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▼文句なしに面白かった本:セレクト商品

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫) (詳細)
貴志 祐介(著)

「無駄のない面白さ」「徹夜。」「映像化してはいけない」「出色のホラー・エンタテイメント」「ほんとにあるかも」


とげ (小学館文庫)とげ (小学館文庫) (詳細)
山本 甲士(著)


破裂破裂 (詳細)
久坂部 羊(著)

「テーマは常に高齢化社会」「一気に読んだ」「医学関連ごった煮エンタテイメント」「読後背負う課題が残る本」「ある意味凄いよ」


シャトウルージュ (文春文庫)シャトウルージュ (文春文庫) (詳細)
渡辺 淳一(著)

「最高に面白かったです」「拍手!!」「まさにそのとおりなのよと叫ぶ人が多いのではないかしら」「調教をさせる男の立場で描いた渡辺淳一版「O嬢の物語」?」「男は愛する女のすべてを征服したい」


巷説百物語 (角川文庫)巷説百物語 (角川文庫) (詳細)
京極 夏彦(著)

「初心者向け短編集」「置いてけぼり」「すいません、にわかファンですが・・・」「すげえ・・・!」「あやかしはいずこより生じる」


続巷説百物語 (角川文庫)続巷説百物語 (角川文庫) (詳細)
京極 夏彦(著)

「そんなつもりで読み始めたわけじゃないのに」「人気シリーズ」「京極堂シリーズより好きです」「読みごたえあり」「質の高さにただただ驚き」


火車 (新潮文庫)火車 (新潮文庫) (詳細)
宮部 みゆき(著)

「自らが居合わせてしまったような緊迫感」「最高傑作!」「読み応え十分」「「社会派ミステリー」の傑作」「面白かった。ラストの急展開にドキドキしました。」


青葉繁れる (文春文庫)青葉繁れる (文春文庫) (詳細)
井上 ひさし(著)

「訛りがたまらない」「青春小説の佳作」


QED 百人一首の呪 (講談社文庫)QED 百人一首の呪 (講談社文庫) (詳細)
高田 崇史(著)

「パ・ズ・ル」「なかなか」「平安時代に興味が湧きます。」「この本だけ読んだ読者は評価を誤る」「謎学好きにお薦めします。」


占星術殺人事件 (講談社文庫)占星術殺人事件 (講談社文庫) (詳細)
島田 荘司(著)

「めくるめく謎へようこそ!」「こんな小説があったとは。」「これから『占星術殺人事件』を読めるシアワセ」「最高峰の本格ミステリ」「「趣味 読書 特にミステリ」と言う前に読め。」


笹まくら (新潮文庫)笹まくら (新潮文庫) (詳細)
丸谷 才一(著)

「日本を代表する長編小説の一つで、言うまでもなく傑作です!!」「文句ない傑作です」「「徴兵忌避」した男を主人公に、国家とは、自由とはを描いた秀作」「「ららら科學の子」へ」「文句なしの5つ星」


明暗 (新潮文庫)明暗 (新潮文庫) (詳細)
夏目 漱石(著)

「心理描写の奥行きの深さ」「最高の近代小説」「未完、だが」「際立つ人間模様」「続きを読みたい絶筆(「続明暗」は読みたくないけど」


悲の器 (新潮文庫 (た-13-1))悲の器 (新潮文庫 (た-13-1)) (詳細)
高橋 和巳(著)

「「悲の器」文庫版」


▼クチコミ情報

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

・「無駄のない面白さ
「バトルロワイアル」、ホラー映画「CUBE」、「ソウ」上記3作品を足したような小説。これらが好きな方はきっと楽しめると思います。

面白い小説は多いけれど、これほど先が気になって気になってしょうがない!早くこの話の謎(結末)が知りたい!という気持ちになったのは久し振りでした。

・「徹夜。
夜中にちょっとだけ読むつもりが読み出すとどうにも止まらず、気が付いたら朝になっていました。これほどハラハラドキドキさせられる作品は滅多にお目にかかれません。似たような系統としてバトルロワイアルを思い浮かべましたが、描写がうまいということもあり、恐怖や緊張感といった点ではむしろこちらのほうが勝っているのではないでしょうか。

少々グロイ描写もありますが、そういうのが大丈夫な人には楽しめる作品だと思います。

・「映像化してはいけない
最初、会社の同僚から通勤用読書として借りたが。最初はよく有るアドベンチャー系ノベルだと思ったが読むにつれ食い入るように自分が読んでいる事に気付きました。「黒い家」もよく映画に出来たなと思いましたがこれは駄目です。この小説は読んでいくほど自分もゲームの標的にされているという危機感が生まれます。本気で手に汗握ってました。

・「出色のホラー・エンタテイメント
最近のホラー作品は読む上で、分子生物学とか大脳生理学とか精神分析学とか古代史などの専門知識を要するものが多い。もちろん、わからない人のために、それらの専門知識は作品の中でも解説されているが、その解説部分を頭にたたき込んでいるうちに、肝心のストーリーの方が頭に入らなくなってしまうことがある。その点『クリムゾンの迷宮』は、そう言った専門知識なしに読めるところが良い。

ある日、突然、凄惨なゼロサム・ゲームに巻き込まれてしまった主人公・藤木芳彦は、自分がいる場所も、ゲームの目的もわからない。パートナーとなった大友藍とともに、ただひたすら状況を把握し、謎を解き、最善の選択はどれかと悩みながら、ゲームの勝利者を目指す。二人は勝利者となれるか…。専門知識を一切必要とせずに楽しめる、ホラー・エンタテイメント作品。

・「ほんとにあるかも
「火星」と姿の分からない主催者が呼ぶ場所に集められた数名の男女が出口を目指して競い合う人間が人食い鬼に変わっていく様がリアルでしたなぜこんな大掛かりな仕掛けがされていたのかという理由も明らかになり実際に起こってもおかしくない、と思えるのは作者の技量によるところでしょう続きが気になって一気に読んでしまいました

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫) (詳細)

破裂

・「テーマは常に高齢化社会
 「廃用身」から引き続く、高齢化問題を問い掛ける力作。だれもが頭のどこかで考えてはいるが、とりあえず見ないふりをしている問題に、こういう方法はどう?と提案してくるのだが、方法が怖すぎます、久坂部さん。だが、ずっと提案し続けていってほしい気もする。最後に、それは悪いヤツだけど、佐久間の扱い、あそこまですることはないのでは…。別の意味、働き過ぎへの警鐘でもあるのかもしれないが。

・「一気に読んだ
 2段組で450ページもある。買おうかどうしようか、書店で手に取った時、ためらった。でも、いったん、読み始めたら、止められなくなった。面白い。とにかく、面白い。ぐいぐい、ストーリーに引き込まれ、ラストまでたどり着いた時、我々は、来たるべき高齢化社会に対して、切実な問題をつきつけられる。読後、心の中に、ザラリとした感触を残す未来図は、絵空事ではないのだ。

・「医学関連ごった煮エンタテイメント
 医療裁判、高齢化社会、尊厳死問題に大学病院の教授戦を絡めて、ぐいぐいストーリーを展開させていく。暗殺、薬物乱用、恋愛もあって、エンタテイメントとして飽きさせない。 焦点ボケと感じる読者もいるだろうが、作者のサービス精神と割り切って、身を任せて読んでいくと気持ちいい。最新医療技術も散りばめられ、センスがいい。 ずいぶん前から気になっていた小説だが、読んで損のない面白さだった。

・「読後背負う課題が残る本
平成版『白い巨塔』かと錯覚するような医療ミスから始まる主人公を5人に設定し、それぞれの立場からの感情を含ませながら医療裁判へ物語りは傾斜してゆくが・・・・一見医師会への告発的小説に見えるが、読後視点は老齢化社会へ変化する日本社会が抱える高齢化の将来国家は破綻せざるを得ないかのような高齢者が増加するその原因とも言えるのが、進歩した医療であり生きながらにして、寝たきりの生活を余儀なく強いられる老後でいいのか?その問題に個人的見解で老人を天寿させようとプロジェクトを組む厚生労働省の佐久間医療ミスを犯し裁判に持ち込まれた香村2人が迎えるラストは強引ではあるがこの小説は読後に背負う感が否めない高齢化をどうしますか?と問いかけられて終わるからだと思う

・「ある意味凄いよ
医療関係者です。小説としては、「白い巨塔」の二番煎じの感を否めず、物語や登場人物の煮詰め具合も「白い巨塔」を越えられなかったのでは、と思います。しかし、医師、看護師、官僚の心情や行動、また医局、医学部、医師会といった組織の実態は、「白い巨塔」を含め他の医療モノを凌駕するリアルさで描かれており、凄みさえ感じました。医師でもある作者の面目躍如といったところでしょう。医療を取り巻く法曹界やマスコミの実情はどうなんでしょうか。業界筋の感想を聞きたいです。佐久間のプロジェクトも現実味を帯びていて不気味です。基本的な方向性は、現実に役所が描いているロードマップと同じですから。

破裂 (詳細)

シャトウルージュ (文春文庫)

・「最高に面白かったです
お見合い結婚したエリート医師とお高くとまったお嬢様はセックレスであった。そこで医師は、妻・月子となんとしてでも性生活をしようと考え100万フラン支払ってフランスのあるお城に入れて3ヵ月間、調教を依頼する。はじめ拒否していた月子だが、エステのようなマッサージから始まり、全身を羽で優しく撫でられ徐々に女性の悦びを知り自ら身を任せるようになる。フランス人の女性を口説く言葉には数多くあり、読んでいる方も月子が羨ましくなりうっとりしてしまう。果たしてこの二人の結末がハッピーエンドなのか否かは読んでからのお楽しみだが、個人的には、月子の選択は当然と思われる。特に夫に送った長々としたメールには、同性としてしみじみと共感できた。

・「拍手!!
約10年以上前に沖縄の離島で読んだ作者の化身〈上〉 (講談社文庫)以来の渡辺作品読破でした。なので、まだ失楽園 上 岩波文庫 赤 206-2も愛の流刑地〈上〉 (幻冬舎文庫)も読んでいません、初心者です(映像の方も見ていない)。

しかし、読破を難儀させる、この執拗さ、しつこさ、になかなかてこずりましたがどういう結末になるんだろう?と、とても楽しみで楽しみで仕方がありませんでした。

カレッス(快擦)の描写はアダム徳永氏のスローセックス実践入門――真実の愛を育むために (講談社+α新書)を彷彿とさせました。パーティの場面は、叶恭子さんの叶恭子・トリオリズムのよう(笑)。

しかし…主人公の情けないコト…こんな幼稚な性交しかできないんじゃ女もイヤになるわな〜と思ってしまうし、「更に衝撃の映像が送られてきた」みたいなコトが書いてあるのでどんな調教か?!と思うと、これで衝撃かい!!みたいな感じ。主人公はただただお粗末な感じですが、月子からの最後のメールは面白かったしこの程度で打ちのめされて傷ついてるんじゃないよ!!と思ってしまう(苦笑)。あと、結婚したら好きなだけ性交できるって思いもどうかと…(苦笑)

苦笑は絶えませんが、面白かったです!是非男性に読んでもらいたいな〜と思います☆

・「まさにそのとおりなのよと叫ぶ人が多いのではないかしら
なかなか鋭い現代社会への批判となっていてとっても面白かったです。性に冷淡な妻を調教してもらうべく、ある組織に委ね、毎日その組織から送られてくる映像に日々驚愕と怒りと恐れを感じる若き優秀な医者である夫は、女に目覚めた妻に対して、自分の性の稚拙さを思い知らされるのです。

・「調教をさせる男の立場で描いた渡辺淳一版「O嬢の物語」?
フランスの洋館で行われる女性の調教というと、レアージュの「O嬢の物語」を想起させられる。レアージュの作品が調教される女性の視点で描かれていたが、本作は妻を調教に委ねる夫が主人公。ストーリーは夫の視点に終始する。この夫は妻がなぜセックスを拒絶するのか理解できない。性格は、かなり自己中心的だ。分り合えない妻の心情を思いやることなく、自分の好みの女性に変えようと、他人に妻の身を委ねる・・・。著者は解剖実験の腑分けのように怜悧に夫の心情を分解していく。夫がガラス越しにこっそり眺めるしかない男たちの妻への調教シーンも科学実験のように怜悧に描かれる。一歩間違えば通俗小説へ簡単に堕してしまう設定とストーリーがバランスをとっているのは、こうした冷めた描写のせいと言っていいのかもしれない。が、一方でいかようでも妖艶になるストーリーを、独り善がりな男の独白物語にしてしまっているのもこうした著述のせい。読者として感情移入できない主人公への嫌悪感がこの作品の評価を低くしているように思うが、夫婦間でさえコミュニケーションをうまくとれない現代の家庭事情を思いやると、この夫のとった行動はまったくの他人事とは思えなかったこともあげておきたい。

・「男は愛する女のすべてを征服したい
 だけど他人に委ねてしまっては・・・主人公は完全なM男君でしたね。

 著者独特の冷静な文体でフィクションとしては面白かった。

 知識だけの頭でっかちな男が増えているのは事実・・・

 男と女の性の違いを考えさせられる内容でした、性にタブーはないけれど愛する妻を他人に委ねる事にはどうも付いて行けません。

シャトウルージュ (文春文庫) (詳細)

巷説百物語 (角川文庫)

・「初心者向け短編集
京極夏彦氏が妖怪機関誌「怪」にて連載していた短編集。京極作品は分厚くて入りにくい、という先入観がある方にこそおすすめしたい一作です。一作が70ページ前後とわりかし読みやすく、かつ内容はきっちりと書き込まれている。たたみかけられるような話の展開に、毎回にやりとしてしまいます。

・「置いてけぼり
京極堂シリーズと同様に主人公は活躍しない、というより何時の間にかずるずると巻き込まれてしまう。はて、物語の中心になったかと錯覚するが終わってみれば結局自分は凡人でございましたと痛烈に再確認させられる。事件が終わった後の喪失感。

それは主人公だけではなく読む側にも訪れる感情である。読んでいるうちにあれよあれよと引き込まれ事件の中核にいるような錯覚に陥れられるが終わってみれば、主人公同様、「あんたはこの世界の人間じゃねえよ」とぽん、と突き放されている自分に気付く。

それでも、置いてけぼりにされてしまった寂しさよりもう一度、その世界に入り込みたい。と不思議に魅きつけられてしまう京極作品の「イジワルな魅力」に嵌れる一冊です。結局また、置いてけぼりにされちゃうのは分かってるんだけど、やめられないんだよな。

・「すいません、にわかファンですが・・・
直木賞受賞で彼を知ったにわかファン(名前は知ってたが読むのは初めて)の若造なので前からの読者には怒られそうですが・・・初めて読んだのがこの作品でした。単純に面白かった!!最初は時代物っぽい作品は読まず嫌いでしたがこの作品で払拭できた。

妖怪とかそうゆうファンタジーちっくなものは苦手だったけど読んでみると実は・・・まだ読んでない人もいると思うのであまり内容に触れるようなことは言わないほうがいいと思いますが(って言っても他のとこで大体の内容は知れると思うが)本当の問題は人間の情というか人の罪というか・・・

様々な悪人が妖怪になぞられて最後には予想外の結末とストーリーが明かされる。1話1話で完結しているので読みやすいと思う。その1話1話の中で様々な伏線が隠されており最後にはびっくり!!みたいな感じ。漢字に疎い自分にはなにやら難しい漢字が出てくるがそれも気にならずすらすらと読める。

まさに和製スティーヴンキングと思うのは自分だけ??(作風は異なるが)読書自体するようになったのは最近ですがこれからも彼の作品は読んでいきたいと思う。

・「すげえ・・・!
 「仕事が忙しくてなかなか文庫本も読めなくて・・・」などと本離れをしていた今日この頃、久しぶりに頭をぶん殴られたような衝撃を受けました。  巧みな語り口、計算されたストーリー、読み終えても再度読み直してしまうこの魅力・・!

 業、欲、妬み、絶望・・・さまざまな人間の感情を百物語をモチーフにし又市(これがまたかっこいいんだな)という狂言回しから露にしていく小気味よさが理屈ではなく心に響きます。

 とりあえず本を読みましょうよ。そう思えた作品のひとつでした。

 「嗤う伊右衛門」もね!すごいんだな、これがまた。

・「あやかしはいずこより生じる
必殺仕事人風の内容だが、直接的に手を下すよりも相手を心理的に追い詰めて業に応じた報いを受けさせる、という展開。巧妙に仕掛けられた罠、最後に明かされる真実は読む者を唸らせる。主人公達は自分達が正義と思っていない為、勧善懲悪の色合いは薄い。しかしその善と悪とを割り切らない姿勢こそが、登場人物をより魅力的にしている。人の心が抱える闇は、いつの時代も変わらない。

巷説百物語 (角川文庫) (詳細)

続巷説百物語 (角川文庫)

・「そんなつもりで読み始めたわけじゃないのに
前作に「巷説百物語」があります。絶対にそちらから読むべきでしょう。順番を間違えると趣が激減します。

前作を受けての作品ですが、どんどん仕掛けが大掛りになってきます。仕掛け側の登場人物の来歴が事件に絡み始め、個人的な行きがかりを清算するための仕掛けが始まって行きます。前作ほど軽く読めません。重いです。読者が感情移入するはずの百介も、同様に覚悟を求められるからでしょうか。生半可な覚悟で後ろ暗い世界にかかわってはいけないと。ただ、百介の覚悟とは無関係に又市たちは又市たちで別のレベルで覚悟を決めて、仕掛けを進めていきます。「勝負」「善悪」とは異なる軸で事件が終わるので、爽快感がありません。とても大きな喪失感が読後にやってきました。ぽつんとひとり「どうしたらいいんだよ?」という状態で取り残された感じでしょうか。一作目は軽く面白く読み始めたのに...。「どうしてくれる!!」百介もそんな気分になったんだろうなと思ってしまいます。「最初は面白くてかかわったし、役にも立ったじゃないか!!これから先心にあいた穴をどうしてくれる!!」と。

ここまで感情移入させて読ませるなんて、やっぱり京極氏の豪腕としか言いようがありません。このシリーズの中では、読み物としての面白さは一番です。ただ、一作目に感じた爽快感でとめておきたいなら、本作には進まない方が良いでしょう。喪失感、飢餓感が植えつけられてしまいますし、続編「後巷説百物語」でもこの喪失感は癒されないのですから。

・「人気シリーズ
 作家志望で怪談が大好きな山岡百介と、小股潜りの異名を持つ仕事師、又市らが織り成す人気の「巷説」シリーズ2作目。

 悪党なのにどこか憎めない又市が、受けた難題を解決します。全編にどこか悲しい感じが漂っていて、読後感がよかったです。オススメ。

・「京極堂シリーズより好きです
表立っては解決できない闇に紛れた事件を、あたかも妖怪の仕業のように見せかけて解決する小悪党又市一味の活躍を描いた第2作目です。彼らの入念で奇抜な仕掛けに毎話ワクワクしながらあっという間に読むことが出来ました。決して正義の味方を気取るわけでもなく悪と戦う彼らの姿が最高にカッコいいです。登場人物たちの性格をよく反映した話し口調がとても読みやすく、この物語全般に漂う独特な雰囲気にすっかりハマってしまいました。続編の後巷説百物語もおすすめです。

・「読みごたえあり
~京極堂シリーズとはまた違った面白さがあり、読ませます。本来なら無頼の無宿人、小悪党な人々が登場人物なのですが、彼等が皆個性的で、魅力があります。毎回小股潜りがどんな仕掛けをかけてくるのか、その意表をつく結末にはらはら、どきどき。読みごたえがあって、楽しめます。

また文庫になると表紙に色々な張り子が使われて、それも毎回楽しみ~~です。~

・「質の高さにただただ驚き
2001年5月リリース。『嗤う伊右衛門』に登場した御行の又市を中心に据えた『怪』シリーズ第2弾。今月文庫化されたこの続編で第130回直木賞を受賞した『後巷説百物語』には付録として詳細な『巷説百物語シリーズ解説書』が添付されていて好事家には必須アイテムとなっている。

6編の短編で構成されているのだが5番目の『死神』へと向かう伏線のような構成になっていて、6番目の『老人火』はその後日談にもなり長編として捉えることも可能な『仕掛』になっている。問わず語りのように物語る京極節は絶好調で、変にトリックまで考えねばならない京極堂シリーズよりもむしろ無理なくストーリーを紡ぎ出している。その質の高さにただただ驚きである。京極夏彦は京極堂よりもきっとこっちが書きたいのだろう。

妖怪仕立てで御行奉為(おんぎょうしたてまつる)ってしまいたい巨悪は現代にもやたら眼につく。そんな時又市の鈴の音が鳴り、キレイにしてもらいたいなぁ、と読書と音楽にあけくれる若隠居百介のような僕も思う。『前巷説百物語』もリリースされたが、一番読みたいのは『巷説百物語』と『続巷説百物語』の間あたりの『中巷説百物語』かもしれない。出して欲しいなぁ。

続巷説百物語 (角川文庫) (詳細)

火車 (新潮文庫)

・「自らが居合わせてしまったような緊迫感
社会的問題を背景にして、個人がひょんなところから過ちを犯し、落ちていく。しかしラストはそれを幾分か救うような温かい眼差しが注がれているように思う。人間への温かい心を持ちつつ、社会の暗部を描き、そしてその周りの人の気持ちを詳細に書き綴るこの作品は世界に誇れると思う。

そして読者には、その現場に居合わせてしまったような緊迫感漂う

ラストシーンが待っている!!

・「最高傑作!
名作の多い宮部作品のなかでも、私はこの「火車」が最高傑作だと思います。物語の進め方、一つ謎が解けていくたびにはっきりとしてくる事件の輪郭。そしてなによりあのラストシーン!・・・流石宮部みゆき、と言ったところでしょうか。

犯人の人を殺す理由がとても切なく、思いっきり非難できないのも良いと思います。私は一度も姿を現さない犯人の女性に、とても感情移入してしまいました。

・「読み応え十分
宮部ミステリーの良さは、「量は重いけど苦にならず、読んだ後に充実感がある」ところにあり、本作品もその一つ。「借金」から逃げる為、「別人」になることを決意した犯人の人物像を、本人を最後まで登場させずに描ききるあたりはさすが宮部みゆきといった感じ。おすすめ。

・「「社会派ミステリー」の傑作
社会派ミステリには2つの要素がある。

一つは純粋にミステリとしての謎解きの面白さ。 そしてもう一つは社会の影を映し出す鏡の役割。

宮部みゆきはこの二つの要素を兼ね備えた秀作を 世に多く送り出してきている現代を代表する作家だが、 僕は彼女の作品の中でも「火車」が一番だと思っている。

物語は一人の女性の謎めいた失踪から始まる。 そしてそれを追う主人公は彼女の過去を探るうちに、 一つの信じられないような真実に辿り着く。

カード破産、戸籍、家族の形・・・ いくつものテーマが織り込まれながら、 謎解きに向かって進むストーリー。

必読の一言に尽きる。

・「面白かった。ラストの急展開にドキドキしました。
始めて読んだ宮部みゆきさんの本が「理由」だった。そして正直面白くなかった。もう宮部みゆきさんの本は読まないつもりだった。しかし「火車」を多くの人が勧めているのでしかたなくといった気持ちで読んでみた。面白かった。本当に面白かった。失踪した女性を捜すという小さな事件が少しずつ大きな事件へと発展していく。長い長い物語なのに飽きる事なく読み進めた。最後の数ページの勢いのすごさ。ゆったりと進んでいた物語が急展開する。このあたりは脱帽。長い物語を読んできたからこそ感じられるクライマックス。素晴らしい。この本は読んでおきましょう。

火車 (新潮文庫) (詳細)

青葉繁れる (文春文庫)

・「訛りがたまらない
仲良し五人組はみな名門校にいるにも関わらず、やりたいことをやっていて、それを温かく見守る周囲の大人達の優しさが胸をうった。笑いの要素が多いなかでちょいちょい出てくる感動的な場面が、面白さをより引き立てていた。この作品は井上靖の「しろばんば」と並ぶ素晴らしい作品だった。

・「青春小説の佳作
第二次大戦敗戦後の仙台を舞台にする青春小説。以前から読もう読もうと思っていたのだが、新装版が出たのを機にようやく完読。特に、第6章の松島小旅行の挿話では大笑させられた(久しぶりのカタルシス)。また、チョロ松校長の行動には、古き良き時代の理想的教育者の姿をみる。(エリート校だから許された点も大であろうが・・・)軽石先生の講話のシーン(184頁以下)も印象深し。私もこんな学校にいたかった。お勧めです。

青葉繁れる (文春文庫) (詳細)

QED 百人一首の呪 (講談社文庫)

・「パ・ズ・ル
 圧巻! まさに圧巻! この小説は「ミステリ」…いわゆる謎解き・探偵ものの部類に入るのですが。 これだけ雑学が満載の上に、百人一首の並べ替えに、殺人事件の謎解きまで入ってこのページ数でおさまるのも…神業としかいえない。 そしてなによりもかによりも……「百人一首」と「百人秀歌」の配列の見事さ!!! これだけでも読む価値は大有りです。 もう十数年前に「絢爛たる暗号」(織田正吉/著)を読んだときもすごいとは思いましたよ。「百人一首が一枚の絵になるか」と。 でもでもでも…これを読んでしまったら、あの説なんか、ただの色塗り間違えた失敗作の絵のように見えてしまう(織田先生には悪いのですが)! この並べ方ならすっきりする。この配列にするだけの理屈も通ってるし、何より美しい。 まずはご一読を。 歴史嫌いの方でも大丈夫! そういう方の為にきっちり「タタル」さんが一から説明してくれます。

・「なかなか
高田崇史の本はこの本しか読んだことがないが情報小説というか教養小説というか、京極夏彦の流れといっていいのではないのだろうか。京極作品に比べると、解体具合は大雑把だし、比喩やコトバ選びが弱い気がするが、これは主人公の性格付けの問題なのだろうか?慣れれば気にならない。

百人一首の謎を初めて知ったのだが、

それを主人公が解いてゆくのはとても面白い。はっきり言ってそれがあってるのか合ってないのか全くもって検証する知識も意欲もないのだがなんとなく「すげー」という感じで百人一首に対する作者の勢い・熱意で読まされてしまう。

殺人事件そのものも、京極作品を非常に乱暴にした感じ。解説されても、理解は出来るが納得行かない、というレベル。だが、解説にもあるように、作者が書きたかったのは百人一首の謎であって、探偵推理小説ではないのだ。そういわれると、非常に面白い作品だと思う。

・「平安時代に興味が湧きます。
この本を読むまで、百人一首や、それが生まれた時代のことなど、あまり興味がありませんでしたが、読んだ後は、すごく興味が湧きました。推理も面白いのですが、推理に至るまでの主人公タタル君のお話が興味深いです。

・「この本だけ読んだ読者は評価を誤る
百人一首に何らかの隠された編者の意図があることは間違いないだろう。それを初めて指摘した織田正吉氏の功績は大きい。しかし残念ながら彼は札配置を完成させていない。その後の林直道氏の後鳥羽上皇鎮魂説も札配置のマトリックスを曲りなりにも埋めたということでは興味深い。しかし2種類の選歌集の謎が解けていない。高田氏の真価は2種類の選歌集の謎と札配置の両方を満たそうと試みたことにある。この本は織田氏の本、林氏の本、そしてそれに対する織田氏の反論本を読んでいて初めて価値がわかる。星4つとした理由はこの本の真価がくだらない推理小説仕立てにより半減していることにある。

・「謎学好きにお薦めします。
QEDシリーズは殺人事というスパイスを使って「百人一首の謎」のような「謎学ミステリー」を作者の視点で解明してゆきます。殺人の凄惨さを競う作品が多い昨今、謎学好きにとっては上質な知的ミステリーと言えるでしょう。百人一首の背景などを説明する手法として「作者が読者に説明する形」と「主人公が会話の中で説明する形」がありますが、本書は後者をとっているため、主人公は怒濤の攻撃でウンチクを披露し続けます。雑学や謎学好きはあまり気にならないと思いますが、殺人事件をメインに楽しみたい方には、あまりお薦めしません。(殺人事件はカレーに付いている福神漬け的な存在です)メインはあくまで「謎学ミステリーに対しての作者の謎解きの披露」なのです。謎解きがが面白いと思えれば十分満足できるでしょう。それについては、このシリーズが11作まで連作されている事を見ればQEDと言えると思います。

QED 百人一首の呪 (講談社文庫) (詳細)

占星術殺人事件 (講談社文庫)

・「めくるめく謎へようこそ!
日本中が40年間解けなかった奇怪な謎を、奇人だけど実に人間臭くて魅力的な御手洗潔とそんな彼を支える誠実な石岡君が挑む。笑いあり、涙あり?の推理談、冒険談だ。

ラストで明かされる衝撃的なトリックのタネは確かに単純だが、だからこそお、余計びっくら仰天になっちゃうんですよね。もうたまんない心情になっちゃうね。君もそうなるべきだ。

・「こんな小説があったとは。
こんな面白い本、どうしていままで読まなかったんだろう。作者が有名なのも、この作品が有名なのも知っていたのに。と思うと同時に、御手洗潔という探偵に(本業は占星術師なのだけど)出会えてほんとによかったと、読んだあとになんだか幸せな気持ちになった。

梅沢平吉という画家の手記から始まるこの作品は、最初から最後まで読者を惹き付けて飽きさせない。これだけの長篇なのに。事件は40年間誰もその謎を解くことができなかったという難解なもの。梅沢平吉殺し(しかも密室)、長女一枝殺し、そして平吉の娘と姪の6人が殺されるという大量殺人。しかも、手記によると6人を殺す動機のある平吉は最初に死んでしまっている。残った関係者の中にも物理的にその殺人を成し遂げられるものはおらず。!。。途中に2度も読者への挑戦が挿入されているが、丁寧に読んだつもりなのに、まさかそんなトリックだったとは、と嬉しい驚き。

そしてこの小説の何といっても一番の魅力は探偵・御手洗潔でしょう。他人の目なんて気にしない、ちょっと風変わりでくせのある男。だけどどこか愛嬌のようなものがあって憎めない。始終振り回され、憎まれ口をたたかれながらも彼から離れることのできない石岡くんの気持ちが分かるような気がする。

推理小説が好きで、まだこの本を読んでいない人、読まないと損ですよ。読んでみればわかる、きっといままで読んだ本の中で1、2を争う作品になるはずです。

・「これから『占星術殺人事件』を読めるシアワセ
~言わずとしれた島田荘司のデビュー作。昭和56年、横溝正史の死の2週間後、氏は『占星術殺人事件』を引っさげ、本格の騎士として登場する。~~最近作の『「異邦」の扉に還る時』の中で、このプロットを思いついた時の状況を説明されているところが出てきてとても興味深かった。西荻窪のアパートの高い自作の二段ベッドの上で氏の上に天啓は舞い降りたそうだ。氏はほぼ半分書き終えていた『異邦の騎士』をストップして本作の完成をスタートする。

~~閑話休題。なんら解説の必要もなく本作は史上稀に見るミステリーの傑作なことに疑問の余地は全くない。後のミステリー界だけでなく、『金田一少年の事件簿』等マンガの推理物にも多大の影響を及ぼしている。

これからこの本を手に取る読者のみなさん。『占星術殺人事件』をまだ読んでいないシアワセは格別です。~

・「最高峰の本格ミステリ
冒頭の手記から驚かされます。40年間誰も解決することが出来なかった猟奇殺人。我らが占星術師にして名探偵、御手洗潔がその謎を論理的、かつ華麗に解決してくれます。この作品を初めて読んだときの興奮は忘れられません。何度読み返しても興奮し、感動します。超必読です。

・「「趣味 読書 特にミステリ」と言う前に読め。
著者が定義する本格推理小説とは「幻想的で、魅力ある謎を冒頭付近に有し、さらにこれの解明のための、高度な論理性を有す(形式の)小説」。この定義が見事なまでに具現化されている。まずい。これを読まずに「趣味は読書、本格ミステリが好きです」と公言するのは非常にまずい。思い当たるアナタ、今すぐショッピングカート入れたほうがいい。私にはこの作品が「島田荘司」初体験だったが、その後、彼の全著作制覇にはさして時間を要さなかった。ちなみにこの作品を読んだ数年後、愛知県へ転勤になった私は真っ先にアレを探しに明治村へ行った。 結果? それは言えない。

占星術殺人事件 (講談社文庫) (詳細)

笹まくら (新潮文庫)

・「日本を代表する長編小説の一つで、言うまでもなく傑作です!!
 この小説は、45歳の大学の事務職員の平凡な日常風景から始まります。どこから見ても、何の変哲もない中年男ですが、実は、かつて「徴兵忌避者」として、5年間日本中を逃げ回った過去を持つ人物だったのです。

 小説は、徴兵忌避者として孤独で不安な逃亡の日々を送る青年の姿と、20年後の中年の日々とを交互に描いていきます。二つの時間のコントラストが鮮やかであればあるほど、過去の日々が鮮烈に浮かび上がるという手法です。

 この手法は、うまくいっています。他にも、新聞記事の文体や、酔っぱらいのモノローグ(丸谷の独擅場!)など、文体の見本帳ともなっています。 ジョイスを読んだことのある人なら分かると思いますが、眠くなった人の独白は、平仮名が多くなっていき、句読点も少なくなっていきます。そのへんの文章効果をじっくり楽しんでください。

 なお、この作品で最も見事なのは、最後の数頁です。倒叙法の記述により、哀切で叙情的な文章が、かつて例がないほど複雑な味わいを生む効果を出しています。 やはり、これは傑作です。

・「文句ない傑作です
米原万里さんの絶賛評を読んで買いましたが、予想を大きく超える大傑作でした。ごくごく平凡な大学職員である主人公。。。。しかし、過去と現在が同時にフラッシュバックする独特の文体が、主人公の脳裏を再現するかのような非常な緊迫感を生み出しています。あの暗い時代の息が詰まるような苦しさ、、、戦争とか徴兵の重みを、戦争の悲惨さを伝える類書とは違う、まさに、自分の身の上に迫る内面の恐怖として、ひしひしと感じることができました。そして、安寧かに見えた主人公の現在の生活にもラストで予想外の亀裂が。。。これだけの深みある内容に加え、ミステリのような醍醐味まであります。これだけの傑作なのに、米原さんが紹介してくれるまで聞いたことがありませんでした。おすすめです。

・「「徴兵忌避」した男を主人公に、国家とは、自由とはを描いた秀作
先の大戦で「徴兵忌避」した男、浜田の癒されぬ心の傷や周囲の偏見を通じて、「あの戦争が残したものは何だったのか」を追求した秀作。戦後(昭和37年頃か)、浜田は徴兵忌避した事を公には隠して大学の事務局に勤めている。しかし、徴兵忌避後、杉浦と名乗って、全国を砂絵師として苦難の逃避行をした事が忘れられない。ここで作者の技巧があり、浜田の回想シーンに入る際、何の断りもなく、単に名前を杉浦と変えるだけなのである(出奔後)。過去の回想と現在の姿とが交錯し、浜田の彷徨する心が巧みに映し出される。

浜田は積極的に徴兵忌避を選択したのだが、負い目を感じている。家族に、戦争に行った友人に、愛人に、そして自分自身に。それは、現在でも続いている。戦後なのだから、「「徴兵忌避」は正義だった」と主張する事も可能なのだが、実際には出来ない人間心理の綾が描かれる。そして遂に、昇進問題をキッカケに徴兵忌避の件が多くの人の知る所となり、左遷の通告。俗人の嫉妬と保身である。ここで過去の回想に入り、戦争に行く友人達と交す国家論・天皇論は作者の信条そのものであろう。軍隊・戦争嫌いの作者の願望が浜田を産んだとも言えるが、結末に向かって、徴兵忌避を決意した時の浜田と現在の浜田の"我儘"を中心とする現実把握力のギャップを冷静に記述している手法は流石と思った。浜田の妻の件も、逃避行中の愛人との対比で皮肉が効いている。

題名は、古今集中の次の歌による。辛い逃避行中の一時の安息の想いか。

   「これもまたかりそめ臥しのささ枕 一夜の夢の契りばかりに」

・「「ららら科學の子」へ
 まぎれもない傑作。 ここまで面白くて、古さを感じさせない小説が 43年前(2009年現在)に書かれたのは驚異的です。 もっとももしこの小説が古さを感じさせる時が来るとしたら、 それは日本がやばくなってきた時かもしれません。 それはそうとして、この本の文体は明晰で実に分かりやすく 好感が持てます。 私はこれを読んで 矢作俊彦の「ららら科學の子」と フォークナーの「八月の光」を思い出しました。 両方とも本作とは大きく違うところがあるけれど、 主人公が流浪するところは似通っていないでもない。 そうして、「笹まくら」は暗いところが少ない。 人生の重みは伝わる、しっかり伝わる、でも暗くない。 これはやっぱりジョイスの影響が大でしょう。 「ららら科學の子」には、現代日本をとても悲しく感じているところがあった。 しかし「笹まくら」はどこか牧歌的で、 少年の冒険とさえ言って良さそうなところがあります。 「身捨つるほどの祖国はありや」という寺山修司の言葉。 それを思い出すような、 国よりも戦争よりも個人の生き方を大切にするという 姿勢を感じます。 だから、この小説が古くなる時があるとすれば、 自由な生き方が禁じられる時 そういうやばい時だと思うのです。

 蛇足:「あるかな?ないねえ。ここんところに。ないねえ。」に 笑いました(酔っぱらいの意識の流れ)。

・「文句なしの5つ星
徴兵逃れのために全国を旅した過去を持つ男の話いい年してトイレに行けなくなりました

笹まくら (新潮文庫) (詳細)

明暗 (新潮文庫)

・「心理描写の奥行きの深さ
つい半歳ほど前に結婚したばかりの津田。新妻お延とはどこかしっくり行っていない。京都の実家からは援助を打ち切られ、金策に奔走しつつ、痔の手術で入院する羽目にもなる。そんな津田にはお延の前に愛した女性がいた・・・。

その巧みな心理描写が素晴らしい漱石ですが、この「明暗」とそれまでの小説と決定的に違うのは、その心理描写が主人公だけでなく、脇を固めるキャラクターにも徹底されていることだと思います。妻お延、妹お秀、津田の世話を焼く吉川夫人、津田の友人小林など、さまざまな登場人物の心理が書きこまれ、人と人のあいだに生じる誤解、思惑の違い、駆け引き、そうしたものの存在と、それが人間関係に与える影響が、浮き彫りになっていきます。結果として、どちらかと言うと主人公自身の心理に焦点を当てた、漱石のそれまでの小説とは、まったく違った深みを持つ結果となっているように思います。人間は他人を、自分の行動パターンに照らして分析しがちだが、実は自分とはまったく違う利害関係でもって思考し行動している、そしてそのズレは埋めあわせがつかないくらい決定的だ、そんなことを考えてしまいました。この小説が未完で終わっているのは、何ともなんとも残念なことです。だからこそ想像力をかき立てられる部分もあるのでしょうが・・・。

・「最高の近代小説
漱石未完の大作。約90年前に書かれた小説ですが、現代人が読んでももの凄くリアルに思えます。漱石の後期の他の作品との最大の相違点は、主人公の脇をかためる女性の心理が男性と同格に描写されているということです。主人公一人の視点ではなく、他の登場人物の視点も描かれています。また、所謂近代知識人は登場しません。こころや行人も傑作だと思いますがテーマが近代知識人の自我の苦悩というものなので、謎の部分もあります。(特に僕ら中学生や高校生には)それに対して明暗は描くのは市井の人間ですのでそういう意味では分かりやすいと言えます。(但し人間のエゴを描くのは共通しています。)全体としては異様なまでに緊迫した人間関係や心理の機微を巧みな文章で描写して、誰もが持つエゴを直視しています。漱石の小説は勿論、日本の近代小説の中でも最高傑作のひとつだと思います。

・「未完、だが
 濃いです。文体が、描写が。漱石のそれまでのどれとも違う、コクのある内容、心理描写。それまでの総大成、と言う人がいるのも分かる。作者の死により未完に終わっている、ということで手を出しにくい人が多いかもしれないけれど、漱石が好きなら読むべきです。それだけの価値はある。

 

・「際立つ人間模様
私の自覚する自分、そして他人の認識する自分、自分の実家での自分、連れ合いの実家での自分。幾通りもの人間関係の中で、人物が浮かび上がってくる。それは小さな世界の中でも見栄を張り、少しでも自分を大きく見せようと、少しでも上手く立ち回ろうとして駆け引きをする人間達。ときには自分では太刀打ちできない相手の力を感じて、仮面を剥がされるような気分を読者も一緒に味わう。漱石の手腕により、各登場人物のキャラクターが際立っている。ともすれば矮小な小賢しい印象を与えかねないが、そうはならないのが、我々の近くにいる等身大の人物が、彼らの論理なりに一生懸命に生きている様が描かれているからだろう。

これが新聞に連載されていたとは、当時の読者はさぞかし毎日が待ち遠しかったに違いない。また、文豪の死を悼むと同時に、この物語が突然、そして永遠に止まってしまったことを嘆き悲しんだに違いない。

・「続きを読みたい絶筆(「続明暗」は読みたくないけど
本格的な長編。これが完成していたら、日本で最初の本格長編だと言っても良いかも。長いだけが長編の定義ではない。読者に或る前提を了解させておいて、話を進める小説は、結局、心理を叙述するエセーか私小説だ。でも、この作品は確かに、或る「世界=空間」が出来ている。文章もしっかりと、しかし、ゆたかな弾力がある。読者を引きずり込む力も十分な話に展開。絶筆が惜しい。漱石のBest 5には絶対入ると思う。

明暗 (新潮文庫) (詳細)

悲の器 (新潮文庫 (た-13-1))

・「「悲の器」文庫版
私は「悲の器」を現代日本文学の最高峰の1つと評価しています。粗筋などは河出文庫版のレビューに書きましたので、興味のある方はそちらを参考にして下さい。この新潮文庫版は、河出版よりも昔から出ている版で、活字が小さく、今ではかなり読み難いのが難点です。しかし、河出版は「解説」と称するわけのわからない駄文が載っていて不快になります。まあ、文庫本の解説など読まなくていいようなものですが、編集者が本の価値を全然わかっていないのが露顕するので不快なわけです。そこにいくと、さすがに新潮版の解説はちゃんとしています。価格も河出版よりは安価です。

悲の器 (新潮文庫 (た-13-1)) (詳細)
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