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▼個人的小説選集(2009年読了分):セレクト商品

凍える牙 (新潮文庫)凍える牙 (新潮文庫) (詳細)
乃南 アサ(著)

「かつてない面白さ」「影響されました!」「ドラマ放映されてたんです。」「家にあったから読んでみたら・・・」「現実味とありえなさの見事な融合」


死都日本 (講談社文庫)死都日本 (講談社文庫) (詳細)
石黒 耀(著)

「日本沈没(第一部、第二部)と並び称されるべきだと思う」「超スケール」「いい作品でした。」


炎の影 (ハルキ文庫)炎の影 (ハルキ文庫) (詳細)
香納 諒一(著)


シャングリ・ラ 上 (角川文庫)シャングリ・ラ 上 (角川文庫) (詳細)
池上 永一(著)

「これは凄いですよ。」「納得のおもしろさ」「作者が描く、沖縄じゃない、日本。」「読まないと損のエンタメ本」「アドベンチャー小説と思うなよ」


眠たい奴ら (角川文庫)眠たい奴ら (角川文庫) (詳細)
大沢 在昌(著)

「やはり刑事とやくざ」


とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫) (詳細)
犬村 小六(著), 森沢 晴行(イラスト)

「期待以上。」「前作とはまた異なるカラーで描かれる空と恋の物語」「「飛空士」最新巻!!」「失墜と、新たな出会いと、そして」「続きが楽しみだなぁ〜」


空飛ぶタイヤ (Jノベル・コレクション)空飛ぶタイヤ (Jノベル・コレクション) (詳細)
池井戸 潤(著)

「飛べ!赤松プロペラ機」「タイトル以外、文句なし」「寸暇を惜しんで」「筋が一本通っている」「非常におもしろかった。」


探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA) (詳細)
東 直己(著)

「探偵小説の傑作誕生」「札幌に住んで味わう軽ハードボイルドの醍醐味」「聖なる酒場の「俺」」「ゆるさ、ある等身大のハードボイルド」「生ゴミとゴムの匂い」


黄泉がえり (新潮文庫)黄泉がえり (新潮文庫) (詳細)
梶尾 真治(著)

「愛の物語なのだ」「黄泉がえり」「死別した愛しい人にもう一度逢えるなら」「原作を読むべし」「映画に今ひとつ納得できなかった人も是非!」


幽霊刑事 (講談社文庫)幽霊刑事 (講談社文庫) (詳細)
有栖川 有栖(著)

「涙です。」「ミステリ&恋愛小説」「楽しいユーモアと推理の興奮、そして感動」「涙です。」「愛すべきおバカミステリ」


ST警視庁科学特捜班 (講談社文庫)ST警視庁科学特捜班 (講談社文庫) (詳細)
今野 敏(著)

「こういうスタイルもあっていいさ」「面白かった」「ファンになった」「ST,だいすき!」「ありえない設定こそ面白い」


ストロベリーナイト (光文社文庫)ストロベリーナイト (光文社文庫) (詳細)
誉田 哲也(著)

「わけありで星5つあげる」「本編よりも、主人公の過去の描写の方が印象的」「面白すぎる」「最高でした」「裁判のシーンは震えたよ」


13階段 (講談社文庫)13階段 (講談社文庫) (詳細)
高野 和明(著)

「「死刑」についていろいろ考えさせられた作品」「やられた・・・」「罪を背負って生きること、罪を背負って死ぬこと」「理想から乖離した現実に打ちのめされることになる」「もっと早く読めばよかった」


幽霊人命救助隊 (文春文庫)幽霊人命救助隊 (文春文庫) (詳細)
高野 和明(著)

「高野和明のヒューマニズム」「伝えたいことがあるから、人を惹き付ける形にして、伝える。」「この世の人たちのそばに居させてくれ」「読むカウンセラー」「「死なないでください、日没まで。必ず助けに行きます」 」


永遠の0 (講談社文庫)永遠の0 (講談社文庫) (詳細)
百田 尚樹(著)

「最強の戦記文学」「異色の戦争ものですが、泣けます!」「全ての人にオススメできる作品」「素晴らしい」「絶好のタイミングで」


ビート―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)ビート―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫) (詳細)
今野 敏(著)

「心温まる家族小説」「バイプレーヤーの魅力」「「自分に自信のない」がゆえに名探偵な樋口顕は、日本人型名探偵?」「一気に読んだ」「親子の絆を感じる小説」


プラ・バロックプラ・バロック (詳細)
結城 充考(著)

「普通に面白いです」「期待しすぎたのかも‥」「物足りなさを感じました。」「新人賞ですから」「Vシネマ臭がする良作」


▼クチコミ情報

凍える牙 (新潮文庫)

・「かつてない面白さ
深夜のレストランで男が炎上するという衝撃的なプロローグから、最後までずっと飽きさせません。犯人を追跡する捜査の過程も面白いのですが、人物の丁寧な描写はさすがです。女性蔑視も甚だしい中年刑事滝沢とバツイチの女性刑事音道貴子のコンビ。普通なら、あからさまに「刑事の職場に女は必要ない」という態度を示す滝沢に女性なら誰しも腹を立てることでしょう。でもどこか憎めない。貴子もただ片意地はって男に負けるもんか、とイキガってる女性じゃない。二人に共通するのは刑事という仕事に対する真剣さでしょうか。最初は反発しあう二人ですが、次第に同士ともいうべき不思議な連帯感を抱いていきます。

なんといっても圧巻なのは、貴子がバイクで狼犬を追跡するシーンです。こっちまで深夜の高速を走っているような錯覚に陥りました。余談ですが、私も狼犬を飼ってみたくなりました。これを読んで音道貴子のファンになった方は、「花散る頃の殺人」もあわせて読むことをおすすめします。

・「影響されました!
この本を読んで、まず第一に、犬を飼いたくなりました。人間より、自分をわかってくれるペットをきっと誰もが飼いたくなるはずです。そして、私はバイクに乗ってみたくなりました。しかも大型!この本の主人公のようにバイクにまたがり、ストレス発散するかのように滑走と走ってみたくなりました。主人公がバイクに乗っている描写や、気持ちをきれいに書いている作品で、読んでいてとてもひきつけられます。読んでみる価値あり!

・「ドラマ放映されてたんです。
 女性刑事“音道貴子”を全国区に押し上げたのが、この作品です。 読みどころはなんといっても音道刑事と、「刑事は、女なんかに務まらねえ!」と信じて疑わない滝沢刑事の敵対関係が、事件の経過とともに変化していく様でしょう。 そして、もう1人の彼(?)の出現!ここから先の展開はまるで映像を見ているようで、‘お見事’の一言です。 実は、NHKでドラマ化されていたんです。その時は何気なく見ていたのですが、ビデオに録っていなくて…‥今となっては悔やんでも悔やみきれません。 とにかく、小説でもドラマでも十分に楽しめる作品です。

・「家にあったから読んでみたら・・・
読む本が無くなって、家の本棚を何気なく見たら目に付いたのが「凍える牙」でした。誰が買ったんだろう?と、何となく読んで見たら〝女性刑事〟を主人公にした物語は女性の私にとって読みやすく、どんどん読んでしまいました!私的には冒頭の音道刑事がピザを食べるシーンが好きです。女性にオススメです!

・「現実味とありえなさの見事な融合
 ご存じ、音道貴子シリーズの1作目。警察組織の中での女性の働きづらさ、わからずやのオヤジと組んでの仕事のやりづらさなどはありがちな設定だが、文章が巧みで退屈させない。ミステリーとして犯人を追う楽しみは少々薄いが、プロセスは十分に楽しめる。 圧巻は、やはり終盤の、犬を追ってバイクで高速道路を疾走する場面。これはあり得ないとわかっていても、実に爽快である。一度は読む価値あり。 

凍える牙 (新潮文庫) (詳細)

死都日本 (講談社文庫)

・「日本沈没(第一部、第二部)と並び称されるべきだと思う
 畳みかけるように襲ってくる自然現象の解説や連鎖の描写がアカデミックかつマニアックなところ(ときどき筆が滑って暴走する。主人公である准教授の講義のようだ)も面白いが、行動する人たちのドラマも非常に魅力的だ。災害の中心地からの脱出行であったり、病院での生死をかけた非難の様子、さらに災害対策本部の政治家や官僚の姿がそれだ。 感心したのは日本再生のための仕掛けである。日本の資産を活用していかに国体を維持していくのか、という究極の政治がここにあるという感じ。「日本沈没 第二部」に比べると物語の舞台は国内を出ないが、話のスケールとしては優るとも劣らない。文庫本で600ページ以上をだれることなく、恐れながら読みきることができる。 本書の魅力の一つの柱である総理大臣とそれを補佐する官僚たち、彼等が適切な準備と初動対応で直面する危機に対処していくところは非常に読みどころなのだが、ふとフィクションでしかないことに気づくとがっかりして悲しい。火山や地震などの自然災害はフィクションであって欲しいのだが、政治や官僚のフィクションに夢中になるのは残念な限り。本書は新興政党出身の総理大臣の活躍と、国土を揺るがす大災害という二つの刺激で新しい日本を目覚めさせる壮大な作戦なのだろうか。

・「超スケール
 とにかくスケールの凄い小説でした。 個人的には破局的噴火、及びその発生後に生ずる事象の数々を支えるさまざまな理論武装を理解するのに手間取り(そして失敗し)、簡単に読むことはできませんでしたが、それでも中盤以降は一気読みとなりました。 末尾の参考文献や著者の経歴などからも、火山災害についての描写はあながち絵空事として笑えることでもないといえ、まずは災害小説(そんなジャンルがあるかどうかはわかりません。クライム・ノベル?)として評価できるでしょう。 一方で、黒木夫妻と記者・岩切を軸にして圧倒的な自然の猛威と対峙する人間達のありさまも盛り込んでおり、ヒューマンドラマ的な要素を認められると思います。 そして、日常的な感覚からはちょっと想像できないスケールの大きさ。フィクションならではと言ってしまえばそれまでですが、個人的にはこの物語、神話的な印象を受けます。それこそ作中で再三語られるモチーフのように。 なかなかに分厚い物語で中身の重厚さもあり、なかなか手を出しにくい作品ですが、一読してみる価値はあるかとおもいます。

ところで、冒頭の政治をめぐる内容が現実の日本の情勢と妙に符合していて驚きました。……嫌な予感がしますね(笑)?

・「いい作品でした。
買って数ヶ月でやっと読了。時間がかかった理由は、最初の破局的噴火までの経緯と災害発生までのテンポの良さのあと、黒木准教授と岩切記者の脱出行の描写が長すぎて飽きてしまったから。それで手をつけずに数ヶ月寝かせていた。それを数日前からまた読み始めたため。ラストに向けては政府の対応その他がメインになって、またものすごくテンポが良くなった。自分としては大枠での災害の描写、政府の対応、海外の反応などをメインに読みたいと思うので、そう感じたのだと思う。舞台となった霧島には実際に行ったことがあってとても親近感があり、それだけにリアリティを感じたし、根拠もしっかりしていて全体的にはいい作品だったと思う。ただ、最後の部分が「えっ、そこで終わってしまう?」という感じでやや物足りない。真ん中の脱出行をもっとさらっと流して、過酷にもさらに続く大災害のその後をもう少し書いてくだされば・・・と思うのは一読者のわがままなのだろうが・・・。

死都日本 (講談社文庫) (詳細)

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

・「これは凄いですよ。
CO2が経済を支配する時代、如何にCO2を削減するかにマネーが流れ込む時代のお話。映像を見ているかのように分かりやす文章構成、息もつかせぬスピード感と完成された世界観。SF好きもビジネス物語好きも満足出来る。脚本っぽいのかもしれないなー。でもそんなに説明文章では無いんだよなー。「誰かアニメ化してくれ〜」と思ったら既にテレビアニメ化の予定が決まっていたようです。個人的には押井守かと思ったんだけどなー。下巻が楽しみ。

■読んで欲しい人・SF好きの人・ビジネス物語が好きな人・将来の環境行政に影響力のある人

・「納得のおもしろさ
東京の緑地化に成功した近未来、環境バランスを無視した緑地化政策のため、地上は人々が快適に生活できる場所ではなくなっていました。そのようなユニークで説得力のある設定に惹かれて本書を購入しました。

序盤こそリアリティーがありますが、途中からは荒唐無稽というかハチャメチャ。でも、そのハチャメチャぶりが面白いです!次から次へと判明する事実と、どんでん返しの連続のストーリー。続きが気になってページをめくる手が止まりませんでした。

ストレスが溜まったときにおススメの本です。

・「作者が描く、沖縄じゃない、日本。
沖縄の作家・池上永一の作品で、 アニメ化されて、現在放送中。

僕の知る限りでは、 はじめて、沖縄が舞台ではない作品。 未来世界を描く。 資本主義経済社会から、 炭素経済社会へと移った時代。 炭素の排出量を減らした国こそが、 世界を席巻できる。 そんな炭素経済を読み取ることで、 利益を得ているカーボニストたち。

地上は人が生きるには厳しい環境となり、 地上から、天に向かって、 人々は、生きる生活空間を延ばしていった。 それはあたかも、 バベルの塔のようにも思える。 この超巨大塔に住むことのできない多くの人々の中から、 ゲリラによって、生きる場所を確保しようと、 闘う人々がいた。

彼の作品には、 魅力的な少女が主人公であることが多いが、 今回も女子高生(?)が、主人公。 ゲリラの首領となって、 政府にたてつく。 しかし、 ことはそんなに単純なわけではない。

めちゃくちゃながら、 魅力的な登場人物たちがオンパレード。 それぞれの抱える事情と、 まだ明かされない謎。 まずは出そろったところで、 ゲリラ軍の命がけの最終決戦が始まろうとしていた。 上巻は、そんなところ。

・「読まないと損のエンタメ本
アニメ雑誌に連載されていたというこの作品。たしかに昔の週間マンガ雑誌の連載のような面白さですね。山場が来る来る。SF設定の世界観も豊かなイメージで描かれていて、登場人物もみな個性的です。主人公の國子を筆頭に女のキャラがもう凄まじいキレアジでした。オカマのモモコ、ミーコ、ドSの女医小夜子、道徳や常識のくびきを軽々と外した外道たちの描き出す世界。愛しくて、残酷で、どこまで疾走して行こうとするのか。行き着く世界は天国か地獄か。炭素経済という発想も面白く、それにかかわる人達のマネーゲームも読ませます。

なんとなく名前の雰囲気だけで難しそう、と敬遠していたのですが、こんなにあからさまに面白いエンタメ本だったとは・・・。早く他の本も読まなくては、と力瘤が!(笑)

エンタメ好きで、未読の方、是非読んでみてください。

・「アドベンチャー小説と思うなよ
11月にはコミック本になり、新春からはTVアニメ化がスタートするという。荒唐無稽ともいえる過剰な描写で、近未来の社会が劇画タッチで描かれている。その意味で、若い人が読んで楽しめる小説である。

しかし、作者が想い描いた地球温暖化に伴う炭素経済社会と繰り広げられるマネーゲームならぬ「カーボンビジネスゲーム」の描写は、なかなかに秀逸であり、この点を見逃してはならない。

サブプライムローンの破綻に端を発し、世界中を席巻していたマネー(幻想)社会の崩壊が現実となったいま、3年前にすでにそのような社会の到来を予測していたかのような本書の持つ意味は、とても大きい。

登場人物たちが様々な形で巻き込まれるカーボンゲーム社会とそれを支える金融工学の魔力が、虚実織り交ぜて活写された近未来経済エンターテイメント小説といえよう。マネー漬けだった?大人たちが読んでも、近未来ドラマとして充分楽しめる。(後の祭りかもしれませんが、、、)

文庫本の作者あとがきに、ヘリコプターで東京上空を飛んだ時、密集する東京市街地の中にぽっかり空いた「皇居の緑」がひらめきの原点だったと述べている。私自身、10数年前、バブル経済の頃、東京上空をヘリ体験したことがあるが、同じような印象をもった。

小説としての成熟度は著者の「テンペスト」が上だと思うが、シャングリ・ラに描かれた世界は、若者だけでなく、金に目がくらんだ?大人たちにもぜひ読んで欲しい。

シャングリ・ラ 上 (角川文庫) (詳細)

眠たい奴ら (角川文庫)

・「やはり刑事とやくざ
惚れた女のためにやくざが正義の味方を目指す。はぐれやくざとはぐれ刑事のコンビネーションがおもしろい。

眠たい奴ら (角川文庫) (詳細)

とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)

・「期待以上。
前作に続き、同じ世界の話だが、主人公は前作とは違う空に魅せられた少年。 著者が発売前から言ってたようにマザコン。しかも高慢的で他者を蔑む人格。 ここだけを直視すると主人公失格だが、魅力的な主人公でした。 どこか可愛らしく、時に可笑しく。 主人公以外もとても魅力的で、特に義父は『理想の父親』でした。

文章は前作同様に三人称。 幼生期に両親を失った主人公は、義父に拾われ暖かい家族と共に成長していくーーーーー 文字だけの演出ですが、最初は名前で表記されてた義父も、呼称が変わっていきます。細かい演出だと思う。

早く続きがみたい。

・「前作とはまた異なるカラーで描かれる空と恋の物語
【一章】おそらくフランス革命がベースと思われる第一皇子の転落。優しくて素敵な母も見方を変えれば圧政に苦しむ庶民の敵となる悲劇をさり気なく挿みながら、置かれた境遇への反発、革命の旗印への敵意、そして新しい生活への導入が綴られる。母の言に反して心は理不尽という憎しみ色である。

【二章】下層の暮らし。本作の雰囲気が変わる。面白い。本音で生きる人達の楽しさが伝わってくる。空の素晴らしさを知る。度々告げられる『空、飛べ』が沁み渡る。カルエルを愛玩するノエルとマヌエル。淡い恋心を抱くアリエル。カルエルの正体を知っても動じない強い3姉妹。喧嘩してボコボコのカルエルを見て『男前になった』と笑い飛ばす父親が今どれだけいるだろう。暖かく静かな感動がじわっと寄せてくる。

【三章】旅立った「空飛ぶ島」イスラでの生活。政治も動き出す。しかし、母の言を少し理解したカルエルが遭遇したドジッ娘少女、その僅かな邂逅でお互いの孤独な境遇を解り合うところから物語が大きく動いていく……その端緒が開かれる。

「最終章はまるまる滂沱でした」といった大きな感動とはまた異なる感動作である。『ローマの休日』の次は『ロミオとジュリエット』。あまりにド真ん中過ぎて普段は使われないこれらの元ネタを上手に昇華させていて素晴らしい。ただ、前作と異なり、最初から元ネタが明かされたことと読み手に大きな期待という先入観があることで本作のハードルが恐ろしく高くなっている(平積み×6を見ると書店も期待している)のだが、その素晴らしき感動はそっと静かに、前作に劣らずやってくる。義父ミハエル素敵過ぎ。

・「「飛空士」最新巻!!
さて、2008年ラノベ界に旋風を巻き起こした(大袈裟?)「とある飛空士への追憶」の最新巻です。今回は一巻完結ではなく、続刊されます。また、前巻では「逃避行(飛行)」がメインでしたが今回は、「主人公の成長」「学園生活」「込み入った恋」などがメインで進みそうです。 (あくまで、個人的意見なので悪しからず)では個人的感想を『飛空士は 相も変わらず おもしろい』これに尽きますね。 少し内容について書きます。________________________ 革命により全てを失った元皇子、革命の旗印とされた風呼びの少女…………。空の果てを見つけるため、若き飛空士たちは空飛ぶ島イスラに乗り旅立つ!『とある飛空士への追憶』の世界を舞台に、恋と空戦の物語再び!!(ガ報抜粋)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄作者によると「追憶」は【ローマの休日】、「恋歌」は【ロミオとジュリエット】をイメージしていると言っています。また感動させられそうですね ヾ('∀`〇) 長文失礼しました。

・「失墜と、新たな出会いと、そして
 斎ノ国、帝政ベナレスと並ぶ大国バレステロス皇国の第一皇子カール・ラ・イールは、突然の革命によりその地位を一夜にして失った。当時九歳の少年は、革命の旗印である風呼びの少女ニナ・ヴィエントの靴への口づけを強制され、両親は断頭台の露と消える。 カールは処刑を免れたが衰弱死を望まれ、非道な養父に預けられそうになるところを、機械整備工ミハエル・アルバスに拾われ、名前を隠して生きることになる。名をカルエルと変えたカールは、ミハエルの娘ノエル、マヌエルを姉とし、同年のアリエルを妹として健やかに生きる。…ニナへの復讐を胸に。 十四歳になったカルエルは、自宅に現政権からの密使を迎える。革命からの揺り戻しにより王政復古を望む勢力の傀儡となることを避けるため、カルエルに国外への出奔を促しに来たのだ。彼らは、ちょうど実行局面に来ていた、大瀑布の果てを探す計画、イスラ計画への参加を提案する。イスラは空中に浮遊する巨大な島であり、そこにはカルエルが目指す飛空士となるための学校も併設される。アリエルの渡航費用も出すという条件で参加したカルエルは、その島にニナ・ヴィエントが乗り込むことを知るのだった。

 プライドが高くて負けず嫌い、順応性は高いがピンチには弱いというカルエルと冒険好きで屈託のないアリエルのやり取りや、養父ミハエルの背中がとても格好よい。作者はもしかすると、一度敗北した男が立ち直っていく過程を描くのが好きなのかも知れない。 今回は世界観と時代背景の説明と、出会いに終始しているので、展開は次巻以降になる。

・「続きが楽しみだなぁ〜
前作みたいなストーリーライン(時間軸がスッパリ変わる)なので、「追憶」読んだ方ならすんなり読めるのではないでしょうか。

「恋歌」は序章ですが今後に期待できる内容であったと思います。

とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫) (詳細)

空飛ぶタイヤ (Jノベル・コレクション)

・「飛べ!赤松プロペラ機
皆さんのレビューに、感謝しないといけない。「直木賞受賞」なら読んだかも知れないが、「直木賞ノミネート」だけでは、手に取らずに忘れてしまうことがほとんどだからである。「経済小説」と言っても、モデルとなった事件は広く知られており、広告スポンサーの影響力など、これを読んで新たに知るという情報は、ほとんどないだろう。それよりも、これは第一級の人間ドラマだ。何より私の心を熱くしたのが、赤松プロペラ機こと運送屋の二代目、赤松徳郎の大奮闘である。大企業の論理の前に、人間としてあるべき道をただし続け、最後に勝利する…、このあらすじが単なる予定調和の物語になっていないのは、この人物に血が通っているからである。中小企業の資金繰りの大変さ、自分に非がないのに責められるつらさ、潔白を証明出来ない間、加害者にされ続けてしまう理不尽さ…等々、数え挙げたらキリがないが、彼の怒りが、嘆きが、すべて私自身のものとなって行くのである。彼を動かすのは、「こんなことが許されていいのか!」という強烈な怒りだ。人を本当に本気にさせるのは、怒りなのだ。この本を読む間、私も彼と一緒に怒っていた。もっともっと多くの人に読んでもらいたい。こんなことは、絶対にあってはならない。

・「タイトル以外、文句なし
死亡事故も起きたトラック製造メーカーのリコール隠し事件をテーマにした作品。被害者、加害者、関係者、傍観者と、一つの事件を巡って様々な人が関わっていく群像劇になっている。かといって話が散らばることなく、軸がしっかりしているのがすごい。死亡事故を起こしてしまった運送会社の社長が中心人物。被害者遺族から責められ、社会のバッシングを浴び、経営も苦しくなっていく。だが、整備不良ではないとの信念から、隠された真実を見いだそうと懸命になっていく。そこに立ちはだかるのが”一流企業”のトラック製造メーカー。彼らは自分達に非があるなどとは絶対に認めないのだ。真実を明らかにすることはできるのだろうか。。。重いテーマで、読み応えもあるが、堅いだけではないバランスの良さがある。タイトルがちょっと軽すぎるのだけが難点かも。

・「寸暇を惜しんで
まさに一気に読んでしまいました。ボリュームとしては、結構あるのですが、先に進まずにはいられない・・・著者の筆力を感じさせる作品です。

某自動車メーカーのトラックのタイヤがはずれて母子が死亡した事故(事件?)に想を得たこの作品ですが、事故を起こした主人公の赤松社長に気持ちが完全に寄りそってしまい、あがってはおちる・・・

用事を先延ばしにしてでも、睡眠を削ってでも、読み進まずにはいられない作品です。

WOWOWでドラマ化されDVDも出るとのこと、こちらも併せてみようと思っています。

今のところ、池井戸作品読み漁ってます。

・「筋が一本通っている
最初から最後まで赤松社長のぶれない誠実さには心がうたれます。物語が急展開を見せても、長い戦いの末の安堵の瞬間が訪れる時も変わることのない強さは読後半年以上経っても自分にとっての良いお手本となっています(現実、自分の心意気は他の登場人物の方が近いのですが)。感情移入しすぎで途中読み進めていくのが本当に苦痛で長く感じましたが読んでよかったと心底思います。

・「非常におもしろかった。
この本は、例の自動車会社のリコール隠しを題材にしています。メーカーの理屈で、弱者を圧殺しようとする。社内からも批判者がでたり、それも左遷で押しつぶそうとします。その流れが非常に臨場感があって最後まで飽きさせません。今も裁判になっていますが、あのような企業エリートはいなくなって欲しい。

空飛ぶタイヤ (Jノベル・コレクション) (詳細)

探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)

・「探偵小説の傑作誕生
既レビューに「生ゴミの匂いがする」と言う記述があったので、我慢できずに筆を取りました。

私も他の方の例に漏れず「探偵はバーにいる」という題名が嫌で、ずっとこの作品を手にせずに来ました。しかし「畝原」シリーズのあまりの出来の良さにこの「ススキノ探偵シリーズ」も読んでみる気になったのです。

この作品だけについて言えば、デビュー作ということもあってか、文章や構成に生硬なところがあって、やや読みにくいかも知れません。ましてや目の肥えたミステリ愛好家の皆さんには軽すぎると思える展開もあると思います。

しかし、皆さん、これは東直己のデビュー作です。多少の事には目を瞑って、自作の「バーにかかってきた電話」も読んでみましょう。その成長ぶりに驚くことでしょう。そして、シリーズが進むごとに作品は成長して行きます。

銃を持てない日本で「探偵」小説が成り立つのか?という命題に東直己は見事に答えを出しています。多くの作家がこのジレンマに耐え切れずに、結局は警官を主人公に据えることが多いのが日本のミステリです。

「ススキノの便利屋」は年齢を重ねると共に成長していきます。そしてシリーズもよりリアル感が増して行きます。是非、全作を通して読んで頂きたい。この作家の良さが分かってもらえるはずです。

それにしても「生ゴミの匂い」をレビューの題にするとは小説への愛が足りない気がします。

・「札幌に住んで味わう軽ハードボイルドの醍醐味
 札幌に越して来て5年。だと言うのに、ぼくはこのススキノ作家・東直己の本を一冊も読んでいなかった。1992年、つまり10年前にハヤカワミステリーワールドという日本人作家のミステリ・シリーズが早川書房でスタートしたときにも、東直己の方は、新人作家ということでさほど興味を覚えずに、そのままぼくは東直己という作家を素通りしてしまった。

 一つには作品名が気に入らないっていうのがあった。『探偵はバーにいる』だ。なんだか臭い、品がないと感じたのだった。その頃ぼくの読書的天敵と言えば、多作作家。彼らのタイトルに対するこだわりのなさや、ふざけ加減が、どうもいい加減な仕事のように思えて反感を感じていたから、この東直己も、正直同類だろう、くらいに思っていた。だってタイトルがいかにも軽そうだ。

 でも実に10年の時を要して、ぼくはこの作品のページを開いた。ぼくの渋る背中を押してくれたのは他でもない、多くの読者たちの東直己賛美だ。悪く言う人というのをあまり聞かない。それどころか書店での東直己コーナーは厚みを増すばかりだ。札幌だけの現象なのかもしれないが、それにしても作品が増え、賞を取り、いやでも名前を聞くようになる。ある日妻が街で東直己を見かけたらしい。ぼくが読まず嫌いだった作家は、ぼくの知らぬうちにそのくらい有名になっていた。

 読んでみて面白かった。軽ハードボイルドと誰が言ったのか知らないが、ぴったりくる小説かと思えた。随所にユーモア。風来坊な主人公。不細工で弱点だらけで、自動車の運転ができず、いつでもどこでもウイスキーをタンブラーになみなみと継いでもらい、ススキノを漂流して歩く男。なんだ、探偵でも何でもないじゃないか。

 そう。ぼくは先入観から、いわゆるトラベル・ミステリーみたいな探偵を思い描いていたのだ。そんな「探偵」では全然なかった。いい加減な28歳の若造と言われてもおかしくない自由業の男が、いい加減な生活のなかで、適度に自分の方法を見出しつつ、便利屋をやって人さがしをやって、周りと折り合いを付けながらススキノで生きてゆく、割と生活臭の漂う、大人の小説であったのだ。

 意外だった。たちまち面白さに取り憑かれた。全作読んでみたくなってしまった。街の紹介、脇役陣の紹介などが多いように見えるが、作者はきっと最初からシリーズ化をもくろんでいたのだと思う。シリーズのスタート作だと一度思ってしまえば、それ以外のものには決して見えない作品だ。何故か。ススキノへの愛着。多くの酒場への愛着。作品にそれがいやがおうでも漂っていることだからだ。

 札幌に住んで5年経った今、ようやくこれを手にして、味わい深いものを感じる。通りやビルやその他のもろもろに、多く親しみを持って読むことができる。わが身の生活タイミングとのシンクロを考えると、10年遅れて読むことになってしまったいきさつについても、そうあながち悪いことではないような気がしてきた。

・「聖なる酒場の「俺」
特定の地域を限定にした探偵ものか・・・と思いながら購入。飲んでいる酒の種類は聖なるハードボイルドのカクテルで、依頼の受け方はマンハッタン・ニュヨークで便利屋探偵業をやってるおっさんと似ており、「俺」に向かって「聖なるカクテルをがぶ飲みするな!」と注意したりする自分が楽しかった。

男族たいていの奴が持っている「後輩の面倒を見てやる」という心情をくすぶりながらストーリーは展開していく。やたらと便利な友人、気の弱いロマンティクな依頼人の後輩、言い訳で固めた娼婦業を営むその彼女。「ススキの界隈で最高に素敵な娼婦」なかなかよい登場人物設定です。あっと言う間に読みふけるモテナイ「俺」に「バカ」とつぶやきながら読める探偵ものです。

・「ゆるさ、ある等身大のハードボイルド
全く知らなかった方なのですが、良かったです。行ったことないのですが、北海道は札幌に、もしくはススキノに、もっと言えばバーボンに、偏愛を感じさせる文章で、しかも窮屈でなく、そして受け手の想像を遊ばせる範囲を残す「ゆるさ」があり、そのうえその「ゆるさ」を上手く使えている部分を特に良いと感じました。

札幌はススキノの酒場で「何でも屋」で暮らしている<俺>は今日もいきつけのバーで美味しい酒にありつき、そして細々した用事を片付けなければいけない。そんないつものバーで<俺>を待っていたのは中退した大学の後輩で、しかも彼女の失踪だと言うのだが...というのが冒頭部分です。もちろんただの失踪ではなく、その後いろいろと絡んでくるのですが、ただのハードボイルドでは無く感じさせるのは、テンポの良さとそのキャラクター、そして遊びのある「ゆるさ」であると私は感じました。

たしかにちょっと古い話しかもしれません、手垢のついた話しと感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、それでも充分楽しめる作品です。それはただのハードボイルドではなく、土着のハードボイルドであるからのように感じました。それにいわゆるキメ台詞も、もちろん素晴らしいのですが、そのレベルが日本の日常会話レベルで素晴らしいのです。そりゃリュウ・アーチャーやフィリップ・マーロウが、あるいはリック・ブレイン(「カサブランカ」のハンフリー・ボガート)がキメる台詞はカッコイイでしょう。けれど私には恥ずかしくもあるんです。恥ずかしさを感じさせない世界を構築する方も、その技術は凄いけれど、等身大でかっこよくさせる日本の日常的世界観とその技術も素晴らしいと私は思います。なかなか冴えた台詞があって私は好きです「生きてる証拠」ってやつ。

また、運転免許を持っていないところ、持っていないことに何の問題も感じていないところがまた何となくカッコイイのです。

そして何かを思い出させると思っていたら、それは「羊をめぐる冒険」ですね。札幌の街を歩き回るので急に思い出しました。行ってみたいです、札幌。

日本の、ハードボイルドが好きな方に、どっぷり世界に浸るのではなく、日常と地続きのハードボイルドを楽しめる方にオススメ致します。

・「生ゴミとゴムの匂い
ソフト・ハードボイルド(何じゃそりゃ)とでも言うのでしょうか。

語り口はハードボイルドなのに会話が全然普通で、最初は、そこがどうもな〜と思っていたのですが、徐々にその不思議な会話のリズム感が説得力ある感じになってきました。

ただどうしても、小汚い場末の飲み屋や、ヤクザの手下のヤク中のチンピラや、下卑た女子大生は、不潔でかなわない。混沌とした中に何か真実をつかもうとする気持ちは分かるんだけど、それは不潔でなくてもできるだろうって感じ。主人公の散らかった部屋や、繁華街の裏口や、デートクラブの事務所や、ラブホテル、と出てくる場所がすべて生ゴミとゴムの匂いがしそうな場所ばかりなのも辛い。

この不潔な環境にガマンできるのは、主人公の若さの証拠なんでしょうが。音楽や女優の好みやら、そこだけ取ってつけた"趣味の良さ"をアピールするエピソードも、人間関係も、鼻白むものが多いし。作者の若さのせいなのか。

そこらへん変わって来ますかね。次作はどうしようか。

探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA) (詳細)

黄泉がえり (新潮文庫)

・「愛の物語なのだ
熊本地域限定で、突如、死者のよみがえりが続く。とっくの昔に死んじゃった人が、元気に黄泉がえる。そりゃ、いろいろ大変だぁ...

ユーモラスで軽妙なタッチで物語は続くが、そこに描き出される愛はなかなか深い。

亡くしてしまった、失ってしまった、愛しい、あの人がよみがえってきたのだ。夫と妻、兄と弟、親と子、アーチストとファン、いったん失ってしまったからこそ、その愛は深いのかもしれない。

泣けるエンターテイメント、梶尾真治の描く愛の物語なのだ。お勧めの1冊です。

・「黄泉がえり
もし、死んだ人が蘇って(黄泉がえり)帰ってきたらどうしますか?

私はもう一度ひいおばあちゃんに会いたい・・・本を読みながら、自分だったらどう思うか・・どうするか・・・考えながら読みすすめて、どんどん本と現実の境がなくなっていきました。

死んだ父が帰ってきた家庭・・、先代の社長が帰ってきた会社、

死んだ奥さんが帰ってきて、後妻と元妻と3人で暮らしすことになった家庭、その黄泉がえり現象は熊本市を中心に局地的で膨大な数の人々が愛する人のもとへ帰ってきた・・というお話です

最後はどうなるんだろう???見事に読むものの想像力を超えた結末を用意してくれています梶尾真治さん、すごいです!この本は感動して泣けますオススメです!

是非、読んで下さい!

初出:熊本日日新聞社「日曜版」1999年4月から2000年4月1日

・「死別した愛しい人にもう一度逢えるなら
九州・熊本に落ちた流れ星。そして「奇跡」が起こり始める。死別した愛しい人やペットなどが死んだ当事のままのすがたで「黄泉がえって」くるという奇跡。実際そんな事が起きたら人ははどんな反応を示すだろう。狂言回しとして地方紙の記者をすえて、様々な人の様々な反応を淡々としかし優しい視点で描いてゆく描写力は流石です。

確かにアイデアは「誰も考えない」というような斬新なものではないけど前にどこかで作者、梶尾真治氏が言っていた「SFでしか語れない愛の形」というものがしっかり描かれていてじわりと来る秀作になっています。

・「原作を読むべし
出版当初(もう何年になるのかな?)読んだのですが、最近「天国の本屋」や「いま、会いにゆきます」や「MAKOTO」などが話題になってきたので「黄泉がえり」を思い出し投稿しました。映画化されて話題になったので内容は皆さんもご存知だと思います。原作は、映画と違い、作家の地元である熊本に実在する店や地名や施設などが(もちろん話言葉も熊本弁)登場し、ホラーなのですが、コミカルに描かれています。映画では恋人をなくした彼女となくなった恋人の親友だった彼を中心にストーリーが展開されますが、これは原作にはありません。映画もよく出来ていたと思いますが、映画だけしか見ていない方は、ぜひ原作を読んでください。本当の「黄泉がえり」(梶尾真治ワールド)に出会えるはずです。

・「映画に今ひとつ納得できなかった人も是非!
ご存知、大ヒット映画「黄泉がえり」の原作。映画には大変感動したが、なぜ死者が突然黄泉がえったのかなど、多くの「?」が引っかかっていたのもまた事実。それを解消するために手に取ったのだが、、、原作にも新たに感動!

映画は"愛"をテーマとした心温まるラブストーリーであるが、原作はホラー/SF/感動と、1つのカテゴリーに納めることは出来ず、また、黄泉がえりをめぐる人々の人間臭さとリアリティが映画以上に表現されている。(ホラーと言ってもおどろおどろしさは少なく、小説でも映画でも、ホラーが全くダメな私でもこの作品は大丈夫だったことを追記する)

映画とは全く別の心温まるエピソードの数々逆に、黄泉がえりに翻弄される人々のリアルな姿映画では描かれなかった"黄泉がえり"の原因

映画に感動した人はもちろん、今ひとつ納得できなかったという人も、ぜひ原作を読んでいただき、その上で再度映画版をご覧いただきたい!

黄泉がえり (新潮文庫) (詳細)

幽霊刑事 (講談社文庫)

・「涙です。
有栖川さんの著書でここまで恋愛色の強い作品はないということもあって読んでみたんですが、すごくいい話でした・・・。もちろんミステリ小説としてもよくできてると思うのですが、ミステリ苦手な人にも是非薦めたい恋愛小説です。殺されて幽霊になってからも恋人を想いやる心。思い出しても胸がつまりそうです。だけど、初っ端から死んでいた主人公なんだから、ラストは当然想像がついていたけど・・・。ハッピーエンドではないと思います。でも、最善の終わり方だとは思ったかな。読み終えてから涙がちっとも止まらなかった。

・「ミステリ&恋愛小説
今までとはまったく違う面白い作品でした。主人公は刑事の幽霊。どうして自分が殺されることになったのか捜査を始めるが、ものには触れないし、ひとに話しかけても聞こえない。誰も自分を認めてくれない。結婚を考えていた恋人さえも。ものには触れないのにどうして椅子には座れるのか、とか、バスには乗れるのか、といった小さな疑問はさておき、その捜査の過程がおもしろい。自分を殺した犯人はわかっているが、動機が全くわからない。唯一自分と話すことの出来た同僚早川くんとともに真犯人に迫っていくが。。。

これまでのように、トリックに重きを置いた内容ではなく、恋愛小説としても読める、ひと味違った有栖川氏が楽しめます。登場人物(特に主人公の恋人須磨子)の心情がよく描けていると思います。有栖川氏の作品にはやっぱり早川君のようなちょっととぼけたようなキャラクターがかかせませんね。内容として結構ありきたりかなあ、なんて思いながら、しかし有栖川ファンとしては読まずにはいられない、と思って買いました。◎でしたよ~。不覚にも最後はうるうるしてしまいました。

・「楽しいユーモアと推理の興奮、そして感動
「幽霊もの」ならではの哀切なラストは確かに感動的です。が、売りとしてそればかり強調されているので、湿っぽい話は苦手だなという方に一言。全体にユーモアの豊かなカラリとした作品です。特に主人公の幽霊と唯一コンタクトできる後輩刑事が青森のイタコの孫と設定されているあたりなど爆笑もの。この後輩が実に良く描けてますし、銀行強盗などのサブストーリー、怪盗(?)ドクターXなど脇役も光って、とにかくエンタテインメントとして魅力一杯なのです。謎解きはさすがこの人の本領だけあって伏線のバラマキと収集が実にテンポ良く鮮やか。唯一、第一の事件と第二の事件の心理的な結びつきが説明不足に感じましたが、大した問題ではありません。シリアスな視点で読めば、一部のキャラクターが類型的とかいう批判もできるのでしょうが、そのへんを割り切ったところも成功の原因だと思いました。読み終えたあと、最後まで明示も暗示もされないままの主人公の行き先が天国であることを強く願う気分にさせられます。

・「涙です。
有栖川さんの著書でここまで恋愛色の強い作品はないということもあって読んでみたんですが、すごくいい話でした・・・。もちろんミステリ小説としてもよくできてると思うのですが、ミステリ苦手な人にも是非薦めたい恋愛小説です。殺されて幽霊になってからも恋人を想いやる心。思い出しても胸がつまりそうです。だけど、初っ端から死んでいた主人公なんだから、ラストは当然想像がついていたけど・・・。ハッピーエンドではないと思います。でも、最善の終わり方だとは思ったかな。読み終えてから涙がちっとも止まらなかった。

・「愛すべきおバカミステリ
読んでいる途中で、何度か某・我孫子氏の作品ではないか、と思い込んでしまったくらいに、他の有栖川作品とはかけ離れた印象。読み始めの印象はそんなところでした。

が、読み進めてみると、これは娯楽小説でも恋愛小説でも刑事小説でもなく、紛れもない「推理小説」であると言う事がよく分った。

「幽霊」という不自由極まりない身分になってしまった主人公は、見方を変えれば「プチ嵐の山荘」状態であるし、二転三転する展開は、読んでいて飽きさせないものだ。もしかすると男性限定の感想なのかもしれないが、主人公に思わず感情移入してしまう部分もあり、エンターテイメントとしの部分もしっかり持ち合わせている所が、ニクい。

残念な点はと言えば、雑誌連載(?)だったためかエピソードがぶつぶつ切れていて、長編として読むと多少の違和感を感じる事か。が、そこの所は割り切ってしまえる所なので、個人的には減点にはならない。

重いミステリの合間に読むと、清涼剤のようになる作品

幽霊刑事 (講談社文庫) (詳細)

ST警視庁科学特捜班 (講談社文庫)

・「こういうスタイルもあっていいさ
今野敏の一連の作品がおもしろく、ずっと読み進めている。特に、「曙光の街 (文春文庫)」が秀逸で、大人のエンターテインメントとして高く評価した。

で、本作、一連のシリーズには、ST(Scientific Taskforceの略らしい)というすぐには意味のわからないアルファベットを冠していることから、何となく違和感があり、しばらく手に取らずにいた。で、読み始めたら。あぁ、これはなかなか、劇画調というか、コミック調でおもしろい。STと言うわからないアルファベットの略字と、その後に続く「警視庁科学特捜班」といういかにも堅い表題と、このコミック調(著者自身のノリは、ゴレンジャー的と言うことらしいけど)には確かに違和感がないではない。でも、何というかな、活劇の王道というか。得体の知れない、美女あり、武道家あり、各種一芸に秀でた、しかしかなり社会人としては首をかしげるような5人衆と、これまたお約束のような、気の弱いいい人(でもしっかり警察キャリアだから、偉いんだよね、ほんとは)がついている。いいよぉ、この、水戸黄門的王道。うれしくなっちゃうね。

厳しい人間関係と捜査、ドラマを描く今野の他の作品とはまた違って、このサービス精神旺盛なエンターテインメイント。いやはや、これはどんどん読んじゃいますねぇ。

・「面白かった
最初これを買ったときに、いままでと違う変わったものを感じました。まず、普通は中心となる人(ここでは多くいますが)は頭がよく、まじめだったりするのですが、この作品では皆が”とても”個性的で、よく思いついたなって感じです。事件の進展も面白く、まさか犯人がこの人(!?)だったなんて!って感じです

・「ファンになった
今野氏の作品を読んだのは本書が第一作目。文章がとても読みやすく、娯楽作品として一級品だと思う。

本作品は各人一芸に秀でたST(科学特捜班)が難解な事件を、時に警察組織と意見の対立をしながらも解決していく内容。STのメンバーは能力は高いがかなり個性派。昔好きだったサイボーグ009を思い出した。また、今野氏が武道をやっている(琉球空手)らしいので武道家の述べるセリフに説得力があったのが印象的。特に素晴らしかったのは終盤の展開の速さ。まるで激流のように場面が変わり一気に読了させられてしまった。非常に沢山の作品を出しているようなので、今後もどんどん読んでいきたい。

・「ST,だいすき!
 ありきたりの警察小説に食傷気味の方、断然お勧めです! 個性的すぎるST(科学特捜班)のメンバーが、それぞれ何に興味を持ち、どのような見解を示してゆくのか?そして事件解決へどう結びついてゆくのか?おどろきの展開で楽しませてくれます。 この本を読み終えたときにはだ、れ、か、のファンになっているかもしれません。

・「ありえない設定こそ面白い
人間離れした特技を持つ気むずかしい専門職捜査官であるST達を、キャリアである線の細い百合根警部が四苦八苦しながら束ねていき、個性を丸出しに突っ走って事件解決に至る・・・(でもST達は百合根をキャップと慕っている)。ある意味決して読者を裏切らないし、とても読みやすく安心できるシリーズです。まじめな警察小説を読みたければ横山秀夫や同じ今野敏でも安積班シリーズを読めばいいのです。常に堅い本格警察小説ばかり読んで、肩が凝ったところにSTシリーズ。一服の清涼剤だと思いますよ。

ST警視庁科学特捜班 (講談社文庫) (詳細)

ストロベリーナイト (光文社文庫)

・「わけありで星5つあげる
手軽に読める警察小説という本である。ただし、グロさがあるけど。内容的には、アメリカ辺りの警察モノの焼き直しっていう感が否めないけど、そこそこキャラ立ちもしてるし、伏線の張り方も堂場瞬一あたりに比べるとうまい。でもやっぱり、徹夜本っていうほどではない。

星3つから4つってとこが妥当な本であるが、私は5つつけた。その理由は、性犯罪被害者に対する作者の思いやりが垣間見えたからである。この作品で唯一、裁判シーンがある。そこで、作者に非常に共感を覚えた。読んだ方ならわかるだろうが、例の敬礼シーンである。私は恥ずかしながら、涙を禁じえなかった。日本の裁判は公開裁判である。公開される理由もわかっちゃいる。ただ被害者保護という立場から見れば、この小説に出てくるようなことがあってもいいのではないかとおもう。保護されるべきなのは、加害者なのか、被害者なのか。

本筋から外れたが、作者の人となりを知ることは作品を読む上で大事なことであるとおもう。あのエピソードは、警察という組織を印象付けるためのエピソードとして挿入されたのかも知れない(主人公のモチベーションにも多大な影響を与えているし)が、作者の人間性があってのことだと信じたい。私はこの作者の人間性に、物書きとしての姿勢に5つの星をつけたいとおもう。

・「本編よりも、主人公の過去の描写の方が印象的
本筋の連続猟奇殺人事件の解決への流れも読みやすく、非常に引き込まれるものがあったのですが、それ以上に、主人公の女性警部補の過去として記された裁判の舞台が印象的でした。

・「面白すぎる
たしかにグロい。

でもジャックケッチャムよりはグロくない。

読み始めたらあっという間に終わる。

で「ソウルケイジ」へ急げ。

・「最高でした
実に爽快なエンターテイメントでした!

正直グロい描写があります。ちょっと引きました・・・そこがダメな人にとっては完全にアウトな作品でしょう。小説にリアリティだとか重厚さだとか考えさせられるものを求める人にもきっと受け入れられないでしょうね・・・

でも、小説にエンターテイメントを求めてる人なら読む価値アリだと思います。登場人物の多さを感じさせない程キャラの立った刑事達の活躍、最高です!警察モノは敬遠してたんですが(ハズレばっかりだったので)、読んでよかったです!

・「裁判のシーンは震えたよ
これは面白かった。ストーリーはなんとなくどっかで読んだ事がある気もするけどしっかりしていたし。なにより展開がスピーディーで息もつかせず飽きさせない。裁判のシーンでは震えたよ。この小説を学生のときに読んでいたら警官になりたいと思ったと思う。ならなかったとは思うけど。あと、殺人の描写はグロイので要注意

■読んで欲しい人・ミステリー好きの人・色々な人

ストロベリーナイト (光文社文庫) (詳細)

13階段 (講談社文庫)

・「「死刑」についていろいろ考えさせられた作品
死刑囚の冤罪を晴らすため、刑務官の南郷と前科を持つ三上が調査に乗り出す。

物語が進み、徐々に真実が明らかになる中で、登場人物のほとんどが真犯人に思えてくるほど、多くの伏線が張ってある。物語の後半から一気にストーリーが進み、真犯人は非常に意外な人物であった。作中、死刑制度の詳しい解説・死刑執行の方法が書かれており、読み手の知的好奇心を満足させてくれる。死刑執行の描写は非常に生々しく、サスペンスとしてもお勧め。罪を犯した人間を国によって殺す「死刑制度」の必要性についてや、国が発出する命令書のため現場で実際に死刑を執行せねばならない刑務官の苦悩など、普段あまり意識していなかった死刑について深く考えさせられた。

・「やられた・・・
正確には4,5点くらいかな?ただ、素直に面白かった、というのは確か。犯罪者の社会復帰や、それにまつわる保護司という社会派のテーマでありながら、しっかりとトリックなども生きていて面白かった。乱歩賞作品はいくつか読んでいたのだが、どちらかと言うとアクションというかサスペンス的な要素が強く、ミステリとしては弱い部分が目立つ作品が多かっただけに、賞に対しても見なおした。

ただ、筋は通っているのだが多少トリックに無理があるような・・・。微妙にその辺りが気になってしまった。

・「罪を背負って生きること、罪を背負って死ぬこと
死刑。死刑制度は今、その有無が問題になっています。私はこの本を読むまで、罪を背負って死ぬ「死刑」について深く考えたことはありませんでした。正直、死刑制度についてどんなことが行われているのか…わかったのですが、あまりに衝撃的でした。読んでいただくとわかるのですが、死刑を執行するという仕事に関しては、まして考えたことなどありませんでした。「だれかがやらなくてはいけない。」そんな言葉が強く印象に残っています。死刑が良いか悪いのかは、はっきりとは言い切れませんが、罪や死と向き合う登場人物達は人間味がありました。だからこそ、深く考えさせられました。

内容としては、読み始めると続きが知りたくなるようなミステリーです。私は、夜読み始めて、止められなくて読み終わるころには朝方になっていました…

・「理想から乖離した現実に打ちのめされることになる
 たいへん面白かったです。 死刑囚が思い出した「記憶の断片」「階段の記憶」を無罪の証拠とするために、弁護士が取り次いだ篤志家の意向を受けて刑務官の南郷と仮釈放中の青年純一が調査をはじめます。 すると、その事件にはやはり、別の犯人がいる可能性がでてきて…。 死刑囚が判決を受けるにいたった事件のほか、刑務官南郷の今までの職務内容や純一の起こした事件など、たくさんの事柄が語られていてとても興味深い筋立てになっています。 そのうえ、それらが後に伏線だったことに気がつかされ、何度も驚かされます。 とても重いテーマを扱っているのに文が巧みでスラスラと先に読んでいけます。 登場人物が魅力的で、感情移入がしやすくその心理描写が丁寧に描かれているうえ、推理小説としての謎解きも申し分なく描かれています。 一気に読めて、とても読み応えのある小説。 私が今年読んだ小説のなかで一番に面白かった本です。

・「もっと早く読めばよかった
「13階段」。この題名がなんとなく好きになれなくて今まで読まなかったのだが、もっと早く読めばよかったと思う。まず、小説として面白かった。主人公の一人である元刑務官「南郷」を通して描かれるリアルな死刑執行の場面と優秀な刑務官であるが故の彼の苦悩。物語終盤での意外な展開。そしてラストシーン。この作品を発表する前は脚本家だった著者の文章は、読みながら頭の中にすぐ映像が浮かび視覚的で分かりやすい。ページを捲る指が止まらなかった。推理小説・エンターテインメントはこうでなくちゃ、と思う。

ただ、前科者の心理状態については、主人公の一人である三上と同じく殺人(三上は傷害致死となっているが)を犯した人物を扱った吉村昭の『仮釈放』の方が優れているような気がした(この作品は推理小説ではありませんが是非読んでみて下さい)。

死刑制度の是非、冤罪事件、刑罰は何の為にあるのか…犯罪者への報復であるとする応報刑思想と、犯罪者を教育改善して社会的脅威を取り除くという目的刑思想それぞれへの疑問。そして行刑制度のあり方。この重いテーマを多くの人に考えてもらうには、専門書的あるいは純文学?的小説ではなく、より多くの人に読まれる推理小説・エンタティンメントの形式で書かれた意義は大きいのではないかと思う。ただ、著者にその意図があったかどうかはわからないのだが…。

13階段 (講談社文庫) (詳細)

幽霊人命救助隊 (文春文庫)

・「高野和明のヒューマニズム
「幽霊人命救助隊」こんなふざけたタイトルの本で泣くなんて思いもしなかった。それも大泣きに近い形で。600ページの本だが、読み出したら止まらない。文章が平易で読みやすいのでするすると読めてしまう。決して格調高い文章ではないが、こう読みやすい文章を書く人は少ない。よく推敲された文章だと思う。

13階段で衝撃的なデビューをし、2作目、3作目と迷走した感じだが、やっと自分の居場所を見つけたのではないか。高野和明の人間に対するあたたかい視線は、作者自身が大事にすべきものだと思う。

この本、題名でかなり損をしたのではないか。もっと今風の題名がついていれば、本屋大賞に選ばれていたかもしれない。それぐらい、いい本です。そして、生きていくうえで役に立つ本です。老若男女を問わず、広く薦めたい本である。この本にめぐり会えて、本当によかった。心の底からそう思う。

・「伝えたいことがあるから、人を惹き付ける形にして、伝える。
夕方からちょっと読み始めたらおもしろくてやめられなくなり、一気に読了。テーマは、「うつ状態に入り自殺しそうな人をいかに助けるか?」です。このテーマで正面から書いたら、大変暗い話になってしまいます。それをこの本は、見事にエンターテインメントに仕立て読ませてしまいます。受験を苦に自殺してしまった高校生の幽霊に神様が言います。「49日以内に100人の自殺志願者の命を救うことができたら、天国に行かせてあげよう。」頼みの綱は、3人の仲間と神様からもらったいくつかの小道具。一人、また一人と苦労して助けていくうちに、孤独・貧困・いじめ・借金苦・失恋など人が死ぬ数々の理由や、人間の弱さや強さ、命の尊さに気付いていく・・・。著者の、自殺志願者を救いたい、救う方法をみなに伝えたいという想いがあふれています。「何か伝えたいことがあるから、人を惹き付ける形にして、伝える。」と言う意味で、大変成功している本です。感動します。うつについて勉強になります。そして何より、おもしろいです。ぜひ読んでみてください。

・「この世の人たちのそばに居させてくれ
 自殺した幽霊4人が、神から「自殺をしようとする人間の命をすくうのだ」と命を受け21世紀の東京に送り込まれる。49日に100人の命を救うための奮闘が始まる。

 救助隊のメンバーが予備校生、ヤクザの親分、中小企業の社長、暗い雰囲気の若い美女…の幽霊。 しかもそれぞれ生きていて時代が微妙に違うので、話がかみ合わなかったり、なつかしい流行語が飛び出したりと、笑う場面がたくさん出てきます。 扱っている自殺について、正面から取り組んで描いてあるので読み応えがあります。 自殺願望のある人たちの心理描写や、幽霊達の悔恨の場面で何回も涙しました。 さらさらと読みやすく、笑わせてくれる、でも押さえるところがしっかりと描いてある。 とても面白い、良い本でした。 なるべく多くの人が読んでくれたら、と思う本です。 

・「読むカウンセラー
4人の自殺者が神から命じられて地上に幽霊として舞い降り、次々と自殺志願者を救助していく話。あり得ない設定ではあるが決して空想上の物語ではなく、自殺志願者の動機および背景に現代の世相がリアルに浮かび上がってくる。この小説では現代人の様々な苦悩が描かれている。例えば、過酷なサービス残業を強いられてうつ病になった人、愛情に飢えたまま育ち、社会の欺瞞や批判から自分の心を必死に守る人、消費者金融に手を出して借金地獄に陥った人、銀行の貸し剥がしに合い会社が倒産して莫大な負債を負った人・・・。救助隊はこれらの自殺念慮を持つ人々に解決法を、または自殺が得策でないことを吹き込み説得していく。この小説で示される数々の苦悩の中に、読者自身の苦悩と重なる部分が見つかるかもしれない。そして読者は自分の苦しみを解決する一筋のヒントをもらえるかもしれない。精神的解決あるいは現実的解決のためのヒントを。私自身、自分の悩みと自殺志願者達の悩みが多少オーバーラップし、読み進める内に私がカウンセリングを受けているような気分になった。単なる小説ではなくカウンセリング機能も持つと言ったら大袈裟だろうか。とにかく中身の濃い一冊で一読をお勧めする。

・「「死なないでください、日没まで。必ず助けに行きます」
テーマは、自殺と、うつ病です。 とっても重いテーマなのですが、正面から取り組んでいます。 でも、決して暗い語り口じゃないのが、本書のすごいところ。

それぞれの理由で自殺してしまった4人の幽霊が、天国に行くために49日間で、100人の人命を救助する話です。

本書の中で、うつ病が大きく取り扱われています。 そして、それにまつわるいろいろな情報が、盛り込まれています。 本書で繰り返し、力説されているのは、うつ病は、治療で完治するってことです。 一時期TVで同様のCMが流されていましたが、まったく伝わらなかった記憶があります。 本書を読むと、ためらわずに病院にいくべきだ、ってことが理解できます。

本書で感心するのは、「幽霊人命救助隊」は、問題を解決してない点です。 問題を解決しなくても、自殺を食い止めることができる。 どうすればいいのかは、是非本書をお読みください。

幽霊人命救助隊 (文春文庫) (詳細)

永遠の0 (講談社文庫)

・「最強の戦記文学
神風特別攻撃隊をモチ−フにした小説ですが、坂井三郎さんや岩本少尉など、実在した日本海軍撃墜王の話も随所に登場し、信憑性を確保しながら小説としての完成度もかなりのものになっている、近年稀に見る戦記文学だと思います。自虐ではなく右翼でもなく、戦争という不条理に立ち向かった一人の青年の葛藤を描いた、はかなくも清々しい内容に、通勤電車の中で何度も涙を流しました。このような真の日本人らしい感性を持った作家には、今後も同様の作品を発表し続けて欲しいと切に願います。特攻に散った名誉ある先人の、赤裸々な姿を描いてくれた著者にただただ、感謝の念で一杯です。ありがとうございました。

・「異色の戦争ものですが、泣けます!
上司から、「これ面白いから、読んでみ」と渡され、どんな内容の小説なのかもほとんど知らないまま読み始めましたが、あっという間に読んでしまいました。

ある意味での主人公である「宮部久蔵」が孫と、孫が出会う戦友たちの証言によって少しづつその正体が明らかになっていくのですが、その過程が非常にうまく表現されており、引き込まれます。

最後のどんでん返しは、衝撃ですが、説明に無理がなく、また泣けること請け合いです。

これ程「死にたくない。妻と娘の為に絶対に死なない。」と言い続け、全ての行動をそれに基づいて行動していた主人公が、何故「特攻」(特攻は志願制です)で死ななくてはならなかったのか…。あの戦争の不条理さ、今の社会にも通じる不合理さを描く快作です。

・「全ての人にオススメできる作品
作家には様々な能力があると思うけど最も基本的であると思われる、筆力にこそ作家としての力の差が現れると思う。読者を引き込み、時として読むスピードすらも加速させるそんな筆力を持つ作者は、どんな作品を手掛けても安心できるのではないでしょうか?

僕は以前から気になってたこの作品を手に取り、気まぐれに開いたページの「いいか、空の戦場は地面の上とはまったく違う。」から「しかし零戦の性能は、一対二くらいで不利になるほどのものではない。」辺りまで読み、これはアタリかも・・・と、購入しました。そしてそれは、太平洋戦争や兵士達の真実、主人公の魅力・・・それらが作者の期待以上の筆力によって紡がれた、素晴らしい作品でした。プロローグとエピローグの扱いも気が利いてますね。(笑)

正直、構成面など多少の疑問がないわけでもないです。けど、そんな個人的な感想など関係なしに、全ての人にオススメしたいです。アメリカの人達への配慮も充分なので、彼等にも是非読んで欲しいですね。

・「素晴らしい
読みながら何度涙を流したでしょう。宮部久蔵の生き方が本当に優しく、強く、心に響きます。特攻の、戦争の話ですのでやはり悲しい、それでいてどこか心があたたまる、そんなお話でした。戦争の小説が好きな人はもちろん、そうでない人にも是非読んでもらいたい作品です。永久保存版として何度も読み返そうと思います。

・「絶好のタイミングで
あとがきにあるように日本がクレイマー社会となり果て、金ばかり要求するみっともなくさもしい時代が到来している。そんなタイミングにこの作品に出会えてよかった。特攻隊という題材に引きずられることなく、冷静な分析と静かな強い決意に満ちたストーリーに何度も涙した。内容の素晴らしさはほかのレビューに譲るとして、中でもマスコミに言及した個所に強い共鳴を覚えた。ペンは剣よりも強し、と豪語しながら、ペンの暴力については不問にし続ける卑怯極まりないジャーナリズム。ろくでもない質問しか用意できない幼稚さを棚に上げて他者を上段から非難し糾弾する彼らにはうんざりしている。彼らは、戦争を引き起こした一権力集団であった。軍人を戦犯呼ばわりする資格はない。

自らを総括すらできなかったジャーナリストたちはそのまま大きな顔をして戦後社会を破壊させていった。現代日本にあふれるおかしな定義の「弱者」を作り出したのも彼らだったのだろう。

読後、生まれて初めて靖国に出向いてみた。彼らの残した「遺書の行間」をせめて受け止めたいと思ったのだが、とても受け止められるものではなかった。ただ、ただ涙して彼らの冥福を祈ることしかできなかった。生きるとは、過酷なものである。それは戦争のあるなしには関係がない。どう生きるか。どんな生き方を選ぶか。

清々しさと凛とした魂に満ちている作品。

永遠の0 (講談社文庫) (詳細)

ビート―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)

・「心温まる家族小説
「隠蔽捜査」の兄弟版という感じですね。「隠蔽捜査」は主人公「竜崎伸也」が、ある連続殺人事件での警察庁の方針と同時期に家族が起こした問題で苦悩します。

この作品は「島崎洋平警部補」の息子二人の内一人が、ある事件の捜査と関わり、更にもう一人の息子が、その捜査で関係の有った人物が殺される直前に会おうとしていた事実が浮かび上がってきます。

警察小説というより、家族の有り方がテーマの家族小説です。

体育会系で単純且つ思い込みの激しい島崎の苦悩、このシリーズの主人公である「樋口係長」の気配り、優しさが好対照に描かれています。

仕事一筋に邁進してきて、子供との付き合い方が良く分からず家族との関係がギクシャクしている父親は少なくないと思います。

もし、そんな父親がこの作品を読めば、自らを振り返ってみるのではないでしょうか。

心温まる家族小説です。

・「バイプレーヤーの魅力
樋口顕シリーズの第3作です。作者のあとがきにもあるように物語に深みと厚みのある力作です。3作の中では一番練れた上質な作品に仕上がっています。樋口顕の冷静でしかも人間味のある対処法には感心させられますが、この作品ではヒップホップに人生をかけている藤代タエというバイプレーヤーが非常に魅力的に描かれています。物事にまっすぐに向き合う素直さと真摯な姿勢に惹かれました。島崎英次に対するさりげない言葉に作者の思いがこもっているように思えます。「信じているから」と言うタエの言葉に英次は救われます。「大切なものがある人は自殺しない」と言う言葉からも作者のメッセージが伝わってきます。彼女の登場で物語りは彩を添えながら、意外な方向に展開していきます、人を職業や好きなもので十羽一からげにしてしまうことの危うさに気づかされた気がします。今年は連続テレビ小説の「瞳」でもヒップホップが取り上げられ、ダンスの魅力を知ることができました。先入観にとらわれず、大切なものを見つけて、真直ぐに生きて行きたいものです。この作品は家族小説、社会小説の傑作です。多くの若い人や、人生に疲れた人にも(笑)是非読んでもらいたいと思います。

・「「自分に自信のない」がゆえに名探偵な樋口顕は、日本人型名探偵?
「警視庁強行犯係・樋口顕」シリーズ第三作。本シリーズのファンには先刻ご承知の話ではあるが、「自分に自信のないヒーロー」という主人公・樋口顕の造形がとてもよい。

自分に自信がないから慎重に行動し、周りの気持ちを忖度してしまう気弱さが緻密な観察眼となり、それが真実にたどりつく手がかりとなるという樋口顕のスタイルは、実に「日本人的な」名探偵なのではないかと思う。独自性や個性を抑えることで、名探偵となりうるという逆説は、しかし十分に説得的だ。

そういう逆説的な主人公の能力が今回も遺憾なく発揮される。あやうく惨劇の寸前まで行っていた同僚の悲劇を防ぐのは、まさに樋口顕の繊細な「気配り」による。

なお、そういう「日本人型名探偵」樋口顕は実に「普通のおじさん」であり、それゆえの天然なユーモアを醸し出す。読後感の爽やかさとともに、「おじさんの天然ボケ」も楽しいです。文句なしのオススメ。

・「一気に読んだ
長編であったが、非常に面白く一気に読了した。警察組織内部の問題と家族関係の問題が交互に展開され作者の読ませる巧さを感じた。意外だったのは樋口シリーズにも関わらず登場が少なかった点。但し、その冷静沈着な考え・態度にとてもよく性格が表わされていたと思う。いわゆる推理モノではないが警察小説としてはトップレベルの作品だ。

・「親子の絆を感じる小説
サスペンス小説というよりも親子の愛情を描いた心温まる小説でした。私にも二人の小学生の男兄弟がいます。甘えん坊の長男と、我が道を行くタイプの次男という構成は2人の男兄弟の場合よくあることだと思います。あと数年もすれば彼らは家族より友達との付き合いを大切にし、遠い存在になるのかなぁと考えると今から少し寂しさを感じます。そんな親の子供に対する接し方のヒントが本書には書かれてあった気がします。当然それだけではなく、サスペンス内容的にも面白い小説でしたので文句なしに☆5としました。

ビート―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫) (詳細)

プラ・バロック

・「普通に面白いです
以前から著者のファンだったので、ネットで見つけて驚いて、急いで書店に買いに走りました。

何よりもこの作品で特筆すべきなのは、作品全体を通して見られる怜悧で無機質な雰囲気でしょう。作中を通してずっと降っている雨が、舞台設定として何とも言えない空気を作り出しています。登場人物がカタカナで表記されるのも、雰囲気を作り出す良いギミックになっています。好みは分かれると思いますが、こういう作品もなかなか良いです。物語自体のほうも、事件の始まり・明かされる謎など、これまでのミステリーの枠を超えた斬新なものだったと思います。しかし、やはり賞の応募作は枚数制限があるためか、登場人物や犯人の人間像が、少々曖昧のような気もします。続編が出ることがあるなら、そのあたりも踏み込んで描いて欲しいと思いました。でも、基本的にはサクサクと読みやすく、良い作品だったと思います。

ただ、「全選考委員絶賛!」というような帯の煽りはどうかと思いました。他の方もおっしゃっておられますが、こういう書き方をすると、書き手にも読み手にも、無用なハードルが出来てしまって、素直に作品を評価できなくなってしまうように思います。帯の文章は話半分、あくまで新人賞受賞作という一線を超えない範囲で良い作品という意味だと思ってください。

所々欠点はあると思いますし、好みが分かれる作風かもしれませんが、一度はこの空気を感じてみて欲しいです。次回作にも期待しています。

お勧めです。

・「期待しすぎたのかも‥
この本の感想を聞かれると「ん-」とうねりたくなる。確かにおもしろいし、読んでみて損はないと思う。しかしこの作品が日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞していて帯にも“全選考委員絶賛”と書かれていることを考えると、読前に作ってしまったハードルには少し届かなかったように思う。 ストーリーは埋め立て地の冷凍コンテナから14体の冷死体が発見され、それを孤高の女刑事クロハが追っていくというものでコレは興味を引かれるしおもしろい。まず読んでいって感じるのは中々作品の中に入れないなぁという感覚。そのひとつの原因は主人公クロハのつかみにくいキャラクター設定にあると思う。正直最後まで読んでみてもクロハのキャラクターにはあまり惹かれなかった。またクロハ以外にもその他の警察関係者のキャラクターもイマイチで、それがこの作品をあまり評価できない主な要因になっている。それに対して中盤から登場するタカハシのキャラクターはとてもよかったように思う。またこのタカハシの登場あたりからストーリー自体もスピーディーに動きだし一気に引き込まれていく。しかし、やっとスピードにのってきたところで終わってしまう感もあり、もう少し犯人やタカハシのバックボーンというかその周辺の事柄をストーリーに入れてもよかったんじゃないかなぁと感じた。 ただ、事件の形や動機なども非常に新しく、こんな時代だからこそのリアリティがあっておもしろかったし、仮想空間と現実とのリンクというのも斬新でよかったと思う。ただもう少し早い段階で一瞬も気を抜けないようなスピーディーな展開に話しを持って行って欲しかったと感じた。

・「物足りなさを感じました。
物語の始まりから途中までは一気に面白く読みましたが・・・後半がさっぱり面白くなかったですね残念。

・「新人賞ですから
面白く読みました。工業地帯の埋立地。冷凍コンテナで発見された14体の凍死体。警察は密航者の可能性と発表。捜査にあたるのは神奈川県警機動捜査隊に所属する女刑事クロハ。クリハ、クロハユウ・・・。どんな字を当てるのだろうと190頁まできてしまった。やれ、やれ、「黒葉佑」なのか。事件は意外な展開をみせる。コンピュータの知識がないと、うん〜と考え込む場面もあるが、ダークでいつも雨が降っていて、インダストリアルな舞台は、映画「ブレードランナー」や「ブラックレイン」を連想させる。この質感(空気)が作品のポイントになっているのではないかと思う。

・「Vシネマ臭がする良作
なかなかTV的、いやVシネマ的。美女の射撃の名手の刑事、イヤミな上司、謎の死体、怪しげなヤクザなどなかなか魅力的な登場人物。キャストもいろいろ想像できるのも楽しい。ラストの事務所のアクションシーンも映像にしたら面白そう。電脳空間の内容はかなりご都合的だが、ほとんどのシーンが夜か雨というダークな雰囲気はなかなか興味深い。今後に大いに期待する作家です。

プラ・バロック (詳細)
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