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▼通勤電車で読んだ本:セレクト商品

秘密 (文春文庫)秘密 (文春文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)

「これは凄い。。」「とにかく読んでみて損はない」「男(父親、夫)、女(母親、妻)、愛、絆、家族、嫉妬、宿命、未来・・・。」「極限」「過去最高の小説」


恋人よ〈下〉 (幻冬舎文庫)恋人よ〈下〉 (幻冬舎文庫) (詳細)
野沢 尚(著)

「野沢尚という人は…。」「ラストシーン」「まさしく、恋愛小説!」「こんな恋愛小説は珍しい」


そのときは彼によろしく (小学館文庫)そのときは彼によろしく (小学館文庫) (詳細)
市川 拓司(著)

「何だか心が ぽっと あたたかく」「愛のバイブル」「優しい物語」「よかったです☆★」「読後が…」


青年社長〈下〉 (角川文庫)青年社長〈下〉 (角川文庫) (詳細)
高杉 良(著)

「創業、ということを意識させられた」「ものが違う」「信念、行動力の大切さ」「原点を思い出させてくれる本」「ワタミ力。」


陰の季節 (文春文庫)陰の季節 (文春文庫) (詳細)
横山 秀夫(著)

「「動機」「半落ち」「深追い」につながる警察小説の原点」「おもしろい・・・すごく。」「短編小説の醍醐味ここにあり」「短編小説と感じさせない内容に感嘆するのみ」「やっぱり平成の松本清張」


動機 (文春文庫)動機 (文春文庫) (詳細)
横山 秀夫(著)

「あと味いい本」「直木賞いけると思うんですけど・・・・・・・・」「「別角度」から描かれたきわめて斬新な警察小説の生誕!」「安閑として読めず」「うまい。うまい。」


顔 FACE (徳間文庫)顔 FACE (徳間文庫) (詳細)
横山 秀夫(著)

「横山秀夫が描き出す23歳の似顔絵巡査婦警・平野瑞穂の生き様!」「誇り」「完成度の高い作品群」「主人公の魅力が際立つ好短編集」「組織との葛藤-輝く個人」


燃ゆるとき (角川文庫)燃ゆるとき (角川文庫) (詳細)
高杉 良(著)

「マルちゃんの成功物語」「会社が成長するさまざまな段階を垣間見れる」


社長の品格 (光文社文庫)社長の品格 (光文社文庫) (詳細)
清水 一行(著)

「あなどっていました」「面白い!ただし濡れ場を除く」


もう一度デジャ・ヴ (集英社文庫)もう一度デジャ・ヴ (集英社文庫) (詳細)
村山 由佳(著)

「出逢って!!」「村山さんの処女作」「激しい恋と人生の運命に同情と憧憬を同時に抱いた」「珍しく・・・。」「運命とか」


管理職降格 (新潮文庫)管理職降格 (新潮文庫) (詳細)
高杉 良(著)


あざやかな退任 (新潮文庫)あざやかな退任 (新潮文庫) (詳細)
高杉 良(著)

「筋立てとしておもしろい読み物ではあるが!?」「サラリーマン役員の苦悩が良くわかる。」


星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫) (詳細)
村山 由佳(著)

「力量があります」「完成した未完成」「数珠つながりの短編」「時間をかけて染みこんでくる作品」「読み応えのある一冊」


ノルウェイの森 上 (講談社文庫)ノルウェイの森 上 (講談社文庫) (詳細)
村上 春樹(著)

「駄作/名作」「小説としての質は高い。好悪は人それぞれ。」「ノルウェイ」「見方を変えて」「高校生の時に読んで」


グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー) (詳細)
スコット フィッツジェラルド(著), Francis Scott Fitzgerald(原著), 村上 春樹(翻訳), 村上春樹(著)

「内容よりも雰囲気を訳した作品」「「この世の中の人がお前のように恵まれているわけではないことを、ちょっと思い出してみる」「傑作!」「素晴らしいかもしれない」「最高の曲を、天才がアレンジした音楽」


博士の愛した数式 (新潮文庫)博士の愛した数式 (新潮文庫) (詳細)
小川 洋子(著)

「数学の内面の暖かさ」「感動しました。」「博士の愛した数式」「再読」「暖かく静かな時間」


イン・ザ・プール (文春文庫)イン・ザ・プール (文春文庫) (詳細)
奥田 英朗(著)

「読者に「自分にあるかも!」と思わせる本」「伊良部総合病院の神経科はなぜ空いているんだろうか?」「まさに怪作」「奇想天外な精神科医「伊良部一郎」」「大笑いしながら読んでください。」


空中ブランコ (文春文庫)空中ブランコ (文春文庫) (詳細)
奥田 英朗(著)

「日常に疲れた人に」「医学博士の伊良部一郎はもしかしたら「人間博士」かもしれない!?」「前作よりもやわらかく」「単におもしろいだけではない」「マユミちゃんの意外な一面」


1ポンドの悲しみ (集英社文庫)1ポンドの悲しみ (集英社文庫) (詳細)
石田 衣良(著)

「元気が出ます」「20代後半から30代の女性の恋愛物語。」「体験+聞き書きネタの完成形」「おいしいケーキ」「恋」


スローグッドバイ (集英社文庫)スローグッドバイ (集英社文庫) (詳細)
石田 衣良(著)

「優しいひと」「心に負担無く読める、優しい気持ちになれる一冊。」「単純な恋愛ストーリーの短篇集」「良い」「初めての「いしだいら」」


娼年 (集英社文庫)娼年 (集英社文庫) (詳細)
石田 衣良(著)

「欲望とは何か」「夏に、せつなくなったときに」「不思議な物語」「うっとリ・・・します。」「大人の恋愛物語」


本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫) (詳細)
成毛 眞(著)

「表現のまずさはおいておいて」「かっこいい本棚を作ると、人生は楽しくなる」「まずは買うべき」「内容は正しい。」「痛快な読書論」


はじめての課長の教科書はじめての課長の教科書 (詳細)
酒井穣(著)

「わたしも『はじめての課長』」「ホントに初めての本」「快著である」「パラダイムの転換。」「こんな本がほしかった!」


▼クチコミ情報

秘密 (文春文庫)

・「これは凄い。。
涙の無い感動。読了後 呆然。悲壮感、喪失感、虚無感、孤独感、絶望感。なんとも形容し難いブルーな感覚に陥りました。「うわぁ、マジかんべんしてよもう。こんなのって。。」という気持ちです。男って、心が弱いからせめて体だけは強くできているのかも。男にはちょっとつらい。女性にとってはどうなんでしょう?

自分が主人公の立場だったら耐えられそうにも、そして立ち直れそうにもないです。実際読み終わってブルーな気分からしばらく立ち直れませんでした。終わってからもう1度クライマックス付近を読み返すことでしょう。そもそも誰が悪いのかと問われたら、誰も悪くない様な、誰もが少しずつ悪い様な。最善の選択なのか、仕方無しなのか、ずるさなのか。

そして、ではどうすれば良かったのか、と考えずにはいられません。ラストで解るタイトル「秘密」の理由。必読です。

・「とにかく読んでみて損はない
絶賛する人の多い一方、感情移入できない人や、しすぎて反感を覚える人も存在する本です。私自身は、沢山本を読む方ですが、読み終わった後、20分程「呆然」としてしまう本に初めて出会いました。

意外な展開だけでは呆然とはしません。主人公たちの「想い」に衝撃を受けて、呆然とするのです。

身近に妻や夫や娘のいる人、その人を大切に思っている人ならば、素晴らしい作品だと素直に思えるのではないでしょうか。

夫婦というものが、恋人関係のような単純なものでない事を知っていれば、なおさら感じ取れる部分や場面が増えることでしょう。

・「男(父親、夫)、女(母親、妻)、愛、絆、家族、嫉妬、宿命、未来・・・。
 江戸川乱歩賞受賞作『放課後』から14年後の1999年に日本推理作家協会賞を受賞したあまりにも有名な作品が本書『秘密』である。前作のラストがあまりに衝撃的であったせいか、本書も最後の最後で「何かがある」という私なりの「構え」が必要であった。

 亡くなったと思われた妻の心が娘の肉体に宿るという不可解な事態に戸惑いながらも、平介と直子はこれまで通りの生活を始めてゆく。肉体は事故当時小学校5年生であった娘である以上、当然のように彼女は成長してゆく。彼女は「女として後悔させたくない」という強い決意から、中学受験と高校受験を果たし、そして最終的には医学部に進学してゆく。夫はその成長を静かに見守りながらも自分には決して与えられない(過去の)時間=青春と若さに嫉妬を募らせてゆく。夫婦であっても普通の夫婦ではない。そこに男としての痛いほどの苛立ちや葛藤を覚えずにはいられない。

 ラストの部分に至るまでの筆致はこうしたさまざまな人間の本性・感情を生々しく描き出し、正直なところ平板な印象が拭えない箇所がなかったといえば嘘になる。しかし、である。やはり東野圭吾は卓抜した手法と構想力を有していることを遺憾なく発揮してくれた。382頁以降からだ。心は妻の直子だったところに、娘の藻奈美の心が蘇ってくるのだ。そして二人ではあるが、三人で生活をしているような奇妙な家族生活が始まる。以降のストーリー展開は書かないほうがよい。本書のタイトル『秘密』に投影された作者の真意も読者自らが味わうべきである。

 とはいえ、一言だけ記しておきたいのは、やはり覚悟を決めたときの直子の深層心理である。むろん複雑であったに違いない。しかしそれは彼女の「宿命」であり「使命」でもあった。彼女の心はいつまでも愛する夫である平介を見守り続けるに違いない。そしてそれを悟った平介の心のなかにも彼女の魂が未来永劫に生き続けるに違いない。感銘の作品だ。

・「極限
直子の行動が、平助への愛と感ずるか、身勝手と感ずるか、筆者はその中間でみごとに筆を運んでいきます。直子の藻奈美への思いのなせるわざなのか、どうしようもない諦観のなせるわざなのか、あるいは、身勝手な本質ととるのか、読者の性別や年齢によっても、大いにわかれると思います。ひとつの極限におかれたときに、自分がどう行動するか、どんな思いを持つか、内なる思いがつまびらかになる、その極限を描いた大傑作です。

・「過去最高の小説
遅ればせながら拝読いたしました。東野圭吾の名前は聞いたことはありましたが、流行りものの小説家と高をくくっていたならば、読んでびっくりしました。過去においてこんなに心を揺さぶられた作品はありませんでした。

秘密 (文春文庫) (詳細)

恋人よ〈下〉 (幻冬舎文庫)

・「野沢尚という人は…。
互いの結婚式で知り合い、私書箱を通して恋文を交わす愛永と航平。航平の妻、粧子に女の子が生まれ、それをきっかけに物語は加速度的に新たな展開に進んでいきます。

最初は、不倫の男女の恋愛話だと思っていました。確かに(途中までは)不倫には変わりないのですが、愛永という人のダイヤモンドのように澄み、かつ強靭ともいえる意志と、新たな命を中心にして結ばれた4人の<家族>としての関係など、不思議と純愛さ、あるいは恋愛を超えたところにある「何か」の方が勝ってるように感じます。それも自己満足やきれいごとではなく、様々な人を巻き込み傷つきあった果て、のことなのです。

愛永から航平へのさいごの手紙。予言のような手紙―「さよならではない、また会える」―そうやって紡ぎだされる人と人と自然、<いのち>の不思議な連鎖。そして、心の関係だけで人と人は愛しあい続けることは可能なのか。それはどうかわからないけど、「できる」というひとつの可能性を提示してもいます。

野沢尚という人はほんとにとんでもない人なんだなと、こんな形の純愛を書ける人は、巷でどんなに「純愛」を謳った本が人気だろうが、いないんじゃないかと思います。亡くなられたことが悔やまれます。

・「ラストシーン
上巻から続く、2組の家庭の崩壊にこの物語は始まる。新たな家庭を気付いた二人と、近くに住みながらも過去に囚われながら互いへの想いを抱え続ける二人。物語は悲壮なラストを迎える。『世界の中心で愛を叫ぶ』に少し似ている気がするが、本作の方が先だっただろう。愛永の潔くも懸命な生き方、愛し方には自分には遠縁に感じるがこんな愛の形こそほんものの愛そのものではないだろうか。

・「まさしく、恋愛小説!
上巻を読んだ時点では、「不倫物のTVドラマ」に過ぎないといった感が否めませんでした。ありえない偶然がいくつもあって、ちょっとできすぎだったし。しかし、下巻に入って、航平と愛永の純愛がクローズアップされ、二人を取り巻く人々の想いが錯綜する展開に、ドキドキはらはら、最終章では涙で顔がぐしゃぐしゃの自分がいました。確かにありえないお話ですが、小説だからこそ、こうしたドラマチックな展開に読者は感動するんでしょうね。愛永の手紙の文章がすばらしく、心を揺さぶられました。ドラマは見ていないので、ぜひ美しい愛永・鈴木保奈美を見たいと思っています。

・「こんな恋愛小説は珍しい
恋愛小説を読みながら泣いている自分に驚いた。10数年前に見たTVドラマの映像をありありと思い出し、当時の自分の状況と今を思ったのだろう。いやTV以上に感情移入してしまうのは著者の力による。人物描写が深いので登場人物の誰もが個性的で共感できるように感じるから。愛永の言動はすべてがドラマチックなのに妙な説得力があるのはなぜだか考えさせられる。こんな小説は珍しい。本当に惜しい才能を失った。非現実的な出来事や会話が目立つ中で航平の言葉が印象的、「夫婦ってひょっとしたら、二人で一人の人間になることじゃないか・・・俺、そう思うんだ」不完全な人間同士がまともな人になるためにお互いを補完しあう、それは一つの真理だと思う。

恋人よ〈下〉 (幻冬舎文庫) (詳細)

そのときは彼によろしく (小学館文庫)

・「何だか心が ぽっと あたたかく
ページをめくって最初のフレーズは〜 鈴音は両手を広げ、天を仰ぎ見ながら言った。「『かくのごとき夢あれかし』って。」…「ねえ、それって、とてもすてきな夢だと思わない?すべてのひとたちがみんなそこで繋がっているのよ」〜でした。何のことを言っているのか分からず読み進めていくと、いろいろな場所に残されたジグソーのピースが少しずつはまっていくように話がつながって行く感じで楽しく読めました。かなり現実離れというかあり得ない話で、その手の話は苦手という方の評価は低いかもしれませんが、ファンタジーとわりきって読むにはいいかもしれません。読んでいる間はなぜか、主人公が映画の帯とは違い、妻夫木くんと長澤さんがずっとイメージされてました。先を読みたくてあっという間に読破しました。読み終わって何とも言えない、ほっとして温かい気持ちになりました。母の墓参りにも行きたくなったり、随分前に亡くなった祖父のことも思い起こされたりしました。「生きてるっていいね。」「好きな人がいるっていいね。」と誰かに言いたくなりました。

・「愛のバイブル
男女の間で本当に愛し合える相手はこの世でただひとりしかいないという。その人が愛し合うべき第一番目の相手だ。しかし、誰もが、一番目の相手と巡り合えるとは限らない。多くの人が二番目の人ならまだしも、もっと結ばれるべきでなかった相手と結婚し、一緒に暮らしている。そこから世界の最大の不幸と諸悪が生まれると言えなくもない(ドメスティック・バイオレンス、子供の不良化、いじめ、人類愛の欠如など)。これは、一番目どうしの愛を描いた悲しいぐらい美しい純愛物語。主人公ふたりの恋愛を中心に、三人の友人たちの厚い友情と、多くの人たちの大きな人間愛が描かれる。主人公二人の愛は、とてもスピリチュアルだ。男女の愛であるから当然フィジカルな面は不可欠であるけれど、フィジカルな愛は、スピリチュアルな愛と一体になっている。自分のことよりひたすら相手のことを思いやる。そのような愛は広く大きな愛につながる。主人公智史のお父さんは息子にいう、「いいものを食べられるようになんかならなくたっていい。金のかかった身なりなど必要ない。いつも清潔にしていればいい。ひとを喜ばせるような仕事をしなさい。いつも優しくありなさい。」(470頁)と。だから、愛し合う夫婦の子供に悪い子は生まれない。作者は、汚濁に満ちた今の世のなかで、本当の愛のありかたを主張している。ここに書かれたようなやさしさは、人間の心の心奥に触れ、神の世界にも近づく。あちらの世界が出てくるが違和感はない。とてもやさしい気持ちになれる最高の愛の物語である。

・「優しい物語
懐かしむ想いの強さは、想い出からの距離に比例する。

14歳の淡い恋を引きずるもうすぐ30歳の”僕”。そこへやってきたかつての仲良し3人組の紅一点。女優になっていた彼女に気付かない”僕”。

「ケーキバイキングに行きたかったのよ」

来し方を振り返り、行く末を見直すための休憩だと彼女は言う。もちろん、”僕”は信じない。寝てないことも、薬を飲んでいる事も知っているから。

どこかステレオタイプな滑り出しにやや失望しながらも、作者のつむぐ言葉の優しさとみずみずしく繊細な描写にやがて物語に引き込まれます。

最後の一人が病院からの急報で見つかった時も、ステレオタイプ感は拭えなかったのに、そこからの物語は鋭く急転・・・・

ややオカルトじみた話も混ざりますが、腑に落ちないというよりは、信じたくなってしまう。

   鈴音は両手を広げ、天を仰ぎ見ながら言った。  「『かくのごとき夢あれかし』って」  そして嬉しそうに微笑む  「ねえ、それって、とても素敵な夢だと思わない?   すべてのひとたちがみんなそこで繋がっているのよ」

                     −本作の扉より

作者が書きたかったのは恋愛も含む、もっと大きな愛なのではないでしょうか。だって、タイトルが、ね。

それにしても時間がかかったな、お父さん。しかたないか、きっとアッチは広いのに、お父さんスプリンターだもんね。

・「よかったです☆★
私は長澤まさみちゃんが好きで、映画が公開されるということでいち早く原作を読もうと思って、この本を手にとりました!!

・「読後が…
ちょっと現実ではないような、そんな物語。だからと言って取っつきにくいとかそんなことは全くない。話の全てが、最後の場面のためにあったような気がします。

あー、でも読み終わったらちょっと(いい意味で)鬱になったかもw

そのときは彼によろしく (小学館文庫) (詳細)

青年社長〈下〉 (角川文庫)

・「創業、ということを意識させられた
悪い、というわけでなく成功した創業者には共通のものが備わっているような気がした。思いが一点に集中していること。それに集中できること。教訓的であること。人材発掘に苦労すること。何事も、大げさであること。人当たりが良いこと。親切であること。現場の仕事がこなせること。作者は意識せずに書いていると思う。

・「ものが違う
少年の日の決意を胸に、それを実現してしまうということはなかなか難しいとだと思う。それを実現できるのは、よほどの強固な精神を持っているのだと感じた。運もあったのだと思うが、結局、運もこのような人のところに集まってくるのだと思う。

ぜひ、一読すべき本である。

・「信念、行動力の大切さ
 22歳のとき24歳で社長になると決め、「夢に日付をいれた」ことを皮切りに、夢に実現する期限を切って、それに向かってまい進していく。もちろん全てが計画通りすすむわけはない。

 人間関係を構築するのがすばらしくうまい。その秘訣は、「誠実」「ウソをつかない」「ゆるぎない意志」であるように読み取った。幾度となくおとずれるピンチをうまく切り抜けていく。

 現在、日本経済を立て直すためのキーワードとして「起業」が求められている。「起業」するためのノウハウとして、たとえばMBAやビジネススクール等も繁盛していると聞く。もちろん戦略は必要だし、「ケーススタディー」もインプットされていたほうがいいだろう。

 しかし、この本を読むとそういう「シュミレーション」で遊ん!!でいる暇があったら、さっさと現実に飛び込んで、「リアルワールド」で頭を使い行動しようよと思わせてしまう。

 起業した会社が3年後に生存する確立は1000分の3だと言う。しかし、この本のモデルを見れば、意思を貫けば自ずと道は開けるのかも知れないと思わせる迫力がある。勇気をくれた本でした。

・「原点を思い出させてくれる本
この本は上巻の続きで、創業してからの色々な困難に立ち向かっていく主人公渡邊美樹が書かれています。彼はその困難にもめげず、周囲の助けも借りながらその困難を一つずつ解決していきます。我々は困難に出会うと及び腰になりがちです。しかし、この本を読むと、できるだけのことはやってみるということの大切さを教えてくれます。お勧めです!

・「ワタミ力。
小説形式なので、渡邉氏が社会に認められ、たくさんの人に支えられていく様子がよくわかった。

青年社長〈下〉 (角川文庫) (詳細)

陰の季節 (文春文庫)

・「「動機」「半落ち」「深追い」につながる警察小説の原点
第5回松本清張賞受賞作の本作品は、D県警を舞台にした「陰の季節」「地の声」「黒い線」「鞄」の4作品から構成されています。2002年版このミスで2位になった「動機」03版このミス・文春2002年で1位を獲得した「半落ち」に勝るとも劣らないできばえで、この2作を気に入った方々には是非お勧めできます。作者の自己分析による「ミステリ度」は「陰の季節」4・「動機」3.5・「半落ち」3・「深追い」4ということです。ご参考まで。

・「おもしろい・・・すごく。
D県警を舞台にした短編集。警察のどちらかといえば、デスクワーカに光を当てた話。他の短編で主役だった登場人物が、他の短編で脇役として登場する、といった仕掛けがあり、短編集でありながら、1冊の小説としても楽しめる。また、この仕掛けによって、脇役登場の部分でも登場人物の県警での位置などを知ることができ、また始めから、読み返したくなる。

設定のせいか、地味なのだけれど、ものすごく面白い!登場人物たちを入れている箱が、警察という特殊な世界であることが売りではない。丁寧に、人間の心理を描いてある。ここが、本書の『うまみ』そのものであり、「全く新しい警察小説」を成功させた部分だと思う。

ちなみに本書は、ドラマ化された『顔 FACE』のシリーズ第一弾。『顔』の主人公・平野瑞穂が主人公の『黒い線』収録。

・「短編小説の醍醐味ここにあり
横山秀夫のページターナーとしての筆が冴えわたる短編集。

予定調和の人事異動を無視する男の真実 「陰の季節」監察官のもとに舞い込んだ密告に始まる驚愕のドラマ 「地の声」お手柄婦警はなぜ突如失踪したのか 「黒い線」「「爆弾質問」が出る」その謎を必死に追う男の悲劇 「鞄」

憎悪、不信、陰謀、嫉妬、悲哀、

こういった言葉がふさわしい人間のナマの感情がうずまくプロットと物語の最後におとずれる衝撃のカタルシス(浄化)

一つ選ぶとしたら、やはり「地の声」、この結末は予想できなかった。

・「短編小説と感じさせない内容に感嘆するのみ
 あまり短編小説を読まない筆者が感嘆するほどの内容だ。本書は四編からなる短編小説だが、ある一人の登場人物が全編に登場する。また前編の主人公がちょい役で出たり、各編の主人公の名前が珍しく違う編で出てきてもすぐに思い出せたりと、このようなところに短編を短編と思わせないテクニックが感じられる。

 警務課調査官、二渡真治。全編に登場する本書のキーマン。かなりの切れ者で、主に人事異動を決める。故にエースと呼ばれる。人事という切り札を握っているからだ。監察課監察官、新堂隆義。いわゆる身内の不祥事を調べる。警務課婦警担当係長、七尾友子。匂いに人一倍敏感で警察犬風にトモ号と名付けられる。警務部秘書課の課長補佐、柘植正樹。県議会対策が職務。いままでにこのような登場人物たちにスポットライトをあてた小説があっただろうか。ある意味彼らのような人達がいるからこそ警察機構が成り立つわけで、警察=刑事という図式は警察機構の一角でしかない。そのすべてにスポットライトをあて、しかも推理小説の枠を出ないで長篇物にも負けず劣らずの展開にしてしまう著者には脱帽するしかないだろう。

  随所に出てくる警察官が使う隠語がリアリティー感を補い、短編嫌いの方にも一読をお勧めできる一冊だ。

・「やっぱり平成の松本清張
うーーん、面白かったです。久々に松本清張張りの推理小説を堪能させて頂きました。ある地方県警を舞台にした4つの短編集です。最初に提起されるひとつの謎を巡って、主人公が解明に乗り出す。いつもその解明は時間との戦い。少しづつ事実が提供され、その都度あーかな、こーかな、と勝手に推論を組立てながら読むんですが、必ず最後に実に見事にこちらの期待を裏切ってくれます。でもその最後のどんでん返しが人情の機微に触れたものなので、後味がすごくさわやかです。すこしほろりとするような。4編とも主人公はそれぞれ違うけど、各編とも人物が微妙に絡み合って全体として話に重みが出ています。この手法もなかなか卓抜。松本清張好きにはお薦めです。

陰の季節 (文春文庫) (詳細)

動機 (文春文庫)

・「あと味いい本
私にとっては、初の横山秀夫作品。

全4話の短編集ですが、それぞれ、主人公の舞台設定がぜんぜん違うのです。警察官、元服役囚、記者、裁判官。世界の広さが飽きさせません。また、この本を読み終わった後のあと味がすごくいいかんじで。ばらばらの作品なのに、一つの作品のような、バランスがいいということだと思います。

是非、このあと味を味わってみてください!

・「直木賞いけると思うんですけど・・・・・・・・
「半落ち」を読んでからこれを読みました。人の気持ちを誤解するのは世の常で、相手の気持ちを解っているけど許せないのもよくある話。この著者はそういった心の行き違いから起こる不幸を上手に描き表します。人間社会は全て人の情念で動かされ、人は弱さゆえ怨念を抱く。この著者の伝えたい事はストレートに読者に響きます。

人の心には奥深く複雑な真理があるという事を肝に銘じ、今後の人付合いに心掛けようと感じさせられました。かなり断定的な言い回しになりましたが、素直な感想です。

・「「別角度」から描かれたきわめて斬新な警察小説の生誕!
以前から横山秀夫作品がテレビドラマ化されていたことは知っていたし、「影の季節」というどことなく殺伐とした印象を与えるタイトルも頭の片隅に残っていた。「著書『影の季節』と『動機』あわせて100万部突破した!」という黒帯の白抜きされた言葉に思わず手が伸びた。どちらの作品からもとても斬新な感覚を与えられ、目から鱗が落ちるような思いであった。犯人逮捕に全力投入する刑事部門の活躍ではなく、警務課、監察課そして秘書課といった「別角度」から、警察機構の内部(正確には「管理部門」で働く人間の内面)に潜む赤裸々なドラマを、あたかもそこに勤務している人間であるかのようなタッチで描かれた短編小説に惹き込まれた。特に印象深かった作品は、『動機』所収の「動機」と「逆転の夏」の二作品である。どちらの作品も、「家族」というかけがえのない財産を守るという使命に邁進する男(ここでは父親)の姿が活写されている。テーマや切り口の斬新さもさることながら、横山作品に自然に惹き込まれてゆくのは、やはり「自分が現場にいる人間」であるかのような、その人間の感情や意志を生々しく綴る「文体」にもあるような気もするのである。こうして、作品に登場する人物と読者が見事にコラボレーションする、つまり、読者はそこにいる登場人物と一体化してしまうわけだ。先行きが読めないという緊張感はそれによって更に助長される。『動機』では、警察官にとどまらず、殺人を犯した前科物、事件記者そして裁判長という登場人物にまで拡張され、新たな作風をいかんなく醸し出している。ドラマ化された作品を少しは見ているはずであるが、やはり原作そのものを読まないと臨場感を理解できない。テレビ放送の鑑賞という行為はたぶんに受動的であるのに対し、読書は能動的である(少なくとも「そうあろうとする」)からである。本書をはじめ、多くの作品が読者の目に触れることを願いたい。

・「安閑として読めず
うまい!  どこかしこと巧妙に張り巡らせた伏線。著者の術中にはまるまいと注意しながら読んでも足をすくわれてしまう。一語一句に裏があり、最後の最後まで気を抜けない。 警察、前科者、新聞記者、裁判官を舞台にしているが、通常語られることのない内部事情と人間感情の機微を描いて内容は濃い。

文章が凝縮しているため、裁判官の三号俸給など説明不足で、事情通以外にはわかりにくいところもあるが、文句なしにおすすめ。

・「うまい。うまい。
小説のプロット、文章の巧みさ、描写ともに文句なし。 刑事小説の新たな才能に乾杯とともに、一連の松本清張の社会派推理小説にも通じるものがあると思う。渋い。

動機 (文春文庫) (詳細)

顔 FACE (徳間文庫)

・「横山秀夫が描き出す23歳の似顔絵巡査婦警・平野瑞穂の生き様!
 本書のタイトルはズバリ一文字で「顔」。タイトル一字の本というのはミステリー作品のなかでも意外と珍しいのではないか。横山作品では本書が初めてだろう(森村誠一の作品には、『駅』や『窓』といった一字タイトルの諸著作がある)。

 主人公は、『影の季節』に所収の「黒い線」で登場した23歳の平野瑞穂婦警。彼女はかつて鑑識班で犯人の「似顔絵」作成を主たる任務としていたので、これがタイトルの由来である。似顔絵作成は犯人の「心の闇」を描くことである本書の触れ込みは、見事なストーリー展開と文体によって、十分に堪能できる。絵画教室で絵の技法を学ぶにとどまらず、平野は「少し背伸びをして、絵の心のようなものを吸収したいと自分なりに心掛けていた」(146頁)。

 簡潔で、しかも温かな余韻を醸し出すプロローグとエピローグは、本書の「閉じ方」として申し分ない。プロローグにおける、小学校1年時の平野瑞穂の夢である「ふけいになること」はその後実現し、典型的な男性社会における幾多の壮絶な困難を果敢に乗り越えてゆく彼女のバイタリティ溢れるストーリーが展開されていく。「直接の被害者だけでなく、思いも寄らないところにまで不幸の波紋を広げ、多くの大切なものを踏みにじる」(212頁)犯罪を憎み続ける彼女の赤裸々な心情も本書全体を通じてリアルに表現されている。

 「心の銃口」という作品は思わず唸ってしまうほどの出来栄えだ。『臨場』では52歳の検視官である倉石義男の活躍を描き、今作では彼よりも約30歳年下の婦警の生き様を描いている。年齢も役職も、何より性別が異なる二人の人物像を照らし合わせた時、横山作品のもつ幅の広さを痛感しないわけにはいかない。なお作者紹介の「顔」は、本書のものよりも、『臨場』における横山氏の「顔」のほうが私は好きだ。三ツ鐘警察著を舞台とした『深い追い』(新潮文庫)も情緒豊かな人間が数多く登場するお薦めの作品である。

・「誇り
横山秀夫氏の「直木賞騒動」とはいったいなんだったのだろう。調べたら分かることなのかもしれないが、わたしはひとつ確信した。結局あれは氏の『誇り』の問題だったのだ。

「男が、自分の中の男をより際立たせようと競い合う警察社会。そうした男たちの誇りを傷つけないように常に神経をピリピリさせながら、婦警は心の片隅で、自分たちもれっきとした組織の一員なのだと声無き声で叫びつづけている。必死で戦っている。」テレビ番組にもなったこのシリーズだし、このシリーズの前の短編も読んでいたので、全編似顔絵婦警平野が活躍するのかと思えば、シリーズ当初から平野は似顔絵担当から外されている。そんな平野が自分の『誇り』を取り戻す。これはそんな物語だ。

横山秀夫氏は常に『誇り』を描いていた。自らは記者として警察署内の『新聞社へのサービス』『新聞記事のコントロールのため』設けられた『記者クラブ』に常駐しながら、きっとも自らの『誇り』を磨きつづけていたに違いないと思う。

・「完成度の高い作品群
似顔絵を描いて犯人逮捕に貢献する「似顔絵婦警」の平野巡査の活躍が、活き活きと描かれた作品である。厳然たる男社会の警察組織で、男尊女卑を公言する上司との間に軋轢を生じさせながらも、職務に忠実であろうとする凛々しい姿は、作中の言葉を借りるなら「若鮎のよう」で読者に好感を抱かせずにおかない。収録された5篇のうち最終篇を除いて、平野巡査は花形の捜査官でなく、内勤者であるが、それぞれの篇の構成は良く練られていて、はっきりとした起承転結の下、しっかりと事件性も帯びている。中でも、婦警が襲われ拳銃を強奪される事件を追う「心の銃口」の出来が抜きん出ている。この作品は、同著者の「陰の季節」の一篇から派生し、独立された作品である。その話の大筋は本書でも説明されているのだが、この作品の前段と言えるものだけに、できれば本書の前にそちらを読んでおきたい。

・「主人公の魅力が際立つ好短編集
横山秀夫氏の警察小説のうちで、本書をナンバーワンに挙げる読者はおそらく少ないだろう。しかし、息詰まる男たちの心理劇を中心とした横山作品の中にあって、女性を主人公に据え、重苦しい部屋の窓を開けて風を通したときのようなさわやかさを感じさせる本書に、好感をもつ読者も多いのではないか。

本書の主人公は平野瑞穂巡査。『陰の季節』の中の一篇、「黒い線」では事件を起こす側として登場する。「黒い線」ではひたすら痛ましさが際立ったが、本書では休職から復帰し、惑いながらも成長していく姿が連作短編の形で描かれる。

瑞穂はごくごく普通の、むしろ繊細な感性の持ち主だ。だから、ハードな環境の中で迷い、躓き、遠回りもするが、その分きっちり前に進む。天性とも言える真実を求める志向性、仕事への静かで確かな情熱が伝わり、その姿は実にすがすがしく、ずっと見守って応援していたくなる。本書はそんな瑞穂のキャラクターで読ませる一冊と言っていいと思う。だがもちろん横山作品、「事件」の方の書き込みも抜かりない。

ラストは、瑞穂の再出発とある刑事の退職という好対照なシーンでしめくくられる。退職する刑事から励ましの言葉を贈られる前に瑞穂が立ち去るあたり、べたついた感動とは無縁の横山作品らしい描き方とも言えるし、瑞穂の自らを奮い立たせるような決意が伺えるようでもあり、胸を打たれるラストになっている。

ひたむきさ、まわり道が格好の悪いことではないと教えてくれる小説でもあると思う。

・「組織との葛藤-輝く個人
本書は傑作である。にもかかわらず評価があまり高くないというのは、他の横山警察小説のレベルが高すぎるからだろう。イチローが「ヒットを打たなかった」らニュースになるようなものだ。作家にとっては損だが、読者にとってはこれにまさる幸せはない。さて、本書でも警察組織と個人の相克が丁寧に描かれる。高度に発達した組織社会である現代日本において、「組織」と「個人」の葛藤は誰にとっても他人事ではない。そして警察という公権力を扱う「硬い」組織において、組織-個人の葛藤はもっとも顕著な形で現出する。その暗色の葛藤の中で、個人の「想い」が色鮮やかに輝くのだ。婦人警官・平野瑞穂の成長物語は、その果実である。あたかも泥土から咲く蓮の花のように。

顔 FACE (徳間文庫) (詳細)

燃ゆるとき (角川文庫)

・「マルちゃんの成功物語
ノモンハンの激戦から生き残った主人公が戦後築地市場の片隅で従業員4人と立ち上げた会社をマルちゃんのブランドで知られる大手食品メーカーへ育てていく成功物語。本書は主人公・森和夫を始めとしてほとんどの人名や会社名が実名で書かれている。あまり良く書かれていない会社名や人名は偽名になっているが、実名の一部をちょっと変えているだけだったりするので誰が読んでもわかる内容になっていて非常に面白い。最も印象的だったのは一流商社によるグループ会社への横暴。テレビ番組のスポンサー名で「○○物産食品グループ」というのをよく見かけるが、商社とグループ会社の裏側にはこんなにもシビアな関係があったのかとちょっと驚いた。会社が大きくなっても自らを「魚屋のおやじ」と呼び、いつもゴム長靴を履いている森和夫の気取らないキャラクターもとても魅力的。

・「会社が成長するさまざまな段階を垣間見れる
「赤いきつねと緑のたぬき」で有名な東洋水産の実名小説である。小さな事務所でたった4人の従業員と仕事を始めた創業期から東証一部上場、海外進出まで、社長の森氏を主人公にさまざまなドラマが展開する。登場する企業名や個人名は実名が多く、それが本書の緊張感を高めている。

大手商社第一物産(現三井物産)、先行大手食品会社(日清食品)などのやくざやマフィアまがいの妨害との戦いがこのドラマの中核にデンと構えている。フェアな競争とは到底言いがたい。ビジネスとは力があるものが勝つ弱肉強食の世界なのだ。

全体を通して、どうして東洋水産が倒産の危機を何度も潜り抜け現在のように輝く大企業として生き残ってきたのか考えてみた。小説でしか東洋水産のことを知らないので考えの元となる材料は限られているのだが、小説を読む限りではやはり経営者森の一貫した経営に対する考え方があるのだと思う。柱がしっかりしているから多少の地震ではびくともしなかったのだ。ベンチャー企業における社長の役割は非常に重要だと思った。

燃ゆるとき (角川文庫) (詳細)

社長の品格 (光文社文庫)

・「あなどっていました
またまた読みました。このテの文庫はたくさん買取が来るので、どんな内容かは気になってはいたのですが、他に面白そうな本が沢山あるので読んでいませんでした。しかし、読んでみてびっくりです。立ち上がりから、個性的なキャラクターを中心に映画のワンシーンをイメージできるくらいの力強い描写でひきつけられます。奇を狙ったものではありませんが、飽きることなく読み進んでしまいます。後半、ややペースダウウンするものの、最後まで「続きを読みたくなる」感じで読めました。早速、自分の店で「清水一行コーナー」を面陳で作りましたが、まったく売れませんでした。読めば絶対面白いのに…アルバイトにも読んでもらったところ、好評でした。少し大人のシーンも出てきますが、意外と女性も読める面白さのようです。三人目の社長がもう少し面白く書かれていたら、星が5つかなと個人的には思います。ですが、絶対お勧めです!!

・「面白い!ただし濡れ場を除く
電電公社が民営分割前にごたごたする頃の話だ。造船会社から抜擢されるのは誰だろう?電電公社の生え抜きの、こすっからい大野とは誰だろう?無能な村井とは誰だろう?主人公の谷村はきっと架空の人物に違いない。

なんていうことを想像しながら読んでいくのが企業小説の楽しみの1つだろう。楽しみながら読んでいけた。

それにしても、毎度思うのだが、清水一行さんは濡れ場が下手。だったら書かなきゃいいのに、練習のつもりなんだろうか?これだけは、謎が解けない。

社長の品格 (光文社文庫) (詳細)

もう一度デジャ・ヴ (集英社文庫)

・「出逢って!!
 デジャ・ヴ・・・村山由佳には珍しい作品だといえるでしょう。いつも苦しい恋が切なく散っていく話の多い中、この作品は一味違います。どこかで見た風景がまさか前世の記憶だとは信じがたいお話ではありますが、この作品では現代と昔の物語が交互に語られ、そのスピード感に一気にのめりこまされます。

 一途な気持ちが次の世代に受け継がれていくことがとてもロマンティックなことのように思えた一作です。

・「村山さんの処女作
この作品を書いた時は、まだ、物書きとしての心構えもできておらず、若書きだと、村山さん本人が後書きで書いています。

ストーリーは、凝っているとか、オリジナリティを感じる作品ではなく、何処かの映画で見た事があるような気すらしますが、女性の視点から書かれた、男性主人公の感情などは、今の作品にもつながる、村山さんらしいものだと思いました。

ストーリーに入りやすく、読み入ってしまいました。簡潔に言って、面白かったです。

現在と前世の物語が各章で交差しながら進むので判りやすかった。

エンディングも、その先の物語を読みたくなるようないい終わり方だった。

・「激しい恋と人生の運命に同情と憧憬を同時に抱いた
今の時代には考えられないような激しい生き様と厳しい世を舞台に、繰り広げられる恋の切なさと激しさに圧倒された。今の平凡な日常には想像もできない壁を何度も何度も、時代を超えて打ち破ることの積み重ねがあるからなのか、その愛情の深さに痺れを感じる。

完全に非日常的な舞台を設定しているが、どんな年齢の読者が読んでも、男性が読んでも女性が読んでも、こんな時空を越えた旅に憧れるのではないか。そこにあるのが本物の恋なのか、そこに理屈はない。

読み終わった直後、主人公たちの運命に祈りを捧げずにはいられない同情にも似た思いと、彼らの運命に対する憧れが胸一杯に広がっていた。本当の恋を体験することは、幸せなのか苦しみなのか。

こんな、デジャ・ヴを目の前の恋人に感じるならば、あなたは最高に幸せなのかも知れない。いや、切ないまでの苦しみがこの先に待っているのだろうか。

・「珍しく・・・。
村山由佳の本にしては、珍しく(?)ハッピーエンド(?)の作品です。他の作品に比べたら、まだ初期のころの作品だからというのもあるのでしょうけれど、なんだか若々しい、新鮮な感じのする作品です。けれど、やっぱり初期作でも村山由佳に変わりはなしって感じです。

読み終わったあと、やっぱりいつものようにじ~んとしてしまいました。さわやかに感動できる話です。お勧めです。

・「運命とか
「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズにもちょろっと登場する矢崎武志くんの物語。村山さんご自身があとがきで述べているように「若書き」です。戦国時代と現代とで話しが交互に進められ、中々スピード感のある作品です。「あと数ページで終わってしまう」と思うと集中できなくなったくらい、主な登場人物に愛着を抱いてしまいました。「天使の卵」ほどの心理描写はないのだけど、どこか新鮮な感動を与えてくれます。

前世とか、運命とか。私はちょっと信じてみたくなりました。

もう一度デジャ・ヴ (集英社文庫) (詳細)

あざやかな退任 (新潮文庫)

・「筋立てとしておもしろい読み物ではあるが!?
最高傑作、と佐高信が書いているが、確かに物語りの展開が巧く短編の切れ味である。ただし、金融腐蝕列島のようなオドロしい世界に触れた読者としては、最高傑作と呼ぶかどうか。筋立てとしておもしろい読み物ではあるが・・・。

・「サラリーマン役員の苦悩が良くわかる。
いつまでたってもサラリーマンには出世願望が消えることはないのだのと言うのがこの本を読んだ正直な感想です。その出世願望と会社の将来(特に自主独立路線か子会社化かの選択)との狭間で苦悩する大手部品メーカーの副社長の姿が実によく描写されています。

「失うものがない者ほど強いものはいない」とよく言われますが、サラリーマンにとっては自分の地位(役職)を一番失いたくないのだと再認識させられました。そして失うものを手放した瞬間、冷静な判断が出来るものなんですね。将来、もしかして自分がこのような立場になったときどのように行動するのだろうかと考えさせられました。

あざやかな退任 (新潮文庫) (詳細)

星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)

・「力量があります
六編の短い小説は、それぞれ別の人物が主人公になっている。最初は暁(あきら)、次は暁の下の妹 美希。 三作目は上の妹 沙恵。 四作目は暁の兄 貢、五作目が貢の娘 聡美、最後が暁の老父 重之。

暁と沙恵は戸籍上は義兄妹。 そう信じていたから ふたりは恋人として結ばれた。ところがそうではなかった。妹は暁の義母となった人の連れ子であるが、実は義母が父の愛人であった時にできた子供だった。義母から本当のことを知らされ、暁は逆上して家を飛び出したきり戻ってくることはなかった。

この大事件は十数年前のできごと。 義母の葬式をきっかけに一同が再会し、焦点をずらしながら、ひとりひとりの現在と過去のアルバムがめくられて行く。

最初は渦中の兄と妹の物語に気をとられてしまうのだけれど、読み終わってみれば最終章の 父親・重之の物語に尽きる。村山由佳のように若い人が(1964年生まれ)、太平洋戦争をテーマにこれだけの内容を書いたことに素直に感動した。彼女はこの最終章によって直木賞を受賞したのだ。今の時代、等身大のことだけを書く女流作家が多い中で、たいしたものだと思う。わたしはこういうごっつい作品を書く人が好きだ。

・「完成した未完成
読み終わってもしばらく、この作品の世界観から抜けられない。私にとっては、それほど心動かされる作品でした。ただ一言 オススメです。

・「数珠つながりの短編
父親の再婚で継母の連れ子としてやってきた妹と恋愛関係に陥る兄。実はその妹は父親が継母と不倫していたときに出来た子どもだと知り、近親相姦に悩み妹と別れ、別の女性と結婚する兄。話は、そこから始まっている。だがこの話はその兄妹の話がメインではない。過去の恋愛感情をいつまでも引きずる兄(次男)妹(長女)、イマイチ鈍臭くて会社の女の子となんとなく愛人関係になってしまう長男、不倫中の次女、美人の親友に好きな人を取られてしまった長男の娘、戦時中に従軍慰安婦を愛してしまった父親。バラバラな話が、つながっていく。

もちろんひとつひとつを短編として読んでも面白い。ただ、短編として読むとあまりに救いが無いように思う。

物語は最後、完結していない。その後登場人物たちはどのように動いていったのか、気になる終わり方だ。そこまで動いていける登場人物の作りこみは素晴らしいと思う。「直木賞」と納得できる作品。

・「時間をかけて染みこんでくる作品
天使のシリーズのようなキラキラ光るまぶしさはないけれど霧雨が静かに庭の土に染みこむような感覚に浸れる作品。

ぞれぞれの問題を抱えながら生きる家族を、それぞれの立場で描いている。短編集という解説だけど、全体を読めばこれは「家族」という一つの物語であることに間違いない。

家族の誰もが、何かを求め、何かに傷つき、何かを失っていく。けれど、やがて目に見えない何かを手にしているような気がする。一見、ばらばらに散ってしまったような家族だけど、何かに傷つき打ちひしがれたとき、自然と足が向くところが家族の住む家。特別な家族のようであるけれど、以外と何処にも存在する家族なのかもしれない。

物語は終わってしまったこれど、この家族のその後を無性に見てみたい。この後には、何かしら心が休まる暖かいものが待っているような気がする。いい作品だと思う。

・「読み応えのある一冊
村山由佳さんの作品は何作か読んでいますが、中でも本作品は硬派で重みのある読み応えある一冊だなぁと感じました。6つの物語は、家族の中のそれぞれが主人公となった独立した形で描かれており、短編的な楽しみ方ができます。家族各人が抱えている禁断の恋、不倫、いじめ、戦争といった問題を扱っていながら、どこかで希望の光が差し込むような展開に心救われる思いがしました。決して解決を見出した結論には至らないものの、それでも生きていくんだという主人公達の意思が意思が伝わってきます。

星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫) (詳細)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

・「駄作/名作
村上春樹の小説は「駄作」か「名作」かという両極端な評価に分かれることが多いようです。本作もその例に漏れることなく、やはり評価は賛否両論ですが、事実として「ノルウェイの森」は、ノーベル文学賞候補に毎年選ばれるほどの作家の代表作であり、世界の各国でベストセラーになるほどの小説であるわけですから、本質的に「名作」なのか「駄作」なのかはさておき、それだけの「魅力」が、小説内のどこかにあることだけは誰にも否定できないことでしょう。

「駄作派」の人たちには、夏目漱石や谷崎潤一郎などの、日本文学の名作と呼ばれる小説に数多く触れ、読書経験が豊富で、いわゆる「文学通」といわれる方が多いようです。否定の方法も、「展開や登場人物の行動に根拠がない」や「過去の名作のような深みがなく薄っぺらい」など、自分の文学観に照らし合わせた意見がほとんどで、平たく言ってしまえば「私にわからないのだから、面白い訳がない」という気持ちが、「駄作派」の大部分を占めている本心のような気がします。逆に「名作派」の人たちには、あまり文学に詳しくない方が多いようで、「何だか分からないけど、面白い」という無邪気な感想が頻繁に見受けられます。

ここで注目したいのは、文学に詳しい人たちは小説の魅力を理解できず、そうでない人たちには、理解できるという、逆転の現象が起こっていることでしょう。

とにかく「駄作派」の、否定の調子の激しさはすごいもので、留まるところを知りません。もはやそれは悪意と言ってもよいほどで、その矛先は作品を飛び越えて、著者本人、果てには、小説を肯定する読者にまで及ぶ勢いです。しかし「名作派」の人たちは、とりたててそれに反論する様子もなく、自分の周りに壁を張り巡らせて、ひそっりと、ひとりで小説を楽しんでいるような、そんな風情です。そこには、まさに、「根拠のない悪意」と「自閉」という、村上春樹の小説世界そのものの図式が浮かび上がってくるようです。

村上春樹氏は「日本文学には残念ながら僕が求めているものはなかった」というニュアンスのことをどこかに書いていますし、人の情念をどこまでも深く追究して表現しきる、日本文学の伝統ともいえる名作の数々には、確かに惚れ惚れするものがありますが、単に、著者はそこを目指してはいない、ということでしょう。「駄作派」の方々には、著者が表現しようとしているものは何であるのかを汲み取ろうとするやさしさが、もう少しあってもいいように思いますし、「名作派」の方々には、自分を惹きつけるものは一体何なのか知ろうとする意志を持ち、「駄作派」の人たちの土俵に、多少なりとも歩み寄ろうとする、そんな勇気も必要なのでは、と思います。そして、ちょうどそのあたりにこそ、村上春樹の表現したいものも、あるのではないでしょうか。

・「小説としての質は高い。好悪は人それぞれ。
わかりやすく読みやすい文章、アメリカの近現代小説を連想させる写実力、日本の純文学から受け継いだ細やかな心理の扱い方、時折りみせる劇的な場面転換、巧妙に織り込まれている比喩や暗示。

主要な登場人物はもちろん、脇役であってもきちんと個性が定められていて、流れの中でムダなく配置されている。また、テンポの緩急もよく、場面設定やそれぞれのシーンの並べ方も上手い。音楽や小説やアルコールなどの小物の配置も、独特のリズムと雰囲気を作るのに役立っている。

著者の小説家としての腕の確かさを実感できる作品という点で、質の高い小説だといえる。ついつい、夜更かしして読んでしまった。

作品に対する好き嫌いというのはまた別。小説というのはどんなものであっても基本的に娯楽作品であって、最後はそれぞれの読み手の嗜好や好悪が評価を左右する。ただし、作品としての質は高い。私はそれなりに面白く読めた。

尚、この文庫版はサイズに比して字が読みやすい。

・「ノルウェイ
この本に出会ったのは今から20年前、ちょうど高校生の頃だったけど、読んでいて衝撃をうけたのを覚えています。また最近読み返してみたが、色あせるどころか、さらなる鮮明さをもって再び心にうったえかけてくれました。ふと考えてみると、今の自分は小説の中の現在のワタナベ君と同い年なんだなぁと個人的な感傷も覚えたり。僕の周りでは結構直子が嫌いっていう人、特に女の子が多いのですが、僕にとってはなんていうか、直子という存在は硝子の器のように儚いものの象徴のような気がして、読んでいるととても悲しい気持ちにさせらます。最近映画化の話が出ているが、個人的な感想としては直子はぼんやりとしていて現実味がない、儚い象徴なので映像ではっきりと写されるときっと違和感を感じてしまうと思う。ゴダールか誰が言った言葉だったか忘れたが、映像は色あせるが文章は色あせないという言葉を聞いた事がある。僕の中ではきっとこの本はこれから20年先、40年先と生き続けていくものになると思う。

・「見方を変えて
以前は村上春樹の事があまり好きではありませんでした。しかし、外国人の友人がたびたび彼の作品について聞いてくるので、約15年ぶりに本書を読み返しました。読むにあたって、1.登場人物中誰が一番好きか?(はつみさん)2.誰が一番悲しい人物か?(ワタナベくん)3.誰が一番自分に近いか?(ナガサワ)とあらかじめ自分自身に課題と設けました。マーラーや、グレートギャツビー、マルボーロといった、少し不自然な小道具にも気付きましたが、見方を変え、ある意味、分析するように読み返してみると、(年齢を重ねたせいもあるでしょうが)本書は実に悲しい物語である事に気付きました。この物語を悲しくさせた一番の理由は、ワタナベ君と直子との恋が成り立たないことは始めから解りきっているからです。恋とは努力して成就させるものではないことは誰もが知っているはず。そのワタナベ君の努力は義務感から来るもの。そういった意味では、二人の間には始めから恋愛感情など存在しなかったのかもしれない。そういう物語を久しぶりに読み返して、15年前とは違った印象を持った。

・「高校生の時に読んで
受験前の18歳の時、(80年代後半)ただ、当時ベストセラーになっていた話題の作品というだけで読みました。最初は「受験勉強の合間にちょっと読んでみよう」そんなつもりで購入したのに半日で一気に読み終えてしまいました。この本を読んだ後に襲ってきた虚無感のようなものは・・今でも正確に言葉で言い表せません.何度も読み返しますが、歳を重ねるごとに微妙に感じ取るものは違ってくるけどまさしくパーフェクトな作品だと思っています。

18歳の時に読んだときはとにかく3日ほどは学校にも行けず、誰とも話したくなかった。(別にもともと引きこもり気味ということもありませんでしたが)自分を形づくっていた「何か」がすっぽりとなくなってしまったようなそんな感じ。子供の時から現在でも年間かなりの量の本を読みますが読んだあと、あんな風になったのはこれっきりです。村上春樹の本は全部読んでいますが他の作品を読んでもそうはならない。ついでに言うと最近よく「ベストセラーになった恋愛小説というだけで」比較される「世界の・・・」も読みましたがもちろんあの読後感はありませんでした。世界・・が悪いというのではなくって。また、全然違うものなので比較すること自体いかがなものかと思いますが。

余談ですが、村上春樹好きの人には「象が平原に還った日」がお勧め。ノルウェイの森についても思わず納得の解読がされています

ノルウェイの森 上 (講談社文庫) (詳細)

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

・「内容よりも雰囲気を訳した作品
私は現在アメリカのロスアンゼルスの高校三年生ですが、此処では「グレート・ギャツビー」は必修科目です。高校三年の英文学のカリキュラムはアメリカ文学史。ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、スタインベックと進んでいきますが、その中でも一番重点を置かれるのがこの「グレート・ギャツビー」。私が村上訳を読もうと思ったきっかけは、私の英語の先生が「日本で有名な作家のムラカミという人がギャツビーを訳したが、それはとてもいい訳だとウォールストリート・ジャーナルで読んだ。是非読んでみないか?」と進めてきたからです。

三島由紀夫を英語で読んでもいまいちなように、フィッツジェラルドを日本語で読むなんて!と最初はあまり乗り気ではありませんでしたが、「ノルウェイの森」や「海辺のカフカ」など他の村上さんの作品は愛読していたので、「まったくイメージが違ったとしても、『村上の作品』として読めばいいかな」と思って注文し、読んで見ることにしました。

原文でかなりの衝撃を受けた私ですが、この訳にはさらなる衝撃を受けたといわざるを得ません。訳が見事なのはもちろんですが、あらゆるギャツビー関連のエッセイを授業で読んだ上で、なんともいえない解釈の深さに驚きました。言語が違ってしまうと醸し出す雰囲気も当たり前のように変わるものですが、村上さんの描くギャツビーは、まさしく僕のイメージのギャツビー、いや、アメリカで学ぶフィッツジェラルドの描こうとしたギャツビーそのものなのです。

ただ単に、筋が通るように語句を並べて訳しているのではなく、フィッツジェラルドの原文に等しい「雰囲気」を作り出すように丁寧に言葉を選んでいるのが伝わってきます。もちろん数箇所は「ここは(作り出す雰囲気が)原文の通りじゃないな?」とか「あれ、此処は意味が隠れているはずなのにな?」と思うところもありますが、それ以外は「もしかしてフィッツジェラルドって日本語も書けたのかい?」と思わず唸ってしまうほどの出来です。

ヘミングウェイやカフカの和訳でよく見られるように、訳された作品には「内容」を重んじたものが多いです。つまり、同じストーリーは伝わるのですが、そこから感じられるイメージ、雰囲気、感情の揺らぎなどはなかなか伝わりません。和訳を読んでから原文を読んだり、その逆をしたりすると「あれ?このキャラクターってこんな風に思っていたんだ」と驚いてしまうことが多いです。

しかしこのギャツビー、全てのキャラクターが、原文と同じように考え、行動し、会話や動きからは原文と同じ雰囲気を作り出してくれます。これはもう、神業です。かなりのギャツビーファンとして、映画版も何バージョンか観ましたが、それよりもこちらのほうがより正しく、よりフィッツジェラルドらしいムードを作り上げてくれます。

原文を読んだことある方も、「いい作品と聞いていたけど、結局は訳だからなぁ……」と悩んでいる方にも、是非是非お勧めです。

唯一気になる点は、「Gatsby」は「ギャツビー」ではなくずっと「ギャッツビー」だと思っていたところですかね。人によって発音は違うみたいです。アメリカでは後者が主流。(笑

以上、文学ヲタによるレビューでしたっ。

・「「この世の中の人がお前のように恵まれているわけではないことを、ちょっと思い出してみる
いわずと知れた「失われた世代」の作家フィッツジェラルドの代表作。はっきりとした起承転結、絡み合う人間関係、伏線と予定調和、そして状況描写→心理描写→風景描写と続く叙述――いわゆる普通の小説らしさをきっちり備えたこの本の傑出したところは、印象的な風景描写と物語との相関性、そして視点人物にあると思います。

多くのシーンが、あらゆるものが金色に染まる夕刻から始まり、喧騒と孤独な夜へ、そして全てをあからさまにする朝へと描写される様がそのままストーリー全体を象徴しています。その描写一つ一つがとても美しくも儚い。例えば、「夕映えの色は褪せ、彼女の面からも、黄昏に楽しく道路から去っていく子供のように、あとに心を残しながら刻々と光は消えていった」

この小説の最大の特徴は視点人物のニック・キャラウェイの存在にあります。彼の冷静でいて達観したかのような叙述が特徴的で、また彼が経験を重ね成長するにつれ、事件や人物に対する印象が少しずつ変化していくのも読み取ることができます。ひと夏にして豪華・壮麗と虚栄・孤独を目の当たりにしながら、最後に彼はこの父の言葉の意味を知ることになります。最後まで読んでみて下さい。

・「傑作!
語り部である"私"が、はじめてギャツビーを見かけるところ。夏の夜、海の入り江の向こう岸に向かってギャツビーが手を広げて震えている場面。"私"は、彼が見ている方向を見ても、一つの小さな緑色の光が見えるだけで他には何もなかったという下り。素晴らしく印象的で、ギャツビーの性格、そしてフィッツジェラルドという作家の本質を良く表していると思います。失ったものを取り返そうとする焦燥感。上辺だけの嘘。空虚な人間関係。無気力さ。悪。そして激しい恋心。そういった要素が浮かんでは消え、気怠く展開していくこの話を何回読んだのかな。Matthew J. Bruccoliが序文を付けたこの版では、何バージョンかある原稿の中から、フィッツジェラルド自身が最終原稿としてまとめたもの。つまり、彼自身原稿を何度も何度も書き直しているということであり、この本こそ彼の最終原稿であるという訳です。フィッツジェラルドの著作の中では、構成力と登場人物の性格づけという意味においても最高傑作かと思います。大推薦!

・「素晴らしいかもしれない
 野崎訳の同書を読んで、なんとなくその素晴らしさをわずかに感じていました。でも、それがどういうことなのか分からない。フィッツジェラルドの来し方に触れるものであるということは間違いない。でも、そこに何があったのだろう?そう思って野崎訳を数回読んだものです。 そして、今回村上春樹訳の本書が出るということで期待して読みました。前々から、村上さんは「グレート・ギャツビー」を翻訳したいと色々な場で言ってましたし、「ノルウェイの森」にも出てきました。それを知っていたので、「いよいよ来たか」という感じでした。 読んだ感想としては野崎訳とは違うものでした。とにかく読みやすい。意外に古い作品なんだってことを再認識させてくれました。今まで、そう思わせなかったのは野崎孝という翻訳家の才能によるものでしょう。 ニック・キャラウェイの立ち位置、ジェイ・ギャツビーの悲哀、すべてが解けるように僕には感じられました。そういうことだったのか・・・と。 同時に野崎訳とのズレもあります。それは致し方ないことです。英語で書かれた文章を完璧に移し変えることなんて不可能なんです。しかも、時代も違う。それに耐えうる作品が名作として残るんですよ。 「グレート・ギャツビー」は劇的な感想は抱けないものだと思います。しかし、じわじわとくる印象があります。読者が経験することによって、「こういうことだったのか」という不思議なシンパシーめいたものを感じることの出来る作品だと思います。想像以上に深い作品だなと改めて思い知りました。 でも、この作品の本質というか、全体的な「これはこういうことだ!」という感想が抱けないんですよね。これは決して悪いことではありません。逆に可能性を感じるくらいです。それは作者、訳者の責任ではなく、読者の責任でしょう。 この作品をちゃんと理解できるようになりたいです。

・「最高の曲を、天才がアレンジした音楽
言わずと知れた、村上春樹さんによる翻訳の話題作です。村上さんは、これまでにも様々な海外小説(特にアメリカ小説)を翻訳なさって、紹介されていると言うことです。僕はハルキストといかないまでも、村上さんの小説は大好きで、沢山読んでいましたが、正直翻訳された小説は読まないできました。というのは、村上春樹はオリジナルの小説家であって、人の小説を訳すサブの仕事(翻訳者の皆様すみませんm(__)m)には向かないのではないか、村上春樹が訳せばどんな作品も村上節(?)になってしまい、原作を楽しむといった意味では、プロの翻訳家の方のものを読んだほうがいいのではないか、と勝手な独り決めをしていたからです。それでも今回「グレートギャツビー」を読むにあたって、村上訳を選んだのは、同じく村上訳で先行して話題となっていた「キャッチャーインザライ」の訳業より本作のほうが評価が高かったようだからです。(「キャッチャー…」は「これは原書とは違う、村上作品である」との評が目立ちました。)

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー) (詳細)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

・「数学の内面の暖かさ
今までに数学的な読み物をたくさん読んできましたが、小説はあまり読みませんでした。前に、子供達が数学を使って怪獣に向かう内容の[数のモンスターアタック]という物語を読んで、互いに助け合っていく心暖まる思い出があります。しかし、それ以外は数学的な読み物で心暖まる本は読んだことがありませんでした。[博士の愛した数式]は小説だと思って今まで敬遠してました。ようやく最近になって読んで、この本もとても心暖まる数学的な読み物だとわかりました。でも、前の本とこの本を比べて何か違うと感じて考えました。前の本は数学を応用して怪獣に向かうところに助け合う暖かさがありますが、この本は数学の内面にある暖かさを表現していることに気づきました。これができるのは数学者では無理な感じがして、すばらしい文を書く力のある小川洋子さんしかいないと感じました。さらに付け加えると、小川さんは数学をよく勉強したからこそ、その内面の暖かさを現せたと思いました。筆の力のすごさを心から感じます。小川さんの新聞連載の童話も大好きです。

・「感動しました。
陳腐なタイトルですみません。この本は、タイトルから、堅いお話をイメージしており、読むのに気合が居るかもと後回しにしていた本でした。今日、ふとしたことで読み始め、最初から、「博士」の存在感を叩きつけられた感じがしました。

タイトルから連想できるように、ところどころに数式が出てくるのですが、数学が嫌いな人でも興味深いと思える解説を、「博士」がしてくれます。

この「博士」は若いときの交通事故のため、記憶を80分しか持つことができません。例えば家政婦さんが買い物に出かけ、戻って来るのが81分後だとすると、彼女のことは忘れてしまうのです。

「博士」の元に通う家政婦さんとその息子さん、そして博士の義姉・・この人たちが、博士のもっとも愛する「美しい素数達」のような存在で、博士の周りに位置しています。

自然に、数式で自分の気持ちを、的確に伝えようとする博士。それを理解しようとする人々。このような話を書かれた小川洋子さんを、改めて尊敬し、このような物語を読めたことを感謝します。

最後に。小説を読むと言うことは、数式を理解すると言うことに、似ているのかもしれません。

・「博士の愛した数式
数学を、小説のなかに、取り入れたという着想に、まず乾杯!それをルート母子に伝える記憶が80分しか続かないという天才数学者というキャラクターを作り上げた小説家のイマジネーションに脱帽!

博士という人は、現実世界のなかでは、ちょっと存在しにくい人だ。記憶が80分しか続かないという破綻を与えてこそ、無垢な人物像としてありえるのだと思う。

しかし、この博士のもとに派遣される家政婦母子にとっては、80分しか記憶が続かない博士と過ごすことは、障害にはならない。きらきらした時間を、与えられることになる。博士の記憶には残らなくても、その過ごした時間は、二人には永遠の時を刻む。

この作品は、どんなに現実が煩雑で面倒でも、数式のように清らかに存在する真理があり、時を超越して普遍的なものがあることを教えてくれる。

清らかで美しい日本語の紡ぎだす世界は、とってもオススメです。

・「再読
初めて読んでからはや3年あまりたちまして、今回、小川 洋子の「物語の役割」筑摩新書を読んで、読み返しました。 初めて読んだときはたいしたことのない小説だとおもいました。特に、感動もせず、ありきたりのような話だとおもい、第一回本屋大賞受賞作のレベルを疑いました。 今回、新しい視点の基に本書を読み返すと、自分が物語の中に入っていなかったことを実感しました。初読では、何か外側からしかこの物語に参加できていなかった自分を発見することができました。著者の記憶が80分しかない人間とのかかわりの設定に人間と人間が本当に人生の一瞬、一瞬しか出会えないということの気づきを感じました。果たして、私には通常の記憶があるが、私は大切な人は物に出会う準備と集中力、静けさを感じる感受性をはぐくめているのだろうかと考えさせられました。3年前はこの本のよさがわかる心がまだ、私になかったのだと思いました。一切の派手さはない小説ですが、心に残る行間があると思いました。

・「暖かく静かな時間
私にとって小川洋子さんの作品はこれが初めてです。その一行目から引き付けられ、一気に読みました。読んだというよりは読まされたと言うべきでしょう。主な登場人物は事故で記憶する能力を失った「博士」、シングルマザーの家政婦「私」と息子「ルート」、博士の義姉の「未亡人」。おお、忘れてはいけないのは阪神タイガース、江夏豊、背番号28。です。小川さんの文章はとても簡潔です。読む人の五感に刺激を与え、目の前に見せてくれます。博士が着ている古ぼけた背広の肌触り、その背広にクリップで留められた記憶代わりのメモ用紙の大きさ、めくれ加減。「私」が作る夕食の味。雨降りの土の匂い。そして心への刺激。小川さんの文章には常に暖かく静かな時間が流れています。普通の生活の会話には決して出てこない「数学」という非日常の言葉が逆に日常の営みや感情をゆっくりと際立たせます。ひとり一人の人物は優しく、心の中には悲しみを持ちながらも前を向いて生きています。(「ルート」君はちょっと出来すぎ。私もこんな息子が欲しい!)人生には別れは付き物ですから最後の数頁は涙で文字がぼやけて大変でした。けれど悲しいというのではなく、愛しい切なさというのでしょうか。この作品を原作とした映画が封切られます。この暖かい静けさがそのまま生きていてばいいなあと思います。巻末の、数学者である藤原正彦先生の解説も、とっても気が利いています。

博士の愛した数式 (新潮文庫) (詳細)

イン・ザ・プール (文春文庫)

・「読者に「自分にあるかも!」と思わせる本
自意識過剰、神経過敏な現代人が、ちょっと踏み外すと、ここに出てくる「患者」になってしまう。

思わず読んでいて「自分を気をつけなきゃ」と思わせるような、ちょっとした現代人の心の狂いを、おもしろおかしく指摘してくれます。

ぜひ現代人のみなさんに読んでほしい。この本を読めば、自分の心の病が重病になる前に気づけるかも。

・「伊良部総合病院の神経科はなぜ空いているんだろうか?
 まさに「患者さん、いらっしゃーい!」の世界だ。本書は、第2弾『空中ブランコ』で第131回直木賞を受賞した奥田氏の「伊良部シリーズ」の第1弾。順序を逆にして読んだせいか、こころなしか伊良部一郎神経科医の奇形な言動ぶりにはまだ「抑制」が効いているような印象である。それにしても、本書で扱われている神経的・精神的症状に悩んでいる人は多いのか、「なるほど、そういう症状もありそうだ」と思えるものばかりであった。

 精神科医は患者の症状を丹念に聴きそれに応じた処置を講じるのであろうが、この伊良部医師はカウンセリングを全く信用しておらず、患者には想像もつかないきわめて大胆な治療法を自ら実践してゆく。そこに「迷い」や「躊躇」の念は皆無である。「伊良部の精神科医も天職だ。人を深刻にさせない天性のキャラクターだから」(278頁)という文章にはまったく同意する。この医師と付き合っているうちに、自分が抱え込んでいると思っている症状や悩みそれ自体が、もしかしたら「馬鹿らしい」とみなせるようになるかもしれない。それを伊良部医師が「計算」しているとはとても思えないのだが。

 さて本書も第2弾と同様に計5作品が所収され、多様な症状をもった患者が「地下1階」の神経科を訪問する。総合病院であり外装はそこそこ綺麗なのだから、本来は患者でごった返す状況が予想できるはずだが、この神経科を訪問する患者数はきわめて少ないようだ。訪問患者もあらかじめ選抜されているかもしれない。伊良部医師と対等に付き合うだけのエネルギーと覚悟が要求されているように思うからだ。ここを訪問した時点で症状はすでに治っているんだろうか。本書では伊良部一郎医師の素性や性格が克明に描かれており、かえって「逆読み」効果によって彼により多くの親近感を抱くことができた。伊良部医師を生み出した奥田英朗氏の作家という仕事もおそらくは天職なのだろう。注目の1冊である。

・「まさに怪作
まさに怪作である。この作品は、すごく好きな人と、全く受け付けない人の二通りにわかれるとおもうが、私にとっては「ハマッタ」作品である。とにかく、主人公の精神科医・伊良部のキャラクターがよい。ひたすら笑わせる小説でありながら、泣かせる(?)ツボをおさえている。作者の代表作「最悪」「邪魔」とは、全く違った路線の作品でありながら、文章展開のうまさは両群の作品に通じるものであり、本作品ではあらためて作者の才能を痛感させられた。

この作品では惜しくも受賞は逃したが、続編の「空中ブランコ」で見事直木賞を獲得した。

・「奇想天外な精神科医「伊良部一郎」
舞台は「伊良部総合病院」地下1階の「神経科」そこで「いらっしゃーい」という甲高い声とともに患者達を迎えるのは、色白で太った医師「伊良部一郎」ただこの伊良部先生、「医学博士」という肩書きを持ちながらも、「本当にお医者さん?」どころか「本当に大人?」と思わされるような言動、行動。神経科の治療というと思い浮かべる「カウンセリング」を一切せず、非常に独特な方法で患者と向き合っていきます。とはいっても、先生本人は、意図的にその「独特なな方法」をとっているとは到底思えず、それが「奇想天外」であると同時に「実は天性の「精神科医」なのかもしれない」と思わせたりもします。そして登場する患者達にとっても、読んでいるこちらにとっても、最終的になぜか憎めない存在になっているんですね。この「伊良部シリーズ」の第二作『空中ブランコ』も読みましたが、こちらの方が伊良部先生の言動、行動がまだ抑え目ですね(こちらだけ読むと「これで本当に抑え目なのか?」と思われるかもしれませんが)また患者達の症例も、学生、会社員と、誰でも起こりうるものばかりであり、患者それぞれの話が短編として5つ収められていますが、「神経症」の症状まで行かなくても大なり小なり似たような悩み(人間関係とか)を持っている方にとっては、「こういうのあるよね」と思いながら読め、最終的にある種の癒し効果もある1冊だと思います。

・「大笑いしながら読んでください。
 「あり得ないっ」、「うそばっかりっ」、「そこまでするかっ」と叫びつつ、大笑いできる本です。伊良部せんせいのような精神科のお医者さんがいたら……絶対かかりたくない(笑)。続編も快調ですが、「町長選挙」はちょっとトーンダウンかな。理不尽な世界に笑える方には、ぜひぜひお薦めします。

イン・ザ・プール (文春文庫) (詳細)

空中ブランコ (文春文庫)

・「日常に疲れた人に
小説を読んでこんなに笑ったのは久しぶりだ。人間みんなどこか可笑しなところがあるよね、というユーモアに溢れた人間賛歌。

飛べなくなった空中ブランコ乗り。尖ったものが苦手な先端恐怖症のヤクザ。義父である教授のヅラをはがしたくなる医師。ボールが投げられなくなったプロ野球選手。過去に書いた小説と同じ小説を書いてしまうのではないかと、気に病む女流作家。

それぞれの登場人物たちは、自分がどこかおかしいのではないかと思って伊良部総合病院の神経科のドアを叩く。しかしそこにはそんな患者たちよりもっとおかしい精神科医、伊良部がいるのである。

丸々と太った体、子供のような言動。伊良部に振り回されるうちに、患者たちはやがて、まわりの人たちも自分と同じような悩みを持っていることに気づく。こう書いてしまうと陳腐かもしれないが、実際狭い世界にいると、本当ならこだわらなくてもいいような部分に固執してしまうのはよくあることだ。僕自身もしばしばそうなる。

このおかしな医師、伊良部はそんな行き詰った人たちの視界をほんのちょっと広げてくれるのかもしれない。日常に疲れた人に、ぜひおすすめしたい一冊である。

・「医学博士の伊良部一郎はもしかしたら「人間博士」かもしれない!?
 伊良部総合病院の神経科医である伊良部一郎を主人公とする人気シリーズ第2弾。神経科医を軸に組み立てた作風はとても斬新で、表題作の「空中ブランコ」を含む計5本の作品はいずれも面白く(個人的には、特に「ハリネズミ」と「義父のヅラ」が実に印象的であった)、思い切り笑わせてくれるものもあれば、思わずホッとするものなど、味わいに富んだ作品ばかりである。本当に一気に読ませる内容・文体であり、文句なしの「星5つ」の著書である。

 神経科医を主役とした作風それ自体に最初は違和感を抱く読者もいるかもしれないが、軽快な話の展開構成に自然と本書の魅力に惹きこまれるのではないか(「趣向」が合わないと感じる読者もいるから、本書の評価は割れるだろう)。誰もが神経的・精神的な「病」を抱えているといっても過言ではないこの現代社会において、本書に登場する奇抜な思考・言動を惜しみなく披露する伊良部医師は、一服の「清涼剤」的な存在感を十二分に醸し出している。あまりの荒唐無稽さに、患者のほうが「自分こそ医者ではないか」と思わせるくらいだ。こんな医者がいるとは思えないが、どこかにいてほしい類いの医者だ。治療していないようで実際のところは治療している。とにかくこの医師は「ただもの」ではない。白衣の名刺に付けられた「医学博士・伊良部一郎」の「医学博士」の隣に、「人間博士」と付け足したい気分である。

 本書のメッセージは、やはり「(とくに)心の病を治すのは自分である」ということになろうか。伊良部はそれを大胆な言動を通じて遠回しに患者に気付かせているのだ。なお「人間の宝物は言葉」であり、「その言葉を扱う仕事に就いたことを、自分は誇りに思おう」(281頁)という最後の作品「女流作家」における女性作家の言葉は、まさに作者自身のそれであろう。伊良部病院の神経科が「地下1階」にある理由も私には理解できた。伊良部医師の今後の活躍が楽しみだ。

・「前作よりもやわらかく
伊良部総合病院地下にある神経科。訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。シリーズ第2弾。

その患者たちの行動は確かに異常なのだが、ある程度は共感できてしまう。私たちが誰もが少しは抱えているであろう異常を、エスカレートさせたにすぎない。

そして精神科医である、主人公。その破天荒な行動に、患者は翻弄される。P193「無駄だって。話して治るなら、医者はいらないじゃん」このセリフは、すごいなあ。

ああ、あるある……ねーよwみたいな読み方ができると楽しい。主人公にいらつくともうアウト。フィクションと割り切れないと、かなり不快でしょう。

前作よりも、周りの人々との絡みが多くなっている。シニカルな感じが少しだけ薄れ、ハートフルな要素も入ってきたように感じた。その分深みが出ていいと思います。私は前作よりも好きです。「女流作家」には感動しました。

・「単におもしろいだけではない
 現実的には、こんな精神科医がいるわけがない。しかし、伊良部総合病院を訪れる患者たちの抱える病気は、現代の日本が抱える問題そのものである。程度の差こそあれ、自分自身にも思いあたることがある。そう考えると、笑ってばかりはいられない。 本の構成は、5編の短編集であるが、すべてに、精神科医の伊良部が登場する。5編とも上手くまとまっており、話の展開も本当におもしろい。

・「マユミちゃんの意外な一面
「女流作家」に出てくるマユミちゃんの意外な一面に驚かされた。案外、直木賞受賞の決め手は、このマユミちゃんの以外な一面にあったのかもと思わされた。

空中ブランコ (文春文庫) (詳細)

1ポンドの悲しみ (集英社文庫)

・「元気が出ます
20,30代のごく普通な恋を描いた短編集でどのお話も読んだあとに心が温かくなります。「自分も恋愛していいのかな?」そんな風に思わせてくれる作品です。

・「20代後半から30代の女性の恋愛物語。
女性といっても、結婚して子供もいるのに生活に潤いを求めてく女性、念願だった仕事に就けてプロフェッショナルに生きている女性、まだ男性と1度も付き合ったことのなくボーイフレンドがどうしたらできるのかと悩む女性・・・といった具合にいろんな考えを持った女性が登場してきます。

10人の女性全てに共通しているところもあって、新たな恋愛をしたいと心のどこかで思っているが、どこか不器用なところがあること。

不器用であるのは、過去の恋愛経験であったり、仕事や家庭に縛られているからであるのだが、途中でその足かせをはずしてくれるような新たな出会いがあり、どうしようかと迷いながらも恋に落ちていくさまが描かれています。

不器用であるがゆえに小細工などは全く使わず、感情に従って恋していくというもの。

読んでみてとても高級な話に触れられたな、と思いました。それはどこかに闇がありながらも、新たな出会いによって輝いていくさまが綺麗に描かれているからです。

・「体験+聞き書きネタの完成形
 一話一話が、恋愛の断片である。キャンディーのような楽しみ方をしたい短編集だ。一つ一つ味わいが違い、でも賞味した後の満足感と後引き感が、同質だ。 基本的に恋する二人の話だが、「ふたりの名前」の猫とか、「声をさがしに」とか、第三者の存在があると、余韻が深くなるように思う。ただ、表題作「1ポンドの悲しみ」の、どこまでも二人だけの世界を描ききった一編は、凄いと思う。うーん、フルーツ味のキャンディーに混じったハッカ味ですか…(^^!)

・「おいしいケーキ
 表題作以下、10編の短いラヴストーリーを集めた短編集。おしゃれな文章と設定で、気持ちよく読めました。美味しい喫茶店のケーキみたいな感じです。冒頭の「ふたりの名前」が一番良かったかな。無理して距離を保っていた関係が、不意に「生活」という関係に移る感じがとてもよく描かれていました。

・「
20代30代の恋物語。この本を読んでいると、時代は変わっても恋愛はなくならないし、人は恋をするものだなと思いました。仕事に悩んでいても、爽やかな恋で元気が出たり、救われることもあるのでは・・?元気を与えてくれる本だなと思いました。

1ポンドの悲しみ (集英社文庫) (詳細)

スローグッドバイ (集英社文庫)

・「優しいひと
初めて読んだ石田 衣良作品がスローグットバイでした。「涙を流さなくちゃ、始まらないことだってあるんだよ」…号泣。こんな言葉を紡ぎ出せる石田さんは、きっと優しいひとなんだろうと感じました。心が硬くなったとき、ちょっと疲れちゃったな って感じるとき、優しい気持ちになれる本だと思います。

・「心に負担無く読める、優しい気持ちになれる一冊。
【率直な感想】

恋愛短編集だけど、恋愛の色よりも登場人物の一人ひとりの人間らしさをすごく感じて涙してしまった。一人一人が心のそこでうんと優しくて、それゆえの哀しさと輝きを感じて、ふわりと自分も優しい気持ちになれる一冊。

【こんな人におすすめ】

この短編集も心に負担無く読める感じなので気分が下向きなときにもおすすめ。ただ、石田衣良さんらしくコールガールの話や性描写のある話や何らかの強いコンプレックスのある人のお話が結構ヴィヴィッドに描かれているのでそういうのが苦手な人には向かないかもしれないけれど。

・「単純な恋愛ストーリーの短篇集
純恋愛ストーリーの短篇集。ドロドロした感じはなく、単純でどこか心が温まるストーリー。全部読み終われば、短編集ながらこの本全体で1つの作品をなしているように感じるハズ。手の込んだストーリーよりもわかりやすい恋愛ストーリーを求めている方にオススメします。きっと幸せな気分になれるはずです。

・「良い
はにかみながら心温まる短編恋愛物語でした。

・「初めての「いしだいら」
初めて読んだ「いしだいら」の本。短編集で、どの話も最後に急な展開が待っていて、優しい恋愛話ばかり。「いしだいら」初心者も楽しめる一冊。これからどんどん石田衣良を知りたくなる・・・そんな一冊。

スローグッドバイ (集英社文庫) (詳細)

娼年 (集英社文庫)

・「欲望とは何か
とりあえずタイトルが秀逸ですね。字と響きだけでだいたいの設定を想像することができます。作中では徹底して「娼夫」と表現されていますが、「ホスト」でも「男娼」でもなく「娼年」。主人公の危うさが感じられる。

セックスに関心のない大学生がふとしたことから娼夫となり、様々な欲望のかたち、快楽の追求といったことを体験していきます。

それはセックスであったり、それとは違うかたちであったり。自分の欲求が普通だと思っている人もいるし、異常だと自覚している人もいる。気負うことなく彼女たち(大抵はかなり年上)を受け入れていく主人公が不思議です。快楽ではなく娼夫という仕事にはまっていく彼の先に待ちうけるものは何でしょう。

人に安らぎを与えることのできる仕事はそれでも非難されるべきなのか。

文章に透明感がありドライなせいか、セックスの描写は艶はあるのに生々しさとは無縁で、そこが特に好き嫌いがわかれるかもしれません。ただ、この作品の根底に流れるテーマはそれとは別のところに位置していると思いました。

読んでいてやさしい気持ちになることのできる作品でした。

・「夏に、せつなくなったときに
 石田衣良さんの小説は前から読みたくて、今回初めて手に取った。なんといっても題名から気になるし、衝撃的だし、主人公同い年、同じ夏だし。この今読めてよかったなと思える作品。題名ほどやばい作品ではない。主人公リョウを取り巻く人々の描写がとてもリアルに感じられた。実際に、男の子を買う人たちはどんな人がいるのか想像も付かないが、この小説を読む限り、みんな、フツウ…であり、どこか狂っている。みんな汚いけど、どこかに泉のように綺麗なココロをもっていて。出会いの重なり。。最後の部分に、いつもの夏とかわらない。みたいなことが書いてあった。そこに妙に納得してしまった。結局は自分である限り、同じなのだ。

・「不思議な物語
不思議な物語でした。良い題名ですが、題名や「ぼくを買ってください」という煽り文句がけっこう煽情的なのに比べ、中身は淡々として透明感のある、静かな物語でした。主人公のちょっと不思議な性格に感情移入できるかどうかで、この本の評価はかなり変わってくるんじゃないかと思います。私はなぜかとても主人公に同感できたので、登場するさまざまな女性達が皆かわいらしく、愛らしい存在に思えました。性描写も多いのですが、生々しさはありません。。主人公が仕事を通して、女性達が彼とのセックスに望むもの(単なる快楽にとどまらない、彼女達の生活や人生にとって大切な何か)を、驚きや感動と共にゆっくり知ってゆく様は、初夏の植物の成長のようでした。

・「うっとリ・・・します。
この作者の作品の中で一番の傑作だと思います。冷静で客観的なのに全く冷たさを感じさせない文章は、この作者の特長なのかもしれませんが、それが一番効果的に出ていたように感じます。読んでいてとても心地よくて何度も読み返してしまいました!主人公の真剣な姿勢には、どんな年代の女性でも好感を持てると思います。ご一読、そしてご多読をお薦めします。

・「大人の恋愛物語
石田氏の作品は初めて読んだ。実は若者から支持をされている売れっ子作家ということもあって「渋谷などを舞台にきどった小説を書いている」といったあまり良くない先入観を持っていたものの、本作品を読んで見事に裏切られた。

内容は、女性にもセックスにも冷めていた主人公が、女性とは何かを知りたい気持ちもあって、お金で女性との時間を売る(体を売る)仕事に就く。当初は仕事の内容に戸惑いながらも女性の奥深さの探求に惹かれていく。客の多くは熟女。各人の人生を反映するように様々な性癖を持っているが不思議と嫌悪感はなく、トップレベルの娼年になるというもの。

体を売るような仕事は道徳的には感心できないが、読後感は悪くなかった。というのも恋愛を重ねると、女性の性的な志向は十人十色でそれを許容するのも愛の形であるというのが大人の恋愛だという点に共感したため。

大人の恋愛小説としてお薦め。

娼年 (集英社文庫) (詳細)

本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)

・「表現のまずさはおいておいて
本を読まない人は猿であるというのは傲りではないかと思う。 そういう類の表現の拙さは文学者ではないので仕方がないと思うので、敢えて問わない。 会社の経営者の傲慢な物言いだと思えばよいかもしれない。

内容のある本を沢山読めという伝言には参った。自分のお薦めの本の中にも同じものを薦めたいものがあった。 ビルゲイツ、成毛真と自分が同年代だと同じことしか考えられないのだろうか。 しかも、先にこういう本を出されてしまったという悔しさが一番。

この本をさっと読んで、買う必要がないと判断した人が、成毛真に近いかもしれない。 買って読んでいる人は、きっと成毛真からみると、本心では猿だと思われているかもしれない。 こういう本を読むよりは、成毛真が薦めている本を読んだ方がよいのかもしれない。

成毛真のように、本をたくさん読んでも、結果としてこんな本しか書けないなら、そういう本を読むよりも、成毛真が勧める本を買いたい人と交流するとよいのかもしれない。 すてきな本の作者にあって、がっかりしたことが何度かある。 本の内容にしか目がいかず、人に目がいかなくなっているのかもしれない。 自分がそういう人間にならないという保証はない。

・「かっこいい本棚を作ると、人生は楽しくなる
「本が好きな人」「本の選び方を学びたい人」「他人と同じような人生は歩みたくない人」におすすめする一冊。

高所得階級の人間になるか、低所得階級の人間になるか――その境目となるのは本を読んでいるか、読んでいないかの違いである。(P.4)

実際、世界中の経営者や一流ビジネスマン、官僚、政治化は、みんなたくさん本を読んでいる。

もちろん、ビル・ゲイツもものすごい量の本を読んでいるから、世界一の大富豪にまでのぼりつめられたのだ。(P.20)

本を読まない人間を尊敬する必要はない。人とよく似た生き物、サルに近いんじゃないかと思えばいいだろう。(P.57)

という、成毛氏の極端な持論についていけない所もあるかもしれませんが、、「なぜ本を読まなくてはいけないのか」をアツく語る部分は、共感できる所が多く、とても面白い一冊です。

・「まずは買うべき
 買って後悔する本ではない。サクサクと読み進められるのもうれしい。 周りに本をよく読む人が減ったように感じる中、読書家が言いたくてしょうがないことを代弁してくれるのが痛快。  と言っても、周りの人はこの本を知りもしないし、読みもしないから意味がないのだが。

 例えば、「「自分の価値」は読書量で決まる」、「本嫌いの人と付き合う必要はない(本を読まない人間はサルである)」、「使える金は全て本に注ぐ」、 「本は最後まで読む必要はない」、「本は捨てない、借りない、貸さない」なんて、思っていても、なかなか言えなかったことが直言される。  一方、単に本を読めばいいというわけでなく、前書きで、「「趣味は読書。最近読んだ本はハリポタとセカチュー」という人は、 救いようのない低俗な人である」と似非読書家を一刀両断に切って捨てている。 つまり、あなたは真の読書家なのかと踏み絵を踏まされ(本を読んでいない人の判断基準は、話題が、スポーツ、テレビ、飲み屋、女性、金儲けの話かどうかだそうだ)、 読書家でないとすると、「だからだめなんだ」と容赦ない批判にさらされる。 これを読んだ以上、超並列読書家になり、「庶民」から脱する決意を固めるしかないというわけだ。

 興味深く、かつ賛同できる点は概ね以下のような点。 ・欧米の支配者階級は、皆「ロンドン・エコノミスト(The Economistのことか?)」(ビル・エモットが編集長だった雑誌)  を読んでいる(確かに欧米の国際線のフライトには必ず置いてある)。 ・テレビにもいい番組はあるので否定するつもりはない。TBSの「情熱大陸」や「世界遺産」、NHKの「ザ・プロフェッショナル」、  「美の壺」はよく見ている(個人的には、「NHKスペシャル」、「ハイビジョン特集」、「ガイアの夜明け」なんかも悪くないと思う)。 ・「行列」と「混雑」は2大ムダ(私の場合は、だから「行かない」ではなくて、時間帯を外すという対応なのだが) ・読書メモは取らない。情報は頭の中で取捨選択し、整理するものである。  おもしろい情報や有益な情報は頭に残るものだ。記憶に残らないのは大した情報でないからである (ごもっともと思うが、私は備忘を兼ねてレビューを書いているので弟子にはしてもらえそうもない)。 

 最後に一つ、書いて欲しかったことを言えば、おもしろいと感じる本を何回読むのかという点である。 自分的には、1回で全てを掴むと言うより、何度も繰り返し読んで、多色刷りの版画を描くように頭の中に像を結んでいくというイメージであるが、 この点については言及がなかったように思う(数万冊もあると読み返すなんてこと自体無理なのであろうと推測するが)。

・「内容は正しい。
日本語は断定的な表現が苦手な言語だ。故に一般の日本人は他のレビューにあるような“怒り”の反応が多勢となる。でも「偉そうなもの言い」とかあまり関係ないと。役に立った一文でもあれば買った甲斐があるというもの。(だから★5個の人もいるけど)

それから本は買って読めというのはこの著者の言葉ではない。一般論です。(詳細は省く)

同時に10冊という数字にこだわる必要はないと思う。あまりにまじめすぎ。中には20冊という人もいるだろうし、2冊(は少ないか)の人もいるだろう。

ただあなたがもし、今の仕事や生き方に停滞感を感じているとしたら、まったく知らない分野の本を今から本屋に探しに行くのは良いと思う。

ちなにに私は既に並列読書をしていた。でもこの本を買ったのは断定的な物言いが心地よいからだ。 今の日本、思ったことをズバリ言う人が少なすぎる。ゆえに他国へのアプローチも下手で、政治でも後手後手にまわるのかなと。

全てはアプローチの下手さから国際的に言われ無き非難を受けているのが現状。

この本を読みながら、ディベートの本も読むといいかも。若い人にはこの著者の物言いに惑わされることなく(若い人は平気かも)是非一度読んでみるといいかも。回りにいる大人と違う、ちょっとかわったおじさんの意見っていうのも時には貴重です。

・「痛快な読書論
ここまで端的に言い切ってくれると、むしろ痛快である。私は一気に読みきった。だからといって、この著者の言うことに100%賛成のわけでもない。ちょっと変わった読書好きのおじさんとして、ニヤニヤしながら楽しんで読んだ。この著者にアレルギー反応を示している方も少なくないが、そこまでヒステリックになるのもどうかと思う。

この本にある読書術は、レバレッジなんとかとか、なんとかハックがはやっている現在、ずいぶん奇異に思えるかもしれないが、生粋の本好きならば、むしろ当然の方法だと思う。「いやいや、本にはどんどん線を引いて、読んだらメモを作ったり、感想をブログに書かないと」というひとは、色黒のおチビちゃんや年収10倍になった人に本を「読まされている」だけではないか?まあ、それでも読まないよりはよっぽどましだが。

一番痛快だったのは「成功本を捨てろ」というひとこと。手帳に夢をいっぱい書き込まされて、口を開けば起業だの経済的自立だのと言い、本業もソコソコに下手な株式投資やチンケな副業に精を出すスケールの小さい御仁にこそ読んでほしい本である。

こんな偉そうなオヤジの書いた本、立ち読みで十分じゃ!という方は、もう少し待てばブックオフの100円コーナーに並ぶと思うので、そうしたら買って読めばよい。それでも腹が立って仕方ないなら近所の暗渠にでも放ってくれば済むはなしだ。105円程度の出費ならばそれほど痛くも無いだろうし、その100円も気に入らない著者の収入にはならない。

本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫) (詳細)

はじめての課長の教科書

・「わたしも『はじめての課長』
課長になって2年になる。

著書に書いてある、『課長になるということは、実務の現役における第一線からはほとんど引退し、全く新しい仕事に就いたと考えるのが自然』という一節に深く共感した。

そうなのである。今までは自分で客先に行き、商談し、Deliveryの管理から売り上げまで深く狭く実務をこなしていたが、課長の仕事は部下のマネジメントであり、総合的に如何に組織を大きくするか、利益を上げるか、ということになるのである。

そのため、今までより内向きな仕事になり、こんなんで良いのかなというギャップも感じていたのだが、本書を読み、ああ、これで良いのだと認識することができた。

他にも、予算管理、人事評価、社内政治など、日本の実態に即した内容で書かれており、参考になるところが多かった。

あまりこういう話しって社内でしないじゃないですか。一読の価値はあるかと。

・「ホントに初めての本
「はじめに」で書いてあった英語版ウィキペデイアを検索してみた。「中間管理職の主要な仕事とは、部下の活動を監視し、上位の管理職のためにレポートを作成することである」確かにそう書いてあった。

主な仕事は「監視とレポート作成」って、なんじゃそりゃ、である。欧米のミドルマネジメント観がこんなに貧困なものだとは知らなかった。

リーダーシップやマネジメント本をいくら勉強しても、「現場と理論は違うよな…」と矛盾を感じてしまうのも当然だ。目からウロコである。「世界初の中間管理職の入門書」という内容紹介も決しておおげさではないと思う。

特に、部下との接し方と、社内政治への積極的関わり方といった人間関係のスキルをここまでしっかり教えてくれた本はなかった。

考えてみれば、経営者と以外の会社員は、なんらかの意味で中間管理職的な役割をもっている。新入社員だって、派遣社員やアルバイト、あるいは外注先に対して、管理職的に振る舞う必要があるだろう。

「課長の」というタイトルがもったいない。「すべての組織人のための教科書」だ。

・「快著である
影響力あるブログにて絶賛されていて、当初は「パブリシティ」的なものを感じてしまっていたが、紹介されていた言説・図表等に素直に関心を抱き、深く考えずに購入した。

読後の率直な感想は、著者の華麗な経歴とは真逆に、典型的な国内企業における「具体的な組織論」にフォーカスした、まさに教科書。読者の立ち位置によって解釈や共感の度数も様々であろうが、場合によっては「センス」で片付けられていた「暗黙知的領域」をよくぞ、ここまで文書に落としてくれましたという感嘆。

これまで存った海外輸入マネジメント本や、国内個別企業論。もしくは、経営コンサルタントの理想論・あるべき論・・・これらとは全く違う。新鮮な切断面に共鳴しきり。

なかんずく、第3章:課長が巻き込まれる3つの非合理なゲームで語られる、「予算」「ポスト」「人事」「政治」。当てはまらない企業もあろうが、こと私の場合には、ドンピシャに整合しており、唸ってしまった次第。

また、何気なく紹介される名言・格言、さらには途中途中に挿入されるフレーズ群にもスパイス的な魅力あり。

「凡人に非凡な業績を上げさせるのが組織である。 A.J.ベバリッジ」「社内政治の存在そのものを攻撃するようなナイーブな考え方は退けてください」「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。 ダーウィン」

教科書でもあるが、エールをも送ってもらえた気がする。

・「パラダイムの転換。
内容は大変示唆に富むが、読みやすいためあっという間に読みきった。早い人なら1時間もかからずに読み終えることができよう。ただし、その内容は大変深い。課長という日本の組織に特殊なポジションに注目することで、日本の企業に普遍的に通用する組織論を提示していると言っても過言ではない。タイトルによって、読者層が課長または課長予備軍に規定されるかもしれないが、広く上位の役職者、また平社員にとっても十分意味があるだろう。

個人的に最もインパクトを感じたのは、どのような企業でも必然として抱える組織上の問題を、ただ忌み嫌って愚痴をこぼすのではなく、前向きに、かつ効果的に活用することで、自分の目指すところを切り開けば、結果的に面白い仕事(筆者の言葉を借りれば=「やるべき仕事」)をすることができる、という指摘。組織の問題を組織のせいにし、逃げるのではなく、立ち向かって使いこなせるくらいの人間になりたいものだ。

・「こんな本がほしかった!
いままでよくわからなかった課長の仕事が、すべてわかる1冊です。いわゆる中間管理職ですが、組織にとってなぜ「課長」という役職が重要なのか理解できました。特に課長の8つの基本スキルは感動的。部下を成長させるスキルも丁寧に紹介されています。

すべての課長と課長を目指す人におすすめです!

はじめての課長の教科書 (詳細)
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