ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座 (徳間文庫) (詳細)
井沢 元彦(著)
「キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の世界の常識」「ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の対立を分かりやすく説明」「日本人が疎い世界の宗教の常識を知る良著」「ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の相違点、共通点」「見えなかったコトが見えてくる」
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) (詳細)
村上 春樹(著)
「とても面白かったです。」「There's a music.」「春樹ワールド一色!」「楽しさ満載のエンターテーメント小説」「作者と読者で完成させる物語」
ノルウェイの森 上 (講談社文庫) (詳細)
村上 春樹(著)
「駄作/名作」「説明困難の不思議な魅力」「感覚的に」「寂しさの流れる冷たい夜にふと感じる暖かさ。」「Don't think ! Feel !」
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫) (詳細)
村上 春樹(著)
「記号という性質。反応という希望?」「複雑に交錯する村上ワールド」「著者の長編八作目」「現代における夫の鏡」「根源にある暴力性」
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫) (詳細)
村上 春樹(著)
「前兆、繋がり、謎」「現代日本文学の至宝」「渾身の力作ではないでしょうか?」「ねじまき鳥 現代への警鐘の声」「歴史との関係性、暴力という本能、静かな終息」
家族八景 (新潮文庫) (詳細)
筒井 康隆(著)
「ぜひ人に薦めたい」「恐ろしく、悲しい物語」「七瀬かわいい」「SFの形を借りた、挑戦的な作品」「七瀬シリーズ最高の出来」
愛のひだりがわ (新潮文庫) (詳細)
筒井 康隆(著)
「読みやすい作品」「筒井氏のホンネも垣間見えます。」「“愛”といっしょに、旅に出よう。」「近未来少女の成長ファンタジー?」「読者に大変な思いをさせる筒井作品らしい作品」
閉鎖病棟 (新潮文庫) (詳細)
帚木 蓬生(著)
「読んで良かった」「こころ うごく ほん」「精神病棟の日常を優しく描いた作品」「生きることの意味」「名作」
天国までの百マイル (朝日文庫) (詳細)
浅田 次郎(著)
「なめてました。」「涙なしには読めない名作」「大切なものとは?」「泣かされる」「人間模様」
ダ・ヴィンチ・コード〈上〉 (詳細)
ダン・ブラウン(著), 越前 敏弥(著)
「久々に文句無くおもしろい作品です」「コンピューターの前で読む本」「完璧に楽しめます!5冊買いました!」「今年のベスト」「面白い本が好きな人は買うべき」
天使と悪魔(上) (詳細)
ダン ブラウン(著), 越前 敏弥(著)
「著者のホームページを是非参照しながら読んでください」「Opinion」「My opinion」「大きい本」「基本的にはB級アクション」
デセプション・ポイント〈上〉 (角川文庫) (詳細)
ダン ブラウン(著), Dan Brown(原著), 越前 敏弥(翻訳)
「流石はエコノミークラスの友ダン・ブラウン、面白い」「スピード感満点!」「有り得そうなお話」「読むスピードが止まらない」「映画化してほしいです」
燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫) (詳細)
司馬 遼太郎(著)
「男子必読の一冊」「目に見える表現で」「長編時代小説入門に最適!」「青春とともに死んだ人」「憧れの生き様」
私たちが好きだったこと (新潮文庫) (詳細)
宮本 輝(著)
「本当の幸せとは?」「心が痛い...」「思いやりの心を持たせてくれる本」「恐ろしいほどの一致」「人を愛することの辛さ」
ここに地終わり海始まる(上) (講談社文庫) (詳細)
宮本 輝(著)
「この本に救われました。」「心が洗われる作品でした。」「引き込まれます。」「恋したら読むといいかも(^^)」「若い男女の心情を描く新しい?宮本作風の傑作」
オレンジの壺(上) (講談社文庫) (詳細)
宮本 輝(著)
「文章力とディテール」「祖父が日記に残した、隠された真実とは?」「紐解かれる歴史」「考えることを学んだ本」「不思議な世界です。」
「人間の可能性、力」「読むたびに違う、宮本輝の入門編にして最高傑作」「ただのお涙頂戴の恋愛ものではない」「命のからくり」「誰かを「愛する」とは」
ドナウの旅人〈上〉 (新潮文庫) (詳細)
宮本 輝(著)
「旅人」「何度も旅したい。」「これが一番すき!」「最高!」「宮本輝の最高傑作」
「ミステリーの域を超えている」「何度読んでも面白い。傑作!!」「最高の一冊」「再読する価値あり!」「手に取ったらノンストップです。」
レベル7(セブン) (新潮文庫) (詳細)
宮部 みゆき(著)
「宮部みゆきワールドへの登竜門」「とにかく読んでみて!」「一気に読ませる作品」「面白いッ!!」「探求」
模倣犯1 (新潮文庫) (詳細)
宮部 みゆき(著)
「犯罪被害者の苦悩を描き切った渾身の導入部」「読書の喜びを感じた作品。」「圧巻!」「常に次の展開が気になる」「読み応え度「大」の超大作」
蒲生邸事件 (文春文庫) (詳細)
宮部 みゆき(著)
「最後は、ほろり」「後からなら何とでも言える」「厳しくも優しい物語」「さわやかな読後感」「SFミステリの傑作です」
クロスファイア(上) (光文社文庫) (詳細)
宮部 みゆき(著)
「正義の執行という悲痛」「せつない・・・(T-T)」「連休はコレ!」「爽快感すら感じます」「なかなか読みやすい。」
慟哭 (創元推理文庫) (詳細)
貫井 徳郎(著)
「純粋に物語として楽しみましょう」「上質のノワール」「何とも言えない気分に…」「はまってしまった…」「ミステリーファンは必読の書」
崩れる 結婚にまつわる八つの風景 (集英社文庫) (詳細)
貫井 徳郎(著)
「秀作揃い!みんな共感する部分があるはず」「日常が描かれている故に怖い」「秀逸なオムニバス」「秀逸なオムニバス」「非現実よりも・・・」
● 世界の歩き方
● Inuro's Recommendation "On 小説 "
● 日本の小説
● お気に入りの本
● 浅田次郎
● one of a kind (ロマンス, ヴァンパイア, パラノーマル)
● 本系5 文庫編2
● 読書日記4
● 一神教を勉強中
・「キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の世界の常識」
キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の世界の常識が取り上げられています。日本では、カルトがおこす事件以外は、宗教や宗教対立の問題について意識していることはまれであると思います。ひとたび外国に行けば、いかに宗教が現地の人の中で生きているかということに気がつくと思います。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教が一神教であるが故に引き起こすことがらについて、知っておくべきことが多く書かれています。宗教的な点では日本人の常識は世界の非常識であるということが本書でよくわかります。意外なことにユダヤ教が宗教や文化の多元主義を認めるなどの重要な証言が含まれています。
・「ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の対立を分かりやすく説明」
本来、人を救うべき宗教が、何故かお互いに反目し、殺しあってしまう。この現実が各々の宗教原則と反目しないのかが長年の私の疑問であった。本書は、著者による各々の代弁者へのインタビューを中心に展開する。そもそもの原因が、各々の宗教の起源に内在するということを理解した。 インタビューを通して著者は、ニュートラルなスタンスでかなり突っ込んだ質問をしている。ここに著者のジャーナリストとしての真摯な姿勢を感じた。
・「日本人が疎い世界の宗教の常識を知る良著」
私自身、正月は神社に参拝し、結婚式はキリスト式に、葬式は仏教で.という宗教感覚に乏しい典型的な日本人であるが、そのような素人にも非常に解り易く一神教の歴史・主張を説いてくれている名著。正直、今までの自分の無知を恥じると共に目から鱗が落ちました。ありがとう、井沢センセイ!
・「ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の相違点、共通点」
第一部には、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教がどうのようにして生まれたかが書いてあるが、これが非常にわかりやすい。
第二部では、著者が各宗教の代弁者にインタビューを行っているが、著者の質問の仕方がうまく、代弁者もそれに真摯に答えているので、それぞれの言い分がよく判る。個人的な意見としては、懐の深さが一番足りないのはキリスト教のような気がする。
ユダヤ教・キリスト教に共通点が多く、イスラム教はそれらに比べるてかなり異質なものだと思っていたが、三位一体の否定はユダヤ教・イスラム教で共通するといった風に、そう単純でないこともよく判った。良書。
・「見えなかったコトが見えてくる」
目から鱗とは、このことでしょう。今まで理解できなかった事が、解らなかった事が明確になり、見えなかったコトが見えてきました。それぞれの立場の人たちとの対談は、興味深かったです。また、圧倒されたのは、本の最後に紹介された友人からのメール。ここでは書きませんが、興味のある方は読んで見てください。絶対お薦めの1冊です。
・「とても面白かったです。」
まず、一つ言いたいのが、村上春樹の小説はリアリストの人や、全てが理屈で説明できないと納得が出来ない人にはオススメできない、ということです。
村上氏の著作を批判する人は、必ず「思わせぶりなことを書いて気取っているだけだ」みたいな事を言いますが、不思議なことは不思議なこととして、そのまま楽しめる人間でないと、この人の小説を楽しむことはできないと思います。
私は、村上さんの本は全て読んでいますが、この『海辺のカフカ』は、『ねじまき鳥クロニクル』や『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』並みの、傑作小説だと思いました。
何度読んでも、別の側面が見えてくる、素晴らしい小説です。 キャラクターたちも、生き生きとしていて楽しいです。とくに、ナカタさんとホシノちゃんのコンビがユーモラスです。 難しい解釈なんかできなくても、十分楽しめると思います。
「少年カフカ」という作者とファンのメール集(ムック)もあわせてお読みになると、なお良いかも知れません。
・「There's a music.」
▼村上春樹の小説はページが残り少なくなってくると切ない気持ちにさせられる。いつまでもその世界に浸っていたいと思わされる。いつまでもその世界に突き動かされていたい。それだけのものを村上春樹の小説はいつも抱え込んでいる。▼読み終ると世界が違って見える。うつろになっている。小説の中にぎゅう詰めに詰め込まれていたものの存在を感じる。そこに何が詰め込まれていたのか、すぐには言い表せない。それがとても重大なことのように思われるだけだ。▼星野青年は、音楽は人を変えられるということを知った。ささやかなように思われるけれど、それはとてつもなく重大なことだ。▼村上春樹は音楽に挑んでいるように見える。一瞬で人を変えてしまう音楽に、何百枚、何千枚と書き連ねることで挑んでように思える。まるでドンキホーテだ。ロバに乗って風車に挑むドンキホーテ。その鎧の奥に村上春樹の目が光っている。▼そんな心に触れたくて、そのうちまた彼の小説を読む。
・「春樹ワールド一色!」
読み始めは、「ねじまき鳥クロニクル」のようなダークなイメージで始まりましたが、下巻を読み進むにつれて、曇天模様の空から雲が晴れていくイメージへと変わってきました。
・「楽しさ満載のエンターテーメント小説」
15歳の家出少年田村カフカの父との葛藤そして母親探しのお話が一つの軸となり、猫と話ができる老人ナカタさんとその偶然の道連れ星野君のいわばロードムービーをもう一つの軸としてストーリーはテンポよく展開し、ときには現実的に、ときにはおとぎ話的に進んでいきます。登場する人物はみな魅力的で、とくにとんでもないことに巻き込まれることになったトラックの運転手、星野君のキャラクターには、心引かれるものがあります。これに加えて、戦時中に発生した小学生の集団失神事件というエピソードが物語にミステリアスな雰囲気を加えています。
私もデビューの頃からのファン(熱烈的とは言えませんが)ですが、昔の作品といちいち比べてたらキリがないとおもいます。一気に読ませる力こそ作家のすばらしさではないでしょうか。
主人公が最初に出会ってエロチックな想像をしてしまうさくらという女の子の出番がちょっと少ないのが残念でしたね。
・「作者と読者で完成させる物語」
自我の物語として大変面白く読みました。
客観的にストーリーを楽しむ読み方をしてもある程度楽しめますが、それだけだと物足りなく感じる人もいるだろうと思うし、何よりもったいないと思います。
書評には謎が残ったままという意見も見られますが、もしそれらの答えが用意されていたとしたら、この本を読む楽しみは半減するでしょう。読者が自らの中にその答えを見出すべく、作者は魅力的な舞台設定を用意してくれている、と解釈するのが適切と感じます。
この作品は、読者自身の物語を喚起する「触媒」として優れていると思います。
また、登場人物達のキャラクターが生き生きとしていて、古くからの知り合いであるかのように親近感を抱かせずにはいません。
100人いれば100通りの読み方ができ、何度も楽しめる、非常に奥深い作品です。
・「駄作/名作」
村上春樹の小説は「駄作」か「名作」かという両極端な評価に分かれることが多いようです。本作もその例に漏れることなく、やはり評価は賛否両論ですが、事実として「ノルウェイの森」は、ノーベル文学賞候補に毎年選ばれるほどの作家の代表作であり、世界の各国でベストセラーになるほどの小説であるわけですから、本質的に「名作」なのか「駄作」なのかはさておき、それだけの「魅力」が、小説内のどこかにあることだけは誰にも否定できないことでしょう。
「駄作派」の人たちには、夏目漱石や谷崎潤一郎などの、日本文学の名作と呼ばれる小説に数多く触れ、読書経験が豊富で、いわゆる「文学通」といわれる方が多いようです。否定の方法も、「展開や登場人物の行動に根拠がない」や「過去の名作のような深みがなく薄っぺらい」など、自分の文学観に照らし合わせた意見がほとんどで、平たく言ってしまえば「私にわからないのだから、面白い訳がない」という気持ちが、「駄作派」の大部分を占めている本心のような気がします。逆に「名作派」の人たちには、あまり文学に詳しくない方が多いようで、「何だか分からないけど、面白い」という無邪気な感想が頻繁に見受けられます。
ここで注目したいのは、文学に詳しい人たちは小説の魅力を理解できず、そうでない人たちには、理解できるという、逆転の現象が起こっていることでしょう。
とにかく「駄作派」の、否定の調子の激しさはすごいもので、留まるところを知りません。もはやそれは悪意と言ってもよいほどで、その矛先は作品を飛び越えて、著者本人、果てには、小説を肯定する読者にまで及ぶ勢いです。しかし「名作派」の人たちは、とりたててそれに反論する様子もなく、自分の周りに壁を張り巡らせて、ひそっりと、ひとりで小説を楽しんでいるような、そんな風情です。そこには、まさに、「根拠のない悪意」と「自閉」という、村上春樹の小説世界そのものの図式が浮かび上がってくるようです。
村上春樹氏は「日本文学には残念ながら僕が求めているものはなかった」というニュアンスのことをどこかに書いていますし、人の情念をどこまでも深く追究して表現しきる、日本文学の伝統ともいえる名作の数々には、確かに惚れ惚れするものがありますが、単に、著者はそこを目指してはいない、ということでしょう。「駄作派」の方々には、著者が表現しようとしているものは何であるのかを汲み取ろうとするやさしさが、もう少しあってもいいように思いますし、「名作派」の方々には、自分を惹きつけるものは一体何なのか知ろうとする意志を持ち、「駄作派」の人たちの土俵に、多少なりとも歩み寄ろうとする、そんな勇気も必要なのでは、と思います。そして、ちょうどそのあたりにこそ、村上春樹の表現したいものも、あるのではないでしょうか。
・「説明困難の不思議な魅力」
どこで読んだかは忘れたが、村上春樹は自身が飲食店を経営していたときに得たノウハウとして「飲食店が繁盛するコツ」をエッセイに書いていた。曰く「10人のお客さんが来たとして、10人全員にそこそこ気に入られるより、9人に嫌われても良いので1人に猛烈に気に入ってもらえたほうが良い。」とのこと。その猛烈に気に入った一人はその店のリピーターとなり、さらに口コミで人を連れてくる。口コミで店に来た人の何人かは、またさらにリピーターとなるらしい。
「繁盛=ベストセラー」を意識しているかどうか不明だが、彼の作品は明らかに「多くの人は拒絶反応を示すが、一部は猛烈に好きになる」と言った類のものだろう。そう言う私も、この「ノルウェイの森」をきっかけに春樹リピーターとなった1人だが、拒絶反応を示したレビューが予想以上に多いことも興味深い。
確かに村上春樹の何が良いかを説明するのは難しい。逆に「良くないところ」を説明するのは簡単だ。物語に脈略がない、簡単に人が死ぬ、意味不明なセックス、、等々。それにしても、私を含めた多くの人が魅せられるのか?
ひとつ確実に言えるのは、流れるような文章表現力だろう。例えとしては苦しいが、音楽を楽しむように我々は読解を楽しんでいるのではないか。音楽にも歌詞やメッセージがあるが、それよりも心地よい音の流れそのものを楽しんでいるはずだ。同じように私たちは、物語やメッセージよりも村上春樹の心地よい文章の流れを楽しんでいるのではないだろうか。
・「感覚的に」
この作品が「面白いか」と聞かれたら、私は面白いと答える。だが、もっと突っ込んで「じゃあ、どのあたりが面白いか」とか「どんな話なのか」と聞かれたら上手に答える自信はない。つまりはこの作品はそういう作品なのだと思う。 例えば、村上龍のような作家の作品(コインロッカー・ベイビーズ、愛と幻想のファシズムなど)ならば、作品を理性的に捕らえることができる。「この物語は、このようなことを言っている」といったようなことが、解り易く、的確に述べられている。だが「ノルウェイの森」はそうはいかない。 無理に言葉にしようとすると、実にくだらないものになってしまう。こういう類の作品は、理解しようとするのではなく、その作品の世界に浸ればいい、つまりはただ単に「感じればいい」と思う。
・「寂しさの流れる冷たい夜にふと感じる暖かさ。」
私が小学生の頃に爆発的に売れたこの本を母はハードカバーで買ってきた。真っ赤と真緑のカバーに金色の帯。それを観た私に母はいった。『いつかあなたにこの本を呼んでもらいたいから、ここに置いておくね。』
高校1年の時に思い出したように呼んだ『ノルウェイの森』はまだ私には理解できない複雑なストーリーと、心に大きな穴を作る結末で、なんとも言えない後味を味わった。それから3年。直子が通っていただろうと思われる武蔵野の英語教育で有名な女子大でこの本を読みなおした時、涙がとまらなくなった。
すべての人が孤独を背負って生きている。曖昧で掴みようのない孤独の中でもがき苦しむ直子と、同じ孤独でもビビッドに端的に孤独を映す緑。その狭間で同じように孤独を生きたとお!!るが曖昧なものから、少しでも形あるのもに惹かれていくという都会の中の孤独。人々の行き交う交差点でさえも孤独を隠しきれない大学生達の孤独は、当時も今もかわっていない。 それでも記憶は確実に薄れていく。何度読みなおしても新しい発見があるのはそのためだろう。死は確実に生の一部であり、直子は自分の生を確実に人の心に植え付けるすべを知っていたように思う。それは直子自身が恋人から学んだものであり、とおるに与えたものであったと思う。
人間の無力さ、はかなさ、その中で冴える強さ、あたたかさ。人間の人間らしい姿をありのままに書いた作品。自分が今どこにるのかわかりますか?
・「Don't think ! Feel !」
前々から読もうと思っていた本。文章が柔らかで読みやすいのですぐにストーリーに入っていける。頭で考えて読む本ではなく心で感じる本だと思う。思春期に読むよりもある程度出会いと別れを経験した大人になってから読んだ方がグッとくるかもしれない。心の奥底を激しく揺さぶられる。
●ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
・「記号という性質。反応という希望?」
村上春樹さんの作品にはじめて出会ったのがこの作品で一番好きです。全作品を読んでるわけではありませんが。ただ他の作品をいくつか読んでみて、どうも村上さんてひとつの大きな形の定まらないテーマをずっと追っていていろんな角度から表現しよう表現したいと試みてるような印象を受けました。
謎が多いし、全体的になにをいいたいのかよくわかりません。箇所的になんでここでこの話が?ていうのもよくありました。この作品を研究してる人っていっぱいいるんでしょうね。わたしはネット上で公開していたある分析文を読ませていただいて系統的な理解をすこし深めることができました。でもあの見方もひとつの見方でありこの作品はきっといろんな読み方・感じ方ができる可能性を含んでるんだと思います。
個人的に精神が不安定な時期に読んだせいもありますが。衣服・食事・住居に対する意識を強く感じさせられました。その物や行為を通して自分を感じること支えること表現すること。時間的な縦軸と社会的な横軸にクロスされてる意識と身体。それにまつわって良くも悪くも受け継がれていくもの。
さりげない科白にはっとさせられることが多かったです。
・「複雑に交錯する村上ワールド」
岡田亨は30歳で、勤めていた法律事務所を辞め失業中。飼い猫は家出をしていて、出版社に勤めている妻のクミコは最近帰りが遅い。そんなところへ、知らない女から奇妙な電話が掛かってきて、それから僕の人生は不思議な方向へと流れ出す。
変えようのない「運命」と自己の「意思」が、場面・人物を違えて何度も錯綜し衝突する、つづれ織りのような小説です。違う場面で繰り返し出てくるキーワードがいくつもあって、一見関係ないお話たちが交錯して一つにつながっていきます。私は豊富なメタファーの向こうに、氏が「書く」という行為に至った魂の遍歴のようなものを読み取ったような気がします。実は私小説的な意味合いが強い作品なのではないかと思っています。
3部作なので読む前は長く感じますが、私はぐいぐいと小説世界に引き込まれていって読み終わるまで出てくることができませんでした。傑作です。
・「著者の長編八作目」
国境の南、太陽の西 の後の作品であり、スプートニクの恋人の前の作品にあたる。第一部のみ、雑誌で連載されたものであるが、全体の空気を通して作調の変化は感じられなかった。又、著者はこの作品により読売文学賞を受賞している
ねじまき鳥クロニクルは現在発売されているアメリカでの村上春樹ベスト、海辺のカフカを除けば、アメリカ人に”村上春樹”と言われれば浮かぶタイトルである。
ひとつに、この作品の主人公は(大局的に捉えた)アメリカ人としてのアイデンティティを体現したような存在でもありうるから、そのように彼らに印象づけたのではないだろうか。
基本的に主人公は弱さを出すことが無い。感性が鋭く、筋道を立てて考えることができ、しかし、それがあるにもかかわらず流れに身を任せる事も忘れていない。極めて実務的な人間である。
この物語は、”僕”がマルタという登場人物に言ったが如く「まるで禅のような話」に、そのような性格の主人公が人の手を、または場所の力を借りて、捉えどころの無い流れに挑んでいく話…という風に私は読んだ
日本文学は人物の深みを掘り下げていく事が少なくないが、この作品は人物ではなく、時代でもなく、人間の存在でもなく、なにようか言い表せない世界を掘り下げていく。
驚くことに、そういった物語でありながら、話の筋は霧散せず、それぞれの複線や、ストーリーの流れは、理屈や構成だけで捉えても合点のいくように編まれている。それだけでも十分に興味深く、考えさせられる。
時間のあるときに、じっくり読むと自分の世界を深く変えられたような気分になる小説である
・「現代における夫の鏡」
大長編ですが、テーマはシンプルだと思います。「夫婦の片割れとして、自分はどうあるべきなのか」
はっきり言ってとても重たい小説。僕の場合、読み終わるころに熱を出しました。本当です。文章はとても読みやすく、文体もすばらしい。話の内容や情景はすーっと頭に入ってくる。水を飲むくらい簡単に理解できるし、イメージできます。だからこそ、苦しい。その内容や情景が、逃げ出したくなるほど重たいからです。後頭部が熱く火照ってくるほどグロテスクなシーン、戦争と暴力、理不尽。いろんな「害悪」が詰め込まれています。読者に対する拷問なのではないか、と思えるほど。村上春樹作品において、これほど苦痛に満ちた小説はまずない。
同時に、とても示唆に富んだ小説です。人に言いたくなるような名せりふが多い。箴言に満ちています。知的なかっこよさがあります。
主人公は職を失い、何もかも中途半端で、取るに足らない男です。僕みたいな男です。でも彼は奥さんを愛している。しかし妻を失いつつある。
愛だけは貫きます。完璧な愛ではありません。いくつも過ちを犯す。力も足りない。怠慢すら過去にはあった。でも終わらない愛です。どんな苦難にあっても、いや苦難にあえばこそ蘇る愛です。小説でしか表現し得ないラブストーリーだと思います。読後、なんとなく、人生が面白くなってきます。
・「根源にある暴力性」
あけすけに言えば,村上春樹の長編作品でいちばん好きなので,★5つをつけている。『ノルウェイ』でもなく,『世界の終わり』でもなく,「羊3(4)部作」でもなく。
決して本読みではないので大長編は苦手だが,この作品はあっという間に読み終えた。数ヶ月おいてまた読んだ。数年たっても読んでいた。作者の長編はすべて読んでいるが,ここまで没頭できる作品は他に見当たらない。「どうしてこんなに読ませるのか」と考えているうち,作者のある言葉に触れる機会があった。「(執筆の根源としての)性と暴力」。
この作者が性的表現にこだわってきたことは,多くの方がご存知であると思う。『ノルウェイ』が,ややもするとこの側面からのみ語られることも,この点に起因する。その次の長編であるこの作品が示したこと,それは性にこだわることはすなわち暴力にこだわること,ということである。生の衝動とまとめてしまうのは,あまりに安易な私見になるであろうか。
ともかく,不条理にして妻を奪われる夫が帯び始める暴力性に,私は(誤解を怖れずに書けば)惹き込まれた。性もそうだが,暴力もこの世界には満ち溢れている。ただ,満ち溢れているからこそ,現実を超えてそれらを表現することは難しい。更に,性が性それ自体の欲求を充たすのに比べ,暴力はそれ自体は欲求しない。そのため,性以上の表現力が求められる。
阿部和重や町田康などはともかく,暴力は安易に手を出しやすい素材であるため,小説として書き切っている作家は少ない。『ねじまき鳥』以降,やや筆力が落ちたようにも感じられる点は残念であるが,この作品だけでも作者の評価は国内外を問わず相応に高い。
・「前兆、繋がり、謎」
賛否両論に分かれる小説であることは明確ですね。春樹さんの読者に結末を委ねるスタイル、好きです。解明されていない謎があるけど、それは解明しても意味ないのかもしれない。
3部作を全部読んで感じたのは「繋がり」がテーマのひとつではないかということ。すべてが後で時間をかけて繋がっていく。加納マルタはもしかしてクミコの姉とリンクしていて、クレタはクミコとリンクしていて、間宮中尉は顔のない男=虚ろな人間とリンクしていて、ボリスは綿谷ノボルと、間宮中尉は岡田トオルとリンクしてるように感じた。コルシカはなぜかクレタの子供で、間宮中尉と暮らしているらしいし、なぜか岡田夫婦の将来の子供もコルシカの名に・・・。「繋がり」はあちらの世界とこちらの世界を繋ぐ井戸でもある。今、僕は一読してこんなことを考えている。
・「現代日本文学の至宝」
期待感のない小説だ。ノーベル賞をとっても驚きはしないからだ。また読みおえた人を不幸にする小説だ。これよりよいものにめぐりあうことは今後そうないと思えるからだ。それ以外けなしようがないほどの大傑作。これ一冊で村上春樹の偉大さが十分わかる。
奇妙な鳥の声に気づくと間もなく愛猫が姿を消す。主人公岡田トオルの平凡な日常は徐々に変貌し、ついに妻クミコまで謎の失踪をとげる。何かが狂ってしまったなら、もとに戻すしかない。ねじまき鳥の声が止まると、岡田トオルの静かな戦いが始まった。行く手を阻むは綿谷ノボルほかに象徴される悪。時空をこえ世界を支配する強大な敵だ。普通人、岡田トオルは、はたして勝てるか。だが魂の彷徨を続けるなか、彼は多くの人にめぐりあい、学び、力をつけていく。登場人物、エピソードはそれぞれが深い洞察に満ちたメタファーだ。複雑なこの世のすべてが記されているといっていい。さまざまに読みとけるだろうし、それ自体また楽しい。この本の魅力を語るだけで分厚い本が書けるだろうし、事実、出版されている。
一見シュールで難解だが、愛するものを奪還すべく悪と戦うシンプルさが核。古典的で普遍的なテーマを追求した清々しい物語だ。多くの読者をひきつけてやまないゆえんだろう。意味不明だがとにかくこの話が好きという人が多いのは、頭ではなく魂で読む優れた読者をそれだけとりこにしているあかしだ。
物語同様、簡潔な文章は、澄明で流麗。だから読みやすい。これからもより多くの人に愛されることを願う。
・「渾身の力作ではないでしょうか?」
約10年ぶりに読み返しました。作者渾身の力作だと、いま思います。作者独特の節回しで、パラレルな世界にひそみ、そしてこの世界にも繋がり、顕在する、暗く暴力的なものと最後まで逃げずに戦っています。ねじまき鳥の声を聞き、井戸を潜り、ノモンハンを抜け、最後にたどりつくクライマックスは作者の作品の中でも独特なものでは無いでしょうか、主人公のセリフに背中が痺れました。この作品を通り抜け、海辺のカフカにいたるまで随分と時間がたっているのだな、と再確認しました。でもそれは当然のように必要な時間だったのでしょう。長い3部作ですが、一気に読ませます、すごくおもしろかった。
・「ねじまき鳥 現代への警鐘の声」
「暴力」はこの作品の大きなテーマの一つです。間宮中尉やナツメグの物語に登場する、戦時下での「巨大な暴力」。もはや誰にも止められない凄惨で虚しい暴力を、村上春樹は見事に描き切っています。
それだけでなく、「その暴力はどのようにして巨大化してしまうのか」も、ボリス・綿谷ノボルの巧妙な戦略とそれに追従してしまう人々を通じて、しっかり書かれています。この綿谷ノボル的な、「巧妙に人々を取り込んでいく暴力性と、それを受け入れてしまう人々」・・・という動きを、おそらく村上春樹は、日本の中にもアメリカの中にも(この本は作者がアメリカ在住時に書かれた)強く感じ、危惧していたのではないでしょうか。
「彼らはテレビの言うことをそのまま信じているのだ」と、作者はわざわざ太字で書いています。
ボリスだけでは、綿谷ノボルだけでは、「巨大な暴力」は成り立たない。それを許してしまう多くの人々によって、それは巨大化し、止められない凄惨な流れになってしまう。
笠原メイはバイク事故を自ら起こし人を死なせ、クミコは自分で自分を汚す行動をとります。一見不可解なのですが、誰にでも「闇・エアポケット」があるということ、暴力性の種を持っていること、時にはそれに「魅せられてしまう」・・・ことが書かれている様にも思えます。その無意識の領域に、作者は踏み込んでいます。
妻を奪われた主人公はこの暴力に立ち向かいます。そこがこの第三部の大きな読みどころです。
この本が出されて10年以上経ち、テロやイラク戦争が起こり、日本では9条改正のみならず核保有なんて事まで言及される時代になりました。「彼らはテレビの言うことをそのまま信じているのだ」という言葉は、私自身への反省として受けとめたい、注意しなければ・・・と思います。
暴力は本当に巨大化してしまってからでは遅い。この本は今の時代への警鐘として、私は受けとめています。
・「歴史との関係性、暴力という本能、静かな終息」
この物語は、家出した妻を取り戻したいといういたって単純なものです。しかし、過去と現在という時間軸と、登場人物と歴史的事実という関係性を通じて、物語が複雑に多様に構成されています。同時に、歴史を語ることによって、人間が本能的に持っている暴力を描写することで、人間を描ききった力作となっています。
どれだけの不可思議な人物が、現象が描かれたでしょう。第1部、2部の現象や事物は、すべて第3部の謎解きにつながっていく伏線であり、最後の「闘い」のための序章だったのです。もちろん、これまでに描かれた数々の暴力も、「闘い」を描くためのお膳立てだったと考えられます。
最終ページ近くに、主人公と妻との思い出が綴られています。
この物語の原点を思い出させてく!れることによって、この複雑な物語を静かに終わらせることができたのだと思います。
・「ぜひ人に薦めたい」
七瀬三部作といわれるそうですが、その中でもやはり本作が最高の出来だと思います。よくよく考えると、超能力者七瀬の視点を通して、人間に対してかなり厳しい見方をしているわけですが、それでも読む側に嫌悪感を与えることも無く「うんうん、そうだよな」と思わせます。途中からはSF作品であることも忘れて引き込まれます。それもたぶん、七瀬という絶妙なキャラの恩恵だと思うのですが、筒井康隆のすごさをまざまざと見せ付けられました。ただ二作目「七瀬ふたたび」以降は普通のSFっぽくなりすぎてて、個人的にはガッカリしました。一作目の日常っぽい雰囲気のままで続編を書いてほしかったです。
・「恐ろしく、悲しい物語」
七瀬3部作と称される、七瀬が主人公の第1作が本書です。人の心が読めるテレパス七瀬が、家政婦として幾つかの家を渡り歩く中でのエピソードを短編形式で数編収録しています。
人の心を読んでしまえるが故に思い知らされる七瀬の、怒り、失望、葛藤、などの描写を通じて、人間の持つ天使の半面(悪い面)が、異様な心理的迫力を伴って描かれています。
プロットも手堅くまとまりがあり、娯楽的要素にも落ち度なく、筒井短編の中では出色の出来だと思います。
・「七瀬かわいい」
美少女テレパス火田七瀬――彼女は生まれながらに目の前の人の心を読みとることができるのだ。世間の迫害を恐れた七瀬はテレパシー能力に勘づかれないよう、お手伝いさんとして様々な家庭を転々とする。一見ごく平凡で幸せそうに見える8つの家庭で七瀬が見たものは、小市民たちの欲望と狂気に満ちた猥雑な心理であった・・・・・・ コミカルな筆致で人間の心の暗部を残酷に抉る、恐ろしくも哀しいオムニバス作品である。テレパス七瀬初登場の作品で、他にも七瀬シリーズは『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』があるが、この続篇2つは駄作だと思う。ただ『家族八景』は素晴らしい作品なので、ぜひ読んでいただきたい。直木賞候補作にも上った。
・「SFの形を借りた、挑戦的な作品」
テレパシーを備えた若く魅力的な少女超能力者・火田七瀬のシリーズの第一作だ。 主人公は他人の心を読みとり、ぞれぞれの闇を照らし、家族を成立させる骨組みや結びつきを明らかにする。そこはお馴染みの、親子の確執があり、夫婦の嫉妬や疑心暗鬼、さらには性・金銭をめぐる欲に溢れている。主人公の能力をめぐり生い立ちに触れる物語もあるが、敢えて主人公の出自には深く踏み込まない。主人公は家族の心の語り部として、家庭から家庭へと移ろっていく。 それぞれの内面をストレートに描写することで、家族に生じている欺瞞をさらけ出し、主人公と読んでいる側からは表層的な家族関係の脆い実体がありありと分かる。この手法は、小説の基本的な描写方法を破壊する行為だと言えるかもしれない。SFの形を借りているが、作家の挑戦的な意欲を感じる。
・「七瀬シリーズ最高の出来」
シリーズ物は第1作が一番良いことが多いが、七瀬シリーズも例外ではなく本書が一番面白いと思う。人間の醜いところをこれでもかとえぐりだす様はまさに筒井流。
・「読みやすい作品」
とても読みやすく大好きな作品です。言ってしまうと単純な作品なのかな?って思ってしまいますが私にはちょうどよいです。最後の主人公の言い放つ長いセリフは筒井作品らしさが出ています。そして、最後の一文からうかがえる主人公の成長に寂しさとうれしさが混じりいった気持ちになり何とも言えなくなりました。
とてもオススメです。
・「筒井氏のホンネも垣間見えます。」
近未来を舞台にした冒険小説で、物語としてもかなり面白い作品です。それに加え、主人公が旅に出ている期間と、筒井氏の断筆期間がいっしょなのも面白い。お、このエピソードは断筆事件のあのことを皮肉ってるのかな・・・などと勘繰りながら読むのも楽しいです。ラストの主人公の訴えのセリフは、断筆後、筒井氏が出版社に言いたかったことなんだろうなあ。
・「“愛”といっしょに、旅に出よう。」
2006年、それぞれアニメ映画が公開された『時をかける少女』や『パプリカ』の原作者である筒井康隆さんが、2002年に発表した小説です。小学校高学年ぐらいから上の人が読むことを考えに入れて書かれたもので、むずかしい漢字などは、あまり使われていません(ただ、図書館では“子どもの本”のところではなく、たいてい、大人の小説のところにあるようです)。今よりずっと荒れ果て、『北斗の拳』か『ターミネーター』か、というような(そこまでひどくはない。あくまでそんなイメージ)、近未来の日本。左腕にハンデをもち、家ではこき使われ、学校ではいじめられていた“愛”という女の子が、やさしかったお母さんを亡くしたことをきっかけに、ゆくえの知れないお父さんを探す旅に出ます。その旅は、(最初にこの小説を出版したのと同じ、岩波書店から出ている)『ホビットの冒険』の主人公・ビルボの旅のように、つらく、きびしく、時に深いダメージを負うこともありましたが、“愛”のそばにはいつも誰か、あるいは何かがいて、支え、守り、助けてくれるのです。そんな旅路のなかで、“愛”はいったい何をみつけ、何をつかむのでしょうか。ぜひ、あなたも読んで、確かめてみてください。
※ジュブナイルとして書かれた小説ですが、大人の目線で読んでも十分に面白い作品です。読み終えた時、なんともいえない感動と満足感がありました。あの『三丁目が戦争です』の作者だけあって、“子どもの本”としては容赦のない描写もあちこちに登場しますが、ただいたずらに残酷なわけではないことが、読んでいただければわかると思います。シンプルな人物描写、テンポのよいセリフの小気味よさもポイントです。アニメか実写か、そもそも実現するかどうかもわかりませんが、映像化にも期待したいものです。
・「近未来少女の成長ファンタジー?」
ぜひ、大人の方にこそ、おすすめしたいです。
・「読者に大変な思いをさせる筒井作品らしい作品」
筒井康隆氏はショートショートと呼ばれる、超短編集なんかを良く出すが、この作品は一般的な小説で、300ページ強ある。内容は、左手の不自由な女の子「愛」が、母をなくして居場所を失い、父を探すたびに出る。
筒井氏の小説は、読者に「想像させる余地」を与える。それを受け入れられる人、受け入れられない人がいるのは確か。ツボにはまればとっても面白い。
私自身は、笑い、泣き、怒り、感動した作品。
物語が進むにつれ、愛は成長してゆくが、その様子といったものは簡潔に書かれているだけで、読者1人1人が自分だけの「愛」を考え出す必要があるかもしれない。私は十分、成長を感じられて、複雑な気持ち。でも、買ってよかった。
難しい本ではないのは確か。文庫版にもなったし、CDじゃないけどジャケ買いしても良いのでは。
・「読んで良かった」
精神科病棟に入院している患者を、外部からではなく、入院している内部の患者の視点から描いた名作だと思います。入院患者とそうでない者(家族や世間)との間に横たわる気持ちのすれ違いが生み出す悲しみと、ラストに至って分かる人間の暖かさに号泣しました。殺人事件があるため、ミステリー小説とも受け取れますが、同じ病院もののロビン・クックの作品に見られるようなサスペンスフルな感じではなく、静かで暖かいストーリーです。本当に読んで良かったと思える数少ない小説として、いつまでも記憶に残ると思います。
・「こころ うごく ほん」
とにかく、ぜひ一度読んでみてください。作品中、登場人物のエピソードに幾度となく涙し、終盤では嗚咽を漏らして号泣していました。何度読み直しても同じ感情の動きを味わうことのできる、色褪せない作品です。
そして映画化もされていますのでそちらもぜひご覧ください。
小説の映画化にありがちな些細な設定の違いにも違和感を感じることのない秀作です。チュウさん役の役者さんがとてもすばらしい演技をされています。
このような文章ではちゃんとしたレビューとは到底いえませんが、お勧めしたい気持ちだけでも伝わればと思い書かせていただきました。わたしはこの本に出逢えたことをほんとうに感謝しております。
ことあるごとに人にお勧めしたい大切な一冊です。
・「精神病棟の日常を優しく描いた作品」
帚木さんの本はほとんど読みましたが,この「閉鎖病棟」は特に大事にしている一冊です。
社会からも家族からも疎まれながら生きている,精神薄弱者と呼ばれる人たちを,筆者が愛情を込めて描いている作品です。精神病患者にもそれぞれ個性があり,精神を病んでしまった理由や背景がある,という周りの人が忘れてしまいがちな部分を無理なく自然に読者に伝えてくれます。患者を取り巻く家族,医療従事者,そして患者同士に起こる日々の生活や些細な事件。ともすれば暗くなりがちな世界も,著者が優しい目で見つめながら描いているので読んでいて救われます。
帚木さんの作品は,色々な意味での「弱者」を描いているものが多いのですが,どれもわざとらしく美化したりせずにありのままの姿や出来事を整った!文体で書かれています。この「閉鎖病棟」も,淡々と語りながらも読者の心を打つ,素晴らしい作品です。
・「生きることの意味」
最後の最後にめちゃくちゃ泣いてしまいました。舞台はある精神病院の入院病棟。題名の通り閉鎖病棟も出てきますが、メインは開放病棟のチュウさんという患者さんが中心に物語が進んでいきます。犯罪者には精神病者、精神薄弱者が時にいるものですがここに出てくるのもそのような、過去になんらかの事件に関わった人たちばかり。
物語は幾つかの事件から始まり、この精神科病棟に集まってきた人たちの生活が始まります。今の私とは縁のない人たちばかりで初めはなかなか入っていけなかったのですが患者さんの立場から進む話を読んでいくうちに心に病を抱えてたり、傷を持つ人たちにも何のかわりもなく私たちと同じ感情があって、生きることに一生懸命なんだと改めて教えられました。
・「名作」
ストーリー、文章力、緻密で繊細な描写、よく練られた人物像、小説の魅力を余すところなく捉えているすばらしい作品だと思います。この作品は精神病院という狭い空間を舞台としていながら、それが社会や私たちの意識に投げかける問題はとても広い。精神医療をめぐる不条理な現実、多様性を秘めた人格でありながら「精神病者」というレッテルで一くくりにされ、それ以外の存在であることを許されない患者たちの悲しさ、彼らに対する世人の偏見、そして人と人のつながりとは何なのか、人が人を想うとは何なのか、こうした事柄を深く、強く、考え、胸に刻み込まずにはいられない作品です。著者は、大げさな誇張や過度に哀れむような表現を用いず、静かな筆致で等身大の患者たちを描き出そうとしたのでしょう。それでいてその心底には限りなくやさしいヒューマニズムの精神がある。「感動」という安っぽい言葉で飾りたくないほど深く胸をうつ作品です。
・「なめてました。」
正直、浅田次郎はぽっぽやしか読んでなくて、ベストセラー作家だし~映画かなんかにもなってたし~金儲けだけなんじゃないの~?!なんてなめた気持ちで読み始めました。。。。。が!
術中にはまってしまったわけです。凄すぎます。本読んでて泣くことなんてそんなないんだけど、やられました。
眠れなくて、眠くなるために読み始めたはずなのに、明け方にはぼろぼろです。でも何か読後感はすっきりしていて、久しぶりに前向きでさわやかな気持ちのいい朝を迎えることが出来ました。
数日後2回目読んだのですが、今度は冷静に技術的なことに見が向きます。この作家凄いです。
めちゃくちゃに調べてあるだろうにかかわらず、そのことを一切感じさせません。例えば専門的な医者同志の会話が凄く自然に聞こえてくるんです。
ベストセラーはあえて避けるような、私のようなサブカル人間もだまされたと思って1回読んでみてください。
・「涙なしには読めない名作」
初めてこの本を読んだとき、主人公の母親に、病院で亡くなった自分の母の姿が重なり、何度も涙を拭いました。病床で母はこんなことを思っていたんだろうな、あのときああしてやればよかったなという思いがわき上がってきました。
浅田文学のテーマになっているのは、「落魄した人間の誇りの回復」「無償の愛の尊さ」というものだと思いますが、それが見事に絡み合っている作品です。
母を助けたい一心で百マイルの道を走る落ちぶれた息子、その息子が立ち直ることだけを願っている母、二人をいろいろな形で支える人たち、神懸かり的な天才ドクターの登場…。終盤の展開を思い出しただけでも目頭が熱くなる。
多くの人に読んでほしいと思う名作です。
・「大切なものとは?」
メイクが落ちるほど泣きました!ひとりで全部やろうと決めていたのに最後に彼は自分ひとりではできなかったと気付き復活を誓うなんとなく先は読めていた気がしますが涙が止まりませんでした彼の母を想う気持ちにも感動しましたが、彼を支えてきた様々な人たちがこの作品を盛り上げています。大切なものは何かを考えさせられました。
・「泣かされる」
浅田次郎さんは正直な作家だと思う。物語は、当然、虚構ではあるけれど、本音が散りばめられている。マリは、「椿山課長」の知子と同じく、彼の理想の女性だ。マリは、零落れた男に無償の愛を注ぎ、必ず一人前の男に立ち直らせる。愛を与えるだけで何物をも求めず、愛する相手が幸せになってくれることだけをひたすらに願う、母性本能そのもののような女だ。ストーリー自体は、人情話で、バブル崩壊でどん底の貧乏生活に転がり落ちた主人公安男と母親との母子愛に、安男に対するマリの溢れる愛と、多くの人の善意がからむ。マリは勿論、サン・マルコ病院、曽我医師、藤本内科医、長田歯科医、中西社長、刺青を背負った金貸しの片山までもが理想化されているが、それは、反面、現在の世の中にうようよしている、これと正反対の悪徳存在に対する作者の批判と抗議でもある。甘いかもしれないけれど、作中の人間の愛と善意に泣かされる。こんな世の中ならまだ救われる、人生まんざら捨てたものでもないと思わせる。浅田次郎さんは、エリートたちの生き様を風刺しつつ、落ちこぼれ逆境にある人たちに暖かい眼差しとエールを送っている。人生に失敗したり、逆境を経験したことのある人ほど身に沁みる物語である。
・「人間模様」
母子の物語として秀逸なのは言うまでもないのですが、脇役の人々の描き方が素晴らしい。「外科医になれなかった」藤本医師、道中で出会うトラックやタクシーの運転手、英子に無理して悪態をつくマリは勿論。月並みですが、人間って捨てたものじゃないですね。
・「久々に文句無くおもしろい作品です」
前作のAngels & Demons と同じ主人公が活躍するのですが、ストーリーは次の展開がどうなるんだろうと最後までわくわくさせられつつ軽快なテンポで進みます。
ダビンチと聞くと芸術に係わるストーリーだと思われるかもしれませんが、歴史、美術、宗教、科学、金融などそれぞれの分野で知的好奇心をそそられるようなディテールが上手くストーリーと組み合わされていて、もう次の作品が待ち遠しくなること間違いなし。
専門用語が出てきますが、全体としてはシンプルな読みやすい英語です。
・「コンピューターの前で読む本」
久しぶりに面白い本を読んだ。普通のサスペンスとどこが違うのか考えてみた。主人公のソフィーとランドンが各所で追われる。 本来ならすぐに逃げる方法を考えるものだが、この小説ではその時に限って二人は詳細な謎解きや調べものに熱中してしまう。逃げる方法は原則逃げてから始めて分かる仕組みになっている。 読むほうは、そんなことをしていないで早く逃げて欲しいと思い、ついつい4,5ページ先をぱらぱらとめくって助かったのかな?と、確認したくなってしまう。そのじらしかたが実にうまいと思う。
確かに聴きなれない単語もあるが、この本に限って言えば、辞典を引くより、いっそのこと、Google のイメージ検索をするとよい。たとえばcameo, やkeystoneなどの単語, モナリザ、最後の晩餐などの作品を、ネット上の画面をみながら読むと、ややこしそうに見える説明も案外はっきりと理解できる。これまではほとんど通勤途中で読んで来たが、この本は、コンピューターの前で大半を読みました。
・「完璧に楽しめます!5冊買いました!」
話題になっているこの本は気になっていたのですが、美術のことはあまり知らないので、読んでも理解できないのでは?と思っていたところ、OAZOにできた某大型書店でこの本を見てビックリ!なんと文章の横にすべての絵や写真が入っている!『これは美術書としても充分にたのしめる!』とりあえず、値段をチェックして帰宅。案の定アマゾンのほうが安値だったので、UNAbridgedのCDとともにオーダーしてワクワク到着を待つ(ちなみに○善書店ではAbridged版しか置いてなかった!残念!)翌日本が届いて、CDとともに読み始めたら、もう止まらない!絵や写真も合わせて見られるので楽しいし、話は軽いタッチで英語もやさしい!13枚のCDもあっという間に聞き終わり5日で読み終わってしまった!絵のきれいさもあり、英語に興味のある友人達のクリスマスプレゼントにすることに決めて5冊オーダーしました!
・「今年のベスト」
イギリスに住む友人が、一押しと教えてくれた。早速買って読み始めたが、いきなり引き込まれた。読み進むうちに、ダヴィンチの作品について、知識が必要になり図書館で美術全集を広げ、絵を見ながら読むという、一寸きざなこともしてみた。「最後の晩餐」の解釈などとても面白い。
現存するものについての記述はすべて真実、と前書きにあり、その隙間を作者の想像力と創造力がうめていく。キリスト教の歴史あり、ルーブル美術館の歴史あり、おもしろさはつきない。 舞台がパリからロンドン、スコットランドと移りながら、追いつ追われつの展開で、知識が増え、ハラハラドキドキしながらの何日間かであった。
年末になると自分のベストを作ってみるのだが、今年はこれがベストではないかと、今から思っている。
・「面白い本が好きな人は買うべき」
本作があまりにもリアリティに欠けるという厳しいレビューがありますが、私は「面白ければ、どうでもいい」と思います。歴史書や図鑑じゃあるまいし、細部にこだわって、「現実とここが違う」なんて1つひとつ報告しても、だれが喜ぶのでしょうか。
娯楽小説と考えれば、とても面白い話です。みんながよく知っている(と思っている)ダヴィンチや彼の作品に、これだけの謎をちりばめ、読者に「考えてみよう」と思わせる暗号も用いるなど、ワクワクする本です。
少年時代、明智小五郎やシャーロック・ホームズを読んだときのような楽しい気持ちで読めました。最近の作品だと、名探偵「コナン」に出てきそうな謎解きです。
繰り返しになりますが、美術とか宗教とかルーブルに精通しており、現実との細かな描写が気になる人には向いていません。「映画化を意識した」という批判も、逆に考えれば、それだけ映像が頭に浮かぶ作品ということです。分厚い本2冊ですが、一気に読めました。スリリングな娯楽作品が好きな人は、ぜひどうぞ。
・「著者のホームページを是非参照しながら読んでください」
クリスチャンではなく、昔、物理専攻の学生だった私にとって、この本は、”The Da Vinci Code"に勝るとも劣らず面白く読めました。バチカンとCERNがからむなんて・・・是非著者のホームページを参考にしながら読んでください。写真や地図など内容に沿った資料がたくさん紹介されていて、本の理解に役立ちます。
・「Opinion」
コンクラーベを舞台にした誘拐と連続殺人、浮かび上がるルネッサンス期の狂信的科学者集団。宗教的象徴の権威であるハーバード大教授の禁断の聖地バチカンの奥深くでの活躍はどこかインディー・ジョーンズの活躍を思わせますが、謎解きと命がけの闘いが最後の最後までぎっしり詰まっています。ダ・ヴィンチ・コードと同様に著者の深い知識には驚嘆させられました。 Try-Giorgio Kostantinos-The Quest.
・「My opinion」
I am an avid reader and love to read books from all types of genre, mystery/ thriller and humor being my favorites though. I did not knwo of Dan Brown before I read thsi book and I just bought it because it was high on the Amazon reveiw (yeah really :-)..)
But AM I GLAD I DID. Really fast paced and really an intelligent novel. there are some points in teh story one feels like, whoa! how did that come about, but amazing read. I actually wanted to sit and finish this book straight, but it is gripping and some how takes a lot of energy just reading it, almost as if you were watching it as a movie.
I will not put it in a special genre like religious mystery or thriller or science fiction or cult book becaus eit has a mix of all three.
If you liek thrillers/ or mystery books, thsi is a DEFINITE buy.
・「大きい本」
ダヴィンチ・コードに引き続き、読みました。ダン・ブラウン「天使と悪魔」・・・。感想・・・・・・面白むずい。
内容をかいつまんで説明すると、今回は科学対宗教で、神という存在を方程式で以って認めないとする科学と、神というものを絶対とする宗教の頂点、ヴァチカンとの攻防??という感じ。ただ結末?というと・・・実はもっと複雑どんでん返しなんですが、内容は、今のヴァチカン、つまり教皇死去後の時期がちょうどリンクしていて、そういった点で今読むにはうってつけである。むしろ、今読まないと、キリスト教もヴァチカンも身近じゃない我々にはわからなくなりそう・・・。
なので、今読んで欲しい一冊である。
んがっ上にも書いた通り、非常に難解。率直な感想としては、量的にも1.3冊分くらいが適当で、2冊たっぷり読むと、難解度もアップ、疲労度もややアップである。ダヴィンチ‾を読んだときも思ったけれど、この人は後半の展開がややもったりする。しかも今回の展開には若干むちゃくちゃ感もあった。
しかし、投げ出さないでたどり着いて欲しいところがあった。後半、教皇に仕えていた司教が演説するところがある。それを心に響かせて欲しい。この人が言いたいことは、ここの数ページに凝縮されている。
かなり難しく、しかも長く、途中で投げ出しそうになるかもしれないけれど、この本、やっぱりおもしろい。
ぜひ今、そして、上に書いたところまで読む人はたどり着いて欲しい、と思う。--An 極度なスリラー Giorgio Kostantinos 著‾‾Quest--
・「基本的にはB級アクション」
ハーバード大学の教授が早朝の電話による要請でスイスの研究所に超音速ジェットで招かれ、続いてバチカンに調査に向かうあたりは、スピード感もあって良かったが、4人の枢機卿を助けるために悪戦苦闘するあたりは、ストーリーは進んでもスピード感がない。
終盤は結構わくわくしながら読める。途中で想像していたような結末を迎え、残り100ページには何が書いてあるのかと読んでいくと、想像もできなかったような(想像不可能な)どんでん返しが待っていて…。 話に無理があるのはさておいて、バチカンが舞台だけあってやたらと見慣れない単語や、作家の特徴か見慣れない表現があり、ちょっと苦労します。
夢中になって読むような小説ではないが、別の小説も読んでみようかと思わせる程度には面白い小説だと思います。
・「流石はエコノミークラスの友ダン・ブラウン、面白い」
半年前に呼んだ「ダ・ヴィンチ・コード」は、飛行機のエコノミークラスでの長距離移動の「体感時間」を随分と短くしてくれた。今回またエコノミークラスでの長距離移動の必要性が生じたので二匹目のドジョウを狙ってこの本を購入。見事期待に応えてくれた。
米国からの帰りみち、1.5時間の国内線と13.5時間の国際線で、途中少しの睡眠を挟んで全部読みきってしまった。実はこの本がなければもっとずっと睡眠を取れていたはずなのであまり良い結果ではなかったかもしれないが(苦笑)。。
テーマは現代的だが、謎解きとアクションの連続はダ・ヴィンチ・コード同様に実に読むものを惹きつける。
NASAが見つけた「歴史を揺るがす発見」とは何か?果たしてその発見は本物か?主人公たちを襲う黒幕は誰か?なぜ襲う必要があるのか?次々に主人公に襲い掛かる絶体絶命のピンチ。対立大統領候補両陣営の丁々発止の駆け引きとせめぎ合い。
これら複数要素の「ブレンド」が実に絶妙で、どうしてもすぐに先を読みたくなってしまう。「読み始めたら止まらない」点ではダ・ヴィンチ・コード以上だろう。
終盤には大きな「どんでんがえし」があるが、これにはびっくりさせられた。小説の展開でここまで驚いたのは記憶にない。ダ・ヴィンチ・コードでは、かなり早い時期に黒幕が予測出来てしまい、興ざめしたものだが、この本のどんでんがえしは予想できなかった。小説ではないが、映画「シックスセンス」のラストシーン以来の驚きか。
他のダン・ブラウンの作品は、次の長距離移動の機会まで我慢しようと思う。
・「スピード感満点!」
ダン・ブラウンの作品は、「ダ・ヴィンチ・コード」、「天使と悪魔」とも読みましたが、スケールの大きさとスピード感という観点からみると、この作品が最も面白いと思います。
・「有り得そうなお話」
ダン・ブラウンの本は「ダヴィンチ〜」「天使と悪魔」と読みましたが、これも夜更かしして猛スピードで読み終えてしまった作品です。 これらの作品でも私の思っていた犯人は違っていて、どんでん返しをくらいましたが、この作品もどんでん返しをくらいました! 「ダヴィンチ」「天使と悪魔」はキリスト教とか世界史的な内容が描かれていましたが、今回はNASAが、陰謀が登場です!(ラングドンシリーズではないです。)主人公はヒロインです。NASA、というか宇宙とか好きな私。興味深深で読みましたし、なぁんかNASA、というかアメリカだからこそ・・・これ本当の話なんじゃないかと思える程の臨場感を味わえました。 これも是非、映画化して頂きたいですわ〜。切望してます。出来れば、多少長くなっても良いからはしょらないで欲しい。。。
・「読むスピードが止まらない」
「ダヴィンチ・コード」といい「天使と悪魔」といい、ダン・ブラウンの作品はとにかく面白い。無駄な文章が無く頭の中で映像に変換しやすいので、息着く暇無く一気に読ませます。大統領選、NASAの大発見を軸に、疎遠な父と娘、情報機関とNASAの対立、人気TV番組を持つ海洋学者とのロマンス、上院議員と秘書の関係など、マンガのコマ割のような形でいろいろな場面が展開して飽きさせません。
国家偵察局(NPO)局員のレイチェルが主人公というのはもちろんですが、セクストンの個人秘書ガブルエールももう一人の主人公と言っても過言ではないぐらいの魅力的なキャラクターになっています。
誰が嘘をついているのか、レイチェル達がつかんだ事実を伝える時間はあるのか?手に汗握りつつ下巻へ。
・「映画化してほしいです」
作品のスタイルとしては、ラングドン・シリーズと同じく、一つ一つの章が短く、視点人物がめまぐるしく変わるという手法がとられています。これは、きわめて映画的な手法で、この『デセプション・ポイント(強引に訳すと「欺瞞の極点」)』では、魅力的な女主人公ふたりが短時間に数々の窮地をどうやって脱するか、そして大統領選の行方がどうなるかという二点への強烈な興味によって、読者は最後まで一気にラストまで導かれていくと思います。
薀蓄の内容も、大統領選の内幕で、あったり、米国航空宇宙局(NASA)や国家偵察局(NRO)の実態であったり、その分かりやすさは天下一品ですね。『天使と悪魔』と同じく、自然科学の深い内容に言及している部分もいくらかあるものの、読者は登場人物に感情移入して話の流れに身を任せているだけで、十分に理解できるばかりか、新たな知識を無理なく楽しみながら吸収できます。一晩一気に読むことになりますが、寝不足になった分しっかり楽しめます。オススメです。
・「男子必読の一冊」
『竜馬がゆく』が人間の生き様を、『峠』が武士の生き様を描いた作品であるならば、漢の生き様を描いたのが本作『燃えよ剣』。組織作りの才能と動乱の世に生まれた男としての信条を、一つの美学にまで昇華させ、そしてそれを新選組という徒花で表現してみせた土方歳三。思春期の男子が読もうものなら、人生観そのものを揺るがされかねない名作です。
「史実」がどう、とかの批判もあるでしょうが、そもそもそんな批判が出ること自体、本作に描かれた土方歳三がいかに活写されているか、それがいかに多くの読者の心を震わせたかを物語っていると言えるでしょう。幕末小説、司馬小説の入り口として自信を持って推奨いたします。
・「目に見える表現で」
司馬遼太郎氏の小説は「古めかしく難しい」と勝手に思いこんでいた。それが、この夏の旅行の際、駅で「新潮文庫の一〇〇冊」から何となく購入して電車の中で読んだ。あまりにおもしろくて、五時間の旅があっという間だった。終わりに近づくにつれ、悲しくて切なくて、このままでは電車の中で号泣してしまうと思い、続きはホテルで読んだ。
土方歳三とはこんな男だったのか・・・・・立ち会いのシーンやお雪とのひととき、新撰組の終焉の場面などはあまりに生々しく、映像で見るよりはるかに真に迫っている。すばらしい本に出会えたと感謝している。
・「長編時代小説入門に最適!」
学生時代は歴史が苦手だったので、時代小説は難解と思い込み、はたち迄全く読んだことがなかったのですが、00年前後のはたちになる頃NHKの「その時、歴史が動いた」で土方歳三を知り、その後に「御法度」の映画を見、新選組のことがもっと知りたくなり、まずは短編の「新選組血風録」を読み、本書ですっかり時代小説の虜になりました。この本でも映画でのビートたけしの土方は想像つかないですが(笑)武田真治の沖田はぴったりイメージ通りだなと思いました。この上巻では土方が夜市の祭礼で女を強姦(ころし)にゆくというくだりはえっ!?てかんじだし、前半のお雪に出会うまでの女性の扱いが、今迄時代小説を読んだことがない私にはヒドい男ぶりに衝撃でしたが(でも、これも時代小説の醍醐味)新選組の結成後はまさしくハードボイルドな世界!最初に読んだ頃は天然理心流 北辰一刀流 神道無念流といった剣道の流派で育ちの環境や学問・武芸のレベルがわかるとか、長州 土州等が日本のどこにあるか全く知らないし、人名や地名等これらのことが慣れるまで少し時間がかかりましたが、こういったことも読んでいくうちに理解していくのでとても勉強になります。
毎年夏に出る新潮文庫100冊の小冊子にも毎年登場し、男性が好きな本NO.1によく本書が選ばれているのが本当に納得!で強く 美しく 時に優しく 自分にも厳しくストイックな生き様に、私もこのような人間になりたいと思い、今までの考え方や価値観が変わっていったように感じます。(私は女だけど)この本に出会い、次の年には時代おくれになったり、1回読んだら簡単に理解でき、飽きるような旬な作品・作者を読むのではなく、読む前に人物・時代・社会背景等を自分の目で確かめ、時代を超えても歳を重ねても読むたびに新しい発見がある「登場人物の魅力」がある作品を選ぶようになりました。
・「青春とともに死んだ人」
土方の青春は、あまりに激しく彼自身をも燃えつくしてしまった。前半は、まさに青春そのものである。殺しあうことが青春とは思えないが、彼の身分ではそうするしかなかったし、時勢がそうさせたとも言える。お雪との出会いなどから、彼の青春が終わりを迎えるとともに彼は本当の人間性を取り戻していく。それでも彼は自分自身を燃やし尽くすことでしか、自身に決着をつける事が出来なかった。格好良いといえば格好良いが、余りに悲劇である。 幕末モノとしては、「竜馬がいく」と並ぶあるいはそれ以上の作品である。また、分量も適当で非常に読みやすい、さすが、司馬の作品である。
・「憧れの生き様」
幕末を扱った小説はたくさんあるが、表舞台でなく裏舞台でしかもひょっとしたらただの犯罪者でしかなかったかもしれない土方歳三の生き様に魅せられる一冊です。表に出たがる近藤勇の影で新選組を操り、規律に厳しく隊士に対して冷酷な反面、お雪に対しては子供のように無邪気でありまた愛情こまやかに感じる。
新選組副長 土方歳三、実は恥ずかしがりやで人に対して優しく、それが上手く表現できない。また、世の中の時流に乗れてない自分に気付いていながら自分の生き方を最後まで貫き通す不器用な人物と感じた。
めまぐるしく価値観が変わり自分の行く先さえ見とおせないと思える現代において、土方の生き様に共感を覚えまた憧れ、私としては珍しく何度も読み返した作品(上・下巻)でした。
・「本当の幸せとは?」
2組の男女の恋愛を追いながら、「愛する」とはどういうことか深く考えさせられるとともに、個人偏重主義がはびこる現代で、他人を思いやり、他人のために生きるということは幸せなことなのか?という鋭いメッセージに強く心を打たれる思いがした。真実の愛に立ち向かう主人公の生き方には深い感動を覚える。生きる勇気が胸の底からじわりと沸いてくる独特の読後感は、宮本ファンならずともその虜にするだろう。
・「心が痛い...」
私にとっては、読み口はやさしく、結末はキツイ小説でした。私は男ですが、一言で、幸せ、思いやり、愛、などと説明されても結末はどうしても自分と折り合いを付けることができませんでした。
お勧めの小説ではあるので皆さんに読んで頂きたいのですが、一部の男性にとっては結末を覚悟して読む必要があるかもしれません。
・「思いやりの心を持たせてくれる本」
一見いかにも現代的な成り行きの愛を描いているようで、実は思いやりの心について考えさせられる本でした。
登場人物みなが自分のことは後回し、他人のために一生懸命生きています。自分を犠牲にするのが美徳とは限りませんが、自己中心的な人間で溢れかえっている現代社会において優しさや思いやりの大切さを思い出させてくれる素晴らしい作品です。
宮本輝さんの他の作品ほど大好きな本とはいえませんが、中心となる登場人物ではない18歳の青年がガールフレンドを評した 『あいつのいいところはなんでも他人のせいにしないところ。他人のせいにしない女はなかなかいない』 という台詞が大変気に入っているため5つ星とさせていただきます。
・「恐ろしいほどの一致」
この秋、ひとりで2週間の旅行に行き、羽田空港で立ち寄った山下書店でふと手にとったこの本。内容が数年前の自分の体験に酷似していて、本当に驚いた。もちろん彼らのように、一風変わった同棲生活は経験していないが、与志とロバの経験を足すとほぼそのまま自分の経験になる。合理的でないところ、筋が通っていないところ、人に冷たく温かいところ、美しいところ汚れたところ。体験したものにしか分からない揺らぎや物事のブレも含め、人の心情が見事に描かれていた。分からない。もしかすると、同じ体験をしても、彼ら4人と同じように考えてしまうのは何十万人に1人、僕だけなのかも知れない。しかし僕は「宮本さん、あなたは同じ体験をしたのではないですか?」と心の中で何度も問うてしまうほど、彼らの心情は現実味を持っていた。
・「人を愛することの辛さ」
都会的な生活を舞台に、人を愛する事がどれほど大切で辛いことなのか教えられた一冊です。愛する人の為に物質的・精神的に自分をどれだけ犠牲にすることができるのか。物語自体の面白さもさることながら、男女の愛以上に 深いものを感じました.
・「この本に救われました。」
宮本輝さんの本はどれも好きだけど、この本が一番好きです。自分が今何かを必死に頑張っていて、でも答えがなかなか出なくて。周りからも「きっといいことあるよ」って言われるんだけど、『いつか』じゃなく、今その答えが欲しいって思うことありませんか?私は、そんなじたばたしていた時、この本を読みました。
志穂子の気持ちが痛い程分かって、涙がいっぱい出ました。志穂子のお父さんの言葉に、救われました。それからも、何かにぶつかると必ず思い出しては読む一冊です。読もうかどうか迷っている方、是非お薦めします!
・「心が洗われる作品でした。」
あまり本を読まない方にも、読書をよくする方にもオススメの作品です。
まず、ストーリーがとても綺麗で面白い。ある意味ではおとぎ話のような話なのに、それでいて奇妙な現実感があって無理がない。だから読んでいても飽きないし、わかりやすい文章ですんなりと作品の世界に入っていけます。また、読んだ後とても爽やかで新鮮な気持ちになれます。
主人公の志穂子の清純さと、それに運命的に導かれていく他の登場人物たちの姿は青春そのものであり、宮本氏の作品『青が散る』で描かれていた若い青春とはまた違った、「やや大人な」青春を味わうことができます。
・「引き込まれます。」
人との出会いの不思議さ、今の自分から1歩を踏み出す勇気とそこから始まる新しい世界。 けっして身近に起こりうる場面設定でないのに関わらず、読み進めているうちに間違いなく引き込まれてしまう。 氏の独特の会話のタッチで、読んでる方の気持ちを、右にも左にも揺さぶらされます。読むたびに新しい気持ちにさせてくれる。。そんな1冊です。
・「恋したら読むといいかも(^^)」
まだ若くて一途な恋愛をしていた頃がわっとよみがえる、思い出の作品。初めて読んだ20歳の頃は大学行く時もこの本を持ち歩いていました。ほんの小さなきっかけで人生が変わってしまう時が本当にある。あるんです。片思いでもいい。いま恋をしている若い方に読んでほしいです。恋する気持ちってすごいんですよ。ちなみに私は新婚旅行で本当にロカ岬へ行ってきましたョ。もう随分前になりますが(笑)
・「若い男女の心情を描く新しい?宮本作風の傑作」
まだ上巻しか読んでませんが、面白いの一言です。
宮本輝にしては、若い男女の両面から攻める構成ですが、その感性が新鮮で、「山本文緒」の作品を彷彿させるような読みやすい作品です。
表題と表紙のデザインも良い!筆者も岬へ行ったのでしょうか?はやく続きが読みたいです!
・「文章力とディテール」
ストーリーの構成事態は、非常に面白いとはいえ唸るほどではない。けれども宮本輝にしかできないような人物の心の機微の描き方や、その職人芸ともいえる文章力はさすが。宮本輝の本が他の唯川恵や林真理子らの本と同じ価格で売られていると思うと不思議な気がする。
・「祖父が日記に残した、隠された真実とは?」
“自分はなんて面白みのない女なんだろう”。父に勧められるまま結婚をしたものの、離婚をきっかけに改めて自分には何もないと感じる佐和子…。そんな佐和子に今度は起業を勧める父。しかし、このことがきっかけで、佐和子は祖父が自分に残した日記の存在を思い出す。
戦前、単身でフランスに渡り、ヨーロッパの品々の日本での販売権を獲得した祖父。なぜ祖父は、ヨーロッパでの日々を綴った日記を、事業を継いだ父でもなく、兄弟の中でも目立たない自分に残したのか?祖父は自分に何を伝えたかったのだろうか?
祖父の日記を契機に、若かりし頃の祖父の生きざま、祖父の生きた時代、日記に隠された謎を追い求める佐和子の旅がはじまる。
祖父が佐和子に託したものとは何か?少しずつ真相に近づく展開はもちろん、“答え”を見つけるために、奔走する佐和子の成長も必見。
・「紐解かれる歴史」
宮本輝さんらしい淡々とした物語の流れのなかに、まるでジグソーパズルのように日記として祖父が歩んできた歴史のかけらが現れてくる。そのパズルを組み合わせるという推理的な楽しみと1920年代の世界の歴史的背景を臨場感を持って体感できる楽しみの相乗効果であっという間に読んでしまった。まさに、名作。
・「考えることを学んだ本」
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・「不思議な世界です。」
友人の紹介でこの本を読んだのですが、だんだんと この本にひかれていく、自分がわかりました。 不思議な世界です。
・「人間の可能性、力」
これは、宿命とか運命とかに、流されずに、大波が来たからこそ、乗り越えて行けるのだという人間の持っている力を、信じた人の話です。
小説だからあり得るんだろうと、言う友人もいましたが私は実際に、こういう生き方をしている人を数名知っています。小説であっても、決して夢物語ではなく、表面的に
良いことを書いてあるだけでもなく、宮本輝さんのどの作品にも通ずる、生身の人間の世界の、太さ、強さ、熱の様なものが全体を通して感じられる作品です。
人生だから、色々あるし、人間だから弱い部分も当然ある。でも、その色々に流されて、宿命や運命のせいにして生きるか、それに負けずに、その色々を燃料にして、自分を前進させるか?
本当の幸・不幸の分かれ目って、そこな気がします。
宮本輝さんは、以前から大好きで、この素晴らしい作品を読むのが遅すぎたぐらいですが、とにかく出会えて、読めて、感動出来てよかった。
たんなる「良いお話し」などではなく、力のある、作品です。大人と呼ばれる年代の方に、強力にお薦めします。
・「読むたびに違う、宮本輝の入門編にして最高傑作」
この小説の主人公有馬靖明は37歳。偶然、訪れた蔵王のゴンドラリフトの中で、10年前に別れた妻勝沼亜紀と再会するところから物語は始まる。2人の手紙のやりとりだけで綴られるこの物語は、最初は、お互いに離婚当時の事情を語るところから始まり、時には、相手を責め、時には詫び、悔いるということ繰り返す。
しかし、結局、今の自分の姿は過去の自分の行いの結果であり、今の自分の行動の積み重ねからしか、将来の自分の変化はあり得ないということに気がついていく。過去を受け入れ昇華させる中で、今まで否定していた自分を受け入れ、お互い、それぞれの道を前向きに生きるようになる。
結婚前の20代半ばで一度読み、感動して人にも薦めた。主人公の年齢を過ぎた40代で再読し、死と再生という深淵なテーマをどこまで理解できたのかと考えている。宮本輝ファンの私にとっての入門書であり、何度も読み返す座右の書でもある。
まだ、宮本輝を知らない人に、一度は読んでほしい本。
・「ただのお涙頂戴の恋愛ものではない」
この本の、特に生命にまつわるくだりが印象的です。生きることと死ぬこと。時々刻々と変化する生命というもの。どうしようもなく自分の生命が見せた善と悪の表情。そしてまとわりつく自分の「業」。自分はこれからも同じことを繰り返すのだろうか。ずっとこうやって生きていくのだろうか。そして、なぜ自分はこんな業を持って生まれてきてしまったのか…。
「何で自分はこんな嫌な目に会うんだろう。何も悪いことをしていないじゃないか」そう思ったことはありませんか?
答えは本の中にありました。生命のからくり、宇宙のからくりが、言葉に表せないほど真に私の心に迫ってきて、寝る前に読み始め、最初は読みきる気さえなかったのに徹夜して読んでしまいました。命とか宇宙とか生死とか、得体の知れないものばかり溢れた本を読み進むうちに、宇宙に触れたような不思議な感覚になりました。
・「命のからくり」
別れた夫婦が、手紙で話をすすめる物語。お互いの溝が少しずつ埋まっていくのが、手紙の内容で分かる。それはとても美しく、重く、切ないもの。世の中には色んな人がいる。犯罪をおかす人、自殺する人、夢を見て生きる人…それぞれの立場、思い、嫉妬や悩み、日々苦しみながら生きている。それでも人は前に向って進むしかない。今、自分が出来ることを探して。そのことをこの作品はひしひしと伝えてくれる。登場人物の妻が本当に健気で泣けます!この作品に出会えたことで、自分の悩みとかに、前向きに向き合えるような気がしました。色んなことで悩んでつらい方に読んで欲しいですね。きっと、読んでよかったと思うはずです。
・「誰かを「愛する」とは」
この世で一番好きな小説です。本当に誰かを心から愛するとはどういう事を静かに、じんわりと教えてくれるそんな話です。小説全体に流れる、優しく穏やかでありながら力強い空気にいつも勇気付けられる思いがします。
・「旅人」
この本ほど影響を受けた本はありません。初めて読んだとき、主人公4人の旅に魅了されました。この本のような旅をしたい、と思い、麻沙子のようにドイツ語を勉強し、実際ドイツまで行きました。まだ、ドイツより東のドナウ川を見たことはありませんが、生きているうちに必ず黒海まで行きたいです。この本が書かれた当時とは東欧の様子も変わってしまっているでしょうけれど。もし、今回行けなかったら、次の人生で。そして、何度も読み返すうちに、主人公、それぞれの弱さ、嫌なところが見えてきて、それにもかかわらず、弱さを併せ持つ人たちの魅力にひきつけられます。旅を通して出会う人々から影響され、また影響しながら4人は成長し、いろいろなことを考えて行きます。旅行の背景も、人間成長と人生の不思議な一片を垣間見る本としても大変すばらしい1冊です。
・「何度も旅したい。」
これで何度目の旅になるでしょう。 また麻沙子たちとドナウの流れを見つめています。 東欧という文化の交差路で人々の感情も幾重にも重なりあいます。 時には激しく、また時にはひどくやさしく相手と自分とを見つめる旅を一緒にしてみてください。
・「これが一番すき!」
宮本輝さんの作品はいくつか読んでましたが、この本を読んで宮本輝さんの本がもっともっと好きになりました。上下巻あったけど、おもしろかったので一気に読んでしまいました。登場人物も良かったし、何より風景の描写がとっても素敵で、自分がドナウを旅してみたくなってしまう本だと思います。
・「最高!」
この本は旅の途中に読むのに最適な本だと思います。私は国内線の飛行機で読みましたが、今からどこか知らない地へ行くような錯覚にとらわれました。強く知的で美しい主人公が特に心に残りました。
・「宮本輝の最高傑作」
初めて宮本輝とであった作品であり、これを読んでから彼の著作をたくさん読みました。どれもすばらしい作品ですが,ドナウの旅人が今でも一番です。
最初に呼んだときはドイツ統一前後で、まだ東ドイツから先は共産主義国の時代だったと思います(たぶん)。当時読んだときと、最近読んだときではその影響か東の国々で麻沙子やシギィがであう人々への私の心象が変わって感じられましたが,それでも河口に向かう途中に読者に感じさせる興奮は変わらないものでした。10年後、また読み直してみたい作品です。
・「ミステリーの域を超えている」
この本を読むまでは、自己破産する人などただのだらしのない人だと思っていました。「普通の人」がそういった状況に陥ってしまうカード社会の危険性を弁護士が語る下りがとても考えさせられました。こういった、ともすれば重くなりがちなテーマを折り込みながらも、これだけの長篇を読者に一気に読ませてしまう宮部氏はさすがだと思います。私はいつもながら丁寧な人物描写に引き付けられます。
主人公の中年刑事がただの人探し程度の気持ちで始めたことが思わぬ方向へ展開していく中で、事件の真相が見えてくるにつれて哀しくなるのはなぜでしょう。追われてる女性はただ普通に暮らしたかっただけなのに。親の借金を子供が払う必要はない、などのちょっとした知識があったら、こんなことにはならなかったのかな。普通に暮らすためにはこういう方法しかなかったのかな、とすごく切なくなります。そんなとき、刑事とその息子とのやりとりなどがとても救いになりました。ただのミステリーの域を超えたものを感じさせるのは、全体に暖かいものが流れてるからでしょうか。
・「何度読んでも面白い。傑作!!」
彼女の作品を全部読んだわけではないがこの作品が一番好きである。600ページ近い長篇だが冗長なところは全くない。物語の途中で弁護士が長々と語るクレジット社会の矛盾もこの物語には必要である。あらゆる出来事が伏線となり何気ない会話が解決?への糸口となっている。
著者は主人公の二人の女性に何も語らせていないのだが、語る以上に彼女達の人間像、悲惨さ、哀しさが描き出されている。実際に物語に登場しない主人公を、間接的な方法、彼女達のとった行動と証言者の言葉だけで描き切る著者の力量は非常に優れている。
著者の作品に登場する人物は“いい人”が多い。犯人に対してもどこか“救い”をもたせている。この作品においてもそうである。それが不満な読者もいるであろうが、そうしなければこの作品は悲惨な女性達の姿を描いただけの恐ろしさだけが残ったに違いない。そうなればもう“宮部作品”とは言えないと思う。いずれ、主人公の彼女達の視点から描かれた作品を読んでみたい(勿論ラストシーンはこの作品と同じである)のだが、これも直接的に凄惨過ぎて“宮部作品”と言えないかも知れない。
ローン地獄や自己破産という現代社会では誰にでも可能性のある現実的で恐ろしい題材を扱いながらも、それではなくミステリー作品、そしてただの小説としても一級品である。ラストシーンも完璧である。文句なし☆5つ。
・「最高の一冊」
宮部みゆきさんの大ファンです。その中でもこの作品はNo.1ではないでしょうか?特に内容については記述しませんが登場人物が実にリアルに描かれています。そして何と言ってもあのエンディング・・・。読後感がしばらくぬけません。
・「再読する価値あり!」
私も何度も繰り返し読みました。クレジットカードの不透明性が割と身近に感じられて、飽きることがありません。 それから次から次へと謎が出てきては、それを解明するための小さな糸口が現れる。これほど巧みな謎解きはお目にかかったことがありません。
・「手に取ったらノンストップです。」
上梓は平成4年。14年、一昔前の本であり、宮部氏の本も読んだことがなかったのですが、先日のNHKドキュメンタリー「プロフェッショナル」で弁護士・宇都宮健児氏を取り上げた回で本書が紹介されて興味をもった次第。
宇都宮氏はサラ金・闇金の被害者救済に奔走する弁護士ですが、「火車」に出てくる弁護士はまさに宇都宮弁護士その人をモデルにしているそう。多重債務者を「自己責任」の一言で切り捨てる風潮を理路整然と批判する「火車」弁護士と宇都宮さんのイメージは確かにピッタリ重なりました。
多重債務者を物語の中心に据えながらいわゆる「取立て屋」そのものはストーリーラインには登場してこない。債務者の逃げ様を通してその回収ぶりの陰湿な凄まじさを読者に感じさせる氏の筆致は圧巻。生死不明の父親が残した債務の相続放棄すら出来ず、父親(らしき者)の死亡記事を求めて新聞縮刷版を繰る主人公。戦慄しました。
ページをめくる毎に主人公が味わった逃避行の恐怖が読者に伝播してくるかのような傑作。見事、としか言いようがありません。
・「宮部みゆきワールドへの登竜門」
宮部みゆきさんの作品に興味をもったならまずこの本を最初に読むといい。ページ数は多いけど、テンポの良いストーリ展開にあっという間に宮部ワールドに引き込まれます。結末が予想できないところも読み手の心をぐっとつかみます。読み始めると続きがきになってしょうがないので、寝不足にはご注意を。
・「とにかく読んでみて!」
友達に勧められて読んだ一冊です。とにかく、ストーリーがすごい。最後の最後までハラハラドキドキしました。さすが、宮部さんといったところでしょうか。彼女は、やはりこうゆうお話を書かせるとうまいですね・・・。宮部マジックにみごとはまってしまいました。彼女の作品の中では一番好きかもしれません
・「一気に読ませる作品」
冒頭、「一体なんの話!?」と思わせられる始まり方。前半では謎が次々と増えて行きます。それが後半一気に解けるときの快感はなんとも言えません!読後もう一度読みたくなる作品です。二度目以降は「ここはこういうことだったのか~。」と納得しながら読める、何度でも楽しめる作品だと思います。
・「面白いッ!!」
とても面白いデス!私はまだ中学生で、推理小説を読むのが初めてだったんですけどこんなにも本に没頭して読めたのは初めてデス。特に最後の種明かしの所では、(へぇ、こうだったんだぁ)とこのまま終わるのかな~と読んでいたら、大曇天返しが待ち受けていました!「レベル7までいったら戻れない」本当にそうですね!
参考になっていなくてすいません!とにかく面白いです!!
・「探求」
目が覚めたら知らないマンションの一室に居た男女、お互いが誰かも分らず、自分が何故そこにいるのかも分らない、記憶喪失。でも腕にくっきりと浮かぶレベル7という文字。
そして時を同じくして消えた女の子。手掛かりとなるのは日記帳の文章。『レベル7までいったら戻れない』
違う場所で同じ時間それぞれが一方では自分自身を知る為に、一方では失踪した女の子を探す為に動き回ります。
レベル7って何なのか?物?場所?それとも形の無い物なのか。そして何故2人の男女は記憶が無いんだろう、誰かが記憶を消したのか?何の為に?そんな事は可能なのか?2人は誰なんだ?レベル7まで行ったって事なんだろうか?
そして行方知れずの女の子は何処に行ったんだろうか?レベル7まで行くってどういう意味?戻ってこれない?
とにかく謎だらけで、少しずつ解明されていく事実、そして時々感じる登場人物の行動の違和感。
とても読み応えのある本でした。何度も立ち止まり、出て来た事実・状況を整理し、自分なりに推測しながら読みました。ただ、2つの異なった場所での追跡が描かれているので、場面が切り替わった時に少し前後の状況が把握し辛い事もありました。しかし後半別の場所で追跡してた2組が同じ場所に立ち寄ったり、密接に関わってくると、ドキリとしてなんとも言えない緊張感が味わえました。ストーリー自体かなり面白く、とてもお勧めです。
・「犯罪被害者の苦悩を描き切った渾身の導入部」
私は普段小説を殆ど読みませんが、宮部さんの小説は比較的よく読みます。とは言え、宮部さんの小説の中で私が読んでいるのは時代物や超能力者物が多く、サスペンスは全く読んでいません。もともと推理小説の類が嫌いなこともあり、いくら宮部さんの著書でも、連続殺人が絡んだ陰惨な話を読むつもりは、当初は全くありませんでした。しかし、ページ数がやたら多い割には評判が良く、単行本の発売当初から、友人達に盛んに勧められたこともあり、とりあえず読んでみようとは思っていました。しかしとにかくページ数が多い上、単行本なので持ち歩きにくい。単行本を購入することを躊躇する内に5年ほど過ぎてしまったので、今回の文庫化は非常に有難いことでした。とは言え、推理小説が嫌いなこともあり期待はしていませんでしたが、本書の内容には正直驚きました。当初の私の予想とは違い、本書は決して推理小説ではありません。事件に関わるあらゆる立場の人々の内面を描き切った、社会派サスペンスだと言えます。第1巻では、被害者とその周囲の人々、ルポライター、警察官など、事件に巻き込まれる人々の心が見事に描かれています。しかし本書で一番丁寧に描かれているのは、犯罪被害者の心でしょう。大切な人が殺されたことで、終わりのない悪夢や孤独に襲われる。本来なら責任など何もないのに、自分のせいで大切な人が死んだように思い詰め、自分で自分を苦しめ続ける。家族を皆殺しにされた高校生や、孫娘を殺された老人の、決して癒える事のない傷を背負い込んだ内面が、抑えた筆致で見事に描かれています。凶悪な殺人者の動機にばかり焦点が向きがちなサスペンスが多い中で、犯罪被害者の苦悩を描いた本書は心に強く残ります。本書は第5巻まである超長編ですが、被害者の苦悩を導入部で読者に強く印象付けた第1巻は、本当に素晴らしい1冊だと思います。
・「読書の喜びを感じた作品。」
※このレビューはあくまで「読まれる前の方」へのレビューです。
遅ればせながら読ませて頂きました。この「模倣犯」は宮部作品がどうのというより私にとっては「読書」への喜びを感じた作品です。
始め五巻もあるとはつゆ知らず「そういえば模倣犯ってあったな」っと気楽に手に取ってみたのですが、気が付いたら本当にハマルってやつですね!五巻もありしかも分厚いのに一巻の中盤を過ぎればまさに一気!そして二巻を読み終わる頃「まだまだ三冊あるから良かった!」と思い、三巻を読み終わる頃「もうあと二冊しかない!」って思い、どんどんとハマっていきます。
読破後、取り憑かれたように宮部作品をいろいろ読みましたが、宮部作品の中では私的に、いまだ一位に君臨しています。ほんとこんなおもしろい小説があるなんて思ってもみませんでした(おかげで今は活字中毒)
ただ・・「恐い」のと何とも言えない「惨さ」がかなり堪えますが・・。でも続きがもっともっと読みたいとさえ感じる作品です。まだ読まれていない方がほんと羨ましい!
・「圧巻!」
一言、圧巻です。
決してボリュームの話ではありません。それどころか、平易な文章、“今”の言葉で丹念に書かれた物語を追っていると、長さなど全く感じなくなります。私は、第一巻を半分ほど読んだところで『あぁ、こんな面白い小説があと四巻余りしか楽しめないのか…』と残念に思ったほどです。
連続誘拐殺人事件という陰惨な出来事に巻き込まれてしまった人たち、自らかかわろうとするジャーナリスト、そして加害者。性別も年代も立場も異なるさまざまな登場人物の心の中を、時に視点を変え、時に時計を戻し、宮部みゆきの文章は丁寧に綴ってゆきます。
非行に走って両親の気持ちを独り占めしてしまった妹に反感を持つ姉が当の妹の被害の証拠を見た時の悲劇も、被害者の遺族の弱みにつけ込む有象無象の動きも、職場ではこわもての刑事が家庭では女子大生の娘にいいようにあしらわれるほほえましい描写も、それぞれ決して主役とは呼べない登場人物の記述の一つ一つがとてもリアルで、それ故に小説全体のストーリーに引き込まれてしまいます。
そして『模倣犯』というタイトルの意味が明らかになるクライマックスの迫力。この部分は二度も三度も読み返しましたが、いつも鼓動が速まる気がします。
是非、ご一読をお勧めします。
最後に蛇足ですが、文庫カバー全巻の裏表紙に書かれているあらすじと、どうしても目が行ってしまう帯のコメントは決して読まないようにして、本屋さんでブックカバーをつけてもらってください。
・「常に次の展開が気になる」
文庫本五冊という分量ながら、読み始めると常に次の展開が気になって、一気に最後まで読んでしまう。中だるみの部分はない。読んでいる最中、「模倣犯」と言うタイトルが頭の中から完全に飛んでいたが、最後になってその意味するところがわかる。このひねりを加えたタイトル自体、なかなかのものである。読後の余韻が去った後、いくつかの腑に落ちない箇所も気になってきたが、最高のエンタテインメント作品であることは間違いない。(これは全巻を通してのレビューです。)
・「読み応え度「大」の超大作」
単行本の発表から5年を経て、ようやく文庫化された宮部みゆきの代表作。全5巻の長編ながら読み応えは充分で、時間の経過を忘れるくらいのめり込める。連続誘拐殺人事件を通して、被害者の遺族と加害者、マスコミや警察など事件に係るものを部分として捕らえ、すべてを組み上げていきひとつの作品に仕上げようとする気概を感じる。なかでも登場人物の造形に力が注がれており、加害者にあっては、環境が及ぼす影響や事件に走った経緯というところまで掘り下げて描こうとしている。また、中盤で一端物語が終焉を迎えたかのように見せかけて、新たな局面へ展開させるあたりにも、技巧的なものを感じる。よどみない筆致と、厳格なる作者の意思が感じられる意欲作で、この作品の『現代ミステリの金字塔』という触れ込みもあながち誇大広告ではないように感じられる。読み終わらないと真意がわからない、タイトルの付け方もうまい。
・「最後は、ほろり」
おかしなもので、タイムトラベルなどしたこともないのに、もしそれができるとしたら、きっと歴史は変えられる、と思っていた。いつの時代の出来事にもそれを決定づけた事件や人物というのがいる。日本史の試験などで出てくる事柄だ。だから、それに影響を及ぼすようなことができれば、歴史は変わるんじゃないかと。そうすれば、たくさんの人がなくなってしまうような事件や事故を防ぐことができるんじゃないか、と思っていた。
しかし、ここに出て来るタイムトラベラー平田は「歴史の細部は変えられても、歴史そのものは変えられない。そんなことをしようとしても、それは所詮”まがいものの神”でしかない」と言う。最初はそれが理解できなかった。日本が戦争に突入しない方法、原爆が投下されない方法、または、これほど大きな犠牲をだす前に戦争をやめる方法・・・なにか手だてがあるんじゃないか、そう思いながら読み進めた。
しかし、読んでいくうちに彼の言うことがよくわかった。私たちは後世の人間として、なにが起きるか知っているから後からあれこれ批評もできるけれど、その時代に生きている人たち全ての考えでも変えない限り、歴史を変更するというのは無理なのだ。たとえば東條首相を暗殺したとしても、別の東條がでてくる、それだけのことなのだ。
歴史というのは、人間が積み上げていくものだけれど、個々の出来事に多少の変更があっても、それは歴史全体にはたいした影響のないものらしい。読んでいて、その点は納得ができた。戦前に戻り、自分の祖父や祖母を戦災から守ろうとすることはできるかもしれない。だけど、戦争そのものを防ぐことはできない。
だからこそ、今この時代に生きている、ということが大事になってくる。これからの歴史を決定づけるのは、今を生きている私たちなんだから。
私はSF小説があんまり好きではないので、おもしろいんだろうか、とあまり期待せずに読み始めたこの作品、先が気になって、これだけの厚さだというのに一気に読んだ。あまり急いで読んでしまったから、もう一度ゆっくり読みたいな、と思っている。設定がタイムトラベルした先の時代だからジャンルとしてはSFになるんだろうけれど、いやはや、そんなジャンル分けできるような小説じゃない。いろんな要素を詰め込んだエンターテイメントです。
蒲生邸で働く女中・ふきと、この戦争を生き延びたら浅草で会おうと約束する。昭和20年に蒲生低付近も大規模な空襲にあうことを知っている孝史にしてみれば、会えない確率の方が高い、切ない約束だっただろう。まがいものの神でもいい、せめて関わりを持った人たちだけでも幸せになってほしい、という彼の気持ちが痛いほど伝わってきた。
推理小説の要素もありながら、最後はほろりとさせてくれる。終戦記念日間近のこの時期だからこそ、いろんな人たちに読んでほしいと思う作品だった。
・「後からなら何とでも言える」
宮部氏の人気作品で、もうすでに色々な側面から言い尽くされていますが…私が一番感心しているのは、歴史を後から見て批判を加えるというのは卑怯な行為だ、とバッサリと言ってくれた所です。現代でも、何か事故や事件が起こるとマスコミがよってたかって「原因究明うんぬん」のバカの一つ覚えを金科玉条にして、あることないことほじくりかえしながら個人を攻撃してゆくことがあります。その行為は時には、その時を迷いながら懸命に対処しようとした人に対して安全地帯から非難するという、卑怯な性質を持つのだということに、この本の内容はつながっているのでは、というのはちょっと私の拡大解釈が過ぎるでしょうか?
・「厳しくも優しい物語」
主人公の孝史よりも、タイムトラベル能力者の平田と蒲生家長男・貴之に思い入れが強かった。二人とも、普通の人にはないものを持って生まれ、それ故に苦悩しているからだ。前半はやや冗長なきらいがあるが、後半は一気に読ませる勢いがある。昭和十一年で全てを受け入れて生きる決意をした平田。父・蒲生大将の「抜け駆け」から生まれた遺書に頼らない覚悟をする貴之。現代に戻り、彼らのその後を知った孝史と共に、涙せずにはいられなかった。ラストの一行は、宮部作品の真骨頂とも言えるだろう。厳しくも優しいまなざしで、ひたむきに生きる人々を描いた良作のSFミステリ。
・「さわやかな読後感」
受験生の主人公がこれから敗戦へと向かってゆく昭和の日本へタイムスリップしてしまうお話・・・
2・26事件は歴史的事実として知識としてありましたが、その意味、背景などぜんぜんといっていいほど知りませんでしたし、興味も持っていませんでした
でもこの本を読んで、主人公と一緒にその時代をリアルに体験し
たかのような気分です。宮部みゆきの筆力のすごいところは、その情景描写のリアルさにもあったのだ、と改めて思いました。あまりのリアルな表現に夢で空襲で逃げ回っていた自分がいました。(苦笑)読んでいる最中は私は間違いなく主人公とともに昭和初期でおろおろしていたのでしょう・・それはさておき。
決して、楽しいだけのお話ではありません。時代も時代だし、軍だの、戦争だの、出てきますが、そのような内容にもかかわらず、そしてこの長編にもかかわらず、読む手を止めさせることがありませんでした。歴史が苦手な人でも思わず引き込まれてしまうことでしょう。
シリアスな内容でしたが、最後は悲しいこともあったけど、思わず
主人公と一緒に微笑んでしまう暖かな結末です。
宮部みゆきはほとんど読んでいますが、その中でも本人自身「改心の出来」と思えるような作品ではないでしょうか。
・「SFミステリの傑作です」
平成六年、大学受験に失敗、予備校受験のために再び上京してきた尾崎孝史は、二月二十五日の夜、宿泊していたホテルで火災に遭う。危ないところを同じホテルに泊まっていた不思議な男に助け出されるが、気付くとそこは昭和十二年の二月二十六日、二・二六事件の起こった日、陸軍大将蒲生憲之の邸宅の庭だった。そこで起こる大将の殺人事件。家の外では兵隊たちがバリケードをつくり道路を封鎖、家の中では遺産を巡っての醜い争い、どちらにも不穏な空気の流れる中、果たして孝史は現代へと帰ってこれるのか?物語の全体に暗い影を落とし、重要なカギともなっている二・二六事件、学校では近・現代史をあまり詳しくは教えないので名前だけしか知らない、どんな事件だったのかよくわからないという人も多いことでしょう。かく言う私もその一人。そんなほとんど知らないような事件が物語の中で大きな意味を持っているということで、読むのをためらっていたのですが、そこは稀代のストリーテラー宮部女史、話の中で易しく詳しく上手に事件の発端とその顛末について説明してくれていますので、心配はいりません。現代から過去へのタイムトリップと殺人事件の謎への興味ばかりでなく、大学受験に失敗、劣等感に苛まれていた一人の青年の成長の物語としても十分におもしろく読み応えのある、SFミステリの傑作です。
・「正義の執行という悲痛」
念力放火能力という超能力を使える主人公を用いることで、宮部氏は「法の裁けない悪を正義の名に基づいて裁く」という耳に心地よい命題の苦痛をえぐり出した。
確かに処刑されても仕方がないような罪を犯すものがいる。次々とその手にかかる犠牲者もいる。だが、十人の殺人鬼を処刑できるなら、一人の無実なものを巻き添えにしても良いのか。
処刑者が暴走するならば、誰がそれをチェックするのか。
宮部氏の意図は答えを出すことではない。命題に正面から向き合って生を燃焼させるものを生き生きと描き、読む者を捕らえて放さない。
・「せつない・・・(T-T)」
以前矢田亜希子主演の映画を見てまぁまぁの評価だったので原作は気になりつつも避けてきました。読み終わった感想ははっきり言って最高! 中だるみもなく一気に読めます。宮部さんの作品の中でベスト3には入りますよ。なんとも切ないところとか強いけど弱い相反する気持ちが涙を誘います。「龍は眠る」同様これは超越したラブストーリーだと思います。宮部さんの頭の中と感性は無限です!さらに好きになってしまいました。
・「連休はコレ!」
10月の連休のために上下巻をセットで買いました。感想は・・・いやいや、充実した連休になりました。ご飯を食べながら、音楽を聴きながら、ずっと読みつづけました。長い長編の映画を観つづけた感じがします。場面、場面での情景が目に浮かぶのが宮部作品のすごいところですよね。ぽっかり予定がない連休をどう過ごそうかなあ、とお考えの方、オススメですよ♪
・「爽快感すら感じます」
主人公が悪人を次から次へと屠っていく姿の描写が巧く、迫力があります。さすが宮部作品です。爽快感すら感じます。ただその爽快感は凶悪化の一途をたどる現代の犯罪事情、犯罪者に分相応な処罰を下せない法律に対する不満の裏返しなのでしょう。標的を追い詰めていく主人公、主人公を追う警察関係者…二重に構成された追いかけっこが、話の展開をスリリングにしています。私としてはかなり満足度の高い作品です。
・「なかなか読みやすい。」
かなり面白かったと思います。それは何故かというと,主人公の淳子に感情移入しやすいからでしょう。凶悪犯をやっつける様子は爽快感さえ感じてしまいました。
凶悪犯(=同じ人間)を殺すのは現実はタブーですが,その犯人が犯罪を犯してのうのうと暮らしている・・・ってのはどうも腑に落ちないですね。他人事でも歯がゆいと思っている人が多いと思います。私もそうです。あの女子高生コンクリート殺人事件だって,当時の犯人達の中ではろくに償いをしてないうえ再犯罪を犯しているのもいます。こういった人たちはどうやっても法に護られていて現実ではなかなか然るべき処置にされません。歯がゆいです。実際はどうやっても裁けないという人達を本の中で裁くという内容を仮想して宮部氏は描きたかったのかもしれません。
それとよく凶悪犯罪者だからってやっつけてもいいのかという考えがありますが,そういった意見を踏まえた上で宮部さんは書かれています。これはこの前作となる「鳩笛草」に収録されている短編をよく読まれてください。是非下巻まで読まれてください。
・「純粋に物語として楽しみましょう」
慟哭:悲しみのために、声をあげて激しく泣くこと。
男はその光景を目の前にしても涙をこぼすことができなかった。だから代わりに心から大切なものがこぼれ落ちた。
故に『慟哭』。
物語は連続幼女誘拐殺害事件が起こる中、事件解決ため奮闘する捜査一課長と、徐々に新興宗教にのめり込んで行く男の二人の視点が交互に入れ替わりながら進んで行きます。この中で筆者は冒頭から読者に対しあるトリックを仕掛けてきます。二人の主人公、警察内部の亀裂、新興宗教、そして事件の犯人…。これら全てが筆者の仕掛けたトリックの下で結末へと繋がって行く過程は非常に面白かったです。
色々な読み方があって良いと思いますが、下手に謎解きに集中するのではなく純粋に物語として楽しまれることをお勧めします。(その方がラストの驚きも大きいと思いますよ。)
・「上質のノワール」
近年、ベストセラー小説の安易な映像化がやたらと多い。話題になった小説はミステリに限らず、ほとんど映画化、ドラマ化されているといっても過言ではない。ところが、この「慟哭」は売れ続けているにも関わらず全く映像化されていない。私はそれが以前より不思議でしょうがなかった。
で、読んでみてようやくその理由がわかった。やっと得心した。この小説のトリックを映像で表現するのは不可能なのだ。
お気に入りの小説が安易に映像化され、失望するという経験を最近やたらとしてきたが、「慟哭」にはそれがないとわかって安心した。
コアなミステリファンから「トリックが途中でわかった」という批判が散見されるが、この小説の魅力は何もトリックだけではないでしょう!私はこの小説は上質のノワールとして読めた。人間の暗い側面、心の闇。どうしようもない破滅に向かっていく男を見事に描いている。トリックがわかった後の再読でも十分楽しめる。
・「何とも言えない気分に…」
後に知ることになったが、貫井徳郎は優れたストーリーテラーで、本当に緻密な構成のもとに作品を展開させてくる。新興宗教や警察内部をえぐってくる作品かと思えば、(実際そうではあるが)衝撃のラストが待ち構えている。貫井の「読ませる文章」にしてやられた感が強い。「人を騙す文章」とも言えるかもしれない。また400Pのボリュームは微塵にも感じさせない。文庫版は装丁も優れており、表紙にある「冬(か晩秋か?)の曇り空に葉が落ちた木々」の写真を読後に見たら、何ともいえない気分に陥ってしまった。
・「はまってしまった…」
読み始めると止まらなかった…。もう、読まずにはいられないという中毒症状が表れてしまった…。場面が次々に具体的イメージとして頭の中に、目の前に現れた、そんな本でした。内容は当然に面白いし、文章も読みやすいし、お勧めできる本だと思います。
・「ミステリーファンは必読の書」
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・「秀作揃い!みんな共感する部分があるはず」
どれも身近な題材を選んでいるので、いつ自分に起こっても不思議でない作品が揃っている。身につまされて、日々の生活を反省してしなうような作品もあった。けれど、私が一番面白かったのは、最初の「崩れる」です。質問に答える形で話は進んでいくのですが、少しずつ少しずつ小さな不満がたまって、それをずっと我慢している。
それでもその日は朝から全てが自分に不利になっていて、何か些細なことをきっかけに、ぷつんと糸が切れる。いや~寒気がしました。貫井ファンではない人でも読んで欲しいです。
・「日常が描かれている故に怖い」
夫と息子で悩む母、公園デビュー、結婚相談所、近所からの悪臭・・・「結婚」に何らかの形で関わる人々の逸話を集めた短編集。ホラーあり、サスペンスありで、バラエティーに富んだストーリーで、現実的にあったら極めて恐ろしい話ばかりなのだが、皆、ごく普通の日常から派生しているだけにリアリティがあって恐怖感を誘う。
推理小説というジャンルでは決して無いが、実に秀逸な作品揃いだと思う。
・「秀逸なオムニバス」
短編の魅力が十分に引き出されていて、作者の才能を再認識した。このままフィルムを廻せばTVドラマ化映画になるであろうかっちりとまとまった文章には無駄がなく、大変洗練されている。日常に潜む病魔をこんなに上手いかたちで取り込んだのは、松本清張の『黒い画集』以外に見当たらない。
・「秀逸なオムニバス」
短編の魅力が十分に引き出されていて、作者の才能を再認識した。このままフィルムを廻せばTVドラマ化映画になるであろうかっちりとまとまった文章には無駄がなく、大変洗練されている。日常に潜む病魔をこんなに上手いかたちで取り込んだのは、松本清張の『黒い画集』以外に見当たらない。
・「非現実よりも・・・」
何気なく毎日生活している中で、何処かの誰かが、・・・もしかしたら自分が抱いているような「感情」。決して特別なんかじゃないけれども、「○○だったらいいのになぁ」といったマイナス感情が実際に起こってしまったら、本当に怖いですよね。
本書は結婚にまつわる話だけあって、既婚者には(?)背筋がゾッとするようなスリルが味わえると思いますよ。(そばにいる主人には見られないように書いています・・・)
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