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▼その五つ星、同感!:セレクト商品

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫) (詳細)
天藤 真(著)

「幸福な読後感」「奇跡の犯罪活劇」「極上のエンタテインメント小説」「日本の推理小説とは思えない(失礼;)テンポの良さ」「ほんわかして痛快」


奪取奪取 (詳細)
真保 裕一(著)

「真保 裕一の代表作!!」「お金づくり」「偽札作りに人生をかけた男たちの物語」「「エピローグ」が・・・」


河童が覗いたインド (新潮文庫)河童が覗いたインド (新潮文庫) (詳細)
妹尾 河童(著)

「これは面白い!」「悔しい」「絵を眺めるだけでも価値アリ!」「写真じゃ見えない美しさ」「インドはおもちゃ箱のよう」


最長片道切符の旅 (新潮文庫)最長片道切符の旅 (新潮文庫) (詳細)
宮脇 俊三(著)

「ローラーコースター・アドベンチャー」「気さくでまじめな宮脇さんを象徴する作品」「アイディア満載、サービス満点、すでに歴史的価値あり」「「最長片道切符」旅行の凄さ。」「最長片道切符の旅を記録した名紀行文です」


漂流 (新潮文庫)漂流 (新潮文庫) (詳細)
吉村 昭(著)

「生きる勇気」「極限の状況におかれた人間の強さを描いた「小説」。素晴らしい。」「アホウドリの偉大さがわかる」「私の座右の書」「漂流モノの大傑作」


エンデュアランス号漂流 (新潮文庫)エンデュアランス号漂流 (新潮文庫) (詳細)
アルフレッド ランシング(著), Alfred Lansing(原著), 山本 光伸(翻訳)

「本当にすごい!」「本当に感動します。」「驚異の公開」「凄すぎる!!!」「すごすぎる。。。」


先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!―鳥取環境大学の森の人間動物行動学先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!―鳥取環境大学の森の人間動物行動学 (詳細)
小林 朋道(著)

「くすくす、なるほど」「楽しそうな様子が伝わってきます」「読みやすいだけじゃない」「生物+ヒト÷大学=∞のドラマ」「漫画化希望」


河童のタクアンかじり歩き (文春文庫)河童のタクアンかじり歩き (文春文庫) (詳細)
妹尾 河童(著)

「たくあんって奥が深いのね」


邂逅の森 (文春文庫)邂逅の森 (文春文庫) (詳細)
熊谷 達也(著)

「壮大なスケールで描くマタギ、富治の半生」「山本周五郎賞は裏切らない」「人智を超えた自然の営みに神を感じた時代…」「クライマックスは凄い」「圧倒的に骨太な名作」


歌舞伎を救った男―マッカーサーの副官フォービアン・バワーズ歌舞伎を救った男―マッカーサーの副官フォービアン・バワーズ (詳細)
岡本 嗣郎(著)

「すばらしい!」「良い本です」「歌舞伎の歴史について」


帝王から音楽マフィアまで帝王から音楽マフィアまで (詳細)
石井 宏(著)

「目から鱗」


音の影 (文春文庫)音の影 (文春文庫) (詳細)
岩城 宏之(著)

「いよいよ出てしまいました」「クラシック音楽を身近に」「岩城 宏之さんの追想録のような雰囲気を漂わす音楽エッセイ」「★「こんなオーケストラ、つぶしてしまえ」★」


タイム・リープ―あしたはきのうタイム・リープ―あしたはきのう (詳細)
高畑 京一郎(著)

「読み終えたのが残念なほど、気持ちの良い世界」「10年も前のだけれど」「今まで出会った本の中で」「一気に読ませる小説です。」「蛇足のない単行本がおススメ」


勇気凛凛ルリの色 (講談社文庫)勇気凛凛ルリの色 (講談社文庫) (詳細)
浅田 次郎(著)

「参った。」「勇気凛凛ルリの色」「浅田次郎ファンにとってはたまらない作品と言えるでしょう」「自分に渇!を入れたいときに。」「思わず落涙するほど、優しい人だな」


推理小説常習犯―ミステリー作家への13階段+おまけ (講談社プラスアルファ文庫)推理小説常習犯―ミステリー作家への13階段+おまけ (講談社プラスアルファ文庫) (詳細)
森 雅裕(著)

「過酷な、あまりに過酷な・・・ 作家志望者はぜひ一読!」「こ、こんなこと書いて大丈夫?」「森雅裕という生き方」「人生がハードボイルドな人は辛い思いをするのさ」「小説家になろうとする人は必読かもしれない」


藤井寺さんと平野くん 熱海のこと (ガガガ文庫)藤井寺さんと平野くん 熱海のこと (ガガガ文庫) (詳細)
樺 薫(著), アメイスメル(イラスト), 坂口 安吾(原著)

「終わった事件」「野球がとにかく好きな人の本」「『投手殺人事件』の見事な翻案。」


ロミオの災難 (電撃文庫)ロミオの災難 (電撃文庫) (詳細)
来楽 零(著), さくや 朔日(イラスト)

「見た目とは違い直球恋愛系でした」「こういうのが読みたかった」「丁寧に描かれた良作」「普通の感想になってしまいますが・・・」「恋の青春物語」


人獣細工 (角川ホラー文庫)人獣細工 (角川ホラー文庫) (詳細)
小林 泰三(著)

「作品の名前がばっちり。」「混乱。」「傑作ホラー」「秀逸な短編」「研ぎ澄まされた混濁」


神秘の島〈第1部〉 (偕成社文庫)神秘の島〈第1部〉 (偕成社文庫) (詳細)
ジュール ヴェルヌ(著), ジュール・デカルト・フェラ(イラスト), Jules Verne(原著), 大友 徳明(翻訳)

「海底2万里は好きですか?」「最悪の状態から…」「理系専門家になることのロマンが詰まった傑作」「感服のひとこと」


アド・バード (集英社文庫)アド・バード (集英社文庫) (詳細)
椎名 誠(著)

「周りの世界が急に奇妙なものに見える読後感」「まさにシーナ・ワールドの最高傑作」「SFの金字塔!」「この世界、波長があえば行かれます」「椎名不思議ワールドの原点」


わしらは怪しい探険隊 (角川文庫)わしらは怪しい探険隊 (角川文庫) (詳細)
椎名 誠(著)

「これぞキャンプの醍醐味!!」「私のキャンプ原風景」「これも椎名誠の最高傑作」「大好きな一冊」「世紀の大傑作」


人間万事塞翁が丙午 (新潮文庫)人間万事塞翁が丙午 (新潮文庫) (詳細)
青島 幸男(著)

「予想以上!」「これぞ大衆文学!」


ヴァーチャル日本語 役割語の謎 (もっと知りたい!日本語)ヴァーチャル日本語 役割語の謎 (もっと知りたい!日本語) (詳細)
金水 敏(著)

「言葉に現れるステレオタイプ」「役割語は不思議じゃ」「内容は面白いが、引用は読めなかった。」「よく知ってはいるけど、使わない日本語の起源」


訴えてやる!大賞―本当にあった仰天裁判73 (ハヤカワ文庫NF)訴えてやる!大賞―本当にあった仰天裁判73 (ハヤカワ文庫NF) (詳細)
ランディ カッシンガム(著), Randy Cassingham(原著), 鬼澤 忍(翻訳)

「「訴訟社会アメリカ」の歪を検証」「馬鹿な訴訟のおそろしい結果」「アメリカが抱える民事訴訟事情」「今はまだ対岸の火事ということで笑っていられるが、いつか笑えなくなる日が来るのかもしれない…」「変な裁判大集合!」


▼クチコミ情報

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)

・「幸福な読後感
本作品は20世紀を代表するミステリーであり、本作品を読まずしてミステリー(特に誘拐物)は語れないという作品である。初版から20年以上たっても面白さは色あせておらず、未読の方は是非お勧めである。

三人組の「虹の童子」は、和歌山随一の大富豪・柳川とし子刀自(82歳)を誘拐する。身代金は5千万円。ところがこれを聞いたとし子刀自が烈火のごとく怒り出し、身代金はなんと百億円に。以後、誘拐したとし子刀自自身が「虹の童子」を指揮するという奇想天外な展開に。果たして前代未聞の「大誘拐」は成功するのだろうか?

身代金強奪の発想、荒唐無稽なストーリーとちりばめられたユーモア、そしてなんといっても幸福な読後感。どれをとっても超一流のミステリーである。

この、「死人が一人もでない!ミステリー」は、文春による「二十世紀傑作ミステリーベスト10」の国内部門で堂々一位に選出された。

・「奇跡の犯罪活劇
20世紀ベストの評は伊達ではなく、かなり楽しい時間を過ごしました。この作品の肝は柳川とし子刀自の人間的魅力で、万一これがうまく表現できなければ物語が全く成立しません。80歳を超えるこの老女の、その凛とした振る舞いや、思いやりの深さ、天才的な頭脳などに、いつの間にか読者も「刀自信者」となることでしょう。悪人はおらず、誰も傷つかず、暖かさだけが残る、とても良い作品です。

・「極上のエンタテインメント小説
宮部みゆきの「火車」や高村薫の「マークスの山」を抑えて、文藝春秋の20世紀ベストミステリの1位に輝いた極上のエンタテイメント小説。

さすが20世紀のベストオブベストだけあって、個性的で憎めない登場人物、無駄のない映像的な文体、名人の落語を聴くようなテンポの良さなど、非の打ち所がない出来栄えである。

だがやはり何といっても素晴らしいのは、その奇想天外なプロットだろう。書かれてから四半世紀経つのにまったく古臭さを感じさせず、今これを原作として漫画化してもヒットするだろうと思えるほどである。それだけに、内容を少しでも知ると面白さが削がれてしまうので、この本については粗筋になど目を通さずにとにかく読み始めることをお勧めしたい。

そして、読了後は、携帯電話やインターネットが普及した現代において、こうした「大誘拐」を実現しようとしたらどういう手があるだろう?と思考実験してみるのも一興だろう。

・「日本の推理小説とは思えない(失礼;)テンポの良さ
とかく、まったりしてたりじっくり考えたりという印象がある日本の小説なのに、この本は、ぽんぽんとテンポ良く、あれよあれよという間に引き込まれて読み進んでしまう、日本の作家にしては珍しい逸品。無駄がなくあとであっと思わせる辺りも憎い。

映画を観たのが本を読んだきっかけだったけれど、この本もビデオもあまり知られていないのが本当に残念。

・「ほんわかして痛快
映画の方は見ていませんが、みどりの山々のなかでとぼけた犯人ときりっとしたおばあちゃんが、犯行の実行計画を練っているのになぜかほのぼのした会話、そしてそれを奇想天外な方法で実行する姿など目に浮かぶようでテンポよく読めました。ミステリーというより、とても愉快なエンターテインメントでした。

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫) (詳細)

奪取

・「真保 裕一の代表作!!
真保さんの本の中では一番面白い!!ホワイトアウトの時のスピード感はまったく衰えていませんし、主人公の他にも、偽札造りに生涯を費やす老人やその孫とキャラクターも豊富、彼らと主人公との友情も熱い。随分厚い本ですが、まったく厚さを感じさせません。あっという間に読み終わってしまいましたね。ラストはご愛敬だとしても、それまでの話の流れは最高でした。

・「お金づくり
紆余曲折があってさまざまな動機から紙幣偽造の道(?)をまっしぐらに進む若者3人の物語。最初はパソコンとプリンタだけで作った偽札で両替機を騙し、最終的には人間を(銀行員でさえ)騙せる偽札を作り上げるまでに腕を上達(?)させます。立派な犯罪でありながら(登場人物達の究極の目的は金儲けではないにせよ)、物語のプロットや展開の巧みさから、読者はその犯罪の成功を大いに期待させられます。物語自体も楽しめますが、この小説で印刷技術の初歩を知ることができますし、紙幣印刷がいかに複雑で巧妙かを伺い知ることができるのも面白いところ。

・「偽札作りに人生をかけた男たちの物語
500ページ以上あったが、続きが気になって一気に読んでしまった。偽札作りについて入念な調査をしており、紙質、すかし、色使い、スキャナーの使い方等、詳細まで描かれていた。あまりに細かすぎて分からない部分も多かったが、ストーリーが抜群におもしろくて、やくざとの闘いも見どころが多かった。特に水田のじいさんを取り戻す場面は計画も緻密で読み応えがあった。最後の仕掛けも手が込んでいて、本当に最後まで目が離せなかった。

・「「エピローグ」が・・・
97年度版 このミス 2位96文春ベスト 10位第50回 日本推理作家協会賞 長編部門平成9年度 山本周五郎賞本作品は「偽札づくり」をテーマとしたミステリー。

軽快なテンポで進むクライムノベルである。作者の他の「取引」「震源」などの作品と同様、本作品も綿密な取材に基づいて作られており、本作品を読むと、自分も偽札を作れそうな気になってくるから不思議である。また、ボリュームたっぷりでありながら、一気によませるあたり、さすがである。

一方、あえて難をあげるとすれば、「エピローグ」である。さまざまな妨害に遭いながら「偽札づくり」を成し遂げようとする主人公達にどんどん感情移入し、上下巻で900ページ以上を読むことになるのだが、このたった5ページの「エピローグ」によって、作品による充足感が損なわれたと思うのは私だけだろうか?

面白いミステリーである。しかしこの「落語の落ち」のような「エピローグ」をあえてつけた意味が理解できない。

奪取 (詳細)

河童が覗いたインド (新潮文庫)

・「これは面白い!
インド本の中では断トツの面白さ。こないだまでは椎名誠の「インドでわしも考えた」が一番だったのだが、その椎名さん本人が本書が一番面白いといっていたので思わず購入してしまう。誰もが手にとってパラパラめくると「なんじゃこれは!」という新鮮な驚きを感じずにはいられない。妹尾さんの旅の仕方の前ではインドで下痢になることなど屁でも無い。むしろ下痢になりそうなものを片っ端から試していき「あ〜やっぱりね」という程度なのだ。旅の途中の出来事と、歴史の話を、違和感なく織り交ぜてくれるので読んでいて肩が凝らないし、なによりも柔らかい絵で更にグッと引きこまれてしまう。どうしても妹尾さんの絵は細部まで見てしまいたくなるのだ。わたしもこないだインドを旅行してきたのだが、20年以上前に出された本書を読んで驚いたのは「何も変わってないじゃないか!」ということだ。現在の旅行バイブルとしても十分通用する凄い本。

・「悔しい
私は、世界を30ヶ国ほどウロチョロいたしました。猿岩石がブームになる前から、貧乏バックパッカーをしておりました。そんなわけで、旅行関係の本を読むのが好きなんですが、自分と同じ所へ行ったりしている本を読んでいると、「全然おもしろくないぞ、俺の旅行のエピソードの方がはるかにすごいぞ」と、思っちゃったりする事が少なくありません。

が、この本は違います。視点が、感性が、まったく違います。「俺も同じ所へ行ったのに・・・」と、自分の目の節穴かげんを嘆き、情報アンテナのレベルの低さに絶望したくなるほど、すごい本です。すごい筆者です。他にも、シリーズとして何冊かあります。この本を読んだ人はまず間違いなく、他の本も買うでしょう。お薦めです。

・「絵を眺めるだけでも価値アリ!
インドの観光地が中心で、バックパッカーが行くような所や、感覚ではないので、それを求める人は、物足りないかもしれないが、すごく繊細で分かりやすく、やさしい絵を眺めるだけでも癒されるし、妹尾さんのやさしい性格が、出ている丁寧な旅行記である。

この人の、他の旅行記もぜひ読みたくなってしまう作品だ。

インドに興味がある人も、そうじゃない人にもオススメ!といえる本。

・「写真じゃ見えない美しさ
ページを開いたその瞬間、「これは凄い!」と思わず唸ってしまうはず。

非常に細かくて綺麗な絵と読みやすい文章(なんと文字まで手書き)でインドの面白さが的確に伝わってきます。旅の感想だけでなく、訪れた土地の歴史や建物の実態までわかりやすく説明されているので、まさに一石二鳥な旅行記です。

いわゆるバックパッカー的な旅行ではありませんがインド人との交流シーンも多いので、インドを知りたい人のための入門書としても最適。

・「インドはおもちゃ箱のよう
河童さんの著を初めて読んだのがコレ。スケッチと手書きの文章で『オモシロおかしく』そして読んでても何故か『飽きない』インドの見方が変わりました。そして読み終わったあとは、旅を終えた気分。

雑学好きや知りたがりさんにはオススメ。

河童が覗いたインド (新潮文庫) (詳細)

最長片道切符の旅 (新潮文庫)

・「ローラーコースター・アドベンチャー
北海道から九州まで、昭和53年当時の国鉄のひと筆書き最長路線を旅した記録である。宮脇さんの紀行はどこから読んでも楽しめるわけだが、この作品に限っては長編小説を読むように、ぜひ、最初の1行から文字を追って読み進めていってほしい。日本の広さを存分に味わえるよき紀行である。

宮脇さんの旅から25年。この間ずいぶん日本は変わり、今年の2月にはあまたの魅力あふるる紀行を残して著者も天国に旅立たれた。今この作品を読み返してしみじみ思うのは、変わらぬのは日本の山河だけだなあ、という哀切の思いである。ともかく「時刻表2万キロ」と並ぶ初期の大傑作であることは誰しも認めるところであろう。

・「気さくでまじめな宮脇さんを象徴する作品
この「最長片道切符」というのは、国鉄線を利用して、一枚の切符では最も長い距離の切符を買ってその行程どおり旅行しようというものです。当時の国鉄は、今のJRよりもまだローカル線がたくさん残っていて、とてもバラエティに富んだ旅行になっています。前日の朝にいた駅からちょっとしか離れていないような駅にいる、ということもあったようで、限りないあほらしさなんだけど、限りなくそれをまじめにこなす宮脇さんらしい作品です。

・「アイディア満載、サービス満点、すでに歴史的価値あり
 久しぶりに読んでみた。今でこそ片道最長切符の旅は、テレビ番組でも企画されるほど広く知られているが、当時はまだまだ「珍妙な旅」であった。片道最長切符発想の過程はアイディアに満ちており、切符の購入、車内改札の様子、駅員の対応などそのユニークさゆえの数々のエピソードはどれもおもしろく、読者を飽きさせない。

 ふりかかる難解な鉄道規則や、文字通り避けては通れない退屈な首都圏の路線も数々のアイディアをもっておもしろおかしく克服されており、読者を楽しませるサービス精神にあふれている。

 いつもの通り、宮脇さんの描写は精密かつ簡潔で、当時の景色はもちろん、匂いや声まで伝わってくる思いがする。表現も巧みで随所に往時の空気感が再現され、まことになつかしい。残念ながら宮脇さんは逝去されたが、著作の時点ですでに将来の歴史的資料性まで考えておられたのではないだろうか。だとすれば今後ますます価値は高まるはずである。

 初めての方だけでなく、一度読んだ方でもまた楽しく読めるだろう。 

・「「最長片道切符」旅行の凄さ。
宮脇俊三氏の著作では現在購入できるものの大方は購入したが、この本と「時刻表2万キロ」・「時刻表昭和史」の三冊は正に傑作の一言に尽きると思う。

この本を自分は2001年秋、「時刻表2万キロ」を買ったと同時期にその他の宮脇氏の著作を調べていて見つけたが、その本の案内を見て「こんな切符が購入できるのか、そしてこんな阿呆だが面白い旅行をしている人がいるのか」と思い、その場で即決で買った。期待は裏切られず、日本の風土、各地の鉄道路線などさまざまな事が事細かに臨場感溢れるように書いてあった。「宮脇式鉄道旅行」および「宮脇式表現法」が「時刻表2万キロ」と並んで最も感じられる作品といえるだろう。

記事は今から25年以上も前のものであるが、陳腐さは感じずむしろ現在の「最長片道切符」では通れない路線・航路の記事(北海道や四国、九州の路線など)などに興味を持てる。

また、旅行ガイド(特に一人旅向け)としては現在でも通じる部分があると思う。「紀行文・参考書・雑学事典」のすべてが織り込まれたような本であり、鉄道旅行の好きな人なら読んでまず損はしないだろう。

・「最長片道切符の旅を記録した名紀行文です
今でこそ、TVでも取り上げられ、メジャーになった「最長片道切符の旅」−同じ駅を2度通ることなく、1枚の切符で行くことができる最長距離の旅−という、鉄道マニアの間では有名なルートを、実際に旅した著者の記録です。それは、途中下車しなければ、連続30日以上の日数がかかり、時には、通ってきた駅を横目に、豊橋(愛知)から会津若松(福島)まで戻る等々、実際に走破することは、鉄道マニアでもないものから見れば(鉄道マニアでも?)、馬鹿げたものです。でも、それを、自ら「阿呆らしさもここまでくると、かえって厳粛な趣きを呈してくる」と自虐的になりながらもしてしまう著者の生真面目さが、本書を貫く面白さでしょうか。また、その生真面目さゆえ、著者は行く先々での面白いエピソードを几帳面にレポートしてくれており、我々は自宅に居ながらにして、各地の面白いことを楽しむことができます。国鉄全線走破を記録した「時刻表2万キロ」共々、紀行文の名作と言える本です。

最長片道切符の旅 (新潮文庫) (詳細)

漂流 (新潮文庫)

・「生きる勇気
江戸時代に土佐で難破し漂流、鳥島に打ち上げられ、数年を経て帰還した人の話。大勢は死に、最初に漂着した中の1名と後から漂着した数名で帰還。生きる勇気を与えられる。

『無人島に生きる十六人』、『エンデュアランス号漂流』などと読み比べると更に面白いです。(この2冊では多くの人が生還します)

・「極限の状況におかれた人間の強さを描いた「小説」。素晴らしい。
「史実」を題材とした小説は数多くあるのに、著者の小説が「記録文学」と呼ばれるのは何故だろう。個人的な考えだが、それは4つの理由があると思っている。一点目は、その作品からフィクション的な要素を取り除いた「史実」の部分もノンフィクション作品として一級品であること。二点目はその作品が史実を題材とした単なる人間ドラマとなっているのではなく、史実と人間が同じ価値を持って描かれていること。三点目は、作品に登場する人間も、著者の取材と調査によって得たものからその個性が形作られていること。そして四点目は、著者の抑制の効いた文体である。

序文にある通り、この作品の基になったのは、漂流した人物の手記ではなく幕府(藩)の取調べ書である。起こった事実は記されていても、その人物の心情が記されているはずもなく、その人柄は事実から推測するしかない。

この作品が、事実だけを丹念に綴ったノンフィクションであったとしても圧倒的に面白い作品になったに違いないが、それだけではなく「小説」として優れたものになっているのは、やはり、生還した長平をはじめとする、著者の創造によって人格を与えられた登場人物によるものである。肉体的にも精神的にも極限の状況に置かれた人間の強さを見事に描き切った作品である。

著者は7月31日に79歳で亡くなってしまった。非常に惜しまれる死だが、作家としては幸せな生涯だったに違いない。

・「アホウドリの偉大さがわかる
漂着した島は水も草木もない焼島(火山島)で、ただアホウドリの大群だけが待っていた。時は江戸時代、土佐藩船乗り長平は、仲間4人とともに難波船から命からがらこの島にたどり着いた。脅威の精神力と、鳥を撲殺して食べまくることで生き長らえた長平。仲間が死んでいく残酷な運命を受け入れる長平だったが、数年後に漂着してきた船乗り達とともに、知恵と労苦の限りを尽くして12年に及ぶ焼島暮らしから脱出する。実録を元にしているので、ただ恐ろしいばかりの現実に、地獄の結末や如何にと一気に読み進んでしまう。・・つい最近(2002.8)、この島(鳥島)が爆発し、アホウドリが全滅の危機に瀕していることが報道されたが、あの世の長平が聞いたらどんな気持ちになるだろうか? 火種がないため、引きちぎられた鳥達は海水で洗われ生食されたり、後に長平が火を手にした時には、あまりのうまさに「熱さはありがたい」と心の中で叫ばせてしまう。 渡りをするアホウドリたちが島から去っていく恐怖。必死で鳥を殺し干し肉を作る長平たち、しかし干し肉も焼けばもちろん美味である。「人は食べなければ死ぬ」というテーマが胃袋を刺激し、思わずスーパーに鳥肉を買いに行ってしまった。アホウドリと鳥島に未来あれ!

・「私の座右の書
この本は江戸時代に無人島に漂流した人達を描いた事実に基づいたフィクションです。しかし船員の嵐との死闘、破壊された船での漂流、そして無人島についてからの人間ドラマなど全てがリアルに描かれていて、あたかも著者がそれを見て書いた様な感覚すら覚える。人間諦めないで努力すればいずれ報われるという事を素直に感じられる良い書だと思う。

・「漂流モノの大傑作
事実を元にしたフィクションだが、もはやフィクションの域は超えている。

生きるための手段も工夫も展開も、この本には漂流モノの面白さが全て詰まっていると言っても過言ではない。ネタバレになるので書かないが、長い期間の間にも状況は確実に変化し続け、全くマンネリにはならない。飽きることなく一気に最後まで読める。

吉村氏の取材力にただただ感服。絶対にオススメの一冊。

漂流 (新潮文庫) (詳細)

エンデュアランス号漂流 (新潮文庫)

・「本当にすごい!
まずこの本が実際にあった話という事に感動しました。この話が今のような物資が豊富な時代ではないという事に感動しました。痛さ・寒さ・ひもじさ全部我慢できないものばかりですよね。この男たちの強さに感動しました。人間の限界を超えてなお困難と闘う勇気すごいと思いました。久しぶりに感動の涙がでました。

・「本当に感動します。
サー・アーネスト・シャクルトン率いるエンデュアランス号乗組員28名が南極大陸横断に挑戦したのは1914年のことである。その挑戦は失敗に終わってしまうが、彼らはさまざまな苦難を乗り越え、一人の犠牲者も出すことなく生還するのである。

これがフィクションであったなら全員が助かるという結果にはしなかっただろう。しかし彼らは文字通り死ぬ思いをしながら、立派に生還したのである。最後まで彼らと共に苦難を乗り越えたなら、最後の一文を読んだときあなたはおそらく歓喜の涙を流していることだろう。

・「驚異の公開
果たして全員無事に生還することは出来るのか?極寒の地を舞台にした小説ですが、手に汗を握って最後まで殆ど休まずに一気に読み通しました。まさに驚異の航海の実際です。最終章は本当に感動的でした。本を閉じた後も、暫く顔をあげることが出来ませんでした。

・「凄すぎる!!!
 こんなことが本当にありうるのだろうか!?読み終わった後、しばらく声が出ず、目を閉じて静かに心に沸き起こる感動に酔っていました。エンデュランス=Endurance忍耐。まさに、忍耐の連続。数々の困難に立ち向かう気力。全てが素晴らしい!!! 読むだけで、力が与えられ、勇気がみなぎり、強く生きて行こう決意したくなる本です。

・「すごすぎる。。。
「すã"すぎる」  ã"れが率ç›'な感想です。ä»-にもシャクルトンé"の偉業ã‚'形容する言è'‰ã¯ã‚ると思いますが今はã"れくらいã-か思いつきませã‚"でã-た。

もともと僕がシャクルトンに興å'³ã‚'持ったのは、ãƒ"ジネス系のé›'誌やTVなどで「シャクルトン流リーダーシッãƒ-で不況ã‚'ä¹-り切る」とç'¹ä»‹ã•れていたのがきっかã'でã-た。そのため最初は「コミュニケーションやマネジメントなど仕事の参考になればいいな」という程度の軽いæ°-持ちでã"の本ã‚'読ã‚"でいたのですが、シャクルトンé"の偉業ã‚'詳ã-く知るにå¾"い、そã‚"なæ°-持ちは吹き飛びまã-た。

精神的にも肉ä½"的にも限界ã‚'è¶...えたç'°å¢ƒã®ä¸­ã«ãŠã„て、不屈の精神でå...¨å"¡ç"Ÿé‚„ã‚'めã-ã-、そã-てそれã‚'実現ã-たシャクルトンé"28人は本å½"に「すã"い」の一言です。ä¹...ã-ぶりã!«å!!¿ƒã‹ã‚‰æ„Ÿå‹•ã-、そã-て人é-"の持つ精神力の偉大さã‚'学びまã-た。

彼らの不屈の精神とその記録はまさに人類の財ç"£ã ã¨æ€ã„ます。機会があればぜひã"の本ã‚'読み、彼らの奇跡のç"Ÿé‚„に触れてみてください。

エンデュアランス号漂流 (新潮文庫) (詳細)

先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!―鳥取環境大学の森の人間動物行動学

・「くすくす、なるほど
自然に囲まれた大学を舞台に、人と動物の間に起こるハプニングを書いたエッセイ。

表題にあるコウモリはじめ、ヤギからアリまで、様々な生き物が登場する。それらについて、軽妙な筆致で話が進む。そして、ここが一番重要なポイントなのだが、各章の後半は著者の専門である動物行動学などの話になるという流れになっている。このつなぎ方が実に巧妙で、人に物を教えるプロたる著者の真面目と言うべきところだろう。

「おもしろくてためになる」。子供用の学習教材などで使い古された宣伝文句だが、それがしっくりくる出来栄えだ。学術的な話が含まれているのに教育臭くない、環境問題なども扱っているのに説教臭くない、飄々としながらも浮わついていない。読み応えもある。

題名のインパクトで読み始めた本だけれど、期待を大きく上回る内容があって大満足した一冊。

・「楽しそうな様子が伝わってきます
人間動物行動学、とタイトルにあるのでどれだけ難しい解説の本やらと思ったのですが、内容はまったく違い、とても楽しい、大学の日々を描いたエッセイになっています。文章も堅苦しくなく、ちょっとした合間に読み進めることも可能なので、いつも鞄に入れて持ち歩いていたりします。

表題になっている巨大コウモリの話も面白かったし、飼っている動物が脱走して騒ぎになったり、森の中である動物親子に遭遇したり、孤独なシカの話があったり…。なんて素晴らしい生活環境なのだろうとうらやましく思います。(でもブラインドを開けたらヘビとご対面、というのは遠慮させていただきたいです)

道路整備やら住宅用地確保やらで動物の住まいが段々と少なくなっていく昨今ですが、やはり、彼らのためには人間が回り道をすべきなのでしょうね。この本を読んでそう思いました。

・「読みやすいだけじゃない
読みやすい文章。内容も一見、おもしろおかしい珍事件の数々のように思えるが、読み終えると専門的な知識も得られて勉強になる。

身の回りの自然や動植物にもう少し関心を持って生活しよう。そんな気持ちにさせる一冊だ。

・「生物+ヒト÷大学=∞のドラマ
大学や近隣フィールドを舞台に、生き物とヒトという演奏者が織り成して展開されるドラマがエッセイ風にまとめられている。凡人なら見過ごしてしまう出来事が、著者の生物に対する鋭い洞察力と、随所に散りばめられた動物行動学のスパイスによって、生物学的なエッセンスを含んだ面白い物語に仕上がっている。そのため、気軽に読めるだけでなく、読後は専門的な知識もある程度得られるだろう。

普段、何気なく接している身近な生き物や、自然に対する眼差しが変わるきっかけを与えてくれる一冊ではないだろうか。

・「漫画化希望
大変楽しく読ませてもらった。著者の小林氏とその学生達が繰り広げる、動物に対する愛情に溢れたエピソードが満載である。しかし、ただ単に面白いだけでなく、それぞれのエピソードに対して人間動物行動学からの視点があって(しばしば「脳のクセ」という言葉で表現される)、そいういう意味できちんとオチがつけられており、その手腕にも感心させられた。

それにしても、文章は読みやすく、時々でてくる太字がアクセントになってリズムを生み出している。こういう良い科学啓蒙書が出てくるのは大変嬉しい。読みながらこの研究室の日々を漫画化したら面白いだろうな、なんて思った。

一読をおすすめします。

先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!―鳥取環境大学の森の人間動物行動学 (詳細)

河童のタクアンかじり歩き (文春文庫)

・「たくあんって奥が深いのね
たくあんって、地方によって特徴や作り方が違うんですよ。誰もが一度は口にしたこと、見たことがあるたくあん。あなたのお家のたくあんはどんなたくあん?刑務所のたくあん事情とは?そして海外のたくあん事情とは?まわりにあるけど深く考えないたくあんに対するそのこだわりは「感心」してしまうほど。読み終わったあとには、各地のたくあんをどうしても口にしたくなっている自分に気付くはず。そして・・・あまりにもたくあんだらけなので、匂ってきそうな勢いですが、河童シリーズのなかでも何回も読み返してしまうもののひとつです。

河童のタクアンかじり歩き (文春文庫) (詳細)

邂逅の森 (文春文庫)

・「壮大なスケールで描くマタギ、富治の半生
 凍てつく東北の山に暮らすマタギ、富治。富治の半生をマタギという狩人としての暮らし、圧倒的な自然の中で壮大に描いた力作巨編。読み始めるやストーリーにぐいぐい引き込まれ、一気に読了した。読書の悦びをストレートに再認識させる本だ。文句なく★5つ。

・「山本周五郎賞は裏切らない
東北の狩猟で生計を立てる「マタギ」の物語。作者ならではの東北の雄大な自然を満喫できます。東北の自然は本当に神がかっていて、自然の力強さを我々に見せてくれます。秋田、山形という設定も地元の私には強く訴えかけてきます。本作の凄さは自然賛歌だけの物語ではなく、一人のマタギの人生を描ききっているところにあるのです。その人生もすざましく濃いものであります。富治の辿ってきた人生、出会った人々、恋愛、全てが読者の心に響きます。本当に良い読書体験でありました。人間を自然の一部分として捕らえた時に、自然と対峙しなければなりません。その経験は現在では殆ど体験することが出来ません。本書に触れることでその一端を垣間見ることが出来ます。

・「人智を超えた自然の営みに神を感じた時代…
邂逅の森…

読み進めていくうちに考えさせられた。 現代の人間は、そして自分は、 本当に生き物としての本来の生を生きているのだろうか…?

厳しい大自然と生身のまま対峙し、 共存して生きたマタギのひとり、松橋富治…

ひとたび山に分け入れば、 紛れもなくそこには命のやり取りがあり、 知恵の限りを尽くして獲物と勝負する。

獲物を仕留めた時には思いっきり息を吸い込み、 「勝負!勝負!」と腹の底から声を発っし、 木霊する雄叫びにより仲間の漁師たちに宣言する。 それは最も高揚感の滾る瞬間であり、 同時に自分が手にかけた獣の死を見つめる時でもある。

獲物となる獣たちへの敬意と、 人智を超えた自然の営みに神を感じた時代… 季節が巡り、その変化から、 そして自らの内に宿る生き物としての衝動により、 今の瞬間をどう生きるべきかを感じ取っていた時代…

多分ボクには同じ生き方は出来ない…

でも、読み進めるうちに、 登場するマタギたちの生き方に想いをはせ、 何と生き生きとしているんだろう!! 心からそう感じ、意外なほど強く羨望を覚えた。

人間の作った人間の社会という身勝手なシステムに 余りにもどっぷりと浸かり、 生かされていることへの感謝や敬意を忘れがちなボクにとって 生きるって、なんだろう…? 人間として、生き物としての本来ってなんなのだろう…?

「邂逅の森」は、そんなことを考えさせてくれる、 強烈に迫ってくる一冊でした。

・「クライマックスは凄い
秋田のマタギ富治の大正から昭和初期にかけての半生を描いた作品。抗い難い力によって人生の重荷を背負わさされた人々が、それでも懸命に生きていく姿は感動的です。テンポの良いストーリー展開にぐいぐい引き込まれる感じ。クライマックスの富治とクマの死闘は物凄い迫力です。

・「圧倒的に骨太な名作
ものすごい驚くべきストーリー展開というわけでもないし、血脇肉踊るサスペンスフルなシーンが連続するわけでもない。それでも、ここに描かれた一人の男の人生を通して、自然とは、文化とは、女とは、親子とは、命とは・・・いろんなことが深く胸に刻まれる本です。

邂逅の森 (文春文庫) (詳細)

歌舞伎を救った男―マッカーサーの副官フォービアン・バワーズ

・「すばらしい!
歌舞伎を救ったバワーズ氏の生き様がありのままに描かれ、とっても感動的な一冊でした。また、著者の少し癖のある文章がとても味があり、そして、熱心にこのバワーズ氏を調べ上げたことがよくつたわってきました。

是非歌舞伎好きな方も、そうでない方もこの本を読んで見てください。ちなみに私も歌舞伎は全くわからない人間です。

・「良い本です
とても素敵な作品でした。 ここであえて私から紹介するよりもまずお手にとって読まれた方がわかると思います。

・「歌舞伎の歴史について
歌舞伎の歴史にふれることができました。とても興味深く、歌舞伎についてより知りたくなりました。この本は小泉総理大臣も読まれたそうですね。一度読む価値アリです。

歌舞伎を救った男―マッカーサーの副官フォービアン・バワーズ (詳細)

帝王から音楽マフィアまで

・「目から鱗
切れ味鋭い石井宏氏のクラシック批評。「クラシック音楽」というだけでありがたがっている人々には衝撃的な内容。「芸術」と「ビジネス」のはざまで翻弄される演奏家たち。 その中で「モーツァルト、その知られざる遺言」は秀逸。ホルン協奏曲に秘められたホルン奏者である友人のロイトゲプとの親交が感動的。笑いの中に涙がある。 すでに出版されて10年以上たつが、ぜひとも続編を期待したい。

帝王から音楽マフィアまで (詳細)

音の影 (文春文庫)

・「いよいよ出てしまいました
岩城宏之氏の最後の文庫本です。私は文庫本派なのでずっと前から音の影を読みたいと思っていましたが我慢していました。そして、いよいよ文庫本になったのでうれしく思い一気に読んだのですがよく考えるとこれ以上岩城氏の新作を読むと言うことはないんですね。なんだか楽しみにしていた反面、読み終わった後なんだか寂しくなりました。「棒振り旅がらす」や「岩城宏之のからむこらむ」などの著作を読んできた私には岩城氏は会ったこともないのにとても親しい感じがします。そんな岩城氏の著作が今後、読めないのはとても残念です。絶筆となった「いろはうた」も是非本にしてほしいです。

・「クラシック音楽を身近に
ほっとしました。クラシック音楽は好きだけど、たまに演奏会に行くと気持ちよくなって寝てしまう。そんな自分は人として少々ダメなのではないかと思っていたのです。この本を読み、岩城さんも同じだと知って、少しうれしくなりました。作曲家や演奏家、そのほかクラシック音楽にまつわる楽しいエピソード満載の本ですが、一貫して底に流れているのは「小難しいことは抜きにして、すばらしい音楽を楽しもう」という著者の心意気。今でこそ「のだめ」がクラシックの裾野を広げてくれましたが、もう何十年も岩城さんは同じことを言いつづけてきたんだなあ。作曲家メシアンとの温かい交流を記した項、ちょっとジーンときましたよ。

・「岩城 宏之さんの追想録のような雰囲気を漂わす音楽エッセイ
惜しくも昨年永眠された指揮者岩城 宏之さんが書かれたこの『音の影』は音楽愛好家だけでなく、多くの人に読んでいただきたいエッセイ集だと思いました。堅くるしい内容ではなく、筆者独特のユーモアに溢れています。クラシック音楽をテーマにした本としては、洒脱で読みやすい文章が嬉しいですね。

有名な作曲家にまつわる36篇のエピソードを岩城さん自身の思い出とともに記したもので、「週間金曜日」に3年間にわたって連載されたものを単行本にしたものです。

アルファベット順の最初にでてくるアルベニスの「エスパーニャ」の曲にまつわる筆者自身の青春のエピソード「1秒間のキス」のくだりとか、バッハの「マタイ受難曲」が大好きだった武満徹を偲んだ「武満徹さんが最後に聞いた曲」でのしんみりとする交遊録など音楽の好きな者にとって興味深いエピソードが綴られています。

作曲家のことを書きながら、実は岩城 宏之さんの追想録のような色彩も帯びています。長年様々なガンと戦ってこられた筆者ですから、音楽表現での仕事だけでなく、文章でもその足跡を残される気持ちがあったのかも知れません。

痛快な学生時代の交遊録の『森のうた―山本直純との芸大青春記』、岩波新書の『フィルハーモニーの風景』、『楽譜の風景』などを愛読してきましたので、岩城さんの文章力の卓越さにはいつも感心させられています。病気と戦い、忙しい演奏活動の合間にこれだけの文を残された才能に驚きを禁じ得ません。名エッセイストと言えましょう。

・「★「こんなオーケストラ、つぶしてしまえ」★
●「しかし、絶対音感を持つことと、音楽的才能とは別のことである」という言葉も著者ならではの信頼性がある。アルファベット順に音楽家について書かれたエッセイ。 ・A アルベニス   : ・XYZ ヤング ●クラシックにほとんど興味がない人でも、岩城さんの本は不思議と面白く惹かれる。

音の影 (文春文庫) (詳細)

タイム・リープ―あしたはきのう

・「読み終えたのが残念なほど、気持ちの良い世界
学生時代、夢中になって読んでいたのを思い出し、再び購入しました。今読み直してみても、素晴らしく面白い作品でした。最初は分からなかった一つ一つの出来事が、段々と解明されていく過程は気持ち良い事この上ないです。読み終えたとき、1つの世界を味わい尽くせたと言う満足感で一杯になりました。時代の流れに左右されない、傑作だと思います。

・「10年も前のだけれど
面白いです。読んでいるうちに訳のわからない始まりを忘れ、最後の最後であっこれだったのかと思い出し、とてもすっきりした気分で読み終われます。物凄く計算し尽くされた話なのだろうけれど小難しさは一切無いので誰にでも読み易い小説だと思います。

・「今まで出会った本の中で
大げさかもしれませんが今まで出会った本の中でこれほどのめりこんで読破したのは、この本が初めてでした。最初はワケが分からない展開から始まりますが、だんだん読んでいくうちに、それがパズルのピースのように埋まっていく感覚があります。

読み終わった後爽快な気分にさせられるほど、執筆手法が見事でそれ自体に感動させられました。

何度も何度も読み返したくなる一冊です

・「一気に読ませる小説です。
 かなり前に出た本ですが、読み直してみると、相変わらず面白いです。タイムスリップ(この本で言うところの、“タイム・リープ”)を題材とした、ミステリー&サスペンス的要素が入った青春ノベルです。構成がよくできていて、パズルのピースが一片一片はまっていくように真実が明かされていきます。

 ある程度の長さはあるのですが、テンポがよく、真相はどうなんだろう?と気になるので、一気に読めてしまいます。主人公の女子高生・鹿島翔香とヒーロー役で翔香の秀才なクラスメート“若松くん”も魅力あるキャラクターに描かれていると思います。 このハードカバー版は絶版になってしまったようで残念ですが、文庫版(上下巻)が出ています。文庫版のほうでは二人の(ちょっと中途半端な)未来のエピソードが追加されています。

・「蛇足のない単行本がおススメ
 文庫版も出ていますが、あえて単行本をお勧めします。理由そのイチ:余計なカットがない。文庫版の長髪の若松君を見るまで(見た後も)彼のマイ・イメージは「パトレイバー」の黒崎さんの若かりし頃、もしくは道原かつみの細目キャラでした。地団駄踏みましたよ。そして理由そのニ:余計な蛇足がない。文庫の後書き代わりに若松君の未来をちょっと覗かせてくれたのは、読者サービスのつもりだったのかもしれませんが、翔香ちゃんは一体どうなったの~!こんな思わせぶりな出し方は、ヒキョウ。という訳で文庫版はお勧めしません。

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勇気凛凛ルリの色 (講談社文庫)

・「参った。
浅田次郎さんの書く小説が大好きで、全て読んでいます。面白くて面白くて、ついさっきまで笑っていたのに、もう涙ぐんでる、そんな物語の展開にやられっぱなしです(笑)でも、もし人に彼の作品のオススメは何かと聞かれたら、私は間髪いれずに「勇気凛々ルリの色シリーズ!」と答えるでしょう。

本当におもしろい!!電車の中ではまず読めません。笑い転げます。しかもそれだけではありません。筆者の世の中に対する思いがひしひしと伝わってきます。レビューなどを書くのはあまり好きではないのですが、この作品に関しては、たくさんの人に読んでいただきたく書かせていただいた次第です。

・「勇気凛凛ルリの色
これは本気でおかしい。高卒もと自衛官で、このエッセイを書き始めた時は無名の作家だった筆者が、シリーズ中にミリオン作家になってしまったという、なんとも元気が出る1冊。何かの劣等感と戦っている人に是非読んで欲しい。

・「浅田次郎ファンにとってはたまらない作品と言えるでしょう
私の大好きな浅田次郎のエッセイの第1作です。痛快なエンターテイメント溢れる珠玉の作品が並んでいますので、何回読み返したか分からないほどの愛読書になっています。エッセイという堅い響きの物ではなく、まるでオチのある短篇小説集のような仕上がりですから、難しい文章は皆無ですね。けれども浅田次郎の人となりや人生観、社会への視点などが文章の至る所に感じられるわけですから、ファンにとってはたまらない作品と言えるでしょう。

執筆当時はまだ、『地下鉄(メトロ)に乗って』で吉川英治文学新人賞を受賞する前ですから、作家としてもその持てる力をセーブすることなく注ぎこんでいますので、それが文章から得られる感動の確かさとなって返ってきます。

我々の世代なら当然知っている「少年探偵団」の歌から、このエッセイのタイトルが付けられています。それにしても昔のことを良く覚えていると思います。作家としての天分を授かっていたわけですね。50歳以上の方にとっては、昔懐かしい話が多く、共感を持って読まれていることでしょう。近い世代ですのでよく分かりますが。

この「週刊現代」に連載されたエッセイはその後、4つの作品集として世に出ました。本策がその第1冊目に当たりますので、もし感動されましたら、残りの3作も是非読んでください。味わい深いものばかりですので、その読後感の素晴らしさは保証します。

・「自分に渇!を入れたいときに。
週刊現代に連載していたエッセイで、まったく癒されること無く、ただし本当に「勇気凛凛」という感じです。

あと、浅田次郎氏のいやみの無いナルシストぶりに感嘆です。

浅田作品を愛する人にはギャップを感じる方もいらっしゃるとは思うのですが、浅田エッセイも読まないと。浅田作品が、もっともっと好きになること間違いナシ!

・「思わず落涙するほど、優しい人だな
高卒ので元普通科連隊二等陸士でネズミ講からはじまる闇金融にどっぷり染まっていた元取り立て屋という経歴を持つ、小説家というのもほんとうにめずらしい。というか、筋肉と小説(内省的な思考)は反比例するのが普通なんだよねぇ。競馬に興味もなく週刊現代を読まない僕は、浅田次郎が、「こんな」人だったとは、夢にも思わなかった(笑)。物凄い面白いエッセイでした。

妙に汚いシモネタや禿げやヘビースモーカー、競馬の話が続くと思いきや、非常に地に足が着いた自衛隊論議があったり、犯罪についての落涙するような共感のある一言があったりと、幅が広い。とくにp291「理不尽について」のような戦前の西日本の防衛を担当する教育参謀で原爆によって死亡した朝鮮の王子とその理不尽さに殉死したお付の吉成弘中佐の話などは、こういった視点があるからこそ傑作『蒼穹の昴』が執筆されたのだろうと、唸らせられるものを感じた。

それと、三島由紀夫は、太宰治を評して、「あいつの悩みなんか、朝早く起きて乾布摩擦すれば消える程度の悩みだ」と斬って捨てたのを読んだことがあるが、健康中毒元自衛隊員の浅田さんが、蛇蝎のごとく太宰を嫌っているのを読んで、非常に納得した(笑)。

勇気凛凛ルリの色 (講談社文庫) (詳細)

推理小説常習犯―ミステリー作家への13階段+おまけ (講談社プラスアルファ文庫)

・「過酷な、あまりに過酷な・・・ 作家志望者はぜひ一読!
森雅裕氏のように江戸川乱歩賞のような大きな賞を受賞したからといっても簡単には推理作家としては生活できないということがリアルに分かります。

私憤を晴らしているというよりも出版業界の実体に戦慄する本です。小説では筒井康隆氏の「大いなる助走」や小林信彦氏の「悪魔の下回り」がありますが、ミステリー作家へのガイドという

体裁をとりながら、ある種のノンフィクションだと思います。

出版業界というのはドロドロの恐ろしい人間関係があるのですね。村上春樹氏が外国で生活したり、文壇と関わらないという姿勢をとっているのもうなづけますが、ベストセラー作家でないとそういう姿勢さえもとれないようです。

作家になりたいという人は多いと聞きますが、この本を読まれて

一度考えてからでも遅くはないと思います。

・「こ、こんなこと書いて大丈夫?
はっきり言って(いや森雅裕さんの為にはヒッソリ宣伝したくもある、フクザツな気持ちなんでありますが)これは暴露本であります(笑)

こんな本を書いてしまうヒトだからこそ永遠の初版作家(本人談)などと呼ばれてしまうのでしょうが、森雅裕の本音まるだしで小説の書き方にとどまらず、ギョーカイのことを語っております。ある意味抱腹絶倒(謎)、ファンにはたまらない一品か、と。

・「森雅裕という生き方
 本書は、推理作家になるための指南書という体裁をとった業界暴露本である。しかし、よくある業界内幕暴露本として面白おかしく読んでいた私は、読み進めるうちにそんな生易しいものではないと気付くことになる。ここに記されているのは、自分の気持ちに正直に生きようとした一人の推理作家がたどる過酷な運命である。

 本書を読み終えて私が思ったことは、森雅裕という作家が示す生き方に賛意を示すために、1冊でも多くの著作を買おうということ、そして、推理作家にはなりたくない、ということである。

・「人生がハードボイルドな人は辛い思いをするのさ
出版業界のæš'露本とã-て読むのも良いと思うã-、作家になる為にはどのようなã"とã‚'ã-、どのようなã"とã‚'覚悟ã-なくてはならないかという指å-書とå-るã"ともできると思う。だが、やはり森ファンとã-て思ってã-まうのは、自分に忠実にç"Ÿãã‚‹ã"とがどã‚"だã'難ã-いか、というã"とだ。ã"れは出版業界だã'に言えるã"とではないと思う。どã"かで自分ã‚'偽るã"とができないハードボイルドの主人å...¬ã¿ãŸã„な人é-"は、どã"かでå¿...ず辛い思いã‚'ã-ている。私はそういう例のひとつが森氏であり、そのç"Ÿãæ§˜ãŒã"ã"に刻まれているのだと思った。そã-てã"の本ã‚'読ã‚"で小説ã‚'書くã"とについてかなり自分のアティテュードが変わった。又もã-何かé-"違って作家なã‚"かになってã-まった時最悪どういう事æ...‹ãŒå¾...ちå-ã'てるかとかいうã"ã!¨ã¾ã§è€ƒãˆã‚‹ã‚ˆã†ã«ãªã£ãŸã€‚(無è«-、作家になる才能はないので現実的ではないが)。ただ、読み終えて、ã"れ以上森氏のæ-‡å£‡ã§ã®ç«‹å 'が悪くならないã"とã‚'祈った。もうæ-°ä½œã¯æ›¸ã„てくれないのだろうか……

・「小説家になろうとする人は必読かもしれない
どんな業界にも陰部はある。私は新聞社に勤務したことがあるので、正義の使者、社会の木鐸なんて言葉が大嘘であることは知っている。そんなことは警察や官僚、商社、銀行、街の工場だって同じだと思う。だって所詮は人間のやっていることだからだ。水清ければ魚住まずでしょ。小説家の世界も芸能界に負けず劣らず大変そうだ。しかし、どんな業界でも苦労はつきもの。そんなものさと諦めることも必要。もちろん、努力は続けるべきだが。

推理小説常習犯―ミステリー作家への13階段+おまけ (講談社プラスアルファ文庫) (詳細)

藤井寺さんと平野くん 熱海のこと (ガガガ文庫)

・「終わった事件
をその孫の世代と野球バカが語り合うというどこか懐かしい雰囲気の漂う不思議な推理小説です。殺人の動機は野球に係わったものであって欲しいというヒロインの欲求に作者の野球に対する深い愛が感じられます。

ついでに時折混ぜられるナンセンスな下ネタがハートに直撃

・「野球がとにかく好きな人の本
ヒロインの名前とか出だしやその他諸々のところから「とにかく野球が好きな人向けの本」かと思って読んでいたらかなり本格的な推理小説になっていました。驚愕です。実際に筆者が野球を愛してやまないことは行間から伝わってきますがそれを単に垂れ流すだけではなく、エンターテインメントとして読ませるように推理小説の体を取って何度も推理をひっくり返していく様子は圧巻でした。続編も楽しみに待っています。

・「『投手殺人事件』の見事な翻案。
坂口安吾の探偵小説短篇『投手殺人事件』の翻案作品である。こう言っては安吾に悪いかもしれないが、私は今作で翻案元のキズの多さを思い知らされた。そのキズを逆に利用して想像の幅を広げられた樺薫氏には敬意を表したい。氏が作品内で言っている通り、大阪府民にはもっとバファローズを大事にして欲しい。

ただ、語り手の台詞の中に「富士には月見草が、〜」とかいう文句があったのだけは頂けなかった。作者が違うだろう。

藤井寺さんと平野くん 熱海のこと (ガガガ文庫) (詳細)

ロミオの災難 (電撃文庫)

・「見た目とは違い直球恋愛系でした
発売当初に表紙とカラー挿絵とあらすじをざっと見てホラー系やドロドロ恋愛系は好みじゃないなぁと購入を一度やめたことがあったんですがここの評価を見て再度思い立ち購入。

演劇部のお話ですが、演劇に興味がなくとも読めました。手に取った感じだとホラー系に見えますが、その成分はまったくと言っていいほど本筋にはからんで無く、恋愛メインのお話です。登場人物も気持ちいい奴ばかりでドロドロもしていませんでした。同じ電撃ですと「とらドラ!」などが好きな人にはオススメです。電撃文庫にしては珍しく、タイトルや売り方で損をしている作品だと感じました。魅力的なキャラクターも多いですし、ぜひ続編を読んでみたいです。

・「こういうのが読みたかった
軽すぎもせず重すぎもせず、とても読みやすくて内容もおもしろくてお勧めです。同じキャラクターでもっと本を出して欲しいです。続編希望です。どうかお願いします。

・「丁寧に描かれた良作
著者の前作である「哀しみキメラ」に感動して、今作も期待して読ませてもらいました。なにやら思わせぶりな冒頭に、これは後でどういう風にストーリーに繋がるんだろうとワクワクしながら読みました。今回は高校生の男女5人が主役で、「僕」の一人称。一応ホラー調のストーリーではありますが、「哀しみキメラ」とはかなり趣が異なり交わされる会話も、ただよう空気もなんだか平和です。しかし前作と変わることのない丁寧で平易な描写で、冷たく乾いているようなでもけして無味乾燥ではない、ほどよい緊張感を常に感じさせてくれる文体が最初から最後までとても心地よかったです。登場人物も好感が持てて、最後まで読み終わったとき、「面白かった」というよりこの作品が「好きだ」という感想を抱きました。

ところで、表紙をめくると出てくるカラー口絵にはぎょっとさせられました。初見の段階では単純に「怖っ!」と思ったのですが、読み進めていくうちに「ああ、あの絵はそういう意味だったんだ。なるほど」と納得することができてちょっとした感動を覚えることができました。イラストレーターの方はこの作品をよく理解しているなあと嬉しくなりました。ただ欲を言えば藍子の髪の色は本文通り黒にしてほしかったかな、とは思いました。でもキャラクターたちはほぼイメージ通りに描かれていたので満足です。これはこれで完結した話なので続編はあまり期待できない雰囲気なのですが、また如月たちが表紙を飾る本が出たらいいなあと思います。これでお別れなのは少し名残惜しい感じなので。

・「普通の感想になってしまいますが・・・
部室で見つけた「ロミヲとジュリエット」の台本を見つけてから、演劇部五人に奇妙な変化が起こり始めた。突然、4人は1人に恋をする。これは一冊の台本から始まった、恋をめぐるちょっと怖い物語。この思いは誰のもの?4人に好かれるようになった主人公が、悪いと思いながらもウハウハになって状況を楽しみながら事件解決なんて単純に思っていたのですが…。そんなバカ話じゃなくて、話の流れるうちに感情移入してしまうほどで、恋のドロドロした形に、純粋な気持ちを持ちつつ、また怖いくらい嫉妬にゾクゾクしながら読んでいました。単純に面白いだけじゃなくて、よかったです。そして最後に、改めて本当の気持ちと向き合った場面で、彼らの恋がうまくいくことを祈りつつ、私自身の思いも重ねながら、私はこの本を閉じたのでした。…ちょっと臭いかな?(笑)

・「恋の青春物語
来楽零さんの言葉を拝借するなら「恋の青春物語」。これが最もしっくりきますね。

全体を通して非常に読みやすく、300ページ程度で簡潔させているにもかかわらず、登場人物の心情をしっかりと描き切っているのは見事です。ヒロインに一目惚れした主人公と、それに全く気付かない鈍感娘の2人を軸に、5人の高校生たちが文化祭で演じる演劇の練習をしながら物語は進んでいくのですが… 先が非常に気になり、文化祭が始まるとたぶん止まりません。時折挟まれる主人公のツッコミが面白すぎるので疲れるということもないですし、読み終わったあとにはきっと清々しい気分になれると思いますよ。個人的には終わり方がすごくいいと思いますね。ドタバタ系にはあまりないような、余韻を残した締めが好きという方には特にお勧めです。最後になりましたが、忘れてはならないのがイラストです。紫を基調とした色使いが素晴らしく、特にヒロインが可愛いすぎます!!駒都えーじさんから淡さを取ったようなものでしょうか。表紙に惹かれ、そのままイラスト買いしたのは自分だけではないはずです。有名な方ではないと思いますが、今後要チェックです。では、書店でレビューをご覧になってる方はそのままレジへ、あいにく今は家だという方はすぐにカートへどうぞ!!(笑)↓↓↓↓(クリック)↓↓↓↓↓

ロミオの災難 (電撃文庫) (詳細)

人獣細工 (角川ホラー文庫)

・「作品の名前がばっちり。
 「パッチワークガール。私は継ぎはぎ娘。」その文章に惹かれて買いました。 先天性の病気から医師である父により体中いたる所にブタの臓器を移植された娘。私は人間なのかブタなのか。 人はどこまでが人なのか。どこで境界線が引かれるのか。今後人間以外からの臓器移植が可能となれば起こりうる倫理的問題点をもとにした作品です。 ゆっくりとそろそろと徐々に怖さがこみ上げてきます。著者の淡々とつづられてゆく文章がラストの驚きの結末までの怖さを持続させています。 娘が唯一信じていたものが揺るがされた瞬間、彼女が感じた恐怖と絶望はきっと誰にも想像できない。 「吸血狩り」も面白いです。男の言動が少年の幼い想像力をかきたて、少年は驚きの行動に出る。子どもの無垢な想像力と行動力を甘く見てはいけません。 短編なので一気に読めます。一気に読んでください。

・「混乱。
人と動物の境目を問う表題作のほか、8歳の少年が憧れの女性(従姉)を吸血鬼から守る為に戦う「吸血狩り」、読んだ者を狂気に陥れる「本」の2編が収録されている。個人的にもっとも印象に残ったのは「本」。どこまでが"本"の中身で、どこからがそうでないのか、その境目がわからない。「吸血狩り」も、あの男を吸血鬼とみなすか否かで物語の持つ意味合いが全く違ってくる。小林泰三の書く物語は、読み返すたびに新たな発見があり、何度でも楽しめる作品が多い。この本に納められている三作も例外なくそうである。小林泰三作品を読んだことがある方もない方も、この本は是非一度手にとってみるべきだ。

・「傑作ホラー
 本当にレベルの高いホラーだと思う。自分が短編小説でここまで面白いと思えるのはこの著者と乙一だけだ。 独特なグロテスクな描写と世界感。読んでいる間にもまるで狂気の世界に放り込まれたような眩暈感を常に感じる。 表題作は人の存在と尊厳と狂気を融合させた傑作。吸血鬼も表面だけ見ればなんてことない作品だが、内部にはとてつもない悪意と狂気が描かれていて、しかも、読み手にきちっと伝わる形で書かれてある。 そして、際立った完成度を誇るのが最後の短編の「本」。まぎれもない傑作。一度読もう。

・「秀逸な短編
 遺伝子改良によって、豚に人間の臓器を持って生まれさせ、それを使って臓器移植するというのが主流になった世界。 主人公の少女は、それを確立させた医者の娘で、彼女の体のあちこちは豚の臓器を使われている。 果たして、人間の臓器を持った豚の臓器は、人間のものか。 そして、「ヒトブタ」である事を、少しずつ知っていく少女。

 ラストは余りにも……

 表題作である「人獣細工」他、従姉妹を守る為に吸血鬼と戦う少年の話「吸血鬼狩り」や、奇妙な本を読むと、狂気の世界に入り込む「本」の三作の短編。 変わったホラーが読みたい人は是非。

・「研ぎ澄まされた混濁
小林泰三氏の本は読者の意識を混濁させる危険物であるこの著作に於いては「人獣細工」と「本」にその危険性が顕著に表れている

「人獣細工」は主人公がそうしたように、読者に痣を探索させようとする身体、感覚、意識……人が持つとされる物を抽象し漂白させようとするとても危険である

「本」、今手にしている物が紛れも無いそれであるかのような錯覚を覚えさせる架空である事を読者に切願させるとは、なんて悪趣味なんだろう?著者の悪趣味は読者を決して安全地帯の傍観者にしておかないことだ現に安全地帯は既に蝕まれている、その本によって

と、かような濁りを読者に提供する小林氏の才それが研ぎ澄まされたものであることは言うまでもあるまい

人獣細工 (角川ホラー文庫) (詳細)

神秘の島〈第1部〉 (偕成社文庫)

・「海底2万里は好きですか?
なんと言えばいいのかわかりません。子供用の本ですが、大人としても子供にだけ譲るのはちょっともったいない。『2年間の休暇(15少年漂流記)』『海底2万里』『地底旅行』『80日間世界一周』とベルヌの著作は多々ありますが、もしかすると一番か、いや『海底2万里』といい勝負か。というくらい面白いです。

詳細を記してしまうとつまらないので、微妙な書き方になってしまうのですが、南北戦争時代のアメリカ人が無人島に流れ着きます。そこでの苦労や楽しみ、戦い、喜びなどが生き生きと語られます。流れ着く人数もちょうどいい。15人より少なく、3人より多い。ロビンソン・クルーソーのような一人きりの寂しさがありません。ここに出てくる男たちは(犬もサルも含めて)とても勇敢で、粗野な人もいますが、絶対的に尊敬できます。世代を超えた友情の尊さや、大人が子供を守るといった当たり前の、でも現代においては危うくなった関係が、迷いなく、描かれています。

私のレビューは子供にいい!というのが多いのですが、これもそうです。冒険心や想像力、協力する心、人を尊ぶ事、命の大切さを余すことなく学べます。

是非お父様から差し上げてください。

100万回くらい読んで、ベルヌがこの世に生まれた事を感謝してます。当然ながら☆5つ。

・「最悪の状態から…
数ある漂流小説の中で、これほど最悪な条件から始まる小説は無いだろう。ヴェルヌの『十五少年漂流記』では、漂流した船に、必要な道具は積んでいたが、この話は殆どゼロからだ!米国の南北戦争で、南軍から逃げた五人の男と一匹の犬が、気球を奪い、南太平洋の無人島に漂着するのだが、道具は殆ど失い、リーダーのサイラス・スミス技師が行方不明。マッチ一本、小麦一粒、犬の首輪、着ている服、懐中時計数個の状態。

……なのに、この五人は、カマドを作って煉瓦や壷を作り、火山の麓から鉄鉱石を見つけ、製鉄を始めたりと、本当に凄い!『無人島に行くなら何を持っていく?』の質問に、カップめんと答える人は多いが、私なら、この神秘の島を持っていきます。(笑)石鹸や、フイゴ、鉄、蝋燭まで作っていくのだから、本当に凄い!

・「理系専門家になることのロマンが詰まった傑作
数あるロビンソンクルーソー譚の中でも自然科学の知識をサバイバルに生かしていく面が特に強く、小松左京の「さよならジュピター」と共に理系の専門家であることのロマンを教えてくれた個人的に思い入れの深い作品。今読むと確かに少し子供向けだったと感じる部分はあるが、それでも十分な魅力をもっている。おそらく「ふしぎの海のナディア」や「無人惑星サヴァイブ」といったアニメーション作品に対しても影響を与えているのだろう。それらの作品のクリエイター達が子供の頃本書に出会い、私と同じように興奮したであろうことを想像するとなんだか嬉しくなってくる。古い作品ではあるが、石炭がエネルギーの主流だった時代にすでに化石燃料の枯渇問題や水素エネルギー時代の到来についても言及がなされており、当時の問題意識が現在とそう変わらないことに驚く。しかし、人類が地球という閉じた系のエントロピーの増大を考えずに夢を見ることができた時代の空気も感じられる。そういう面でも興味深い。本書をお子さんに紹介しようと考えている方には「海底2万里」を先に紹介する事を強くお勧めします。興奮が全く違います!

・「感服のひとこと
ジュヴナイル版「海底二万マイル」そして「神秘の島」を幼いころ、読んで…もう、面白いのなんの、サイエンス・フィクションというジャンルが生まれる前に生まれた素晴らしき「すこし・ふしぎ」物語「神秘の島」、これがそう。まずみなさんは本書にトライする前に「海底二万マイル」を読んでおいてください(理由は…ネタバレになってしまうので書けません)。面白さは保証いたします。よく「子供向け」の本、といわれていますが、大人にだって読めます。どんな年齢層の人が読んでも素直に感激できるはず。SFという概念においての、本書の功績は大きい。☆は5つでも足りないくらい。アーサー・クラークも、アイザック・アシモフも、この本なしには生まれることがなかったでしょう。このお値段でこのクオリティは安い。ぜひご購入を。

神秘の島〈第1部〉 (偕成社文庫) (詳細)

アド・バード (集英社文庫)

・「周りの世界が急に奇妙なものに見える読後感
椎名SFワールドの原点。椎名誠の本で、一番売れてるのはおそらくエッセイ・旅行記なのだと思うけど、(amazonの「売れてる順番」でもそうみたい)ぜひともこの「アド・バード」、「水域」、「武装島田倉庫」のSF3部作は読んでほしい。

SFは科学半可通のカタカナ連呼小説ではない。知識によるものではなく、発想のトビかたで勝負するものだと思う。自分にとってのSFの魅力は、「まるで映画みたいに別のおかしな世界を構築して、新しい世界の中を旅することで、今自分がいる世界のおかしさを再発見できること」だと思っているのだけど、この「アド・バード」はSFの魅力が満載だ。

 近未来の、赤茶けた鉄錆の世界と、そこで生きる人々。酸性雨が降る中の奇怪な生物。その中の人々はどれも人間くさく、奇妙な生活を営んでいる。 多くのSFが、世界の描写を際立たせるためにストーリーはかなりシンプルなものにしているとおり、「アド・バード」の筋立てもシンプルだ。知識から造った世界でもない。

 ここにあるのは椎名誠の発想から生まれた奇妙な世界と、筆力によってぐいぐい展開するストーリー、読み終わってから、周りの世界が急に奇妙なものに見える読後感だ。

・「まさにシーナ・ワールドの最高傑作
椎名さんはいつも旅をしてビールを飲んでばかりいる人ではない。本来はこういうSFを書く人だったのだ、と思い知る一冊。奇怪な名前の生物が多々登場する未来社会。気色悪いのとかもいて、ひぇぇと読み進み、最後のシーンでほっとした後に心に残る不思議な感覚。これがたまらない。椎名さん、この頃SFの新作が出ないのですが、読みたいなぁ。

・「SFの金字塔!
僕がはじめに椎名氏の本と出会ったのは、旅行エッセイものであった。いやおもしろいなーと他の作品も読みはじめた。すると武装島田倉庫というけったいな文庫本が目に入る。読んでみた。あっけにとられた。はじめはそれが大好きなSFだとはなかなか気がつかなかった。実はその時点では椎名氏がSFも書くとは知らなかったのだ。はまった。抜けだせなくなった。他のものも捜す。そしてSFデビューにして日本SF大賞をとってしまったという本作品の存在を知る。その時はまだ文庫化していなっかった。手に入らない。あせる。文庫がでる。期待以上のものだった。古本屋でハードカバーも買う。こんなに凄い物は今後出てくるのだろうか?水域も交えた3部作は僕のつぼをがっしりえぐって行ったような衝撃を与えて行った。

・「この世界、波長があえば行かれます
椎名誠のSFは、周りの世界を良く知らない若者が主人公であることが多いですね。旅の途中で出会う人々から多くのものを得る、という点では紀行文みたいなものだと思って読んでいます。私たちは彼の紀行文を読んでモンゴルや沖縄を旅するように、彼の頭の中を旅してるんでしょう。

この世界にはまったら「武装島田倉庫」や「みるなの木」も楽しいです。

・「椎名不思議ワールドの原点
かつての繁栄の記憶を痛々しくとどめた大地と都市に出没する奇怪な生物と暴走機械、そして広告は、そのまま過去の繁栄と反目の歴史なのだ。

椎名SFの原点ともいうべき作品である。ここから、不思議ワールドは始まったのだ。

アド・バード (集英社文庫) (詳細)

わしらは怪しい探険隊 (角川文庫)

・「これぞキャンプの醍醐味!!
筆者が悪友達と過ごした、辺境の地でのキャンプ生活を書く。シリーズ物だが、個人的にはシリーズ第一作のこの作品が一番面白かった。いい年した大人達の愉快なキャンプ生活が、軽妙な文章と沢野ひとし氏のイラストでより魅力あふれるものに。

本当のアウトドアに必要なのは、道具や場所、まして電気や水洗トイレなどではなく共に楽しめる仲間だということを実感。不自由を楽しむことが本来の姿であろう。

・「私のキャンプ原風景
焚き火と酒、そして仲間。これだけそろえば、旨いもんは旨いし、旨くなくても旨くなる。わいわい与太話で楽しい時もあるし、焚き火を見ながら黙りこくる時もある。雨が降り、風が吹き、蚊に襲われても仲間と囲む焚き火は楽しいのである。本書に出会ってから始めたキャンプ。一生続けるのだろうな。だから、本書は私のキャンプ携行本です。

・「これも椎名誠の最高傑作
男たちが野山、海に出かけて、焚き火をして酒を飲んで馬鹿騒ぎすることを書いた本。ただそれだけの事ですが、これがなんとも面白い。こんな事を一冊の本にしてしまう椎名誠は天才だと思いました。この本が出てから、東ケト会(東日本なんでもけとばす会)のコピー会が日本全国いたるところにできたと言います。私もその一人でした。

当時日本は、アウトドアブームでした。これを読んでアウトドアに興味を持った人も多かったのではないでしょうか。これを読むと山や海に出かけたくなります。ああ、男っていいもんです。

・「大好きな一冊
 作者の椎名さんとその仲間達による焚き火キャンプのルポ。 

 ここに登場する仲間は椎名さんと学生時代からの親友や、会社の同僚、後輩、友達、友達の友達といった感じで、一見しただけでは「どこに共通点があるんだろう?」という気がしないでもない集団が、ナベや釜、10人用のテント、なぜか折りたたみ式のテーブルまで持って離島や偏狭へ行く。そして、焚き火をしながら、おいしいもの食べて酒を飲んで唄って踊って寝る、という話である。

 キャンプといっても、そこらの正しいアウトドア用品を装備して、いわゆるブームになったキャンプではなくて、気の合う連中と発作的に、しかも荷物も気取らずダンボールに入れて移動するのがなんかいい雰囲気だ。ともすればキャンプでも一々指図する人!とかいるけれど、「自分流でやればいいじゃん、楽しければいいじゃん」という本来のあり方がズバッと出ているのも読んでいて好感が持てる。

 この「あやしい探検隊」はシリーズ化して、この後もいろんな所に行くのだけど、この本では主に三重県の神島が舞台。酒を飲んで寝ているところへ、蚊の大軍による突然の襲来で殺されそうになったり(笑)、神島一周を泳いで競争するというのでは途中で流れで沖に持っていかれて必死に陸を目指したりと、そういったことが椎名さんならではの書き方で表現されていると思う。個人的にはあやしい探検隊シリーズでは一番好き。  そういえば、「あやしい探検隊」というのはこの後のシリーズや文中では「探検隊」なのに、この巻だけが「探険隊」だったな。なんでだろ!う?

・「世紀の大傑作
内容を書くと、いつもの4人組を中心とする探険隊、いわゆる「東日本何でもケトばす会」の離島での、飲んで食って歌って騒いでという天幕生活を描いただけである。でも、これが面白いのである。これほど笑って、笑いすぎて泣いたのは、10数年前に村上龍の「69」を読んで以来だと思う。

別にこの本を読んだからといって、何か知識が増えるわけでもなんでもない。でも、そんなごたくをいわずに、とにかく読んで下さい。絶対、腹がよじれます。

わしらは怪しい探険隊 (角川文庫) (詳細)

人間万事塞翁が丙午 (新潮文庫)

・「予想以上!
すごくよかった。日本橋が舞台となっていたのもなんとなく親近感が湧いたこともあるけれど、テンポもいいし、気取りもなく、微笑ましい中に「なるほど」と感心させられること度々。戦前戦中戦後の中で主人公のハナの心の動き、周りの人々との関わりながら成長していく。「日本橋から神田まで見渡せる」といった焼け野原の場景も単純だが思い知らされる。

・「これぞ大衆文学!
作者自身は放送作家として、作詞家として、喜劇俳優として、政治家として、あまりにも有名でありながら、小説家としては知名度は低い。いわんやこの直木賞受賞作をや。

戦前から戦後にかけて、下町の人々の生き様を描く小説。主人公のハナは作者の母親がモデルである。

まずなんといっても注目すべきはその文体。講談、あるいは落語のような、テンポのよい語調で軽やかに物語はすすんでいく。戦時中を描くのであるから、もちろん明るい話ではすまない。東京の街は焼け野原になるし、戦争で散る命もある。しかし、何があってもあまりしんみりしない、笑いで悲しみを中和してやろうと試みるような、そんな下町人情を浮かび上がらせるのに、この軽やかな文体はまさにピッタリである。

このあたり、作者にとっては計算どおりなのだろう。青島幸男といえばテレビ世代の申し子として数多くの仕事をこなし、お茶の間の人気者の地位を不動とした男である。エンターテイメントとはどういうものか、人を楽しませるためにはどのような手が考えられるか、髄まで知り尽くした人間なのだ。もともと彼は文学青年であったという(作中でも、作者本人がモデルと思われる次男坊の幸二について「本にばかりかじりつくようになった」との描写がある)。たとえ売り物にする小説を書いたのは初めてといえど、文学青年としての経歴と、それ以降の職業遍歴とで、十二分にノウハウは身につけているのだ。

この作品には、軽く書いていながら浮ついていない安心感がある。それは彼が充分に下地をつくっていて、それを土台にこの物語を組み上げているからだ。他の誰も真似のできない深い経験がそれを可能にしたのである。

そして、内容は彼がどうしても書きたいと思っていた、両親はじめ彼の少年時代の周囲の人々についてのものだ。日本の娯楽の歴史にその名を燦然と輝かす稀代のエンターテイナーが、その思いの丈をこめて書き上げた小説が、面白くないわけがない。

一時期電子書籍以外の媒体では入手しづらくなっていた本書だが、現在はまた再版されている。この機会、逃せば次はいつになることか。読むなら今のうち。

人間万事塞翁が丙午 (新潮文庫) (詳細)

ヴァーチャル日本語 役割語の謎 (もっと知りたい!日本語)

・「言葉に現れるステレオタイプ
何気なく当たり前のように読み流している「物語」の登場人物たちの言葉遣い。それがいかに普段,本当にわたくしたちが晒されている日常の言葉とかけ離れた「ヴァーチャル」なものであるかに気付かせてくれるんですの。で,そうしたステレオタイプの「役割語」が歴史的に,方言地理的に国語史の中で如何に成立したかを,解き明かしてくれるのじゃ。しかも,資料には我輩たちが親しんできたヒーロー,ヒロインものの漫画やアニメが扱われる。そうした登場人物たちへの筆者の眼差しもとても懐が大きく素敵ですこと。数多くある日本語物の中でも大変おすすめアルヨ。

・「役割語は不思議じゃ
他のレビューでも触れられているとおり、〈博士語〉(そうじゃ、わしが博士じゃ)や〈お嬢様ことば〉(よろしくってよ、オホホ)といった、現実の日本語ではないような変な日本語を紹介するだけでなく、歴史的にもどのように形作られていったのかを明らかにしようとする意欲作です。しかし本の中にも書かれているとおり、どうしてそんな変なことばを聞いたり読んだりして我々は「あぁ博士がしゃべっているんだな」と認識することができるのでしょうか。さらには「○○だにょ」とか「ぎゃぼ〜!」「うぐぅ」といったよく分からないことばが日々マンガやゲームの中では生産されていきますが、違和感なく(あるかもしれませんが)受容していくことができるのはなぜなのでしょう。これはいろいろな学問分野で取り組むべき問題提起なのではないかと思います。本書を色々な人が読んで、もっと面白い研究が世に出ると良いなと思います。

・「内容は面白いが、引用は読めなかった。
主説は興味深く読めました。また、役割語をどのように使っているかという視点で、過去に読んだ物語もまた楽しめるようになりました。

本書の構成。大きく2つに分かれております。 1.役割語の誕生とその歴史 2.役割語の使われ方と、作られ方(仮説)

以下は一通りの解説。

1.役割語の誕生とその歴史

 本分のメインを締める解説。作者の方曰く、作成途中らしい。2.役割語の使われ方と、作られ方(仮説) 現実と仮想現実。 現実の中にある位相という社会的クラス分けと、その中で使われている言葉の差。 現実と作品中の話し方はまるで違う。役割語を使う人間は、現実には存在しない。  仮想現実とは物語上のこと。

 役割語はその名の通り、役割を端的に表現できる言葉として作品中に使われる。 ステレオタイプとサブタイプ(*その他という意味)への区分け。 先入観によるタイプ分け。 思い込み通りなら、型どおりに区分け。異なる場合は、それ以外と区分けする。 過去から続く、仮想現実上の先入観を上手く利用し、効果的に役割を表すのが役割語の役目。

雑感を少々。 引用についてですが、引用がなけば雰囲気が掴めないので、あった方がいいでしょう。 しかし、明治以前の引用も多く、読んでもいまいち理解できないので、僕は読みませんでした。 あと、比較的簡単な漢字にも、引用にカナをふってくれているのはありがたいと思いました。 

 読み終わってから気が付いたのですが、子供は役割語が好きでよく使いますね。 特に女の子は女性らしい言葉を多用しているように思います。

・「よく知ってはいるけど、使わない日本語の起源
 漫画の白髭の老博士は「○○するのじゃ」と、巻き髪のお嬢様は「良くってよ」と、中国人は「○○アルヨ」と言う。

 実際にそんな言葉を使っている人なんていないのに、なぜか一定の役割を表すシンボルのように使われる奇妙な日本語(ヴァーチャル役割語)の起源を現代漫画から江戸時代の読本まで文献資料をひもときつつ探る本。

 お嬢様言葉が明治時代の女学校言葉で当時は「乱れた言葉」として批判されていた。時代は変わっても「乱れた日本語」論争はいつの時代にもあるのだなと思った。 戦前の女学校=良家の子女=お嬢様というイメージだけが残り、お嬢様言葉=女学校言葉となったという経緯は興味深い。本書を通じて明らかになるのは、ヴァーチャル役割語が表すイメージには過去、その役割が持っていたイメージに深く関わっているということだ。

 よく考えてみると不思議だけど何となく使われている言葉の起源がわかり知的好奇心を満たしてくれる。専門用語もなく、すらすらと読めるので、言語に興味のある人は読んでみると良いのではないだろうか。

ヴァーチャル日本語 役割語の謎 (もっと知りたい!日本語) (詳細)

訴えてやる!大賞―本当にあった仰天裁判73 (ハヤカワ文庫NF)

・「「訴訟社会アメリカ」の歪を検証
 原題は"THE TRUE STELLA AWARDS"…邦題はちょっとした雑学系娯楽本のそれだが、中身は「訴訟社会アメリカ」の歪を検証し、正常な司法の場を取り返すための運動を訴えている実に真面目な本。 著者は、StellaAwards.comというサイトの運営者で、ステラとは米国で最も馬鹿げた民事訴訟として有名になった「マクドナルドのコーヒーを(自分で)こぼして火傷してマクドナルドを訴え、陪審が290万ドルもの損害賠償を認めた」という事件の主人公のおばあさんの名前だ。 米国にはこの手の噂がたくさんあるけれど、「本当の話」だけを厳選し、読者が告訴・判決の妥当性を検討できるように資料を整理しているのがこのサイトだとのこと。 とにかく、米国の訴訟コストがGDPに占める割合は、1980年の1.54%から現在2.33% 膨らんでいるという。GDPの2.33%が訴訟に消えるとは物凄いことで、通常の損害賠償(根拠を持って計算できる)の他に、精神的苦痛とか、懲罰的賠償金とか、根拠を示せ無いような数字を大企業にたたきつけて、一生楽して暮らせる大金をせしめようという輩が後を絶たない。 陪審員は、「大企業は余った金を持っているから」「自分のお金ではない」「もしかすると、自分ももらう側になる日が来るかもしれない」という理由で、これらの賠償金を簡単に認めてしまう、という害を抱えている。 しかし、社会的責任を名目にした「懲罰的賠償金」が訴えた個人の懐に入ることはおかしいし、数千人規模の集団訴訟などでは、弁護士だけが大金の弁護料を手にして原告一人一人には商品券程度しか渡らないなどの現実も有る。 そればかりか、「宝くじ」でも買うような気持ちで、(診断書の偽造などの) 嘘を付いても原告団に加わろうとする一般人もかなりの数に登る。 例えば「アスベスト集団訴訟」では、便乗した健康な人々までが保証金目当てに群がった為に被告企業が倒産してしまい、発病した人が本来の補償を受けられなくなってしまったなど。 そして、こうした過大な訴訟のコストが回りまわって、保険料の値上げや、商品価格の値上げ、医師の不足、企業の海外流出、本来迅速に取り上げられなければならないマトモな裁判の遅延など、米国に様々な損失を与えている。 ただで一生楽しようという一般人と、訴訟費用でボロ儲けしようという悪徳弁護士は増え続けているというわけだ。 注目しておきたいのは、陪審制度が悪用されていること。 「どうせ企業の金だ」「自分が貰える番が来るかも」と思っている陪審員が安易な判決を出しているのも問題だが、弁護士は、取り上げる問題に一番良い結果を出してくれる陪審員がいそうな州で訴訟を起こす、という自由まで持っている。 たとえば、日本企業トップのセクハラ事件なら、もっとも日本企業が嫌われている州に訴える。とか。

日本はチマチマした法律がたくさんあるので、米国ほど酷いことは起きにくい法体系だと思うが、陪審制度が正しく機能しない事がかなりの場合で起こることをこの本は報告しているわけで見過ごせない。 また、日本で小児科と産婦人科の医師が不足している原因に「訴訟リスクが高まっているから」という現実があるらしい。 重症の患者ほど死亡しやすいのは当たり前だが、患者の重症度と医師の「訴訟リスク」が連動するなら、緊急医療の現場で「たらいまわし」が起きるリスクもまた高まる。そして助かるものも助からないリスクが上がる。 避けたい悪循環だ。どうすればいい?

・「馬鹿な訴訟のおそろしい結果
 1992年,当時79歳のステラ・リーベックは,マクドナルドで買ったコーヒーを自分の膝にこぼして,完治に2年を要する火傷を負った。ステラは,マクドナルドが「不当に危険」な商品を売ったとして損害賠償を求める訴えを提起した。陪審員は,ステラ自身の過失を20パーセント認めたが,懲罰的損害賠償も含め,290万ドルの支払をマクドナルドに命じた。

 上記のマクドナルド訴訟は有名であるが,本質的に同じような馬鹿げた訴訟が数多くある。 例えば,シーザー・バーバー(56歳)。身長175センチ,体重122キロの彼がここまで太ったのは,週に4・5回,様々な全国チェーンのレストランでファストフードを食べた結果だという。バーバーは2回の心臓発作を起こし,糖尿病にかかりながらも,ファストフードの危険性に気付かなかった。レストランがバーバーにその危険性を説明しなかったのがいけないのだというのである。

 アメリカでは商品の警告表示が不十分だったという理由で訴訟が提起されるので,馬鹿げた警告表示が少なくないという。 例えば,「注意:燃える恐れがあります」――暖炉用の薪

 こうした馬鹿げた訴訟は,単に関係者の失笑を買うだけの罪のないものではない。 大企業が「被害者」に支払う賠償金は,その分だけ商品の価格に跳ね返る。保険から賠償金が支払われるとしても,馬鹿な訴訟の頻発(及び非常識な金額の支払命令)は保険料の高騰を招き,それは結局価格転嫁によって各消費者の負担となるのである。 一笑いした後は,損害賠償訴訟の持つ本質的な問題点(馬鹿も馬鹿げた訴えを提起できるということ)について真剣に考えさせられる,優れた本である。

・「アメリカが抱える民事訴訟事情
熱いコーヒーを(どう考えても自己責任で)膝にこぼし、大やけどを負ったとしてマクドナルドを訴えたステラおばあちゃんにちなんで、本当にあった仰天裁判を紹介している。なんともはちゃめちゃな屁理屈で、数多くの人々が簡単に訴訟を起こしていることがわかる。

そこに群がるのは弁護士であり、一攫千金を狙う被害者集団でもある。一見まるで無関係と思われる人や企業を相手どって民事訴訟を起こす人々の心の中には「むしれるところからむしり取ろう。ダメもとなんだし」という意識が見え見えだ。

もちろん本書は仰天裁判をあげつらって笑っておしまい、という意図のもとに書かれたわけではない。こんな下らない、バカげた裁判に費やされる時間と公金、判決が下ったあとに原告に支払われる賠償金はまわりまわって普通の国民にはね返ってくる。医師は訴えられたときのために不必要な検査や治療をし、企業は訴訟にそなえて保険をかけて商品を値上げする。そして本当に裁判が必要とされる事例を滞らせて混乱させていることも大きな問題だ。

アメリカに「自己責任」という言葉はないのか?被害者意識を正義にすりかえてふりかざすことに何も感じないのか?誰もが簡単に訴訟を起こせるということは、ひるがえればいつどこで自分が訴えられるかわからないということなのだ。

嘘でしょう?と訴訟例を笑いつつもアメリカが抱える大きな問題を考えることができる。

・「今はまだ対岸の火事ということで笑っていられるが、いつか笑えなくなる日が来るのかもしれない…
【飛行機に乗ったときに隣の席が大男で非常に窮屈な目にあった】

【ファーストフードを食べ過ぎて肥満と病気になってしまった】

【健康の為にアドバイスに従うように医者に“やさしく”言われたがそれを守らず病気になってしまった】

【自分の服用している薬に副作用があることが明らかになり死亡例も報告されたのだが、自分自身に副作用はなかった】

【車を運転していると、道路を横断しようとする人がいたので停止して道を譲ったところ、自分の車が死角になりその歩行者は他の車に轢かれてしまった】

普通の日本人の感覚なら訴訟を起こすなんていうことは考えないだろう。しかし、アメリカ人は訴える。航空会社を、ファーストフード店を、アドバイスを“強制”しなかった医師を、薬を処方した医師を、親切な運転手を。さすが、訴訟大国アメリカである。中にはその影響を考えると笑えない事例もあるが、おバカな訴訟が満載である。しかも裁判所に受理されて裁判にまで至っている。訴えられた方はたまらない。

著者はアメリカにおいて「訴訟」は一つの産業だと述べているが、73の事例を読めば頷くしかない。訴訟自体が、ある人やある団体のある目的(金銭や売名)のためのビジネスになっているのは明らかである。国民性の違いもあるためか日本はここまでなっていないので、対岸の火事ということで笑っていられるが、いつか日本もこんな風になってしまうのかと考えると若干不安になる。

それにしても、こういうおバカな訴訟を調べて賞を与えてしまうユーモアはさすがアメリカ人である。

笑える本だが、問題の抱える深刻さと著者のかなり真面目な姿勢を考えると笑って申し訳なくも思ってしまう。

・「変な裁判大集合!
アメリカではGDPの2%以上にのぼる費用が裁判関連に費やされているそうです。当然、その中には呆れるものがたくさんあります。ファストフード店で買ったコーヒーをこぼしてやけどをして大金を得た裁判以降、日本でもそのことが広く知られるようになってきました。

本書はそのような奇妙な裁判を勝手に表彰する「ステラ賞」にノミネートされたものを集めています。なかなか凄いです。目を丸くする裁判が目白押しです。

残念なのは、それぞれの裁判の説明における著者の見解が所々冗長なこと。そのため、少し読みにくい。

訴えてやる!大賞―本当にあった仰天裁判73 (ハヤカワ文庫NF) (詳細)
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