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▼ミステリー?保存版:セレクト商品

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫) (詳細)
江戸川 乱歩(著)

「赤いビロード」「乱歩道の始まり」「不思議な魅力に、はまった」「素晴らしい」「衝撃」


ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)ドグラ・マグラ (上) (角川文庫) (詳細)
夢野 久作(著)

「いやー」「ただ圧倒。」「良い感じに気持ちがわるい(笑)」「10年ぶりに再読しましたが,やっぱりすごい作品です.」「傑作です。」


ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)ドグラ・マグラ (下) (角川文庫) (詳細)
夢野 久作(著)

「戸惑面喰(下)」「人間はどこへゆくのか」「正木博士vs若林博士vsあなたの脳」「奇跡」「少なくとも四つのアイデアを内包する」


戻り川心中 (講談社文庫)戻り川心中 (講談社文庫) (詳細)
連城 三紀彦(著)

「叙情派ミステリの極み」「あくまで主人公は花のつもりです(作者談)。」「「花」に託された人の想い」


金閣寺 (新潮文庫)金閣寺 (新潮文庫) (詳細)
三島 由紀夫(著)

「日本文学の最高峰!」「理解が深まるまで読みたい作品」「三島文学の代表作」「読んでいる時は別世界にいるようです・・・。」「読者を悩ませる大傑作!」


クラインの壷 (新潮文庫)クラインの壷 (新潮文庫) (詳細)
岡嶋 二人(著)

「岡嶋二人の最高傑作」「しょせん砂上の楼閣」「超名作です。オススメ!」「この本がきっかけで自分は昔岡嶋二人にはまりました」「非常に面白い。」


十角館の殺人 (講談社文庫)十角館の殺人 (講談社文庫) (詳細)
綾辻 行人(著)

「すべてはここから始まった」「衝撃でした」「『読む』ことでしか楽しめない面白さがここにある」「騙される悔しさと嬉しさ」「私のロストバージン」


殺戮にいたる病 (講談社文庫)殺戮にいたる病 (講談社文庫) (詳細)
我孫子 武丸(著), 笠井 潔(解説)

「暖色と寒色の融解点」「二度読まねばなりません」「来るべき未来としての現在」「我孫子武丸氏が見せた神技」「傑作です」


噂 (新潮文庫)噂 (新潮文庫) (詳細)
荻原 浩(著)

「だまされたと思って」「衝撃のラスト1行」「そういうオチか!!」「とにかく読んでみればいい・・・と、思うよ。」「何回読み返す!?」


閉鎖病棟 (新潮文庫)閉鎖病棟 (新潮文庫) (詳細)
帚木 蓬生(著)

「読んで良かった」「精神病棟の日常を優しく描いた作品」「生きることの意味」「偶然目に止まった本だったが…」「感動・感動感涙でした。」


幽霊刑事 (講談社文庫)幽霊刑事 (講談社文庫) (詳細)
有栖川 有栖(著)

「涙です。」「ミステリ&恋愛小説」「楽しいユーモアと推理の興奮、そして感動」「涙です。」「愛すべきおバカミステリ」


オルファクトグラムオルファクトグラム (詳細)
井上 夢人(著)

「暖かく、優しく、ちょっと寂しい「匂い」」「人間ってけっこう凄いじゃん」「すごい(・∀・)」


13階段 (講談社文庫)13階段 (講談社文庫) (詳細)
高野 和明(著)

「「死刑」についていろいろ考えさせられた作品」「やられた・・・」「罪を背負って生きること、罪を背負って死ぬこと」「理想から乖離した現実に打ちのめされることになる」「もっと早く読めばよかった」


ハサミ男 (講談社文庫)ハサミ男 (講談社文庫) (詳細)
殊能 将之(著)

「『シリアル・キラーが探偵役の謎ときミステリ』」「納得しちゃあいけない。もっと怖いんだから。」「新人離れした卓越した手腕」「世界は意外と狭い」「日常」


乱れからくり (創元推理文庫)乱れからくり (創元推理文庫) (詳細)
泡坂 妻夫(著)

「知的好奇心の乱れ咲き」「日本推理小説界に輝く金字塔」「からくり仕掛けの連続殺人」「ウェルメイド」「乱れからくり」


獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) (詳細)
横溝 正史(著)

「なんともいえぬ美しい殺しかた」「金田一耕助シリーズの最高傑作」「作者が語る、童謡殺人と本書執筆のきっかけ」「日本本格ミステリの代表作」「「Yの悲劇」のようにパズル小説としての究極を極めた作品」


悪魔の手毬唄 (角川文庫―金田一耕助ファイル)悪魔の手毬唄 (角川文庫―金田一耕助ファイル) (詳細)
横溝 正史(著)

「今読んでも面白い!」「犯人がわかりませんでした」「読み継がれていくことを願って」「完璧です」「純文学」


▼クチコミ情報

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)

・「赤いビロード
有名では有りますが、実際に氏の作品を読んだことのない人も意外に多いのではないでしょうか。そんな人に非常にオススメの一冊。「D坂の殺人事件」にややメリハリがないものの、収められた短編の数々はピリッとした名作ばかりで普段読書の習慣がない人にも勧められるものです。芸術的な怪奇短編集であり、妖しく、奇妙な世界は本当に心を惹きつけます。目次のタイトルを見て、たったの一編にも読む衝動を起こさないことがあるだろうか!?私も作品に接する以前は「推理小説か何かでしょ?」と思っていましたが、手に取るなり、まさにむさぼり読んでしまいました。もしかしたら、その後の読書のきっかけになってしまうような一冊かも。

・「乱歩道の始まり
■収録作品 二銭銅貨 二癈人 D坂の殺人事件 心理試験 赤い部屋 屋根裏の散歩者 人間椅子 鏡地獄 芋虫

傑作選だけあって,乱歩らしい作品を収めた一冊です。乱歩が得意とする各ジャンルの作品をいいとこ取りしたような本なので,乱歩を読んだことがないという方は,まずこの本をご参考に。

「鏡地獄」が好きなら,次は「虫」がオススメだ,とか。「人間椅子」なら,「人でなしの恋」がいい,とか。「芋虫」がいいなら,「淫獣」も好きなんじゃ,とか。いろいろ思ってしまいます。ここから,乱歩道に入ってください。

僕のお気に入りは「鏡地獄」。

・「不思議な魅力に、はまった
氏の作品は小学生向けに編集されたものをはるか昔に読んだ記憶しかなく、果たしてまだ楽しむことができるかと思いつつ読み始めた。結果は想像を遥かに超える面白さであった。しかも各作品ともちょっとした空き時間に気分転換できるほどのボリュームのため、その点でもお薦め。読み進めるうちに何とも言えない不思議な気持ち(怖いような、ワクワクするような…)になり、しばし時の経つのを忘れてしまう。因みに本の終盤部分では「面白いので翌日の楽しみにとっておこう」と思ったほど。こんな作品に出会ったのは久しぶりで、本当に嬉しかった。

・「素晴らしい
 もう相当古いが、今読んでもとても面白い。 屋根裏の散歩者は期待ほどではなかったが、赤い部屋や鏡、人間椅子などは紛れもない傑作です。 幻想的、不気味、作品の端々に人間の怪しい心理が垣間見れる傑作ぞろい。 本当に素晴らしいです。

・「衝撃
「芋虫」が一番好きです。唯グロテスクなだけの作品だと思われがちだが、真に誰かを愛する心が描かれている美しい作品だと思う。個人的に「鏡地獄」の方がグロテスクだと感じた。

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫) (詳細)

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

・「いやー
賛否両論あるようだがかなり面白かった。確かにあらゆる視点や考えからすると頭がおかしくなりそうなほど混乱をきたす。と言うわけで私は此れをおおまかに進めていって理解していったわけです。しかしここまで面白いことを考えれる作者はそうそういないと思う。まさに夢想家。まさに夢野久作である。

表現がそして面白い。これは文で表現しきれないので是非読んで欲しい

後半は少々グロイ表現もあるので、そういうのが苦手だと言う人にはお勧めしない。

・「ただ圧倒。
「胎児よ 胎児よ 何故踊る 母親の心がわかって 恐ろしいのか」

1ページ目をめくると、「冒頭歌」と称して上の一文が載っている。この一文を読んだだけで、この小説の神秘性に引きずり込まれるだろう。

全編を通して異様な雰囲気の中、不気味なまでに軽快な語り口。推理小説などというジャンルにはめ込む事のできない、圧倒的なスケール。夢野久作が10年間推敲に推敲を重ねて完成した作品で、怪奇小説の中でも異端児と言っていいと思う。

「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来す」とまで評されている。しかし、たとえ精神に異常をきたしたとしても、一生に一度は読んでおきたい作品であることは疑いない。

途中まで読むのがしんどくても、後半はスイスイ読める。そしてその結末には、誰もが必ず圧倒されるだろう。クセはあるが、ハマると何度でも読み返したくなる、麻薬的一作。普通の小説には飽きたという人は、是非ご一読あれ。

・「良い感じに気持ちがわるい(笑)
日本の三大奇書の一つらしく、「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来す」と言われている小説。

わからなかったことがわかって、それがわからなくなり、またわかるようになって、やっぱりわからない・・・・・・そんな感じ。 正直途中でかなりしんどくなる。 でも、ラストも良いと思うし、何よりこれが出版されたのが昭和10年だということがすごい。

別に幽霊とかお化けの話ではないし、「怖さ」を目的にして書かれた本ではないけど、本から出る雰囲気のせいで、自分の部屋に居づらくなった。 それには、カバーイラストから受け取ったイメージもあると思う。 本編に関係ないということで、このイラストに批判的な人もいるみたいだけど、個人的には上手いこと気持ち悪くて好き(笑)

読んで頭がおかしくなったとは思わないけど、読む人が精神に異常をきたすのではなく、逆にこの本を一字一句苦痛に感じず、完全に理解できる人 の精神は「普通」と言われている人達と違うのは確か、だと思う。失礼かな。

・「10年ぶりに再読しましたが,やっぱりすごい作品です.
 真夜中,どこかから聞こえてくる時計の鐘の音で目が覚めた「私」は、すべての記憶を失くしてしまっていた. 隣の部屋には少女(どうやら自分の許婚らしい)がわめき散らしているのだが、自分には全く身に覚えがない。 もう一度眠りについた「私」は、やがて朝になり再度目を覚ますのだが,そこに九州帝国大学医学部長を名乗る紳士がやってきて(どうやら「私」は九州帝大病院の精神科病棟の一室にいるらしい)、その紳士に連れられて失くした記憶を取り戻しに出かけるのだが...。

 人により評価が真っ二つに分かれる作品です。 分厚い上下二巻組の作品であり、途中に「胎児の夢」と題する論文などが挿入されているので、読んでいて辛くなるかもしれません。 しかし、それを我慢して読み進めていくと、私と同じようにその結末にきっとあなたも圧倒されることになるでしょう。

 結末のインパクトが失われてしまいかねないので、深く突っ込んで書けず申し訳ないのですが、世界に誇れる作品に仕上がっているということだけは言っておきます。

 あなたがこの作品について、少しでも気になったことがあるのなら、一度手にとってみることを強くお勧めします。 そしてその時に,途中で放り出してしまいたくなるかもしれませんが、ぜひ最後まで頑張って見てください。この作品の世界観は、きっとあなたを大きく変えてしまうでしょう。

 それでは御健闘をお祈りします.

・「傑作です。
絵でいうなら、だまし絵。音楽でいうなら、FAUST、COIL,NWW。フロイドのいう、夢の作用。作家はあえてつじつまを合わせようとせず、背後にある、読者の深層心理を刺激します。読む人によって、感想という以上に、何が論点になるかすらもはぐらかせられます。現実という足場を完全に踏み外した、正に異端の文学。しかし、途中でDNA的な記述は先端なのか、作家の先見なのか、無茶苦茶面白いです。

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫) (詳細)

ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)

・「戸惑面喰(下)
下巻は上巻で語られた「胎児の夢」・心理遺伝の実例が示され、それが古代中国にまで遡るという、時間の概念を超越した話を軸として展開し、謎解きもクライマックスを迎える。読後感はワカッタようなワカラナイような、まさに「戸惑面喰」である。「ドグラ・マグラ」は凡百の探偵小説と違い、一回読んでわかった、終わり、というような代物ではない。謎解き自体が出口のない円環・「堂廻目眩」であるため、様々の解釈をすることが可能であろうし、何度か読んでいるうちに、作者の思想を読み取られる方もいるであろう。この作品はまさに「探偵小説を超えた探偵小説」なのである。

・「人間はどこへゆくのか
精神異常者を集め研究材料にする教授を軸に、記憶を無くした主人公が自分自身を思い出そうとする。ラストはかなり衝撃的。猿の惑星のラストシーンを思い出したがそれを超えてると思う。主人公が抜けられない暗いトンネルをいつまでも彷徨っているようで非常に恐ろしい。人間のほんとうのしくみはこういう事かもって妙に納得してしまった。

・「正木博士vs若林博士vsあなたの脳
単にミステリィといったカテゴリーではくくれない『宇宙』を持った日本文学史上例をみない作品だ。1935年の完成だが10年の歳月をかけ徹底した推敲に推敲を重ねている。小栗虫太郎『黒死館殺人事件』や、中井英夫『虚無への供物』とともに、日本探偵小説三大奇書に数えられるようだが文字の持つ力がこれほどまでに怒濤のように押し寄せ、読む者の心を不安定にしてしまう作品は世界中が探してもこの一冊だけかもしれない。

あらゆる意味で先駆的だ。『脳』に根ざすストーリー展開は現代本格の人々に多大な影響を間違いなく与えている。胎内で胎児が育つ10ヶ月のうちに閲する数十億年の万有進化の大悪夢の内にあるというエルンスト・ヘッケルの反復説を下敷きにした壮大な論文『胎児の夢』や、「脳髄は物を考える処に非ず」と主張する『脳髄論』に読む者は始めから翻弄され続け、区切りの無いストーリーに休む間さえ与えられない。

出てくるキャラクターもものすごく強烈だ。頻繁に笑い続ける正木博士vs若林博士vsあなたの脳の戦いが読了まで続けられる。読んだものは一生忘れられない強烈な一冊となること間違いなしだ。

・「奇跡
 これを読む者は、一度は精神に異常をきたすと伝えられる、伝説的本。 内容もかなりいっちゃってて、みんな狂ってる狂ってる。 読み終わるまで本当にあっというまで、何が起こったのか、何が起こらなかったのか、それすらが混沌の中に沈み込んでいく。一応、読み終われば、一応の解釈は得られるが、深く読み込んでいけば、そんな解釈すら揺らぐほどのめまいを起こす。 本好きなら一度は読んでおくべし。

・「少なくとも四つのアイデアを内包する
一級の幻想小説ではある。読後、いくつの幻想アイデアが重複しているのか数えてみたが、物語全体に影響を及ぼすオチのようなものが少なくとも四つある。考えれば考えるほど奥の深いアイデアである。読む人によっては、四つ以上のアイデアを発見する人もいるかもしれない。

主人公がいったい睡眠をいつとっているのか気になった。しかし、ちゃんと四時間も昼寝していることに気づいた時は、戦慄というか爆笑である。昼寝をしていない他の登場人物たちは、場合によっては、全員発狂である。

読みごたえのあるアイデアは確かにこの本にはある。興味のある人には、一読して、いくつのアイデアが発見できるか試してみて欲しい。

ドグラ・マグラ (下) (角川文庫) (詳細)

戻り川心中 (講談社文庫)

・「叙情派ミステリの極み
今はなき探偵小説専門誌「幻影城」に連載された花葬シリーズを中心にまとめられた短編集。時代性の活写・情景描写の美しさと人間の情念の深さをみごとなまでに凝縮している。この作家の他の作品にありがちな極端なトリッキー性も薄く、直木賞受賞作「恋文」への道程を示す作品ともいえるだろう。

個人的には「六花の印」が一押し。思わず目頭があつくなる佳品である。

・「あくまで主人公は花のつもりです(作者談)。
『恋文』などが最近だと有名で、もしかしたら恋愛小説の作家さんというイメージが強いかも知れません。多分ですが。でもこの作家さん、日本を代表する超一級ミステリ作家さんなのです。元々、伝説のミステリ誌『幻影城』でデビューなさってますし。で、日本ミステリ史上に輝く金字塔である、代表作がこちら。先述した事と矛盾するようですが、ミステリとか何とかを軽く超えて、文学作品として大変な高水準であると思います。ミステリのファンでも、そうでなくても、小説読みの方に是非お勧めしたい傑作。「花」にまつわる、耽美的で、詩情、叙情性溢れる名編が詰まってます。勿論、ミステリとしてハイパー。論理が背後であまねく支配しています。で、小説として面白いんですこれが。嗚呼、素晴らしき大正浪漫。

・「「花」に託された人の想い
◆「桔梗の宿」

 死体が握っていた一輪の白桔梗。    二つの殺人事件を繋ぐこの花は  〈ダイイング・メッセージ〉なのか、  あるいは何かの〈見立て〉なのか?

 結末で浮かび上がるのは、犯人の巧緻な  策略ではなく、哀しくも切実な動機だった…。

 人の行動が自分の想いとは裏腹に作用し、まったく  望まない構図に収斂させられてしまうという悲劇。



◆「桐の柩」

 男と女の何重にも捩れた情念の交錯、そして  「柩」と「死体」の関係における逆説的な着想―。

 やくざの世界という舞台設定と骨絡みの  トリックの鮮烈さに眩暈すら覚えます。



◆「白蓮の寺」

 幼少の記憶に焼き付けられた凄絶な母の姿。  果たして母は、父を殺したのか?

   自らの「記憶」に翻弄された主人公が最後に直面するのは、寄って立つ  現実が崩れ去るが如き「真実」と愚かしくも美しい人の情念です。



◆「戻り川心中」

 二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、  その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。

 彼が求めていたのは何だったのか?

 我々は「作者」と「作品」の間に密接な  関連性を見出さないではいられません。

 そんな思い込みこそが本作の犯行の不可欠な要素となっているのです。

 犯人が狂おしい妄念を燃やして描き出した幻の花。  彼は自らの命を賭すことで、決して色褪せない永遠の花を手にしたのです。

戻り川心中 (講談社文庫) (詳細)

金閣寺 (新潮文庫)

・「日本文学の最高峰!
なんでこんなに精緻で美しい文章が書けるのだろうか!と驚愕を禁じ得ない。正直、読み進めるのは大変だった。難解な語句が頻出するし、仏教用語も多い。手元に国語辞典を用意しての読書だった。

軽い気持ちで読んでいるとすぐに文章についていけなくなった。集中して主体的に読み進めないと理解できなくなる。

テレビや音楽といった受動的なメディアと違い、活字は主体性が重視される媒体なのだと再認識させられた。昨今の活字離れを背景に、大衆に迎合した軽い文章、浅薄な内容の作品しか書かないで作家気取りの人達の作品とは大きな違いだ。

日本語の美しさ、奥深さ、読書の醍醐味を満喫させてくれる作品。中・高校生にも是非読んでほしい。一生の財産になるはず。おそらく一回読んだだけで理解するのは難しいだろう。2度、3度読んでほしい。一生読める本だと思う。不世出の鬼才・三島由紀夫が日本人に残した宝だと思う。

日本語を母国語として育った人間で本当に良かった。この作品は日本語で読んでこそ真髄が伝わる。

・「理解が深まるまで読みたい作品
正直言って、難しい。 学僧が金閣を燃やすに至るまでの心理の変遷を描いた話であることは周知のとおりだが、その心理の変遷を追っていくのが大変なのだ。 三島は主人公の心理を、詳細すぎるぐらい詳細に説明してくれるので、きっと元来三島小説に合う人ならばすぐさまこの本の虜になることだろう。

しかし、そうでない人には少し慣れが必要だと思う。僕もそちらの部類である。だが、僕はこのような三島小説に他にはない魅力を見出すのだ。

それはひとつには現在このような、登場人物の心の琴線を、綿密に丁寧に描いた小説が存在しないと言うところから来ているのではないかと思われる。

曖昧なままごまかす…この本を読んでいて、同時に、そういう現在小説の動きにいささかの危機感を感じてしまった。

・「三島文学の代表作
この作品は、昭和25年に実際に起こった出来事を下地に描かれた作品である。文学史に名を残す作品だけに、選びぬかれた語彙と硬質な文体で書かれる文章は、読者に読ませ、考えさせる力を持っている。主人公を明るいところに留めてくれるはずであった朋輩の死、同学の友にみる暗い悪意、それから親からかけられる期待の大きさ。そんな外的要因が積もって、「美」の象徴である「金閣」を憎むようになる主人公の倒錯した感情を、緻密なディテールを持たせた回顧という形で描きあげる。この作品を読み通し、消化するのは、難儀なことだが、読後にはそれなりの達成感と充実感を得られることだろう。

・「読んでいる時は別世界にいるようです・・・。
この有名な小説を読んだのは、三島由紀夫の本を読み出してから割と後期のことだった。 その所為か、文章は読みやすく、登場人物の性格も他の三島作品のそれと比しては随分素直だなぁ、と思ったものだった。でも読みこなせているかどうかはまた別である。恥ずかしい事ですが・・・。

ごく始めの方に、主人公が有為子を需め、暁闇の村のはずれにさまよい出て行く箇所がある。新潮文庫で言えば、12ページの9~10行目の所と、次は最後のクライマックスで、火をつける直前の254ページ・5~6行目の描写が瓜二つなのである。自分を拒むことが自明の有為子を待つ行動。自分を拒み続けてきた金閣寺と対峙する行動。その二つをダブらせているのだとしたら、見事な伏線の張り方である。

このP.254の2行は、『金閣寺』の中でも屈指の名文である。それまでは割とゆっくりした流れで、丁寧に’説明’をしてきた文章が一気に跳躍する。たたみかけるようなスピード感。主人公の行動がそれまでとは打って変わったものであることを、そのたった2行であらわしている。おそるべし、だ。 

以下私事になりますが、私が生まれ育ったのは、大谷大学のすぐそばだった。小学校の写生大会では、谷大(と呼んでいた)のキャンパスに入れてもらい、鬱蒼と茂る樹々の下でせっせと絵の具を塗りたくっていた。区民体育大会では、谷大のグラウンドで走り回った。文中に出てくる、西洋的な館・菓子店・薬局なんかも「もしかしてあそこのことかなぁ」と思い浮かべることができる。高校は金閣寺まで自転車で5分あまりのところだったりしたものだ。

市川昆監督の『炎上』は観ていないのですがもし映画化があるとすれば、有為子役は天海祐希さんがいいかなぁ(華道の先生と二役で)。溝口は?鶴川は?小市民丸出しの溝口の母は?など取り留めのないことを考えてたりもしてしまいます。

『春の雪』があまりにミスキャストなんですもの・・・。

・「読者を悩ませる大傑作!
普段よりゆっくり時間をかけて読んだ一冊。主人公が金閣寺を放火するに至った動機を簡単に説明すれば、「金閣に象徴される美に対する反感」や「滅びの美学を実践する為の行為」といった事になると思うが、もちろんそんなに単純ではない。人に理解されない事を唯一の誇りとしていた主人公の思想はあまりにも理解し難く、またいくつかの矛盾もあり、破綻をきたした狂人の思想とも考えられる。動機を考える上で、私が最も興味をもったのは、主人公と老師(金閣寺の和尚)との微妙な関係であり、ほとんど表面化する事なく陰鬱に溝を深めていく様が、実に見事に描かれている。途中で老師を殺害することについての考えも語られているが、「殺人が対象の一回性を滅ぼすためならば、殺人とは永遠の誤算である」として、これを却下している。いずれにせよ金閣寺の放火は、老師に対する報復であるという側面もあると思う。読了後3日経ったが、解釈に苦しむ所が他にも沢山あり、読者を悩ませる大傑作である事は間違いない。

金閣寺 (新潮文庫) (詳細)

クラインの壷 (新潮文庫)

・「岡嶋二人の最高傑作
もう10年以上前に読んだ本だが、佐藤藍子主演(TVデビュー作ではなかったか)でドラマ化されたせいもあり、細部まで良く覚えている本である。読後感はただ一言「怖い」だった。当時ダビスタにはまり、週末金曜に帰宅してから日曜に寝るまでダビスタをし、平日は仕事をサボっては読書という生活をしていたこともあり、本当に怖かった。私にとってはホラーとも言える作品である。

・「しょせん砂上の楼閣
率直にいおう岡嶋二人という作家はあまり好きではない。ただこの作品は凄すぎる。。井上&徳山のコンビ解消作となる一冊だが、その影響で後に井上夢人(いのうえゆめひと)として再デビューを飾る彼の世界観が顕著だ(基本的にプロットは徳山が担当していた由)。なぜ嫌いかは一言では表せないが、面白いことに本編後の解説で新井素子女史が絶賛している理由の真反対のスタンスだ。本当に呆れるぐらい反対(この人の書き物とは常に逆になるのよ)。簡単にいえば人間の当たり前の部分を穿ちすぎな所が駄目なのね。女史はそれが地に足のついた人間像と絶賛しているが、一個人的な意見からいえば地に足がつきすぎ、つーか地面にすらめりこんでるだろ(笑)。どんだけ忍耐力強いんだよ。だがその点、凋落のスリルと新しい血がもえたぎる本作品は変にストイックな不自然さなしに強く感情移入させて一気に読ませる。

さて、本作品の内容はゲームブックの公募に送った作品がひょんなことから、ヴァーチャルリアリティ体験ゲームの原作として採用されてしまったことから始まる上杉青年の喜劇・悲劇だ。ゲーム開発上の試験モニターとして、実際に仮想現実の世界に入るが何やら判らぬ違和感に異変、そして陰謀と盛り沢山だ。クライマックスに向けての興奮は筆舌に尽くしがたい。そして砂上の楼閣が崩壊したとき、そこにあるのは驚愕?恐怖?虚無?それとも背徳?思うに作中人物・真壁七美(まかべななみ)に恋した俺は負け組みなのか?勝ち組なのか?永遠に謎だ。この点、共感者は多いんじゃないだろうかと勝手に思う。ちなみに、NHK教育で井上夢人脚本でドラマ化された際に七美を演じたのは佐藤藍子ちゃんでした...前田愛ちゃんならよかったのに(ボソッ)。

・「超名作です。オススメ!
まだこの本を読んだこと無い人は幸せです。なぜならばこれから読む事ができるからです。表と裏の区別ができない造形物の「クラインの壺」のタイトルそのままに、主人公が仮想現実ゲームにはまってしまいます。岡嶋二人らしさよりも、解散後の井上夢人ワールドの原点が垣間見えます。

・「この本がきっかけで自分は昔岡嶋二人にはまりました
ラストが後を引く怖さ。似たような話は他にもあるがやはりこれはその深みにおいて他とは一線を画している。この本を見つけたときドラマ化されたという帯がついていた。多分小説より良い出来でないことは確かだと思うがそれでも観てみたい気がした。

・「非常に面白い。
何冊か推理小説を読んでいると、「展開が途中で読めて面白くなかった」小説というのもたまに、あります。

この小説も、同じようにラストというか展開が途中で分かってくる方も多いのではないかと思います。でも、最高傑作というのはそれでも面白い。まず、設定がずば抜けて面白い、伏線の張り方および回収の仕方、最高です。20年近く前の作品ですが、ミステリ好きなら読むべき一冊だと思いました。

クラインの壷 (新潮文庫) (詳細)

十角館の殺人 (講談社文庫)

・「すべてはここから始まった
綾辻行人のデビュー作です。「綾辻以後」という言葉が生まれたほど、彼の登場は衝撃的でした。彼が失敗していれば、いまの本格ムーブメントがこれほど盛り上がりを見せていたかどうか、甚だ疑問であると同時に、その先駆者が綾辻行人であったということに何か宿命みたいなものを感じずにはいられません。

さて、この「十角館の殺人」ですが、数人の人間が孤島へ行き、そこでひとりまたひとりと殺されていき、最後には・・・・・・、というようにプロットはクリスティの「そして誰もいなくなった」です。読み始めてすぐに浮かんできた言葉が「青いな」でした。それは、登場人物が大学のミステリ研であるとか、ニックネームで呼び合うとか、そういうところが実生活の延長をただ著しているだけのように感じられて鼻についたのです。

が・・・・・・。

ネタバレになるといけないので深く触れませんが、私は、「青い」と思った時点で綾辻さんに負けていたのです。今もはっきりと覚えています。ラスト近くの例の一行を読んだときのあの衝撃を。頭が真っ白になり、しばらく呆然としてしまいました。大げさではなく、5分間ぐらい動けませんでした。それほどのショックでした。そして、「やられた! 騙された!」とひとりで叫んでいました。気持ちのいい敗北感でした。

すべてはここから始まったのだと、いま改めて思います。

・「衝撃でした
 綾辻氏の作品を呼んだのはこれが最初でした。ずいぶん前の話になってしまうのですが。とにかく、今まで「こんな本があったらいいな」と思っていたものが形になった!推理研究会のニックネーム付けなんて、内輪受けでしかない楽しみではあるが、このころの年代ってこういうつけ方がとても楽しかったりするのだよね。

綾辻氏は、ほかの作家と違って、トリックを「対読者」にむけて書いている。これも、本でしか味わえない醍醐味だろう。犯人を読者にわからせる演出の妙には恐れ入る。この演出のにくさは彼の真骨頂である。(「時計館」しかり)舞台の演出家っぽい見せ方なのだ。舞台にはできないけど・・・

設定、トリック、すべてに斬新で「本格」。海外推理ものを読んできた人だなあ、と思いました!!。小説にロマンティシズムがある。

クリスティの「そしてだれもいなくなった」に倣った作品ではあるが、日本でしか読めない小説だと思います。残酷な青春小説という気もする。

・「『読む』ことでしか楽しめない面白さがここにある
 書店で平積みされていたこの小説の帯には、『映像化不可能』の文字。ここ最近、映画などでも「映像化不可能とされた作品がついに映画化!!」などと言う売り文句がよく使われているので、眉唾に思いながらも購入しました。 絶海の孤島で脱出不可能、そこで巻き起こる連続殺人。と、悪く言えば使い古されたような舞台設定ですが文章のテンポのよさと、二つの舞台の同時進行など、構成の工夫でスムーズに読み込んでいけました。 肝心のトリックですが、まさに映像化不可能。確かに、どこかで聞いた事があるようなトリックでしたが、『読む』面白さを十分に堪能できる作品に仕上がっています。漫画化や映画化では、やはりこの面白さは半減でしょう。 この、綾辻行人さんの小説はどれも、想像力を使う『小説』というメディアを存分に楽しめる作品となっています。

・「騙される悔しさと嬉しさ
真実が発覚した時、思わず驚きの声を出してしまっていた。当時、あまりミステリを読みなれていなかったせいもあるが、しばらく呆然としてしまう程の衝撃があった。

今では読者を騙そうとする凝りに凝った小説は、たくさん存在している。だが発表からすでに何年も経過している「十角館の殺人」程に、単純かつ爽快などんでん返しを味わえるものは、希少なのではないか。

有名な名作に倣った孤島ものという設定が、読者に無意識の先入観を抱かせる何よりのポイントとなっている。ミステリを読みなれた人にとっては所々気になる箇所はあると思う。けれど多くの人が述べている通り、入門書としてこの本はまさに最適だ。こんな小説があるのかと、目を丸くすること必至だろう。

初見からしばらく経って再び読み返してみたが、このたった一言によってそれまでの思い込みが覆されるという叙述トリックは、今なお清々しいほどに輝きを放っている。ラストも雰囲気を重視する綾辻氏らしい終わり方で、不思議な余韻が残る。一度は読んでおきたい傑作ミステリである。

・「私のロストバージン
それまでも割と本は読んでいたのですが、探偵が出てきて賢しげにトリックを暴く、今で言う“コナン”的な、ミステリーというジャンルを正直軽蔑していました。

しかし、そんな私の軽蔑を180度転換させたのがこの作品です。

あの一文を読んだときの、自分だけ時間の流れから取り残されたような衝撃は、10年近く経った今でも忘れられません。それまで全く免疫が無かった事もあると思うのですが、あまりの衝撃に理解するのに相当時間がかかりました。理解したときには夜中だったにもかかわらず“何これ?”“嘘やん”“やられたわ~”と叫んでいました。

その後はすっかり中毒になってシリーズを買いあさり、他の作家の作品も物色したりで今に至っています。少し大げさかもしれませんが、あの夏休みが無ければ今の自分は無かったとさえ思える作品です。是非一度読んでみて下さい。

十角館の殺人 (講談社文庫) (詳細)

殺戮にいたる病 (講談社文庫)

・「暖色と寒色の融解点
我孫子氏畢生の一大傑作だろう。同時分の流れの中からいっても抜きん出てる一個の達成である作品だと思う。眩暈がするような猟奇と時系列の罠にはまっていけば、まずもって読者誰もが信じがたい画面に直面する事になる。まさに殺傷力99%を有す構成力。。

またミステリの概念以上に驚かされるのは、ここで描かれる家族の群像、母と息子の群像、そして社会が否応なしに対面することになる事態を先見の明により完全に見据えてしまっていたことだ。原初の意味で本質的に母系社会・日本の凋落を感じられずにはいられない。。

・「二度読まねばなりません
惨殺シーンは気分が悪くなるほど残酷、少し悪趣味かなと思った。しかし、読み易く想像を膨らませる見事な表現力はすごいです。読み始めに、エピローグで死んだ人は誰なんだろうと考えました。読み進める内にその人の像は頻繁に変わっていくと思います。

登場人物が少ないので、結末は限られるんじゃないかと考えてました。しかしラストに近づくにつれ、胃がキリキリと痛むような緊張感を味わいます。先の展開が全く読めない、躍動感を感じる怒涛の展開。そしてラストのページを読んで唖然としました。はぁ?どういう事だ、と。少し考えて、俺は騙されていたと気付きました。また読み返さねばと思わせる衝撃のラストです。

こんな騙しが用意されてるとは…。途中で気付いた人は天才です。全部読んでも混乱しています。なので、もう一度しっかり読み直さねばという気持ちにさせられます。確かに不快な描写もありますが、最後に読んで良かったと思える作品です。

・「来るべき未来としての現在
我孫子武丸の代表作と名高い一冊。連続猟奇殺人を巡る、元刑事、犯人、母親の3者の視点で語られる。絞られた登場人物、張り巡らされた伏線。トリックを一つに抑え、一文も全体も引き締まった印象を与える良書。グロテスク描写に注意。

まず、初出が1992年であることに驚く。作中で言及される、幼女連続殺人事件が起こった時は、まだこのような話は非日常の異常事態として捉えられたはずなのだ。現在では、良くある話として捉えられてしまう。犯人視点での幼稚な思考、病的な心理、家族崩壊、見つからない手がかりと並べると、まるで2007年現在に書かれたように感じられる。

犯人の心理がよく引き合いに出されるが、母親の異常心理も相当にリアルである。探偵役(名探偵ではない)の元刑事側が、周囲の人間との関わりからやがて活力を取り戻すのと反比例するように、犯人側の家族は壊れていく。この小説のような状況が15年も前に予言されていた。そして、その状況が当たり前のように受け入れられる現在こそ、真のホラーであろう。

・「我孫子武丸氏が見せた神技
我孫子武丸氏の現時点での最高傑作であるとともに、戦後の日本推理小説史上の一傑作である。我孫子氏がこの作品で、極めて鋭くえぐったものは、巻末の笠井潔氏が指摘する通り、確かに現代日本の病理である。

犯人の狂気は、作品中にみなぎっている。しかしこの作品のテーマはその描写、だけではない。

「原因を、自分ではない誰かに、とにかく押し付けようとする」

という現代日本そのものの狂気が、かいま見られたような気がする。

・「傑作です
初めてこの小説を読んだときの衝撃は忘れられません。残酷な描写に耐えられる方にはお勧めです。こういった手法(ネタバレになるのでこういう表現を使いますが)を用いた作品の中では珍しく必然性があり、作者の意図したテーマとの関連性が伝わってきます。

人に読ませて感想を聞きたくなる作品ですが、相手は選びましょう。途中で読むのをやめた挙句、「アイツから本借りたんだけど気持ち悪くって…ヒソヒソ」「そういえばアイツの部屋にフィギアが…ヒソヒソ」となる可能性があります。

殺戮にいたる病 (講談社文庫) (詳細)

噂 (新潮文庫)

・「だまされたと思って
渋谷の女子高生の間で広まっている都市伝説同様の事件が起こる…という単純な構成なのですが、本当にうまくつくられています。いわゆる本格モノではなくサイコサスペンスの系統ですが、人物造形や文章も読みやすく優れていると思います。特に(大量に登場する)女子高校生の描写がおもしろく、バンドの追っかけをしている少女の心理描写などはあまりにリアルなので「え?書いているの男の人だよね?」と確認してしまったほどです。そして、帯にもあるように、「最後の一行」でどしん、と落とされます。はらはらしたい人にオススメです。

・「衝撃のラスト1行
荻原さんの作品とは「神様からひと言」で出会いました。「神様から〜」はユーモアあふれる作品で、楽しみながら読ませてもらいました。

そして私が接する初めての荻原ミステリーであるこの作品の売りは、「衝撃のラスト1行に瞠目!」です。いったいどんなことかと期待しながら読み進めていきました。都市伝説と絡んだ事件の展開も、登場人物の描写も見事で、一気に読んでしまいました。そして最後に事件が解決して一件落着かと思いきや…。一瞬何事か気付かなかったのですが、ちょっと考えてみると…。「おお〜」と思わずうなってしまいました。確かに「衝撃のラスト一行」でしたね。ぜひ皆さんも体験してみてください!

・「そういうオチか!!
いい意味で、最後に裏切られました。私的にはこういう「オチ」ありかなーと思いました。「やられたー!」って感じです。昔から「都市伝説」には興味がありましたが。それをストーリーの中で上手く使い、盛り上げていく様はさすが。いっきに読んでしまうストーリー展開でした。

・「とにかく読んでみればいい・・・と、思うよ。
俺個人としては萩原浩作品の中で一番好きです。

・「何回読み返す!?
都市伝説と猟奇殺人の謎にスリリングに迫ります。複数の一人称視点(地の文はほぼ客観視点ですが)による多層的なトリック。叙述トリックで一発ひっくり返すような作品とは、ひと味違います。

何回読み返したくなるかは人それぞれだと思いますが、私は2回でした。

観客にリアリティを感じさせるには遠景から描写すると良い、と平田オリザの本に書いてありましたが、この『噂』では場面変わる度にいちいち遠景から入るので誰の場面なのか把握しづらく、章ごとに10行ほど自分で話の腰を折ってるのが惜しいです。

噂 (新潮文庫) (詳細)

閉鎖病棟 (新潮文庫)

・「読んで良かった
精神科病棟に入院している患者を、外部からではなく、入院している内部の患者の視点から描いた名作だと思います。入院患者とそうでない者(家族や世間)との間に横たわる気持ちのすれ違いが生み出す悲しみと、ラストに至って分かる人間の暖かさに号泣しました。殺人事件があるため、ミステリー小説とも受け取れますが、同じ病院もののロビン・クックの作品に見られるようなサスペンスフルな感じではなく、静かで暖かいストーリーです。本当に読んで良かったと思える数少ない小説として、いつまでも記憶に残ると思います。

・「精神病棟の日常を優しく描いた作品
帚木さんの本はほとんど読みましたが,この「閉鎖病棟」は特に大事にしている一冊です。

社会からも家族からも疎まれながら生きている,精神薄弱者と呼ばれる人たちを,筆者が愛情を込めて描いている作品です。精神病患者にもそれぞれ個性があり,精神を病んでしまった理由や背景がある,という周りの人が忘れてしまいがちな部分を無理なく自然に読者に伝えてくれます。患者を取り巻く家族,医療従事者,そして患者同士に起こる日々の生活や些細な事件。ともすれば暗くなりがちな世界も,著者が優しい目で見つめながら描いているので読んでいて救われます。

帚木さんの作品は,色々な意味での「弱者」を描いているものが多いのですが,どれもわざとらしく美化したりせずにありのままの姿や出来事を整った!文体で書かれています。この「閉鎖病棟」も,淡々と語りながらも読者の心を打つ,素晴らしい作品です。

・「生きることの意味
 最後の最後にめちゃくちゃ泣いてしまいました。舞台はある精神病院の入院病棟。題名の通り閉鎖病棟も出てきますが、メインは開放病棟のチュウさんという患者さんが中心に物語が進んでいきます。犯罪者には精神病者、精神薄弱者が時にいるものですがここに出てくるのもそのような、過去になんらかの事件に関わった人たちばかり。

 物語は幾つかの事件から始まり、この精神科病棟に集まってきた人たちの生活が始まります。今の私とは縁のない人たちばかりで初めはなかなか入っていけなかったのですが患者さんの立場から進む話を読んでいくうちに心に病を抱えてたり、傷を持つ人たちにも何のかわりもなく私たちと同じ感情があって、生きることに一生懸命なんだと改めて教えられました。

・「偶然目に止まった本だったが…
 偶然手に取った本でしたが、精神科医の著者がここまで患者の視点で書いたことに驚きました。そして、閉鎖病棟については、余りにも現実と近かったので半分を読むと調子が悪くなってしまいますが、そこを乗り越えて読むと感動が待ってます。本当に何度も泣ける作品になってます。

 それにしても、良く著者が、患者でさえ気付かないところまで

書いている事に、私は『よくぞ、おっしゃってくれた』と著者に対して声をかけたいぐらいです。

 ページ数は、他の作品よりも少ないのですが、この作品こそが他の作品より最高の作品だと思います。 閉鎖病棟の人達は、退院が不可能の人や、肉親が病棟に一度も来ないので、肉親の名前を叫んでいる人を見ると、

一人一人が、深くて根深い悩みを抱えながらなんとか生きているように見える。

・「感動・感動感涙でした。
最初友人から借りて読みましたが、自分も鬱病の状態だったせいもあり、ラストは喫茶店の中で涙があふれて止まりませんでした。本が涙でぐちゃぐちゃになったので返すために買いました。自分の今まで読んだ本の中でベスト5に入ります。とにかく感動ものです。

閉鎖病棟 (新潮文庫) (詳細)

幽霊刑事 (講談社文庫)

・「涙です。
有栖川さんの著書でここまで恋愛色の強い作品はないということもあって読んでみたんですが、すごくいい話でした・・・。もちろんミステリ小説としてもよくできてると思うのですが、ミステリ苦手な人にも是非薦めたい恋愛小説です。殺されて幽霊になってからも恋人を想いやる心。思い出しても胸がつまりそうです。だけど、初っ端から死んでいた主人公なんだから、ラストは当然想像がついていたけど・・・。ハッピーエンドではないと思います。でも、最善の終わり方だとは思ったかな。読み終えてから涙がちっとも止まらなかった。

・「ミステリ&恋愛小説
今までとはまったく違う面白い作品でした。主人公は刑事の幽霊。どうして自分が殺されることになったのか捜査を始めるが、ものには触れないし、ひとに話しかけても聞こえない。誰も自分を認めてくれない。結婚を考えていた恋人さえも。ものには触れないのにどうして椅子には座れるのか、とか、バスには乗れるのか、といった小さな疑問はさておき、その捜査の過程がおもしろい。自分を殺した犯人はわかっているが、動機が全くわからない。唯一自分と話すことの出来た同僚早川くんとともに真犯人に迫っていくが。。。

これまでのように、トリックに重きを置いた内容ではなく、恋愛小説としても読める、ひと味違った有栖川氏が楽しめます。登場人物(特に主人公の恋人須磨子)の心情がよく描けていると思います。有栖川氏の作品にはやっぱり早川君のようなちょっととぼけたようなキャラクターがかかせませんね。内容として結構ありきたりかなあ、なんて思いながら、しかし有栖川ファンとしては読まずにはいられない、と思って買いました。◎でしたよ~。不覚にも最後はうるうるしてしまいました。

・「楽しいユーモアと推理の興奮、そして感動
「幽霊もの」ならではの哀切なラストは確かに感動的です。が、売りとしてそればかり強調されているので、湿っぽい話は苦手だなという方に一言。全体にユーモアの豊かなカラリとした作品です。特に主人公の幽霊と唯一コンタクトできる後輩刑事が青森のイタコの孫と設定されているあたりなど爆笑もの。この後輩が実に良く描けてますし、銀行強盗などのサブストーリー、怪盗(?)ドクターXなど脇役も光って、とにかくエンタテインメントとして魅力一杯なのです。謎解きはさすがこの人の本領だけあって伏線のバラマキと収集が実にテンポ良く鮮やか。唯一、第一の事件と第二の事件の心理的な結びつきが説明不足に感じましたが、大した問題ではありません。シリアスな視点で読めば、一部のキャラクターが類型的とかいう批判もできるのでしょうが、そのへんを割り切ったところも成功の原因だと思いました。読み終えたあと、最後まで明示も暗示もされないままの主人公の行き先が天国であることを強く願う気分にさせられます。

・「涙です。
有栖川さんの著書でここまで恋愛色の強い作品はないということもあって読んでみたんですが、すごくいい話でした・・・。もちろんミステリ小説としてもよくできてると思うのですが、ミステリ苦手な人にも是非薦めたい恋愛小説です。殺されて幽霊になってからも恋人を想いやる心。思い出しても胸がつまりそうです。だけど、初っ端から死んでいた主人公なんだから、ラストは当然想像がついていたけど・・・。ハッピーエンドではないと思います。でも、最善の終わり方だとは思ったかな。読み終えてから涙がちっとも止まらなかった。

・「愛すべきおバカミステリ
読んでいる途中で、何度か某・我孫子氏の作品ではないか、と思い込んでしまったくらいに、他の有栖川作品とはかけ離れた印象。読み始めの印象はそんなところでした。

が、読み進めてみると、これは娯楽小説でも恋愛小説でも刑事小説でもなく、紛れもない「推理小説」であると言う事がよく分った。

「幽霊」という不自由極まりない身分になってしまった主人公は、見方を変えれば「プチ嵐の山荘」状態であるし、二転三転する展開は、読んでいて飽きさせないものだ。もしかすると男性限定の感想なのかもしれないが、主人公に思わず感情移入してしまう部分もあり、エンターテイメントとしの部分もしっかり持ち合わせている所が、ニクい。

残念な点はと言えば、雑誌連載(?)だったためかエピソードがぶつぶつ切れていて、長編として読むと多少の違和感を感じる事か。が、そこの所は割り切ってしまえる所なので、個人的には減点にはならない。

重いミステリの合間に読むと、清涼剤のようになる作品

幽霊刑事 (講談社文庫) (詳細)

オルファクトグラム

・「暖かく、優しく、ちょっと寂しい「匂い」
女性ばかりを狙った猟期連続殺人事件-目を背けたくなるような酷い手口。と書くと流行のスカーペッタシリーズやレクター教授ものを思い浮かべるかもしれない。「オルファクトグラム」は、そこで起きる事件は両シリーズに劣らないくらい残酷で悲惨だが、いわゆる「猟期モノ」とは違う。この本から一貫して漂うのは暖かく、優しい、そして、少し寂しい「匂い」だ。

主人公は大好きな姉を狡猾な殺人者に殺されてしまう青年。愛する肉親を殺された彼は犯人を警察には出来ない方法で独自に追いつめていく。殺人者によってもたらされた彼の「鼻」の特殊機能-訓練された警察犬以上の嗅覚-を使って。

この本に描かれる「匂い」のイメージは美しい。身の回りの「匂い」がオレンジや赤や青の光る透明の結晶となって読む者を圧倒する。本の中ではそのイメージをCGで再現する試みが描かれているが、もしそんなソフトが本当にあったら絶対欲しい。「匂い」のイメージをここまで美しく視覚化したのは井上さんが文学史上初めてではないだろうか。

この特殊な設定に加えて、犯人を追いつめていく緊張感と危機の連続、頁を繰る間ももどかしいようなスピード感で500頁を越える長編なのにあっという間にラストにたどり着いてしまう。(アア、ナンテ、モッタイナイ!) そして迎えるエピローグは...ご自分の「目」でその「匂い」を確かめてください。

・「人間ってけっこう凄いじゃん
週刊誌に連載されていた頃にぽつぽつと読んでいた。この作家のほかの作品をあいにく知らない。この小説がどんな風に分類されるのか、興味もないが、作家はよくぞ嗅覚や脳のことをここまで研究したものだと感心してしまう。そして、人間そのものの身体の機能のすばらしさ、また心のやさしい人間がまだまだいること・・・架空の物語なのだけれど、けっこう「人間ってまだまだ捨てたモンじゃない」と言う気にさせてくれた一冊だった。もちろん、殺人犯は別だけど・・・・。

・「すごい(・∀・)
あらすじだけでは意味不明〜!でも読み始めると画が浮かんでくると言うか…想像力が刺激される!!ストーリーもイイ。おすすめ('∀` )

オルファクトグラム (詳細)

13階段 (講談社文庫)

・「「死刑」についていろいろ考えさせられた作品
死刑囚の冤罪を晴らすため、刑務官の南郷と前科を持つ三上が調査に乗り出す。

物語が進み、徐々に真実が明らかになる中で、登場人物のほとんどが真犯人に思えてくるほど、多くの伏線が張ってある。物語の後半から一気にストーリーが進み、真犯人は非常に意外な人物であった。作中、死刑制度の詳しい解説・死刑執行の方法が書かれており、読み手の知的好奇心を満足させてくれる。死刑執行の描写は非常に生々しく、サスペンスとしてもお勧め。罪を犯した人間を国によって殺す「死刑制度」の必要性についてや、国が発出する命令書のため現場で実際に死刑を執行せねばならない刑務官の苦悩など、普段あまり意識していなかった死刑について深く考えさせられた。

・「やられた・・・
正確には4,5点くらいかな?ただ、素直に面白かった、というのは確か。犯罪者の社会復帰や、それにまつわる保護司という社会派のテーマでありながら、しっかりとトリックなども生きていて面白かった。乱歩賞作品はいくつか読んでいたのだが、どちらかと言うとアクションというかサスペンス的な要素が強く、ミステリとしては弱い部分が目立つ作品が多かっただけに、賞に対しても見なおした。

ただ、筋は通っているのだが多少トリックに無理があるような・・・。微妙にその辺りが気になってしまった。

・「罪を背負って生きること、罪を背負って死ぬこと
死刑。死刑制度は今、その有無が問題になっています。私はこの本を読むまで、罪を背負って死ぬ「死刑」について深く考えたことはありませんでした。正直、死刑制度についてどんなことが行われているのか…わかったのですが、あまりに衝撃的でした。読んでいただくとわかるのですが、死刑を執行するという仕事に関しては、まして考えたことなどありませんでした。「だれかがやらなくてはいけない。」そんな言葉が強く印象に残っています。死刑が良いか悪いのかは、はっきりとは言い切れませんが、罪や死と向き合う登場人物達は人間味がありました。だからこそ、深く考えさせられました。

内容としては、読み始めると続きが知りたくなるようなミステリーです。私は、夜読み始めて、止められなくて読み終わるころには朝方になっていました…

・「理想から乖離した現実に打ちのめされることになる
 たいへん面白かったです。 死刑囚が思い出した「記憶の断片」「階段の記憶」を無罪の証拠とするために、弁護士が取り次いだ篤志家の意向を受けて刑務官の南郷と仮釈放中の青年純一が調査をはじめます。 すると、その事件にはやはり、別の犯人がいる可能性がでてきて…。 死刑囚が判決を受けるにいたった事件のほか、刑務官南郷の今までの職務内容や純一の起こした事件など、たくさんの事柄が語られていてとても興味深い筋立てになっています。 そのうえ、それらが後に伏線だったことに気がつかされ、何度も驚かされます。 とても重いテーマを扱っているのに文が巧みでスラスラと先に読んでいけます。 登場人物が魅力的で、感情移入がしやすくその心理描写が丁寧に描かれているうえ、推理小説としての謎解きも申し分なく描かれています。 一気に読めて、とても読み応えのある小説。 私が今年読んだ小説のなかで一番に面白かった本です。

・「もっと早く読めばよかった
「13階段」。この題名がなんとなく好きになれなくて今まで読まなかったのだが、もっと早く読めばよかったと思う。まず、小説として面白かった。主人公の一人である元刑務官「南郷」を通して描かれるリアルな死刑執行の場面と優秀な刑務官であるが故の彼の苦悩。物語終盤での意外な展開。そしてラストシーン。この作品を発表する前は脚本家だった著者の文章は、読みながら頭の中にすぐ映像が浮かび視覚的で分かりやすい。ページを捲る指が止まらなかった。推理小説・エンターテインメントはこうでなくちゃ、と思う。

ただ、前科者の心理状態については、主人公の一人である三上と同じく殺人(三上は傷害致死となっているが)を犯した人物を扱った吉村昭の『仮釈放』の方が優れているような気がした(この作品は推理小説ではありませんが是非読んでみて下さい)。

死刑制度の是非、冤罪事件、刑罰は何の為にあるのか…犯罪者への報復であるとする応報刑思想と、犯罪者を教育改善して社会的脅威を取り除くという目的刑思想それぞれへの疑問。そして行刑制度のあり方。この重いテーマを多くの人に考えてもらうには、専門書的あるいは純文学?的小説ではなく、より多くの人に読まれる推理小説・エンタティンメントの形式で書かれた意義は大きいのではないかと思う。ただ、著者にその意図があったかどうかはわからないのだが…。

13階段 (講談社文庫) (詳細)

ハサミ男 (講談社文庫)

・「『シリアル・キラーが探偵役の謎ときミステリ』
「シンプル」かつ「巧妙」。精巧に作り上げられた秀作。一回読み終えた後、もう一度最初から読み返したくなる話。

・「納得しちゃあいけない。もっと怖いんだから。
 映画版は、ぜんぜん違う作品だった。ひどくどんよりしていたし、原作が「納得させまい」としているのに対し、映画は「納得できる理由」を用意してしまった。 事件の謎は解けるが、作中最大の謎は、最後まで解けない。そこが、実に不気味で、この小説の肝である。 ミステリを読み慣れている鋭い人なら、意外と簡単に、トリックが見破れるらしい。しかし、トリックが見破れたからといって喜んで、それだけでこの作品を“駄作”だと決めつけてはいけない。この小説は、もっと怖い。

「ハサミが切り裂くのはあなたの心の闇―」

 というのは映画版のキャッチコピーだが、闇を切り裂いても、そこから光が射し込むわけではなく、むしろ、その裂け目から、内なる闇が染み出してくる怖さ。ハサミ男の闇と、そのハサミ男によって切り裂かれた、ある人物の心から染み出した闇とが、この小説の全篇を覆っている。それでいて、文章は妙にカラッとしていて、ユーモアがあって、軽い。それがよりいっそう、怖さを際立たせてもいる。

 映画「模倣犯」が好きな人なら、この「ハサミ男」も気に入ると思う。報道に対するシニカルな見方とか、似ている。作中の言葉を借りるなら、「納得したい」人には、薦められない作品だ。「納得したい自分」をちょっと見直して、深みにはまってみることができる人なら、最高に刺激的な読み物だと思う。

・「新人離れした卓越した手腕
作者のデビュー作にしてメフィスト賞受賞作。凡作の多い同受賞作にしては出色の出来。サイコ・キラーの「ハサミ男」が自分の犯行手口を真似て殺された女性の死体を偶然発見するというギャグ的発端から始まって、目くるめく結末まで精緻な構成で読ませる。

自殺未遂を繰り返す「ハサミ男」の真の姿が徐々に明らかになっていく展開、「ハサミ男」が自分の犯した犯行のうち冤罪だけは晴らそうとするナンセンス、「ハサミ男」の冤罪事件の真犯人の意外な正体、"長さん"というデカがいる明らかにTVの刑事もののパロディの捜査陣。これらが渾然一体となって、とぼけたユーモアと乾いた文体で綴られていく。この作者の手腕は新人離れした卓越したものがある。

作者はこの後も、「美濃牛」、「黒い仏」など多彩な作品を発表しており、久々に期待の作家登場という感じがする。人間の深層心理を鋭く抉ったサイコ・キラーものの傑作。

・「世界は意外と狭い
全く赤の他人だと思っていた人が、実は意外な所で自分と接点を持っていた――と言う事は以外に多い気がする。



正直この話を未だ読んだ事が無い人は、レビューを見ない方がいいと思う。その方が読んでいて楽しいし、読み終わった後の気分もだいぶ違ってくるはずだ。

・「日常
殺人鬼の日常を描いた作品です。この殺人鬼は、何故殺人をするかなんて事を自問自答したりはしません。朝起きたら顔を洗うように、空気を吸うように、人を殺す事をごく当然のことだと思っています。

殺人鬼の視点から書いたパート、警察の視点から書いたパートが交互にでてくるんですが、私は、殺人鬼の視点から書いたパートが好きです。殺人の下調べの為にどの駅を使った、仕事場で上司にこんな仕事を頼まれた、喫茶店で何を頼んだかまで、細かく描写しています。そのおかげで、殺人や自殺といった非日常的なことをやってるのに妙な人間臭さ、現実感が漂ってます。そんな、非日常と日常の混ざり合った混沌とした空気がいい味出してます。

最後でひっくり返すミステリー的なトリックを使ってはいるんですが、そんな物おまけ・付けたし・飾りなんですよ。私は、トリックを知った上で二回目を読んでも充分楽しかった。これは、殺人鬼の日常を楽しむ作品です。

ハサミ男 (講談社文庫) (詳細)

乱れからくり (創元推理文庫)

・「知的好奇心の乱れ咲き
生垣を五角形に張り巡らした迷路を庭に持ち,建物の造作も奇妙奇天烈な「ねじ屋敷」。馬割(まわり)家に秘められた謎と,次々に続発する怪事件に自称・経済の探偵こと宇内舞子と新米助手の勝敏夫が挑む!

・「日本推理小説界に輝く金字塔
 難解な犯人、凝りに凝ったプロット。推理小説界には珍しい達者な文章。これを読まずして日本の推理小説は語れない。丁寧な伏線が素晴らしい良作。 読んでいる途中で目から鱗が落ちるように犯人が分かった瞬間の嬉しさったらない。それは相当に犯人が難しいからに他ならない。犯人を当てても、当てられなくても大満足出来る逸品。 作者の特徴は、日本版チェスタトンとも言える逆説的着想を元に、J・D・カーを彷彿とさせる丁寧な伏線、艶のある達者な文章が特徴である。 確かに、外国の作品に比べると、どうしても日本の作家はガツンとくるパワー不足を感じてしまう。しかし氏は、それを丁寧さによって補っている処が凄い。 それは逆に寡作にも繋がるのだが、大した才能も無いくせに垂れ流すよりはずっと良い。 若干リアリティが弱いのが難だが、リアリティを言い出すのなら殺人事件を取り扱うなよ(全体の事件数に比べれば、殺人事件の確率は1/10000位だろう)と言いたいし、ノンフィクションを読むべきだろう。 これで直木賞が取れなかった理由が分からない。

・「からくり仕掛けの連続殺人
隕石の直撃による横死という、とんでもない奇禍から幕を開ける本作。

本作においては、その出来事が、奇怪な連続殺人の発端であると同時に、クライマックスでもあるという円環的構造になっています。

また、本作の根幹にあるのは、いわゆる《操り》で 『Yの悲劇』や『獄門島』との類似性が指摘できます。

ただ、通常、《操り》においては、超人的な知能を持つ人物が、直接あるいは間接的に 実行犯(探偵役)を支配するといった形式が採られますが、本作では実行犯の代わりに 「からくり」がその役目を担っているというのが特色。

タイトルが示すように、本作にはからくり仕掛けの玩具や屋敷など、 全編にからくりが横溢しているのですが、作中の連続殺人も、犯人が 巧妙に仕組んだ「からくり」であり、一度スイッチが押されたら、人間の 手を離れ、定められた動作が終わるまで自動的に動き続けるのです。

犯人の狂気や妄執が乗り移ったかのような「からくり」の暴走は、いかにもグロテスクですが、人が持つ救い難い業を克明に形象化していると思います。

・「ウェルメイド
迷路あり、連続殺人あり、玩具に関するペダンティズム山ほどあり、と、なかなか濃密な本格探偵小説の要素を備え持っている満足感いっぱいの作品。また、著者らしい丁寧な構成も完璧。

・「乱れからくり
日本推理作家協会賞を受賞した泡坂妻夫の『乱れからくり』である。この作品の何が良いかといえば、それは情緒豊かな文章にある。描写されている風景が、目の前に浮かんでくるようだ。さらに登場人物、特に新米探偵助手敏夫と、依頼主の妻真棹の心理描写には目を見張るものがある。

乱れからくり (創元推理文庫) (詳細)

獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)

・「なんともいえぬ美しい殺しかた
横溝正史の魅力が凝結した一作である。横溝ほど万人に愛される推理作家も珍しいと思うが、それにはやはり、トリックもふまえて革新的な開拓者の面を持ちながら、あくまで舞台背景に強い拘りを持つ頑固職人的な二つの側面を合わせ持ち、尚且つそれが何の衒いもなく自然に融和し、独自の世界観を築いているからだろう。ここでのレビューでも、多くの名前が出ているが、まさに本作では英米の本格黄金時代に活躍した作家達から多大なエッセンスを吸収しており、そのパズル要素を日本独自の因業が揺曳し封建の極みともいうべき獄門島という舞台で、芭蕉の俳句など和の美で構築された見立て殺人を用意した事により無類の一品になっており、まさに唯一無二の横溝の世界というものが最初に確立した作品だろう。そして、もう一つ重要な要素として人間の描写があり、彼の経歴や遅咲きの成功からもくみとれる事だが、「人間」というものに対しての非常な関心と観察の才があり、真実それこそが最も天才的な部分だと個人的には思っている。。この作品の批評で犯人の動機がおかしい云々というのは必ず上がる声だが、果たしてそうか?これ以上「人間」らしい動機が存在するのだろうか?横溝作品に関して謂えば、動機がおかしい等は、むしろ誉め言葉である。背後に裏打ちが見えるからこそである、努力の結晶が見えるからこそである。。

それにしても、物語にどれだけ妖気がたちこめようとも邪知が跋扈しようとも、最終的には胸がジーンと感動する感覚に陥るのは純粋に不思議だ。。それには、やはり金田一耕助に抱いてしまう親愛の情に近いものがあるからなのかもしれない。そういう意味では横溝の作品は、総合的には中庸を保ちえていて推理小説という枠組み内に捉われず一つの話として高い完成度を誇っていると感じる。まあ、この作品はその最たるものか。。永遠に伝達されるべき名作だ。

・「金田一耕助シリーズの最高傑作
この作品をきっかけに金田一耕助シリーズを集中的に読んだが,多くの人が言うように,この作品が「金田一耕助シリーズの最高傑作」だと思う.

三姉妹の最後の殺人は無理があるという批判も理解できるが,犯人と思われた犯罪者が島に逃げ隠れており,この犯罪者を捕まえるために村人・警察が動員されていることを考えると,それほどおかしくないと思う.

普通,殺人の動機は利害関係・怨恨・快楽のいずれかだろうが,三姉妹殺人の実行犯にはどれもあてはまらない.

実行犯は,金田一が(そして読者も)想像もしていなかった人物であり,金田一が事件の真相を解明できたのも,実行犯の一人が屏風にヒントを与えてくれたからである.

この作品に不満な人は再読してほしい.いろいろな伏線が巧妙に張巡らされていて,美しい構成であり,しかも後の金田一シリーズにあるような過剰な部分がほとんどない.

・「作者が語る、童謡殺人と本書執筆のきっかけ
横溝正史の、そして国内本格推理小説の最高傑作です。 いわゆる「孤島もの」で芭蕉の俳句による「見立て殺人」は、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』に触発されたものです。

元々はヴァン・ダインの『僧正殺人事件』を読んで、童謡の歌詞どおりに殺人が起こるというアイデアに感服しはしたものの、二番煎じと叩かれることを懸念して二の足を踏んでいたところ、クリスティーが同じようなことをやっており、それが許されるのだから、じゃあ自分もやってみようと思い立ったということが『真説 金田一耕助』(横溝正史著・角川文庫)に記されています。

日本探偵作家クラブ賞を受賞した坂口安吾『不連続殺人事件』や、そのとき次点に終わった高木彬光『刺青殺人事件』よりも、3位だった本書の方が上だと思いますが、横溝正史はその前年に『本陣殺人事件』で同賞を受賞しているため評価が抑えられたのだと思います。

・「日本本格ミステリの代表作
ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』、クリスティ『そして誰もいなくなった』における《童謡見立て殺人》に触発されて書かれた本作。

海外発祥のアイディアを日本の伝統的な《見立て》と連結させ、巧みに翻案しています。

また、《見立て》以外にも、本作を語る上で避けて通れないのは、作品構造の根幹をなすのが、《操り》であること。

クイーン『Yの悲劇』からの影響も考えられますが、本作の事件を影で支配する黒幕の計画は、すべて実現され、名探偵であるはずの金田一は(いつも通り?)事件を防ぐことはできず、後追いの解説役にしかなっていません。

しかし、すべてが終わってみると、結果的に黒幕の計画自体が無意味であったことが明らかになります。

金田一だけでなく、黒幕も事件に対し、超越的な立場には立てず、結局は誰もが気まぐれな運命によって翻弄されていたにすぎなかったという、きわめて現代的な読後感が漂います。

・「「Yの悲劇」のようにパズル小説としての究極を極めた作品
本書は日本推理小説史上、最高傑作である。 が、本書に不満を言う人も少なからずいるようだ。最も多いのは金田一探偵の犯罪阻止についての無能ぶりに対する批判、次に多いのは殺人動機に納得できないということらしい。

それでまず、金田一探偵の犯罪阻止についての無能ぶりについて。皆勘違いしているが、探偵の役割は謎を解き明かすことであって、犯罪を阻止することではない。例えば「Xの悲劇」のレーン、「エジプト十字架の謎」のクイーン、「ABC殺人事件」のポアロ、「グリーン家殺人事件」のヴァンス、皆、犯罪阻止に関して無能だった。それに、次々と連続殺人が起き、探偵側が犯人に翻弄されながらも最後に謎を解き明かすから本格推理小説は面白いのだし、探偵が一々犯罪を阻止していたら推理作品自体が成り立たない。

それと動機について。エラリー・クイーンを例に挙げると、推理小説を論理的なパズル小説と位置づけ、謎解きの整合性を何よりも重視し、動機など二の次としている。それは例えば「エジプト十字架の謎」では、解明された殺人動機も犯人がアレほどまでの殺人を起こさなければならなかった動機としては弱いし、同年書かれた「Yの悲劇」などは動機があるのかないのかよく分からないながらも、謎解きの論理を究極に極めたパズル小説として未だ最高の推理小説として賞賛されていることを見れば明らかなとおり、本格推理小説においては動機など瑣末なものに過ぎない。本書も同様、作者は「Yの悲劇」のようにパズル小説としての究極を極めた、ただそれだけのことだ。

獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) (詳細)

悪魔の手毬唄 (角川文庫―金田一耕助ファイル)

・「今読んでも面白い!
個性的な探偵が登場し、不可解な事件をズバッと解決するという、推理小説と言うより、探偵小説と言った方がしっくりする小説であると思います。作者が昔の人なので、舞台も戦後になっており、描写にとてもリアリティーがあってどっぷりはまれます。内容は、不気味で怪しげなので、ホラー好きの人にもお勧めです。

・「犯人がわかりませんでした
横溝正史の推理小説で、初めて読んだのが本作です。完全に犯人を読み誤りました。金田一の推理には多少不満が残りましたが、あとで読み返して、犯人にしかできないことを犯行前に金田一の前でして見せていることがあるのに気づき、納得。しかしこのことは金田一も推理の中で触れていなかったので、横溝氏自身、気づいていなかったのかな、とも思っています。手毬唄も不気味ですし、殺人方法も凄惨ですが、悲しい結末です。

・「読み継がれていくことを願って
 はっきり言って、もう「古典」であろう。映画を見てそれでおしまい、という人も多いのではないか。それではかなりもったいないと思うので、あえて書く。レビュアーは本格の愛好家が多いようだが、あれこれ突っ込みどころはあっても面白いよ、これ。もうこういう雰囲気を出せる作家は出ないだろう。本読みがいる限り消滅することはないと思うが、あまりにもマニアックなレビューが多いので心配になった。映画は、できたら昔のヤツ(岸恵子さんが出る方ね)を見て、それから原作も読もうね。

・「完璧です
山奥の閉ざされた村。覇権を分かつ2件の旧家。出生の秘密。見立て殺人。探偵。これだけのエッセンスが1冊の作品にてんこ盛り!本格ファンなら、よだれモノですよね!

さらにオドロオドロシイ話運び!う-ん!たまらない!

金田一探偵と、磯川警部の友情物語もあり、作者3本指に入る名作!トリックなんかは”獄門島”に譲るが、ト−タルではベストな作品だと思います

・「純文学
 横溝の作品でも一、二を争う傑作だ。

 横溝の作品は迷宮に似ている。大体 20〜30年前に事件が起こっており それから20〜30年経った時代に その昔の事件を発端とした新しい事件が起こる。まず読んでいて その時間軸に幻惑される。

 次には舞台仕立てだ。大体 山間の村であり そこにある旧家をめぐるおどろしい事件が筋である。読んでいて地理的にも幻惑される。

 そのように読者を上手に混乱させながら 一方 金田一耕助のような 不思議な探偵を配する。ますます 話は迷宮に入っていく。

 横溝の真の資質は 谷崎潤一郎や泉鏡花に連なる「耽美派」だ。設定として探偵小説を選んだだけだと強弁できることも可能だと思う。彼の作品の迷宮の美しさを見れば それははっきりしていると思う。ある種の純文学だ。だからこそ 僕は再読を厭わない。

悪魔の手毬唄 (角川文庫―金田一耕助ファイル) (詳細)
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