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▼あたしセレクション。−使い捨てれない本−:セレクト商品

コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫)コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫) (詳細)
村上 龍(著)

「うねり、燃える原色の匂い」「衝撃でした。」「感覚を刺激される」「あまりに強い個性」「私のいちばん本です」


コインロッカー・ベイビーズ (下) (講談社文庫)コインロッカー・ベイビーズ (下) (講談社文庫) (詳細)
村上 龍(著)

「これぞマスターピース」「鳥肌たちました」「癒しなど存在しない」「今だからこそ読んで欲しい小説」「村上龍のベスト」


限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1)限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1) (詳細)
村上 龍(著)

「どこにも居場所がない若者の哀しみ」「好みは分かれるが…」「難しく良い作品です。」「偉大なる通俗性」「これからロックの文学が始まった」


蛇にピアス蛇にピアス (詳細)
金原 ひとみ(著)

「衝撃の描写」「「痛い」」「一度は読んでみて下さい」「カスタマー」「衝撃的で新鮮だけど、こういう小説が「芥川賞」なの?」


AMEBICAMEBIC (詳細)
金原 ひとみ(著)

「おそらく最高の金原文学」「『皮膚文学』の集大成」「正気と狂気の癒合」「こびりついたオレンジ色」「「ふつう」で「ていねい」なすごさ」


ハイドラハイドラ (詳細)
金原 ひとみ(著)

「よく解りませんが・・・。」「ある意味グロテスク」「希望なんて、要らない。」「奇形で生きざるをえない女の子」「現代の若い女性の真の悩みが込められていそう」


イン・ザ・プール (文春文庫)イン・ザ・プール (文春文庫) (詳細)
奥田 英朗(著)

「読者に「自分にあるかも!」と思わせる本」「伊良部総合病院の神経科はなぜ空いているんだろうか?」「まさに怪作」「奇想天外な精神科医「伊良部一郎」」「大笑いしながら読んでください。」


ZOO〈1〉 (集英社文庫)ZOO〈1〉 (集英社文庫) (詳細)
乙一(著)

「乙一入門的短編集」「白乙一??」「頭を玄翁でぶっ叩かれた」「完全に引き込まれた」「奇才な本。」


ZOO〈2〉 (集英社文庫)ZOO〈2〉 (集英社文庫) (詳細)
乙一(著)

「叙述へのこだわり」「乙一 ZOO2」「不謹慎だけど…」「負けた〜」「二つで一つ」


A Child Called "It": One Child's Courage to SurviveA Child Called "It": One Child's Courage to Survive (詳細)
David J. Pelzer(著)

「読み続けるのは辛いけれど」「あまりの衝撃に夢中で読みきりました。」「gripping, teeth-gritting, heart-ripping」「Such an incredible story!」「感じることが出来ます。」


空中ブランコ (文春文庫)空中ブランコ (文春文庫) (詳細)
奥田 英朗(著)

「日常に疲れた人に」「医学博士の伊良部一郎はもしかしたら「人間博士」かもしれない!?」「単におもしろいだけではない」「前作よりもやわらかく」「マユミちゃんの意外な一面」


Good In BedGood In Bed (詳細)
Jennifer Weiner(著), Paula Cale(監修)

「どっちのおとぎばなしが好き?」「a book for all women」「人に愛されるということ、人を愛するということ」「自信を取り戻せる本。」「意外だった!」


2days 4girls (集英社文庫)2days 4girls (集英社文庫) (詳細)
村上 龍(著)

「静かな小説という印象」「予想よりは遥かに良い」「龍の小説は10%・30%・60%だ。」


In Her ShoesIn Her Shoes (詳細)
Jennifer Weiner(著)

「新しい人生に感激」「ラストが心に残ります」「期待通り」「姉妹の葛藤を描く」「Brilliant!」


娼年 (集英社文庫)娼年 (集英社文庫) (詳細)
石田 衣良(著)

「欲望とは何か」「夏に、せつなくなったときに」「不思議な物語」「うっとリ・・・します。」「大人の恋愛物語」


The Little PrinceThe Little Prince (詳細)
Antoine de Saint-Exupery(著), Richard Howard(著)

「信じられないほど美しい英語」「全ての子供たちへ、そしてすべての子供のような大人たちへ・・・」「やっぱりいいと思います」「別の読み方でふれる王子さま」「優しく暖かい世界へ誘ってくれる本」


ララピポ (幻冬舎文庫)ララピポ (幻冬舎文庫) (詳細)
奥田 英朗(著)

「いろんな意味づけが出来るが、純粋に面白い。」「爽やかな読後感」「吸い込まれるように読み終わりました。」「爽快感は最後に。」「連鎖するおもしろさ」


▼クチコミ情報

コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫)

・「うねり、燃える原色の匂い
「全力だ!」村上龍のエネルギー溢れた作品を読むと、そんな気分になる。途方もなく広がる想像力と、ゴーギャンの絵が更に激しくなったような、原色の生物の息吹と色と匂いが立ち上り、句読点すらもどかしいように疾走する文体は洗練という形とは遠い。無論、それが村上龍の最大の武器である彼の生理であり、力強い才能のコアだと思う。

10年以上前、初めて「コインロッカーベイビーズ」を読んだとき、僕は細胞が叫びだすような興奮を感じた。コインロッカーへの置き去りの子供、崩壊した東京、破滅へと向かうストーリー。現実化すると単なる破滅的なテロリズムだろう。でも、閉塞から抜け出せない今の日本に少しでも元気を出すためならば、

この飛び切り危険でパワフルな虚構に引き込まれてもいいと思う。元気を出すためも、鬼才村上龍が若干30歳で描いた本作が多くの人に読まれることを望みたい。

・「衝撃でした。
衝撃的な作品でした。解りやすいエンターテイメントを好んで読んでいた僕には、最初の100ページを読むのに三日費やすほど体力の要る小説で、上巻はほとんど意地で読みきりました。ただ、下巻に差し掛かってからはどういうことか休まず一気に読まされました。マシンガンさながらのディティールの乱射が、この一貫した危うい感じのリアリティーとなっているのか、受け入れてみるとどんどん読み進められました。(疲れることには変わりありませんが)80年代から物語はスタートしていますが設定はどこか近未来的にも写り、「破壊と自閉」のイメージは僕の想像力の限界を超えたところに刷り込まれ、大袈裟かもしれませんが、ラストでは軽く眩暈がするような感覚でした。貴重な読書でした。

・「感覚を刺激される
冒頭からトップギアで走りだす、文芸的近未来小説。村上さんの小説作品は半分弱くらい読んでいますが、これを越える作品は知りませんし、私が読んだ日本文学の中では、間違いなくトップクラスの刺激的作品です。

精神的にギリギリのところに所在する登場人物の独白のような言葉と、精緻な性的・肉体的・感覚的描写の連続に、読者の感覚が犯されていくような錯覚があります。決して、感情移入するのではなく、感情浸食されていくような、そんな小説です。

できればもう少し長い小説にして欲しかったという思いはありますが、クライマックスを過ぎても、ひたすらダラダラ続いてしまう作品よりは遙かにまし。少し足りない位で止められた作者のセンスにも、敬意を表したいと思います。

・「あまりに強い個性
凄く面白く、エネルギーに満ち溢れた小説です。そのテーマを一言でいえば「破壊」ということになると思いますが、単なる負の力から絶対的な肯定へと昇華していく疾走感はすさまじいものがあります。その眩しすぎて目をつぶってしまいたくなるほどの強烈さは、人によっては、生理的にまったく受け付けることができないこともあるでしょう。が、一度、手にとって目をとおす価値は充分ある小説だと思います。ちなみに、「アキラ」よりも前に出版されていますので、「アキラ風に処理した」小説ではありません。村上龍の完全なオリジナルであり、村上龍の思想・世界観が最も忠実にわかりやすく表現された小説だと個人的には思っています。

・「私のいちばん本です
この本は語り尽くせない思い入れがあります。私が読書に目覚めるきっかけとなった唯一の本です。村上龍の作品では後にも先にもこれ以上のものはありませんでした。何度読み返しても、また感動してしまうんです。この感情はなんだろう??感動させようとしている話ではないと思うけど、感動してしまうんだ。見事に。

最も「ガツーーーン!!」ときたのは、キクという主人公が走ることに目覚めるシーン。私自身運動の喜びを知らない人間だったのに、まるで自分の体が目覚めたように、ビリビリと伝わってきました。その描写がすばらしかったです。他にも運動の描写がたくさん出てきます。どれもこれも体が震えるほどの感情を呼びました。ほんっとにこれ以上の本はないと思うんだけどなあ・・・。

でも、友人に貸したり、プレゼントしたりしたけれど、ちょっとキツイっていう人も多かったです。設定が、なさそうで、でもリアルだし、におってきそうな描写が多いです。テーマも重いです。村上龍独特の文ですよね。匂ってくる感じです。重油の匂い、新宿の公園の匂い、ワニの匂い、アネモネの匂い、ハシの匂い・・・それぞれ匂いを感じます。

コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫) (詳細)

コインロッカー・ベイビーズ (下) (講談社文庫)

・「これぞマスターピース
むらの多い村上龍の最高傑作。圧倒的なストーリーテリングには感嘆するしかない。彼の持つ資質が最高に良い方向に花開いている。それにしても ここで頂点を極めた村上龍は その後 長い長い低迷に入っているというのが 小生の偽らざる村上龍感である。是非 これを乗り越える作品を書いて欲しい。

・「鳥肌たちました
村上作品特有の、どろどろとした喉の奥に絡み付いてくるような文章はもちろん。この作品の評価すべきところは主人公2人の距離間でしょう。上下巻一気に読めば分かりますが、始めはキクとハシの描写が長く間隔を置いて書かれていますが、後半部分に向かっては互いの描写が知らず知らずの間に入れ替わり村上ワールドが広がっています。2人についての描写の間隔を詰めていくことで、そこに2人の距離感がリアルに生まれてくるのです。本当に、それに気がついたときは鳥肌が立つ勢いでした。「ライン」でのリレー式な描写も興味深いですが、『距離感』がこれほどリアルに浮き立たせるなんて本当に素晴らしいと思います。

・「癒しなど存在しない
 コインロッカーに捨てられた、という傷を持つキク。しかし彼は傷を癒してくれる人や共同体を探したりはしない。それらは、傷を癒したようにごまかしたり、束縛や圧迫による新たな傷を作り出すだけだからだ。だから彼は東京を破壊する。トラウマから自由になるために。自分を傷という檻に閉じ込めようとする世界を、人を、全てのものを破壊する。 違った方向から自由を求めるキクとハシが最後に重なるその瞬間までが鮮烈に刺激的にシャープに、圧倒的なスピード感で描かれている。 純粋で無垢な、そして美しく力強いエネルギーを感じて、掴み取れ!

・「今だからこそ読んで欲しい小説
キクとハシはどちらも能動的な存在で、自分の中の衝動などを満たすためには自分で動き、また世界とそれぞれの形で関わっていくのが最近の小説によくある無気力的な人間像と一線を画しているように思えます。ラストはそれまでの緻密さに比べ、比喩的な印象を与えますが、それにより作品が説得力を失うと言うことはなく、寧ろ強まっているように思えます。単行本のほうでは、あとがき(?)として村上龍氏の言葉が収録されているのでそちらを読むと、より楽しめると思います。

・「村上龍のベスト
コインロッカーに捨てられた二人の赤ん坊が拾われ、育っていくにつれて近未来的世界で起きる様々な出来事。「母なるものの喪失」そこから始まる彼らの冒険は現代の日本の小説の中でも異色の出来になっており、村上龍の最高傑作と言っても過言ではないとおもう。うん、たぶん結構かなり面白い。「本を読むのは好かん」と言う14歳がいたらまず本作を読んでみるといい。本作を面白く感じたら村上龍の他の本やエッセイを読み進めるなり自分で他の本を探すなりするといいとおもう。それで何か物足りなく感じたらジュネや谷崎などを読んでみると良い。

コインロッカー・ベイビーズ (下) (講談社文庫) (詳細)

限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1)

・「どこにも居場所がない若者の哀しみ
セックス、ドラッグ。こういった描写が、これでもかというくらいでてきます。主人公は、世界が見えるがために、世界の真理といったものがみえるがために、このような即物的な、ある意味究極的な快楽世界に行き着くしかなかったのかもしれません。それでも、主人公はその世界にどこか疎外感を感じています。まわりで起きていることは理解できるのだけど、没頭することはできない。居場所がない。見えるがために、居場所がないのではないでしょうか。その哀しみが、作品全体を包み込み、感動の波となって迫ってきます。表面的な、目を背けたくなるような部分ではなく、その背後にある深い哀しみが、この作品を傑作にしているのではないでしょうか。

・「好みは分かれるが…
SEX、麻薬、ロックなどの過激な描写が描かれる中、そのことに関して妙に淡々とした印象を受ける。その上で、若者の持つ虚無感、破壊性を独特の詩的世界を描く。これがこの小説の「透明感」なのだろう。私自身が印象的なのは、主人公の主観で出来事を見ながらも、周りの状況が妙に客観的に描かれている文体。そのように書くことで若者の孤立感が表現されているような気がする。印象に残る作品でした。

・「難しく良い作品です。
一見非常に内容がわかりづらく何をいいたいのかさっぱりわからない。ということが心に残った方はぜひうしろにある解説を読む事をすすめます。

最初から頭に引っかかっていたのが解説を読んではっきりしました。たしかにこれはリュウから見た視点で書かれているように思えますが、問題なのはそんなことではなくて描写が現実感をおびてかかれていない、ということです。まるっきり解説と同じですが、泣いたり、暴れたり、そんな場面が幾度となくでてきて、しかしそれはどこか静けさがある文体で。この作品はなにが言いたいのかといわれたらおそらく、若者の(人間全般といってもいいのかもしれませんが)現実が迫ってくるような不安。それをリュウが薬をして徐々に精神を壊されていく、という一種の比喩表現で表されているのではと思います。文章の中に隠されている本当の意味が何なのか。一貫したストーリーに言いたいことを隠す。それを見つけるのが本当の読書で、この作品は特に読み取るのが難しい良い作品だと思います。私の言っていることはまさに解説と同じ意味なのでこの本をよんで解説と読んだ自分の意見と照らし合わせると面白いと思います。

・「偉大なる通俗性
村上龍の最大の欠点は通俗的なものに振り回されてしまうことである。おそらく、現代の流行に敏感すぎるからなのだろうが、この欠点は下手をすると文学的な価値を無効化してしまうことがある。しかし、彼の持つ感傷的な性質とうまく結びつけばこの欠点はダイヤモンドのように光り輝く。あらゆる作品の中でも最も美しい輝きを放ったのが『コインロッカー・ベイビーズ』であり、そしてこの『限りなく透明に近いブルー』である。

この作品の凄みは過激な暴力と性が氾濫する作品の中できわめて純度の高い感傷性を成立させていることである。まあ、ありていに言ってしまえば退廃的な青春小説を作り上げたわけである。こういうのは簡単なことではない。天才しかなしえない偉業である。この作品を読めば、おそらく村上龍の素晴らしさが解るだろう。

ただ、天才型は得てして暴走してしまうことがあり、その代表例が『希望の国のエクソダス』なんであるが。天才型は努力型と違ってムラっ気がありますのでご注意を。

・「これからロックの文学が始まった
この本ほどロックが上手く表現された文学はそれまでなかった。この本の後ロックが出てくる本は数多く現れたが、僕が文学と思えるものが現れるのは村上春樹まで待たねばならなかった。ロック音楽の曲、アーティストが描かれているシチュエーションの設定が本当に上手く、ぴったりの表現で感心させられる。ドアーズの「水晶の舟」の会話やおまわりさんに係わるツエッペリンの話など当時の世間と個人の情念の世界の間に揺れ動く僕の心にぐさりときた。何度読んでも名作だと思う。

限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1) (詳細)

蛇にピアス

・「衝撃の描写
週刊文春の対談で金原ひとみさんVS阿川佐和子さんでこの芥川賞受賞作品についてお2人が世代を超えて和やかに談笑されていました。

ただ、その小説の内容が阿川氏に言わせると過激だということと、金原さんが小学校4年くらいから登校せず、自宅で勉強し、ロス滞在中に小説を読み漁ったこと、中・高校も「特に行く必要も無し。」という寛大な大学教授でもあるお父様のもと、のびのびと執筆を自分なりに続けていた彼女に興味を持ち、最年少受賞者と並び称された「蹴りたい背中」よりもこちらをはやく手に取るべきだと本屋で選択し、旅行中に一気に読みました。男性の筆を思わせるような一見乱暴な言いまわしの裏側に女性の鋭く感覚的な内面にある奥深いものが徐々に現れてくるようでした。カレシと同棲中でもチラシの裏にメモをとり、食事をするように言葉をつむいでいた証拠とでもいうのでしょうか?

文章を変に難しくいいまわしているわけでなく、若者言葉も書きなれていて、その反面、なぜか世代が違う人にも理解させる力を持っていて、読者を疲れさせない底力がありました。冒頭からそこはかとなく匂わせている最悪の結末に引き込まれるようです。この人の書くものがこれから楽しみです。

金原氏は、学歴もなにも関係なく、自分で面白くないならそこにいる必要なしと判断できるようで、包み隠さずリストカットや不登校の過去を淡々と話されていました。理解者であり小説の指南役でもある父親から「もっと恥ずかしいものを書け。」と放たれた渡り鳥のようです。

文章に携る職(方向)に進みそうなのは、彼女自身のもともと持っている好奇心かもしれません。

・「「痛い」
「痛い!」そう思った。最初は肉体的な痛みから始まり、最後には精神的な痛みに変わっていった。現代社会において「自分は生きているんだろうか?」という漠然とした不安。アニメやゲームに代表されるような「仮想現実」のほうが、自分が生きている「現実」より「リアル」であると感じる人も多いのではないか。そして、この物語の主人公は自分を傷つけた時に生じる痛みによって生きているという「リアル」を感じていたのだと思う。また、主人公は舌にピアスをあけることによって主人公の恋人にほめてもらおうとしていた。認められようとしていた。「誰かに認められたい」という思いは人間ならば誰しもが持つ感情だと思う。でも誰も自分を認めてくれない。そういう絶望感も現代人にはあるのだと思う。そしてこの物語の主人公にもそれがあった。そして恋人に認められたくて、舌にピアスをあけた。恋人はそれを「かっこいい」と認めてくれた。でも、その努力が無になったときの主人公の「喪失感」は計り知れないものがある。「認められるにはどうしたらよいか?」という問に評者は答えることはできない。ただひとつだけいえること、それは、「自分」というものをもってほしいということだ。「自分」を主張してほしい。そう切に願う。

・「一度は読んでみて下さい
いわゆる”綺麗”な純文学が好きな人達には徹底的に叩かれるタイプの作品であろう。過激な性描写があからさまに繰り返されるため、嫌悪感を抱く人がいても当然だ。実際、私自身も数ページ読んだところで少し嫌悪感を感じ、「芥川賞受賞という肩書きがなければ手に取るタイプの作品ではなかっただろうな…」と思いながら読む手を休めてしまった。

しかし、ここで描かれているのは紛れもなく現代の若者文化のひとつの形である。社会の暗部に生きる人達を題材として取り上げているところが味噌だ。「ギャング」と「パンク」と「ギャル」、これが本作のキーワードであろう。寂しさを紛らすために互いに寄り添いながら生きている彼らの姿がとても痛々しく描かれている。若干二十歳にも満たない作者がいかにして、このような世界を想像し得たのか、私には計り知れない。

陰湿な世界の中にも得体の知れないパワーが見え隠れする作品である。批判するにせよ、賞賛するにせよ、一度は読んでおいて損はないと思う。ちなみに私は後者派です。

・「カスタマー
私はまだ全部「蛇にピアス」を読みませんですがその読んだパートは面白いですね。「蛇にピアス」のテーマは愛と若者の生活です。アマはルイが大好きです。その強い愛は怖いです。ルイは女性です。ご自身を知りません。それから猛省をします。だからパンクのスタイルが好きです。ルイは色々な人心を捉える事がほしいです。例えばアマとかマキとかシバです。私はその本が好きです。「蛇にピアス」の叙事は珍無類と躍如です。例えばルイの舌ピアスの場面とかアマの大立ち回りの場面はとても地の文です。私はその本のテーマも好きです。「蛇にピアス」の愛のアプローチは違います。ほかの本は綺麗な艶物とか無情な艶物がありますが「蛇にピアス」の艶物は変な艶物です。

・「衝撃的で新鮮だけど、こういう小説が「芥川賞」なの?
正直言って、面白いが難しい。私には、別世界。このような世界が存在するのか。もしも作者の実体験(或いはそれに近い現実)をベースに書かれているのなら、衝撃的かつ極めて斬新。もし、フィクションなら加えて素晴らしい想像(創造)力。いずれにしても、一度先入観を全て捨てて、読んでみる事をお薦めする。但し、老婆心だが、教育上、小中学生が読んだとしたら少々問題では。学校の国語の教科書に採用されれば大喝采。文部科学省の見解は?又、こういう小説が「芥川賞」なのか。その点でも考えさせられる。私の常識が間違っているのだろうが。

蛇にピアス (詳細)

AMEBIC

・「おそらく最高の金原文学
異常なほど短時間で読み終えた作品。単にページ数が少ないからでは、ない。「AMEBIC」を訳すると「曲芸的ナントカカントカ…」とやたら長い説明がつくようですが、この作品を読んでもらえれば理解できると思う。世の中に無関心なようでいて実は誰よりも世の中に自分に対する理解を求めている主人公を描くのが、類を見ないほどに巧い。この作品に描かれている世界は、限りなく100パーセント近くこういった状態に陥ったことのある人間にしか書けないし、理解できないものだ。断言できます。カスタマーレビューを見ると、この作品に対して「摂食障害」を取り込んだ作品だと書かれているものも多いようですが、金原さんは断じてそれをテーマにして書いたのではない。とにもかくにも、「理解、理解、理解…」それのみを欲する人間は、どういう状態にもなりえるという意味で、その一つとして「摂食障害」のような状態になってしまっている状況を描いたのだろう。何度読んでも圧倒させられる。「蛇」や「アッシュベイビー」を遙かに超えたものがある、と思った。

・「『皮膚文学』の集大成
「裏返った脳を覆うアメーバ状の皮膚」といった書いていて自分でもよく意味がわからない言葉をレビューの一文目に起きたくなるような気分にさせてくれる小説。僕は金原ひとみの書く小説を「皮膚文学」と勝手に名づけているんですが、そういう感覚が研ぎ澄まされた集大成的小説だと思います。現在での金原ひとみの最高傑作だと思います。

金原ひとみはあるインタビューで村上龍の『コインロッカー・ベイビース』に深い衝撃を受けたと語っていて、その村上龍のグロテスクさと、金原ひとみがよく観にいくという劇団「大人計画」の笑いの要素が上手く混ざり合った物語や場面を世間で下品だと捉えられがちな語彙や記号を駆使した過剰な感情描写を吐露していく饒舌文体で描いています。この文体がクセになるんです。

しかも、この『AMEBIC』は「錯文」という作中作を使ってメタフィクショナルな仕掛けもあり、文学的な愉しみも味わえます。

・「正気と狂気の癒合
いきなりラリってる文章から始まり、このままかと思ってたら正気の文章にこれは主人公が錯乱と正気を繰り返している日常を示す錯乱したとき、常に何かを書きとめているもう1人の自分外出のタクシーに乗る度に、彼氏の婚約者のフリをするのも自分食べ物の摂取を1年前から止め無欲になってきた筈なのに彼女のなかで分裂が始まってゆく。人間は本当にしたたかで自己をコントロール出来そうに思うが大切にしないまま生きてゆこうとすると反乱に見舞われる。この反乱に見舞われた女がこの本に息ずいている。ラリっている文章に見えながらも、正気の兼ね合わせがラストの狂気と正気の融合に旨く構成されている。

・「こびりついたオレンジ色
基本的には「アッシュベイビー」と同じような気がする。つまり求める愛。求めて求めて求め続ける愛。求め続けるうちに、自分を見失っていく様子がわかる。すごく痛い愛だけど、これはわかる人にはものすごくわかる。美しくもないし、一人よがりと言えば一人よがりだし、身勝手な愛だけど、こういう方法でしか人を愛せない人もいる。わたしもその一人だからして、彼女の気持ちがとてもよくわかる。気持ち悪くなるぐらいにどろどろに、自分を追いやる。野菜ジュースのオレンジ色が心に痛い、一冊。

・「「ふつう」で「ていねい」なすごさ
 なんて「ふつう」で「ていねい」ですてきな小説!

 あまりにもコントロールされすぎている「錯文」の部分は鼻につきかねないけれど、それだってむしろ魅力に変えられるだけのていねいさが、この作品にはある。

 食物、特ににおいに対する嫌忌の感覚への描写が持つ力は、その対象がイタリー料理、オリーヴオイルといった「女性好み」のものであることも合わせて、他の日本の「小説」の中にありうるそれを大きく超えてすてきに強い。

 本作はわかりやすいキャラクター、切り取りやすいあらすじ、目を引くトピックから離れ、ぐっと小説としてふつうになった。赤裸々な自己やみずみずしい感性といったはずかしい言葉とともに語らなくてもすむだけのものを、早くもこの作家は生み出しつつある。

 作家本人の姿や言葉、取り扱いは、この小説を取りまくファッションに過ぎない。もちろんそれだってすごくきれいだから、この小説のカヴァのように作品を引き立てる役には立つのだが。

 だからカロリーメイトを友とする少女たちよ、この作品をどこか人前でタバコ片手に横目で読むことからはじめなさい。 泣かなくたっていいし、あらすじが書けなくたっていいんだよ。 主人公になったつもりにならなくてもいいんだ。 どこから読んでも、読み終わらなくてもいい。 そんなふうに扱っても、きっと誠実に応えてくれるだろう。

 この作品はまさにあなたがたに向けて、きちんとていねいに書かれたふつうの小説なのだから。

AMEBIC (詳細)

ハイドラ

・「よく解りませんが・・・。
36歳の妻子ある身ですが、ふと女心が知りたくなり、この本を読みました。小説なんぞは、最近3年間で1〜2冊程度しか読んでおらず、読み始めても途中で止めるか3ヶ月程度かかって読み終える私が、この本は、2日で読み終えてしまったことに自分で驚いています。何故か?よく解りませんが、やはり主人公の心の描写が鮮明なことと、私(中年オヤジ)には予測できないストーリー性だったからと思います。正直、松木との馴れ初めには、憤りを覚えましたが、”こういうのもアリ”なんだ!?とビックリしたのと同時に、イマドキの若い女性は、こんな願望もあるのかな?と三姉妹を持つ父としては考えさせられました。あと、奴隷化している主人公には腹立たしい事と男心の解釈に間違っている女心が非常に歯がゆく感じられ、気分を害するシーンが多いですが、読み終えると女心を少しは理解できた気がして不思議な感覚で、著者の別の本も読みたい気持ちになりました。

・「ある意味グロテスク
今回は金原ひとみの作品にしては、露骨な性描写や暴力描写などが全くなく、まあまあ抵抗なく読めると思う。ただ、ある意味、この作品はグロテスクだ。精神描写の細かさなど、かなり美しい文体で、これまでの金原がもっていた勢いで読ませる。でも、読んでいて怖くなった。主人公の早希はほとんど奴隷です。彼女の思考が怖い。そして、最後の結末部分はもっと怖い。こういう小説は、金原ひとみの中では初めてだと思う。感情を廃止し、歯向かうこともない主人公。「噛み吐き」の描写は、本当に異常だと思った。ただ、自分的にはそれまでの暴力的な作品のほうが好きかな

・「希望なんて、要らない。
過食症ではなくて、正確にいうと、 チューイング(噛み吐き)を伴う拒食症の女性の話。

読んでみて…いろんな意味で衝撃的。さるきちには、ひどく、しっくりとくる作品だった。

それは、描かれているのが、まさにさるきちだったから。

彼女の心情、行為には共感できる部分が多かった。

“例の行為”、その描写はかなり忠実で、 経験者か?と疑いたくなるほど。

他の読者のレビューを見てみると 「気持ち悪い」っていう感想も多かったんですが、それも納得です。

残念ながら、エグくてね、 同業者のさるきちだっておののいてしまうほど。

ストーリーは、 同棲しながらもそこに愛情はなく、 「仕事」という名目だけで つながっているカメラマン、新崎に

「愛された」くて、

「捨てられたくな」くて、

「傷つきたくな」くて、

拒食症を武器に 新崎の被写体となっていた早希。

ところが、あるライブで バンドのボーカル松木に一瞬で恋に落ちる。 それは、彼女にとって劇的な出会いだった。

松木とのつきあいが始まる一方で、 彼女のココロは揺れ動く。

純粋に愛してくれる松木。 「SAKI」というアイデンティティを与えてくれる新崎。

物語は、決してハッピーエンドで終わるわけではない。 救いがないことに対して不満の読者もいよう。

しかし、さるきちはよかった、と思った。 もしも希望を持たせるような終わり方であったならば、 リアリティーに欠けていたと思う。

それまで早希と自分を重ね、夢中になって読んでいたのに、 一気に熱が冷めていただろうと思う。

ここまではっきりと摂食障害を描いているのならば、 ちゃんと責任を持って突き放して欲しい とさるきちは、思ったのだ。

そして、金原ひとみは実際そうしている。 さるきちの、歪んだ期待を裏切っていない。

希望なんて、この作品の結末には、いらない。

断っておくと、 さるきちは現実世界において摂食障害に苦しむヒトたちに 希望がないと言っているのではないですよ。 さるきち自身もそう、きっといつかは治るだろうって、 希望を持ってるし、そう信じています。

ただね、小説という虚構の世界においては 妥協策で終わりにしてほしくなかったのです。

ハッピーエンドはこの小説の長さ、内容では 短絡的すぎるでしょう。

次回作でそれを叶えてほしいと、 金原氏の今後に期待するのでした。

摂食障害、もしくはなんらかの依存症を抱えるヒトには きっと興味深く読める作品だと思います。

図書館で借りた本だけど、手元に置いておきたい さるきちにとってはそれほどまでの なんていうか、貴重な本。

・「奇形で生きざるをえない女の子
虚飾の世界で生きるモデルの女の子が、業界で勝つには自らの身体を奇形にせざるを得なかった。世間に秘密にしているカメラマンの彼氏との同棲も、その彼氏にも秘密にしている噛み吐きも、彼女そのものが存在を許されていなかのようだ。そんな彼女が拒食を治していこうとする男と知り合う。彼女に対し食べる生活を求め、彼女との生活に将来を見せる男。ざらざらした彼女を満たすかのような男が登場したにも関わらず、彼女は元の場所に戻ってしまう。噛み吐きが止めれない女の子をそのまま受け入れる、彼女を治そうとはしないカメラマンの男のもとに。この本は137ページで決して長い作品でないのに、読み応えがある。主人公早希の弱さに切迫感は、この生き方でしか生きれない哀しみを読後静かに伝えてくる。

・「現代の若い女性の真の悩みが込められていそう
と思ってしまうのは、私がオッサンだから?でも面白いですね。ここまで自分をさらけ出してしまう著者は既に冷徹な目を持って人生を歩んでいる気がします。なかなかこの若さでできることではありません。次作はもっと大きな舞台で暴れまくって欲しい。

ハイドラ (詳細)

イン・ザ・プール (文春文庫)

・「読者に「自分にあるかも!」と思わせる本
自意識過剰、神経過敏な現代人が、ちょっと踏み外すと、ここに出てくる「患者」になってしまう。

思わず読んでいて「自分を気をつけなきゃ」と思わせるような、ちょっとした現代人の心の狂いを、おもしろおかしく指摘してくれます。

ぜひ現代人のみなさんに読んでほしい。この本を読めば、自分の心の病が重病になる前に気づけるかも。

・「伊良部総合病院の神経科はなぜ空いているんだろうか?
 まさに「患者さん、いらっしゃーい!」の世界だ。本書は、第2弾『空中ブランコ』で第131回直木賞を受賞した奥田氏の「伊良部シリーズ」の第1弾。順序を逆にして読んだせいか、こころなしか伊良部一郎神経科医の奇形な言動ぶりにはまだ「抑制」が効いているような印象である。それにしても、本書で扱われている神経的・精神的症状に悩んでいる人は多いのか、「なるほど、そういう症状もありそうだ」と思えるものばかりであった。

 精神科医は患者の症状を丹念に聴きそれに応じた処置を講じるのであろうが、この伊良部医師はカウンセリングを全く信用しておらず、患者には想像もつかないきわめて大胆な治療法を自ら実践してゆく。そこに「迷い」や「躊躇」の念は皆無である。「伊良部の精神科医も天職だ。人を深刻にさせない天性のキャラクターだから」(278頁)という文章にはまったく同意する。この医師と付き合っているうちに、自分が抱え込んでいると思っている症状や悩みそれ自体が、もしかしたら「馬鹿らしい」とみなせるようになるかもしれない。それを伊良部医師が「計算」しているとはとても思えないのだが。

 さて本書も第2弾と同様に計5作品が所収され、多様な症状をもった患者が「地下1階」の神経科を訪問する。総合病院であり外装はそこそこ綺麗なのだから、本来は患者でごった返す状況が予想できるはずだが、この神経科を訪問する患者数はきわめて少ないようだ。訪問患者もあらかじめ選抜されているかもしれない。伊良部医師と対等に付き合うだけのエネルギーと覚悟が要求されているように思うからだ。ここを訪問した時点で症状はすでに治っているんだろうか。本書では伊良部一郎医師の素性や性格が克明に描かれており、かえって「逆読み」効果によって彼により多くの親近感を抱くことができた。伊良部医師を生み出した奥田英朗氏の作家という仕事もおそらくは天職なのだろう。注目の1冊である。

・「まさに怪作
まさに怪作である。この作品は、すごく好きな人と、全く受け付けない人の二通りにわかれるとおもうが、私にとっては「ハマッタ」作品である。とにかく、主人公の精神科医・伊良部のキャラクターがよい。ひたすら笑わせる小説でありながら、泣かせる(?)ツボをおさえている。作者の代表作「最悪」「邪魔」とは、全く違った路線の作品でありながら、文章展開のうまさは両群の作品に通じるものであり、本作品ではあらためて作者の才能を痛感させられた。

この作品では惜しくも受賞は逃したが、続編の「空中ブランコ」で見事直木賞を獲得した。

・「奇想天外な精神科医「伊良部一郎」
舞台は「伊良部総合病院」地下1階の「神経科」そこで「いらっしゃーい」という甲高い声とともに患者達を迎えるのは、色白で太った医師「伊良部一郎」ただこの伊良部先生、「医学博士」という肩書きを持ちながらも、「本当にお医者さん?」どころか「本当に大人?」と思わされるような言動、行動。神経科の治療というと思い浮かべる「カウンセリング」を一切せず、非常に独特な方法で患者と向き合っていきます。とはいっても、先生本人は、意図的にその「独特なな方法」をとっているとは到底思えず、それが「奇想天外」であると同時に「実は天性の「精神科医」なのかもしれない」と思わせたりもします。そして登場する患者達にとっても、読んでいるこちらにとっても、最終的になぜか憎めない存在になっているんですね。この「伊良部シリーズ」の第二作『空中ブランコ』も読みましたが、こちらの方が伊良部先生の言動、行動がまだ抑え目ですね(こちらだけ読むと「これで本当に抑え目なのか?」と思われるかもしれませんが)また患者達の症例も、学生、会社員と、誰でも起こりうるものばかりであり、患者それぞれの話が短編として5つ収められていますが、「神経症」の症状まで行かなくても大なり小なり似たような悩み(人間関係とか)を持っている方にとっては、「こういうのあるよね」と思いながら読め、最終的にある種の癒し効果もある1冊だと思います。

・「大笑いしながら読んでください。
 「あり得ないっ」、「うそばっかりっ」、「そこまでするかっ」と叫びつつ、大笑いできる本です。伊良部せんせいのような精神科のお医者さんがいたら……絶対かかりたくない(笑)。続編も快調ですが、「町長選挙」はちょっとトーンダウンかな。理不尽な世界に笑える方には、ぜひぜひお薦めします。

イン・ザ・プール (文春文庫) (詳細)

ZOO〈1〉 (集英社文庫)

・「乙一入門的短編集
 乙一の最高傑作だと思う。 冒頭の「カザリとヨーコ」一行目を思わず読み直さずにはいられなかった。意表をつく状況設定は乙一作品の醍醐味であるが、読者を煙に巻くというのではなく、非日常の世界へ何の抵抗もなく誘う手腕は見事、というより一種の才能としか言いようがない。 二作目の「Seven Rooms」も傑作だと思う。異様なシチュエーションの理由は何一つ説明されないまま、読者は最後まで宙吊りの状態で姉弟の運命を見守ることになる。描写の巧みさも乙一作品の魅力の一つであるが、七つの密室を非現実的リアリティによって違和感なく描き切っている。「So Far」も非現実の世界を描いているように見せかけておきながら、実はそうではなかったという最後のオチが絶妙である。落語的作品であるが、それまでのシュールな作風から一転することによって、マンネリ化に陥るのを踏みとどまっている効果は大きい。 続く「陽だまりの詩」「ZOO」、いずれも佳作ぞろいである。乙一のデビュー作は『夏と花火と私の死体』(これもまた傑作)であるが、乙一への入門書としては、その持ち味が十二分に発揮されている本書を個人的にはお薦めしたい。美しい狂気をシンプルに描き堪能させてくれる、数少ない作家の一人だと思う。

・「白乙一??
〔あらす〜じ〕 ・カザリとヨーコ…双子の姉妹の話。妹は母親に可愛がられるが姉は虐待の日々。。。

・SEVEN ROOMS…いきなり、見知らぬ男に部屋に閉じ込められた姉弟。部屋は7つあり一人ずつ順番に殺されては補充される。。。

・SO-far そ・ふぁー…あるきっかけを機に父は母がみえず、母は父が見えない。その間にはさまれた息子の話

・陽だまりの詩…世界に突然、病がはやりその病気になってしまった人は例外なく2ヶ月で死ぬ。彼は自分を死んだ後埋めてくれるロボットをつくった。

・ZOO…自分の彼女を殺した犯人を必死に探す彼。その犯人とは・・・??

〔感想〕 『カザリとヨーコ』はありがちだけど、展開読めてしまいそうだけど怖いです。『SEVEN ROOMS』はホントに後味悪い。『SO-far そ・ふぁー』は不思議な話。さほどホラーって感じではないかも。『陽だまりの詩』は温かい。。。ロボットが死を理解できるか否か?感情をもてるか?というテーマみたいなものに対する結末にジーンときた。『ZOO』は狂ってる。。。ただ単に狂ってるとしか言いようがない。

乙一はただ単に怖いというわけではなく、読んだ後その読後感がなんともいえない。。。物語は終わったはずなのに、何も解決してないじゃん!!みたいな。

・「頭を玄翁でぶっ叩かれた
 新進気鋭のホラー作家だと聞いて,ふっと鼻で笑った。  和製ホラーはみんな喜劇だと思っている。

 で,乙一という若い作家の作品を今更ながら初めて読んでみたけど,頭を玄翁でぶっ叩かれたような気がした。  いや,すごかった。こんな恐ろしかった本は初めてかもしれない。  2時間で読み終えた。いや,すごい短編集だった。



 なんとなく星新一にちょっと似てるかもしれないけど,あんなパステルカラーな内容ではない。すごく怖くて,もっと強烈だ。  もちろん怖い話ばかりでなく,すごくやさしく切ない話もある。



 何ていおうか。  どの作品も, 『死』 というものをまざまざと見せつけられる。  生と死の対比を露骨に明瞭に上手に描いて,生きる喜びというのを上手に表現している。  そして愛と憎しみ。 最後にやってくる自由と開放のコントラストとして閉鎖感や束縛感を強烈に描いている。  生と死と愛が一体であることを,とても生々しくダイレクトに表現している。  文章も上手だ。

 インパクトはおそらく誰もが 『Seven Rooms』 を筆頭に挙げるのだろう。  他の短編もなんだか悪い夢でもみているかのような話ばかり。

 人は悪夢から覚めたとき現実世界に生きていることに安堵するけど,これらの短編を読み終えたときはまさにそういう感じだった。

・「完全に引き込まれた
乙一作品を始めて読んだけど、短編全て良作だと思う。始めの、「カザリとヨーコ」からこの人の文章、文体の虜になった。虐待を受けているのにも関わらず、ヨーコの思考はなぜか全然重苦しくない。またテンポが良くてサクサク読める。次に、「SEVEN ROOMS」。もう続きが気になってしょうがない。自分がもしそうだったらと思うと本気で怖くなる。実際あの状況で誰も精神崩壊してないのは不思議・・・。この作品グロいって言われてるけど、そうでもない。どっちかって言うと、不潔な感じ。でもそのおかげで現実味が増して場面を想像しやすかった。最後の結末は悲しい。姉の勇気は尊敬に値すると思う。  あと良かったのは「陽だまりの詩」。久々に死の重さを小説から学んだ。人間味溢れるロボットの日常は、汚れなき心を持つ子供を見ているようだった。始めから終わりまで、なんとも言えない切なさが漂う作品。 あと2作品も特徴的な切なさで描いている。一つ一つ読み終わるたび、心がからっぽになる(特に陽だまりの詩)。乙一さんは切なさを描く名人なのではないか。 これから乙一作品を読んでいこうと決心するためには十分な出来だった。

・「奇才な本。
乙一さん作品「ZOO」。今回読んだ文庫サイズでは、1巻と2巻に分かれています。ずっと読みたいと思っていたものです。 1の帯にこんな紹介文が。

「何なんだこれは。」

【カザリとヨーコ】 双子の姉妹でカザリだけが母親に虐待される。今にも母親に殺されそうな時、カザリが出す解決策とは。あっ!ときます。 【SEVEN ROOM】 謎の犯人に拉致監禁された姉と弟。溝から流れてくるバラバラになった人の体の破片と血。七つ並んだ部屋の一つで、残酷な殺人方法を知る。殺されるまで後4日。二人がとった脱出するための手段とは?一気に読んでしまいます。グロ系がダメな人は避けた方がいいかと。姉の最後の高笑いが忘れられません。 【SO-Far そ・ふぁー】 父が見えない母。母が見えない父。それに戸惑う僕。 父と母。どちらかが電車事故にあったはずだが、解らない。それぞれに見えているのは僕だけだった。 最後の展開は乙一さんならでは、やられました。

少女とロボットの話、【陽だまりの詩】と恋人を殺した犯人を追い続ける【ZOO】の計5つの短編集。人によってはその奇抜さについていけないという人もいるかと。私的には、どうやったらこんな展開がうまれてくるのだと感嘆です。予想不可能な乙一さんワールドを十分堪能出来る一冊です。ジャンル分け不可能。天才、奇才な乙一さん。その並外れた才能に嫉妬心まできますね。 まさに、 「何なんだこれは。」

ZOO〈1〉 (集英社文庫) (詳細)

ZOO〈2〉 (集英社文庫)

・「叙述へのこだわり
◆「Closet」

  義弟に自分の過去の罪を知られてしまったミキは、   彼の死体を彼の部屋にあるクローゼットに隠すことにする。

  《倒叙ミステリ》かと思わせてじつは……という趣向。   『GOTH』において、遺憾なく発揮された乙一の   叙述トリックが、本作でも抜群のキレを見せます。

  カンのいい人は、すぐに真相に気づくかもしれませんが、   結末から遡って、犯人の人物像を想像していくと、   また違った感慨が浮かびます。

・「乙一 ZOO2
怖かったり楽しかったり切なかったり悲しかったり…いろんな話が盛り沢山

・「不謹慎だけど…
結構笑ってしまいます。常識的に考えるとちょっとおかしいけど、なぜか納得。最後は少しせつなくなったり…。でもやっぱりみんな狂ってます。

・「負けた〜
乙一作品はどれもハズレがない。意表を突かれすぎて、読むうちに「犯人はコイツかな?」とか「こういう結末になるんだろうな」等と乙一に挑戦するような気持ちで読み進むが、いつも私の想像外な展開になるため「乙一作品には負けた〜〜!」という敗北感に似た爽快感が残る。

・「二つで一つ
1と比べて雰囲気は違うけど、漂う切なさは変わらないです。2は不思議で暗い感じの話が多いです。この人の文体はとにかく人を引き込ませる力があると思います。気付くとその物語の中に入ってる。特に良かったのは「落ちる飛行機の中で」。ハイジャックされているのに、その緊張感が全然なく、それぞれ悩みを抱えた3人が織り成す妙に和んだ雰囲気は新感覚でした。そうかと思うと一転、一気に緊迫した展開に。全部につながってこの人の話はテンポが良い。乙一さんらしさが伝わってきます。ただ、1も合わせて10篇全てで飛び抜けてるのは、「SEVEN ROOMS」。乙一ワールド全開!  乙一ファンの方はもちろん、そうでない人も十分に楽しめます。あの独特の切なさを再び味わうために、他の作品も読んでみたいです。

ZOO〈2〉 (集英社文庫) (詳細)

A Child Called "It": One Child's Courage to Survive

・「読み続けるのは辛いけれど
本屋さんで立ち読みしたところ、続きが読みたくなったので購入しました。カリフォルニア州史上最悪だと言われた児童虐待を経験した著者が赤裸々に虐待の記憶を綴ったものであり、ページを追うごとに虐待はエスカレートしていきます。臭いや、冷たさ、痛みも感じられるほど具体的に詳細に虐待の過程が書かれていて、途中何度も涙が出ました。

この本を手にとられる方には同じような経験をした方も少なくないのではないでしょうか?自分もここまでではないにしろ、似た経験をしてきました。自分自身は子供の頃の記憶がところどころ欠落しているのですが、読んでいるうちに痛みや、怖さ、壁の色なんかをいきなりはっきり思い出したりして、ちょっと言葉では言い表せないような気持ちになりました・・著者は現在児童虐待防止のための活動に精力を傾けておられまた幸せな人生を歩んでいらっしゃるようです。こんな過酷な現実を生き抜いて、それでも人生は素晴らしいと思える生き方をされている著者には本当に心から尊敬します。

許すこと。母を、虐待の行為を、また見て見ぬふりをした父を許すことで一番癒されるのは自分自身であるということを教えてくれました。

・「あまりの衝撃に夢中で読みきりました。
この「Child Called It」を読み終えたとき、母親と子供の関係って何なんだろうと真剣に考えました。実の子供を、自分のお腹を痛めて産んだ子供にこんなことが出来るものなのだろうかと。今児童虐待について色々な人がさまざまな意見を言うけど、この本を読めば、虐待される子供達が肉体的なことはもちろん、精神的にも計り知れない痛みを負うことがまるで自分のことのように感じることが出来るでしょう。

・「gripping, teeth-gritting, heart-ripping
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Few would be able to hear the story while keeping a straight face, even in public, even with earphones on. So ghastly that one is almost tempted to get up and head somewhere to rescue the boy.

Unfortunately, reaching out to save the child from his suffering over the years was something not too many even attempted to do in real life--the third tragedy of his life (after the suffering itself, and the fact that it came from his own mother who, incidentally, did it to none of her other children). And the few who did, didn't do so EFFECTIVELY, despite the OTHERWISE-INEXPLICABLE signs screaming at them in the face.

This is one of the stories which cemented my family's determination to direct our charity work towards ACTIVE intervention to save abused children. We chose to not "get back to our OWN lives after the tearjerker".

Followed by "The Lost Boy" and "A Man Named Dave", also by Dave Pelzer (who is now an adult, living with a loving son, and finally blessed by bliss).

See also, by other authors: "A Rock and A Hard Place" and "They Cage The Animals At Night". And the nearly a dozen by Torey Hayden.

英語の得意な方向きです。本の日本語版『'It’と呼ばれた子』も出ています。

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・「Such an incredible story!
 When I first got the book, my wife advised me not to read it. She once heard from one of her friend that the story was too terrible to read to the end. I'd like to know why his mother had to be so cruel to her own child. I also wonder why his father couldn't help him out of the Madhouse. I hope many more people will read the book either in English or in Japanese.

・「感じることが出来ます。
Chapter2を読んでいると、悔しくて悔しくて涙が出てきた。一体どうした、自分のお腹を痛めて産んだこどもを「人」として扱わないような仕打ちを出来るのか、全く理解できなかった。なぜ、両親がそろっているのに彼を「守る」ことができなかったのか?

きっとDavidの両親は弱かったのだろう、しかし、本当に弱くて守られるべきであるは彼だと気づくべきだったと思う。 この本は、幼児虐待を子供の目から一緒に感じることが出来る本です。

A Child Called "It": One Child's Courage to Survive (詳細)

空中ブランコ (文春文庫)

・「日常に疲れた人に
小説を読んでこんなに笑ったのは久しぶりだ。人間みんなどこか可笑しなところがあるよね、というユーモアに溢れた人間賛歌。

飛べなくなった空中ブランコ乗り。尖ったものが苦手な先端恐怖症のヤクザ。義父である教授のヅラをはがしたくなる医師。ボールが投げられなくなったプロ野球選手。過去に書いた小説と同じ小説を書いてしまうのではないかと、気に病む女流作家。

それぞれの登場人物たちは、自分がどこかおかしいのではないかと思って伊良部総合病院の神経科のドアを叩く。しかしそこにはそんな患者たちよりもっとおかしい精神科医、伊良部がいるのである。

丸々と太った体、子供のような言動。伊良部に振り回されるうちに、患者たちはやがて、まわりの人たちも自分と同じような悩みを持っていることに気づく。こう書いてしまうと陳腐かもしれないが、実際狭い世界にいると、本当ならこだわらなくてもいいような部分に固執してしまうのはよくあることだ。僕自身もしばしばそうなる。

このおかしな医師、伊良部はそんな行き詰った人たちの視界をほんのちょっと広げてくれるのかもしれない。日常に疲れた人に、ぜひおすすめしたい一冊である。

・「医学博士の伊良部一郎はもしかしたら「人間博士」かもしれない!?
 伊良部総合病院の神経科医である伊良部一郎を主人公とする人気シリーズ第2弾。神経科医を軸に組み立てた作風はとても斬新で、表題作の「空中ブランコ」を含む計5本の作品はいずれも面白く(個人的には、特に「ハリネズミ」と「義父のヅラ」が実に印象的であった)、思い切り笑わせてくれるものもあれば、思わずホッとするものなど、味わいに富んだ作品ばかりである。本当に一気に読ませる内容・文体であり、文句なしの「星5つ」の著書である。

 神経科医を主役とした作風それ自体に最初は違和感を抱く読者もいるかもしれないが、軽快な話の展開構成に自然と本書の魅力に惹きこまれるのではないか(「趣向」が合わないと感じる読者もいるから、本書の評価は割れるだろう)。誰もが神経的・精神的な「病」を抱えているといっても過言ではないこの現代社会において、本書に登場する奇抜な思考・言動を惜しみなく披露する伊良部医師は、一服の「清涼剤」的な存在感を十二分に醸し出している。あまりの荒唐無稽さに、患者のほうが「自分こそ医者ではないか」と思わせるくらいだ。こんな医者がいるとは思えないが、どこかにいてほしい類いの医者だ。治療していないようで実際のところは治療している。とにかくこの医師は「ただもの」ではない。白衣の名刺に付けられた「医学博士・伊良部一郎」の「医学博士」の隣に、「人間博士」と付け足したい気分である。

 本書のメッセージは、やはり「(とくに)心の病を治すのは自分である」ということになろうか。伊良部はそれを大胆な言動を通じて遠回しに患者に気付かせているのだ。なお「人間の宝物は言葉」であり、「その言葉を扱う仕事に就いたことを、自分は誇りに思おう」(281頁)という最後の作品「女流作家」における女性作家の言葉は、まさに作者自身のそれであろう。伊良部病院の神経科が「地下1階」にある理由も私には理解できた。伊良部医師の今後の活躍が楽しみだ。

・「単におもしろいだけではない
 現実的には、こんな精神科医がいるわけがない。しかし、伊良部総合病院を訪れる患者たちの抱える病気は、現代の日本が抱える問題そのものである。程度の差こそあれ、自分自身にも思いあたることがある。そう考えると、笑ってばかりはいられない。 本の構成は、5編の短編集であるが、すべてに、精神科医の伊良部が登場する。5編とも上手くまとまっており、話の展開も本当におもしろい。

・「前作よりもやわらかく
伊良部総合病院地下にある神経科。訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。シリーズ第2弾。

その患者たちの行動は確かに異常なのだが、ある程度は共感できてしまう。私たちが誰もが少しは抱えているであろう異常を、エスカレートさせたにすぎない。

そして精神科医である、主人公。その破天荒な行動に、患者は翻弄される。P193「無駄だって。話して治るなら、医者はいらないじゃん」このセリフは、すごいなあ。

ああ、あるある……ねーよwみたいな読み方ができると楽しい。主人公にいらつくともうアウト。フィクションと割り切れないと、かなり不快でしょう。

前作よりも、周りの人々との絡みが多くなっている。シニカルな感じが少しだけ薄れ、ハートフルな要素も入ってきたように感じた。その分深みが出ていいと思います。私は前作よりも好きです。「女流作家」には感動しました。

・「マユミちゃんの意外な一面
「女流作家」に出てくるマユミちゃんの意外な一面に驚かされた。案外、直木賞受賞の決め手は、このマユミちゃんの以外な一面にあったのかもと思わされた。

空中ブランコ (文春文庫) (詳細)

Good In Bed

・「どっちのおとぎばなしが好き?
 かわいい表紙。ちょっとエッチなタイトル。自分を、「良く言えばふくよか、それ以外はうんざりするほど月並み」だと思ってる、28歳のヒロイン。よくあるラブコメかなと思ったら、違いました。 いや、ラブコメとしても、ちゃんとおもしろいのです。笑えて、ドキドキできて、おもしろい。読んでるだけでわくわくする、おしゃれやグルメや恋の話題たっぷり。 だけどこの本で起こる出来事は、ラブコメで起こりうる範囲を超えています。ラブコメでは「そんな都合のいいことあるわけない」ってこと、よく起こりますが、この本のは特にすごい。おとぎばなしみたいに、ゴージャス。かつ、おとぎばなしみたいに、残酷。すごくおもしろいのですが、私がこの本が好きなのは、展開がはちゃめちゃなせいだけではありません。 普通のラブコメって、「恋が実れば幸せになれる」って感じに書かれています。どんなにリアルな展開でも、「彼氏ができてめでたしめでたし」なんて、まるでおとぎばなし。 この本は、そんなラブコメによくある嘘に立ち向かいます。友達も家族も仕事も持ってるのに幸せになれない、そう思うのはきっと、恋人がいないからじゃない。自信がなくて不安だから、誰かを自分の魅力を確認するための道具にしたいだけなのかもしれない。厳しい現実です。でもこの本は、厳しいだけで終わってはいません。厳しい現実を乗り越えて、主人公が見つける真実こそがこの本の最大の魅力。 とびきり楽しめるラブコメです。勇気を与えてくれるおとぎばなしです。おすすめします。

・「a book for all women
good in bed presented itself with an erotic title and a corresponding erotic cover, but its story is totally another thing. It's about a process of trial-and-error in finding a Mr. right, how to accept your Mr. seeming-right left you, and at last, how to give up and how to love again. the fiction contains many episodes that women readers would find them familiar and similar to their experiences while it reserves the fictional dramatic elements to keep its readers entertained. Good in bed is a page-turner. It's funny, touching and humorous.

・「人に愛されるということ、人を愛するということ
この本の主人公と自分を重ね合わせずに読むことはできなかった。

過去の愛にしがみつこうとする主人公、そのくせいつも強気に出てしまう彼女。思い切り傷ついた挙句「愛なんて足元から引っ張られる絨毯のようなもの」とか言って「愛する」行為に恐怖を覚えたりする。そして、徐々に感じ、現れはじめる新しい愛と本物の愛。私は、子供のようだが「必ずこの世の中には本気で自分を愛してくれて、自分が本気で愛することができる人間が一人は存在する」と信じている。人を愛するには自分を愛することができなければ無理だ。自分を自分として受け入れる、という意味での「自己愛」。彼女は物語の中で子供のころからのトラウマを乗り越え、そして「自己愛」を再度見つけてゆく・・。

彼女の身に起こるさまざまな出来事を通して、彼女は新しい自分なりの道を開いていく。最終的な彼女の選択に涙しないわけにはいかなかった・・・。かなりドラマチックだ!!!!!

彼女のその会話からは、彼女の女性としての、一人の人間としての豊かな才能とチャーミングな部分が存分に見てとれる。「そうそう、この切り替えしの会話方法・・・まるで海外の連続ドラマものを見ているようだぁ・・・私もこんな回転の速い頭がほし~!!」などと思ってしまう。

精神世界という意味で、内容のかなり濃い本だが、USものならではの「音速回転会話」を通して、彼ら独自のユーモアの盛り込み方なども結構参考になるだろう。日本人からしたら「?」というような切り替えし方なのだ。この会話方法をクリアしたら、某海外ドラマの「アリー」やブリジット・ジョーンズちゃんよりももっと素敵な恋愛ができるかもしれない。今何かに傷ついている女性(失恋とか)、愛されたい~もしくは愛したい~と思っている方には心を込めてこの本をおすすめしたい。私は読み終わってすぐに親友に「購入すべし」とメールした!

・「自信を取り戻せる本。
何故だか友達のアメリカ人(男の子)が読んで置いていったのを思い出して読んでみました。ちょうど失恋とは言わないまでもそれに似た状態だった私にとってとても親近感のわくストーリーで一気に読んじゃいました。全部が全部自分に当てはまるとは言えないけれど、自分の元を去っていってしまった人を諦めきれず心の片隅でよりが戻せる事を願っているとこや、その彼のことを1年も引きずっているところなんかは恋愛をしてると誰にもあると思う。女の子には共感できる部分沢山あるし、男の心理や男は彼1人だけじゃないっていうところも、そうだったよねって読み終える頃には失っていた自信を取り戻せて、新しい恋愛をしたくなる、そんな物語です。

・「意外だった!
Jennifer Weinerの本ははじめてなのでう〜ん タイトルは面白そうだけどなぁと思ってついでにかった本だったので(ごめんなさい)あまり期待してなかったのですが!!!

すごく面白かったです。

毎日お風呂で読んでいたのですが1個1個のチャプターが結構短くテンポ良く出来ているのでもう1個と思って読みすぎて湯冷めしちゃうこともしばしばでした。

私自身ちょっと太り気味なので主人公の気持ちに共感する部分がかなり多かったです。私は主人公の可愛い性格も好きですが周りの友達の優しさがいいなぁと思って読みました。

元彼を引きずる気持ちはわかるけどそこまでの男かぁ????と思うところは何度もありましたが全体を通せばかなり面白い本でした。

すごくお勧めします☆★☆

Good In Bed (詳細)

2days 4girls (集英社文庫)

・「静かな小説という印象
僕は、1冊を除いて、村上龍の小説(エッセイを除く並びに購入できるものに限る)を全て読んでいました。

その1冊とは、この『2days 4girls』です。

ハードカバー版のタイトルが何となく気に入らなかったという、ただそれだけの理由で読むのをためらっていました。文庫版になって、その気に入らないタイトルが取れたので、手にとってみました次第です。

さて、この1冊で、おそらく村上龍の小説の全てを読み終えた上での感想ですが、「静かな小説」だと思いました。音楽家であるBjorkの『Vespertine』という作品を聴いたときも「静かな音楽」だと感じましたが、その「静かな」と似ています。

内容は、人によっては、「だから何?」みたいな内容になると思いますが、個人的には、とても大切なものでした。読んでよかったし、また、自分の人生のタイミングとも合っていました。

個人的に、村上氏の最高傑作は、『コインロッカーベイビーズ』なんですが、たぶん、その「最高」というニュアンスと、この小説に感じる何かしらとは、全く違います。

『コインロッカーベイビーズ』に感激する人が、この小説に感激するかはわからないし、たぶん、しないんだろうけど、人によっては、人生の中で、劇的な化学変化のようなものが起こりえる小説でもあるように思いました。

ただ、批判も無い訳ではありません。

例えば、ピアッシングや刺青に対して、村上氏は、ある一定の考えをもっているようですが、僕の世代には、そのような考えはありません。そこらへん、世代のズレかもしれません。

ですが、そういう些細なディテール上の批判なんか、どうでもいいや、と思えるだけの良質な小説でした。

・「予想よりは遥かに良い
 タイトルから連想されるのはSEX,SMといったものか.これは外れではないが本質ではない.著者の「トパーズ」「エクスタシー」「メランコリア」「タナトス」などの路線かな,と思って読んでみたがそれらの作品よりは遥かに文学的で寧ろ「イビサ」に近かった. キーワードは信頼.タイトルから予想される内容よりは遥かに高みにある小説だった.

・「龍の小説は10%・30%・60%だ。
先輩に勧められて「コインロッカーベイビーズ」を読んだ。この人は天才だと思った。

それから数多く読んだが、駄作も何度も読んだ。天才は枯れてしまったのかと思った。。

究極のところ龍の小説の60%はSM・ドラッグ・猟奇的な何だかわからない気持ち悪い駄作が多い。

あとの30%は普通に面白い。

最後の10%が天才の域に達している。これが皆が言うベスト5やベスト3だと思う。

この「2days 4girls」は駄作と普通に面白い作品の中間ぐらいだ。

60%が駄作でも、それでも龍の小説が好きなのは彼が意欲的に色々なジャンルに飛び込んで行く姿勢と彼なりの思想が面白いからである。

天才とは気まぐれなものなのだ。

最近、テレビに出たり意欲的な活動をしているのでまた今後の作品が楽しみである。

一発屋の多い小説家のなかで、これだけ長く天才をやっているのは彼ぐらいなものだ。

2days 4girls (集英社文庫) (詳細)

In Her Shoes

・「新しい人生に感激
寝る前に気軽に読める本を、と思って手にした“In Her Shoes”です。容姿はぱっとしないけれど、頭が良くて、弁護士の姉Rose。容姿は文句なしにゴージャス、でも頭はいまいちで素行に問題ありの妹Maggie。この姉妹に共通するのは、幼いときの悲劇的な母親の死と、靴のサイズ。そして、妹のある行動により、この姉妹は決定的な破局を迎えてしまいます。ここまでは、まあまあ、そこそこ楽しんでいました。ところが、後半から、がぜん面白くなります。さて、姉と別れたMaggieは、あることをきっかけに「詩」に目覚めます。一方、姉も新しい仕事を始めます。追い詰められた人間が、再生し、希望のある人生に目覚めていく課程は、ドラマチックであればあるほど、読む側の興奮を引き起こします。読後感は、私自身が、新しい気持ちになったようで、HAPPYになれました。

・「ラストが心に残ります
個人的にはGood in Bedよりも面白いと思いました。それぞれの悩みを抱えるローズとマギーが自分自身を見つける過程が丁寧に描かれていて、とても共感できます。難読症のために自分自身へのリスペクトを持てず、男性を信用もできなかったマギーが迷い込んだローズの母校で詩と出会い、祖母のエラとの生活から自信を取り戻していく様子をまるで自分でたどっていくかのように読みました。そして最後にマギーがローズの結婚式で堂々と詩を暗誦する場面には感動。詩の余韻とともに心に残る本です。

・「期待通り
前作のGood In Bed同様、期待通り楽しめました。内容は真面目に生きてきた姉とめちゃくちゃな妹との確執など。お洒落な妹に引け目を感じる点など共感できる点が多かったです。読んでいて本気で腹が立ったり、安心したり。話の流れには直接関係しませんが、前作の登場人物が出てきて・・・。英語も比較的簡単で読みやすかったです。

・「姉妹の葛藤を描く
映画とは違った展開です。映画より、とても丁寧に描かれています。全然タイプが違った姉妹の葛藤を描いている小説です。妹の方は本当にビッチだな〜と思いましたが、でも読み進めるにつれて彼女には彼女の傷があったんだな…とわかってきます。突然彼女たちの人生から姿を消した祖母、そして早くに亡くなった神経の繊細な母親とのエピソードも丁寧に描かれ、とてもせつないです。また、ビッチだった妹が途中から詩に惹きつけられ、心洗われていく様子もすごくいいです。人間って、変わっていけるんだな…と思いました。

・「Brilliant!
Not your fun, light superficial book at all. But so well done! The characters were just remarkable! The back and forth between the two sisters was frustrating, heartbreaking, and touching all in one. And adding the mom to the mix was a perfect and for me anyway, unexpected plot twist. you should aslo read Giorgio Kostantinos' bestselling-'The Quest'Overall, this was a VERY satisfying read.

In Her Shoes (詳細)

娼年 (集英社文庫)

・「欲望とは何か
とりあえずタイトルが秀逸ですね。字と響きだけでだいたいの設定を想像することができます。作中では徹底して「娼夫」と表現されていますが、「ホスト」でも「男娼」でもなく「娼年」。主人公の危うさが感じられる。

セックスに関心のない大学生がふとしたことから娼夫となり、様々な欲望のかたち、快楽の追求といったことを体験していきます。

それはセックスであったり、それとは違うかたちであったり。自分の欲求が普通だと思っている人もいるし、異常だと自覚している人もいる。気負うことなく彼女たち(大抵はかなり年上)を受け入れていく主人公が不思議です。快楽ではなく娼夫という仕事にはまっていく彼の先に待ちうけるものは何でしょう。

人に安らぎを与えることのできる仕事はそれでも非難されるべきなのか。

文章に透明感がありドライなせいか、セックスの描写は艶はあるのに生々しさとは無縁で、そこが特に好き嫌いがわかれるかもしれません。ただ、この作品の根底に流れるテーマはそれとは別のところに位置していると思いました。

読んでいてやさしい気持ちになることのできる作品でした。

・「夏に、せつなくなったときに
 石田衣良さんの小説は前から読みたくて、今回初めて手に取った。なんといっても題名から気になるし、衝撃的だし、主人公同い年、同じ夏だし。この今読めてよかったなと思える作品。題名ほどやばい作品ではない。主人公リョウを取り巻く人々の描写がとてもリアルに感じられた。実際に、男の子を買う人たちはどんな人がいるのか想像も付かないが、この小説を読む限り、みんな、フツウ…であり、どこか狂っている。みんな汚いけど、どこかに泉のように綺麗なココロをもっていて。出会いの重なり。。最後の部分に、いつもの夏とかわらない。みたいなことが書いてあった。そこに妙に納得してしまった。結局は自分である限り、同じなのだ。

・「不思議な物語
不思議な物語でした。良い題名ですが、題名や「ぼくを買ってください」という煽り文句がけっこう煽情的なのに比べ、中身は淡々として透明感のある、静かな物語でした。主人公のちょっと不思議な性格に感情移入できるかどうかで、この本の評価はかなり変わってくるんじゃないかと思います。私はなぜかとても主人公に同感できたので、登場するさまざまな女性達が皆かわいらしく、愛らしい存在に思えました。性描写も多いのですが、生々しさはありません。。主人公が仕事を通して、女性達が彼とのセックスに望むもの(単なる快楽にとどまらない、彼女達の生活や人生にとって大切な何か)を、驚きや感動と共にゆっくり知ってゆく様は、初夏の植物の成長のようでした。

・「うっとリ・・・します。
この作者の作品の中で一番の傑作だと思います。冷静で客観的なのに全く冷たさを感じさせない文章は、この作者の特長なのかもしれませんが、それが一番効果的に出ていたように感じます。読んでいてとても心地よくて何度も読み返してしまいました!主人公の真剣な姿勢には、どんな年代の女性でも好感を持てると思います。ご一読、そしてご多読をお薦めします。

・「大人の恋愛物語
石田氏の作品は初めて読んだ。実は若者から支持をされている売れっ子作家ということもあって「渋谷などを舞台にきどった小説を書いている」といったあまり良くない先入観を持っていたものの、本作品を読んで見事に裏切られた。

内容は、女性にもセックスにも冷めていた主人公が、女性とは何かを知りたい気持ちもあって、お金で女性との時間を売る(体を売る)仕事に就く。当初は仕事の内容に戸惑いながらも女性の奥深さの探求に惹かれていく。客の多くは熟女。各人の人生を反映するように様々な性癖を持っているが不思議と嫌悪感はなく、トップレベルの娼年になるというもの。

体を売るような仕事は道徳的には感心できないが、読後感は悪くなかった。というのも恋愛を重ねると、女性の性的な志向は十人十色でそれを許容するのも愛の形であるというのが大人の恋愛だという点に共感したため。

大人の恋愛小説としてお薦め。

娼年 (集英社文庫) (詳細)

The Little Prince

・「信じられないほど美しい英語
以前は内藤 濯さんの翻訳で読んでいたのですが、 先日たまたま近所の書店でRichard Howard 訳のこの版を手にとり、改めて心を打たれました。 あまり英語が得意でない私にも、これがとても美しい言葉で綴られていることは ひしひしと感じられます。 たとえば (私の好きなセリフの一節)、 "At night, you'll look up at the stars. It's too small, where I live, for me to show you where my star is. It's better that way. My star will be... one of the stars, for you. So you'll like looking at all of them. They'll all be your friends." こんなにもピュアで透き通るような英語は、私が学んだ学校英語や英会話の教材のどこにも出てきませんでした。 それはきっと、Richard Howardが優れた詩人だからなのでしょう。 いつも心のそばに置いておきたい物語を、美しいことばで --- 内藤 濯さんの翻訳も私は好きですが、この Harcourt版もお勧めです。

・「全ての子供たちへ、そしてすべての子供のような大人たちへ・・・
2006年新訳星の王子さまが発売され、本屋に勤めているのですが徐々に売れています。そんな中この英語訳のほうも少しだけ売れています。下のレビューでも書かれていますが、フランス語で書かれた本作は翻訳の仕方でかなり解釈の違いが見られ、心理学の学用書などにも採用されています。僕も新たな解釈を求めてこの英語版を手に取りました。

お話は皆さんご存知の通り、テグジュぺリの生き写しとも言えるパイロットと小さな星からやってきた王子さまとの出会い、そして王子さまが体験してきた物語が語られ、再び星へ帰るまでが描かれています。なんてことないこの物語もその描写の無邪気さ美しさ、そして残酷さが多くのファンを生んでいます。

僕が最初購入した日本語版は文庫版で、絵もカラーではありませんでした。なので、この英語版で描かれたカラーのイラストは大変うれしかったです。英語もToeicレベル470と決して高くなく、商業高校出身の自分でもちゃんと読めました(もちろん、所々で辞書に頼りました。)。

新たな世界を楽しむもよし、英語の勉強をするもよし。一度お試しあれ。

・「やっぱりいいと思います
本も何度も読み、今度は朗読も聞いてみたいと思ったので購入しました。ほんとによく仕上げられていると思います。物語自体は原作の要所要所だけとったって感じなんですけど、つぼはきっちりついてるって感じだったし、ほんとに気に入って100回くらい聞きました。

個人的には本より好きです。ほんと、しみじみ『星の王子様』が伝わってくる感じで。私としてはものすごくおすすめの作品です。

・「別の読み方でふれる王子さま
日本の星の王子さまファンの大半は内藤訳しか知らないと思います。英語で読んでみる事で、別の解釈の可能性を知る事ができます。結果として内藤訳に重大な疑念を抱く事にもなりかねないので、王子さまと喧嘩別れしたくない人はちょっと考えた方がいいかも。訳文そのものは大変プレーンな英語ですので、英語の勉強にも適しているでしょう。

・「優しく暖かい世界へ誘ってくれる本
有名な『星の王子様』の英語訳版です。子どもの頃には当たり前のものとして気づいていたことが、大人に成長するにしたがって見えなくなってしまうもの。それを、「本当に大切なものは目では見えない。心で見るもの。」と王子様が表現したことはあまりにも有名ですね。

暖かく優しい、夢のある、そして不思議な世界へ誘ってくれる本です。王子様と一緒に旅をすれば心が澄んだ気持ちになるでしょう。最後のちょっとさみしい結末とともに楽しめる本です。

英語自体は、子供向けに書かれたものであるので、それほど難しいことはないです。ただ、外国語として英語を学ぶ人向けに書かれた段階別読物とは違うので、語彙制限がかけられていなく、所々難しい単語もあります。ストーリーを追うのに大切な単語であれば辞書をひいて読んでみると、理解がしやすいかもしれません。

The Little Prince (詳細)

ララピポ (幻冬舎文庫)

・「いろんな意味づけが出来るが、純粋に面白い。
「ララピポ」なんやこのタイトルはと不思議に思って読み出すと、エロい話のオンパレード。内容は、はっきり言ってエロ小説ですが、ひとひねり、いやふたひねりぐらいしてある。だから、いやなエロさがない。この本の趣向というか仕掛けに慣れれば、ページをめくる手が止まらない。そして、『ララピポ』の意味を知り納得。なんとなく生きる勇気がわいてくるという誠に不思議な小説です。

奥田英朗が初めてという人には、あまり薦められないが、数冊読んでファンだという方にはぜひ薦めたい。

なお、通勤電車では読まないほうが賢明です。ほとんどのページに卑猥な単語があるので、となりの人に見られると、なに読んでんだと思われ、恥ずかしい思いをすることでしょう。

・「爽やかな読後感
欲望のおもむくままに生きる、社会に適応できない人々が主人公。お下劣なシーンが続き、決して読んでいて気持ちのいい小説ではありません。でも、著者の構成力と筆力もあって、一気に読み進めてしまいました。終盤「ララポポ」の意味が分かったときは、ちょっとジ〜ンときちゃいました。世の中、色々な人たちがいていいじゃないかと。不思議と爽やかな読後感を味わえる小説です。

・「吸い込まれるように読み終わりました。
ここ10年ほどに読んだ小説の中で一番面白かったです。しかし、読んで怒り出す人がいるのも分かります。ここ10年ほどで読んだ小説に、あまり面白いものがなかった人には、是非おすすめです!!

・「爽快感は最後に。
短編の主人公以外の登場人物が本書に収められている他の短編の主人公になっているといった、ちょっと変わった短編集。

この世界にはたくさんの人がいるけど、どっかで繋がってるかもしれないんだよ、突然、ちょっとしたことで、見たこともない世界の人と繋がるかもしれないんだよってことが楽しく、ちょっぴり下品に(つまりエッチな感じ)描かれている。

普通、どんな話にも「結末」があり、その終わり方がとても重要だったりする。ただ、この本の短編には「結末」がない。いや・・・あるのだけれど、よくわからない。よくわからないまま読み進めていくと、最後の最後にすべてがトントン拍子に片付いていく。「あぁ、こういうことだったんだ」と鎖がすべてつながったような感覚になる。

長編小説ではできない遊び、文章のおもしろさもさることながら、そんな遊びの世界がとても面白いと思う。

・「連鎖するおもしろさ
性に溺れる登場人物たちの物語が、次々と連鎖し、交差しあうのが、実におもしろいです。登場人物の視点が変わると、それぞれの思惑が違って、それもまたおもしろい。

それぞれがコンプレックスや悩みを抱えながら、目先の快楽に溺れ人生をダメにしていく・・・。

でもそれを他人事とは片づけがたい、日常の延長線上にある物語がある意味恐い。

性的なものだけに極端に傾斜しているとはいえ、今の日本の社会の一面を映し出した鏡ともいえる作品。

ララピポ (幻冬舎文庫) (詳細)
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