変身 (講談社文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)
「「勇気」と「匹夫の勇」の違い。」「脳の神秘性と不気味さ」「自分の崩壊、他人への変身。」「自分の足跡」「悲しく切ない。」
マネー・ボール (ランダムハウス講談社文庫) (詳細)
マイケル・ルイス(著), 中山 宥(翻訳)
「ビリー・ビーン。凄い男である」「ベースボールを違った視点から」「メジャー版「弱者が勝者になるために」」「久しぶりにくいついて一気に読めた本」「野球好きなら絶対にお薦めの本です。」
白夜行 (集英社文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)
「なんとも形容しがたい」「じっくりと読ませる悲劇」「活字でこそ深く味わえる物語」「日の当たらない青春を生きた大河小説」「読み取ることが大切。」
ライトニング (文春文庫) (詳細)
野村 芳夫(著), ディーン・R・クーンツ(著)
「クーンツのベスト作品」「守護天使シュテファンは未来からやってきたタイムトラベラーなのか?」「時間SFの常識を覆す凄いアイデアが爆裂」「面白い!」「守護天使はタイムトラベラー」
心の昏き川 (上) (文春文庫) (詳細)
ディーン・クーンツ(著), 白石 朗(翻訳)
「途中でやめられないおもしろさ」「真面目な暗いクーンツの最高傑作!」
暗号解読〈上〉 (新潮文庫) (詳細)
サイモン シン(著), Simon Singh(原著), 青木 薫(翻訳)
「最高です.」「暗号を切り口に世界史を読む」「世界観が変わる」「暗号がここまで歴史を左右していたとは・・・」「暗号をめぐる人間ドラマ」
「これは凄い。。」「とにかく読んでみて損はない」「男(父親、夫)、女(母親、妻)、愛、絆、家族、嫉妬、宿命、未来・・・。」「極限」「過去最高の小説」
天使と悪魔 (上) (角川文庫) (詳細)
ダン・ブラウン(著), 越前 敏弥(翻訳)
「ダヴィンチコード前作、文庫化!」「映画よりも原作が好き」「ダヴィンチコードより面白い」「ストーリー作りの巧みさに脱帽」「科学と宗教を問う」
桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫) (詳細)
清水 潔(著)
「この事件を中途半端にしか知らない人に読んでほしい!」「奇跡の‘傑作’」「「感動した」の一言では済ませられない。。。」「すごい」「圧倒的な読後感」
模倣犯1 (新潮文庫) (詳細)
宮部 みゆき(著)
「圧巻!」「新潮文庫に苦言」「読書の喜びを感じた作品。」「犯罪被害者の苦悩を描き切った渾身の導入部」「読み応え度「大」の超大作」
愛犬家連続殺人 (角川文庫) (詳細)
志麻 永幸(著)
「被害者やその家族には気の毒に思いますが、「凄い」の一言」「これは最高のホラーノンフィクションだ」「最強のノンフィクション」「怪物だよ。」「すべて人の子の仕業」
よく見る夢〈上〉 (詳細)
シドニィ シェルダン(著), Sidney Sheldon(原著), 天馬 龍行(翻訳)
「満足しました」「ほんとにはまりこんでしまいます。」「3頁よむと絶対にやめられません。」「よかったよ~ん。」「目新しいパターン」
極大射程〈上巻〉 (新潮文庫) (詳細)
スティーヴン ハンター(著), Stephen Hunter(原著), 佐藤 和彦(翻訳)
「静寂の中、つばを飲む「ごくっ」という音が妙に響いた」「呆れるほど面白い」「圧倒的な面白さ」「小説を読んで映画を見たけど」「面白かった〜」
ダーティホワイトボーイズ (扶桑社ミステリー) (詳細)
スティーヴン ハンター(著), Stephen Hunter(原著), 公手 成幸(翻訳)
「あと何発残っている?」「読者の期待を良い意味で裏切る、4部作の第2作」「本書のテーマは「父性の復権」です。」「犯罪者と警官の見事な対比」「自由っていいなぁ」
殺人者はそこにいる―逃げ切れない狂気、非情の13事件 (新潮文庫) (詳細)
「新潮45」編集部(編集)
「【賞罰なし】の言葉の意味を実感」「まさに事実は小説よりも奇なり」「怖い本です」「異常な事件を忘れないで」「殺人を周辺から浮かび出させる恐るべき記録」
「再読する価値あり!」「最高の一冊」「自らが居合わせてしまったような緊迫感」「最高傑作!」「読み応え十分」
発掘捏造 (新潮文庫) (詳細)
毎日新聞旧石器遺跡取材班(著)
「捏造の背景の無惨さ」「歴史的スクープの総合報告書」「ゆがんだ価値観」「興味深い。読むべき本。」「内容にはまったく文句はないが……」
不夜城 (角川文庫) (詳細)
馳 星周(著)
「どもまでも黒い」「行間に漂う悲しい結末の予感」「青春時代に出会えてよかったと思える一冊」「この本は。。。」「だましだまされ」
鎮魂歌(レクイエム)―不夜城〈2〉 (角川文庫) (詳細)
馳 星周(著)
「不夜城ならではの虚脱・脱力・無力感」「「不夜城」の二年後を描いた、ロマンノワールの傑作です。」「「不夜城」の二年後を描いた、ロマンノワールの傑作です。」「まずは『不夜城』を読んでから。」「不夜城読まずとも...」
雪月夜 (角川文庫) (詳細)
馳 星周(著)
「暗く重く美しい」「内容はおなじみのパターンだが」「憎しみ」
夜光虫 (角川文庫) (詳細)
馳 星周(著)
「「不夜城」に次ぐ完成度の高い作品」「「不夜城」に次ぐ完成度の高い作品」「研ぎすまされた文体」「人間の屑、The king of trash!」「最後のシーンが・・・。」
アンダ-グラウンド (講談社文庫) (詳細)
村上 春樹(著)
「村上春樹の珠玉のドキュメンタリー:誰にでも語るべき物語はある」「すべての学生諸君に奨める」「「悪意」との対峙」「私自身被害者ですが、良く書けていると思います。」「小説家としての春樹の最高の倫理的な仕事!」
約束された場所で―underground 2 (文春文庫) (詳細)
村上 春樹(著)
「見えないものを言葉にしていくプロ」「客観的な読み物」「面白いですね。」「やっぱり、何か変だ。」「社会の闇に入り込んでいるもの」
将棋の子 (講談社文庫) (詳細)
大崎 善生(著), 森 信雄(解説)
「紙一重の人生」「様々な人生の縮図の一つ.しかし復活権は誰にもある.」「泣けてしょうがない」「通勤バスの中で激泣きした」「プロになれなかった少年たちへの応援歌」
パンドラ抹殺文書 (ハヤカワ文庫NV) (詳細)
マイケル バー=ゾウハー(著), Michael Bar‐Zohar(原著), 広瀬 順弘(翻訳)
「これほどドキドキした小説はない」「スパイ小説の傑作の一つ」
● 勝つための野球
● この妖怪が出てくるシリーズがミステリーぽい!! BEST5
● 「現代の眩暈」〜集団ストーカー/電磁波ハラスメント/ガスライティング関連
● 本系3 実録物
● 読んだ小説1
● 読んだ本リスト
● 記憶に残る本
● 読んだ本
・「「勇気」と「匹夫の勇」の違い。」
とにかく結末がどうなるのかさっぱり分かりませんでした。ドナーに関しては割と早い内に先読みしていましたが、しかしだからって、結末予想には結びつきません。むしろハラハラドキドキするばかり。私は当初は目覚めたばかりの頃の主人公のもともとの弱々しげな人格を鬱陶しいと感じていたので、退院する頃の人格はなかなかしっかりしていて男らしいと好意を感じましたが、その後変身が進むにつれ、ページをめくるにつれ、ジュンのもともとの人格が恋しくなりました。冷静に考えたらジュンは弱いんじゃなくて優しいんです。本当に優しいから女の子を護る為に銃弾を受けたわけです。ジュンの父親は、残酷な事をしたり、木から飛び降りたり、゛若い内の悪い事のひとつやふたつ゛などという「匹夫の勇」を「勇気」と誤解していましたが、それでは本質は京極と同じなわけです。京極は弱い。彼こそが弱い。他人の痛みを感じないのは強さではなく、鈍感なだけ。そうかと思えば自分の痛みには恐ろしく敏感で、その痛みを振りかざして自分の価値観だけで他人を裁く。息子の個性をありのまま受け容れる事が出来なかったジュンの父親と根本が同じ。でも「匹夫の勇」を「勇気」と思い込んでる人は本当はとても多い。結末には満足しました。平凡で、特別な才能はなくて、だけど「愛」を知ってる恋人たちに感動しました。
【追記】直子さんにはあまり好意を感じませんでしたが、さすがに可哀想でした。
・「脳の神秘性と不気味さ」
今まで自分が無意識の内に別の人格に変貌する話はあったかと思うが、この作品のように意識がはっきりとした状態で他人の人格にゆっくり移行していく話は無かったのでは無いだろうか。生体への脳移植は、実例(成功例?)が無い中空想の域を脱しないとは思うが、生々しい描写により現実に起こっているような錯覚に陥ってしまった。最愛の人が愛せない、好きだった絵が書けない、他人を見下す(殺意を抱く)など、考えただけでも恐ろしく、脳の神秘性に不気味さすら感じてしまったのは私だけでは無いかと思う。人間の脳に興味がある方は是非読んで見て欲しい作品である。一つ理解できないのは、橘直子が身の危険を感じながらも、身を呈しても調査し続けたのは脳医学探求の為なのか別の理由もあるのかという事である。それだけ、脳は学者に取っても神秘的な存在なのだろう。
・「自分の崩壊、他人への変身。」
徐々に「自分」が「他人」になっていく純一の苦悩・悲しみ・苛立ち等に胸が締め付けられる思いでした。そして、徐々に変わっていく彼を見守るしかできない恵にも涙してしまいます。
この作品の素晴らしい所は脳移植により直ぐに他人に変わってしまうのではなく、徐々に他人に支配されていくというところにあると思います。その過程が残酷なまでに生々しく描写されていました。
この作品はなるべく時間を掛けて読みたかったのですが、読まないようにしても3日で読みきってしまいました。それ程、読み始めると止まらない作品です。
ラスト付近で純一が恵に自分の想いを伝える一言で、私の涙腺は崩壊しました。非常に面白い(語弊が生まれるかな?)作品でした。是非。
・「自分の足跡」
すごくリアルに自分が自分でなくなっていく過程が描かれている。「生きているということは自分が足跡を残していくことだ」という一文には深く納得。アルツハイマー患者は自分が残した足跡が消えていく。でも主人公、純一は自分が残してきたはずの足跡がどんどん他人のもののように思えてくる。どちらも生きていくのが空しくなるだろう。でも愛する人を愛したい気持ちがなくなっていくのを止められない、しかもそれを自覚しているという点においては後者のほうがつらいだろうと思う。最後に純一があの絵を描き残してくれてよかった。
・「悲しく切ない。」
最近、東野圭吾のファンになって、作品を読みまくっているのですが、この本は、私の中で特に好きな作品のひとつです。同じく医療を扱ったもの(?)の「分身」と比べると、「分身」のほうが後味がよいというか、すがすがしさが残ります。一方、「変身」は切なさが残ります。だんだんと主人公の人格に変化が生じ、ちょっとグロなシーンもありますが、そこが私はとても悲しくなりました。もう、主人公はいなくなってしまったのか。でも、最後に主人公が恋人に言った一言がとても心に残りました。胸が一杯になりました。恋人にとっては、本当に嬉しかった一言ではないでしょうか。読み応えは大です!!
・「ビリー・ビーン。凄い男である」
野手に必要なのは長打率と出塁率。四球とヒットは同価値である。シングルヒットは投手の責任ではないetc。そういった理論で他球団が見向きもしない選手を安く仕入れて、優勝を争うチームに仕上げる。そして、活躍した選手を高く売り、その資金で選手を仕入れ再び優勝を争うチームに仕上げる。貧乏球団アスレチックスのGMビリー・ビーンの哲学である。そんな彼が率いるアスレチックスの費用対効果は素晴らしい。
この作品に書いてあるのだが、野球選手の本当の実力を、誰もが知っている打率や打点だけでは評価しない、という試みは野球関係者以外の間では以前からあったそうである。最も野球関係者は相手にしなかったのだが…。
ビリー・ビーンの凄いところは、その方法を採用すると決めた決断もしただけではなく、それを徹底した点である。そこに現れている数値を冷静に判断する彼の行動が、かなり感情的で強引なのがおかしいが、結局のところ彼のこのキャラクターがなければアスレチックスの躍進はなかったであろう。それは、彼の片腕であり、後にドジャースのGMに転身したポール・デポデスタが2年で解雇された姿を見れば明らかだと思う。知性と野性を兼ね備えた男ビリー・ビーン。毀誉褒貶はあるに違いないが凄い男である。
ただ、すべてがアスレチックスのようなチームになった野球が面白いかと言えば、答えはNOであろう。“金満球団“ヤンキースや豪快な空振りをする選手、魔法のような守備を見せる選手は必要である。そういった存在がなければアスレチックスの魅力も輝かない。そして、その逆もいえるのである。
野球。一つの物差しでは測ることの出来ない奥の深いスポーツなのである。
・「ベースボールを違った視点から」
選手年俸の低かったオークランド・アスレチックスの話。かつて選手でもあったジェネラル・マネジャー、ビリー・ビーンの選手時代、裏方への転身のエピソードを交えながら、選手をどのように分析し獲得して戦績を残したのかを記した本です。選手獲得に必要なデータの分析をいかにして行ったか、選手やスカウトの意識改革、トレードの裏側など試合を見ているだけではわからないことも書かれており興味深い内容でした。ベースボールを違った視点から見られる、そんな一冊です。
・「メジャー版「弱者が勝者になるために」」
貧乏球団のアスレチックスが強豪の座に座り続けるのは何故か?本書は、斬新な切り口のデータ分析に基づく科学的アプローチを駆使する球団フロント(ゼネラルマネージャー)に密着したドキュメントです。日本では野村ID野球が有名ですが、その更に上を行くデータ主義。お国柄やベースボールの成熟度に違いもあるのでしょうが、日本で同じアプローチをする球団をみてみたい気がします(果たしてその球団はどんな結果になるのか?)。その一方で、やっぱり野球には人間的な側面(「チャンスに強い」とか)があるから面白いんだよなぁ、と野球の面白さを再認識させられます。ところで、私は本書をビジネス書として読めませんでした。この本のどこから何をビジネスに役立てられるのか。例えば、第9章「トレードのからくり」などは、メジャーのフロントがどのような駆け引きをしているのか、ハラハラしながら読むことができます。ごくごくシンプルに娯楽作品として楽しんだほうが本書の良さが感じられるはず。野球を好きな人は必読の書です。
・「久しぶりにくいついて一気に読めた本」
GMのビリービーンがすごいです。統計学を駆使して新しい野球理論・・・すごいクールな科学者ぽいGMなのかと思いきや、時折みせる彼の言動はまるでジャイアンみたいな理不尽ぶりです。予想を見事に裏切ってくれます。こんな人でもGMになれるんだぁ・・・と正直思いましたが、逆にジャイアンだからこそ愚直なまでの新野球論をトップダウンで下させるのかもしれません。あらっぽい性格の反面、今までの野球感すら否定するような(ある意味、彼自身のMLB時代の苦い経験だからこそなのだが)統計にもとづいた野球理念の徹底追求。描写表現も絶妙で笑えたし考えさせられる点も多々ありました。そのせいか集中して一気に読破できました。おすすめの一冊です。
・「野球好きなら絶対にお薦めの本です。」
野球について多少の知識はあったつもりですがこの本を一度読んだ時はまさに驚きの連続でした。
本書は主にオークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーンについて書かれた本です。お世辞にも資金が豊富とは言い難いアスレチックスがなぜ毎年のように優勝争いできるのか?がテーマですが、そのアスレチックスを支えている本の随所に見える野球に対する細かなデータ、それから導き出されるまったく新しい理論の数々にひたすら驚かされます。
もちろん理論だけでなく、ビリー・ビーンのGMとしての辣腕ぶり、トレードの手腕とそれを可能にしているメジャーリーグのシステムにも驚かされます。
そして、この新しい理論とビリーの辣腕によって他球団ではろくに評価されなかった選手が生き生きとアスレチックスで活躍する様子が読んでいてとても痛快です。描かれたビリーの強烈な個性も相まって、単純に読み物としても面白く仕上がっています。
これだけ驚かされた野球に関する本は無かったように思います。一度読めば野球に対する見方、考え方はがらりと変わるでしょう、本当にお薦めの一冊です。
・「なんとも形容しがたい」
桐原亮司と西本雪穂。二人が小学生から大人になる十九年間の物語。高度成長末期からバブル経済の時代まで。彼らが歩む人生の周囲では、次々に不幸になる人々がいる。人々を絶望の泥沼に蹴落としながら、雪穂は睡蓮のように美しく咲き誇っていくのだ。 二人の主人公と読者の間には、レースのカーテンのような物が揺らめいていて、その姿ははっきり見えない。 特異な小説である。主人公二人の心だけが、一切描写されていないのだ。その周辺でもがく人々の主観を介してしか、亮司と雪穂に辿りつけない。
テレビドラマに引き込まれて、一気に読破した。過去にドラマ化不可能などという形容の小説は幾多もあった。しかし、本当に不可能な小説に出会ったのは初めてであった。 亮司と雪穂という主人公の人生には、殺人事件、レイプ、失踪、ハッカー犯罪などの事件が溢れている。最後のピースがはまった時、それらが純粋な魂から溢れ出た「果てしない悪意」だと読者は知る。 この小説と、放送が開始されたTVドラマとは、全てが違う作品になっていくだろう。小説だけの読者は、雪穂たちから、究極の悪意の快感を覚える。TVドラマだけの視聴者は、絶対的な純愛に感動するだろうからだ。そして両方を知った者は、鏡のように全てが正反対の、原作とTVドラマの特異なコントラストにくらくらと酔う。 小説とTVドラマが意図的に乖離せざるおえない作品。 昔、映画の「風と共に去りぬ」観た。その後に原作を読み、映画版のできの悪い模造品に感じた。これとは対照的に、百夜行は原作と映像作品が別個に独立した作品となっていた。両方とも鑑賞される事を強くお勧めします。
・「じっくりと読ませる悲劇」
仕事の合間を縫って、2日間ほどで読み終えました。最近この本を手にした多くの方と同様、私もドラマを見て、関心を持った一人です。 (売り切れの書店ばかりで大変でした)
読み終えて、真っ先に思ったのは、「ドラマを見る前に読めばよかった」という後悔でした。
ドラマの最初のシーンが本のラストにあたり、更に徐々に浮かび上がってくる二人の関係が、ドラマの初回で既に描かれてしまい、読みながら考えていく楽しみが減ってしまいました。また、読みながら俳優さんたちの顔が浮かんできて…(苦笑)
雪穂と亮司のふたりを決して同じ場面に出さず、出来事と周囲の人間の発言だけでつながりを浮かび出させていく…笹垣の口を通して描かれる解釈すら真実なのか?
あくまで最後は読者それぞれで彼らの人生を考えろ、というのが作者の狙いなのでしょうか。
確かに雪穂には人間の「情」というものが微塵も感じられません。心を失った彼女が、分身である亮司まで失ってしまった。美しいただの抜け殻であり、これから先の彼女の人生は、延々と続く悲劇でしかないでしょう。
全く救いがない物語ではありますが、救いのない悲劇をここまで描ききったことは見事としか言いようがないと思います。
最後に、この本とドラマは、全く別物として、それぞれ楽しんだほうがいいと思います。
・「活字でこそ深く味わえる物語」
文庫版を解説している馳星周氏は本書をこう評している。「人間の暗い側面、邪な断面、人間のそうした性質を助長する矛盾した世界。それを描くのがノワールだと定義したならば、『白夜行』はもはや、ノワール以外の何ものでもない」そう、「白夜行」は紛れもなく上質のノワールなのである。暗黒街やマフィアが登場する作品ばかりがノワールではないのだ。
20年にもおよぶ亮司と雪穂のダークで沈鬱な物語。2人の人生には常に不気味な犯罪が見え隠れする。しかし、読者は2人の心の闇、心の傷をうかがい知る事はできない。小説には2人の内面はいっさい描かれていないのだ。冷たく、重い物語だ。出口がなく、救いのない物語だ。読後の爽快感はない。だが間違いなく後をひく傑作だ。
この名作がドラマ化されるという。小説では2人の内面描写がなく、余計な説明もないからこそ、深い読後感を味わえる構造になっているのだ。陳腐な純愛ドラマに貶められないか、非常に心配である。
この重い世界観は活字だからこそ味わえるものではないだろうか?表現手段が違うのだから、ベストセラー小説を何でも映像化するのは反対だ。活字だからこそ表現できるものもあれば、映像にしか表現できないものもある。「白夜行」は活字でこそ生きる物語だと思う。
・「日の当たらない青春を生きた大河小説」
2回読破しましたが、2回とも変わらず楽しめました。舞台が私の住居と近い東大阪であることもひとつの要因として、のめりこみました。二人の人生の中で描かれている社会現象も懐かしく、共に時間をすごしているような錯覚すら覚えます。
懺悔のためか、決して太陽の下に出られないような人生を選び、愛するがゆえに影から守る。決してハッピ―エンドにはならないと分かる半生を生きるには勇気、絶望どちらが必要なのでしょうか?
著者の最高傑作のひとつであるのみならず、日本のサスペンス小説の宝であります。
・「読み取ることが大切。」
書評を読んでから小説を購入し、読みました。主人公の二人からの細かな視点は、この小説に必要では無い、と私は感じました。
なぜなら、たくさんの登場人物たちの複雑に絡み合った関係。過去の事件の真相を探る上で知りえる情報。二人の台詞。事細かに描かれており、たくさんの章があって大変だとは思いますがそれらをしっかり読み取ることで、二人の関係や想いを感じることは、できるからです。
この小説に、「雪穂はこう思った」「亮司は雪穂に対してこうこうこういう気持ちだった。」なんて視点があったら、野暮だしおもしろくはありません。
それから、ネタバレになるので詳しくは書けないけれど、二人がそれぞれ違うシチュエーションで、違う相手に向かって言う、同じ意味の言葉があります。それが唯一、二人の関係を示すものとなるのではないでしょうか。
この小説を読み終わったとき、私は村上龍氏の「コインロッカー・ベイビーズ」を読んだときと同じような気持ちになりました。生きるため、自分を守るため、誰かを守るためのエネルギー。様々な策略が感じさせるダークな部分。そういう点が共通してるのではないでしょうか。
素晴らしい小説だと思います。
小説の内容とは無関係だけど、文庫本は上下に分けて欲しかった。。。あのページ数の文庫本は手に持って読むのに向いてません。
・「クーンツのベスト作品」
クロスジャンル、ジェットコースター・・・。様々に形容される人気作家ディーン・クーンツ。彼の作品の中で一番好きな作品がこの「ライトニング」。はっきりいいましょう。「バック トゥ ザ フューチャー」よりも面白い!!ロバート・ゼメキスの奇跡的な名作映画を上回る面白い作品です。少女に危機が訪れる度に現れる一人の男性。なぜ彼は年を取らないのか・・・一体何者?読みだしたが最後、一気に持って行かれてしまうスピード感は最高!小説なんてつまらない、読書の面白さなんてわからない、というのがいかにもったいないことかが良く分かる小説。最高のエンターテイメントノベル!!
・「守護天使シュテファンは未来からやってきたタイムトラベラーなのか?」
ローラに危機が訪れるたびに、空には閃光が走り、守護天使シュテファンがどこからともなく現れて彼女を救う。彼は、未来からやってきたタイムトラベラーなのか?それとも・・・
自分が確定してしまった過去の歴史は訂正することができないけれども、タイムトラベラーにとっての未来の歴史は変えることが可能。このことを逆手にとって、2つの時代を見事にノベライズしたのがこの小説。ローラと親友セルマ、ローラと息子クリスとの思わず吹き出したくなるようなウィットあふれる会話がたっぷりつまっているところも、見所!
・「時間SFの常識を覆す凄いアイデアが爆裂」
ナチスドイツが出てくる時間SFとしても、ジェイムズ・P・ホーガン の「プロテウス・オペレーション 」 より出来がいい。なんでこのネタをSF作家は考え付かなかったのだ!という時間SFの常識を覆す凄いアイデアが爆裂します。ネタバレしたくないので、この作品のタイムトラベルのルールも紹介しない。スリラー・サスペンスとしてもテンポが良くて、無駄な描写がない傑作なので、読んで絶叫して下さい。
・「面白い!」
前半では主人公(女性作家)の成長していく過程がリアルに描かれるのだが、不思議な出来事が幾度となく起きるものの、さほどテンポは速くない。ところが後半、すさまじいジェットコースター小説と化す。と言っても単なるアクションではない。ポイントは、いかに矛盾(タイムパラドックス)を避けながらタイムマシンを利用し、敵と戦うか、敵の裏をかくか。時空を超えた白熱チェイスが展開される。こんな小説は初めてだった。次はどーなるんだ?次はどーなるんだ?と昂奮しながら、いっきに読めてしまう。
・「守護天使はタイムトラベラー」
これはタイムトラベルものです。良く言われることですが、過去の歴史を変えることはできない!このセオリーどおりヒロインの守護天使は未来を変えにやってきます。稲光(ライトニング)とともに・・・。時の彼方から・・・。さて、それはいつの時代でしょうか。いつか、このお話が映画化されることを望みます。
・「途中でやめられないおもしろさ」
クーンツの作品の主人公はいつもたいていトラウマを背負っている。これも例外ではなく、また主人公の犬さえトラウマがある。ひっそり生きていこうとしていた主人公は、だが事件に巻き込まれ、思いがけないことが次々と起こっていく。まるで映画を見ているようで、読み始めたら止まらない。そして読み終わった時には人生が少し好きになっている、そんな本だ。
・「真面目な暗いクーンツの最高傑作!」
全長1メートルのゴキブリやUFOやゴジラが出て来るが、ホラーでもSFでもなくて、サスペンスの枠に収まっています。ヒロインは自称超能力者だが、それはギャグであり、真面目な心の闇を描いたサスペンススリラーアクションの傑作。ラストのアクションは、<ゴジラ>が二階建ての家も一瞬にして破壊し、暴れまわるが、あくまでもサスペンスアクションの範囲に収まっています。巨大ゴキブリやゴジラが出てきてどこが真面目なサスペンスやねん!と思われる方もいるかもしれないが、この作品は真面目な暗いイメージが流布され過ぎていると思うので、お馬鹿なクーンツの面を強調してみました。敵の魅力はクーンツ1であろう。悪の敵も運命の女と出会い、最凶最悪の悪のカップルの愛が素晴しい!正義の善のカップルは正常位でセクースしないといけないが、彼らは究極の異常な悪なので、セクースしないのである。肉体の最大の接触はホッペにチュまでである。それでも性欲を昇華させエクスタシーを感じるこの悪のカップルが素晴しい!地球環境を守る為に人類の9割を抹殺しないといけないという使命感に燃えているカップルなので、子供を増やして地球環境の汚染などしない素晴しいカップル。正義の主人公は、一目惚れした女の為に戦っているだけだが、悪の方は地球の為に戦っているのです。目指すは誰もセクースせずに単為生殖で人間が生まれる理想社会!素晴しい悪の魅力に陶酔して下さい。正義の主人公は少年の時に、父によって顔に醜い傷を付けられたトラウマがあり、職業も警官であり、T・ジェファーソン・パーカー の『サイレント・ジョー』 を思い出してしまうが、私は『サイレント・ジョー』 よりこっちの方に感動しました。
・「最高です.」
紀元前の初歩的な暗号から第一次世界大戦でドイツ軍が使用し他国を震撼させたエニグマ,さらに現代の量子暗号までの暗号の歴史を,暗号開発,解読に携わった技術者たちの話や,暗号のしくみとともに紹介しています.
非常に面白いです.前作「フェルマーの最終定理」よりさらに面白くなっていると思います.エニグマをめぐる各国の争いなどは,普段探偵マンガなどにみるダイイングメッセージの解読とは違い,生死の際で必死になって暗号解読にとりかかる技術者たちの姿が克明に描かれています.すでに過去の話であるため公開されているとはいえ,各国が極秘事項をどのように扱っていたか,国どうしの関係なども描かれていて興味深いです.
・「暗号を切り口に世界史を読む」
アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』で長門が読んでいた本の文庫版だ。 上下巻で600ページを超える厚モノだが、これは面白い。一気に読めてしまう。 この本の凄いところは、暗号にまつわる物語を「スコットランド女王」の物語から始めて「暗号解読」を「人間ドラマ」として読ませてしまうところ。 フランスの鉄仮面、エニグマ暗号を巡るドラマ、ゴールドラッシュ時代に隠された宝探し、第二次世界大戦のナヴァホ族の言葉を使った暗号などなど、古代文字の解読から現代のコンピュータ通信網まで、暗号を使う人のドラマや暗号を解読する人のドラマ、暗号の現れる舞台には必ず人のドラマが存在する。 一方で、この本は本格的に「暗号の解説本」でもあり、解読テクニックの詳細を徹底的に書き込んでいて、ただの歴史解説本ではない。ほとんど数学書のようなページもあって、コンピュータを使用しないレベルの暗号については、実際に読者が解読に取り掛かれるだけの情報を盛り込んでいる。巻末には懸賞金をかけた「挑戦問題」まである。 「暗号解読」をこんなにスリリングな読み物にしてしまう「サイモン・シン」というライターは凄い。他の本も読みたくなってしまった。
・「世界観が変わる」
世界の情報化が進む中、暗号の重要性は益々大きくなってきている。
普段、何気なくウェブで買い物をしたりメールを送ったりしているが、これらが安全にできるのは暗号のお陰である。現在は当たり前のように使われている暗号だが、そこに至るまでには様々なドラマがあった。
上巻では、暗号の歴史が主に書かれている。カエサルから第二次世界大戦に至るまでの暗号作成者と暗号解読者の攻防がいきいきと描かれている。歴史、戦争にこれほどまで暗号が関わっていたということに驚く。
過去の歴史の中で使用されてきた暗号は種々あるが、具体的な暗号の例を一つ挙げよう。最も原始的な暗号の一つに、アルファベットのある一定分ずつずらすというものがある。例えば、dogという単語を一文字ずつ後ろにずらすと、ephという意味のない文字列に変換される。この手法で作られた暗号は素人目からしたら十分に解読不可能と感じられるが、このタイプの暗号は解読者の手に掛かれば見事に解かれてしまう。その手法に現代にも通ずるような統計学、言語学の知識が使われていたことは驚くに値する。
下巻では、現在の安全なウェブ社会を支えている暗号を実現するために最も大きな問題となる「鍵の配送問題」が中心に記述されている。
ある人が他の人に暗号を送る場合、暗号を送るだけでは正当な受信者はそれを復号できない。復号するには、「鍵」が必要で、それをある法則に従って暗号に当てはめ、解読することが必要となる。従って通信を成功されるには送信者は受信者に鍵を事前に知らせておく必要がある。
この鍵を知らせるためには、それを直接持っていく、または第三者に委託するなどの方法があるが、いずれも盗み見られたり奪われたりする危険性を免れない。またウェブ社会では相手が不特定多数になるため、一々配ったりすることもできず、この問題は大きな障害となるはずであった。しかし、これはある数学的知見により見事に解決されることとなる…。
上下巻とも非常に面白く読み応えがあるのであわせて読まれることを薦める。なお、補遺は下巻の巻末についているため、参照しながら読みたい人は上下巻をセットで買った方がよい。
・「暗号がここまで歴史を左右していたとは・・・」
「フェルマーの最終定理」のサイモン・シンが暗号ものに挑むとなると読まずにはいられない。期待を上回る内容で再度この著者の力量に感嘆してしまいました。暗号解読から古代文字の解読まで、途中途中に様々なエピソードを混ぜ合わせながら、暗号そのものの魅力と、その暗号にまつわる国家や組織人物を、余すことなく伝えてくれる。面白いのは、暗号作成側と解読側のそれぞれの時代の攻防だ。きっと今現在も平和な暮らしの裏側で壮絶な暗号を巡るやり取りが行われているんだろうと思うと背筋がゾクゾクするようなワクワクするような・・・暗号学の異色さはこの一文が如実に語っている「プロの科学者の大半は誰よりも先に仕事を発表しようとする。なぜなら彼らの仕事は広められて初めて真価を発揮するからだ。それに対して暗号の研究は情報が漏れる可能性を、最小限にとどめてこそ最大限にその価値を発揮する。暗号に関する秘密が公開されるのは秘密にしてもこれ以上意味がないことが明らかになったときで、ただ歴史的正確さを期すためだけのものでしかない」国家的なプロジェクトの暗号解読により、間接的に多くの犠牲を防いだ英雄的暗号解読者達は、ほとんどがその偉業を世間に知られることなく死んでいる。そんな知られざる偉人達に遅まきながらも拍手を送ることが出来る名作。面白い。
・「暗号をめぐる人間ドラマ」
「フェルマーの最終定理」に魅了され、この本も購入。
今回の「暗号解読」も素晴らしい出来だった。暗号解読者と作成者の間で繰り広げられる果てしない知的競争、その中で進化していく暗号。そこに暗号に関わってきた人間達のドラマが加わり、知的興奮と感動が同時にやってくる。
中でも鍵配送問題、公開鍵が取り上げれる下巻は最高だった。
・「これは凄い。。」
涙の無い感動。読了後 呆然。悲壮感、喪失感、虚無感、孤独感、絶望感。なんとも形容し難いブルーな感覚に陥りました。「うわぁ、マジかんべんしてよもう。こんなのって。。」という気持ちです。男って、心が弱いからせめて体だけは強くできているのかも。男にはちょっとつらい。女性にとってはどうなんでしょう?
自分が主人公の立場だったら耐えられそうにも、そして立ち直れそうにもないです。実際読み終わってブルーな気分からしばらく立ち直れませんでした。終わってからもう1度クライマックス付近を読み返すことでしょう。そもそも誰が悪いのかと問われたら、誰も悪くない様な、誰もが少しずつ悪い様な。最善の選択なのか、仕方無しなのか、ずるさなのか。
そして、ではどうすれば良かったのか、と考えずにはいられません。ラストで解るタイトル「秘密」の理由。必読です。
・「とにかく読んでみて損はない」
絶賛する人の多い一方、感情移入できない人や、しすぎて反感を覚える人も存在する本です。私自身は、沢山本を読む方ですが、読み終わった後、20分程「呆然」としてしまう本に初めて出会いました。
意外な展開だけでは呆然とはしません。主人公たちの「想い」に衝撃を受けて、呆然とするのです。
身近に妻や夫や娘のいる人、その人を大切に思っている人ならば、素晴らしい作品だと素直に思えるのではないでしょうか。
夫婦というものが、恋人関係のような単純なものでない事を知っていれば、なおさら感じ取れる部分や場面が増えることでしょう。
・「男(父親、夫)、女(母親、妻)、愛、絆、家族、嫉妬、宿命、未来・・・。」
江戸川乱歩賞受賞作『放課後』から14年後の1999年に日本推理作家協会賞を受賞したあまりにも有名な作品が本書『秘密』である。前作のラストがあまりに衝撃的であったせいか、本書も最後の最後で「何かがある」という私なりの「構え」が必要であった。
亡くなったと思われた妻の心が娘の肉体に宿るという不可解な事態に戸惑いながらも、平介と直子はこれまで通りの生活を始めてゆく。肉体は事故当時小学校5年生であった娘である以上、当然のように彼女は成長してゆく。彼女は「女として後悔させたくない」という強い決意から、中学受験と高校受験を果たし、そして最終的には医学部に進学してゆく。夫はその成長を静かに見守りながらも自分には決して与えられない(過去の)時間=青春と若さに嫉妬を募らせてゆく。夫婦であっても普通の夫婦ではない。そこに男としての痛いほどの苛立ちや葛藤を覚えずにはいられない。
ラストの部分に至るまでの筆致はこうしたさまざまな人間の本性・感情を生々しく描き出し、正直なところ平板な印象が拭えない箇所がなかったといえば嘘になる。しかし、である。やはり東野圭吾は卓抜した手法と構想力を有していることを遺憾なく発揮してくれた。382頁以降からだ。心は妻の直子だったところに、娘の藻奈美の心が蘇ってくるのだ。そして二人ではあるが、三人で生活をしているような奇妙な家族生活が始まる。以降のストーリー展開は書かないほうがよい。本書のタイトル『秘密』に投影された作者の真意も読者自らが味わうべきである。
とはいえ、一言だけ記しておきたいのは、やはり覚悟を決めたときの直子の深層心理である。むろん複雑であったに違いない。しかしそれは彼女の「宿命」であり「使命」でもあった。彼女の心はいつまでも愛する夫である平介を見守り続けるに違いない。そしてそれを悟った平介の心のなかにも彼女の魂が未来永劫に生き続けるに違いない。感銘の作品だ。
・「極限」
直子の行動が、平助への愛と感ずるか、身勝手と感ずるか、筆者はその中間でみごとに筆を運んでいきます。直子の藻奈美への思いのなせるわざなのか、どうしようもない諦観のなせるわざなのか、あるいは、身勝手な本質ととるのか、読者の性別や年齢によっても、大いにわかれると思います。ひとつの極限におかれたときに、自分がどう行動するか、どんな思いを持つか、内なる思いがつまびらかになる、その極限を描いた大傑作です。
・「過去最高の小説」
遅ればせながら拝読いたしました。東野圭吾の名前は聞いたことはありましたが、流行りものの小説家と高をくくっていたならば、読んでびっくりしました。過去においてこんなに心を揺さぶられた作品はありませんでした。
・「ダヴィンチコード前作、文庫化!」
映画化も決定し、ついに文庫化になった!題名とは裏腹に、インディージョーンズばりの痛快なストーリー。主人公のロバートはミッキーの腕時計をもつアメリカン。しかし…取り扱っているテーマがでかい。科学は間違いないと日本人はまず考え、日用生活の善心が心を支えると言うだろう。しかしその心は、なにか事が迫るとき、神と思えるものに祈るのは何故だろう。
・「映画よりも原作が好き」
友人に上巻だけもらいました。映画化されたということは知っていましたが、
ダビンチコードも読んでいないし見ていないしなにより歴史、世界史が大嫌いなのでテキトーに読もうと思いぱらぱらし始めました。
最初の10ページほどは読みにくかったもののその後は一気にジェットコースター気分でした(笑)。
登場人物の対話を通して細かい歴史や状況設定が説明されていて、読んでて違和感無く背景を理解で行きました。
しかも僕の好きな量子の話があり、反物質まで出てくるのは驚きでした。
映画も見に行きましたが原作の上中下巻を読むだけで10時間近くかかるのを2時間半に収めるのは無理だったようで
感動指数は原作のほうが圧倒的に高かったです。こういう小説を読むとすごく気分がいいですね。
・「ダヴィンチコードより面白い」
ギリシャ神話や伝説系が好きな人には絶対おススメの本。
・「ストーリー作りの巧みさに脱帽」
著者であるダン・ブラウンの緻密な調査に基づくストーリー作りの巧みさに脱帽です。
科学と宗教とは手を結び合えるものなのか。それとも水と油のように決して混じり合えないものなのか。はたまた科学と宗教とは同じ宇宙の真理を別の観点から追求しているのか。この主題を中心に、謎解きとアクションがふんだんに織り込まれた悲劇性と意外性の強い緊迫したストーリーが展開され、全編一気呵成に読んでしまいました。
基本的に宗教が自らの自己保身のために行ってきた数多くの罪悪が糾弾されますが、しかしながら一方的に宗教を否定するほど単純な内容ではありません。思うに、宇宙の真理の探究は科学にまかせ、宗教は人を罰したり救ったりするような人格神信仰を捨て、純粋に人が人としていかに生くべきかの指針を示す倫理観や道徳観など説くべく生まれ変わる必要があるでしょう。
本作はもちろんフィクションですが、その記述の多くが真実に基づいています。例えば〈インターネットのウェブと言う概念はセルンで発明され素粒子物理学者の間で培われた〉は事実です。ただし、セルンで反物質を作り出すことはできますが、それを大量に安定して保存することは現在の技術では不可能です。その他、事実と創作が見事なまでに組み合わされており、その融合も見事です。
巻頭の芸術作品の写真やローマとヴァチカン市国の地図も良い参考になります。
ただ訳者に一言。〈Particle Physics〉は、〈粒子物理学〉ではなく、正しく〈素粒子物理学〉と訳してもらいたかったですね。
・「科学と宗教を問う」
『ダ・ヴィンチ・コード』で知られるダン・ブラウンの"ロバート・ラングドン"シリーズ、第一作『天使と悪魔』の上巻。物語の前半が描かれるこの巻は、科学的なエッセンスと宗教的なエッセンスが見事に折衷されており、先の展開を色々と予想出来る。一見、これは科学の読み物ではないかと思われる程に緻密な科学描写に好奇心を掻き立てられる。尤も、自分は理系の人間なので、子供騙しな記述に惑わされるというでもないのだが、それでも物語全体の必要十分な要素が盛り込まれている。
舞台はCERN、スイスの欧州素粒子物理学研究所、この研究所で有能な研究者が殺害され、新発見の反物質が盗まれた。殺人の真相を探ると共に、核兵器に及ぶ破壊力を持つ反物質の行方を追って、ロバート・ラングドンと研究者の娘ヴィットリアは、反物質が確認されたというヴァチカンへと急ぐ。反物質の爆発までに残された時間は僅か。国家を丸ごと瓦礫の山にしてしまう時限爆弾を止める為、二人は事件に関連する伝説の秘密結社イルミナティの存在を追う。
『ダ・ヴィンチ・コード』に比べると、歴史的・宗教的な色は薄いが、却って親しみやすい小説となっている。特に序盤の上巻は、含みを持たせる場面が多く、結末が待ち遠しい。『ダ・ヴィンチ』では様々な場面に飛火しがちな展開もあったが、この作品は主軸がある程度はっきりしており、話が不用意には途切れない点も統一感がある。 ラングドンシリーズの第一作で、どちらかというと『ダ・ヴィンチ』を読む前にこちらを読んだ方が、双方を楽しめたかも知れない。又、疑わしい刑事と護衛、事件に深く関わる女性など、登場人物は勿論の事、キリスト教の規律に訴える主題も『ダ・ヴィンチ』にも通じるところがあって、もう少しバラエティに富んでいてもよい気もするが、逆に両者を比較してみると、共通点や相違点が楽しめるかも知れない。
・「この事件を中途半端にしか知らない人に読んでほしい!」
仕事の関係で桶川へ行く機会がありました。駅前は地方都市というには小さく、明るくのどかでいい町に感じました。「桶川」と言えば「ストーカー殺人事件」が連想され、こんな町で殺人事件が起こったという事実に興味を持ち、本書を読みました。 実は、今にして思えば被害者には本当に失礼な話ですが、私自身、当時のマスコミの報道を断片的にしか把握しておらず「風俗店で働いていた女子大生が、そこの店長にストーカー行為をされた挙句に殺された」というような誤った認識をしていたのですが、本書を読んで被害者が家族思いで心優しいごく普通の女性だったこと、ちょっとした偶然で性質の悪い人間に付きまとわれるようになったこと、警察に助けを求めても相手にされず結局殺されてしまったこと・・・その経過を知ることになりました。 この事件は歪められてマスコミに扱われることで、被害者の人権が蹂躙された訳ですが、私のようにニュースを部分的にしか見ていたなかった人で、未だ勘違いしている人は沢山いることと思います。 事件としての問題提起も濃密に詰まった本ですが、それとは別に、私のように誤った認識をしている人達に是非読んでいただき、少しでも多くの人に被害者であるたぶん人間として非常に魅力的だったであろう女性について正しい認識を持ってほしいと思いました。
・「奇跡の‘傑作’」
‘凄い!!’
最初の感想はそれに尽きる。ページをめくる手が震える。これが本当に現実に起きた出来事なのか?
まるで、良質の小説を読まされているかのような恐ろしいまでの緊張感。おそらくノンフィクションでも、ここまでリアルな表情を見せる本があっただろうか。たとえ実際の事件を元に書かれていたものでも、読者はどこか覚めた目で読んでしまうもの。当然だ。事件を取材した第三者が描いた世界を、さらなる第三者の読者が読む。
しかし、この作品は、まさに‘今そこにある危機’として見事に描写されている。作者と被害者家族との距離感が、この緊張感を生んだのか?ただ失礼だが、書き手の力量以上の何かが、作品に反映されている気がしてしまう。それは、被害者の無念の想いなのか?
ともかく、これは奇跡の‘傑作’である!!
・「「感動した」の一言では済ませられない。。。」
数年前にあった事件として「桶川ストーカー殺人事件」を、知ってはいました。女子大生がストーカーの元彼に殺された単なる殺人事件として。。。 しかし、本書を読み、殺害に至るまでに被害者と犯人との間に想像を絶する凄絶なやりとりがあったことを、この事件は防ぎ得た事件であったことを、そしてこの事件は未解決であることを、知りました。 被害者の猪野詩織さんの無念さを想像すると、ただ、ただ涙が止まらず、実際に起きてしまった事件として、本書を「感動した」の一言で済ますことができません。犯人逮捕へ導いた記者であり、著者清水潔の本事件に対する情熱にも非常に感動させられました。 「あとがき」まで見逃せない本書に、少しでも興味を持たれた方は絶対に読んでほうがいいです。
・「すごい」
他のレビュアーが書かれている通りです。すごい本でした。ここで語られていることが事実とすると、そんなのありか?と感じてしまいます。周到に追い詰めていく姿には迫力を感じ、素直に感動しました。また、その事実をこのように書籍とまとめてくれたことに感謝したいです。それにしても、この事件は納得がいかない事件です。なぜこのような事件が起こってしまったのか。納得がいかない。
・「圧倒的な読後感」
題名からは想像できないほど、凄く深い本です。今まで読んだなかで一番凄いノンフィクションの一つです。読み始めたらその壮絶な物語に止まらなくなりました。この作者のすごい執念にひたすら圧倒されます。そして、犯人、警察、マスコミ全てに憤りを感じます。一番のハイライトは地道に、そして確実に犯人を追い詰めていく作者。まさか、警察より先に犯人に行き着いてしまうなんて、本当に驚愕します。読後感は、ひたすら呆然としてしまいました。本当にお勧めです。
・「圧巻!」
一言、圧巻です。
決してボリュームの話ではありません。それどころか、平易な文章、“今”の言葉で丹念に書かれた物語を追っていると、長さなど全く感じなくなります。私は、第一巻を半分ほど読んだところで『あぁ、こんな面白い小説があと四巻余りしか楽しめないのか…』と残念に思ったほどです。
連続誘拐殺人事件という陰惨な出来事に巻き込まれてしまった人たち、自らかかわろうとするジャーナリスト、そして加害者。性別も年代も立場も異なるさまざまな登場人物の心の中を、時に視点を変え、時に時計を戻し、宮部みゆきの文章は丁寧に綴ってゆきます。
非行に走って両親の気持ちを独り占めしてしまった妹に反感を持つ姉が当の妹の被害の証拠を見た時の悲劇も、被害者の遺族の弱みにつけ込む有象無象の動きも、職場ではこわもての刑事が家庭では女子大生の娘にいいようにあしらわれるほほえましい描写も、それぞれ決して主役とは呼べない登場人物の記述の一つ一つがとてもリアルで、それ故に小説全体のストーリーに引き込まれてしまいます。
そして『模倣犯』というタイトルの意味が明らかになるクライマックスの迫力。この部分は二度も三度も読み返しましたが、いつも鼓動が速まる気がします。
是非、ご一読をお勧めします。
最後に蛇足ですが、文庫カバー全巻の裏表紙に書かれているあらすじと、どうしても目が行ってしまう帯のコメントは決して読まないようにして、本屋さんでブックカバーをつけてもらってください。
・「新潮文庫に苦言」
単行本で読んだが、今回の文庫化で再読。一気に読んだ。内容については、今さらどんな言葉を持ってきても足りない。だから、ここではあえて違うことを言いたい。ったく、なんでこれから読もうとする内容をわざわざ本の裏に書くかなぁ?頭にきます。初めて読む方は、絶対に絶対に本の裏と帯は封印してから読んで下さいね。
・「読書の喜びを感じた作品。」
※このレビューはあくまで「読まれる前の方」へのレビューです。
遅ればせながら読ませて頂きました。この「模倣犯」は宮部作品がどうのというより私にとっては「読書」への喜びを感じた作品です。
始め五巻もあるとはつゆ知らず「そういえば模倣犯ってあったな」っと気楽に手に取ってみたのですが、気が付いたら本当にハマルってやつですね!五巻もありしかも分厚いのに一巻の中盤を過ぎればまさに一気!そして二巻を読み終わる頃「まだまだ三冊あるから良かった!」と思い、三巻を読み終わる頃「もうあと二冊しかない!」って思い、どんどんとハマっていきます。
読破後、取り憑かれたように宮部作品をいろいろ読みましたが、宮部作品の中では私的に、いまだ一位に君臨しています。ほんとこんなおもしろい小説があるなんて思ってもみませんでした(おかげで今は活字中毒)
ただ・・「恐い」のと何とも言えない「惨さ」がかなり堪えますが・・。でも続きがもっともっと読みたいとさえ感じる作品です。まだ読まれていない方がほんと羨ましい!
・「犯罪被害者の苦悩を描き切った渾身の導入部」
私は普段小説を殆ど読みませんが、宮部さんの小説は比較的よく読みます。とは言え、宮部さんの小説の中で私が読んでいるのは時代物や超能力者物が多く、サスペンスは全く読んでいません。もともと推理小説の類が嫌いなこともあり、いくら宮部さんの著書でも、連続殺人が絡んだ陰惨な話を読むつもりは、当初は全くありませんでした。しかし、ページ数がやたら多い割には評判が良く、単行本の発売当初から、友人達に盛んに勧められたこともあり、とりあえず読んでみようとは思っていました。しかしとにかくページ数が多い上、単行本なので持ち歩きにくい。単行本を購入することを躊躇する内に5年ほど過ぎてしまったので、今回の文庫化は非常に有難いことでした。とは言え、推理小説が嫌いなこともあり期待はしていませんでしたが、本書の内容には正直驚きました。当初の私の予想とは違い、本書は決して推理小説ではありません。事件に関わるあらゆる立場の人々の内面を描き切った、社会派サスペンスだと言えます。第1巻では、被害者とその周囲の人々、ルポライター、警察官など、事件に巻き込まれる人々の心が見事に描かれています。しかし本書で一番丁寧に描かれているのは、犯罪被害者の心でしょう。大切な人が殺されたことで、終わりのない悪夢や孤独に襲われる。本来なら責任など何もないのに、自分のせいで大切な人が死んだように思い詰め、自分で自分を苦しめ続ける。家族を皆殺しにされた高校生や、孫娘を殺された老人の、決して癒える事のない傷を背負い込んだ内面が、抑えた筆致で見事に描かれています。凶悪な殺人者の動機にばかり焦点が向きがちなサスペンスが多い中で、犯罪被害者の苦悩を描いた本書は心に強く残ります。本書は第5巻まである超長編ですが、被害者の苦悩を導入部で読者に強く印象付けた第1巻は、本当に素晴らしい1冊だと思います。
・「読み応え度「大」の超大作」
単行本の発表から5年を経て、ようやく文庫化された宮部みゆきの代表作。全5巻の長編ながら読み応えは充分で、時間の経過を忘れるくらいのめり込める。連続誘拐殺人事件を通して、被害者の遺族と加害者、マスコミや警察など事件に係るものを部分として捕らえ、すべてを組み上げていきひとつの作品に仕上げようとする気概を感じる。なかでも登場人物の造形に力が注がれており、加害者にあっては、環境が及ぼす影響や事件に走った経緯というところまで掘り下げて描こうとしている。また、中盤で一端物語が終焉を迎えたかのように見せかけて、新たな局面へ展開させるあたりにも、技巧的なものを感じる。よどみない筆致と、厳格なる作者の意思が感じられる意欲作で、この作品の『現代ミステリの金字塔』という触れ込みもあながち誇大広告ではないように感じられる。読み終わらないと真意がわからない、タイトルの付け方もうまい。
・「被害者やその家族には気の毒に思いますが、「凄い」の一言」
おそらく、著者本人の自己弁護も含まれるだろうし、出所後にある程度の収入を得たかった、というのもあるでしょう。さらには、もうすでに、ゴーストライターの存在も明らかになっている本です。ですが、それら全てを差し引いても、文句なしの五つ星です。私自身が、埼玉出身ということで、なんとなく覚えていたのですが、やはりあの当時、震災・オウム騒動に完全にかき消されてしまった事件。ワイドショーとかに出ていたであろう関根の顔なんて、全く思い出せません。まさかこんな事件だったなんて!?と、感じました。私は、事件ものの本はよく読みますが、今まで読んだ中で、ダントツの驚愕度です。日曜日を使って、一気に読んでしまいました。一回ではなく、何度も読んでしまいました。
・「これは最高のホラーノンフィクションだ」
読みながらこんなに怖い思いをしたのは初めてだ。しかし、一気に読まずにはいられない。関根という主犯の男の想像を絶する悪魔のような行動と考え方。というより、悪魔もびっくりして逃げていくのではないか。筆者は、これを実際に体験したというのだから、恐ろしい。いや、想像では、こんなことはかけないだろう。
僕は、ここのレビューははじめて書く。書かずにはいられなかったのだ。
絶対のお勧めだが、気の弱い人は読まない方がいいだろう。
・「最強のノンフィクション」
事件に巻き込まれ、亡くなられた方には気の毒としか言いようがないが、凄惨な事件の記録・・・これを読んだ後にはやわな推理小説など受け入れられないのは必至。
なにより驚いたのはゴーストライターを予感させるデキの良さは、実は事件に加担した筆者自身によるもので、一層に迫力を増している。
作家の才能有り気というデキで、主犯に関わったことにより人生を狂わされたのだと痛感し、共感の想いすらも芽生えるといって過言ではない。心臓の弱い方には、お勧めできないかな。
・「怪物だよ。」
今まで読んだ殺人事件の本の中でも1番。当たり前のように人間を解体作業するさまは『人間って怖い』と一番感じとれた。殺人事件関連の本をほとんど読んだがこの本は絶対読む価値あり。あまりの凄さにフィクションにも思える。実際、この事件の主犯といわれる2人は2005年現在も裁判中。
・「すべて人の子の仕業」
前評判や、ここのレビューを読み購入し、一気に読んだ。犯人である関根は確かに異常ではあるが、モンスターではない。一個の小心な男だ。それが読んで取れる分なおさら恐怖と戦慄を覚える。人が存在するかぎり、この手の男は存在し続けるだろう。人間だからやった事なのだから。未読の方はぜひ一読していただきたい。ボタンをかけ間違えた人間達のドラマが見える。しかしそのドラマは現実だ・・・。被害者の方々のご冥福をお祈りいたします。
・「満足しました」
久しぶりに、シドニ-シェルダンを読んだこともあってか、わくわくしながら読み始めました。個人的に、MPDなるものには非常に興味があるので、私にとっては面白い本で、夢中になって読めました。いつものお金持ちや美女などが沢山出てきたわけじゃないけれど、相変わらず弁護士や医者は活躍してました。彼のリサ-チには感心します。面白かったと思います。
・「ほんとにはまりこんでしまいます。」
初めて、一気に完全読破というものを体験した。 ほんとに一度読み始めたら、途中でやめられなくなる。 読んでいる途中、恐怖感を味わいます。
その世界にどんどん引き込まれてしまいます。 世界最高峰のサスペンスです。 ちょっとやそっとのことではストーリーは終わらず、最後まで読者を引きつけて止みません。 本に取り付かれます。 とても読みやすい。 彼の作品は決してワンパターンではありません。 読むにつれて、次第にことの真実が現れるのですが、落ち着いている暇もありません。
・「3頁よむと絶対にやめられません。」
性格も、環境も全く異なる3人の美しい女性、アシュリー、トニー、アレット。惨たらしい殺人事件。意表をつく3人の関係と、スリリングな展開。シェルダンの作品は、3頁読むと絶対にやめられません。英語の響きの美しさを味わいながら、わくわくするような時間を過ごせる1冊です。
・「よかったよ~ん。」
おもしろかったよ~ん。やっぱ練習には最適だよ~ん。
・「目新しいパターン」
他作品と毛色が違う。前半部分はどういうこっちゃ?と思いながら読むことになるのでは。シェルダンはどの作品もそうだけどこの作品は特に何がテーマなのか予備知識が全然ないほうが絶対楽しめる。傑作。
・「静寂の中、つばを飲む「ごくっ」という音が妙に響いた」
1ページを読むのに、あなたはどれくらいの時間がかかるだろうか。30秒、1分…。クライマックスでは、1ページ分の呼吸を何度も忘れました。スナイパーが、スコープの中の標的に的を絞り、ゆっくりと引き金を引く瞬間、静寂の中、自分のつばを飲む「ごくっ」という音が妙に響いて驚いきました。そんな小説です。主人公はスナイパー職人。狙った獲物ははずさない。寡黙。思慮深い。もう、かっこいいったらないです。実は古本で1度購入。「このミス」の1位になった、というので、まあ、面白いんだろう、と思っていたら、びっくりするほどはまりました。この後のシリーズも全て読んで、もう一度読み返すために、新しい本を買い直すほど。文句なしの最高の作品です。
・「呆れるほど面白い」
ここでの評価が高いので「それなりに面白いんだろうなー」という感じで購入しましたが、読み始めてみると、それなりどころか「よくもまあーこんな面白い小説を書けるもんだなー」と呆れてしまいました。他の方も書いていますが、銃の知識が無くてもなんら問題はありません。難しい事など何も考えず、寝る間も惜しんでグイグイ読み進めることができます。とにかく読んでみてください。面白いですよー。
・「圧倒的な面白さ」
本書の主人公、ボブ・リー・スワガーはベトナム戦争で伝説的な戦歴を残した名スナイパーで、今は飼い犬と孤独な隠遁生活を送っている。そんな彼が謎の組織の陰謀に嵌められ窮地に陥るが、後半はベトナム戦争で培われたワザを駆使して反撃する冒険活劇。ストーリーは非常に面白く作られており、プロットも緻密。そして何よりも関心したのは銃に関するマニアックともいえる知識の深さ。米国の銃社会について否定的イメージが強かった自分でさえ、なんとなく銃が魅力的なものに思えてしまったほど。非常に米国的なエンターテイメントといえるが、最後に法廷で決着する所も米国的。映画化もされ、映画版のボブ・リー・スワガーもなかなかカッコ良いが、面白さでは圧倒的に小説の方が勝っている。
・「小説を読んで映画を見たけど」
映画が公開される前にこの小説を読みましたが、やはりと言うべきか断然この小説の方が面白かった。いや、その逆で映画が内容・物量ともに物足らなかったと感じたかな。
この小説の主人公であるボブ・リー・スワガーは、かつてベトナム戦争を伝説のスナイパーとして生き抜き、隠遁してなお山中で残りの余生を銃と共に過ごしてきた。その胸の内に秘めてきた自身の過去。亡き戦友への思い。そして外部の何かが動き出した時、無くした物と自分自身を取り戻すべくスワガーが動き、陰謀と一緒に全てが回り出していく。
途中でボブとコンビを組む羽目になるFBIのニックも、この陰謀に挑みFBIの立場的に悩みながらも、ボブを信頼していくが筋金入りのボブに比べればやや軟弱。だからこそ、その成長も読み取れる。
後半には圧巻と思えるほどの銃撃戦にも展開し、ボブの迫力ある歴戦のスナイパーぶりにも読み応えがありました。
途中からはぐいぐいと引き込まれ、最後の締めくくりに色んな意味で清々しさを覚えた、この小説は僕は大好きです。
・「面白かった〜」
伝説的スナイパー、陰謀、権力、この3つが絡み合ったら面白くならないはずがない。ミステリー要素もあるものの、実際これは痛快娯楽大作だ。スーパーマンが目に見えるヒーローだとしたらボブ・リー・スワガーは誰にも見えないヒーローだ。それこそ超人的な生命力と執念深さ、射撃能力で誰の目にも明らかな死線をやすやすと越えていく。わかっちゃいるけど「ええ!?まさか死んじゃうの?」なんて読者をハラハラどきどきさせること多数。登場人物の個性豊かさもお約束である。ただ描写だけで読者の目を引く際物でなく、主人公の活躍にちゃんと花を添えている脇役もいい。最初は銃の話が多いのでとっつきにくいかもしれないけど、それは物語を楽しむための予備知識を作者が用意してくれてると思って読んでほしい。上・下刊あわせて2日もあれば読めてしまう、いや読み進めてしまうほど痛快だった。久しぶりに楽しめた本だった。
・「あと何発残っている?」
ボブ・リー・スワガーシリーズの番外編。 ジョン・ウェインそっくりの保安官バド・ピューティ対恐るべき犯罪者ラマー・パイとの対決の物語。それぞれがそれぞれの相容れない生活とドラマを持ちながら何度か遭遇しそれぞれ痛み分けながら最終対決にいたる、その極太のストーリーテリングと卓越したキャラクター造型で、飽きさせない。
ラマー・パイがその後のボブ・リー・スワガー伝説に絡んでくるので、そのキャラ造型含めて主眼なのかもしれないが、私には、不死身のごとく戦うバド・ピューティのキャラがすきです。今作での彼の憑かれたような犯人追跡、家庭不和と同僚の妻との不倫の重みから逃れんが為のその執念が圧巻です。
拳銃をやたらと、このベレッタが何発装填、このコルトが何発装填と数えながらいくつもの拳銃を帯びて出かける描写のしつこさにあきれるほどで、何発撃ったかにこれだけこだわる小説も珍しい。 ハンターは結局このキャラをあまり気に入って無いのかすっかり好々爺となった姿が後のシリーズにちらっと登場したときには少しショックでした。
・「読者の期待を良い意味で裏切る、4部作の第2作」
スティーヴン・ハンターの“ボブ・リー・スワガー・サーガ”4部作の第2作。
’97年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第7位、「このミステリーがすごい!」海外編第8位にランクインしている。
邦訳されたのが4作のうちで一番最初だったこともあって、また、肝心のスワガーは名前が作中に1回登場するだけなので、はじめ本書は、4部作の第2作ではなく、独立した作品と思われていた。翌年第3作の『ブラックライト』が「このミス!」第3位に、そして’99年に第1作の『極大射程』が第1位に、最終作の『狩りのとき』が第15位にランクインされて改めて本書の存在が見直されたのである。
いずれにしても、シリーズの1作目から順序どおりに読んでいる私からすれば、本書も読者の期待を良い意味で裏切った傑作であるのは間違いない。
オクラホマ州の重犯罪刑務所から脱獄した3人の囚人たち。リーダー格の男は、立ちふさがるものたちを迷うことなく殺し、すべてを破壊しながら逃走を続けてゆく。一方、それを追うのは、州警察のハイウェイパトロール巡査部長である。こちらは部下の夫人との不倫に悩み、罪悪感にとらわれながらも囚人たちを追ってゆく。物語は、双方の追いつ追われつの息詰まる闘いを軸に、多彩な登場人物たちのドラマを交互に織り交ぜながら、衝撃のクライマックスへと突き進んで行く。
本書は、文庫にして730ページにも及ぶ大作だが、個性豊かな登場人物たちの、それぞれの置かれた立場が分かりやすく描かれており、そのため長さを感じさせない読みやすい作品になっている。私はまだ4部作の半分を読み終えたばかりだが、何かスケールの大きな大河ドラマの様相を呈して来て、残りの2作にも大いに期待がかかる。
・「本書のテーマは「父性の復権」です。」
「極大射程」のボブ・リー・スワガーを主人公とするシリーズとは一線を画する、全くの別編であると思います。
確かにボブの父、アールの殉職記事が唯一登場しますが、そのことの故を持って「シリーズ中の一冊」と持ち上げることで、結果的に本書の評価をおとしめることになります。
前置きが長くなりましたが、本書のテーマは「父性の復権」です。
脱獄囚ラマー・パイ一味も逃亡と強盗を通じてファミリーの絆を深めていきます。不死身のバド・ピューティ巡査部長も同僚の妻との不倫関係をズルズル引きずりつつ、妻や息子との葛藤に思い悩んでいます。
リチャードの描くライオンは、ラマーにとっては「王の象徴」であり、ライオン画の意味を明らかにする中でバドは「父性を取り戻す」きっかけを与えられたのです。
ラスト200ページは、どうか一気に読み切って下さい。ラマーの純真なまでの父親像にふれることが出来るはずです。「とうちゃん」が伝承するものは何なのかを。
・「犯罪者と警官の見事な対比」
「極大射程」から始まる四部作の第二作ですが、話の内容からすると、外伝的な扱いでちょっと違う感じがします。他の三作品は、スナイパーを主人公にした物語で、標的との間に距離がありますが、本作品は警察官ということで、密着しての戦いになります。この作品の良さは、対照的に描かれる警察官バドと脱走犯ラマーの見事な対比だと思います。バドは、不倫をしており罪悪感を感じながら捜査を続けています。一方のラマーは、罪悪感とは遠いところにいます。何度と無く繰り返される二人の直接対決では、そんな二人の人となりが良く出た対決になっています。この繰り返される対決が、徐々にお互いを知り抜いてゆく中で、お互いの考え方にも影響を与えているようにも感じます。ストリー・テラーの作品らしく、非常に長い作品なのですが、一気に読ませてくれます。
・「自由っていいなぁ」
ストーリーは書きません。 これから読む人に悪いので。
アールとボブの物語の番外編って感じですが、それほど大きな接点はありませんが、読んでおくと、「お!」と思う事が何回か訪れるでしょう。
ストーリー的には、保安官パドと悪党パイの抗争です。(あ、言ってしまいました)
悪党をこれほどまでに、清々しく、ちょっと「羨ましいな」と
思わせる、ハンターの筆力には脱帽してしまいま。まあ、人間誰しも世間のルールを無視して、自分勝手に生きてみたいと思う気持ちは、少なからずあるものですからね。
最後まで一気に読めます。そして、読後に「ニヤリ」と笑っている自分に気が付く事でしょう。
●殺人者はそこにいる―逃げ切れない狂気、非情の13事件 (新潮文庫)
・「【賞罰なし】の言葉の意味を実感」
タイトルのつけかたがうまい。これだけで本を買う人が2割(?)は増えたはずだ。13の殺人事件をとりあげてルポルタージュでまとめているが人をあやめることが、これほど日常的に行われていることにあらためて背筋が凍る。中には逮捕されたものの証拠不十分で無罪になったケースや一度無期懲役で服役しながら後に釈放され、また殺人を起こして死刑に至ったケースもある。読み終えての正直な感想はむなしさ、やるせなさ。それぞれの犯人には、犯人なりの「殺す理由=動機」があったわけだが、それにしても被害者になった人たちと親族、友人たちの悲嘆ははかりしれない。いま、死刑制度に対して激しい議論が展開されているが、服役中に反省するのではなく、復讐への怨嗟ばかりをつのらせる殺人犯が多いことを考えると、“死刑やむなし”という思いもつのる。同時に、ここに再現されている13の殺人事件は、いずれも防犯や自己防衛といった程度で防ぎきれないという事実も横たわっている。殺人者はそこにいるのではなく、だれの中にもある「狂気」といいかえてもいい。人間の「業」について深く考えさせられる1冊。平和ボケした日本の社会への厳しすぎる警鐘と受け止めたい。
・「まさに事実は小説よりも奇なり」
初めて表紙を開いてから 徹夜で一気に読んでしまった。この手の犯罪ルポタージュは他にもいくつか読んでいたが ここまでの衝撃のものは初めてだった。我々一般市民は犯罪の情報をマスコミを通したものでしか享受できない。その一方的な情報提供は受け取り側の判断を鈍らせ、ある共通認識を作ってしまうこともある。まさに犯罪は悪=犯人は悪。犯罪行為そのものに目を奪われ その裏に潜む 犯人や被害者をとりまく環境。 もちろん犯罪は悪だが 何が犯人をそうさせたか。 これを綿密に追った本書はマスコミが流した情報とは違った側面を見せてくれた。
・「怖い本です」
「事実は小説よりも奇為り」一読したならまず誰もがその言葉を思い浮かべるだろうと思う。事実のもつ重みと怖さがひしひしと伝わってきた。しかし犯人の心の底までは分からなかった。なるほど新聞記事では到底知ることの無かった事件の詳細、あるいは背景をある程度このノンフィクションは伝えてはいるけれど、結局のところ犯人はどんな人間なのか、何故殺したのか、到底その闇の心までは分からないということだ。あたりまえだと思う。公判事実等分かっている事実だけをもとに書けばそうなってしまうだろう。宮部みゆきの「模倣犯」がどうしてあんな大長編になったか、細部を書けば書くほど書き足りないものがでてきたからではないだろうか。小説でしか書けない事もあるのである。
この13事件、ショッキングな事件ばかりであるが、いちばん怖いのは葛飾無理心中事件の「自殺実況テープ」だろう。これは怖い。自殺直前のあの「ため息」「謎の轟音」を生で聞いたら、私も精神に変調をきたすかもしれない。
・「異常な事件を忘れないで」
週刊誌やテレビで取り上げられた事件の中で、なんとなく記憶に残っている事件が、いまだに未解決のままであることに驚きを隠せない。この本は、悲惨な事件は何故起きてしまったのか、事件の裏側を教えてくれるだけではなく、被害者家族の声にならない悲痛な叫びが聞こえてくる気がした。
・「殺人を周辺から浮かび出させる恐るべき記録」
殺人、それは何故起こるべくして起こったのか。その理由は様々で、何が原因かは直接には解らないことも多い。しかしこの本は、殺人事件をその周辺から照らし合わせて、一体どんな状況であの殺人事件が起こったのかを克明に記録している。
勿論、その状況は残酷過ぎてここでは描写できないものも多いが、この本は無名の人が突如殺人者に化してしまう恐怖を上手く伝えている。もし隣人が殺人者に化してしまうと、どうなってしまうのか。この本はそれを考えさせられる内容だと思う。
余談になるが、私の場合は他に「新潮45」編集部編の「死ぬための生き方」「生きるための死に方」を持っていることである。この2冊は見事な死に方を考えさせる内容であるが、一方この「殺人者はそこにいる」は、残酷な死に方を考えさせる内容である。見事な死に方と残酷な死に方、それはどう違うのか。それを考えながら読んでみる価値もあると思う。
・「再読する価値あり!」
私も何度も繰り返し読みました。クレジットカードの不透明性が割と身近に感じられて、飽きることがありません。 それから次から次へと謎が出てきては、それを解明するための小さな糸口が現れる。これほど巧みな謎解きはお目にかかったことがありません。
・「最高の一冊」
宮部みゆきさんの大ファンです。その中でもこの作品はNo.1ではないでしょうか?特に内容については記述しませんが登場人物が実にリアルに描かれています。そして何と言ってもあのエンディング・・・。読後感がしばらくぬけません。
・「自らが居合わせてしまったような緊迫感」
社会的問題を背景にして、個人がひょんなところから過ちを犯し、落ちていく。しかしラストはそれを幾分か救うような温かい眼差しが注がれているように思う。人間への温かい心を持ちつつ、社会の暗部を描き、そしてその周りの人の気持ちを詳細に書き綴るこの作品は世界に誇れると思う。
そして読者には、その現場に居合わせてしまったような緊迫感漂う
ラストシーンが待っている!!
・「最高傑作!」
名作の多い宮部作品のなかでも、私はこの「火車」が最高傑作だと思います。物語の進め方、一つ謎が解けていくたびにはっきりとしてくる事件の輪郭。そしてなによりあのラストシーン!・・・流石宮部みゆき、と言ったところでしょうか。
犯人の人を殺す理由がとても切なく、思いっきり非難できないのも良いと思います。私は一度も姿を現さない犯人の女性に、とても感情移入してしまいました。
・「読み応え十分」
宮部ミステリーの良さは、「量は重いけど苦にならず、読んだ後に充実感がある」ところにあり、本作品もその一つ。「借金」から逃げる為、「別人」になることを決意した犯人の人物像を、本人を最後まで登場させずに描ききるあたりはさすが宮部みゆきといった感じ。おすすめ。
・「捏造の背景の無惨さ」
上高森遺跡での旧石器発掘が捏造だったというニュースは知っていたが、毎日新聞社がそれ以前より張り込みをしており隠し撮りによるスクープをしたというのは知らなかった。読めば読むほど、「異常」な「発見」に沸いてきた日本考古学界の奇妙さと閉鎖性に暗澹とする。(これは「バブル」だったんだな。)同時に、きちんとした調査・研究もなされないまま開発という名の破壊を受け、発掘調査という名であわただしく蹂躙されていく日本の歴史遺産にも無惨といわざるを得ない。(たとえば1200年以上守られてきた平城京の長屋王邸宅跡がつぶされて「奈良そごう」となり、わずか11年で閉店してしまったことなど。)
・「歴史的スクープの総合報告書」
日本中を驚愕させた旧石器遺跡捏造事件について、取材の全容を報道した側が自ら記した記録で、極めて興味深い事実が明らかにされている。また、取材の過程は一つ間違うとスパイ小説もどきになりかねないが、愚見によれば一定の節度も保たれている。この、今となっては「いつか、誰かがせねばならなかった事」を一般新聞(毎日に限らず、一般紙に載る学術分野の記事のレベルの低さには呆れることがままある。実際、今回の報道もスタートはそのレベルだったようだ)が行ったという事実も重いものがある。本書はそうした事を考えさせられるだけの内容があると判断して、☆を5つとした。敢えて付言するなら、紙面を見た当事者に極めて近い人物が、「不満」を思わせる言葉を漏らした記述が少々ひっかかる。報告書として完璧を記すため、また報道への積極的な批判を促すため、スクープ当日の全記事を付録のような形で再現しておいていただければ、なお良かったのではないだろうか。
・「ゆがんだ価値観」
この本の内容が日本の歴史を覆す衝撃的な報道だったことは記憶に新しい。誰もが”怪しい”と薄々は感じつつも言葉にすることが出来ない。考古学界という閉塞的な悪しき慣習の前では所詮はすべて戯言。その暗黙のしきたりの世界に大きくメスを入れた読み応えある一冊だ。捏造の証拠を押さえるべく記者と藤村氏との絶妙な駆け引き、捏造の撮影現場での苦労など、一気に読みきってしまうほどきめ細かく描写されている。特にそれまで”神の手”とまで崇められていた藤村氏が、捏造の証拠を突きつけられた途端別人のように豹変する姿は圧巻だ。ただ魔がさしたの一言では絶対に済まされない、このようなゆがんだ行為を野放しにした考古学の世界にも重大な責任はあると思う。
・「興味深い。読むべき本。」
私は、この本が「発掘捏造事件とそれによる歴史学への影響」に関するものと思って読み始めた。しかし、本書は、発掘捏造やその背景の記述も適切になされているものの、むしろ、主として、スクープに至るまでの報道現場の生々しさが伝わってくる「ジャーナリズムの記録」である。 当初は、捏造の確信もなかったのに、周辺資料の収集や関係者へのインタビューで情報を集め、一方、本人には気付かれることなく深夜・早朝の張り込みによってビデオや写真で捏造現場の撮影に成功する。最終的に、本人に動かぬ証拠を突きつけ、報道のゴーサインが出るまでの経過は緊迫感がある。 次に、この本は、組織のリスクマネージメントを考える人にとっても有益である。性善説に立つ閉鎖的なコミュニティがいかに不正に対して脆弱で、信じられないところまで突っ走ってしまうかがよくわかる。 そして、もちろん、石器遺跡研究に重大な影響のあったテーマなので、おそらく古代史学に興味のある人にも有益と思われる。 このように、さまざな意味で読むべき本といえるが、何より興味深く引き込まれる本である。
・「内容にはまったく文句はないが……」
ここ数年来で読んだ、もっとも衝撃的な本。考古学などにはまったく興味はないが、日本人の先祖が毎年のように古くなっていることには何となく胡散臭く感じていた程度だった。しかし、良質なミステリものを手にしたように、一気に読んでしまうほどのめり込む内容である。えも言えぬ迫力には、ただただ圧倒されるばかり。
……難点をいえば、短い文章を書くのに慣れた新聞記者さんが、無理に一冊でっち上げたような、変なあっさり感がしたこと。故山際淳司さんみたいな部外者に、記者たちがお互い何を考えていたとかを聞き込んでもらって、もっと徹底的に書き込んだほうが良かった(同社の人がやると嫌味っぽいし、聞き辛いでしょ)のでは?
・「どもまでも黒い」
主人公が黒い。 ヒロインも黒い。 黒くない人物がいない!!!
すえた匂いが行間から漂ってきそう。 どこまでも硬質。
普通、一般のハードボイルド作品は主人公が事態を好転させようと動く。でもここでの「好転」はあくまで世間のモラル、一般常識に合わせた「好転」だ。麻薬組織の壊滅とか凶悪犯の逮捕とか。 ところが本書の主人公の「好転」はあくまで自分にとってのものだ。 自分が生き残るためにどうするか。生き残るためなら、友を売る、嘘をつく、人を傷つける。なんでもする。 主人公はラストまで自分のスタンスを変えない。 悪党のまま物語はおわる。 またヒロインも同じだ。他人には理解できない枠枠組みを引きずって、悪女として物語を一層黒くしている。
最高におもしろかった。 エンターテイメントってこうじゃなくちゃいけないと思う。 最近読んだおもしろい小説は?と聞かれたら、向こう1年くらいは「不夜城」と答えます。
・「行間に漂う悲しい結末の予感」
自分しか信じられない健一と夏美。策略ばかりで何を考えているのか分からない楊偉民。読み始めてスグに、この主人公達にはとても感情移入できそうにない、と感じた。全体を通じて冷たく暗い、救いの見出せない悲しい展開。嘘と策略と裏切りとカネと暴力と女と同性愛のオンパレード。アソビの無い展開に緊張感が伝わってくるけど、それと同時に
「ハッピーエンドでは終わりようが無い」という雰囲気が行間に漂ってる。過去の回想や複雑な策略を積み重ねて、悲劇が待つであろう最後のヤマ場へ持って行く盛り上げ方は上手い。感情移入できない筈なのに、ヤマ場に近づくと心拍数が上がってくる。そして結末。これが2人の逆らえない運命かと思うと、虚脱感、無力感、その他モロモロの重たい感じが残ります。「感動」とはほど遠いけれど、お勧めの秀作です。
・「青春時代に出会えてよかったと思える一冊」
映画化になったらしいということで、表紙を見て「フーン」と思いつつ軽いエンターテイメントを期待して読んだらいい意味で裏切られた。
「おれはアウトロゥだ。ひとりで生き、ひとりでくたばる。孤独を感じることもない。おれは一個の完結した存在なのだ」
多分登場人物たちのような状況に実際に置かれたらそれは嫌だ、でも劉健一をはじめとするギリギリで刹那的な、突き放したような生き方がすごくカッコよく思えた高校時代。それと同時に、こんな作品を書ける人がいるんだと驚いた記憶がある。
「ハッピーエンドなんてクソくらえだ」作者がどこかで語っていた。
その凶暴性と鬱屈した感情を紙の上に吐き出すパワーはものすごいと感じた。フィクションであるのに、登場人物のそれぞれの生々しい描写や心情がリアルさを補強していて読んでるこっちも動悸が早くなる。騙しあい裏切りあいと、重い内容なのに読み手を飽きさせず一気に読ませる力がある。続編と完結編がそれぞれ出ているがそちらはさておき、一冊の完結した物語として一度は読んでおいても損はない秀作。
・「この本は。。。」
馳星周の原点であり到達点であり、越えられない壁であると思う。何作読んでも彼の作品で本作より面白いと感じるものはなかった。
このページにアクセスした方、他の本は別として、馳の本で買うべきは本作です。
・「だましだまされ」
新宿歌舞伎町を舞台に、スピード感と底にある人間の持つ哀しさをうまくミックスした秀作。 だれが敵で、だれが味方なのか。ばかしあいと愛の挟間で、読んでいくほどに読者は翻弄されます。 読んだ後、歌舞伎町を歩くと、きっと周囲をこれまでとは違う目で見るようになりますよ。お勧めします。
・「不夜城ならではの虚脱・脱力・無力感」
前作の「不夜城」から二年後の話。物語の視点は健一ではなく、元悪徳刑事・滝沢と殺し屋・秋生の2人。別々のストーリーで始まり、健一に導かれるように2人が出会う。屈折し、不安定な精神状態の秋生と滝沢に対して、健一は前作の偉民を凌ぐしたたかさを身に着けている。もしこの話を健一の視点で描いていたら、不夜城ならではの虚脱・脱力・無力感は
生まれないと思う。視点が健一に無い分、策略の内容が理解しにくいという点はあるけど。登場人物が窮地に追い詰められていく物語は大抵、「あそこでこうしておけば良かったのに」という場面が必ずあるけど、前作ともにそのような場面が思い浮かばない。主人公の過去や背景
を丁寧に積み重ねることで、「こうするしか無かった、これが運!命だ」と、悲しい結末を受け入れざるを得ないように思わせる。これが、虚しい読後感の原因だと思う。
・「「不夜城」の二年後を描いた、ロマンノワールの傑作です。」
大ベストセラーとなった「不夜城」の二年後の世界を描いた物語です。「不夜城」の主人公・劉健一は人間の感情を忘れてしまったような、冷酷な性格の持ち主となり、隠然たる力を持つ楊偉民の子飼いの殺し屋とチャイナマフィアの大物・崔虎の手下の元警官を自らの持ち駒のように操り、生き馬の目を抜く新宿歌舞伎町の中国系裏社会で生き残りを賭けて対峙します。先に「不夜城」を読まれておかないと作品世界にのめりこめないので、前作を読まれておくことをお薦めします。
・「「不夜城」の二年後を描いた、ロマンノワールの傑作です。」
大ベストセラーとなった「不夜城」の二年後の世界を描いた物語です。「不夜城」の主人公・劉健一は人間の感情を忘れてしまった様な、冷酷な性格の持ち主となり、隠然たる力を持つ楊偉民の子飼いの殺し屋とチャイナマフィアの大物・崔虎の手下の元警官を自らの持ち駒のように操り、生き馬の目を抜く新宿歌舞伎町の中国系裏社会で生き残りを賭けて対峙します。先に「不夜城」を読まれておかないと作品世界にのめりこめないので、前作を読まれておくことをお薦めします。
・「まずは『不夜城』を読んでから。」
映画にもなった『不夜城』の続編。中国人の殺し屋と中国人の手下になっている元警官の2本の物語の流れがだんだんつながっていく・・・。そして2人は劉健一に行き着く・・・。
結局は2人とも劉健一の操り駒だったかのように・・・。一気に読めてしまう。これは傑作である。是非、『不夜城』と2冊読むことをお薦めする。一作目と劉健一の描かれ方が全く違っているのもおもしろい。
・「不夜城読まずとも...」
楽しめると思います。他の方達とは異なった意見ですが。堕ちていく奴を書かせたら、馳星周の右に出る作家はいないと思う。本作では元刑事、「夜光虫」では元野球選手の加倉、「漂流街」では渋谷のデートクラブで働くマーリオ。いずれも犯罪に手を染め徐々に後戻りできない袋小路に追い詰められる主人公。その独特の奈落スパイラルワールドにグッと引き込まれ一気に最後まで読み切ってしまうのは私だけではないでしょう。個人的にはその奈落スパイラルワールド全開という点で「夜光虫」と並んでのおススメ。「夜光虫」「漂流街」よりもストーリー、背景に深みがあるので、単にバイオレンス、臨場感だけでは飽き足らない方にもおススメかもしれません。
・「暗く重く美しい」
全体的に暴力と策略がが張り巡らされている。さらに北海道の冬の厳しい寒さがリアルに描かれ、痛々しく寒いイメージが付きまとう。一番ひどいところだと手の力が抜けそうなほど怖い。
けれども、雪と月の美しさが不意にあらわれ、暗い内容とのギャップが目を引く。
馳星周の作品が初めてのためもあるが、結末には唖然とし、衝撃を受けた。個人的にはいい作品だったとおもう。
・「内容はおなじみのパターンだが」
ロシアと国境を接する根室という地の特殊事情、そして幸司と裕司という幼馴染の関係を描き、馳星周氏が新境地を切り開いた作品である。
しかし、その内容はおなじみのパターンとなる。金に群がる人たち。繰り返される裏切り。そして、例によって救いようの無いエンディング。
多少目先を変えた所で、本質は変わらない。でも、読んでる間はとっても幸せ。馳星周氏の作品には、既読感があっても、なお物語に引き込まれる何かがある。
・「憎しみ」
根室でひとりロシア人相手に商売をしながら日々 を送る幸司のもとへ,やくざになった裕司が姿を 現す。組の金を盗んだうえにロシア人情婦と共に 姿をくらました敬二を探すのを手伝えという・・・
地獄に産み落とされた醜い双子のような二人。 裕司は幸司を殴る 幸司は裕司を騙す 裕司は幸司の物を奪い取る 幸司は裕司の物を騙し取る これがこの物語をよく表した文章であると思う。 ただそれだけと言えばそれだけ・・・でもそれだけで これだけの文章を読ませる作者の筆力がすごいのか?
・「「不夜城」に次ぐ完成度の高い作品」
99年版 このミス 11位
大学野球のスタープレーヤーとしてプロ入りし、ノーヒットノーランを達成した加倉だが、肩を壊し日本球界を追われ、母と弟の住む台湾にわたることになる。野球への情熱を捨てきれず台湾プロ野球チームに入団するも、八百長に荷担することとなる。そして、この八百長の露見をふせぐため、加倉の狂気と暴力が解き放たれていく。
この作品は、残念ながらあまり評価されているとはいえないが、名作「不夜城」に次ぐ完成度の高い作品だと思う。閉塞された状況の中で、愛情と憎しみから、破滅へ向かうと知りながら突き進む主人公の姿がよく描けているし、また、ラストシーンもうまくできている。
平成10年に刊行されたこの作品以降、突き抜ける作品がないのが残念である。
・「「不夜城」に次ぐ完成度の高い作品」
99年版 このミス 11位
大学野球のスタープレーヤーとしてプロ入りし、ノーヒットノーランを達成した加倉だが、肩を壊し日本球界を追われ、母と弟の住む台湾にわたることになる。野球への情熱を捨てきれず台湾プロ野球チームに入団するも、八百長に荷担することとなる。そして、この八百長の露見をふせぐため、加倉の狂気と暴力が解き放たれていく。
この作品は、残念ながらあまり評価されているとはいえないが、名作「不夜城」に次ぐ完成度の高い作品だと思う。閉塞された状況の中で、愛情と憎しみから、破滅へ向かうと知りながら突き進む主人公の姿がよく描けているし、また、ラストシーンもうまくできている。
平成10年に刊行されたこの作品以降、突き抜ける作品がないのが残念である。
・「研ぎすまされた文体」
「不夜城」の次に読んだのがこの作品。日本で使い物にならなくなった投手加倉が、台湾に渡って投げ続ける。しかし、そこは腕一本でわたりきるにはあまりに汚い場所だった。次第に悪にそまっていく加倉。
・「人間の屑、The king of trash!」
日本から台湾へと渡った一人の負け犬野球選手。一から出直そうと再び野球に励もうとするが、そこは、八百長だらけの汚れた世界だった。結局自分自身はまり込み、マフィアのtargetになる。絶体絶命から抜け出せるのか?
馳星周 のなかでも、この本が僕は一番お勧めです。主人公が、とてもCOOL! 昨日の友は今日の敵。自分さえよければそれでいい。そんな腐った人間たちの戦い。もしあなたがこの本が好きなら、あなたは、、、、、答えはあなたの心のなかにある。
・「最後のシーンが・・・。」
馳さんの作品もあらかた読みましたが、この作品が一番好きですね。特に、整形手術をほどこし、声もかわり、さらに包帯で顔を覆われた主人公が最愛の女性に「他人」として対峙、名乗らずに別れを告げる最終シーンの美しさには胸を打たれます。暗黒小説ではあるけれど、透明度に満ちた結びに拍手です。
・「村上春樹の珠玉のドキュメンタリー:誰にでも語るべき物語はある」
こんな本はほかに存在しない。地下鉄サリン事件の被害者一人一人の証言が言葉の通り掲載されているのである。作者は徹底して自分の考えや意見、考察を挟むことを否定し、ただ綿々と生の言葉が続くのである。
被害者の方々は同じ朝、同じ駅に居合わせたわけなので、少しずつは異なりながらも何度も同じような話が出てくる。それでも一人一人が抱える個人的背景が違うので、この事件がどういう影を落としたのかは人によって違うのだ。どうしてもページを繰る手を止めることができない。何度も涙を流しながらついに最後まで読み終えて思うことは。
人間の人生は一つしかない。そして誰にでも語られるべき物語がある。その物語を伝えるという、ルポタージュのあるべき姿が詰まった一冊である。
・「すべての学生諸君に奨める」
私はこの本を、文系、理系の別なく、すべての大学および大学院の学生諸君に奨めます。理由は、「事実」を追究するとはどういうことかという、あらゆる学問の根本にある問題の処理への一つの道筋が示されているからです。
私はかつて某大学の工学部で学生の実験指導に携わったことがありますが、「実験報告書にはあるがままの事実を書け」と口がすっぱくなるほど注意したのに、学生たちはそれをしませんでした。彼らは、あるがままの事実ではなく、すでに自分の頭の中に入っているものを報告書に書きました。それではいけないということを注意する教師が他に居なかったので、それでいいのだと思いこんでいたのです。彼らのそういう態度を矯正するのは至難のことでした。
地下鉄サリン事件の報道をした新聞、雑誌、テレビ等も、記者やデスクの頭の中にあるものを紙面や電波に乗せました。そして結局歪んだ情報が流布されたのです。そこに矛盾を見出した村上氏が、被災者のプライバシーを被災者自身の判断によって守るという一点だけを唯一のフィルターとして、事実の記録に徹した『アンダーグラウンド』を発表したのです。この本が大きい感動を呼んだのは、村上氏が自分の価値観による判断を極力避けたからです。 村上氏のこの努力によって、『アンダーグラウンド』は現代日本の社会の研究に役立つ貴重な資料となっています。学者の方々がこれを生かして有意義な研究をなさる事を期待します。
・「「悪意」との対峙」
~この企画が発表された時には「何を小説家風情がジャーナリストを気取って」と眉をひそめた人も多かった。新聞の書評欄でも、「自分の地元で起こった阪神大震災を何故取材しないのか」という言いがかりに近いコメントもあった。しかし、「青春三部作」の奇想天外な幕切れ、ねじまき鳥の語る過去の悪夢。人間の心の底に潜む根源的な悪意を語り続けてきた氏にと~~っては、このテロ攻撃は自然災害よりはるかに真に迫ったものと感じられたに違いない。このインタビューは氏の次なる構想へのステップだと私は感じている。信者側へのインタビュー集「約束された場所で」と併せて読まれることをお薦めする。~
・「私自身被害者ですが、良く書けていると思います。」
私はその車両に乗り合わせた被害者です。出版された時にこの本を買い、今でもこの本をたまに読みます。良く書けていると思います。私は被害者としてインタビューされていませんが、ほぼこの本で私の体験は代表されているように思います。
・「小説家としての春樹の最高の倫理的な仕事!」
このインタビューで対象とされたのは事件の加害者ではなく、事件の被害者たち。この選択に春樹の視点の素晴らしさが集約されている。誰もが目をむけたオウムにではなく、被害者たちの姿こそが問題なのだ。それは彼/女らに誰も目を向けようとしないからだ。その無関心はそれ自体が暴力になりうるだろうからだ。この姿勢がもつ射程が広いのは容易に理解されるだろう。
被害者たちは声を持たなかった。少なくとも、「個人」というレベルで彼/女らが声を伝えることは難しい。被害者の会からも事件に関して証言集が出されているが、そこで個人の色は薄く、会の代弁者となり、名前を失ってしまう。
春樹は被害者の生活や職業に徹底してこだわる。問題とされるのは彼/女らがどのような生活の状況において事件と出会い、そしてそれ以降どのように事件を関わり、生きてきたかというそのかかわり総体だ。こうしたトラウマティックな事件に遭遇したときに、人はその事件をなんとか自分の人生において向き合い、処理しつづけていかずにはいられないのだ。その人生の歴史における被害者の語りを前にしたとき、春樹の声(あとがきなど)は重要ではないものになるだろう。
社会における事件の問題性などといったジャーナリスティックではない姿勢でこうしたインタビューを可能にするのは、まさに春樹の小説家としての姿勢に他ならない。小説こそ、主体の歴史における事件を扱ってきたからだ。これこそ小説の倫理を実際の人々の歴史に適用してえられた貴重な成果であって、春樹の聞き取りがほとんどカウンセリング的な成果を上げているのを見て驚くには及ばない。CDROMの『村上春樹堂』に収められている読者とのこの本についての対話も必見!
●約束された場所で―underground 2 (文春文庫)
・「見えないものを言葉にしていくプロ」
オウム信者へのインタビューと、ユング派の心理学者河合隼雄との対談。サブタイトルは「underground2」。サリン事件の被害者へのインタビューを集めた「アンダーグラウンド」と対をなす。 対談の部分が非常に面白かった。二人とも、見えないものを言葉にしていくプロだ。それも専門用語でなく、日常にある言葉を使って。
・「客観的な読み物」
前作のアンダーグラウンドでは被害者の皆さんの事実を冷静に表現されていますが、本作ではオウム側の信者の声を客観的にあつめてあります。よくある一連のオウム糾弾書物のようにワイドショー的内容を垂れ流しにして何も問題定義のなされない内容の本とは異なると感じます。筆者はまったく主観を交えずにペンを進めていますが本
当の意図はインタビューを受けたオウム信者の個々を浮き彫りにする事で、第2次ベビーブーマー以降の日本人が何故オウムに共感を得るに至ったのか?それを生み出した日本の国家に対する問題定義にあるのでは推察しました。
・「面白いですね。」
地下鉄サリン事件当時,オウム真理教の出家信者であった人達のインタビュー集である。彼らの中には未だ,一連の事件は教団が起こしたのだと信じていない者もいるが、半分以上は普通の人に戻っている。
過去の事を冷めた目で振り返っていて、面白い。「オウムで出世するのは東大と美人。結局、現実社会と一緒。」「麻原さんに性的関係を迫られ、嫌だと思った。」「色々と疑問に思っている事を幹部にぶつけてみると、それは私達も一緒だが、グルについていくしかない、と諭された。」
また、村上氏の考察も面白い。「彼らが社会に対する疑問は共感した。が、それに対するプロセスには共感しなかった。」まさに同感だった。真面目な問題意識で始めたが、途中でうまくいかなくなったのだ。
オウム事件が満州事変に似ている、との村上氏の考察は「オウム事件は狂った奴が、狂った事をした。」とのマスメディアが流し続ける情報より真実に迫っていると感じた。
・「やっぱり、何か変だ。」
読んでいて最後まで違和感が拭えなかった。ほんの少し傾いたセットの中で生活をするとほどなくめまいに襲われるが、まるでその様な生理的な違和感。脱会した人にも現役信者にも、「生きている感覚」「言葉の重み」というものが全く感じられない。村上氏の質問はなかなか鋭く的を射ているのだが、その返答がおしなべて空回り上滑り、挙げ句の果てには紋切り型の反省文。中にはまるで機械作文のような空虚な会話(それも、微笑みつつ頷きつつ)に終始する人もいる。この惨憺たるインタビュー集の末尾にある河合隼雄氏との対談で、河合氏の冷静な分析がなかったとしたら本当に救いようのない本になってしまうところだった(というより、そんな悲惨な形でこのインタビュー集を発表するほど、村上春樹氏は無神経な人ではない)。ただ、「似たようなものは次々と出てきます」という河合氏の指摘は怖い。ちなみに今私達は、国内でも海外でも国家レベルのカルト集団を目にし、時にそれと対峙している。ここで私達が感じる根源的な違和感は、恐らくオウムに対するそれと似たようなものなのだろう。村上氏にとっても、私達にとっても「アンダーグラウンド」はほんの出発点に過ぎなかった訳だ。内容は悲惨だが、文献資料的な価値を評価して星五つ。
・「社会の闇に入り込んでいるもの」
前作『アンダーグラウンド』を読んでの衝撃から、購入に至った。近年増えつづける少年犯罪や、児童虐待といった社会問題を、ワイドショー的に「信じられない、あの人が」というようなコメントしか聞けない世の中で、これほど真に差し迫るインタビューはなかなか無いと思う。それは、村上春樹氏の真実を見つめようという精神と、誠実さ、その著名さから故成しえたものであろう。一書き手としてのプロたるプライドと緊張感を感じずにはいられないものであった。
これを読むとオウム真理教の信者元信者の人たちは、実にまわりに居かねない、ひょっとしたら自分もそうなりかねない存在であることに気付かされる。読んでるうちにどこから悪なのか正義なのか境界線が分からなくなってくる。それが現代日本社会の闇ではなかろうか。ともかく、この本は『アンダーグラウンド』に続いて必読の一冊である。
・「紙一重の人生」
将棋も人生も紙一重。人生で最も大事な若い時代の全てを賭けて若者は将棋に挑む。結果は誰にもわからない。羽生のような特別な存在は別にして、通常の天才たちがプロの棋士に選ばれるかどうかの判定は実力以外のもっと別のものが関与する。著者はこの本を書くために将棋世界の編集長をやめた。
本人の一生懸命の努力にもかかわらず、選ばれなかったものへの応援歌を書くために。
試練の時に対面している人にとって是非読んでいただきたい本である。
・「様々な人生の縮図の一つ.しかし復活権は誰にもある.」
雑誌「将棋世界」の元編集長であった大崎善生氏の著書.本作で講談社ノンフィクション賞を受賞.
内容は主に奨励会に所属していた数々の会員、それも夢半ばで破れて奨励会を退会していった会員達のその後の人生について書かれています.その中でも、著者と同じ北海道出身のある奨励会員のその後を中心に作品はまとめられています.
とにかく心が動かされる作品です.この感情を何と表現すればよいのかわかりません.ひとつ言えることは涙が止まらなくなるということ.著者と同様に泣き、怒り、心配して、喜び、読み終えた後には他の本では味わえないような多くの感情が渦巻いています.
夢を語るのは簡単ですが、それをかなえるためには途方もない努力と才能、運が必要になります.才能だけがあっても、そしてそれに努力を加えたとしても、時には残りが欠けてしまって残念な結果になることもあります.そうなった時に人はどのような思いを抱いて後の人生を過ごしていくのでしょうか.一握りの才能と成功を同時に手にした天才達の影に隠れて夢を捨てる、または変更せざるをえなくなった天才達が多数描かれています.将棋のことを知らない方でもお薦めします.ぜひ一度手にとってみてください.
・「泣けてしょうがない」
いや、すいません。レビューじゃないです。子供たちの一人一人に対する大崎氏の愛情が感じられて、同じ気持ちになってしまい1章ごとに涙があふれてしょうがありません。勢いで、「聖(さとし)の青春」も速攻で購入しました。こっちも泣けました。妻があきれてます。申し訳ない。
・「通勤バスの中で激泣きした」
通勤バスの中で読んでいて涙が止まらなくなって困った。
子供の頃。歌手になりたかったり、作家になりたかったり、会社員なら社長になりたかったりする。しかし、多くの人は人生のどこかで、才能や努力の限界点を悟り、それ以上の努力をしても、目標に届かないことを自覚するときがくる。子供時代の夢をかなえる人なんて、ほとんどいない。
問題は、どこで見切りをつけるかだ。プロの将棋指しを目指すということは、目標がとても限定されているだけに、達成できなかったときの無惨な状態は、とんでもない挫折なのであろう。自分自身の存在意義を全部否定されることになるからだ。これは、普通の社会人と比較にならないほどの挫折かもしれない。
筆者は、天才だけをぎっしりと集めたプロ将棋の養成機関の世界で、彼が、無惨に淘汰されてゆく過程とその後を、30年の歳月を経て追跡した。このルポを書きたいがために、将棋雑誌編集長を辞して、無職となって、ずっと気になっていた同郷の将棋の天才少年の人生を、追うのだ。
いわば、書き手もこのルポに命を賭けているので、この本がつまらないはずがない。ぎりぎりのところで攻め続けてゆく、とてつもない緊張感は、まるで将棋の勝負そのものだ。
筆者が追跡した天才少年は、プロの養成機関である『奨励会』に入会するが、プロにはなれなかった。彼の将棋に人生の全部を注いでくれた母に、そのことを告げる日がやってきた。癌で死期が迫る母親に、それを告げる彼。
この告白の場面で、俺はバスの中で泣いた。
小説なら、その場面で終わりだろうが、現実は、その後も続く。それからの彼がどう生きているのか。
『奨励会』をやめてからの破滅的なその後の彼の人生。彼のことを、俺は笑えるだろうか。プロ棋士になれなかった彼を、天才たちの中では、輝くことができなかった彼の人生を、無惨なり!と断言できるだろうか。
そんなことは決してできない。
この筆者には、夭折した超天才棋士・村山聖八段を描いたルポ『聖(さとし)の青春 (講談社文庫)』もある。こちらの方も、病魔に没した一流棋士を描いた優れた作品なのだが、個人的な情念を込めた『将棋の子』は、読後に異様な高揚感をもたらす神憑かりなできばえのノンフィクションなのである。
・「プロになれなかった少年たちへの応援歌」
大崎善生の作品には、何ともいえない温かさがある。前作「聖の青春」でもそう感じたが、人に対する心の温さをもった作品には、せちがない今の世、そうそう巡り会えることはできない。「将棋の子」は前作をしのぐ出来栄えといってもいいだろう。
さて、この作品の背景となっているプロ棋士への登竜門である奨励会の、知られざる凄まじいまでの過酷な競争の実態を読んで、改めて認識不足を痛感した。プロ棋士=選ばれた者になることの大変さがいかに厳しいものなのか、我々が知っている “競争社会”という一般的な概念とはあきらかに次元が違う、“弱肉強食”の実態に近い世界が日々繰り広げられていのが奨励会なのである。奨励会の厳しさは、昇段にあたっての年齢制限というボーダーラインが敷かれていることにも現れている。全国から集まってきた天才少年たちがしのぎをけずり、年齢制限の枠を越えられずに涙を飲んで退会していく。名人に代表されるプロ棋士の華やかな世界とは裏腹に、苦しみ抜いて淘汰されていく、影に隠れたそんな厳しい側面はこれまで語られることがなかった。
「将棋の子」は、無念にも奨励会を退会した天才少年たちのその後にスポットを照てている。まさに将棋連盟に勤め、日々、少年たちの喜怒哀楽の姿を見つづけてきた著者にしか書けなかった作品だろう。そして、「!聖の青春」を世に出した著者が、連盟を辞してまで書き残したかったテーマであるだけに、壮絶なまでの気迫を感じる作品に仕上がっている。著者が書きたかったテーマは、決して“負け犬たち”の末期の姿ではなく、淘汰されたことをバネに自らを奮い立たせ、生きることに貪欲に立ち向かっていく、プロになれなかった少年たちへの応援歌なのだろうと思う。作品の柱となっている、札幌での少年時代の出会いから、たがいに引かれ合う、見えない糸に導かれるように関わってきた元奨励会会員を追いかけたルポは、涙を誘わずにはいられないだろう。
・「これほどドキドキした小説はない」
東西冷戦が話の背景なので今となっては過去の話ですがこの小説はとにかく緊張します私の中では最高のスパイ小説です
・「スパイ小説の傑作の一つ」
冷戦下、米国とソ連との間で激しい諜報戦が行われていた時代を背景に、非情なスパイの世界が描かれる本作は、かねてから評価の高い、スパイ小説の傑作の一つです。 ソ連KGB内部に潜む米国の二重スパイ“パンドラ”。その正体を暴く文書がKGBの手に落ちかけたとき、運命のいたずらから、若いフランス人女性シルヴィーの手にその文書が渡ります。理由も分からずKGBに追われる身となったシルヴィーが、ついに捕らわれようとしたその瞬間、謎の米国人男性ジェームズが現れ、窮地を救います。逃避行を共にすることとなった2人は、否応無しに米ソの謀略の応酬の渦中に身を投じることになります。 この作品は、古典的な「巻き込まれ型スパイ小説」の体裁を取りつつ、ソ連のブレジネフ共産党書記長やアンドロポフKGB議長という実在の人物を登場させるなど、執筆された当時の時代状況を巧みに反映させています。また、米国CIAやKGBの組織間の非情な戦いを描いた謀略・情報小説の側面もあり、さらに、共にトラウマを抱えたジェームズとシルヴィーが、逃避行を通じてそのトラウマを克服するという冒険小説の側面もあります。 ソ連の崩壊により冷戦が幕を閉じて早20年近く経ちますが、本作は時代が変わってもその面白さは変わらない素晴らしい作品です。
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