江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫) (詳細)
江戸川 乱歩(著)
「赤いビロード」「乱歩道の始まり」「素晴らしい」「エドガーアランポー」「素晴らしき作品たち」
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫) (詳細)
夢野 久作(著)
「いやー」「珍味」「ただ圧倒。」「10年ぶりに再読しましたが,やっぱりすごい作品です.」「良い感じに気持ちがわるい(笑)」
ドグラ・マグラ (下) (角川文庫) (詳細)
夢野 久作(著)
「戸惑面喰(下)」「人間はどこへゆくのか」「奇跡」「正木博士vs若林博士vsあなたの脳」「少なくとも四つのアイデアを内包する」
戻り川心中 (講談社文庫) (詳細)
連城 三紀彦(著)
「叙情派ミステリの極み」「まさに珠玉の短編集」「あくまで主人公は花のつもりです(作者談)。」「完全にしてやられました。」「「作者」と「作品」の間には…」
金閣寺 (新潮文庫) (詳細)
三島 由紀夫(著)
「美の象徴」「理解が深まるまで読みたい作品」「日本文学の最高峰!」「三島文学の代表作」「読んでいる時は別世界にいるようです・・・。」
クラインの壷 (新潮文庫) (詳細)
岡嶋 二人(著)
「傑作」「現代社会の「怖さ」がここに」「岡嶋二人の最高傑作」「非常に面白い。」「超名作です。オススメ!」
十角館の殺人 (講談社文庫) (詳細)
綾辻 行人(著)
「こちらの新装改訂版は」「一行の重み」「すべてはここから始まった」「一度読んだことがある方もこの機会に是非。」「映画化は絶対出来ない作品です。」
殺戮にいたる病 (講談社文庫) (詳細)
我孫子 武丸(著), 笠井 潔(解説)
「二度読まねばなりません」「来るべき未来としての現在」「我孫子武丸氏が見せた神技」「評判に偽り無し」「暖色と寒色の融解点」
「「・・・・」」「だまされたと思って」「芸術」「衝撃のラスト1行」「事件自体は解決してほっとするかと思ったら、最後の一行は衝撃的でした」
閉鎖病棟 (新潮文庫) (詳細)
帚木 蓬生(著)
「読んで良かった」「こころ うごく ほん」「精神病棟の日常を優しく描いた作品」「生きることの意味」「名作」
幽霊刑事 (講談社文庫) (詳細)
有栖川 有栖(著)
「涙です。」「ミステリ&恋愛小説」「買って損はありません」「二人に訪れるもの…」「二人に訪れるもの…」
「暖かく、優しく、ちょっと寂しい「匂い」」「人間ってけっこう凄いじゃん」「ぎっしり詰まっています、面白い。」「すごい(・∀・)」「匂いを文章で表現する筆力」
13階段 (講談社文庫) (詳細)
高野 和明(著)
「罪を背負って生きること、罪を背負って死ぬこと」「やられた・・・」「「死刑」についていろいろ考えさせられた作品」「理想から乖離した現実に打ちのめされることになる」「もっと早く読めばよかった」
ハサミ男 (講談社文庫) (詳細)
殊能 将之(著)
「新人離れした卓越した手腕」「『シリアル・キラーが探偵役の謎ときミステリ』」「まっさらの状態で読みたい」「一世を風靡した俊英の第一長編」「納得しちゃあいけない。もっと怖いんだから。」
乱れからくり (創元推理文庫) (詳細)
泡坂 妻夫(著)
「日本推理小説界に輝く金字塔」「リバイバル・コレクション版」「双葉文庫版」「知的好奇心の乱れ咲き」「からくり仕掛けの連続殺人」
八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル) (詳細)
横溝 正史(著)
「横溝正史はもっと文学的に評価されるべき」「ドラマより・・・。」「ロマンあふれる冒険小説」「登場人物が好き」「美学と迷宮」
火の粉 (幻冬舎文庫) (詳細)
雫井 脩介(著)
「刻々と崩壊していく家族が克明に描かれている」「徹夜本」「何気ない日常の恐怖を描く。」「喉が渇くくらいの緊張感!」「類まれなる筆力で読ませる、サスペンス小説の傑作!」
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>あ行の著者>綾辻行人
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>あ行の著者>我孫子武丸
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>あ行の著者>その他
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>あ行の著者>井上夢人
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>た行の著者>その他
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>さ行の著者>殊能将之
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>や・ら・わ行の著者>横溝正史
新書・文庫>著者別>日本の著者>あ行>う・え・お>江戸川乱歩
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・「赤いビロード」
有名では有りますが、実際に氏の作品を読んだことのない人も意外に多いのではないでしょうか。そんな人に非常にオススメの一冊。「D坂の殺人事件」にややメリハリがないものの、収められた短編の数々はピリッとした名作ばかりで普段読書の習慣がない人にも勧められるものです。芸術的な怪奇短編集であり、妖しく、奇妙な世界は本当に心を惹きつけます。目次のタイトルを見て、たったの一編にも読む衝動を起こさないことがあるだろうか!?私も作品に接する以前は「推理小説か何かでしょ?」と思っていましたが、手に取るなり、まさにむさぼり読んでしまいました。もしかしたら、その後の読書のきっかけになってしまうような一冊かも。
・「乱歩道の始まり」
■収録作品 二銭銅貨 二癈人 D坂の殺人事件 心理試験 赤い部屋 屋根裏の散歩者 人間椅子 鏡地獄 芋虫
傑作選だけあって,乱歩らしい作品を収めた一冊です。乱歩が得意とする各ジャンルの作品をいいとこ取りしたような本なので,乱歩を読んだことがないという方は,まずこの本をご参考に。
「鏡地獄」が好きなら,次は「虫」がオススメだ,とか。「人間椅子」なら,「人でなしの恋」がいい,とか。「芋虫」がいいなら,「淫獣」も好きなんじゃ,とか。いろいろ思ってしまいます。ここから,乱歩道に入ってください。
僕のお気に入りは「鏡地獄」。
・「素晴らしい」
もう相当古いが、今読んでもとても面白い。 屋根裏の散歩者は期待ほどではなかったが、赤い部屋や鏡、人間椅子などは紛れもない傑作です。 幻想的、不気味、作品の端々に人間の怪しい心理が垣間見れる傑作ぞろい。 本当に素晴らしいです。
・「エドガーアランポー」
文学史上、日本の本格探偵小説の確立者である乱歩。探偵小説のみを書く作家と解していたのは僕だけでは無い事を願いますが、そうは問屋が卸さない事でしょう。仮に恐怖小説とでも呼ぶべき物も執筆されております。 この『江戸川乱歩傑作集』は乱歩入門には最適で、処女作である『二銭銅貨』から『二廃人』『D坂の殺人事件』『心理試験』『赤い部屋』『屋根裏の散歩者』『人間椅子』『鏡地獄』『芋虫』までの初期の短篇のうち、代表的な物を集めております。 頁を捲る毎に犯罪を冒しているような何とも形容し難い錯覚に襲われ、奇怪な興奮が増幅して行くこの感覚が堪りません。珠玉の作品の集まりである事は保証致します。
・「素晴らしき作品たち」
「心理試験」「芋虫」が特に素晴らしかった。「芋虫」は、描写のグロテスクさにワクワクさせられ、読み進めるうちに、不完全な須永中尉が可愛らしくさえ思えてくる。この短篇集は、探偵小説を含んでいるけれど、結末が分かった後でまた読み返してもちゃんと面白い。
・「いやー」
賛否両論あるようだがかなり面白かった。確かにあらゆる視点や考えからすると頭がおかしくなりそうなほど混乱をきたす。と言うわけで私は此れをおおまかに進めていって理解していったわけです。しかしここまで面白いことを考えれる作者はそうそういないと思う。まさに夢想家。まさに夢野久作である。
表現がそして面白い。これは文で表現しきれないので是非読んで欲しい
後半は少々グロイ表現もあるので、そういうのが苦手だと言う人にはお勧めしない。
・「珍味」
これは食べ物でいうならば、『珍味』なのです。巧い文章が読みたい、いい話が聞きたい、感動したい、涙を流したい、知識が欲しいなどと云う人、金を払ったんだから、それなりのものを欲しいと云う人が読むべきものではない。この作品を読んで「これはマズイ」「面白くない」など云う人がいても、何も驚きはしないし「これは絶対面白いから読め」とも勧めない。
そもそも『ドグラ・マグラ』というタイトルが良く出来ているのではないか。ここで興味を示すか、示さないかで、すでにふるいにかけられているのである。面白い本はたくさんある。その中で『ドグラ・マグラ』というタイトルの妖しい本を手に取るか取らないか。
これをミステリや推理小説として読む人がいますが、それはオススメしない。オチが読めたなどということは、何の意味もないことなのです。これに関してというより、久作の作品に対しては、筋の通ったものを求めることに意味はありません。
夢野久作はこのような文体でしか物が書けない人では決してない。当たり前だが狂人ではない。それは理解しておかなければいけない。久作にも、もっと読み易いものはいくらでもある。というより「ドグラ・マグラ」が特に読みにくい種類のものなのだから。一見まわりくどいような、どろくさいような、間抜けな文体は『ドグラ・マグラ]の世界観に合わせたものである。あの独特な倦怠感のループはこの本でしか、おそらく味わえない。
・「ただ圧倒。」
「胎児よ 胎児よ 何故踊る 母親の心がわかって 恐ろしいのか」
1ページ目をめくると、「冒頭歌」と称して上の一文が載っている。この一文を読んだだけで、この小説の神秘性に引きずり込まれるだろう。
全編を通して異様な雰囲気の中、不気味なまでに軽快な語り口。推理小説などというジャンルにはめ込む事のできない、圧倒的なスケール。夢野久作が10年間推敲に推敲を重ねて完成した作品で、怪奇小説の中でも異端児と言っていいと思う。
「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来す」とまで評されている。しかし、たとえ精神に異常をきたしたとしても、一生に一度は読んでおきたい作品であることは疑いない。
途中まで読むのがしんどくても、後半はスイスイ読める。そしてその結末には、誰もが必ず圧倒されるだろう。クセはあるが、ハマると何度でも読み返したくなる、麻薬的一作。普通の小説には飽きたという人は、是非ご一読あれ。
・「10年ぶりに再読しましたが,やっぱりすごい作品です.」
真夜中,どこかから聞こえてくる時計の鐘の音で目が覚めた「私」は、すべての記憶を失くしてしまっていた. 隣の部屋には少女(どうやら自分の許婚らしい)がわめき散らしているのだが、自分には全く身に覚えがない。 もう一度眠りについた「私」は、やがて朝になり再度目を覚ますのだが,そこに九州帝国大学医学部長を名乗る紳士がやってきて(どうやら「私」は九州帝大病院の精神科病棟の一室にいるらしい)、その紳士に連れられて失くした記憶を取り戻しに出かけるのだが...。
人により評価が真っ二つに分かれる作品です。 分厚い上下二巻組の作品であり、途中に「胎児の夢」と題する論文などが挿入されているので、読んでいて辛くなるかもしれません。 しかし、それを我慢して読み進めていくと、私と同じようにその結末にきっとあなたも圧倒されることになるでしょう。
結末のインパクトが失われてしまいかねないので、深く突っ込んで書けず申し訳ないのですが、世界に誇れる作品に仕上がっているということだけは言っておきます。
あなたがこの作品について、少しでも気になったことがあるのなら、一度手にとってみることを強くお勧めします。 そしてその時に,途中で放り出してしまいたくなるかもしれませんが、ぜひ最後まで頑張って見てください。この作品の世界観は、きっとあなたを大きく変えてしまうでしょう。
それでは御健闘をお祈りします.
・「良い感じに気持ちがわるい(笑)」
日本の三大奇書の一つらしく、「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来す」と言われている小説。
わからなかったことがわかって、それがわからなくなり、またわかるようになって、やっぱりわからない・・・・・・そんな感じ。 正直途中でかなりしんどくなる。 でも、ラストも良いと思うし、何よりこれが出版されたのが昭和10年だということがすごい。
別に幽霊とかお化けの話ではないし、「怖さ」を目的にして書かれた本ではないけど、本から出る雰囲気のせいで、自分の部屋に居づらくなった。 それには、カバーイラストから受け取ったイメージもあると思う。 本編に関係ないということで、このイラストに批判的な人もいるみたいだけど、個人的には上手いこと気持ち悪くて好き(笑)
読んで頭がおかしくなったとは思わないけど、読む人が精神に異常をきたすのではなく、逆にこの本を一字一句苦痛に感じず、完全に理解できる人 の精神は「普通」と言われている人達と違うのは確か、だと思う。失礼かな。
・「戸惑面喰(下)」
下巻は上巻で語られた「胎児の夢」・心理遺伝の実例が示され、それが古代中国にまで遡るという、時間の概念を超越した話を軸として展開し、謎解きもクライマックスを迎える。読後感はワカッタようなワカラナイような、まさに「戸惑面喰」である。「ドグラ・マグラ」は凡百の探偵小説と違い、一回読んでわかった、終わり、というような代物ではない。謎解き自体が出口のない円環・「堂廻目眩」であるため、様々の解釈をすることが可能であろうし、何度か読んでいるうちに、作者の思想を読み取られる方もいるであろう。この作品はまさに「探偵小説を超えた探偵小説」なのである。
・「人間はどこへゆくのか」
精神異常者を集め研究材料にする教授を軸に、記憶を無くした主人公が自分自身を思い出そうとする。ラストはかなり衝撃的。猿の惑星のラストシーンを思い出したがそれを超えてると思う。主人公が抜けられない暗いトンネルをいつまでも彷徨っているようで非常に恐ろしい。人間のほんとうのしくみはこういう事かもって妙に納得してしまった。
・「奇跡」
これを読む者は、一度は精神に異常をきたすと伝えられる、伝説的本。 内容もかなりいっちゃってて、みんな狂ってる狂ってる。 読み終わるまで本当にあっというまで、何が起こったのか、何が起こらなかったのか、それすらが混沌の中に沈み込んでいく。一応、読み終われば、一応の解釈は得られるが、深く読み込んでいけば、そんな解釈すら揺らぐほどのめまいを起こす。 本好きなら一度は読んでおくべし。
・「正木博士vs若林博士vsあなたの脳」
単にミステリィといったカテゴリーではくくれない『宇宙』を持った日本文学史上例をみない作品だ。1935年の完成だが10年の歳月をかけ徹底した推敲に推敲を重ねている。小栗虫太郎『黒死館殺人事件』や、中井英夫『虚無への供物』とともに、日本探偵小説三大奇書に数えられるようだが文字の持つ力がこれほどまでに怒濤のように押し寄せ、読む者の心を不安定にしてしまう作品は世界中が探してもこの一冊だけかもしれない。
あらゆる意味で先駆的だ。『脳』に根ざすストーリー展開は現代本格の人々に多大な影響を間違いなく与えている。胎内で胎児が育つ10ヶ月のうちに閲する数十億年の万有進化の大悪夢の内にあるというエルンスト・ヘッケルの反復説を下敷きにした壮大な論文『胎児の夢』や、「脳髄は物を考える処に非ず」と主張する『脳髄論』に読む者は始めから翻弄され続け、区切りの無いストーリーに休む間さえ与えられない。
出てくるキャラクターもものすごく強烈だ。頻繁に笑い続ける正木博士vs若林博士vsあなたの脳の戦いが読了まで続けられる。読んだものは一生忘れられない強烈な一冊となること間違いなしだ。
・「少なくとも四つのアイデアを内包する」
一級の幻想小説ではある。読後、いくつの幻想アイデアが重複しているのか数えてみたが、物語全体に影響を及ぼすオチのようなものが少なくとも四つある。考えれば考えるほど奥の深いアイデアである。読む人によっては、四つ以上のアイデアを発見する人もいるかもしれない。
主人公がいったい睡眠をいつとっているのか気になった。しかし、ちゃんと四時間も昼寝していることに気づいた時は、戦慄というか爆笑である。昼寝をしていない他の登場人物たちは、場合によっては、全員発狂である。
読みごたえのあるアイデアは確かにこの本にはある。興味のある人には、一読して、いくつのアイデアが発見できるか試してみて欲しい。
・「叙情派ミステリの極み」
今はなき探偵小説専門誌「幻影城」に連載された花葬シリーズを中心にまとめられた短編集。時代性の活写・情景描写の美しさと人間の情念の深さをみごとなまでに凝縮している。この作家の他の作品にありがちな極端なトリッキー性も薄く、直木賞受賞作「恋文」への道程を示す作品ともいえるだろう。
個人的には「六花の印」が一押し。思わず目頭があつくなる佳品である。
・「まさに珠玉の短編集」
短編集ですが、全くはずれがありません。まさに珠玉の言葉にふさわしい短編集です。大正時代の空気をこれだけ再現してみせる力量には感服です。
連城三紀彦の入門者にもオススメします。詳しい個々の内容については前の方が記載していますし、ネタバレになるので書きませんが、このシリーズは「夕萩心中」という本に引き継がれますので、気に入った方はそちらもぜひ。
何度繰り返し読んでも飽きのこない、すばらしい本です。
・「あくまで主人公は花のつもりです(作者談)。」
『恋文』などが最近だと有名で、もしかしたら恋愛小説の作家さんというイメージが強いかも知れません。多分ですが。でもこの作家さん、日本を代表する超一級ミステリ作家さんなのです。元々、伝説のミステリ誌『幻影城』でデビューなさってますし。で、日本ミステリ史上に輝く金字塔である、代表作がこちら。先述した事と矛盾するようですが、ミステリとか何とかを軽く超えて、文学作品として大変な高水準であると思います。ミステリのファンでも、そうでなくても、小説読みの方に是非お勧めしたい傑作。「花」にまつわる、耽美的で、詩情、叙情性溢れる名編が詰まってます。勿論、ミステリとしてハイパー。論理が背後であまねく支配しています。で、小説として面白いんですこれが。嗚呼、素晴らしき大正浪漫。
・「完全にしてやられました。」
藤の香,桔梗の宿,桐の柩,白蓮の寺,戻り川心中の5篇からなる花葬シリーズ。約60ページ/篇なので,短編というには長めですが,どの作品も独自の香りを放ち,しかもよく練り上げられた力作揃い。9割がた真相が判りかけたと思った瞬間に,全く異なった哀しく美しい人間ドラマが現れる演出は,ただただ見事と言わざるを得ません。「我が国のミステリの歴史において,最も美しくたおやかな名花である。流麗な文章,纏綿たる情緒,鮮やかなトリックが,恋愛小説と探偵小説を両立させ,読者を底深い酔いへと導く。」との解説にも,誰もが納得することでしょう。
・「「作者」と「作品」の間には…」
◆「戻り川心中」
二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、 その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。
彼が求めていたのは何だったのか?
我々は「作者」と「作品」の間に密接な 関連性を見出さないではいられません。
そんな思い込みこそが本作の犯行の不可欠な要素となっているのです。
犯人が狂おしい妄念を燃やして描き出した幻の花。 彼は自らの命を賭すことで、決して色褪せない永遠の花を手にしたのです。
・「美の象徴」
完全なる美。金閣はここでは美の象徴として描かれています。美そのものに善悪はない。しかし、圧倒的な美は、感受性の高い主人公の心を鷲掴みにしてしまうようです。格調高い文体で描かれたこの作品は、私にとって三島由紀夫を読み漁るきっかけとなりました。作者の美に対する探究心を見た思いがしました。歴史的事実である金閣炎上をモチーフにしているせいか、読みやすいように思います。
・「理解が深まるまで読みたい作品」
正直言って、難しい。 学僧が金閣を燃やすに至るまでの心理の変遷を描いた話であることは周知のとおりだが、その心理の変遷を追っていくのが大変なのだ。 三島は主人公の心理を、詳細すぎるぐらい詳細に説明してくれるので、きっと元来三島小説に合う人ならばすぐさまこの本の虜になることだろう。
しかし、そうでない人には少し慣れが必要だと思う。僕もそちらの部類である。だが、僕はこのような三島小説に他にはない魅力を見出すのだ。
それはひとつには現在このような、登場人物の心の琴線を、綿密に丁寧に描いた小説が存在しないと言うところから来ているのではないかと思われる。
曖昧なままごまかす…この本を読んでいて、同時に、そういう現在小説の動きにいささかの危機感を感じてしまった。
・「日本文学の最高峰!」
なんでこんなに精緻で美しい文章が書けるのだろうか!と驚愕を禁じ得ない。正直、読み進めるのは大変だった。難解な語句が頻出するし、仏教用語も多い。手元に国語辞典を用意しての読書だった。
軽い気持ちで読んでいるとすぐに文章についていけなくなった。集中して主体的に読み進めないと理解できなくなる。
テレビや音楽といった受動的なメディアと違い、活字は主体性が重視される媒体なのだと再認識させられた。昨今の活字離れを背景に、大衆に迎合した軽い文章、浅薄な内容の作品しか書かないで作家気取りの人達の作品とは大きな違いだ。
日本語の美しさ、奥深さ、読書の醍醐味を満喫させてくれる作品。中・高校生にも是非読んでほしい。一生の財産になるはず。おそらく一回読んだだけで理解するのは難しいだろう。2度、3度読んでほしい。一生読める本だと思う。不世出の鬼才・三島由紀夫が日本人に残した宝だと思う。
日本語を母国語として育った人間で本当に良かった。この作品は日本語で読んでこそ真髄が伝わる。
・「三島文学の代表作」
この作品は、昭和25年に実際に起こった出来事を下地に描かれた作品である。文学史に名を残す作品だけに、選びぬかれた語彙と硬質な文体で書かれる文章は、読者に読ませ、考えさせる力を持っている。主人公を明るいところに留めてくれるはずであった朋輩の死、同学の友にみる暗い悪意、それから親からかけられる期待の大きさ。そんな外的要因が積もって、「美」の象徴である「金閣」を憎むようになる主人公の倒錯した感情を、緻密なディテールを持たせた回顧という形で描きあげる。この作品を読み通し、消化するのは、難儀なことだが、読後にはそれなりの達成感と充実感を得られることだろう。
・「読んでいる時は別世界にいるようです・・・。」
この有名な小説を読んだのは、三島由紀夫の本を読み出してから割と後期のことだった。 その所為か、文章は読みやすく、登場人物の性格も他の三島作品のそれと比しては随分素直だなぁ、と思ったものだった。でも読みこなせているかどうかはまた別である。恥ずかしい事ですが・・・。
ごく始めの方に、主人公が有為子を需め、暁闇の村のはずれにさまよい出て行く箇所がある。新潮文庫で言えば、12ページの9~10行目の所と、次は最後のクライマックスで、火をつける直前の254ページ・5~6行目の描写が瓜二つなのである。自分を拒むことが自明の有為子を待つ行動。自分を拒み続けてきた金閣寺と対峙する行動。その二つをダブらせているのだとしたら、見事な伏線の張り方である。
このP.254の2行は、『金閣寺』の中でも屈指の名文である。それまでは割とゆっくりした流れで、丁寧に’説明’をしてきた文章が一気に跳躍する。たたみかけるようなスピード感。主人公の行動がそれまでとは打って変わったものであることを、そのたった2行であらわしている。おそるべし、だ。
以下私事になりますが、私が生まれ育ったのは、大谷大学のすぐそばだった。小学校の写生大会では、谷大(と呼んでいた)のキャンパスに入れてもらい、鬱蒼と茂る樹々の下でせっせと絵の具を塗りたくっていた。区民体育大会では、谷大のグラウンドで走り回った。文中に出てくる、西洋的な館・菓子店・薬局なんかも「もしかしてあそこのことかなぁ」と思い浮かべることができる。高校は金閣寺まで自転車で5分あまりのところだったりしたものだ。
市川昆監督の『炎上』は観ていないのですがもし映画化があるとすれば、有為子役は天海祐希さんがいいかなぁ(華道の先生と二役で)。溝口は?鶴川は?小市民丸出しの溝口の母は?など取り留めのないことを考えてたりもしてしまいます。
『春の雪』があまりにミスキャストなんですもの・・・。
・「傑作」
この本は、ミステリというよりは、サスペンスと呼んだほうが合うかもしれません。たしかにミステリの要素はありますが、犯人が誰かを見つけ出すという物ではありません。ですが、ジャンル分けなんてどうでもいいことなのでしょう。決して短くはない量を、苦もなく読ませてくれる作者の文章力。綿密に調べられた情報を元に、練り上げられた構想。
そして、SFという特殊な設定にもかかわらず、完璧なまでの整合性もって驚愕のラストに読者を導いてくれます。文句なしに、おすすめできる一冊です。
コンビを解消してしまったことが、本当に悔やまれます。
・「現代社会の「怖さ」がここに」
ヴァーチャルリアリティの恐怖を描いたSFモノの傑作。最初は自らが書いた作品がゲーム化されると聞き、喜び勇んでテストモニターになったのだが、そのあまりにもリアルなヴァーチャルの世界に引き込まれ、いつしか現実と虚構の境がつかなくなる。スピード感あふれるストーリーに引き込まれると同時に、ラストの展開に恐怖を感じずにはいられない。
・「岡嶋二人の最高傑作」
もう10年以上前に読んだ本だが、佐藤藍子主演(TVデビュー作ではなかったか)でドラマ化されたせいもあり、細部まで良く覚えている本である。読後感はただ一言「怖い」だった。当時ダビスタにはまり、週末金曜に帰宅してから日曜に寝るまでダビスタをし、平日は仕事をサボっては読書という生活をしていたこともあり、本当に怖かった。私にとってはホラーとも言える作品である。
・「非常に面白い。」
何冊か推理小説を読んでいると、「展開が途中で読めて面白くなかった」小説というのもたまに、あります。
この小説も、同じようにラストというか展開が途中で分かってくる方も多いのではないかと思います。でも、最高傑作というのはそれでも面白い。まず、設定がずば抜けて面白い、伏線の張り方および回収の仕方、最高です。20年近く前の作品ですが、ミステリ好きなら読むべき一冊だと思いました。
・「超名作です。オススメ!」
まだこの本を読んだこと無い人は幸せです。なぜならばこれから読む事ができるからです。表と裏の区別ができない造形物の「クラインの壺」のタイトルそのままに、主人公が仮想現実ゲームにはまってしまいます。岡嶋二人らしさよりも、解散後の井上夢人ワールドの原点が垣間見えます。
・「こちらの新装改訂版は」
まず見ての通り装丁画が変わりました。また、文字が大きくなり、読みやすくなりました。さらにオリジナルと読み比べても特にズレを感じない程度ですが、改稿しています。著者のあとがきも新しいものです。巻末に鮎川哲也の解説はそのまま残し、新たに戸川安宣(元東京創元社の総帥らしい)のマニアックな解説が追加されています。
・「一行の重み」
この新装版で初めて「十角館の殺人」に触れました。私自身はミステリ初心者ですので、トリック自体にどうこう言うつもりはありません。ただ、その見せ方が非常にうまい。たった一行の記述で視界が開ける、この展開は思わず拍手を送りたくなるほど、奇抜で、鮮やかです。最初にそのページを目にした瞬間、その瞬間にそれまでの世界が結びつき、ひっくりかえる。読み終わってしまった今は、もう二度と同じ衝撃を味わえないことが残念ですらあります。
・「すべてはここから始まった」
綾辻行人のデビュー作です。「綾辻以後」という言葉が生まれたほど、彼の登場は衝撃的でした。彼が失敗していれば、いまの本格ムーブメントがこれほど盛り上がりを見せていたかどうか、甚だ疑問であると同時に、その先駆者が綾辻行人であったということに何か宿命みたいなものを感じずにはいられません。
さて、この「十角館の殺人」ですが、数人の人間が孤島へ行き、そこでひとりまたひとりと殺されていき、最後には・・・・・・、というようにプロットはクリスティの「そして誰もいなくなった」です。読み始めてすぐに浮かんできた言葉が「青いな」でした。それは、登場人物が大学のミステリ研であるとか、ニックネームで呼び合うとか、そういうところが実生活の延長をただ著しているだけのように感じられて鼻についたのです。
が・・・・・・。
ネタバレになるといけないので深く触れませんが、私は、「青い」と思った時点で綾辻さんに負けていたのです。今もはっきりと覚えています。ラスト近くの例の一行を読んだときのあの衝撃を。頭が真っ白になり、しばらく呆然としてしまいました。大げさではなく、5分間ぐらい動けませんでした。それほどのショックでした。そして、「やられた! 騙された!」とひとりで叫んでいました。気持ちのいい敗北感でした。
すべてはここから始まったのだと、いま改めて思います。
・「一度読んだことがある方もこの機会に是非。」
旧文庫版と比較しながら読んで感じたことを箇条書きにしてみます。・字が大きくなり、とても読みやすくなりました。一部図版が新しくなっています。・細かな加筆改稿が施されています。違和感はありません。・あの一行のために、素晴らしいレイアウトになっています。・あとがき、解説が新しくなっています。読み応えありです。
久々に読んで、やっぱり私はこの作品が好きなんだなと思いました。これから読まれる方は勿論のこと、旧版既読の方も手にとって読んでみてください。
・「映画化は絶対出来ない作品です。」
正統派の探偵小説、そしてこのあと続く「館」シリーズへの序章。綾辻作品を読むにはまずこれを最初に読んでください。そして、数々の館シリーズを読んで「暗黒館の殺人」を最後に読んでください。このシリーズの伏線と展開を楽しむことができます。ただ、この作品の映画化はぜったいできません。あくまでも小説の中の世界です。その答えは作品を読めば必ず分かります。
・「二度読まねばなりません」
惨殺シーンは気分が悪くなるほど残酷、少し悪趣味かなと思った。しかし、読み易く想像を膨らませる見事な表現力はすごいです。読み始めに、エピローグで死んだ人は誰なんだろうと考えました。読み進める内にその人の像は頻繁に変わっていくと思います。
登場人物が少ないので、結末は限られるんじゃないかと考えてました。しかしラストに近づくにつれ、胃がキリキリと痛むような緊張感を味わいます。先の展開が全く読めない、躍動感を感じる怒涛の展開。そしてラストのページを読んで唖然としました。はぁ?どういう事だ、と。少し考えて、俺は騙されていたと気付きました。また読み返さねばと思わせる衝撃のラストです。
こんな騙しが用意されてるとは…。途中で気付いた人は天才です。全部読んでも混乱しています。なので、もう一度しっかり読み直さねばという気持ちにさせられます。確かに不快な描写もありますが、最後に読んで良かったと思える作品です。
・「来るべき未来としての現在」
我孫子武丸の代表作と名高い一冊。連続猟奇殺人を巡る、元刑事、犯人、母親の3者の視点で語られる。絞られた登場人物、張り巡らされた伏線。トリックを一つに抑え、一文も全体も引き締まった印象を与える良書。グロテスク描写に注意。
まず、初出が1992年であることに驚く。作中で言及される、幼女連続殺人事件が起こった時は、まだこのような話は非日常の異常事態として捉えられたはずなのだ。現在では、良くある話として捉えられてしまう。犯人視点での幼稚な思考、病的な心理、家族崩壊、見つからない手がかりと並べると、まるで2007年現在に書かれたように感じられる。
犯人の心理がよく引き合いに出されるが、母親の異常心理も相当にリアルである。探偵役(名探偵ではない)の元刑事側が、周囲の人間との関わりからやがて活力を取り戻すのと反比例するように、犯人側の家族は壊れていく。この小説のような状況が15年も前に予言されていた。そして、その状況が当たり前のように受け入れられる現在こそ、真のホラーであろう。
・「我孫子武丸氏が見せた神技」
我孫子武丸氏の現時点での最高傑作であるとともに、戦後の日本推理小説史上の一傑作である。我孫子氏がこの作品で、極めて鋭くえぐったものは、巻末の笠井潔氏が指摘する通り、確かに現代日本の病理である。
犯人の狂気は、作品中にみなぎっている。しかしこの作品のテーマはその描写、だけではない。
「原因を、自分ではない誰かに、とにかく押し付けようとする」
という現代日本そのものの狂気が、かいま見られたような気がする。
・「評判に偽り無し」
高評価の皆さんのコメントと同じく、最後で度肝を抜かれる作品です。ただ、殺人…と言うか、その後の遺体損壊の描写がかなり詳細でドギツイので、スプラッタ系やグロい話が苦手な方には絶対にオススメ出来ません。あと、何か食べながらとか、食事の前後も止めた方がいいと思います(汗)皆さんが既に語ってくださっているので、その他細かい事は省略しますが…この作品を読んだ方は、絶対に人にラストを話してはいけません(笑)実は読んだのは大分昔なんですが、また読み返してみたくなりました。
ただ、この作品を読んでから、岡村孝子さんのあの歌が凄〜く怖くなっちゃいました(^^;) もう普通の感覚じゃ聴けないなぁ…。
・「暖色と寒色の融解点」
我孫子氏畢生の一大傑作だろう。同時分の流れの中からいっても抜きん出てる一個の達成である作品だと思う。眩暈がするような猟奇と時系列の罠にはまっていけば、まずもって読者誰もが信じがたい画面に直面する事になる。まさに殺傷力99%を有す構成力。。
またミステリの概念以上に驚かされるのは、ここで描かれる家族の群像、母と息子の群像、そして社会が否応なしに対面することになる事態を先見の明により完全に見据えてしまっていたことだ。原初の意味で本質的に母系社会・日本の凋落を感じられずにはいられない。。
・「「・・・・」」
最後にズドンとくる。「えっ、なんで?」と思わせられる。でも、ここじゃいえない。なんでびっくりするかを。
「いいたい」けど「いえない」。そういうふうに一人の読者に感じさせただけで、この『噂』はいい小説といえるのではないでしょうか。
非常に読みやすい文章なので、ベッドに横になりながらすいすい読めます。よくできたエンターテイメント小説です。
あ~あ、それにしてもほんとあいつって、「・・・・」
・「だまされたと思って」
渋谷の女子高生の間で広まっている都市伝説同様の事件が起こる…という単純な構成なのですが、本当にうまくつくられています。いわゆる本格モノではなくサイコサスペンスの系統ですが、人物造形や文章も読みやすく優れていると思います。特に(大量に登場する)女子高校生の描写がおもしろく、バンドの追っかけをしている少女の心理描写などはあまりにリアルなので「え?書いているの男の人だよね?」と確認してしまったほどです。そして、帯にもあるように、「最後の一行」でどしん、と落とされます。はらはらしたい人にオススメです。
・「芸術」
読み手を引き込ませるテクニックが素晴らしいです。普段あまり小説を読まない私ですが、通学時間だけで一気に読むことができました。登場人物の人物像、やりとりの巧妙さ、作品全体のテンポ、ストーリー、どれをとっても素晴らしいのですが、そのすべてを最後の一行で打ち壊しています。最後の一行がなくても完成された素晴らしい作品になることを荻原さんは分かっていた、その上で最後の一行を加え作品を打ち壊し、読み手にモヤッとした気持ちを与えることを楽しんでいるような気がしてなりません。ある種、芸術ですね。
・「衝撃のラスト1行」
荻原さんの作品とは「神様からひと言」で出会いました。「神様から〜」はユーモアあふれる作品で、楽しみながら読ませてもらいました。
そして私が接する初めての荻原ミステリーであるこの作品の売りは、「衝撃のラスト1行に瞠目!」です。いったいどんなことかと期待しながら読み進めていきました。都市伝説と絡んだ事件の展開も、登場人物の描写も見事で、一気に読んでしまいました。そして最後に事件が解決して一件落着かと思いきや…。一瞬何事か気付かなかったのですが、ちょっと考えてみると…。「おお〜」と思わずうなってしまいました。確かに「衝撃のラスト一行」でしたね。ぜひ皆さんも体験してみてください!
・「事件自体は解決してほっとするかと思ったら、最後の一行は衝撃的でした」
新製品ミリエルを売り出すためには、企画会社がある噂を流す。その噂は、「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね。ミリエルをつけてると狙われないんだって」というものだ。やがて、その噂が現実に起こる。その事件を小暮と名島のコンビが解決する。
ホラーミステリーみたいなものかなと思います。事件自体の犯人はそんなに難しくないかなと思う。事件自体は解決してほっとするかと思ったら、最後の一行は衝撃的でしたね。すぐにどういうことか理解できずに、もう一度周辺を読み直してこういうことかと合点した。小暮と名島のコンビの苦労が報われないのではないかという感じだ。
・「読んで良かった」
精神科病棟に入院している患者を、外部からではなく、入院している内部の患者の視点から描いた名作だと思います。入院患者とそうでない者(家族や世間)との間に横たわる気持ちのすれ違いが生み出す悲しみと、ラストに至って分かる人間の暖かさに号泣しました。殺人事件があるため、ミステリー小説とも受け取れますが、同じ病院もののロビン・クックの作品に見られるようなサスペンスフルな感じではなく、静かで暖かいストーリーです。本当に読んで良かったと思える数少ない小説として、いつまでも記憶に残ると思います。
・「こころ うごく ほん」
とにかく、ぜひ一度読んでみてください。作品中、登場人物のエピソードに幾度となく涙し、終盤では嗚咽を漏らして号泣していました。何度読み直しても同じ感情の動きを味わうことのできる、色褪せない作品です。
そして映画化もされていますのでそちらもぜひご覧ください。
小説の映画化にありがちな些細な設定の違いにも違和感を感じることのない秀作です。チュウさん役の役者さんがとてもすばらしい演技をされています。
このような文章ではちゃんとしたレビューとは到底いえませんが、お勧めしたい気持ちだけでも伝わればと思い書かせていただきました。わたしはこの本に出逢えたことをほんとうに感謝しております。
ことあるごとに人にお勧めしたい大切な一冊です。
・「精神病棟の日常を優しく描いた作品」
帚木さんの本はほとんど読みましたが,この「閉鎖病棟」は特に大事にしている一冊です。
社会からも家族からも疎まれながら生きている,精神薄弱者と呼ばれる人たちを,筆者が愛情を込めて描いている作品です。精神病患者にもそれぞれ個性があり,精神を病んでしまった理由や背景がある,という周りの人が忘れてしまいがちな部分を無理なく自然に読者に伝えてくれます。患者を取り巻く家族,医療従事者,そして患者同士に起こる日々の生活や些細な事件。ともすれば暗くなりがちな世界も,著者が優しい目で見つめながら描いているので読んでいて救われます。
帚木さんの作品は,色々な意味での「弱者」を描いているものが多いのですが,どれもわざとらしく美化したりせずにありのままの姿や出来事を整った!文体で書かれています。この「閉鎖病棟」も,淡々と語りながらも読者の心を打つ,素晴らしい作品です。
・「生きることの意味」
最後の最後にめちゃくちゃ泣いてしまいました。舞台はある精神病院の入院病棟。題名の通り閉鎖病棟も出てきますが、メインは開放病棟のチュウさんという患者さんが中心に物語が進んでいきます。犯罪者には精神病者、精神薄弱者が時にいるものですがここに出てくるのもそのような、過去になんらかの事件に関わった人たちばかり。
物語は幾つかの事件から始まり、この精神科病棟に集まってきた人たちの生活が始まります。今の私とは縁のない人たちばかりで初めはなかなか入っていけなかったのですが患者さんの立場から進む話を読んでいくうちに心に病を抱えてたり、傷を持つ人たちにも何のかわりもなく私たちと同じ感情があって、生きることに一生懸命なんだと改めて教えられました。
・「名作」
ストーリー、文章力、緻密で繊細な描写、よく練られた人物像、小説の魅力を余すところなく捉えているすばらしい作品だと思います。この作品は精神病院という狭い空間を舞台としていながら、それが社会や私たちの意識に投げかける問題はとても広い。精神医療をめぐる不条理な現実、多様性を秘めた人格でありながら「精神病者」というレッテルで一くくりにされ、それ以外の存在であることを許されない患者たちの悲しさ、彼らに対する世人の偏見、そして人と人のつながりとは何なのか、人が人を想うとは何なのか、こうした事柄を深く、強く、考え、胸に刻み込まずにはいられない作品です。著者は、大げさな誇張や過度に哀れむような表現を用いず、静かな筆致で等身大の患者たちを描き出そうとしたのでしょう。それでいてその心底には限りなくやさしいヒューマニズムの精神がある。「感動」という安っぽい言葉で飾りたくないほど深く胸をうつ作品です。
・「涙です。」
有栖川さんの著書でここまで恋愛色の強い作品はないということもあって読んでみたんですが、すごくいい話でした・・・。もちろんミステリ小説としてもよくできてると思うのですが、ミステリ苦手な人にも是非薦めたい恋愛小説です。殺されて幽霊になってからも恋人を想いやる心。思い出しても胸がつまりそうです。だけど、初っ端から死んでいた主人公なんだから、ラストは当然想像がついていたけど・・・。ハッピーエンドではないと思います。でも、最善の終わり方だとは思ったかな。読み終えてから涙がちっとも止まらなかった。
・「ミステリ&恋愛小説」
今までとはまったく違う面白い作品でした。主人公は刑事の幽霊。どうして自分が殺されることになったのか捜査を始めるが、ものには触れないし、ひとに話しかけても聞こえない。誰も自分を認めてくれない。結婚を考えていた恋人さえも。ものには触れないのにどうして椅子には座れるのか、とか、バスには乗れるのか、といった小さな疑問はさておき、その捜査の過程がおもしろい。自分を殺した犯人はわかっているが、動機が全くわからない。唯一自分と話すことの出来た同僚早川くんとともに真犯人に迫っていくが。。。
これまでのように、トリックに重きを置いた内容ではなく、恋愛小説としても読める、ひと味違った有栖川氏が楽しめます。登場人物(特に主人公の恋人須磨子)の心情がよく描けていると思います。有栖川氏の作品にはやっぱり早川君のようなちょっととぼけたようなキャラクターがかかせませんね。内容として結構ありきたりかなあ、なんて思いながら、しかし有栖川ファンとしては読まずにはいられない、と思って買いました。◎でしたよ~。不覚にも最後はうるうるしてしまいました。
・「買って損はありません」
表紙に惹かれて買った本です。ですが読み始めると止まらない!最後のページまで読み耽りました。犯人は最初から明らか…でもまだ真相が!凄くどきどきしました。解決後、つまりクライマックスもいいです。思わず目が潤みました。一度目だけでなく二度目も三度目も楽しめます。
・「二人に訪れるもの…」
誰もが犯人ではないかと疑ってしまうけど動機も分からないし、辻褄が合わない…犯人が分かったときよりもその後がこの本では大切なのです!!
愛し合う二人に訪れたのは悲しみであった。しかし愛するということは、姿が見えなくても、声が聞こえなくても、生きていなくても、変わることなく、在り続けるものであると思いました。愛し合う二人の悲しく切ないラストには涙です。非現実的なのですが物語の展開に目が離せなくなってしまい、はまってしまいました。
・「二人に訪れるもの…」
誰もが犯人ではないかと疑ってしまうけど動機も分からないし、辻褄が合わない…犯人が分かったときよりもその後がこの本では大切なのです!!
愛し合う二人に訪れたのは悲しみであった。しかし愛するということは、姿が見えなくても、声が聞こえなくても、生きていなくても、変わることなく、在り続けるものであると思いました。愛し合う二人の悲しく切ないラストには涙です。非現実的なのですが物語の展開に目が離せなくなってしまい、はまってしまいました。
・「暖かく、優しく、ちょっと寂しい「匂い」」
女性ばかりを狙った猟期連続殺人事件-目を背けたくなるような酷い手口。と書くと流行のスカーペッタシリーズやレクター教授ものを思い浮かべるかもしれない。「オルファクトグラム」は、そこで起きる事件は両シリーズに劣らないくらい残酷で悲惨だが、いわゆる「猟期モノ」とは違う。この本から一貫して漂うのは暖かく、優しい、そして、少し寂しい「匂い」だ。
主人公は大好きな姉を狡猾な殺人者に殺されてしまう青年。愛する肉親を殺された彼は犯人を警察には出来ない方法で独自に追いつめていく。殺人者によってもたらされた彼の「鼻」の特殊機能-訓練された警察犬以上の嗅覚-を使って。
この本に描かれる「匂い」のイメージは美しい。身の回りの「匂い」がオレンジや赤や青の光る透明の結晶となって読む者を圧倒する。本の中ではそのイメージをCGで再現する試みが描かれているが、もしそんなソフトが本当にあったら絶対欲しい。「匂い」のイメージをここまで美しく視覚化したのは井上さんが文学史上初めてではないだろうか。
この特殊な設定に加えて、犯人を追いつめていく緊張感と危機の連続、頁を繰る間ももどかしいようなスピード感で500頁を越える長編なのにあっという間にラストにたどり着いてしまう。(アア、ナンテ、モッタイナイ!) そして迎えるエピローグは...ご自分の「目」でその「匂い」を確かめてください。
・「人間ってけっこう凄いじゃん」
週刊誌に連載されていた頃にぽつぽつと読んでいた。この作家のほかの作品をあいにく知らない。この小説がどんな風に分類されるのか、興味もないが、作家はよくぞ嗅覚や脳のことをここまで研究したものだと感心してしまう。そして、人間そのものの身体の機能のすばらしさ、また心のやさしい人間がまだまだいること・・・架空の物語なのだけれど、けっこう「人間ってまだまだ捨てたモンじゃない」と言う気にさせてくれた一冊だった。もちろん、殺人犯は別だけど・・・・。
・「ぎっしり詰まっています、面白い。」
匂いがテーマ。量には圧倒されました。が、勢いがつくと後半はすらすら読めた。よく調べられよく練られている作品。相当文献をあたっていますね。
・「すごい(・∀・)」
あらすじだけでは意味不明〜!でも読み始めると画が浮かんでくると言うか…想像力が刺激される!!ストーリーもイイ。おすすめ('∀` )
・「匂いを文章で表現する筆力」
例えばグルメ番組などで、タレントが「おいしい」を連発して、どんな味なのか番組を見てる者は全くわからない、ということがよくありますよね。味を言葉で表現するのって難しいんだなぁと思います。でもそれより匂いってもっと表現難しいと思いません?
「ある匂いを、それをかいだことない人に言葉で説明する」こんなことをやってのけるのが井上氏の筆力です。読めば読むほど自分の知らない世界を垣間見ることができたようで、う~む、とうなってしまいます。
・「罪を背負って生きること、罪を背負って死ぬこと」
死刑。死刑制度は今、その有無が問題になっています。私はこの本を読むまで、罪を背負って死ぬ「死刑」について深く考えたことはありませんでした。正直、死刑制度についてどんなことが行われているのか…わかったのですが、あまりに衝撃的でした。読んでいただくとわかるのですが、死刑を執行するという仕事に関しては、まして考えたことなどありませんでした。「だれかがやらなくてはいけない。」そんな言葉が強く印象に残っています。死刑が良いか悪いのかは、はっきりとは言い切れませんが、罪や死と向き合う登場人物達は人間味がありました。だからこそ、深く考えさせられました。
内容としては、読み始めると続きが知りたくなるようなミステリーです。私は、夜読み始めて、止められなくて読み終わるころには朝方になっていました…
・「やられた・・・」
正確には4,5点くらいかな?ただ、素直に面白かった、というのは確か。犯罪者の社会復帰や、それにまつわる保護司という社会派のテーマでありながら、しっかりとトリックなども生きていて面白かった。乱歩賞作品はいくつか読んでいたのだが、どちらかと言うとアクションというかサスペンス的な要素が強く、ミステリとしては弱い部分が目立つ作品が多かっただけに、賞に対しても見なおした。
ただ、筋は通っているのだが多少トリックに無理があるような・・・。微妙にその辺りが気になってしまった。
・「「死刑」についていろいろ考えさせられた作品」
死刑囚の冤罪を晴らすため、刑務官の南郷と前科を持つ三上が調査に乗り出す。
物語が進み、徐々に真実が明らかになる中で、登場人物のほとんどが真犯人に思えてくるほど、多くの伏線が張ってある。物語の後半から一気にストーリーが進み、真犯人は非常に意外な人物であった。作中、死刑制度の詳しい解説・死刑執行の方法が書かれており、読み手の知的好奇心を満足させてくれる。死刑執行の描写は非常に生々しく、サスペンスとしてもお勧め。罪を犯した人間を国によって殺す「死刑制度」の必要性についてや、国が発出する命令書のため現場で実際に死刑を執行せねばならない刑務官の苦悩など、普段あまり意識していなかった死刑について深く考えさせられた。
・「理想から乖離した現実に打ちのめされることになる」
たいへん面白かったです。 死刑囚が思い出した「記憶の断片」「階段の記憶」を無罪の証拠とするために、弁護士が取り次いだ篤志家の意向を受けて刑務官の南郷と仮釈放中の青年純一が調査をはじめます。 すると、その事件にはやはり、別の犯人がいる可能性がでてきて…。 死刑囚が判決を受けるにいたった事件のほか、刑務官南郷の今までの職務内容や純一の起こした事件など、たくさんの事柄が語られていてとても興味深い筋立てになっています。 そのうえ、それらが後に伏線だったことに気がつかされ、何度も驚かされます。 とても重いテーマを扱っているのに文が巧みでスラスラと先に読んでいけます。 登場人物が魅力的で、感情移入がしやすくその心理描写が丁寧に描かれているうえ、推理小説としての謎解きも申し分なく描かれています。 一気に読めて、とても読み応えのある小説。 私が今年読んだ小説のなかで一番に面白かった本です。
・「もっと早く読めばよかった」
「13階段」。この題名がなんとなく好きになれなくて今まで読まなかったのだが、もっと早く読めばよかったと思う。まず、小説として面白かった。主人公の一人である元刑務官「南郷」を通して描かれるリアルな死刑執行の場面と優秀な刑務官であるが故の彼の苦悩。物語終盤での意外な展開。そしてラストシーン。この作品を発表する前は脚本家だった著者の文章は、読みながら頭の中にすぐ映像が浮かび視覚的で分かりやすい。ページを捲る指が止まらなかった。推理小説・エンターテインメントはこうでなくちゃ、と思う。
ただ、前科者の心理状態については、主人公の一人である三上と同じく殺人(三上は傷害致死となっているが)を犯した人物を扱った吉村昭の『仮釈放』の方が優れているような気がした(この作品は推理小説ではありませんが是非読んでみて下さい)。
死刑制度の是非、冤罪事件、刑罰は何の為にあるのか…犯罪者への報復であるとする応報刑思想と、犯罪者を教育改善して社会的脅威を取り除くという目的刑思想それぞれへの疑問。そして行刑制度のあり方。この重いテーマを多くの人に考えてもらうには、専門書的あるいは純文学?的小説ではなく、より多くの人に読まれる推理小説・エンタティンメントの形式で書かれた意義は大きいのではないかと思う。ただ、著者にその意図があったかどうかはわからないのだが…。
・「新人離れした卓越した手腕」
作者のデビュー作にしてメフィスト賞受賞作。凡作の多い同受賞作にしては出色の出来。サイコ・キラーの「ハサミ男」が自分の犯行手口を真似て殺された女性の死体を偶然発見するというギャグ的発端から始まって、目くるめく結末まで精緻な構成で読ませる。
自殺未遂を繰り返す「ハサミ男」の真の姿が徐々に明らかになっていく展開、「ハサミ男」が自分の犯した犯行のうち冤罪だけは晴らそうとするナンセンス、「ハサミ男」の冤罪事件の真犯人の意外な正体、"長さん"というデカがいる明らかにTVの刑事もののパロディの捜査陣。これらが渾然一体となって、とぼけたユーモアと乾いた文体で綴られていく。この作者の手腕は新人離れした卓越したものがある。
作者はこの後も、「美濃牛」、「黒い仏」など多彩な作品を発表しており、久々に期待の作家登場という感じがする。人間の深層心理を鋭く抉ったサイコ・キラーものの傑作。
・「『シリアル・キラーが探偵役の謎ときミステリ』」
「シンプル」かつ「巧妙」。精巧に作り上げられた秀作。一回読み終えた後、もう一度最初から読み返したくなる話。
・「まっさらの状態で読みたい」
読了後にページを振り返りながら「は〜」とか「ほ〜」とか感嘆させてくれるだけで大満足。裏表紙の紹介文に「精緻にして大胆」とあるが、本当に優れた(計算された)構成が見事だった。何を書いてもネタバレになりそうで(そんなレビューが多いが)、できることなら予備知識は全く得ないまま読んだほうが読後感は堪らないものになる。一見荒っぽい文章も読み進めるうちに慣れてしまうし、考えてみれば「作者の個性」の範疇に収まるレベル。また主要人物の他、挿入されていく警察の捜査は、推理小説としての事件性を高めてくれるのだから面白い。二度三度読める傑作ではないか。
・「一世を風靡した俊英の第一長編」
美少女の首を絞め、喉に鋭利なハサミを突き立て殺害する、シリアルキラー「ハサミ男」。
・「納得しちゃあいけない。もっと怖いんだから。」
映画版は、ぜんぜん違う作品だった。ひどくどんよりしていたし、原作が「納得させまい」としているのに対し、映画は「納得できる理由」を用意してしまった。 事件の謎は解けるが、作中最大の謎は、最後まで解けない。そこが、実に不気味で、この小説の肝である。 ミステリを読み慣れている鋭い人なら、意外と簡単に、トリックが見破れるらしい。しかし、トリックが見破れたからといって喜んで、それだけでこの作品を“駄作”だと決めつけてはいけない。この小説は、もっと怖い。
「ハサミが切り裂くのはあなたの心の闇―」
というのは映画版のキャッチコピーだが、闇を切り裂いても、そこから光が射し込むわけではなく、むしろ、その裂け目から、内なる闇が染み出してくる怖さ。ハサミ男の闇と、そのハサミ男によって切り裂かれた、ある人物の心から染み出した闇とが、この小説の全篇を覆っている。それでいて、文章は妙にカラッとしていて、ユーモアがあって、軽い。それがよりいっそう、怖さを際立たせてもいる。
映画「模倣犯」が好きな人なら、この「ハサミ男」も気に入ると思う。報道に対するシニカルな見方とか、似ている。作中の言葉を借りるなら、「納得したい」人には、薦められない作品だ。「納得したい自分」をちょっと見直して、深みにはまってみることができる人なら、最高に刺激的な読み物だと思う。
・「日本推理小説界に輝く金字塔」
難解な犯人、凝りに凝ったプロット。推理小説界には珍しい達者な文章。これを読まずして日本の推理小説は語れない。丁寧な伏線が素晴らしい良作。 読んでいる途中で目から鱗が落ちるように犯人が分かった瞬間の嬉しさったらない。それは相当に犯人が難しいからに他ならない。犯人を当てても、当てられなくても大満足出来る逸品。 作者の特徴は、日本版チェスタトンとも言える逆説的着想を元に、J・D・カーを彷彿とさせる丁寧な伏線、艶のある達者な文章が特徴である。 確かに、外国の作品に比べると、どうしても日本の作家はガツンとくるパワー不足を感じてしまう。しかし氏は、それを丁寧さによって補っている処が凄い。 それは逆に寡作にも繋がるのだが、大した才能も無いくせに垂れ流すよりはずっと良い。 若干リアリティが弱いのが難だが、リアリティを言い出すのなら殺人事件を取り扱うなよ(全体の事件数に比べれば、殺人事件の確率は1/10000位だろう)と言いたいし、ノンフィクションを読むべきだろう。 これで直木賞が取れなかった理由が分からない。
・「リバイバル・コレクション版」
隕石の直撃による横死という、とんでもない奇禍から幕を開ける本作。
本作においては、その出来事が、奇怪な連続殺人の発端であると同時に、クライマックスでもあるという円環的構造になっています。
また、本作の根幹にあるのは、いわゆる《操り》で 『Yの悲劇』や『獄門島』との類似性が指摘できます。
ただ、通常、《操り》においては、超人的な知能を持つ人物が、直接あるいは間接的に 実行犯(探偵役)を支配するといった形式が採られますが、本作では実行犯の代わりに 「からくり」がその役目を担っているというのが特色。
タイトルが示すように、本作にはからくり仕掛けの玩具や屋敷など、 全編にからくりが横溢しているのですが、作中の連続殺人も、犯人が 巧妙に仕組んだ「からくり」であり、一度スイッチが押されたら、人間の 手を離れ、定められた動作が終わるまで自動的に動き続けるのです。
犯人の狂気や妄執が乗り移ったかのような「からくり」の暴走は、いかにもグロテスクですが、人が持つ救い難い業を克明に形象化していると思います。
・「双葉文庫版」
隕石の直撃による横死という、とんでもない奇禍から幕を開ける本作。
本作においては、その出来事が、奇怪な連続殺人の発端であると同時に、クライマックスでもあるという円環的構造になっています。
また、本作の根幹にあるのは、いわゆる《操り》で 『Yの悲劇』や『獄門島』との類似性が指摘できます。
ただ、通常、《操り》においては、超人的な知能を持つ人物が、直接あるいは間接的に 実行犯(探偵役)を支配するといった形式が採られますが、本作では実行犯の代わりに 「からくり」がその役目を担っているというのが特色。
タイトルが示すように、本作にはからくり仕掛けの玩具や屋敷など、 全編にからくりが横溢しているのですが、作中の連続殺人も、犯人が 巧妙に仕組んだ「からくり」であり、一度スイッチが押されたら、人間の 手を離れ、定められた動作が終わるまで自動的に動き続けるのです。
犯人の狂気や妄執が乗り移ったかのような「からくり」の暴走は、いかにもグロテスクですが、人が持つ救い難い業を克明に形象化していると思います。
・「知的好奇心の乱れ咲き」
生垣を五角形に張り巡らした迷路を庭に持ち,建物の造作も奇妙奇天烈な「ねじ屋敷」。馬割(まわり)家に秘められた謎と,次々に続発する怪事件に自称・経済の探偵こと宇内舞子と新米助手の勝敏夫が挑む!
・「からくり仕掛けの連続殺人」
隕石の直撃による横死という、とんでもない奇禍から幕を開ける本作。
本作においては、その出来事が、奇怪な連続殺人の発端であると同時に、クライマックスでもあるという円環的構造になっています。
また、本作の根幹にあるのは、いわゆる《操り》で 『Yの悲劇』や『獄門島』との類似性が指摘できます。
ただ、通常、《操り》においては、超人的な知能を持つ人物が、直接あるいは間接的に 実行犯(探偵役)を支配するといった形式が採られますが、本作では実行犯の代わりに 「からくり」がその役目を担っているというのが特色。
タイトルが示すように、本作にはからくり仕掛けの玩具や屋敷など、 全編にからくりが横溢しているのですが、作中の連続殺人も、犯人が 巧妙に仕組んだ「からくり」であり、一度スイッチが押されたら、人間の 手を離れ、定められた動作が終わるまで自動的に動き続けるのです。
犯人の狂気や妄執が乗り移ったかのような「からくり」の暴走は、いかにもグロテスクですが、人が持つ救い難い業を克明に形象化していると思います。
・「横溝正史はもっと文学的に評価されるべき」
本作の面白いところは主人公の一人称で書かれているところである。そのため金田一耕介は対話でしか現れないので以外に存在感が希薄である。しかし、モノローグで進む内容は、先の展開が読めない事件の描写もさることながら、その心理描写において、極めて私小説的技法が、因習を帯びた土着性をものの見事に描ききっているのである。単なるエンターテイメントを超越した、日本文学の伝統や和漢を踏まえた恐ろしく懐の深い素養は、この作品に普遍性を与えており、その意味においても横溝正史はもっと文学的に評価されるにたる作家であることに気づかねばならない。
・「ドラマより・・・。」
あまりにも有名で、以前ドラマ化された物を拝見していて、なんとなく物語を分かっていた気がして今まで読まなかったのですが、今回、読んでみて小説の方が数段上と気がつかされました。私と同じ理由で読まれていない方がいらしたらぜひ読んで見て欲しいと思います。物語のスケールの大きさ、設定の面白さ。主人公の心理の描写の細かさ。大正・昭和初期にかけて、まだ自分の親すら生まれていない世代の私ですが、まるでその場に居合わせたように感じれました。読書の楽しみ方わを教えてもらいました。読後の感想は{愛は恐い。}でした。
・「ロマンあふれる冒険小説」
映画やドラマで有名な「八つ墓村」の原作本です。 原作本には映画やドラマとはまた違った魅力があります。他の方々もコメントされていますが、本作は犯人探しを前面に押し出したミステリー小説とは趣が異なります。主人公辰弥が幾多の試練に遭遇しながらそれを乗り越えて行くという冒険小説の色彩が大変に強い作品です。
まず第一に陰惨な歴史と旧家の因習がおりなす独特な横溝正史ワールドの中で、主人公が必死に自分の生き場所を探そうとする姿には目を離せません。過去の落ち武者の財宝探しの点なども非常にロマンのあふれる冒険小説だと思います。
もう一つ特筆すべきは登場人物の女性の性格の描き方が非常にすばらしい点です。ヒロイン典子の主人公への一途な愛情や先を見通す確かな考え方や行動、主人公の姉である春代のつつましやかながらもしっかりした態度には感動しました。本作は恋愛小説としても第一級の作品だと思います。 映画やドラマを見たけれども本作を読まれていない方にはぜひ一読をおすすめします。
・「登場人物が好き」
横溝作品は本作の他に「獄門島」、「本陣」を読んだのみですが、本作が一番おもしろいと思いました。
封建的色合いの強く残る山村、村に伝わる忌まわしい過去、そこで繰り広げられる凄惨な殺人事件、といった設定はおなじみですが、重苦しい前半部分から、次第に冒険活劇的な展開になっていき、最後はなにはともあれめでたし、めでたしで終わり、ほっとできる内容です。
登場人物たちは運命に翻弄されながらも、感情豊かに、より能動的に行動しており読んでいて気持ちのいいものでした。特に、主人公の第一印象が「醜い女」であった典子が、驚くような大変貌を果たし、主人公をしのぐ活躍をするという展開は、個人的に大変好きです。
それに何と言っても、村の地下に広がる大鍾乳洞を舞台にした大追跡、大逃亡は最後までどきどきはらはらさせられ、少しも飽きません。 金田一はあまり活躍せず、存在に違和感がありましたが、謎解き役としてやはり欠かせない人物であったろうと思います。 読んで損はない作品ではないでしょうか。
・「美学と迷宮」
横溝の代表作だと考えている。 横溝の資質は 谷崎などの耽美派系純文学だと考えているが 純文学だけでは収まらない骨太な部分が 彼を流行作家に仕立てたと思う。なかなか多作だったが いくつかのマスターピースがあり 本作は その筆頭ではないか。
まず 設定が凝っている。平家の落人伝説を発端とし 昭和初期の津山事件を更に取り入れた構造は 実に重層的であり 読み応えがある。 次に 話が既に迷宮構造をしているのに加えて 鍾乳洞という現実の迷宮を舞台とした事で更に重厚な味わいを醸し出した。
これは紛れも無く 横溝という稀代の語り部ならではの技である。
後半の鍾乳洞での冒険譚も 見せ場に満ちており 最後に埋蔵金が見つかる点など 実に纏まりも良い。
この作品であれば 十分世界に通用すると思う。話の展開と それを彩る横溝の耽美的な美学が 均衡した傑作だからだ。
・「刻々と崩壊していく家族が克明に描かれている」
「犯人に告ぐ」ど俄然注目株となった雫井修介さんですが、本作「火の粉」は私的には「犯人に告ぐ」よりも完成度は高いと思います。 自分が無罪判決を下した元裁判官梶間の隣家に越してくる男、武内。彼が越してきて少しづつ身の回りに異変がおき始める展開の描きこみが凄く自然で巧い。展開が凄く自然なので、リアリティに富んでおり、読む進めば進むほど本当に恐ろしくなる展開に目が話せません。 文庫版で600ページ近くありますが、雫井さんの筆力は高くとてもわかりやすくさくさく読めるので、あっという間に読める一冊です。 ただ家族劇なので、視点を一人に絞らずそのつど家族の一人の目線で物語が進むので、元裁判官が主人公ではないのでそこのところはチェックしておいてください。 この文庫のあとがきにも書かれていますが、雫井さんは女性心理の描きこみが巧い。この物語では尋恵、雪見の二人の心情が特に巧く描きこまれています。これを読んで共感できる女性は多いのではないでしょうか。
・「徹夜本」
2004 このミス 56位。
裁判官・梶間は一家惨殺事件で起訴された武内に無罪を言い渡す。数年後、大学教授となった梶間の前に姿を現した武内は、隣家に引っ越して来る。果たして偶然か? 母親の介護を手伝うなど親切な武内は、徐々に家庭に入り込むが、それにつれ、家庭の崩壊が始まる。そこに惨殺事件の被害者の家族が現れて・・・。梶間一家は、「火の粉」を振り払うことができるのか。 読み始めは、「十三階段」の裁判官版を思わせるが、徐々に「黒い家」や「ミザリー」に似た、「次に何が起こるのか」という恐怖に支配され、ページを捲る手か止まらなくなる。ミステリーの中でもホラー色の強い作品である本作は、評判を呼んだ前作「虚貌」を遙かにしのぐできばえで、徹夜本となった。
・「何気ない日常の恐怖を描く。」
男は、かつて、「ある男」を裁判によって無罪にした。男は、その時下した判決は、正しかったのだと思っていた。無罪のものに、無罪の判決を下す。それが、男のした最後の審判だった。
やがて、事件からしばらくたって、「ある男」が、自宅の隣に越してきた。人懐こい性格と大らかな笑顔で、次第に家族に溶け込んでいく、「ある男」。しかし、時間がたつに連れて「ある男」は違う顔も見せ始めるようになる。その、ごく僅かな変化に気づいたのは、男の息子の嫁だけだった。深まる「ある男:との関係と、それに伴って次々と起こる不可解な事件。『自分は、殺人鬼を解き放ってしまったのか・・・?』。男がそう思ったとき、事態は思わぬ方向へと走り始めていた・・・。
■■■■■■■■派手なアクションがあるわけではないのに、最後まで一気に読み通せる「押しの強さ」を持った作品だと思います。情景や人物の心情などの、丁寧な描写。設定の綿密さ。どれをとっても、かなりのレベルの高さです。ぜひ一読をオススメします。
・「喉が渇くくらいの緊張感!」
怖い。ものすごく怖い。そして面白い!すごいスピードで一気に読んだ。とにかく続きが気になって、ページをめくらずにはいられない。閑静な住宅街に住む元裁判官。ある日隣りに昔自分が受け持った裁判で無罪にした元被告人が引っ越してきた。再会を喜ぶ元被告人っだったが、それからというもの小さな問題は抱えてはいるが平穏だった家庭が、音もたてず、自分も気付かない内に静かに静かに崩れていく。手を打とうと思った時にはもう遅い。全てが狂った後だった。徐々に明らかになっていく隣人の素顔。気付いたときには・・・。とにかく隣人が怖い。得体の知れない恐怖がビシビシ伝わってくる。生唾飲みながら、ドキドキして読み進む。手がじっとりと汗ばんでくる。文章から目を離した時に、大きく息を吸い込む。緊張していたのがわかった。怪しい人物がたくさん出てくる。一体誰が嘘をついているのか。隣人の本当の素顔は?一時は頭がぐちゃぐちゃになる。しかし、待ち受けていた結末は・・・やっぱり恐怖?読み終わってすぐ、「これ面白い!」そう母に薦めた。次の日から家の食卓は手抜き料理で埋めつくされた・・・。
・「類まれなる筆力で読ませる、サスペンス小説の傑作!」
最高におもしろい。息つく暇もない。ページをくるのももどかしい。物語がどのように帰結するのか、気になって知りたくてジリジリしてしまう。
元裁判官・梶間勲の隣家に越してきた男・武内。二年前、勲は殺人で起訴された武内に、無罪の判決を下していた。恨みを買ういわれは何もない。だが梶間家の周辺で、次々と不可解な事件が起こり始める。にこやかで親切で情の厚い武内。それは彼の仮面なのか?本当の彼はどんな人間なのか?勲の下した判決は間違っていたのか?それとも?真実は??
武内のキャラが秀逸。人間の複雑さ、ひずみ、脆さ、危うさ、そして普遍性をこんなに体現した人物は今まで誰も書かなかったんじゃないかと思える。うまい。怖い。
梶間家の面々の人物も、深く掘り下げて描かれる。特に義母を介護する尋恵の心のわだかまりと、武内に対する不安と疑心を理解してもらえない雪見のじれったさには、ものすごく共感してしまう。その心理描写だけでも読みごたえがある。俊郎の脳天気なお気楽さには本気で腹が立つし。
・・・のトリックが暴かれるシーンがよい。情景が映像となって目に浮かぶ。開くふすま。パシーン、パシーンと響く音。俯瞰するカメラ。勲のセリフ。解ける謎。鳥肌がたつくらいうまい。感嘆する。
ラストはアメリカ映画的で、まあちょっと作りすぎの感は否めない。けれどよくぞここまで引っぱってくれた、とも思える。
登場人物のリアルさ、たくみな物語構成、奇抜ではないのにあっと驚くトリック、迫力のラストシーン、そして考えさせれるテーマ。傑作のあらゆる要素を満たしていると思う。
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