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▼ボストン読書記8:セレクト商品

深い河 (講談社文庫)深い河 (講談社文庫) (詳細)
遠藤 周作(著), 佐伯 彰一(解説)

「インドに行きたくなります。」「傑作『沈黙』を超えた,遠藤の集大成」「信じるもの」「何度も繰り返して読みたい一冊」「ヒンズー、キリスト、仏教…様々な思想が織り成す傑作。」


ストレンジ・デイズ (講談社文庫)ストレンジ・デイズ (講談社文庫) (詳細)
村上 龍(著)

「平穏さと危機感と・・」「圧倒的に憂鬱な小説」「私的傑作」「現状からの脱出」「「共生虫」より面白い」


13歳のハローワーク13歳のハローワーク (詳細)
村上 龍(著)

「「前からこういうの、欲しかった」という感じの、職業選択本。」「「13歳」とした理由」「「情報」の格差が夢の格差になる」「すなおな心で」「大好きなことを仕事にしたい時に読む本」


希望の国のエクソダス (文春文庫)希望の国のエクソダス (文春文庫) (詳細)
村上 龍(著)

「プレーヤーだからこそコミュニケーション」「この国は何でもあるが、希望だけがない」「未来の展望を感じる時」「浮き彫りにされる現在日本社会」「考えよう」


ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2 (幻冬舎文庫)ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2 (幻冬舎文庫) (詳細)
村上 龍(著)

「村上龍氏の本領発揮作第二弾」「同じ世界観の別の作品」「2冊目も面白かった」「暗い世界」「現代人に下される最後の審判。」


イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫) (詳細)
村上 龍(著)

「大人になった少年Aの物語」「意思を発さないと殺される。」「フランクという異物と、日本特有の優しさ」「ぬるいみそ汁の味」「衝撃!」


なぜあなたはやらないのか―異端起業家になる (小学館文庫)なぜあなたはやらないのか―異端起業家になる (小学館文庫) (詳細)
大前 研一(著)

「一歩を踏み出す」「行動を起こそう!」「「さあ、やろう!」と真摯に読者に語りかけた本」「本当に自分が好きなものは、何なのか?」「成功企業の共通要素は行動優先型であるということ」


裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫) (詳細)
北尾 トロ(著)

「裁判員制度の導入賛成」「一度、裁判所に行ってみたくなりますね。」「裁判傍聴の極意」「案件は多いのだが飽きない。」「裁判で感じたことを包み隠さず綴った傍聴記」


重大事件に学ぶ「危機管理」重大事件に学ぶ「危機管理」 (詳細)
佐々 淳行(著)

「20%の乱世の雄を目指して」「個人・組織のダメージコントロール力を鍛えるための書」「ものすごくためになった」「ここまで優れた本に出会ったのは、久しぶりです。」「「即時業績アップ法」」


ふつうの医者たち (文春文庫)ふつうの医者たち (文春文庫) (詳細)
南木 佳士(著)

「医師たちの葛藤が描かれている」「肩の凝らない医者談義」


東電OL殺人事件 (新潮文庫)東電OL殺人事件 (新潮文庫) (詳細)
佐野 眞一(著)

「真実かどうかを判断するのは自分達」「推理小説でも、俗に言うノンフィクションでもないです。」「示唆に富んだ内容」「人間の持つ闇に迫る傑作事件ノンフィクション」「結局「わからん」」


野中広務 差別と権力野中広務 差別と権力 (詳細)
魚住 昭(著)

「「影の総理」の影にあったもの」「この国を言語化するという「業」」「凄みを感じました。」「ノンフィクション 久々の大作」「ついに書いてしまった」


スプ-トニクの恋人スプ-トニクの恋人 (詳細)
村上 春樹(著)

「悲しく、悲しく、心がつまる」「存在と不在。」「奇妙な恋愛小説」「ただのラブストーリーではない」「こころとからだは別物」


マークスの山(上) 講談社文庫マークスの山(上) 講談社文庫 (詳細)
高村 薫(著)

「ハードカバー版と比較して。」「20世紀を代表するミステリーの大傑作がついに文庫化」「多重人格」「魑魅魍魎の住み処!」「読者を圧倒する緻密な構成のミステリ」


夢をかなえる洗脳力夢をかなえる洗脳力 (詳細)
苫米地 英人(著)

「本書の内容を隠しておきたかった人間は多いはず。」「おもしろい、すごくおもしろい・・・」「何度も読みたい本」「著者・苫米地氏の表現力も確かだ」「星500個!!」


グロテスクグロテスク (詳細)
桐野 夏生(著)

「小説は事実より奇なり」「So grotesque」「鬼気迫る生理的恐ろしさ」「ある意味 血湧き肉踊る」「限りない上昇志向の結末」


ダークダーク (詳細)
桐野 夏生(著)

「ミロシリーズの完結編」「おもしろかった」「ミロの愛人を私も愛した‥」「ミロの愛人を私も愛した‥」「シリーズ物と知らずに読みました」


国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて (詳細)
佐藤 優(著)

「読んでおくべき一冊」「ずしっとくる読み応えの一冊」「上四半期最大の収穫の1つ」「星★6つを付けたい面白さ!」「スパイ小説顔負けのノンフィクション」


すべては一杯のコーヒーからすべては一杯のコーヒーから (詳細)
松田 公太(著)

「自分の価値観を変えた本」「とてもおもしろかったです」「この本は経営書ではなく体験記です。だから感動が直接伝わります。」「明日への道」「人柄の良さが伝わります」


垂直の記憶―岩と雪の7章垂直の記憶―岩と雪の7章 (詳細)
山野井 泰史(著)

「凍よりお薦め」「日本よりも世界で知られている人。」「生還」「壮絶な人生」「もっともっと知りたい」


市場原理が医療を亡ぼす―アメリカの失敗市場原理が医療を亡ぼす―アメリカの失敗 (詳細)
李 啓充(著)

「医療改革での市場化の危険を警告」「とくに政治家に読んで欲しい本」「将来病気やけがをする可能性のある人は必読」「医療経済・政策の啓蒙書としては良書。」「アメリカ医療批判から医療構造改革批判への展開」


神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫) (詳細)
村上 春樹(著)

「個人的には『タイランド』も好みですが」「どの話にも何かしらの救済(希望?)が感じられるのが印象的」「死とむかいあう」「阪神淡路大地震の闇と心の闇が通じ合う孤独を抱えた人々の魂の再生の物語」「阪神淡路震災を背景にした短編集」


日本の真実日本の真実 (詳細)
大前 研一(著)

「恐ろしい真実」「日本の行方」「大前氏がタブーにも言及」「そこに大人の日本が見える」「ほんとうは明るい未来が私たちを待っているのに・・・必読の書」


新 大学教授になる方法新 大学教授になる方法 (詳細)
鷲田 小彌太(著)

「誇りを持って自由に生きる」「タイトルそのまま。」「大学教授て大変なのね」「大学教授になる方法を学問にしようとしている」「大学教授を目指す人の家族が読むべき」


質問する力質問する力 (詳細)
大前 研一(著)

「大前さんから学ぼう」「前提条件を疑え」「自分を研くことに日々精進。」「所与の条件を疑え」「個人が考えることが武器になる」


▼クチコミ情報

深い河 (講談社文庫)

・「インドに行きたくなります。
遠藤周作は「沈黙」を呼んで以来久しくご無沙汰していたが、分量もすくなく読みやすく、しかも泣けます。かなりのオススメ。

物語は突然の妻の死で幕をあける。男は妻の突然の死を受け入れる事が出来ない、典型的な日本人の夫らしく妻をいたわり、愛する事をしてこなかった彼が気づいたものは「空気のようだ」と思っていた妻が、本当の空気のようになくてはならないものであったという事実であった。おとなしく、感情をあらわにすることのなかった妻が、乱れるようにして吐いた最後の言葉を追って彼はガンジス川へ旅立つ「必ず生まれ変わるから、この世のどこかに・・・。」

この本では五人の日本人がそれぞれの理由を背負ってインドへ行く。あるものは妻の「転生」というおよそありえない可能性を追って。あるものは太平洋戦争中ビルマで戦って死んでいった親友を弔うため。またあるものは、自分には信じられない「何か」を信じ、そのために「破門」の烙印さえ押された神父の友人を探しに。

私を含め、多くの日本人は無神論者であり基督教の言う神なるものの存在を信じない。しかし、本当に絶望的な時や何かにすがりたい時、誰しも一度は人間ではない物に祈った事があるのではないだろうか。テストの結果発表を見るとき、家族の危篤を伝えられたとき、罪から逃げようとしている時。どんな世界の、どんな階層の人間でも心に苦しみを持ち、その苦しみから逃れるために何かにすがり、祈る。その何かがこの本の中では「玉ねぎ」であり「深い河」ガンジス川なのだろう。

この本の一つのテーマは「転生」だが、物語から伝わってくるのはそれだけではない。

人間の感情には多くのグレーゾーンが存在し、誰もがその葛藤に悩まされている。人間の心が描き出す愛憎は水と油のようなものではない。たまらなく愛しい思いの中にも、深い憎しみが隠されているはず。様々な気づかなかった事に気づかせてくれる名作である。

・「傑作『沈黙』を超えた,遠藤の集大成
人物描写が図式的との批判もありますが, 遠藤の生涯の宿題であった「日本人-愛-神」への

最終的な答えとなる作品です。彼が傾倒していたフランスのノーベル賞作家F.モーリヤックの影響も深く見られます。『沈黙』『死海のほとり』『哀歌』等,一連の作品で描いてきた,華々しい救世主としてのキリストではなく,旧約聖書『イザヤによる預言』にある通り,「みじめで

威厳のない」,人間の病を負ったキリストとしてイエスを見事に描いており,画期的です。神父や妻を失った夫,無神論を自負する女性などキリスト教とは無縁の世界に生きる人間と神との関わりを「愛」とはどうすることかを追求することによって描いています。遠藤の集大成ということもあり,この一冊を読んだだけでは彼独特のたとえ話にあるメッセージを見逃してしまうかもしれません。『深い河』!を読む前でも後でもいいので,彼の代表的作品群を読むことをお勧めします。一冊の中でメッセージを伝えきれない,という点では不完全な作品とも言うことができます。彼の作品のみならず,比較の対象とされ,遠藤が憧れを抱いていたグレアム・グリーンの小説も読んでみるのも一興だと思います。

・「信じるもの
「その一人一人に人生があり、他人には言えぬ秘密があり、そしてそれを重く背中に背負って生きている。ガンジスの河のなかで彼等は浄化せねばならない何かを持っている」・・・・憎しみとエゴイズムしかない世の中においても、「信じるもの」をひたすら追求していった大津と、それを蔑みながらも心の中ではその生き方をどこか望んでいた美津子の「不可解な糸の結びつけ」が特に印象的だった。

・「何度も繰り返して読みたい一冊
幾人もの人生が語られている。それぞれが違うものを背負い、違う思いで河を見つめる。劇的な展開があるわけではないが、登場人物の誰かに貴方も共感できると思う

・「ヒンズー、キリスト、仏教…様々な思想が織り成す傑作。
個人的に仏教に親しんでいるので、キリスト教色の強いらしい遠藤文学は敬遠していました。しかし、インドが舞台となっている本作は、意外とキリスト教に密着した作風ではなく、非常に読みやすかったです。本筋はまず、「磯辺」「美津子」「沼田」「木口」の場合というように、それぞれの主人公の視点で、インドへ向かうまでの経緯が描かれます。そして転生した妻を捜しに、学生時代の知り合いを捜しに……それぞれの思いを胸に、皆はインドへ到着します。と、そこに独立して、もう一人の、或いは真の主人公「大津」の場合が挿まれます。彼は神父を目指していたにも関わらず、「神は人それぞれの中に存在する」という信念のため、異端視され、結局インドへとたどり着きます。仏教では「仏は人類、宇宙と同一である」という考えもあり、キリスト教と仏教的な思想を混在させる意外な視点に、遠藤さんの幅広い宗教への知識と理解を感じました。信じている宗教に関係なく、様々な宗教への理解を深められる稀有な傑作です。

深い河 (講談社文庫) (詳細)

ストレンジ・デイズ (講談社文庫)

・「平穏さと危機感と・・
何だろう。構成はバラバラだし、彼独特の、非建設的な(あくまでも社会的なレベルで)世界観の中こそ宿る、あの熱い刃に抉られるような快感も無い。むしろ錆付いて冷え切ったボロボロの刃で、生殺しにされたような不快感が、読後に残る。そんな妙な読後感の根拠は、曖昧でどうでもいいものに侵食されていかざるを得ない、他と際立った存在の不可避な絶望感によるものだろう。ある種の人間から見たら、他の大多数の人間がうつつをにかしている世俗的な事が、限り無く馬鹿げて見えることがある。しかもそれはそう見えるだけではなくて、際立った個性や存在を活かし伸ばすことを禁じ、角を取ることが最優先事項となっている国では、ある人間には社会的強制力を持っている場合もある。それを「クソ食らえ」と一蹴できるのが若者だが、年を取るとなかなかそうはいかない。この作品では、どうでもいいものに侵食されながら、なおもサバイヴしていこうという主人公の救いの無いような(だが真摯な)姿勢が描かれている。バラバラで、パワーの出方も散漫だが、それがかえって妙にリアルに感じてしまう。

・「圧倒的に憂鬱な小説
 コインロッカーベイビーズや五分後の世界といった、いわゆる”構築系”の作品を除けば、この作品が村上龍の小説の中でベストかもしれない、と今の僕は思う。

 単行本も持っていて、そっちも3回ぐらい読んで、最後の章は20回ぐらい読んでいて、最近また、電車の中で読み返したいなあと思って、この文庫版も買いました。

 じゃあ、そんなにこの小説が好きなのかというと、どちらかと言うと、好きではありません。好きなのではなく、必要だから読んでいる、という感じです。

 この小説は、圧倒的に憂鬱な小説です。しかも、主人公の距離が、非常に読者と近い。

 だから、読んでいるこっちもとても憂鬱になるのだけれど、おそらく、僕はこの憂鬱さを自覚したいから読むのだと思う。

 この作品のことばを借りるとすれば、この世の中には憂鬱と退屈しかない。僕は、退屈に飲み込まれそうになるときに、この作品を読むのかもしれない。

 ただ、できれば、この小説を読まないですむような人生を送りたいな、とも思います。こういう憂鬱な小説を読まないでも、自分のプライドを保って生きていけるような人生を送りたい。そういった意味で、読んでいて、自分の現状にムカついたり嫌な気分になったりするのだけれど、読むことでいろんなことが明確になる小説です。

 最後に、この小説で素晴らしい文章を。

 〜オレは無力感と出会えたのだ、無力感によって何かが始まるなんてのは大嘘だ、だが無力感だけが自分の輪郭を認識させる、考えてみればすぐにわかる、オレはまわりと際立っているのを無力感によってのみ確かめてきた、別に無力感なんかほしいとは思わないし、それは二十代の後半になると退屈の裏側にうまく隠れてくれるものだ、そしてある時世界に亀裂が入り、唯一の真実という装いで無力感が押し寄せる〜

 ただ、この文章だけ読んでも、何も届かないと思います。だからこそ、物語のかたちで、小説というものが存在するのでしょうね。

・「私的傑作
現実と幻想を行き交うような彼女の魅力。その魅力に魅せられた主人公は自身の人生に自問自答しながら新しい未来を切り開いていく。非日常的な出来事を繊細に表現した心理描写に引き込まれました。

・「現状からの脱出
初期の作者のはちょっとどぎつく感じてあまりよみませんでしたが、これはそういったどぎつさは無く爽やかさみたいなものがありました。それでいて、自分の今の状態ではいけないという思いと何か新しいことは出来ないか模索している自分にとっては非常に共感がもてました。

・「「共生虫」より面白い
 読んだ直後は面白くなかった。ストーリーと会話が冗長すぎる気がしたし、登場人物の名前が適当であまりパッとしない結末も不満だった。 しかし、不思議なもので時がたつと、ワインの中にオリが溜まるように私のアタマの中でこの小説の旨みがジワジワとわかるようになってきた。反町の憂鬱が理解できるようになってきたのだ。

 現実に反抗し、見初めた女性の作品を作ろうと躍起になるその姿。資金繰りのために、金持ちの男に寝取られる憂鬱感。 結末は「憂鬱」のコトバだらけになるのだが、村上の焦りと憂鬱さがリアルで、「村上も素直になったな~」と感心した。

 

ストレンジ・デイズ (講談社文庫) (詳細)

13歳のハローワーク

・「「前からこういうの、欲しかった」という感じの、職業選択本。
「自分はいったいどんな仕事に向いているのか」という疑問は、誰もが必ず一度は悩みます。そんな時、こういう本は助けになります。ハローワークなど、公の機関がこの手の本を出版しようとすれば、なかなかここまで自由に書けなかったはず。かといって、決して村上龍さん個人の、独断と偏見で書かれた本ではありません。

きわめて、公的な気持ちで作ってくれていて、安心して読めます。当然、この本に書ききれないほど、実際の仕事の種類は多いでしょうが、これ以上詳細過ぎても、読みにくくなったことでしょう。読むと、「だいたい自分は、社会のどの位置にふさわしい人間か」がわかってきますし、それでいいと思います。この本をパラパラと見ながら、親子の会話も進み、子供の将来の夢が広がればいいなと思います。でもしかし、膨大な出版物が氾濫している日本の中で、こういう、分かりやすい〝職業選択アドバイスブック〟に今まで、お目にかかれなかったことが不思議だと、改めて思いました。とにかく、かなり潜在的ニーズの高い本だと思います。

・「「13歳」とした理由
大人ならば誰でもわかっていることですが、楽な仕事なんてこの世には存在しませんし、どうせやるなら好きでやっていることで苦労した方が充実感をもって生きていけます。「何が好きか」を入口に職業を選択し、苦労を苦労と思わずに生きていける・・・ある意味、理想の人生を送るためのガイドブックになるだろうと思われます。

おすすめは、第6章の「何も好きなことがないとがっかりした子のための特別編」。「テレビゲームが好き」「アニメが好き」「漫画が好き」「カラオケが好き」は、「今、好きだからといって職業としてやっていけるほど簡単ではない」ということをやんわりと示唆してくれています。

そういうことに気づき始めるのも、また13歳という年齢なのでしょう。

中学校では「進路(単に受験対策という以上の広い意味で)」についての学習がスタートするわけですが、その時にこの本に出会えれば、自分の進路を具体的かつ現実的に考えるための格好のガイドブックになると思います。

この本を手にするのなら、中学生はもちろん大人が読んでも楽しめますし、小学校高学年でも早すぎることはありません。

自分が就いている職業の説明を見ると「こんな簡単な説明でいいの?」と疑問符が浮かぶものの、これから自分の進路を決めようという13歳にとっては、これで十分でしょう。これ以上詳しくても、13歳は混乱するだけです。

私は自分の教室に置いておきます。まずは自分を見つめ、世の中に様々な職業があることを知り、どうすればその道に進めるのかを理解し、そして

「今、自分はどうすればいいのか」「自分はこれからどうしたいのか」

を考えるきっかけにしてくれればいいな、と思います。

・「「情報」の格差が夢の格差になる
日本海側の山村で育った。周りで生きている人たちの職業の種類が少なかった。将来生活の糧を得る手段の情報が少なかった。情報が多いことは判断の際に有利に働くことが多いと、13歳の私に伝えてくれる人はいなかった。中学校といわず小学校で本書に触れることは、受動的に自らの人生を選択するのか、能動的に選択するのかの大きな分岐点になると思う。

・「すなおな心で
中学生の親として、言い方は悪いのですが、非常に便利な本だと思います。職業についていろんな情報を与え、好奇心を刺激してやりたいと思いますが、手間も時間もかかります。これを、一冊の本がある程度カバーしてくれています。あくまで13歳のために書かれた本だ、と認識しない人に対しては、こちらでの意見にも見られるように、勝者のための本だとか、暗部を描いていないとか、という感覚を与えるかもしれません。でも、13歳の子供は、夢も希望も持っているのです。それを早い段階で壊すのは、大人として大きな罪だと思います。たいていの子供は、大きくなったときに、こういう職業もあることを早く知っておけばよかった、とは思っても、「早く現実を認識して、自分のつきたい職業につけないこともあるんだと知っておけばよかった」とは、思わないでしょう。

・「大好きなことを仕事にしたい時に読む本
大好きなことを仕事にしよう!という本は本田健さんをはじめ様々な人が提唱しています。そんな本を読む中で「大好きなこと」と「仕事」の接点になるような本がないかな?と探していました。

そうしたら本屋で偶然にばったり出会いました。

“13歳”のハローワークという題名ですが、20代、30代の人も自分の今後を見つめなおすのにも良い本だと思います。就職、転職、天職に役立ちます。

「どんなことが好きでもそれを仕事にできる。」そう確信した1冊です。

大好きなことを仕事にしたい方は必見です。大好きなことがどんなことでもほとんどカバーされています。

13歳のハローワーク (詳細)

希望の国のエクソダス (文春文庫)

・「プレーヤーだからこそコミュニケーション
 この著書の一つのキーワードは,「コミュニケーション」だったと思う。ひきこもり少年たちは,日本における希望のなさを問題視し続けるわけであるが,彼がその中でこだわっていたのは,「コミュニケーションのなさ」であった。「希薄さ」ではなく,「なさ」である。これに関して,p.28-30で中村君が語る話が印象的であった。話の中で,中村君は,「シカト」を「コミュニケーションをするためのコミュニケーションすら拒否すること」と定義し,これが人間にとって最も辛い仕打ちであり,自殺者さえ出ると語る。この語りの意味がもっと鮮明になるのは,後にp.303において,国会議員に対してASUNAROのリーダーであるポンちゃんが国会議員に対して「コミュニケーションできません」と答える場面である。 そしてこれに関連するもう一つのキーワードは,「プレーヤー」であったと思う。少年たちは,日本が子羊のようにのほほんとしている間に,金融資本が攻め込んできているということに危機意識をもっている。それはエクソダス計画のひとつの理由である。現状のままでは日本は養鶏場ようになってしまうという。生きることが,国が,常に戦いの中にあり,人は,構成員は,その戦いのプレーヤーであるというのである。プレーヤーだからこそ,人と交渉することが必要になる。つまりコミュニケーションが必要になる。これに対して,プレーヤーをやめてしまった人たちは,コミュニケーションをしていないというのかもしれない。

・「この国は何でもあるが、希望だけがない
確かに、今の日本経済は将来のビジョンを全国民に提示できていない。そのことについて、今の若い人は、この主人公たちと違って反乱を起こしていない。むしろ、現実から逃げているようにも思える。だからこそ、今の日本は危機感がない状況だろう。危機感がないけど、将来向かっている社会は、日本が崩壊する方向にむかっているんじゃないだろうか。今の社会は、物語で書かれている経済状況よりまだましだが、物語の方向に向かっているような感じはする。だから、まんざら物語上の話は物語で終わる感じがしなかった。

この話で衝撃的なところは、「この国は何でもあるが、希望だけがない。」という部分だ。結局、日本社会に期待しないで、自分の幸せについて追求するしかないのかなと思っています。

・「未来の展望を感じる時
改めて村上龍の現実表現力を感心させられる作品。あらゆるすべてのことが現実に即して展開され、物語が進んでいく。もちろんまだ村上氏がしらない未来のことも。

その擬似現実世界の中に織り込まれた村上氏の主張を代理する団体ASUNAROが繰り広げる活動、影響、態度。日本の今の状況がいかに脆弱で危険なものであるかよく分かる。

そしてこの小説は、読んでくだらないと思ったり、すばらしいと感じるすべての人の心に一つの課題を残す。

果たして日本はこのままでいいのだろうか?と。

ぜひ、中学生にわだかまりを残したまま高校生、大学生になった人たちに読んでもらいたい作品だと思います。

・「浮き彫りにされる現在日本社会
衰退の一路をたどる日本。その閉塞感の中で、80万人の中学生が一斉に不登校を始め、ネットビジネスを開始する。

中学生にこんなことができるのかという点よりも、この小説に出てくる中学生によって対存在として浮き彫りにされる現在日本社会が何よりもこの本で面白い点です。最も吸収力があり、保身化の要因となるようなしがらみを持たない中学生という存在は、非現実的な理想的存在ではありますが、社会批判という点において大きな役割を果たしています。

我々が常日頃いかに自己保身と正当化に身を任せているか、IT,金融という変化の象徴的な者に対していかに目を背けようとしているのかを、認識させられました。

・「考えよう
 この本はまさに現代人に対しての挑戦的な本であり、また希望を持たせてくれる本でもある。物語の後半の通貨アッタクの場面は緊張感たっぷりで久々に面白い本だと思った。 また現実離れしているように思われる中学生集団が行うインターネットビジネスも現代社会においては起こりうる事のようにも思える。実際の現状としては遅ればせながら色々なネット関連の法律も出来つつありこの本と同じ事を行うのは不可能だとは思うがやはりまだまだネット法には隙間が多いのも事実だ。また、プログラム等を理解するには中学生は既に十分な年でもある。ある発表では幼少期にコンピューターの知識をつけているのといないのでは後になって天と地ほどの差が出てくるという。いわゆる言語と同じような物で幼少期から慣れ親しんできた言語でなければ大人になってからでは理解力に天地の差が出るような物だ。そういう面では中学生で既に大人以上のPC知識を持っている人間がいたとしてもまったくといって不思議ではない。特に日本という国は技術力だけは以上に進歩していたのにネットの普及率が世界的に遅れを取っていたり(僕の周りはインターネットと無縁の生活をしている人達の方が多いくらいだ。)、いまだに会社役員のおっさん連中がPCを扱うことが出来ないようなわけのわからない状態なのだから。古い世代からの世代交代が必要になっているのは間違いがないだろうと改めて感じさせてくれる本だった。

希望の国のエクソダス (文春文庫) (詳細)

ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2 (幻冬舎文庫)

・「村上龍氏の本領発揮作第二弾
  本書は、前書である五分後の世界を読んでいることが前提となっています。  なぜならこのパラレルワールドの説明がないからです。前書を読んでいない  と理解に苦しむでしょう。  前書の登場人物はこのパラレルワールドの異常性を表現するために、外部の  人間である時空をこえてきた人間が主人公でした。

  今回は、外部ではありますが、より内部性が強いパラレルワールド内の外部  である他国のジャーナリストが主人公となり、UG軍の異常性を表現してい  ます。そしてここで問題となっているのはあるウイルスです。  このウイルスに関する医学的表現の細かさには圧倒されました。人物描写よ  りもかなりのページ数がさかれていました。

  このウイルスに感染して生還できるのは、日常的に危機感をエネルギーにか  える作業を行ってきた人だけという著者のメッセージは非常に示唆的である  と感じます。  ある世界を表現するための手法はごく一般的なものですが、内容が一般的で  はなく、非常に奥深い(深すぎるのかもしれません・・・)

  前書の五分後の世界を読んだすぐあとに読むことをおすすめ致します。

・「同じ世界観の別の作品
前作「五分後の世界」と同じ世界で展開する別のお話です。前作と同じ登場人物での後日譚ではありませんので、それを期待して買おうとしている方はご注意を。作品としては同じ軸の上にあり、魅力はいささかも落ちるものではありません。相変わらず徹底した取材による描写は凄まじいものがあります。村上龍さんは類まれな努力家であり、知的好奇心の充足に対しての意欲が人並みはずれて旺盛なのだと驚嘆するしかありません。情報を詰め込むだけでなく、消化して自分の文章にして、なおかつ主題から逸脱しないでこれだけ書き込める力は驚異的ですね。

小説の中では感染力、致死率共に驚異的に高い「最悪」なウィルスという形で、短期的で避け切れない「危機」を発生させています。圧倒的かつ驚異的な速度で進む危機の象徴としてウィルスを使っているのです。小説中で語られるこのウィルスに感染しても生存するための条件こそ、現実のこの国に暮らすわれわれ一人ひとりに求められている事なのではないかと感じて、背筋に冷たいものを覚えました。現実はウィルスほど劇的でなく生活習慣病的であるだけ、気づいたときには手遅れという事かもしれません。「危機感」そのものをわれわれは持てるのでしょうか。

・「2冊目も面白かった
前作五分後の世界の続編です。前作を読んでないと理解できませんので読まれたほうがいいと思います。映画、レットゾーンを彷彿させるウイルスの話。非常にリアルに人が朽ちていく描写は村上氏ならではのもの。正直気持ち悪くなります。戦闘の描写も前作に負けておらずまるで戦争ゲームをやっているような感覚になり興奮しました。相変わらず、日本国民は高いプライドと技術力、そして日本独自の文化で世界から注目されていました。

・「暗い世界
村上龍氏の小説はトパーズ、限りなく透明に近いブルーなど、どちらかと言うと現実にありそうな話が多いのですが、”五分後の世界” ”ヒュウガウイルス”に限ってはSFチックで少々違った感じです。感じ方は人それぞれだと思いますが、この本を読んだ時の興奮は鈴木光司氏のリングや螺旋を読んだ時に感じたものに近かったです。

現実には起こりえないことにも関わらず気がつけばその世界にのめり込んでしまっていた、そんな感じでした。ただリング等と違う点はもっとファンタスティックな世界があります。ダークでどろどろしたファンタスティックな世界です。

・「現代人に下される最後の審判。
 前作、「五分後の世界」の世界観を継続したファンタジー小説。CNNのアメリカ人女性記者、コウリーの見た五分後の日本、そしてアンダーグラウンド。 本当の知性と、生き抜く為の力は「危機感」から生まれる。ウイルスに悪意は無く、進化を促す媒介であり、メタファーである。さて、ヒュウガウイルスが象徴したものはいったい何だったのか?   辛辣な筆者が現代人に下す最後の審判。

ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2 (幻冬舎文庫) (詳細)

イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)

・「大人になった少年Aの物語
村上龍が本書を執筆しているときに、神戸で少年A事件が起き、隆が長い作家生活で、初めて現実と自分が書いている小説との区別がつかなくなったという曰く付きの小説。

東京にやってくる外国人に夜の歓楽街の案内を生業とするケンジのところに、ある日、米国人がやってくる。人間が乳児の時期でも狂ってしまうことを知っている龍は、この米国人に、新宿を舞台にして、神戸の少年Aが成人したらかくやという狂気を漲らせ、破壊的行動を取らせる。そのシーンの凄絶さは、へたな映画や犯罪者の本を読むより、はるかに怖く、狂気に満ちあふれている。実際に読んでいて吐きそうになる。

ケンジは彼に「瞋りとか欲望、そういったものを日本では煩悩というんだ」と語る。彼は、「ボンノウ、か。美しい言葉だ。そうだろうな」と静かに応じる場面がある。

現代人は皆、煩悩をコントロールすることがますます難しくなって来ている。その現代人すべての狂気を、一米国人という形で肉体化させた龍は、このとき人間の怒りや悲しみ、絶望、欲求不満という言葉ではなく、Bon-nouと表現し、また小説のタイトルを「みそ汁のなかで」とすることで、西欧思想以外での人間の狂気と煩悩の制御を期待してみせたのだろうか。

読み終えた後、頭と体が痺れたようになり、小一時間動けなかったなどという体験を初めてした。

才能あふれる村上龍でなければ、書ききれなかった世界ではないかと、素直に思う。

・「意思を発さないと殺される。
 日本は世界でもっとも早く民主主義社会の限界に行きずまったのかもしれない。それを象徴する様な「日本的共同体」。主人公ケンジはそのただなか、新宿歌舞伎町の夜の街を「異様な皮膚を持つ男」フランクと歩く。フランクが起こす数々の惨劇をまのあたりにしながら、ケンジは自覚する。「意思」を発さなければ殺される。

 作者は日本的共同体の「危機感の無さ」「相互依存」「閉塞性」を攻撃しながらも、そこに存在する形容しがたい癒しの感覚をミソスープと表現する。 フランクは予言する。「これから、僕の様な人間が世界の主流になって行くと思う。」はたして、日本の”ミソスープ”は外からの殺りく者であるフランクを癒したのだろうか?

・「フランクという異物と、日本特有の優しさ
外国人向けに性風俗のガイドを生業とするケンジと、そこに依頼をしてきた奇妙なアメリカ人フランク。そして夜の歌舞伎町を舞台に、ケンジの目の前でフランクが凄惨な殺戮を繰り広げていくストーリー。吐き気をもよおしそうな位、残酷な描写があり、読んでいて気分が悪くなる人もいるかもしれないが、物語の完成度はその負の要素を補っても足りない位よく出来ている。

よくあるサイコスリラー小説でもあるように、フランクはある種の精神異常をきたした人間だ。だが、それと確実に違う部分は、そこに登場する人間、そして日本にごく普通に存在している日常の一部でさえ、フランクというフィルターを通してみる事で、ある種の異常さというものが存在する事だと思う。その事を常日頃から、僕等が異常な事だと認識していないのは、ただ単に異常だという事を知らないだけで、それを他の視点から見ると、こんなに変な事なのだと、村上龍自身が物語を通じてアナウンスしているようにも思える。そういう意味で、自分自身色々と考えさせられる小説でもある。

とても印象的な部分は、ケンジが一度フランクから解放され、交番まで向かうシーンであるが、惨劇の興奮から醒め、冷静に起きた物事に関して、そして自分の取るべき行動を考える部分がある。自分なりの解釈で起きた物事を納得させてしまう事は簡単だが、ケンジは胸に引っ掛かりを覚えたものを、何度も苦しみながら反芻し、繰り返し考えていく。結局その事がケンジのその後の運命を左右させたのだが、村上龍のよく言う「危機感」や「想像力」というものは、全てこの行為のような事を指して言っているのだろうと思う。あらゆる面から情報をかき集めて、未来に起こりうると予測される事を精一杯イメージする事。それをせずに、イメージする事を放棄し、簡単に物事を勝手に決め付けてしまう事に、本当の危うさというものが存在しているのだと。それを言いたかったのではないか?と思う。

僕は、決してこの本はただの日本批判だとは思わない。それは、タイトルやラストの象徴的なシーンでも解るとおり、日本の良さである、他の国にはない優しさというものも描かれている。ただ、それだけで生き抜けるほど現実と言うものは甘いものではなく、フランクと言う全く未知の異物を登場させる事によって、少しでも違った目線で物事をイメージ出来る力になればと、そういう意図を持った小説なのではないだろうか?と思う。

・「ぬるいみそ汁の味
東京風俗ガイド・ケンジが出会ったお客、フランクは、一見普通でありながら気味の悪い、生気を感じさせない肌を持つ。「殺される・・」圧倒的な不安を抱えながら、ケンジはフランクとともに夜の歌舞伎町を彷徨う。

最近、死んだような目をして意志を感じさせない若者を見ることが多くなりました。彼らは、自分にも日本という国にもプライドを持てず、生きるための明確な意志も失った「ロボットか人形」のようです。

フランクは日本人にとって、現代の「黒船」であり、圧倒的な暴力をもつ「他者」の象徴です。その前で、抵抗もできないほど無力な人々の姿は、世界の中での明確な地位を持てずに尊敬もされない日本の姿とも重なります。明確な意志と危機感をもち、油断できない他者に対してうまく立ち回らないとやられる。こうした、「世界の常識」が日本には欠如しているということでしょう。

一方で、外国の侵略を受けたことのない日本がもつ、どこか優しい癒しの力にも気づかせてくれます。これは、ぬるいみそ汁のようなこの国の文化に浸かっている日常からは、意識できなかった新たな気づきです。

日本人の生き方に警鐘をならす、衝撃の一冊。おすすめです。

・「衝撃!
今の日本社会の怪奇さを描くのが村上龍である。衝撃的な内容で、悪夢のような本である。悪夢の中で、登場人物が、ニッポンという社会のヘンテコさを語ってゆく。不気味であるがその不気味さが現代である。おもしろい。

イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫) (詳細)

なぜあなたはやらないのか―異端起業家になる (小学館文庫)

・「一歩を踏み出す
新しい発想は既存の枠組みの中から生まれるのではなく、真剣に何かを成し遂げようと考えている人間が達成できることが、事例を読むことでよく理解できる。さあ、今日から自分は何をやろうか?と思わず一歩を踏み出したくなる。

・「行動を起こそう!
もし自由に使えるお金が1億円あったら、どうするか。

という質問にすぐ答えられるだろうか?また、夢を持って生きているだろうか?夢をいつの間にか諦めていないだろうか?

別に企業家を目指していなくても、いつも何か考えながら生きていくことは大切だと思う

「とにかくやってみよう」って気持ちになる。

この本を読めば。

・「「さあ、やろう!」と真摯に読者に語りかけた本
この本の前半は、スポーツ用品メーカーの「ナイキ」の経営者たちへのインタビューに割かれています。フィル・ナイト社長をはじめ4人の経営者が、ナイキの歴史を振り返りながら起業と事業発展の重要なスピリッツを語っています。ナイキの最も重要なスピリッとが「Just Do It」です。

フィル・ナイト氏は、「好きなことでなければだめ、レストランをやるなら23時間厨房に入っていられるくらいでないと・・・。そうであれば、どんな障害にもつらくないし、他に目をやることもなく集中できる」といったことを語っています。なるほど、と頷くことが多くあります。

後半部分では、今の日本を変えるには、若き異端起業家がどんどん出てくることが何より大事で、彼らが日本の古びた悪習を打破してくれるはずだ、昔の日本の起業家もナイキのようなことを言っています。サントリーの鳥井信次郎さんの「やってみなはれ」松下幸之助さんの「立ったら歩きなされ」

大前さんが、「さあ、やろう!」と真摯に読者に語りかけた本です。

・「本当に自分が好きなものは、何なのか?
 大学生の頃から、漠然と事業を興してみたいと思っていました。思っているだけで行動には移せず、今でも普通のサラリーマンをしています。ただ、中小企業の経営者に会うと、「自分もやはり、会社を作りたい」と心の中で思う自分がいます。その一方で、どうやっても安定している現在の生活を捨ててまで、本当に好きで

打ち込めるものが見つからず、日々業務の改善を考えながら、自分の中の比較優位を見つける作業とチャンスを待っている状況です。 

 ちょうど、この本はそういった企業家を目指す人向けに書かれています。その中で印象的だったところをご紹介したいと思います。

 「自分にはこれしかない、という事業トコトンやっていくこと

が何よりも重要なのである」。「本当にそのことが好きかどうか、それが大切だ。1日23時間厨房で働く覚悟がなければ、レストランの経営者になるのはやめておきなさい」。

 以上は、NIKEのナイト会長の言葉です。今まで起業に踏み切れなかったのは、本当に得意で好きなことが見つからないのが原因の一つです。

 また、著書の中でエモーショナル・タイとブランドについても書かれています。エモーショナル・タイとブランドとは形のないものですが、消費者と企業を感情で結びつけるという概念です。「なんとなくあの会社の商品は好きだ。かっこいい。」というイメージです。

 それは個人についても同じではないかと思っています。会社

のブランドと同じように、自分のブランドを作っていくことがこれからの競争社会を生き残る武器になると思います。

・「成功企業の共通要素は行動優先型であるということ
成功している企業は、しばしば行動の前のプランニングよりも行動そのものが先行されるような企業風土・カルチャーがあると言われている。これは、いくら綿密なプランニングを行っていても、実際のところは「やってみないと分からない」という社会科学上の真理があるからでああろう。世界最高の戦略系ファームのトップにいた筆者であればこそ、十分すぎるほどこのことを分かっているのかもしれない。特に、今ほど有言実行型のリーダーを求められている時代はないわけだから、この本のテーマは非常に示唆に富んでいると思われる。

この本は、ナイキのフィルナイトをはじめ、同社の経営者にスポットライトを当て、本田宗一郎や松下幸之助のサクセスにも共通するjust do itの精神こそ起業家にとって必要であることを述べている。同時に、筆者には珍しく、他人の紹介を通してこのことを描いているという点が今までの著者の本とは異なるところであろうか。テーマ性と切り口などさすがと思える部分が多い良書であるが、やはり多くの方がそう思うであろうように大前研一独自の分析や論調を期待している一人として、あえて星を一つはずした。

なぜあなたはやらないのか―異端起業家になる (小学館文庫) (詳細)

裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)

・「裁判員制度の導入賛成
最初は帽子を脱げと指摘されるほどの初心者が、裁判を傍聴しつづけることで裁判はどのように進行するのか、そこに関わる人たちの実態はどのようなものかを伝えてくれます。この本を読むまでは、裁判とは法律に照らして論理的に進められると思っていましたが、傍聴人が多いと張り切る裁判官や情状酌量の幅が服装で決まってしまうなど意外な実態が浮かび上がってきます。また傍聴マニアの人たちが異口同音に裁判員制度の導入に賛成を表明していたのにはびっくりしました。(ここには書きませんが)その理由ももっともですし、本書を読めば納得できます。

・「一度、裁判所に行ってみたくなりますね。
本書を読んで、裁判所といえば硬いイメージがあったものが、一挙に親近感がこみ上げてくるものになりました。何か事がない限り、世間ではなかなかこういった世界に触れる機会が少なく、どちらかと言えば、関わりたくないとか難しいといった敬遠気味なところがあると思われます。しかしながら、本書をみてみると、裁判ごとは身近に存在するものであり、そんなに身構えるものでもないように伺えます。裁判官も検事も弁護士も被告も人間だということ、事実に基づく裁判を経れば、その後は人間の心理作戦が大きく左右すると言ってもいいのだろうか。そういったことを強く感じました。足しげく裁判に通い、法廷をハシゴする裁判傍聴マニアがいるってゆうところがユニークですね。彼らはその空間で、まるで連続ドラマを観ているような感じなのでしょうか。こういった本や裁判傍聴マニアに対して賛否両論はあるにしても、まずは読んでみて評価を下すべきでしょう。

・「裁判傍聴の極意
まず、タイトルに惹かれました。 それから、おもむろにページを開いて文面を少し見ただけで面白さがビンビン伝わって気付けばレジに直行していました。著者の持ち味で、裁判所で繰り広げられる人間模様や著者の法廷イラストが盛り込まれていて非常に痛快である。

・「案件は多いのだが飽きない。
裁判所傍聴記録。ただ、傍聴対象の選択が面白く素人でも目を引くものが多い。ややともすると、単なる記録になり勝ちだが、筆者の見解が切れ味良く盛り込まれている。だから、全体として筆者の主観がわかるといったところだ。初めから最後まで飽きない作品。

・「裁判で感じたことを包み隠さず綴った傍聴記
 オウム事件 音羽幼女殺害事件など抽選で傍聴券を当てないと聞くことのできない、有名な裁判を始め、詐欺、DV、強姦など日常起きる事件まで 数多くの裁判を 中古本屋 北尾トロさんが傍聴した記録だ。

 有名なジャーナリストが裁判をまとめたルポより面白い。野次馬根性旺盛のワイドショーのレポーターが東京地裁に乗り込み、聞いたことをまとめたかのようだ。文字を読んでいるが、何か昼のTVを見ているかの錯角に陥る。

 裁判官がやる気がない、被害者の反省が薄いなど北尾氏が裁判で感じたことを包み隠さず綴った、ルポです。一気に読み終えます。

裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫) (詳細)

重大事件に学ぶ「危機管理」

・「20%の乱世の雄を目指して
著者は、当初、自衛隊のイラク派遣に慎重だったと言います。危機管理の第一人者の著書を愛読して来た私には意外に思われました。曰く、「そこが安全かどうか」と「自衛隊の武器使用問題」に関する国内の議論が平時の感覚でしかないからだと。人道復興支援が目的だから、緊急避難・正当防衛の自己防衛策のみの装備とは言え、ロクな武器も持たされないで、しかもその使用すら制限された自衛隊を戦場に送るのは、彼らに「死にに行け」と言うようなものだからと言います。蓋し著者の危機管理に対する目線のありかを示す好例でしょう。

本書は、9・11同時多発テロ、三原山噴火、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、えひめ丸事故などの国家レベルの危機や、雪印乳業や三菱自動車などのビジネス上の危機下でのリーダーシップを取り上げる中で、日米の彼我の差としての「農耕民族」「狩猟民族」の違いを論じ、「平時の能吏」に対する「乱世の雄」の必要性を説き、危機管理の要諦としての「オレがやらずに誰がやる」の精神を説きます。「異常なし報告」「念のため報告」「拙速報告」や、「一段命令・二段命令・三段命令」など、ビジネス界や個人レベルにも応用できる、乱世を生き抜く知恵を学んで欲しいと思います。

・「個人・組織のダメージコントロール力を鍛えるための書
小生のような「危機管理」の「き」の字も知らない素人にも、実際に起こった過去の具体的ケースを取り上げつつ管理の各論→要諦を教えてくれる。危機管理の研究者である著者が小生のような素人にもわかりやすいように工夫して書いてくださった、とても懇切・丁寧・親切な本である。

東大紛争やあさま山荘事件に、現場指揮官として立ち会ってきた著者の豊富な実経験から繰り出される本書の説明は、とても具体的でわかりやすい。本書は、私たち日本人が苦手とされる「歴史から学ぶ」ための書である。

しかも著者が指摘する通り、示される示唆は小生のような一般人の生活、仕事のあり方を考える上でも様々な意味で有用な示唆を与えてくれ、あるいは強い反省を促すポイントを豊富に含んでいる。この点で、うがいやワクチンが病気予防に有用なように、本書はわたしたちが日常生活や仕事を行っていく上で予測される様々な「危機」に対するダメージコントロール力を鍛えてくれるものではないか、と感じる。

本書の特徴と思われる点をひとつ述べるならば、「危機」(クライシス)の予防・対処の際に、個別・具体的な形で「絶対にやるべきこと」、逆に「絶対にやってはいけないこと」が明快・鋭くに提示してくれている、という点だと思う。

たとえば、雪印乳業の事例など世界的な信頼を誇ったブランドが、危機への初動対処を誤ったために一瞬にして深刻な事態に転落した一件は、著者が指摘するようにおそらくはそのブランド力への奢りが生み出した油断であり、その一瞬の油断が「崩壊寸前」の状態を生んだ好例なのだろう。

まさに「信頼を培うのは長い年月が必要だが、失うときは一瞬」なのであり、このことは会社の対顧客関係のみならず、様々な人間関係に当てはまることだろうと思う。

社会人として、このような本に出会えた小生は幸せである。お勧めである。

・「ものすごくためになった
いろいろためになったけれど、強いて言えば以下の後藤田正晴官房長官の訓示が随所に活かされていた。一、省益を忘れ、国益を想え二、悪い本当の事実を報告せよ三、勇気を以て意見具申せよ四、自分の仕事でないと言う勿(なか)れ五、決定が下ったら従い、命令は実行せよ

・「ここまで優れた本に出会ったのは、久しぶりです。
危機管理とは、予測されない事態に対して、人間が総力を挙げて立ち向かう事です。こういった事態に果敢に立ち向かえる人は、かっこいい。このかっこよさ、を、この本では存分に紹介している。地下鉄サリン事件の際の日野原院長、阪神大震災の時の日銀マン遠藤さん、本当に、いざという時に、「おれがやらなきゃ誰がやる!」と、立ち向かう人達が少ないとは言え、いるんですね。あさま山荘事件の時、後藤田長官は、「佐々君、日露戦争の時の児玉源太郎みたいにやってこい。」というわけです。一方、他の「中央に居てなんぼの人間」には命じない。「乱世の雄」と「治世の能吏」、二つのタイプが居て、危機に立ち向かえるのは前者であるからです。ぜひとも前者になって欲しい、との佐々さんの願いが、本書には込められている。この本は、もう、本当に勉強になる事だらけでした。危機が訪れたら、まず会議は中止すべきなんです。でも、マニュアルで解決できない事態に襲われ、不安から会議を始めるちゃうんですね。こういう事を繰り返し、学んで行こう、という風に、思いました。

・「「即時業績アップ法」
 あさま山荘、雪印乳業事件、三原山大噴火、阪神淡路大震災など、実際に起こった危機を例に、危機管理の仕方を説明した本です。 現場で指揮を取っていた著者ならではの描写がとても面白く、「なるほど、こういうことだったのか…。」と思う事がたくさん載っていました。 扇前国土交通大臣の工作船への対応の見事さ。

 イラクで亡くなった奥参事官が生前「外務省の人間は安全なところにいて、口ばかり出してるだけじゃないか」と言われ「オレは違う」と答えていた。 三原山の噴火の際国土省ではすぐさま会議をはじめて「災害対策本部の名称。元号を使うか。臨時会議を収集するか。」の三つについて議論していてあまりのバカバカしさに目がくらんだ。

といった話。

 神戸の震災の際、自分のすべきことは「日銀券の供給を絶やさぬことである」と思い定めて鮮やかな活躍をした日銀の遠藤支店長。 地下鉄サリン事件の際、聖路加病院の日野原院長の決断の早さ。 新大久保駅で事故処理をした田中良弘医師。などの危機管理のすばらしい実例を示した方々の話は面白く読みました。

「交際費や接待費を十分につかって仕事をとってこい」という「即時業績アップ法」も載っています。

 ミグ25亡命事件の「たらい回し」会議の内容と「事件の経費請求書をソ連に送りつけて」不良債権になった。という件には思わず笑ってしまいました。 

重大事件に学ぶ「危機管理」 (詳細)

ふつうの医者たち (文春文庫)

・「医師たちの葛藤が描かれている
著者と各専門科医師との1対1の対談形式による書。医学生はもちろんであるがこれから医師を目指そうとされる人々にとって参考になることは間違いないのではないか。医師になった動機から最後は死生観まで語られており、とにかく参考になったし、興味深かったのは各専門科医達が自分の無力感を感じるという一説である。医療には当然限界があるのはわかっていながら理想と向き合う姿が感じられた。

・「肩の凝らない医者談義
 医者はどういうものなのだろうか?28万人もいるのに、その生活実態は意外と知られていない。 この本に登場する医者たちは、「医療とはこうあるべき」というような「べき」論から離れて、ありのままの生活実態や、来し方行く末を淡々と語る。これといって驚くような話があるわけではないのだが、医者たちもまた、苦しみ、喜び、退屈し、怒っているという、当たり前のことが語られており、彼らもまた「ふつうの人」であることがわかる。 南木の小説「医学生」を読んでおくと、そのモデルとなったらしい人物も登場して、より楽しむことができる。

ふつうの医者たち (文春文庫) (詳細)

東電OL殺人事件 (新潮文庫)

・「真実かどうかを判断するのは自分達
一人のOLが殺されるというよくある事件をここまで重層的に読まされるドキュメンタリーはあまりない。結論が強引だとかこじつけだとか、人により様々な厳しい評価があるが、個人的には非常に優れたドキュメンタリーだと思った。タイトルから連想させるような下世話な低レベルのドキュメンタリーなんかではない。

作者は単なる話題集めや好奇心でこんなことをしているわけではないとすぐに気付く。読んでいると作者の執念と気迫を感じられる。何も情報がないことにめげず、丹念な現地調査や聞き取りにより、一人で情報を集めて行くことは並みの作家ではできない。その意欲は作者をネパールにまで飛ばせ、有用な証言を集めることに成功している。この気迫が全体を貫いていて、このボリュームの文章を読ませてしまう。

ここで浮き彫りにされているのは、日本の社会の暗闇である。私達はこの作者の数年をかけて掘り起こしてきた事実の集積をここで読むことができるのはこの本のおかげである。何が真実かどうかを判断するのは読者自身なのであろう。

・「推理小説でも、俗に言うノンフィクションでもないです。
先程読み終えて、とても興味深かったので、感想を書きます。

本書は、1997年に起きた東電OL殺人事件とその後の裁判を題材にしたルポルタージュ形式の作品です。特に、被害者の女性の心理状況の解明と、容疑者として捕まったネパール人の冤罪問題が、主要なテーマとして扱われています。

まず、この本を手に取る方は、この事件に関する裁判が、ネパール人容疑者の殺人容疑だけでなく、日本の裁判制度自体を問題にした形で、現在(2005年11月現在)も続いていることを肝に銘じるべきだと思いました。本作品では、2000年4月の一審無罪の段階で筆が置かれています。ですので、被害者の女性の心理だとか事件の真犯人の、最終的な解明は望むべくもありません。そういった謎解きを期待する方はこの事件に関連する小説を読んだ方が良いと思います。

さらに、本作品は、一般にも、また文庫版の背表紙でも「ノンフィクション」とされています。だからと言って、本作品で事件に関する「客観的事実」だけを読もうとしても、期待外れの内容に映るでしょう。なぜならば、作者は、この事件のルポルタージュを書くに当たって、「客観性」や「合理性」を重んじながらも、書く人間の「主観性」という点も、誠実に書き記しているからです。私は、この客観性だとか事実だとかを振りかざさない書き方に好感が持てました。作者の考えを支持するかしないかは、彼の調べ上げた事柄に、合理的に反論できるかにかかっている思います。

分量は非常に読み応えある500ページ強。雑誌連載をまとめた本ということもあって反復も多いですが、何度かに分けて読む場合には、逆に読み易いと思いました。

以上です。

・「示唆に富んだ内容
さすがルポライター、自分の感覚に従って、すごく緻密な取材がなされています。その嗅覚に関心しました。彼女がなぜエリートでありながら、なりふり構わない娼婦という顔も持っていたのか、それは最後までわかりません。

女性エリートであるが故のストレスが半端じゃなかったのではないか、そして、ファザコンだったから通常の恋愛が(心理的に)出来なかったのではないかという感じはしました。著者の深い洞察力、推理力から、OLの行動や事件の真相だけではなく、様々な事が書かれており、勉強になりました。

目に見えない階級社会、外国人不法労働者の心理、ネパールの道路事情の劣悪さ、警察の裏取引の実態。すべて実名で書かれているのは、とても気の毒だとは思いましたが、これだけ大衆の関心を集めた大事件なので、しょうがないのかもしれません。

本の中心は、エリートOLの心模様ではなく、逮捕されたネパール人の冤罪になってしまっていますが、示唆に富んだ内容で、読み応えのある本でした。検察の主張も、著者が言うほど的外れであるとも思えず、優秀な弁護士が付いていなければ、冤罪は簡単に生まれ、これまで何人もが無実の罪で服役あるいは処刑されてきたのかもしれないと思いました。

・「人間の持つ闇に迫る傑作事件ノンフィクション
もう8年前の話になるが、エリートOLが何者かによって殺害された。この事件が注目を浴びたのは、被害者の女性に昼間とは別にもうひとつの顔があったことが判明したからだった。彼女は売春婦としてラブホテル街の一角にあるうらぶれたアパートの一室で誰かと性交した後に命を絶たれた。最後の客として浮上したのがあるネパール人の男性で逮捕、拘禁、裁判が始まる。筆者は独自取材を進める中で男性の冤罪を確信する。本書は裁判の模様と同時に、被害者の女性が夜の顔を持つに到った背後にある深い闇に迫ろうとする力作である。裁判の結果、男性は無罪を勝ち取った。しかし真犯人は未だ見つかっていない。そして彼女の闇をかき消すことができる光も、また、ない。

・「結局「わからん」
結局、わからないのです、なぜ、泰子が売春行為をはじめたのか?金銭目的でもなさそうだし、セックスに依存している、という状態でもなさそうだし。頭がよくてお勉強はよくできて、お行儀もよく躾けられてるんだけど、そういう性的なこと(肉欲っていうのはね・・・)をちゃんとおしえていないから、例えば、車の教習所いかないで、いきなり路上で運転をはじめるような無茶を平気でやってしまう、ような感じなのでしょうか?

東電OL殺人事件 (新潮文庫) (詳細)

野中広務 差別と権力

・「「影の総理」の影にあったもの
 エピローグに、著者が月刊誌に野中の評伝を発表した直後に野中と議員会館で会った時のやりとりが出てくる。「君が部落のことを書いたことで、私の家族がどれほど辛い思いをしているか知ってるのか」と野中に詰られた著者は、家族への侘びを口にしつつ、「これは私の業(ごう)なんです」という言葉を搾り出す。本書には、まさに書く者としての「業」を感じさせる執念が漲っていると思う。 部落差別や土建屋の談合、宗教団体など、関わる事柄は一筋縄ではいかないものばかりで、その取材は大変だっただろう。京都という土地柄、裏づけとなる話をしてくれる人は極めて少なかったはずだ。問題が問題だけに、その舞台裏を書くことは簡単なことではない。それをやり遂げた著者に敬意を表したい。

 本書中に、麻生太郎が会合で「部落出身者を総理にはできないわなあ」と発言した、という記述が出てくる。こうした差別が結局は野中が総理になることを阻んだのだと。果してそういった差別が現実にどれほどのものであってどう野中の進退に影響を及ぼしたのかは実のところわからないのだが、少なくとも、麻生太郎を総理にはできんわなあ、とは言っておきたい。 野中は色んな顔をもっている。差別問題(いわゆる部落差別だけでなく、ハンセン病原告団への理解もある)に取り組むマイノリティーとしての顔と、権力の中枢を操るフィクサーとしての顔。いずれの顔も見えるようなエピソードが、本書には描き込まれている。力作である。

・「この国を言語化するという「業」
 我々が暮らす戦後ニッポンとはなんだったのか? この本を一人の政治家についての話として読めば、冷静に、できるだけ客観的に評価を下そうと努力した佳作と評価できる。 しかし、『沈黙のファイル』(名義は「共同通信社社会部」)、『特捜検察の闇』、『渡邊恒雄 メディアと権力』と、個人、組織を通して、我々が所与のものとしていて、それでいて実は全く得体の知れない「この国」について文字にして書き残そうと格闘を続けてきたのが、この著者である。 これまでの著作は戦後の日本社会が抱える古傷を暴きだして行けば十分であった。しかし“戦後”という時代が終わりつつある今、著者は、その問に対して一つの回答を、ある一人の政治家の半生という微視的な物語から書き上げた。そしてそれは悲しいかな平等・平和を志向してきた戦後ニッポンへの手向ともなっているのである。

・「凄みを感じました。
ある種、凄みを感じた。よくまあ、これだけの内容を取材できたものだ。これほどの労作を読むことができた読者としての幸せはさておくとして、野中広務という人間が持つ物語性の深みと言ったら。勤め人であることを辞めた時と政治家を辞めた時に重なり合う野中氏に対する唾棄すべき差別感……。

・「ノンフィクション 久々の大作
野中氏がいかに権力への中枢の階段を上って行ったか?

必ず権力には光と闇がある。その陰陽を上手に扱うことが出来る人間。そんな人間こそが政治の世界で台頭をしていくのだろうが、そういった彼の手腕が部落差別との戦いの中からどのようにして生まれたのか。それらはこの本を読めばよく理解できるのではないだろうか。

 エピローグで著者は部落と野中氏の関係を著したことを次のように語っている

「心の奥深くから湧き上がってくる、知りたい、書きたいという取材者としての衝動」

 私は彼の政治姿勢にはまったく賛同できない。彼に実務能力の優秀さは評価できても、この国をどこに導こうとするのか、それらの意思をまったく垣間見ることが出来なかったからだ。しかしながら彼を否定する人も肯定する人も、彼の源泉が何かなのかを知りたいという欲求にかられるのではないだろうか?

 差別と闘いながら権力の座についた野中氏の半生を知りたいという、読者の欲求に答えた、価値ある作品。

 

・「ついに書いてしまった
 以前、外国のメディアの野中氏の「出自」に触れてあったとき、日本のメディアはそれについては沈黙を守っていた。よって、広く国民の間にはこの事実が知られてはいなかったのだが、本書の出版に野中氏本人がゴーサインを出したことは、引退に当たってそれが政治的にマイナスにはならない、ということを計算したこと、また伝記の一種として自らの生を後世に残したかった、ということがあるのだろう。自伝とは違って、力量ある筆者による評伝、というのは、またいろいろなインパクトを与えるのだから。 著者の魚住氏の筆力、取材力については、さまざまなノン・フィクション作品によってすでに実証済みと思われる。よって、ここでも野中広務の政治家としての二つの顔を見事に描くことに成功している、とわたくしには思われる。マイノリティ出身だからこそ、権力掌握が必要であった、その結果田中角栄に象徴される(あえて代表される、とは書きたくない)自民党的政治手法を受け継ぐことになってしまったのは、悲劇的でもありまた皮肉でもある。 しかし、個人的には、弱者を見ようとしない小泉内閣の最大の批判者として、まだまだ現役を続けて欲しかった、と思う。小泉による党内粛正は、彼の不在を受けてなされたものかもしれぬ、とも思う。引退が惜しまれる。

野中広務 差別と権力 (詳細)

スプ-トニクの恋人

・「悲しく、悲しく、心がつまる
孤独さが悲しくて仕方が無かった。この作品は現実の世界を描いていない。人間の生きている世界から、観念的な部分だけを取り出して物語にしたもの。そう思わないと、自分の中の片恋がむき出しになって、つらいのだ。けれど、意図的に目を背けて見ないようにしている感情のひとつを思い出させてくれて、今呼吸することの幅を確かに広げてくれる、優れた作品だと思う。

・「存在と不在。
『スプートニクの恋人』は春樹さんの作品の中で私が一番好きな小説です。

「ぼく」は「すみれ」の不在によって深く深い寂寥に包まれます。誰かの存在の大切さ…。春樹さんの小説はいつもそれを訴えているような気がしてなりません。

終盤に「ぼく」の受け持つクラスの生徒「にんじん」が登場します。「にんじん」が出てくるか出てこないかで

この話は随分と違っていたと思います。「ぼく」と「にんじん」の何気ないやりとりが妙に印象的です。

・「奇妙な恋愛小説
奇妙な恋愛小説。そう新刊の帯には書いてあった。それはノルウェイの森の帯に100%の恋愛小説、と書いてあったのに呼応しているように思う。ノルウェイでも、今回でも最後は電話ボックスの中から電話をかけているし。

今なら携帯で「電波が届かない場所にあるか・・・」と言われると、「こういうのってジャン・リュック・ゴタール風だ」とか言っちゃうんでしょうかね。ノルウェイのとき、テーマは失われたものの大切さ、だったように思うけど、今回は、今あると思っているものは、失われつつあると言う事実!がテーマのような気がします。

・「ただのラブストーリーではない
これはたんなるラブストーリーではなく、ある意味、神話にも似た普遍的な物語という解釈はできないだろうか。

言うなれば、強力な力を持つ無意識の世界に引きずり込まれた二人の女性とそのうちの一人の補償的な存在である男の話。

ミュウは昔、その半分がその世界に持っていかれ、それから徐々に損なわれ続け、「ぼく」が最後に見たときにはほとんど抜け殻になっていた。

すみれは、一度はほとんど引き込まれかけてしまったが、本当に自分に必要なのもの(ぼく)に気づき、そのお陰でこちらの世界に戻ることができた。

そういう視点でもう一度読み直してみたい。

・「こころとからだは別物
『ノルウェーの森』を書いた時、村上氏はイタリヤに住んでいた。そして『国境の南、太陽の西』を書いた時、スコット・フィッツジェラルドに幾多の天啓を与えたプリンストンの地に住んでいた。そして1988年には村上氏はギリシャ・トルコの辺境を旅行していた(『雨天炎天』)。僕は作家の小説を書き上げた場所というのはものすごく重要な小説構築の要素だと考えるが、村上春樹の場合、その重要性は他の作家とは比べ物にならないほど大きなものに感じられる。なぜなら、氏の小説の背景たる風景は、氏がそうした中で見た風景や、人々の動きそのものだからだ。氏はそれらの体験や風景を自身の中で再構築し、性別や職業を入れ替えて小説を作り上げてきた。そして氏自身の持つ世界は、イタリヤやプリンストンの風景や、ナット・キング・コールの音楽の方が、どこまでも同じ風景のようなこの国の景色やJ-POPなどよりずっとしっくりくる。『スプートニクの恋人』の風景は『雨天炎天』で旅したギリシャの風景である。その中で、氏は『こころ』と『からだ』が別物であることを僕らに知らしめていく。これはラヴ・ストーリーなのではなく、『こころ』と『からだ』が別物であることを僕らに知らしめていくことに重きが置かれているのだと僕には思える。

そして再び村上氏は主人公に自問させる。この人生は確かに順調かもしれない、でも本当に俺の本当の人生なのか、と。

別の場所からドッペルベルガーの自分を見る。その自分は今の自分とは全く別の事をしている。全く別のこころとからだを持って別の人生を生きている。そして氏は僕らに自問させる。きみの人生は確かに順調かもしれない、でも本当に君の本当の人生なのか、と。

スプ-トニクの恋人 (詳細)

マークスの山(上) 講談社文庫

・「ハードカバー版と比較して。
ハードカバー版を最初に読んだのは3年ほど前だった。当時私は高村薫氏の他の著作品で論文を執筆していて、他の作品も参考にしようと思い手に取った。ハードカバー版では合田さんと加納さんの関係がギクシャクしているように見え、今回の文庫版ではそれがいくらか和やかなものへと変わっていたことに、正直驚かされた。

新たに追加されたエピソードも多く、『李歐』が刊行された時に感じた<別の話>と言っても過言ではないと思う。

文庫で上下巻、内容もページ数に匹敵し濃厚であるが、その文章量の多さから見ても、けして読みやすい部類に入らないと思う。それにも関わらず飽きることなく読むことが出来ると思う。

読後、言葉に出来ない感情が残り、考えさせられた作品であった。

・「20世紀を代表するミステリーの大傑作がついに文庫化
いわずとしれた、高村薫の代表作で、93年の直木賞受賞作です。この他、94年版このミスと93年の文春で第1位を獲得、週刊文春二十世紀傑作ミステリーベスト10(2001年)でも3位を獲得しました。連続殺人犯「マークス」と、つながりのない被害者から犯人を追う合田警部補らの活躍を描く警察小説の傑作で、著者の他の作品と同様、追う者・追われる者それぞれの心の闇が、見事に描かれています。すでに呼んだ人はもちろん、まだこの小説を読んだことがない方は、絶対に読むべきだと思います。作品の好きずきは人それぞれだと思いますが、この作品を読まずして、ミステリーは語れません。(もっとも、作者本人によると、この作品はミステリーではなく小説だそうですが・・・)

・「多重人格
高村ミステリの他者との違いが人間の深層心理の描写であると思う。この手の小説が一番向かないのが映画である。この小説で芯をなすのが犯人の持つ多重人格である崩壊した人格とそれに翻弄される警察官の通常の人格との戦いである。よって内容はフロイトの論文に近い内容となっている。エッセイを読む人、特に軽い感じを好む宮部みゆき好きにはまず読むに耐えない内容であろう。読者層としては回りくどい深層心理、特に精神分析学のマニアは泣いて喜ぶ内容である。筋としてはかなり単純で、単なる殺人とそのえん罪をはらすという水戸黄門でも取り上げられそうなもので、筋そのものにしか注目しないとひどくつまらなく思えるのだが、登場人物の心の変遷に注目すれば鳥肌もののおもしろさである。

・「魑魅魍魎の住み処!
 第109回直木賞受賞作品。 「宝島社 このミステリーがすごい!」 1994年度 第1位 「宝島社 『読者が選ぶ』過去10年のベスト20」 第10位 「宝島社 覆面座談会が選ぶ『過去10年間のベスト20』」 第2位 「週間文春 傑作ミステリーベスト10」 1993年 第1位 「週刊文春 二十世紀傑作ミステリーベスト10」 第3位

 この上巻ではまだまだ物語の伏線をしっかりと張り巡らしている段階です。 そのため、なかなかそれぞれのつながりが見えてきませんが、警察という組織の複雑さや矛盾に愕然としました。 縄張り争い、手柄の奪い合い、個人的な怨恨、保身等々枚挙にいとまがありません。 現場の捜査官は犯人だけではなく、同じ立場の捜査官や警察の幹部、さらには検察や国のトップとも駆け引きをしなければならないことを知りました。 警察組織やそれを取り巻く国家機関はまさに魑魅魍魎の住み処のようです。

 そんな中で、たった一つ確実に言えることがあるとすれば、それは事件を真の解決へ導くことができるのは現場の捜査官だけだということではないでしょうか。 私は現場の捜査官・合田を応援しながら読みました。

 下巻の方にもレビューを載せようと思っています。参考にしていただけると幸いです。

 ソレデハ…

・「読者を圧倒する緻密な構成のミステリ
圧倒的な筆力と緻密な構成力にただただ圧倒される。連続殺人事件。殺されたのは、元暴力団組員、二人目は検察庁の検事。2つのストーリーがうねるように絡み合いながらすすんでゆく。マークスと自称する青年のストーリー。過去の因縁から脳に障害持ち、重度の健忘症と聡明な別人格が交互に表出するという複雑な人格を持つ。このマークスという特異な犯人像とあわせ、彼に寄り添う年上の看護婦真知子の造形も印象的。2つめは本作の中心となる、警視庁捜査一課の合田刑事の視点で描かれるストーリー。本庁対所轄、本庁内の捜査係間にあるせめぎあい、組織内の軋轢、秘密主義、縄張り争い、上層部からの圧力・・。昼夜・休日のない捜査に明け暮れるのは正義感なのか。暗い情熱と一種の諦観を抱える合田をはじめ、刑事たちの一人一人をじっくり描きこまれながら、警察という特異な組織社会を描いて行く。だんだんと姿を現す暗い影・・・。マークスが脅迫する人脈、彼らは財官に影響を持ち、警察人脈、検察人脈と、影に陽に捜査陣に圧力をかけ、一方でマークスを襲わせる・・・。単なる警察小説とは言えず、一方で警察小説という観点でも類を見ない完成度。

マークスの山(上) 講談社文庫 (詳細)

夢をかなえる洗脳力

・「本書の内容を隠しておきたかった人間は多いはず。
前々著の「脳と心の洗い方」のときも思ったが、心底から「やられた!」と思った。そして、時代は確実に変わり初めていると痛感させられる。ただし、良い意味でだ。

本書は洗脳力とあるが、タイトルに「夢をかなえる」とある通り、いわゆる願望実現本、自己啓発本の一種と素直に見て良い。ただ、従来の類書と比べると、アプローチの仕方には歴然とした差がある。しかも本質な部分での違いだ。この差は大きい。本書の内容とハウツーは、人間を本当に、根源的に変えてしまう。

これまで、宗教界、哲学界、心理学界、あるいはこれらを含む形而上学界とでもいえばいいのだろうか、これらの分野の、本当の意味で知識も経験も技術も能力も、そして良識もある実力者たちが、一子相伝的な形でしか伝えようがなかった“キモ”をここまでさらけだした本を、実用書として出すのだからとんでもない話だ。実際、本職の心理療法家などが、飯の種を奪われたとでも思ったのだろうか、本書(著者)の話題になると、不自然なほどにスルーすることがあるのは注目すべき事実だ。

成功するための理論は数あるが、これらが「実際にうまくいっている人間はごく少数」というアプローチは、他の著者でも最近は平然と行うようになった。が、本作の著者はそれを文化の根源から突き詰めて、私たちの前に捨て去るべき悪習として厳然と突きつける。

個人的に、エリクソン的心理療法などを学んだことがあるのでわかるのだが、人間が成功(自己実現、願望実現)するために必要なのは社会や他人の価値観から離れた、本当の意味での自分の「本質」を磨き上げることに他ならない。

しかし、そのために必要な努力や訓練は、従来の「成功するためのあらゆること」とは矛盾したり180度異なるものであることが多く、先の一子相伝ではないが、よほど密な関係を築いた相手にでなければ伝えられず、また指導しづらいという点もあった。

本書のすごいところは、それほどの重大なことを、実にあっさりと読める文体でこれまたサックリと、読み進めていくうちにスコーンと読者の内にインストールできるよう書かれてある点だ。(世の中、能力はあっても表現能力に乏しい者が多いのだから、驚嘆すべきことだろう)催眠療法を行う者ならわかると思うが、これはよほど潜在意識・無意識の操作に熟達している者でなければできない芸当である。療法を直接受けるのではなく、本を読むだけである程度までは成してしまうのだから、その実力たるや恐ろしいものがある。

おそらく、本書の内容は、脳科学、心理学、あるいは宗教を含む形而上学全般の広範にわたる知識と経験がない人間にとっては、あまりにも「さらっ」と読めてしまうが故に従来の成功本と同じではないかと片づけられてしまう恐れがある。本書を批判する人間も前作までと同様、(本質から理解できないが故に)数多く出てくることも当然、予想できる。

しかし、少しでも自らを【本当の意味で変えたい】人間にとっては、知識があろうがなかろうが、まさに宝の山といえる。理論だけでなく、実際のハウツーについても可能なかぎり平易に解説されている。

誰かれかまわず勧めたい本ではない。本書の内容は、平易な表現で書かれてあるが、深い。真摯なまでに深すぎる。こんなにカンタンに書かれているのに、根底には人類が追求し続けてきたものが明示されている。誠実に取り組めば、人間が根源的に変わるだけのものを得られる。保証してもいい。しかしそうでない、ただ自分の我欲や妄想を満たしたいがために使うのであれば、この領域には絶対に手を出してはいけない。自滅する危険性がある。

・「おもしろい、すごくおもしろい・・・
あまりにも「新しい切り口」で解釈されていて衝撃だったので、もっと知りたくって著者の他著作もかたっぱしから読んでしまった。自分の中でぼんやり感じていたことをしっかり説明してもらったようなかんじで「そうだったのか・・そうなのか!!!」と目からウロコ。特にマンガとかアニメ好きで、「そっちの世界のほうがたまに現実より臨場感ある」笑タイプのオタ(もろに私はそうなのだが)は、ちゃんと読めばかなり世界の見方が変わるし、非オタのかたより理解しやすいかも。私は常々「天才とは、元々生まれ持ったナマの能力に対して抑圧をかけない、かけさせない人たち」だと思っているのだがまさしく苫米地さんは天才だと思った。彼の著作を読んで私もぜひ自身にかけられた無意識の抑圧(洗脳)をとっぱらいたい笑!!

・「何度も読みたい本
「夢」って何だろう。そして、それが叶ったとしても、それは本当の幸せなんだろうか。それでは本当の「幸せ」とは・・人が人として本当の幸福感を得るのはどういうことなのか。それを脳機能学博士であり、哲学、数学、物理、宗教、あらゆる分野を極めている著者が、分かりやすく読みやすく、そして普段の生活で使えるように夢実現の為の具体的な方法まで書かれている素晴らしい本です。昨年、「脳と心の洗い方」で初めて苫米地博士を知ったのですが、その後に全部の著書を読ませていただき、考えられないような大変な思いをされたにもかかわらず、日本に残られたのは何故なのかという疑問がありましたが、今回の本にご自身の思いが書かれており、博士の大きな、深い愛情を感じ、とても感動しました。目の前で講義を受けているような、そんな感覚にもなりました。誰しもがたった一度の人生であり、誰もが幸せになりたいと願っています。そんな私達に大きな指針になる本です。何度も何度も読みたいと思う本です。

・「著者・苫米地氏の表現力も確かだ
内容もさることながら、著者・苫米地英人氏の表現力も確かだ。

私自身白状しますが、研究者の著作物はとっつきにくく、難解だ、という予見がありました。しかし筆者の場合、本書で「高度な内容を分かり易く」表現している。

特に気に入ったのが、「第6章、あなたの夢に向かって他人を動かす方法」のチャプター。そこでは、人を巻き込み人を動かす2つの方法について記述されているが、これまでの成功本には見聞したことの無い、新しいテクニックが伝授される。この第6章だけを読んで、トレーニングする価値がある。トレーニングゆえ、本書を片手にある一定期間の繰り返し反復が必要だろう。キーワードは「内部表現書き換え・ホメオスタシス同調」。その具体的な習得技術が、図解入りで解説されている。

・「星500個!!
 自己啓発書やNLP、脳力(能力ではありません)活用などあらゆる願望実現に関する本を超えた究極の内容だと思います。

 普段から必死で自己啓発し、自分の夢に向かって走り続けているという類の読者であれば目から何枚もウロコが剥がれ落ちることでしょう。

 逆に自己啓発書を読まない方、読んでも実行してこなかった方にとっては掲載ノウハウがゼロに近い、星1つの書籍だと感じるかもしれません。

 洗脳というタイトルになっていますが、多くの自己啓発本に洗脳された脳を自分で洗脳しなおすための本です。ノウハウが多く書かれている本ではなく、読み進めていくうちに考え方そのものが変化してしまうような本です。(わたしは「最高のテクニック」が載っていると思いましたが、人それぞれでしょう。)

 繰り返しになりますが、これまで自己啓発を必死でやってきたという人にしか価値がわからない内容だと思います。ナポレオンヒル、フランクリン・コヴィー、マーフィー、神田昌典、本田健や宝地図など実践しておられる方であれば必ず満足できる良書だと思います。

※この本を読んで共感するものがなかったからといってその読者を否定する意図はありません。誤解なきようお願いします。

夢をかなえる洗脳力 (詳細)

グロテスク

・「小説は事実より奇なり
実際の事件を参考にして書き上げられているこの作品、出来事自体の羅列は殆ど事件と同じと言う、身もふたも無い作りだが、実はこの小説そんなことなどどうでもよい、事件はただのきっかけではないかと思いました。

この小説は何人かの登場人物の語り部、手記という形をとって流れていき、そこから出てくる話は微妙なずれを見せてきます(そう羅生門タイプです)。そこから醸し出される世界はまさに「グロテスク」。これでもかと言うぐらいに人間の闇の部分にだけとことん焦点をあて、自分自信の意識がすべてと言う恐ろしいくらいにリアリティある人たちを書き上げています。語り部によっては全然違うことを主張し、誰の言っている事が真実、事実なのか深い謎になり、手記の形を取っている章は、書き出されたものと言うことで、リアルさはあるが真実性が乏しく、物語をますますの迷宮えと落としていきます。

まさに人間のエゴ。誰も彼もが本当の事を言っていて、また平気で嘘も吐いている。視点によって世界が違う、まさに醜悪な人間を映し出しています。これをグロテスクと言わずして何と言いましょう。

実際の事件はバッググランドもあり、それなりの物語を持っていると思いますか、この事件においては小説のグロさが勝ったと感じます。

「OUT」のある種ストレートな内容に比べて、少し難解なストーリーに見えますが、良く読めばそれほど難しい話でもありません。ただ恐ろしく気の滅入る話が続きます。読む人によってまったく違う世界が広がるとおもいます。これは一読する価値のある一冊です。自分自信と向き合うためにもぜひ読んでみてください。 あなただけが感じる真実が見えてきます。

・「So grotesque
東電OL殺人事件をモチーフにして書かれたといわれる作品である。(主人公の職業は、大手建設会社シンクタンクとなっているが)

インタビュー、手記、手紙、上告文を通じて、有名私立学校で共に過ごし、卒業した数人の女性の生き様と人間関係が描かれている。ある者は、一流大を経て大手企業に就職、昼はキャリアウーマン、夜は娼婦となり、ある者は東大医学部を経て某宗教に入団、テロ犯罪に関わる。ある者は輝く美貌を持ち、ある者は、自意識の下で悪意を磨いて生き延びようとする。

読み進めるほど、まるで他人のえぐれた生傷を見せられているような感覚を覚えながら、同時に、せつなさ、それどころか懐かしささえ感じる。どうして彼女は、そこまで勉強を、仕事を、世間に認められるはずの様々なことを頑張り、果てには、「変人」と指差されるほど、家族にすら顔を背けられるほど、濃い化粧と奇異な服装で装い、何を武装したのだろう。

かの事件について、もし詳しく知りたいならば、すでにルポルタージュが何冊も出ている。だがこの本は、文学に昇華されていて、読んだ私を、余計に迷わせた。

・「鬼気迫る生理的恐ろしさ
 例の東電OL殺人事件をモデルにした小説だが、怖い。殺されるエリート女性の心が荒廃して化け物になっていく様がリアル過ぎて、ハイミスの私には恐ろしい。そして周りの人間の悪意も、社会の冷たさも恐ろしい。女性が、それも周りの期待に答えようと頑張ってしまう、社会の歪みを認めてそこで賢く立ち回ろうとすることのできない生真面目で不器用な女性が現在の日本社会でいかに潰され壊されていくかが、これでもかと描写されている。 そうならないために私はどうすればいいのだろうか。この小説は答をくれない。この小説の中には幸せそうな人は皆無である。多分、私達は考え考え一人一人別の方法を見つけて何とか生き延びていくしかないのだろう。

・「ある意味 血湧き肉踊る
東電OL殺害事件が元になっているので、そちらも一応チェックして読み始めました。この作品はどうなるかはあまり重要でないのでしょう。あまりに有名な事件がモチーフになっているのですから。上巻と下巻に別れているけど、毛並みがだいぶ違います。上巻は女子校を舞台とした昼間の世界、とはいえ、鉛色の空が見えてくるよう。物語はテンポよく進み、どんどん読めてしまいます。学校の中ということもあり、事件性は希薄で、そして誰もが経験もしくは触れたことのある、からかいや、ちょっとかわったクラスメイトが描かれています。下巻はもう漆黒の告白です。そして、普通の世界ではない、あちら側の視点から語られる告白。容疑者の告白にはやや冗長な部分もあるものの、下巻全体を通して読み返したくなるようなフレーズや情景が満載。異様なハイテンションと崩壊の描写は不気味で、見てはいけない物が露見してしまったようでもあり、同時に何も守る物がない、捨てた潔さも見え隠れする。ラストは期待しない方が良い、むしろ、この作品への評価はラストによって影響を受ける物ではないはず。

・「限りない上昇志向の結末
三流小説でも書かないようなストーリーが事実として起こってしまった。

何が彼女をそうさせたのか? このグロテスクはそこに迫っている。

彼女が娼婦になった理由は堕落ではなく、それとは全く正反対の限りない上昇志向の結果である。

彼女の一生は戦いの連続でした。中学では受験の勝者となり超難関のQ女子高に入学する。しかしそこで彼女が見た物は裕福さでは全く勝てない内部生、美貌では及びもつかないユリコ、勉強では相手にもされないミツル。中学では勝者であった彼女は、Q女子高では「ただの人」に成り下がってしまった。それでも勉強は頑張り続け何とか上位は守り続けた。

そうやって努力を続けQ大、G建設総合職とエリートコースを歩みつづけるのだが、この高いレベルは彼女の努力も通用しなかった。完全に敗北を知った後に彼女は「誰も決して追ってこられない道」に活路を見出してしまった。

限りない上昇志向が叶わない度に違う方向にねじ曲げられていく、いったい彼女の努力はなんだったのか? 考えさせられる一冊です。

グロテスク (詳細)

ダーク

・「ミロシリーズの完結編
乱歩賞受賞作「顔に降りかかる雨」そして、「天使に見捨てられた夜」につづく「村野ミロ」シリーズの完結編です。しかし、これまでの2作を読んできた読者にとって、本当にシリーズと呼んでよいのかどうか・・。読み始めは、ミロや善三の過去2作との違い、ストーリー展開の意外性に驚かされます。しかし読み始めたら止まりません。題名「ダーク」にこめられた作者の意図は・・・。ページ数は多いですが、2段組ではないため、あっという間に読み終わります。作者のストリートテラーとしての筆力に改めて脱帽です。前の2作のほか、村野善三の活躍を描いた「水の眠り灰の夢」もおすすめです。この物語の背景を理解する上で、灰→顔→天→ダークの順に読んでみるのもよいかもしれません。

・「おもしろかった
ミロシリーズを2冊ほど読んでからこれを読んだが、良い意味で裏切られた感じでとてもうれしかった。前の2冊で、このシリーズも他にも良くある「主人公は恐い目にはあうが、決して深刻な被害にはあわない普通の探偵物」と思いこんでいたが、今回は違かったからだ。この作品でミロはとんでもない女になっていた。

しかし前作よりも生き生きとしていて自由で逞しくて、今回のミロにとても好感が持てた。トモさんの変貌ぶりにも(変な言い方だが)納得がいった。これで終わるのは残念だ。ぜひぜひまた違う職業のミロも読んでみたい。この作品のミロは別人に近いし、トモさんとの関係など前作と何かとつながりがあるので、かならず前作を読んでから読んでほしい。

・「ミロの愛人を私も愛した‥
ミロの物語を初めて読んだ。ー40になったら死のうと思っているーこの帯表紙になぜか強く惹きつけられた。そして、この分厚い本が一気に読めてしまったのはすごい。

過激なほどに激しいミロの話だが、女心が胸が痞えるほどによく書かれている。いつしか自分もミロの愛人を愛しているような感覚になっていた。ミロが選んだ最後の選択‥それは今の私に希望をもたらせてくれたと思っている。

桐野氏はあまりに有名だけれど、本を読んだのはこれが初めて。こんな風に女の気持ちを描写できることに感激。作者自身も好きになった。

・「ミロの愛人を私も愛した‥
ミロの物語を初めて読んだ。ー40になったら死のうと思っているーこの帯表紙になぜか強く惹きつけられた。そして、この分厚い本が一気に読めてしまったのはすごい。

過激なほどに激しいミロの話だが、女心が胸が痞えるほどによく書かれている。いつしか自分もミロの愛人を愛しているような感覚になっていた。ミロが選んだ最後の選択‥それは今の私に希望をもたらせてくれたと思っている。

桐野氏はあまりに有名だけれど、本を読んだのはこれが初めて。こんな風に女の気持ちを描写できることに感激。作者自身も好きになった。

・「シリーズ物と知らずに読みました
桐野夏生さんらしくてとても面白い作品でした。ミロの波乱万丈な生い立ちを彷彿させるような、自尊心の塊のような、それでいてどこか頼りなげでじつは女らしい女性。ミロはカッコいいです。

でも他の方のレビューを拝見すると、シリーズを読まれている方からは賛否両論のようですね。

シリーズ物と知らずに読んで正解だったようです。

ダーク (詳細)

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

・「読んでおくべき一冊
私はほんものの外交、政治といったことからは遠い野次馬的一読者にすぎないが、

本書で一躍流行語になった感のある「国策捜査」がいわば「考えない世論」の時代的要請に応える政治権力の発動とするならば、本書は相反して「考える世論」を構成する主体的判断者にむけた、著者の渾身のメッセージ、ということになろう。

通読した心証では、著者は全身全霊を傾けて日ロ外交交渉舞台裏の職務にあたり、本書の記述にも大きな嘘は無いように思われる(当然、私ごときに検証する術はないものの)。が、いずれにせよそれには主観的判断として、という但し書きがついてしまうのである。ことは時として当事者近隣者の主観からまったく離れたところで人を刺す。著者は鈴木宗男氏を「嫉妬に鈍感」と評している。じつは有能な著者自身も全く同じ陥穽におちた、ということではなかろうか。

この重すぎる問題についての感想はなんとも言いようがないが、一つ希望を持たせられるのは、厳しい取り調べ対立の中で成立した、担当検事との非常に深いところでの交流である。同時に、ロシア、イスラエル関連で披瀝される沢山の挿話も、これとは別に注目熟読に値する。

中央官庁関係でなくても、なんらかの意味で組織、政治、外交、情報に類することを扱わざるを得ない多くのひとたちが、一度は眼を通しておくべき著作と思う。

・「ずしっとくる読み応えの一冊
漠然と外交に興味を持っていたものの、初めて読んだ一冊。全体に渡って、いかに体を張って命をかけて(!)外交に望んでいるかがひしひしと伝わってきた。興味深かったのは、外務省官僚として、政治家に対してどういう態度で接し、政治家の言葉の裏をどう読んでどういう態度を取ってきたかの部分。こういうところは書いてくれたものを読まなければ一般国民にはわからない。

インテリジェンスに関わる過程で鍛えた記憶力での再現なのか、それとももともと小説家としての会話構成力の素質が備わっているのか、人物のやり取り部分(著者と政治家、そして検事)の会話部分はかなり読ませる。とても引き込まれた。これがこの本の醍醐味だと思った。

ただ、一部の官僚の言葉としてでてくる「国民には本当の識字率なし」の部分は、アンタがた外務省官僚が外交やってる間にこちら一般国民は違う仕事をやってるんだから当然じゃないの?と思う(もちろん有権者としてメディアからわかる範囲でできるだけ賢明な判断をする努力は大事だけど)。それに、外交のような逐一国民に知らせずに動向を知らせずにプロとしての信頼感を元に進めて行く仕事になればそうなるのはなお当たり前のことだ。ただ、それによって生じる官僚と一般国民の間の認識というのはなかなか埋められないから、むずかしいのだろうけど。(だいたい、この本で語られている佐藤氏のようなライフスタイルでは、家族だってまともに持てやしない)

 検察が官僚や政治家を起訴するためのハードルが、マスコミが騒ぐものさしまで低くなっているというところがあるが、これは最近医療事故関係の裁判についてある医師が書いた批判にも当てはまることだ。多くの人々が関わるゆえに一般人が監視・批判しなければならない物事でも、一方ではプロにしかわからないことは多い。こういう場合、一般人vs専門家で対立するしか道はないのだろうか?と考えてしまう。

 この本を前から読み始めるといろいろ著者に対して言いたい疑問点が出てくるが、それが見事に後半の検事と著者の取調べの会話の中で検事の口から言葉になって出てくる所が面白かった。これが著者の意図だとすれば結構計算されているのではないだろうか。また、検事がものさしを低くして一般国民の目線になっている、というようなことをあらわしているようにも思える。

・「上四半期最大の収穫の1つ
面白ですよ、これ。週刊新潮と週刊文春は宗男バッシングの急先鋒だったと思いますが、なんで佐藤さんの手記が新潮社から出るのか? そんな疑問もありましたが、ともかく引き込まれる手記です。外務省をめぐる一連の騒動の内幕が暴露されています。田中眞紀子さんの大臣就任で大混乱をきたした外務省が、無茶苦茶をやる田中外相に対抗するために、橋本-小渕-森政権で重用されていた鈴木宗男議員とそのラインに連なる官僚を持ち上げる。田中外相が追放された後は鈴木議員を切り、旧政権派の鈴木ラインである東郷和彦、佐藤優がパージされる。一連の経過はまともに名指しで「誰がどうした」、「誰が誰をどう評価していた」などと書いてあります。例えば、省内では佐藤追放に小寺ロシア課長が暗躍していたとか、駐露大使が「小寺は馬鹿です」と宴会の会場で公言したとか。また、官僚の生態の描写も出色です。「日本人の実質識字率は5%だからなあ」と言い切ってしまう外務省幹部。「これは国策捜査なの」(おいおい)と言い切ってしまう特捜検事。暴露ものとして十分に面白いのですが、佐藤さんの能力は大変なものだと思いました。ロシアをめぐる複雑な外交事情を明晰に分析して素人にも分かり易く説明してくれており、勉強になります。この能力は並大抵のものではありません。やはり彼は有能な情報官僚であったのでしょう。また、人間洞察も鋭いものがあります。面白いばかりでなくいろいろ考えさせられる本です。なお「機微な」という言い方が頻繁に出てきますがこれは外務省特有の言い回しなのでしょうか。

・「星★6つを付けたい面白さ!
ここ数年読んだ本の中でベスト1です。北方領土問題、ロシアやイスラエルという国はどういう国か、その国の人々はどういう思考をするのか、検察庁や外務省、裁判所、弁護士、商社、情報屋はどういう考え方・行動をするのか、拘置の問題、拘置所での取り調べはどういうものか、拘置所はどういう所か、裁判はどのように行われるのか、現実の外交とはどういうことか、歴史とは何か、国家と何か、鈴木宗男氏はどういう人か、ケインズとハイエクについて、ロシアやソ連の政治的意思決定プロセス、逮捕されたらどうしたらいいのか、政治的逮捕者の身の振り方、マスコミの報道に、それを受け止める大衆のあり方、死刑囚の実態……いろいろと教えてもらい、いろいろと考えさせてくれました。本書の内容がすべて事実かどうかはわかりませんが(著者の誤認もあるでしょうし)、非常に為になり、知的好奇心を満足させられました。是非とも、続編を期待します。

・「スパイ小説顔負けのノンフィクション
 以前“佐藤優”という元外交官のことを文藝春秋の記事で読み、衝撃を受けて以来、彼の告白が出るのを待ち望んでいた。 その記事の中の、あるエピソードを紹介したい。 ……ソ連崩壊前後、ロシア各地で軍隊と民衆が衝突。そのどれもが流血無しでは収まらなかったのに、たった一箇所、ギリギリまで対峙しながら、軍隊が銃口を下ろし、民衆との和解が成立した地域があった。 その影にいたのが、佐藤優だった。偶然かの地に居合わせた佐藤は、日本の外交官という中立の立場を利用し、軍隊と暴徒化寸前の民衆の両陣営を行き来しながら、粘り強く説得を続け、ついには和解にまでこぎつけてしまう……。 その無私の態度と優れた能力は、ロシア人から高く評価され、ロシアの中で最も信頼される西側の外交官の一人となる。 優秀な日本外務省役人の中からまで「10年に1度の人材」との賞賛が沸き起こったほどだった。 その佐藤が2000年までの日露平和条約の締結を目指し、鈴木宗男とタッグを組み、両国の和平に尽力しながらも、夢破れ、やがて個人ではどうしようもない政局のうねりの中に巻き込まれる様が、この「国家の罠」の中で述べられている。 徒手空拳で己の力を信じ、この社会に立ち向かわんとする全ての人は、この本から、何者にも負けない勇気を得ることができるだろう。

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて (詳細)

すべては一杯のコーヒーから

・「自分の価値観を変えた本
「巨人スターバックスに挑戦」という文字が目に入り、もともとコーヒー好きでもありましたし面白そうだなと思い読んでみました。松田さんと同じく僕自身も帰国子女でありカナダに住んでいたことがあります。アメリカ時代のエピソードには大変共感しましたし、同じ様な経験をしたことがあるので自分の経験とダブって親近感すら感じました。

タリーズはこの本を読んで初めて知りました。一度飲んでみようと、名古屋にあるお店に行ってみました。「アイス・ラテ」を飲んでみました。コクがあり、言葉では上手く表現できないけれどおいしかった!本を読んでから行ったこともあり、店に並べてあるカップなどを見て、「これはすべてアメリカから取り寄せてるんだな」と、心の中で考えながら店内ジロジロ見てしまいました(少し間違えると怪しい人でした)。松田社長は外見はもちろんだけれど、中身も相当「いい男」だと思います。是非一度会って話をしてみたいと僕は思いました。

・「とてもおもしろかったです
久々に一気に本が読めました。タリーズコーヒーのおいしさの秘密がわかったような気がします。

「情熱」には無縁で生きてきた私ですが、これからはもっとがんばろうと思いました。なんかつまんないって思ったら、また手に取ってるでしょうね。

・「この本は経営書ではなく体験記です。だから感動が直接伝わります。
読んでいただくと分かりますが、この本は経営書ではありません。自分の経験を素直に書き綴った体験記です。だからこそ人の心を打ち、その語りかけに心が波打つのだと思います。いろんな人に読んでもらいたいと本当に思う良い本です。何人かの人に薦めたんですが、ほとんどの方が読み始めたら止まらなくなって、1日~2日で読んでしまうようです。(忙しいのに止まらなくなって睡眠不足になった人が多い)最近、そんな本に出会いましたか?そういえばそんな本に出会ってないなぁ~って思ったらぜひお薦めです。

・「明日への道
この本には松田公太という人物の歴史・考え方・情熱が素直に読み手に染み込んでいく・・・そんな力がある。自分でもなぜだか理由はわからないがページを進んでいくと同時に一種の感動のようなものが私の中に生まれていたからである。本書を読めば必ず書き手の情熱が読み手にダイレクトに伝わる。これからまた明日がんばろう!という希望まで私はこの本からもらった。そしてタイトルの”すべては一杯のコーヒーから”ではないがきっとタリーズコーヒーでコーヒーを飲みたい!と思うであろう。

・「人柄の良さが伝わります
チャンスというのは努力によって作り出されるものですね。やりたいことに対してあらゆる方法を試して挑戦する、松田氏の行動がチャンスを彼に引き合わせたのに違いありません。現状に文句ばかり言っている人がいつまでも何もしないでチャンスがないのとは対照的です。行動していろんな状況に身をおくことでほしいチャンスにめぐり合う。最高のコーヒーの味を探すために渡米したり、銀座に店を開くために毎日通行人の数を数えたり、その活発振りがよく書かれています。そんな人に好感を持たない人はいないでしょう。誰もが彼のさらなる成功を祈るはずです。

母親と弟の死という悲しく悔しい場面もあり、最後まで読んでいると感慨深い気持ちにさせられる本です。とても読みやすく情熱のこもった内容です。同業を目指す人にも勇気を与えるものがあると思います。

すべては一杯のコーヒーから (詳細)

垂直の記憶―岩と雪の7章

・「凍よりお薦め
 人は命をかけて物事を成し遂げようとするときに、超人的な能力を発揮でき、生きている実感を得るのだろうか。そのような境地に達している彼は、最も幸せな人生を過ごしていると思う。 残念ながらとても真似はできないが、この本により、彼をもっと知りたい、応援したいという気持ちになった。凍もなかなか良いが、こちらのほうが、より山野井氏の肉声が伝わるので、その分感動がある。沢木さんはこの本を読まずに凍を書ければよかったのに。凍は星4つ半、この本は星7つ分の価値があります。

・「日本よりも世界で知られている人。
世界最強の単独登山家、山野井泰史さんの自著。ヒマラヤ・カラコルム山脈でのクライミングを中心に7章に分けて、その模様と心境を載せている。専門用語が多いので、クライミングの知識が少ない人が読むと苦労するかもしれないけれど、山野井さんの山に対する想いは通じると思う。

日本では「目立たず世間に出てこない登山家」世界では「他の誰も到達し得ない稀代な人」という扱い。もともと山野井さんが目立ちたくない人だから仕方ないんだけど、日本はこういう人をもっと取り上げた方が良い。イチローや北野武に匹敵する、途方もない人なのだから。

・「生還
ギャチュンカン北壁からの生還劇には、何度読んでも感動させられます。このレベルの登攀を続けている人は、大抵死んでしまい、生と死の狭間からの生還劇を直接本人達の言葉で語られているところが私の心を打つのでしょう。垂直の記憶を読むと、生還が運ではなく、泰史さん、妙子さんパーティの実力ということもよく分かりました。

・「壮絶な人生
私は、登山をしないので登山家の気持ちはわからない。この本を読んではじめなぜそんなに無理をしてまで山に登らなければいけないのだろうかと思った。でも、1つの事に打ちこめる彼をとてもうらやましいと思った。自分の人生を賭けて打ち込めるものを見つけた人間ははたしてどれくらいいるだろうか?

指を凍傷でなくこれからは、今までと違った登山になると思うが彼ならば密度の濃い人生を送ることだろう。

彼について書かれた「ソロ」も読んだが、作家がかいた「ソロ」とはまた違った本人の言葉でのこの本も面白かった。

・「もっともっと知りたい
一つ一つの文章は短く、また決して情緒的ではなく、従って「味わいながら読む」という感じではありません。しかし、ただひたすら、困難な登山に単独で挑むことを生きがいと選んだ山野井氏が、控えめに著した唯一の著作を読む機会に、私は巡り会えたのです。きっかけは、ゴルゴ13の名作「白龍登り立つ」の登場人物隣隊長が、「極地方など登山家の恥だっ!!」と喝破する一方で「世界に評価された日本人が二人…冒険登山家の山野井だ!」と認める人物。どんなクライマーなんだろう、と思っていたのです。口絵を飾る写真は著者自らが撮影した秀峰の数々。どれも息をのむほど美しい。凍傷で指を失っても、「登りたい!」という情熱は冷めることがない。私自身は決して登ることはありませんが、この世界をもっともっと知ってみたい、と思わされる一冊でした。

垂直の記憶―岩と雪の7章 (詳細)

市場原理が医療を亡ぼす―アメリカの失敗

・「医療改革での市場化の危険を警告
~ボストン在住の日本人医療作家(医師)李 啓充氏が米国の医療制度について詳述した最新作。医療制度は分かりにくいのが常だが、李氏の軽妙なタッチで一気に読めるストリー展開をベースとした米国医療制度の解説書決定版と言える。具体的な米国医療のトピックを解説するのだが、それは日本で現在議論されている医療制度改革という名のもとの医療の市場化につ~~いて鋭く警鐘を鳴らす意図がある。この書を読めば今の医療改革の市場化の行き着く近未来が見えるという意味で、日米の医療を対比し考える上でも貴重な資料となる。しかもトピックのストリー展開が話しとしても面白く、米国医療事情としての読み物でもある。米国の医療が知りたい人、日本の医療改革内容を知りたい人の必読の書であるし、医療物のストリーとし~~ても十分に楽しめる内容となっている。この秋、是非お勧めの一冊である。~

・「とくに政治家に読んで欲しい本
 「医の倫理」よりも「ビジネスの論理」が優先された時、どんな惨憺たる結果を招くかは、言わずもがなである。しかし、昨今「日本の医療に市場原理を導入せよ」という声が上がっているのだ。本書では、医療に市場原理を導入したアメリカの、空恐ろしい現実が切々と訴えられている。

 市場原理導入が医療にもたらすものは1. 保険料負担の逆進性 高齢者、低所得者ほど、高額な医療費を払わなければならなくなる。保険料は、企業での地位が高く収入の多い人ほど安くなり、企業のバックアップのない低収入の人ほど高くなる。つまり、今の日本と全く逆になる。その結果、無保険者が増える。本書の中に、無保険者が病気になったときの壮絶な借金地獄の例が紹介されている。2. 悪質な医療企業の増加「サービスの質を落としてでも価格を下げてマージンを追求する」悪質な医療企業が参入しシェアを獲得した場合、良質な企業も悪質な企業をまねないと生き残れなくなる。これを、「バンパイア効果」という。本書で、株式会社病院の恐ろしい犯罪例が挙げられている。3. 医療の質の低下営利病院ほど質が悪く、事故の率が多い4. 医療費が抑制される保証は無い市場原理を導入したアメリカでは医療費上昇が続いた。米国の製薬会社は市場原理の恩恵を享受する一方、米国民は世界一高い薬剤を購入させられている。

 本書では、混合診療が解禁されたときの危険性についても述べられている。特に政治家に読んで欲しい本である。

・「将来病気やけがをする可能性のある人は必読
営利企業の医療参入による米国の悲惨な実態、医療過誤を紛争のみで解決しようとする愚、医療費抑制政策の愚、EBMについての大いなる(故意の?)誤解など、日本で進みつつある医療政策と世論誘導の誤りを大胆に指摘した本。医療関係者にとっても必読書であるが、医療行政の失政を正すには、担当行政官はもとより、役人を突き動かす世論を形成するふつうの人々が、本書を読んで正しい知識を身につけることが重要である。医療に株式会社を参入させて自由競争とし、混合診療を推進し、医療費をさらに抑制し、過誤・事故を起こしたら当事者を袋だたきにしていれば医療はよくなる、と何となく信じて止まない人々こそ、本書の読者としてふさわしい。きっともう手遅れだろうけれど。

・「医療経済・政策の啓蒙書としては良書。
米国は日本と異なり、株式会社立医療機関が多く存在している。つまり、米国では医療は一般のサービスと同様に、営利活動の手段として認められている。ここでの「営利」とは、基本的に利益を配当性に分配する事を指していて、いわゆる「儲ける」こととは異なる点に注意が必要だ。また、米国には労働者を対象とする公的医療保険がない。これも日本とは異なる。医療経済学をある程度真面目に勉強すると、医療をレッセ・フェールにまかせては「市場の失敗」となる可能性が高いことは分る。にもかかわらず、米国では国民の殆どをカバーするような公的医療保険をつくれず、また医療を市場原理に委ね続けている。個々の医学領域では非常に優れた業績を発信する米国であるが、同時に国民に提供されている医療の質は極めて低いといわざるを得ない。米国の医療に社会保障としての機能はない。‥というような問題意識を持つには良書。

・「アメリカ医療批判から医療構造改革批判への展開
アメリカ在住の李啓充医師がアメリカ医療の実態を紹介するシリーズ3冊目。

これまではアメリカ医療の紹介にとどめていたが、本書から、日本の医療構造改革批判を展開。医療政策評論とも言える内容になっている。前作から引き続き、市場原理により運営されているはずのアメリカ医療における市場原理の矛盾をこれでもかというほど見せ付けられる。このアメリカ医療の問題点を踏まえて、アメリカ医療をモデルとして進められている日本の医療構造改革批判が展開される。 このアメリカ医療制度批判から日本の医療構造改革批判への展開は圧巻といえるほど、強い説得力を持つ。国内からの視点では決して得られない鋭い批判である。 また、コスト、クオリティ、アクセスの観点から医療制度の「常識」を解りやすく解説しているくだりもあり、初心者でも気軽に読めるのが本書がさらに優れているところである。 日米を問わず、医療制度に関心のある方にお勧めの一冊である。

市場原理が医療を亡ぼす―アメリカの失敗 (詳細)

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

・「個人的には『タイランド』も好みですが
『アイロンのある風景』順子に語る三宅の「火が消えて真っ暗になったら一緒に死のう」の後の「心配するな。火が消えたら寒くなって嫌でも目が覚める」が上手すぎます。三宅が火を優しさや希望の比喩として見てる(そして順子に対し言ってる)と考えると、これは三宅なりの生き方指導か。死にたいと思ってもやはり実際直面する死は寒く怖い。ここでの焚き火の熱は環境によるもの。つまり周囲から賜る希望。それが無くなればそのままじっと寝ていては寒い。だから自身の体内から火に変わる熱を得ねば命を維持できない。つまり起きる。比喩を解くと、環境から貰える希望など知れるから自分で希望を作らなきゃいけないということだろう。

『蜂蜜パイ』 本書、唯一の書き下ろしにして最良作。作家の創作への誠実な態度の表れですね。“淳平”が、いつもの村上春樹の分身的1人称“僕”にかなり近く、親しみを憶える。熊の“とんきち”“まさきち”の寓話も素晴らしく、何よりラストが良い。初期三部作の“鼠”や『ノルウェイの森』の“永沢さん”、『ダンス・ダンス・ダンス』の“五反田くん”や『国境の南、太陽の西』の“僕”たちの苦悩や内面の相克を全て当寓話の中に纏めあげ、しかもきちんと光が差し込んでいる。そこには、短編だからこそ出来る茶濁しや誤魔化しもあるのだろうけどやはりとりあえずであれ、こういうハッピーエンドは気持ち良い。様々な自身の分身らに答えを与えた、作者の優しさに満ちたひとつの到達点でしょう。

・「どの話にも何かしらの救済(希望?)が感じられるのが印象的
阪神大震災が何らかの形で関与している短編集。これまでの村上春樹の短編とはかなり違う趣ですが、どの話にも何かしらの救済(希望?)が感じられるのが印象的。6つめの短編「蜂蜜パイ」は、幸せでも不幸でもない話の終わり方なのですが、何とも言えない救済がそこにあります。そういう余韻に浸れる短編を久しぶりに楽しめたので星5つ。

・「死とむかいあう
100年の星霜に耐える大傑作。死、なるものと真摯にむかいあい、死についてのその時点での氏の回答が述べられているように思えました。それは恐怖でも、畏れでも、宗教でも、慰めでもない、得たいの知れないものですが、生に対する慈しみと共感を感じました。すこしだけ死ぬのが恐くなくなりました。

・「阪神淡路大地震の闇と心の闇が通じ合う孤独を抱えた人々の魂の再生の物語
この短編小説集は、阪神淡路大地震の闇と少なからず孤独な心が通ずる主人公達の魂の再生の物語だと私は理解しました。最後の「蜂蜜パイ」の淳平は西宮市夙川出身で早稲田の文学部を卒業した短編専門の小説家、つまりそれはもう一人の有り得たかもしれない村上さんの姿でした。本書は読者の人生経験に即して深いメッセージを伝えることが出来る優れた短編小説だと思います。

以下に6つの短編から印象に残る言葉を抜粋します

1.UFOが釧路に降りる 問題は、あなたが私に何も与えてくれないことです、と妻は書いていた

2.アイロンのある風景 私はこの人と一緒に生きることはできないだろう。この人の心の中に入って行くことはできそうにないから。でも一緒に死ぬることならできるかもしれない

3.神の子どもたちはみな踊る 潮の満干や、野原を舞う風や、星の運行や、そういうものは決して自分と無縁のところで行われているわけではない

4.タイランド 生きることと死ぬることとは有る意味では等価なのです

5.かえるくん、東京を救う ヘミングウェイが看破したように、ぼくらの人生は勝ち方によってではなく、その破れ去り方によって最終的な価値を定められるのです

6.蜂蜜パイ 何かをわかっているということと、それを目に見えるかたちに変えていけるということは、また別の話なのよね これまでと違う小説を書こう、と淳平は思う。愛する人々をしっかりと抱きしめることを、誰かが夢見て待ちわびているような、そんな小説を  

・「阪神淡路震災を背景にした短編集
雑誌連載時には「地震のあとで」という題名が与えられていた6編の短編を収録。ストーリー的なつながりはないが、いずれも阪神淡路震災が遠景においた小説世界が展開する。地震そのものや(本作の登場人物たちはみな地震そのものを経験したようには描かれない)、神戸を舞台にした作品があるわけではない。地震はあくまで遠景なのだが、それでも現実に発生した地震が作品の雰囲気に与えている影響は大きく、著者の従来の作品には見られない暗い陰を落す。それだけに6編目の「蜂蜜パイ」の前向きな未来を想像させるラストが印象的(ラストシーンが夜明けのシーンというのは「国境の南・・」や「アフターダーク」など、本作以降に発表された作品にも共通するのが興味深い)。阪神神戸震災と同じく1995年に発生した地下鉄サリン事件とその宗教団体についても、村上春樹は従来の作風と著しく異なるノンフィックションを出版しており、村上春樹の作品を見る上で1995年という年はエポックメイキングな年となるのであろうことが容易に想像できる。

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫) (詳細)

日本の真実

・「恐ろしい真実
日本の恐ろしい真実は、長年の間、「鉄のトライアングル」(政・官・財の癒着)によって、封印されてきた。本書は、トライアングルからオクタゴンへと巨大化した邪悪な利権制度の実態を暴き、それを粉砕するための方法を著述した日本論である。

著者が主張し続けている「平成維新」とは、比喩的に言えば、沈没する巨大なタイタニック号(中央集権制度)から、11の小さなボート(道州制)に乗り移り、消費者主体の国家に変貌し、再出発しよう、という主旨である。そしてこれを基に、政治や経済分野をはじめ、教育や愛国心に至るまで、数々の問題点を挙例し、「国民」を主語に、具体的な解決策を提案している。

巻末の「大前流日本再生プラン11か条」にある一つひとつの項目が、近い将来、実行に移され、高齢化社会に安心して生活できるよう、切に願いたい。

・「日本の行方
現在は7月11日、選挙当日。8日あたりから一部の大手書店の店頭やこのアマゾンから大前研一著「日本の真実」が消えていた。(発売~7月7日あたりまではビジネス書部門で9位の売り上げ。)「大前研一」で検索してみるといい。明らかに検索でこの本がヒットしにくいようになっている。(選挙後は元に戻るかもしれないが・・)

選挙にあたってこの本を読まれると都合の悪い者による書店への圧力であろう。今の日本の国家権力はここまでやるのか・・。

・「大前氏がタブーにも言及
大前氏がこれまでタブー視されてきた内容にまで踏み込んで言及。

マスコミからの情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考えられる力を身につけろと氏は主張されます。

日本の癒着構造もよくわかります。ファクトベースで物事を考えるコンサルならではの視点で危険をかえりみず日本の真実を暴露した大前氏に頭が下がります。

ちなみに、なぜか売れているはずのこの本、本屋では全く見かけません・・・。これも鉄のオクタゴンのせい?

・「そこに大人の日本が見える
 大前氏の本を読んでいると、彼の提言どおりに政策を実行すれば、日本は魅力ある国に確実に生まれ変わっていくという感じを受ける。

 彼の主張のうち私が重要だと思うのは、「義務教育を再定義する」というものだ。彼は義務教育を「社会人になるために必要な教育」と定義し、年限を18歳まで延長するよう主張する。社会人としてやっていけるだけの教育をすべて受けたという証明を18歳で出し、この時すべての国民を成人させるのだ。これは、自動車免許の取得も酒もタバコも選挙権もすべて18歳で解禁することを意味する。18歳ですべての国民が成人としての権利を得る代わりに自覚と責任をもたなければならないのだ。

 大前氏の提言は常に具体的で、一貫性があり、わかりやすい。彼の政策が実行された未来の日本はなんと明るく大人の社会に見えることだろう。

 しかし、こうしたすぐれた提言もその意図どおりに実行される機会はほとんどないだろうという絶望感があるのも事実だ。というのも、大前氏の提言は具体案だからそれ自体実行するのは難しくないだろうが、その背後にある哲学(「生活者重視。民を信じよ」)を大きく受け入れていかなければ、目先の利益をねらっただけの浅薄なものになると思うからだ。たとえば義務教育の改革は単に18歳まで強制的に学校に通わせればいいというものではない。理想的な社会人とは何かをきちんと定義した上で抜本的な教科改革を行う必要があるのだ。合わせて大学入試改革や教師の再教育なども必要になるだろうし、場合によっては自動車教習所なども文科省の管轄において学校教育に組み込む必要が出てくるかもしれない。本気でやるならそうしたことまで変えていかなければ、数年前の「政治改革」のように、まったく無意味な改革になってしまうだろう。

 そう考えると大前氏の提言を実行に移すには、単に理解ある議員が少数いるだけではだめで、やはり政党レベル(それも大政党)の受け入れが必要となるだろう。しかし、各方面の利益団体の顔色を窺いながら存続する既存の政党に、こうした度量があるとはとうてい思えない。やはり、大前新党を結成していただくしかないのか。

 それはともかくも、彼の政策提案本を読むと勉強になるだけでなく元気になる。まずはそのへんの効能を実感できる人を増やしていくしかない。皆、大前を読め。

  

・「ほんとうは明るい未来が私たちを待っているのに・・・必読の書
都知事。参議院議員。私たちは、大前を選出し、彼の政策を実行するチャンスがあった。しかし、私たちは、彼を選ばなかった。そして、日本は沈んでいった・・・。

この本を読んで、特に驚いたのは、次のふたつ。1.民主党が政権を獲れる可能性のあること2.北海道の地理的優位性、そして、繁栄の約束

民主党。小沢よ! 腹をくくり、「小さな政府」を政策の中心に据えろ! 「大きな政府」を目指す勢力と袂をわかつべきなのだ。国民が真に関心があるのは、日々の暮らしと明るい未来だ。

それに、北海道。その未来の明るさ。いいね、北海道は。きっといまの不況が一挙に解決しそうだよ。あの自然の美しさ。おりしも「優しい時間」が始まった。北海道に明るい未来を感じるよ。かつてわれわれの先祖が、開拓で北海道に足を踏み入れた。そこは未開の地で、夢のパラダイスだった。

評価は、☆10個。しかし、☆は5個までなので、5個。

なお同時期に、斎藤一人さんの「世の中はこう変わる!」を読んだ。不思議に結論は似ていた。商の天才・一人さんと知の天才・大前氏の日本の未来への結論がほぼ同じだったことにも、驚いた。

日本の真実 (詳細)

新 大学教授になる方法

・「誇りを持って自由に生きる
私は会社を辞めてから8年かかって大学教師の職を得ました。そんな私の知る限り基本的にはここに書かれていることは100%真実です。そして何より嬉しいのは著者がこの職業を本当に好きなんだということが確実に伝わってくる点です。大学教師は生活の資を得るための単なる生業でもなく富や権力を得るための手段でもありません。本当に好きでなければできない職業なのです。この本は大学教授になりたいサラリーマンのみならず、大学院生や大学教師にこそ読んでほしい1冊です。そして、この本がより多くの人にとって「誇りを持って自由に生きる」21世紀型の生き方を探るヒントとなることを願って止みません。

・「タイトルそのまま。
以前出した著書の改訂版とてもいうべき本。

非常に楽観的な内容のようにも思えるが十分な考察がなされており、大学教授を目指す方は必読の書でしょう。

…まぁ、別の問題点としてまだまだ日本の大学教授って怠け者でこれでいいのか?とも思いましたがね。

・「大学教授て大変なのね
 大学教授というと、雲の上の別世界の偉い方というイメージがありますが、本書ではその内情をわかりやすく解き明かしています。給料はそんなに高くなく、ステイタスだけで、休みは多いようで、実際は自己啓発のために時間を費やす。これって、本当に研究もしくは教育が好きじゃないと出来ないと思います。本書を読んでも、是非大学教授になりたいと思う方が増えるのなら、日本の将来はまんざら捨てたものではないと思います。

・「大学教授になる方法を学問にしようとしている
有名な「大学教授になる方法」(1991年発行)の後編と考えると間違える。内容は割りと新しいし米国の事情も詳しい。様々な角度から実証データも交えて大学教員市場の現状と将来を示している。自分の経験を述べるだけの類著は多いが客観的に大学教員の生態・特質を分析し、それを目指す若者や企業人に有益な指針を示している。しかし読み難い。テーマが総花的で一貫性がない。2年半に渡る連載物をベースにしたせいか。でも内容は補って余りある。

・「大学教授を目指す人の家族が読むべき
大学教授を目指す人が読むよりは、むしろその家族が読むべき本だと思う。周りの同級生が社会人として安定した収入を得る中、ひとり大学教授を目指のは、周りの支えと理解がないと難しい。特に、大学で職を得る前に結婚した男性は、相手方のご両親に読んでもらい、自分の立場を理解してもらうとよいだろう。

1点の減点は、前著と比べて理屈っぽさが増したから。

新 大学教授になる方法 (詳細)

質問する力

・「大前さんから学ぼう
 なんと大前さんは、幕末維新の我らがヒーロー坂本龍馬を斬ってしまったのです。司馬遼太郎さんからコメントをいただきたいところですが、もはやかないません。 私は、この大事件により、「定説」や「前提条件」を疑うことをしない従順なお人好しになってしまっていたことに気がつきショックを覚えました。

 本書では、豊富な事例をあげ、「質問する力」で諸問題を鋭く解剖し本質的問題の実像を明らかにします。ニュースのハシゴや新聞で、「わかったつもり」でいたのに、まさに「目からウロコ」の連続で、しだいに冷静ではいられなくなりました。本質的問題の実像がくっきりと見えた驚きは、話題の「マジカル・アイ」以上です。

 本書のタイトルに、「Inquisitive mind」がついていることが大切だと思います。 姉である大前伶子さんの著書『学校に行かなかったケンイチ』の一部が紹介されていて、これがとても面白いのです。そこに、筋金入りの反骨精神旺盛なケンイチ少年を見ました。

 大前さんは、本を読むのに要した時間の3~5倍を考える時間に充て、その本を自分の血となり肉としているとの記述に強く心が動かされました。さっそく「なぜ? なに?」ノートをつくり、自分の頭で考える習慣を身につけ「質問する力」を磨くトレーニングを始めようと思います。

・「前提条件を疑え
大前研一が好きな人も、そうじゃない人も一読の価値あります。

日本人の気質なのか、アメリカによる戦後教育によるものなのか、受験戦争によるものなのか、今の日本人の多くは答えを暗記して覚えることしかできなくなってしまいました。

普段の生活の中で、どれだけ疑問を感じずに過ごしているかを、認識できます。小学校からの英語教育などということが、どれだけ無駄なことなのか、わかります。

「尋ねよ、さらば開かれん」これです。

・「自分を研くことに日々精進。
質問する力とは物事をよく考えることから始まるものと思う。 しかし考えることは日々の努力が必要であることに違いはない。 とにかく洞察力を磨くことがこの本を読んでの一つの回答と思った。

・「所与の条件を疑え
 新聞などにもっともらしく書かれていると、つい「そんなものか」と思ってしまうことがよくあります。1400兆円の個人金融資産を持つ日本の国債の格付けは低すぎる、という見方に対して、大前氏は「政府の借金をなぜ国民の金融資産から返さなければならないのか」と問います。あたりまえのように思えること、どうしようもないと思えることのなかに、実は素直な気持ちで質問することにより見えてくるものがあることを、本書は豊富な事例によって教えてくれます。

・「個人が考えることが武器になる
今のわれわれが直面している正解のない問題に対する不安と心配を、どのような姿勢で捉えていけばよいか。 漆黒の闇を打破するための、一筋の光を感じるような一冊でした。氏の論法は、決して難解でも押し付けがましいものでもなく、常に個人が考えることの重要性を昨今の身の回りの事象を例に解くものです。

いわゆるマニュアル本やノウハウ本ではありませんが、そのようなものを求めること自体が本当に正しいか?という”質問する力”が沸いてくる名著だと思います。

質問する力 (詳細)
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