。

・「ネタばれはあかんから
めっちゃ面白いです。予測しきれない次から次へと進むストーリーけれどよくよく考えれば今まで読んできた内容からホロの発する言葉の意味がなんとなしに見えてきます

なんというか読んでみてください説明できるほど頭よくないんで^^;

狼と香辛料〈8〉対立の町(上) (電撃文庫) (詳細)

予知夢 (文春文庫)

・「東野作品の真骨頂
数々の難事件を物理学者の湯川が解決していきます。 東野さんの作品はやはりこのようなミステリーものが一番です。 ついつい物語の中に引き込まれていきます。 このようなトリックを次々と考え付く東野さんはすごいです。

・「超常現象のようなことも科学的に解決!!湯川教授の推理の冴えを堪能しました!
ガリレオシリーズの第2弾短編集です。

不思議さが増した、オカルトめいた事件が起こります。草薙刑事も頭を悩ませたのでしょう、物理学教授湯川のもとに飛んでいきます。

それを文系人間にも分かるように、時に実験しながら解明してくれる時の爽快感はたまりません。

前作よりも登場人物たちの内面が描かれ、そちらのほうが好きな方(私もそうです)も楽しめるかと思います。

ある時期からぐらぐらゆれるようになった家の事件は、とても謎めいていて、真相はかなりどろどろしていて、いい雰囲気でした。ふたを開けたら真相は単純なのですが、解明されるまで落ちが分からないのが本当に巧妙。(単に私の勘が鈍いのかもしれませんが)

どの短編も非常に面白いのに、読む時のストレスが少ない秀作だと思います。

・「読み出すと止まらない
警察が解けないオカルト的な事件でも、ガリレオこと湯川助教授にかかれば科学的に立証されてしまう。メインの主人公は草薙刑事(殺人課)だと思うのですが、湯川の前では無知なイメージがついてしまう。これは探偵物の刑事の悲しい宿命か。それでも草薙は不可解な難事件を解決すべく、理工学部物理学科第十三研究室のドアを開ける。今回も事件には予知夢や幽霊といったオカルト的な出来事が起こっている。短編なだけに少し読み進めれば犯人が誰かわかってしまうが、内容は短編ミステリとしては面白いと思う。読み出せば一気に読めてしまうが、一気に読めるのは面白い証拠なのでは?ガリレオシリーズの続編は長編ミステリなので、そちらも読みたくなった。長編で草薙と湯川の活躍が楽しみです。

・「読みやすい短編集
TVドラマのDVDを見てから原作を読むことにしました。こちらは、原作の2冊目になりますが、TVドラマはこの1冊目と2冊目の全10話を元に作られています。

順番が違うのでまずは対比をしておきましょう。「予知夢」→TVドラマ1章 霊視る→8章2章 夢想る→6章3章 騒霊ぐ→3章4章 絞殺る→5章5章 予知る→7章

TVドラマを見た方へのレビューのつもりで書きます。前作も同じ感想でしたが、そもそもドラマとは湯川の事件への取り組み姿勢が違います。学友だった草薙刑事には協力的に活躍します。短編ということもあり、無駄な時間がないため、トリックはわりと短時間で解かれることが多くなります。原作だけでは湯川の人物像をきちっと捉えることは難しいでしょう。かと言って、ドラマとは全然違う雰囲気があります。純粋にトリックを楽しむという読み方が良いのだと思いますが、ドラマと種明かしは同じなので、TVドラマを見た人にはその楽しみが半減します。ただし、人物関係は多少違ったり、動機も変わっていたり、犯人が違っていたりしますので、そういう発見をして楽しめます。

1作目よりも若干薄くなっていますが、こちらの方が読みやすく感じられました。少々オカルトちっくなネタになっていますが、何故かそういう事件になると草薙は湯川を訪れます。最後には湯川の影響で、オカルトを科学で解明できるというような発言に、湯川も驚かされています。不思議に思える現象、偶然に思える現象も、それが実は必然的なものだと考えれば、そこに人の意志があり、事件の裏があるということです。小さな疑問から一気に推理を広げていく様が、湯川の本領という感じで面白いです。

・「ドラマ『ガリレオ』シリーズを観よう!
この書と、前作『探偵ガリレオ』を、徹底解体し、愉快なドラマ『ガリレオ』が誕生した。草薙警部の代わりに、可愛い柴崎コウが新米女性刑事として、福山雅治演じる湯川学と組んで難事件に取り組んでいく。快適なテンポと内容の分かり易さは、この小説を凌駕している。ドラマ『ガリレオ』を観た者としては、ドラマのために書かれた小説と思ってしまう。ドラマと小説を比較するのは、まことに贅沢な遊びである。手抜き無く、思いっきりふくらませたドラマ『ガリレオ』をご覧になることをお薦めする。本当に面白いのだから。福山と柴崎の魅力が最高に引き出されていることを保証する。

予知夢 (文春文庫) (詳細)

私の奴隷になりなさい (角川文庫)

・「引き込まれました
エロ小説の存在意義が「抜く」だとすれば、これは実用性の低いエロ小説だ。性をめぐる思考実験というか、こんな世界があってこんな快感やこんな絶頂もあるのだよ、と、ウブな読者を教育する意図で書いてる感じで、ウザイと言えばウザイが、ウブな私は感動して読みました。倒叙法と言うのか、先に意味不明の奇妙な経験が描かれ、一段落したところで物語は時間軸をさかのぼって種明かし、というのは小説によくある構成だが、それをビデオテープとメールのログという仕掛けを介して主人公が辿るというアイデアが鮮やかで、素晴らしい(それくらいありふれたアイデアだろ、と言われたらごめんなさい)。性描写に「加奈の秘唇はしとどに濡れ」みたいなエロ小説の定型比喩が全く出てこないせいか、全体がストイックで乾いた印象で、そこもいい(特に、たぶん女性も抵抗なく読める)と思うが、気取っててダメという人も多いのかも。後半は蛇足みたいで、説教くさい演説もあるが、演説が完全に一箇所にまとまっているため読み飛ばし可能なのがまた親切でいい。個人的には前半だけで充分に4つ星。これだけよくできてるのにみなさんの評価が意外に低いことに驚いたのでひとつおまけして5つ星。

・「マゾの生態に関しては納得できる
 直木賞作家の書いた官能小説であるらしい。さて、筆者は誰なのだろう。

 細かいところで突っ込みどころはある。例えば、主の行動は、女奴隷と主人公の人間関係を転がすためのご都合主義を感じてしまう。特に最後の退場の仕方に不自然さを感じる。

 ただ、一般の官能小説には無いリアリティも感じる。

 マゾは、誰に対してもマゾなのではない。マゾは、自分が主と認めた人間の前でだけマゾになれる。それは、現実のSMを体験した人間なら誰でも知っている事実だ。だが、一般の官能小説では、読者の妄想を満足させる都合上、その点は誤魔化して書かれる。

 この作品では逆に、そこを強調して書かれている。その意味で、この作品は官能小説のタブーに挑んだ小説だと言えないこともない。

・「通勤電車で一気読みしました。
20代半ばの主人公(男性)が、転職初日に27歳の先輩女性社員にアプローチ。そこから「恋愛」とはとても呼べないストーリーが展開されていく。

・「ただのアダルト小説には無いしっかりとしたテーマがある。
タイトルに惹かれて購入したが、なるほど楽しめた。こういったシチュエーションは誰しも心のどこかで誘惑にかられぬことはあるまい。それ故に、追認行為としてのSMが耳目を引きつけ、実際のテーゼとして描き出されるのは小さな世界→「王国」を形作るSMを通した隷属と言う名の相互依存関係の成り立ちだ。隷従するという行為の分解を描き出した秀作だと僕は思う。が、やはり一般的視点から眺めてみると、この作品は読まぬ限りは単なるエロ小説と言う枠組みから脱け出せない。全て装丁とタイトルの責任だ。別にスモールワールドだっていいじゃないかと憤る今日この頃である。

・「売り方がうまいですね。
装丁やタイトルを見る限り、エロ要素を強くアピール。内容もそれに近く、刺激的な描写は満載だ。書店のポップには「あの直木賞作家が官能小説を!」とまで書かれていた。

ただ、登場人物の欲に関する描写があまり深く掘り込まれておらず、官能小説としては全く実用的ではない。また、ミステリ的な読み方が可能かというと、女性の謎部分の伏線が口説く、わかりやすく、後半の展開は早々と読めてしまう(両方とも著者自身、そう意識して書いたと思う)。じゃあ、文学として読めるのかと言うと、文章や構成はうまいと思いますが、本作単独ではそこまでの深みや重みは感じなかった。

短編集の中の一遍としてあったのなら満足できただろう。ただ、わざわざ刺激的な装丁とタイトル変更を行なって、売るための仕掛けを作った出版社に騙されました、という印象ばかりが強く残る。続編があるようなので、本来ならそれを読んでから評価するべきなんだろうけど、その印象のせいで次作以降を買うのに大きなためらいがある。

私の奴隷になりなさい (角川文庫) (詳細)

太陽の塔 (新潮文庫)

・「男汁たっぷりの部屋で語り合った経験のある人に贈りたい
学歴コンプレックスの連中が京大だからと批判し京大卒の馬鹿どもが周辺地理を面白がる。この作品はそれだけの価値しかないのか?否、この作品は、日本語を愛し、もてないで悶々と過ごした青春時代をもち、自分というものの価値を信じているすべての男性のための切ない物語だ。そして、私はそう読めなかった人たちがうらやましくてならない。おそらく、男臭さむんむんとする部屋で友人と語り続けてた経験もなく成長されたのだろうと思うからだ。しかし、この作品はそういう人たちに読まれるべき作品ではない。女性にもスポーツにも縁がない学生時代を持つ(生きる)人にこそ読まれるべき作品なのだ。

・「疲れない(飽きない)程度に分割して読むと、おもしろい部分が見える、かもしれないです。
初めて森見登美彦の本を読み、文学的な文章というよりもこれはおたく的な文章だなと思いました。ひたすら濃く、くどい。話が掴みづらい上に文章は濃くどうにも疲れるので、途中からつらつらと流し読みました。結局息切れ切れになりながらも最後まで読みきりましたが、内容をあまり覚えていないのに妙な感覚だけが残るという変な作品でした。先日、数ヶ月前のその感覚を不意に思い出し、この話の何がひっかかったのか解明すべくじっくりと読み返してみました。結論として、私には二度読みがちょうどよかったです。私の疲れで見落としてしまっていた全体のお話や随所にちりばめられているシーンがとてもよく、危うく知らないままにするところでした。変な言い方しかできないですが、森見登見彦は感覚を外側から表現するのがうまいなと思いました。嫌々読んだはずなのに二度読みさせられた私の完敗です。

・「痛快
 第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞。 理屈っぽく偏屈な男子大学生が元カノへの未練をジレンマにモンモンとした毎日を過ごす、という日常生活を面白おかしく、どこか切ないモノローグで綴った作品。 ・・・という、ありふれた紹介では収まらないほどに、異常な描写と思考が連続する痛快極まりない内容だった(笑)

 読み始めた当初、これは精神異常者を題材にしたストーカー小説かな?と思った。でも違った。 確かに、異常すぎるほど豊かに展開される主人公の妄想と思考は変質者まっしぐらなのかもしれないが、そこには一般的な風潮や文化を否定したがる「哲」学生特有の青臭さと、意地が垣間見られる。 一般的なもの・・・それは特に男女の色恋についてだ。主人公は(そして彼のかけがえない友人達は)自分がそんなものに現を抜かすような俗深き人間ではない、と主張し続ける。俺は孤高だ、俺が答えだと叫び続ける。(無論心の中で)

 一般的な道楽を正常とするなら、彼らは異常な存在だ。けれど異常な自分を肯定し続けることが彼らにとって正常なことであり、俗にまみれることが逆に異常なことなのだ。異常=異界に身をおく彼らにとっては、むしろ現実こそ異世界である。しかし、どうしても元カノである水尾さんが忘れられない主人公は、その境界線が実は真実ではないことに、うすうすと感づいている。もっと言ってしまえば答えは分かっているのだ。でもそれを認めたくないからこそ、彼はさらに異常な所業を、とひたむきに頑張るのである。

 読者を異常な妄想譚で欺き弄び、お腹いっぱいになるまでシュールな笑いを提供してくれる本作品だが、主人公の意識にひっそり隠れている健気で臆病な想いに気づいた時、この小説は夏の青空ばりの清清しさを心に残してくれるはずだ。 失恋している人もそうでない人も、ぜひ読んでみて欲しい。

・「これぞ童貞文学(?)の決定版!!
いわゆる「童貞」ジャンルの映画や漫画(吉田秋生とか)そして小説(みうらじゅん、原田宗典とか)って、実は結構たくさんあると思うんですが、この「太陽の党」は著者の膨大な知識と知性、そしてユーモアによって、一線を画す作品になっています!

 実際のところ、主人公の「わたし」が童貞かどうかは分からないのですが、膨れ上がる欲望を女の子にぶつけることも出来ず、男同士でひたすら妄想を弄ぶ。そして世の幸福な男女へひたすら悪態をつき続けるその様は、まさに「童貞スピリット」。痛々し過ぎて、愛しくさえなってくるんです。男性のみならず、女性も共感できるのではないでしょうか?

 これといった起承転結のストーリーもないし、ファンタジーノベル大賞受賞のわりにさしてファンタジーでも無いのですが、その語り口の軽妙さが最後まで読み手を引っ張っていってくれるでしょう。できれば「夜は短し歩けよ乙女」を読む前に読んでおいて頂きたいですね☆

 森見登見彦さん、今一番注目している作家の一人です。

・「紛れもない裏青春小説の傑作
遠藤周作〜椎名誠へと続く、明るく爽やかで清潔な男女交際・・・といった言葉とは完全にシンメトリーを成す青春文学小説です。しっかし、驚きましたよ。ここまで徹底的に自分をさらけ出すことができるなんて。この作者には間違いなく力があります。夜は短しの方はつまらなかったけどね。今後も頑張って欲しい。

太陽の塔 (新潮文庫) (詳細)

殺意・鬼哭 (双葉文庫)

・「二つに分かれた男の人生
一つの殺人事件を起点に、犯人と被害者になった二人の男の心情が「殺意」と「鬼哭」としてそれぞれの目線で二編に語られる構成になっている。

対比された二人の人生を読み、私は真垣と的場の二人の性質は逆だったのではないかと思った。家庭環境とお互いの人生にもっとも影響をもたらした相方のせいで、真垣は人当たりのよい堅実で忍耐強い人間に、的場は感情的で激しく身勝手な人間になった。ただこの先、真垣が目指すのは本能のままに生きる孤高の殺人者であり、殺された的場は薄れ行く意識の中で不器用な自分の人生を振り返り家族や親友だと疑わなかった真垣との関係を回顧する人間味を見せる。最後に人との隔絶を望む者、人のぬくもりを求める者。この対比がすばらしいと感じた。

私は「鬼哭」の的場に感情移入し読み返しては泣いてしまった。憎しみより、信じきっていた真垣の拒絶に対する悲しさ、自分の真垣に対する甘えからでた暴言が殺意をおこさせた理由ではないかと自分の過信による惨めさが強く感じられた。的場がその強烈な個性のゆえに理解されにくく傍若無人にふるまっていても、真垣を頼りにしたった一人心を許し彼なりに真垣を大事に思っていたことを知るたびに胸が痛くなる。「鬼哭」のラストで的場が真垣に残す一言がすべてを物語っていて悲しい。

・「ハッキリ言って面白い(笑)
「殺意」は途中で実は読むのを止めようかしら・・・と思うぐらい疲れました。途中裁判でややこしい言葉がいっぱい出てきて、もうなんなんだ~!と思ったのだけれども最後まで読むと「傑作だ。最後まで読んで良かった」と思いましたねぇ。「鬼哭」は、違う面から同じ事件を書いているのですが、2作続けて読むと面白いと思います。私は乃南アサさんの作品は「殺意」が初めてでしたが、これにはまりボツボツと他の作品も読み始めたぐらい、お気に入りの一冊です。

・「乃南アサの代表作
男同士で20年以上も続いている親友の的場と真垣その的場を真垣は殺害した殺された的場が、刺されて息絶えるまでを描いた『鬼哭』殺人を決意して実行した真垣を描いた『殺意』この2作品はハードカバの時から、併せて出版してほしいと切に想っていました男同士で、20年以上も続いていると周囲には親友に見えるその関係が崩れるとき

対照的な二人だったからこそ続いたのだし、殺意にも至ったこの双方を併せて読むことで、人間関係の難しさに恐怖を感じるそれは、この二人が特殊ではないから・・・こういう人間関係の繋がりって沢山ありそうなだけに考えてしまう個人的には、的場が走馬灯のように息絶えるまでの『鬼哭』が圧巻自分に起きた事が理解できず戸惑う感情から

真垣との関係を想う微妙な心の展開が旨い昨今長編が多い乃南アサ氏ですが、短編でも全く無駄が無い逸品

・「なにがどうなるか分からないということ
他愛もないことがきっかけで、真垣という男が凡人には理解できない無差別な殺意を抱いてしまうということを、それらしい説明をつけてなにも異常はない、つまり人間(おそらく一部の)にはもともと生理現象のように殺意が存在するのだと真垣が主観で認識する「殺意」。

「鬼哭」は、刺した本人が自分にはもとから殺意(人間に対する)というものが存在しているのだと認識するほどれっきとした理由が無い殺人を、結果的にはきっかけを作ってしまい、これを受け入れるしかない的場が残り少ない余命で、自身の人生を振り返っていく。それも結局最期まで後悔していくという、人生に意味を持たせたかった男のとりかえしのつかない話。この話は的場の生きていた3分間だが、鬼哭というと「霊が生きていた頃の不遇を訴えるかのように泣く声(こと)」、だそうで奥が深い。

読む価値は多いに有ると思うし、珍しい。

・「殺した者と殺された者の恐るべき告白
 新聞やテレビで知る殺人のニュースはあまりに日常的で、僕らは眉一つ動かすことはない。では、人を殺した者は何を考えるのか。殺された者は薄れゆく最期の意識の中、何を思うのか。

 乃南アサは、本書でその質問に対する一つの回答をだした。本書は動機が不明のまま、兄弟以上の付き合いの親友を殺した男の独白でつづられた「殺意」と、その、殺された男の死に至る数分間の意識の流れがつづられた「鬼哭」からなっている。

 殺人とは、非日常なことだ。しかし、日常のすぐ隣に非日常は潜んでいる。乃南アサは、それを伝える伝導師みたいなところがあると僕は密かに思っている。  本書でも、彼女は見事にその役割を果たしている。  ずっしりとした重量感のある文章は、観念的でありながら非常に映像的でもある。映画化したら、面白いかも。

殺意・鬼哭 (双葉文庫) (詳細)

探偵ガリレオ (文春文庫)

・「ドラマより面白い!
ドラマが面白かったので、読んでみました。ドラマとはまたイメージが違うんですね。ドラマだと理系的な会話が雰囲気だけで物足りないです・・・でも、ついて行けない人がかなり出そうだし。ドラマで面白いと思った人は、一度読んでみて欲しいです。本のほうがずっと深みがあります。

・「何となく得した気分になれる本
いきなり後頭部から発火したり、海上に火柱が立ったり、心臓だけ腐った死体が見つかったり…事件のきっかけは、警察も手を焼く超常現象。けれど、天才物理学者・湯川助教授の手に掛かると、「合理的」かつ「理論的」な説明で、いとも簡単に解決してしまう。

事件だけ見てると、これは確実に完全犯罪だったのにね…と思わず犯人に

同情してしまうくらい、凝った計画犯罪だったりします。

事件はオカルトっぽいですけど、内容は至って読みやすいミステリーです。

理系嫌いの人間でも、湯川助教授のキャラクターは好きになれると思います。内容は面白いし、豆知識は得られるし…お得な推理小説です。

・「実に面白い
新しいドラマ“ガリレオ”のオリジナルな本。僕は日本人じゃなくて、日本語もペラペラできませんのに、この本のことが大好きになりましたよ。でも、もしあなたは科学って大好きじゃなければ、少し分かりにくくなりますね。そうですけど、本当にすごかった本ですよね。カナダから日本の本屋まで行ったの僕、実にこの本は最高のプレゼントだったと思ってます。話毎は短かったから、特に僕のほう、読みやすくにしました。

唯一つのことって残念と感じてます…僕はこのシリーズのことをわからなかったから、続きの『予知夢』などを買いませんでしたよ!!もしかして日本へ再び行かなければいけませんの?!高いから… :(

・「理系東野
理系東野圭吾氏ならではの作品。

東野圭吾氏の作品は取り扱う題材の幅の広さが凄い、ということはよく知られていることだ。デビュー作は学園を題材にしたものであったために出始めの時はその方面の作家と思われていたが、その後の作品を読むとどれもこれも全く違う作品。”前に読んだのに似てる”ということのない稀有な作家の一人である。

 今回の作品は短編集。大学の教授と刑事というコンビが謎を解く。理系東野の理系的推理、そして理系的解答。実際科学的にこうなったのだと証明される過程はスリリングである。東野氏の作品のなかでも一押しの作品。

・「面白いです。
これが私の東野圭吾初作品だったのですが見事にはまってしまいました。刑事の草薙は不思議な事件が起こったので、大学時代のテニスサークルの友人で物理学科助教授の湯川の所へ向かいます。いつも湯川は人の気付かない所に気付き科学によって事件を解決します。こんな事普通の人間が出来るのか?という疑問もありますが、面白いミステリーだと思います。

探偵ガリレオ (文春文庫) (詳細)

償い (幻冬舎文庫)

・「考えさせられる一冊。
予想外の結末に驚きと感動がありました。

人を傷付けると当然罪に問われるが

心を傷付け壊してしまっとしても罪に問われない。

考えさせられた一冊。

・「帯広告の評価を超えた力作
この小説は、推理小説仕立てになっているが、作者の真の目的は、優れた推理小説よりも人間の真実をつかんだまともな文学作品を書くことにある。だから、ミステリー作品としてだけ見た読者の評価が低いのではなかろうか。

しかし、これは、生きることにとことん失敗し、自分のせいで家族(妻と子供)や患者を死なせてしまった悔恨と罪悪感に苛まれ、絶望のあまり、ホームレスとしてしか生きてゆけなくなった一人の男の再生の物語である。その再生までの過程が、飾りけのない、むしろ、訥々とした重厚さを感じさせる文章で、詳細に語られてゆく。その話は身に沁みて感動的で、そのなかに、作者の温かい眼差しが感じられる。

それから、もうひとつは、「人の肉体を殺したら罰せられるけれども、人の心を殺しても罰せられない。それでよいのか」という問題提起である。作者は主人公の男と共にこの問題を探究していく。この問題は、人間の根源的善悪を問う一つの大きな倫理学的テーマである。倫理的な問題が主題になっている点では、夏目漱石の「こころ」とも通じる。

単なるエンターテインメント推理小説ではなく、そのなかに深い精神性を含んだ、地味だけれど内容ある意欲的な文学作品として評価したい。

・「逝った者達の重さを抱えてよろめきながらも最後まで歩きぬく事
大学病院で教授を目指し家庭も省みず仕事に忙殺される日々を過していたエリート脳外科医が職を失い家族を失い家を手放しホームレスへ。生きる価値を見失い路上生活をするようになり流れ辿り着いた町は、かつて医師免許取立ての春、眼前で起きた幼児誘拐に欲も徳もなく救出・救命した少年の住む町だった。自分の人生で善き事として記憶に残っている唯一の出来事。一家無理心中を図った家の火災の通報をした事からその地域で連続する不審死・殺人・ホームレス襲撃に係わっていく。図書館で言葉を交わすようになった少年の物の考え方に不安を抱き、連続して起きる人の死に少年が係わっているのではとの疑いが膨らんでいく。命を救ったことが良かったのか、それともあの時・・・。人の死が遺された者の心を殺す。「誘拐犯の父親はママの心を道連れにあの世へいっちゃった」と母親の病状を自分の所為と考え自分は生きていてはいけない、幼い時救ったその手で終わらせて欲しいとナイフを首にあてる少年。一心不乱に真意を見抜こうとする少年を自分のこれからの生きる価値を賭けて掻き抱く“男”。果たして少年は連続殺人鬼なのか?

・「帯につられて買ってみた
最近、帯につられて買うということが多い。全面的に信用しているわけではないが、本好きの醍醐味である本選びが邪魔くさくなっているのか、ゆっくり選ぶ時間がないのか。さて、本書だが、値段を考えると、読んで損はなかったかなと思う。帯に書いてあるほどには思わないけれど。筆力もあるし、分厚い本だけど、読みやすい。この手の話が好きな人は感動するという人が多いだろうし、東野圭吾が好きな人にはお薦めかもしれない。

・「作者の真摯な姿勢が光る
ミステリの体裁を取ってはいるが、倫理・哲学的問題を小説の形式で語ったものと言えるだろう。主人公は元医師のホームレスで、出世欲のため家庭を顧みず息子を亡くし、それが原因で妻を自殺に追いやったと言う過去を持つ。その主人公がある街で15才の少年と遭うが、偶然にもその少年は主人公が医師に成り立ての頃、誘拐事件の際に命を救った相手だった。少年は他人の心の痛みが"聞こえる"と言い、「死んでしまえば、もう不幸は感じずにすむだろう」と言い放つ。折りしも、その街では弱者を対象にした連続殺人が起こっていた。主人公はひょんな事からその事件の探偵役を務める事になるが、次第に少年が犯人ではないかと疑うようになる...。

本作のテーマは上述の少年の言葉と、ある登場人物の「人の心を殺しても罰せられない」と言う言葉の二つに集約される。主人公を含め本作には身近な人の心を壊してしまった(と思い込んでいる)人物が多いし、その逆も言える。そうした人達の心の苦しみが少年には"聞こえる"のだ。「人の心を殺してしまった」人間の「償い」とは ? そして、少年にとっての「償い」とは ?

重い過去を背負っている筈の主人公がヤケに軽い性格だったり、警察署長やベテラン刑事がホームレスの主人公に過剰な便宜を図ったり、人物関係の偶然性が余りに高過ぎたりと、物語の構成には難があるが、上述のテーマをストレートに語ると論文になってしまうので致し方ない所か。主人公を元医師に設定したのは、生と死の問題を真摯に考えるための工夫だろう。人が生きる事の意味、他人の"心"を傷付ける事の意味を問いかけた秀作。

償い (幻冬舎文庫) (詳細)
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