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▼最新読みたいなぁ、と思ったテレビ・映画の原作本。:セレクト商品

ゴンゾウ 伝説の刑事 (朝日文庫)ゴンゾウ 伝説の刑事 (朝日文庫) (詳細)
古沢 良太(著), 松田 美智子(著)

「凄いドラマ」「作品としてはよかったですが」「まずは映像を観ることをお勧めします」


チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (詳細)
海堂 尊(著)

「デビュー作とは思えない圧倒的な筆力」「一見軟らかいが、内容は硬派」「強烈なインパクトのある作品」「とにかく面白い」「文句なしのこのミス大賞。読めば分かる。」


チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (詳細)
海堂 尊(著)

「楽しみなシリーズの誕生」「『パラサイト・イブ』以来の衝撃」「説得力ある構成」「現場のノウハウが見事に本作では炸裂している」「一気に読めるおもしろさ!特に下巻はおもしろい!」


クライマーズ・ハイ (文春文庫)クライマーズ・ハイ (文春文庫) (詳細)
横山 秀夫(著)

「短編もいいが、長編もすごい。」「素晴らしい作品です」「一気呵成にせまる傑作!人生とはなにかを考えさせられる。」「命の重さと報道のあり方を問う本格社会派小説の真髄!」「「割り切れなさ」に深く共感する」


容疑者Xの献身 (文春文庫)容疑者Xの献身 (文春文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)

「この作品における不遇な高校教師“石神”の描写は素晴らしい、現実的で悲しい。エンターテインメントとしては好い。」「●数学って、実に面白い!!」「トリックは純愛」「完璧なトリックと不完全な人間」「映画を見てから本を読みました 」


白夜行 (集英社文庫)白夜行 (集英社文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)

「なんとも形容しがたい」「じっくりと読ませる悲劇」「活字でこそ深く味わえる物語」「日の当たらない青春を生きた大河小説」「読み取ることが大切。」


探偵ガリレオ (文春文庫)探偵ガリレオ (文春文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)

「ドラマより面白い!」「何となく得した気分になれる本」「実に面白い」「理系東野」「面白いです。」


予知夢 (文春文庫)予知夢 (文春文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)

「東野作品の真骨頂」「超常現象のようなことも科学的に解決!!湯川教授の推理の冴えを堪能しました!」「読み出すと止まらない」「読みやすい短編集」「ドラマ『ガリレオ』シリーズを観よう!」


闇の子供たち (幻冬舎文庫)闇の子供たち (幻冬舎文庫) (詳細)
梁 石日(著)

「こどもの後ろ姿に、複雑な思い。」「終わりなき戦い」「事実をベースにした小説だからこそのリアル感」「国際協力とは」「 無知は最大の罪」


越境捜査越境捜査 (詳細)
笹本 稜平(著)

「ラストが痛快で読み応えあり」「殺人犯を突き止めるまでの道筋がよかった」「なかなかおもしろかった」「今はやりの警察小説」「イマイチ・・・」


▼クチコミ情報

ゴンゾウ 伝説の刑事 (朝日文庫)

・「凄いドラマ
この本は脚本を基にノベライズされたものです。ですから脚本と言っても良いでしょう。 自分は本放送を見て(ぶつ切りに)良いドラマだなあと感じ購入しました。その時は読もう読もうと思い、時は過ぎました。 2009年の春に再放送でまたぶつ切りに観つつ、小説も最初から最後まで読みました。ですので、観てない映像の部分は、想像しました。 脚本と俳優のキャスティングの妙がぴったり合い、本当に傑作です。巻末には、脚本家の関係者への愛が綴られています。この部分だけでも読む価値は有ります。興味ある方は是非。 DVDが欲しくなりました。

・「作品としてはよかったですが
ドラマのクオリティが高すぎたのか、ノベライズは登場人物の背景や心の機微が読み取れず…特に杏子と黒木の回がはしょられていたのが残念でした。ドラマの中にたくさん張り巡らされた伏線も削られていて…前半部分が長すぎる気もしました。ドラマを見て期待して買った本だけに残念。星はストーリーの面白さにつけましたが、ドラマを見た後なら星三つかも。ごめんなさい。

・「まずは映像を観ることをお勧めします
ドラマのノベライズって初めて読みましたが、全体的に放映されたドラマのセリフを拾った部分が多く、あまりドラマと大差ありませんでした。登場人物のバックグラウンドやシーンごとの細かい心理描写を期待して読んだのですが、あまりそのような記載はなく、圧倒的にドラマのほうがよく描かれています(そもそも、ドラマのノベライズはそんなに期待して読むものでもないのかもしれません・・・苦笑)。ですので、まだドラマを観ていない方は、DVDレンタルor購入してまずはドラマを楽しむべきです。また、ドラマを既に観た方であれば、ストーリーの流れやセリフの確認程度にはいいと思います。

ゴンゾウ 伝説の刑事 (朝日文庫) (詳細)

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

・「デビュー作とは思えない圧倒的な筆力
海堂尊のデビュー作にして第四回『このミステリーがすごい!』大賞を全会一致かつ数分で決定となった作品。作者はオートプシー・イメージング Autopsy imaging(Ai=死亡時画像(病理)診断)の重要性と医療制度への導入を訴え続けている現役医で、外科医を経て病理専門医となった人だ。その現場のノウハウが見事に本作では炸裂している。

文体が非常に軽く読みやすい。まさに現代向きの文体。それでいてストーリーの骨格はデビュー作とは思えないほど精緻だ。そして最も大切なキャラクタの作り込みが実に良くできている。おそらく多くの人が『白鳥』というキャラクタの魅力に魅せられている。どこか京極夏彦の榎木津と似た魅力で読むものを圧倒する。

既に映像化されそれを記念しての文庫化で、映画では『田口』は女性になっている。8月のDVD化が楽しみだ。

・「一見軟らかいが、内容は硬派
文章は軟らかいが、内容は新本格派真っ青。非常に面白く、ぐいぐいと小説世界に引き込まれていく。電車とかの空いた時間に読んでいるが、すぐに小説の世界に入っていける本ということでは、バッテリー以来。医療の専門用語なんかも気にせず読める。これらは、物語に余分なところはスパッと切り取っているからだろう。これから下巻だが、どうなるか楽しみである。今のところ、褒め言葉しか浮かんでこない。

・「強烈なインパクトのある作品
強烈なインパクトのある作品で、一気に読んでしました。 キャラクター、ストーリー、そして、そこにある緊迫感、リアリティと、どれを取っても最上級の作品でした。おまけに、現代医療の抱えている闇の部分をも表面化してゆくというテーマの面でも素晴らしい作品でした。 この本を読む上で先ず印象に残るのが、探偵役の白鳥圭輔である。一見常識はずれな言動を見せながら、“ロジック・モンスター”ぶりを発揮して、緻密な推理を組み立てて行きます。その相棒であるワトソン役の田口公平との凸凹コンビの組み合わせも魅力的です。 内容的にも、度重なる術中死が事故なのか、故意なのかという、その真実を求めて隠されたベールを一枚一枚剥がして行く手際のよさが、読み手を一層虜にしてゆきます。「手術室」という「密室」に近い状況の中で起こる「死」の真実は、読み進むものの興奮を誘います。 今年読んだミステリーの最高傑作の一つです。

・「とにかく面白い
映画が面白いと浜村淳が絶賛していたので、新幹線のお供に新大阪で購入。あまりに面白くて寝るのも忘れて、仕事が終わったら速く読みたいと思ってしまった。

医学関連の小説は読むと後味が悪い(医者が嫌いになる)ので積極的ではありませんでしたが、帯のセールストークや平積みになってるので外れはないだろうという軽い気持ちだった。

内容は他の方が書かれているので書きませんが、とにかく面白いの一言です。題材は病院や医者ですが不快感もなく万人に受け入れられる作品だと思います。

ひさしぶりに小説の醍醐味を充分堪能させてもらいました。作者はこれが初めての小説でおまけに本業は医者と聞いてあまりの才能にびっくりしました。

他の作品も早速読んでみようと思います。久しぶりに完全にノックアウトされた素晴らしい作品でした。

文句なく星五つです

・「文句なしのこのミス大賞。読めば分かる。
ベストセラーになるのもうなずける、最高のエンターテインメント小説です。ミステリーとしての質はイマイチですが、それを補って余りうる展開の面白さと、魅力的な登場人物たちにやられました。田口&白鳥コンビはお見事です。

こういうタイプのミステリ作家は、きっとこれまでにはいませんでしたよね。本格派でもなく社会派でもなく、また重すぎず軽すぎず、なんともいえない絶妙な立ち位置をキープ。そして圧倒的なリーダビリティで、読者を飽きさせることなく一気に最後まで読み切らせる文章力。久しぶりの天才肌の新人だと思います。#石田衣良がミステリを書くとこんな感じになるのかなあ。

あまりにサクサク読めちゃうので、ちょっとバカっぽい小説に思えてしまうところはご愛敬。誰が読んでも確実に楽しめる小説なので、万人にオススメです。逆に言うと、コアなファンが付くような強烈な小説にはなり得ない感じですかねえ。。

それにしても、なんでこの薄さで上下巻2冊組にするかな。正直そこだけが不満です。

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (詳細)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

・「楽しみなシリーズの誕生
 下巻も読みました。 前半の上巻も面白かったけれど、後半の下巻もかなり面白かったです。大満足。 食わず嫌いで読んでいなかったのを後悔する面白いエンターティナメント作品でした。前作では、病院側から愁訴外来の田口医師が探偵役として全員の聞き取り調査をしていましたが、目の前で手術中に患者が死亡、謎は解明できずという事態を受けやむなくギブアップ。厚生労働省からロジカルモンスターこと白鳥技官が派遣されてきます。 この白鳥技官という人物がキャリア組の公務員というイメージにまったくそぐわない、傍若無人・はた迷惑・トラブルメーカーといった感じの一見どうしようもない人物なのですが、そこはそれ、物語の牽引役として登場するわけですから、実はずば抜けた知性と行動力の持ち主で、バチスタ・チームの術中死の謎を明晰にズバズバッと快刀乱麻を断つがごとくに解決していきます。ただ、さきほどに書いたような人物ですので、尊敬と威厳を滲ませつつというよりは、助手に駆り出された田口医師も辟易するような捜査術でそれを行う訳ですが、それが破天荒で面白かったです。 医学ミステリというと堅苦しいイメージがつきものですが、そういう印象をばっさりと切り捨ててくれる一冊でした。続編も多々出ているようなので、文庫化を楽しみに待ちたい楽しみなシリーズとなりました。映画のキャストなんて吹き消すほどの出来でした。

・「『パラサイト・イブ』以来の衝撃
緊迫した展開で終了した上巻のスピード感は白鳥の登場によって更に加速度を増す。チーム・バチスタの面々は白鳥の力づくともいえるヒアリングによって有無を言わさず容疑者となり、心の奥底をえぐられる。心の外科手術とはよくいったもので、白鳥のメスはチームのほころびを次々に明るみにしていく。

現役医師だからこそ描ける医療の実態、そして新たな技術。医者だって一人の人間でしかない、ということをこれでもかというくらい見せつけられる。桐生ブラザーズの苦悩が本策の山場であろう。その後の真犯人確立までの盛り上がりは白鳥の存在が薄い分、長いエピローグの感じさえする。しかし、それはマイナス評価ではない。読み手の気持ちをクールダウンさせてくれている気さえする。

文句なしに面白い。田口&白鳥コンビの探偵劇はすでに続編が刊行中。しばらくは海堂作品にはまってみるのも悪くない。

・「説得力ある構成
上巻ではわからぬ謎ときが、下巻で、徐々に、絞りこまれ、明かされていく。明かされた内容は、確かに上巻で、伏線がはられ、そう解釈できるヒントがちりばめられている。説得力のある構成だ。

・「現場のノウハウが見事に本作では炸裂している
海堂尊のデビュー作にして第四回『このミステリーがすごい!』大賞を全会一致かつ数分で決定となった作品。作者はオートプシー・イメージング Autopsy imaging(Ai=死亡時画像(病理)診断)の重要性と医療制度への導入を訴え続けている現役医で、外科医を経て病理専門医となった人だ。その現場のノウハウが見事に本作では炸裂している。

文体が非常に軽く読みやすい。まさに現代向きの文体。それでいてストーリーの骨格はデビュー作とは思えないほど精緻だ。そして最も大切なキャラクタの作り込みが実に良くできている。おそらく多くの人が『白鳥』というキャラクタの魅力に魅せられている。どこか京極夏彦の榎木津と似た魅力で読むものを圧倒する。

既に映像化されそれを記念しての文庫化で、映画では『田口』は女性になっている。8月のDVD化が楽しみだ。

・「一気に読めるおもしろさ!特に下巻はおもしろい!
下巻は、主人公・田口に加え、白鳥が登場し、物語のおもしろさを倍加させてくれる!この2人の会話を読んでいるだけで実に楽しい気分になれる。

医療、病院をテーマにしながら、これほどまで実におもしろく、軽妙なタッチで描くミステリーは、もうおもしろくておもしろくて、一度読み始めたら先を読まずにはいられない。それでいて単なるエンタメ小説ではなく、いろんな現代的な医療問題のテーマも含んでいるからすごい。

ただ下巻の後半、事件が解決した後の話がちょっと長いかなという点だけが気に掛かったが、それでも実におもしろいおすすめ本であることに変わりない。

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (詳細)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

・「短編もいいが、長編もすごい。
横山作品の大半のベースにあるのは、よい意味での「おじさん視点」。がむしゃらな若い時期を過ぎ、それなりの社会的地位(でも超エリートではない)を得た一方で、理想と現実、あるいは組織と個人の狭間で悩む大人を描かせたら右に出るものは無い。

日航の墜落事故後の報道を題材に、人物の心理と葛藤を丁寧に描いた本作、ハッピーエンドではないけれども、説得力があり、納得の行く筋運びと相まって、読み応えあり。主人公は欠点も多いが、理想も忘れてはいない中年の新聞記者。組織に翻弄され悩むさまは、同じ社会人として共感を覚えます。

著者には珍しい長編作品ということもあり、横山作品に興味があるならば絶対に読む価値のある力作。

・「素晴らしい作品です
実際に起きた1985年の日航機墜落事故をベースにしており、当時事故現場の地方新聞記者であった筆者がその経験も踏まえて、筆者の分身とも言える新聞記者が主人公です。

この作品の素晴らしいところは、各人の人間臭さだと思います。新聞社の日常はわかりませんが、未曾有の大事故をものにするために奔走し、争い、そして時間とも闘い、そんな姿が生々しく臨場感・現実味を増しているのだと思います。そして最後におそらく筆者が伝えたかった、ごく当たり前のことを再認識させられました(読んでいる間に新聞記者目線になってまして。。)。

本当に素晴らしい作品です。

・「一気呵成にせまる傑作!人生とはなにかを考えさせられる。
 この小説が出たとき、作者の横山秀夫が当時実際に御巣鷹山の事故現場を取材したと聞いて読むのを躊躇っていた。おぞましい大惨事の現場を見る勇気がなかったのだ。 しかし、この小説には、作者が実際には見たであろう生々しい現場の様子がほとんど描かれていない。それを伝えるのが目的ではないからだ。 報道という「大義」の影に隠れたマスコミ社会の内実と浅ましくも愚かな人間社会通して、その中で生きる人間の苦悩する心の葛藤を描いている。 「下りるために登るんさ」という謎めいた言葉と共に、「一心に脇目も振らずに登り続ける・・・クライマーズ・ハイ」と対比させ、人生とは何かを示唆している。 最後の場面、悪く言えば「けれんみ」たっぷりであるが、素直に泣けてくるところが横山秀夫の魅力だろう。お勧めです。 

・「命の重さと報道のあり方を問う本格社会派小説の真髄!
本作品は横山秀夫の18番ではない。1985年の御巣鷹での飛行機墜落事故の全権デスクを任された男、悠木和雅をめぐる「事件記者ドラマ」ともいうべき大作である。帯には「心を揺さぶる横山秀夫の最高峰」という表題が付されている。本当にそうか、読んで確かめてみる必要があった。途中で、「これが最高傑作?読むのやめようか」と躊躇った。しかし最後まで読むしかないと思い直した。正解だった。ぐんぐん内容の濃さが増してゆく。全権デスクとしての誇り・苦悩・苛立ちといった、さまざまな人間の内面心理の克明な描写が、「自分がデスクにでもなった」気分へとテンションを高めてゆく。後半の読書スピードは速かった。飛行機墜落原因のスクープを突き止めながらもその掲載を見送り、他社に抜かれた時の失望感と後悔の念、時折挿入される友人の息子との臨場感溢れる登山状況とそこでの会話、墜落事件を社会面トップで扱い続けてきた悠木の前に現れた女子大生の生々しい言葉「人の命って、大きい命と小さい命があるんですね」(406頁)など、十分に読み応えがあり、そして読者であるわれわれに真っ向から問いかけてくる「命の重さ」と「報道というもののあり方」。かつて上毛新聞記者であった作者ならではの切実な問題意識に違いない。全権デスクによる、「どの命も等価だと口先で言いつつ、メディアが人を選別し、等級化し、命の重い軽いを決めつけ、その価値観を世の中に押し付けてきた」(410頁)という心の呟きは、作者自身が直面した状況を端的に述べた言葉ではないかと思うのだ。本書には余計な講釈は必要ない。深い感銘を受ける傑作(いや最高傑作とみなしてよい)である。多くの方が「読了」することを切望する次第だ。「クライマーズ・ハイ。一心に上を見上げ、脇目も振らずにただひたすら登り続ける。そんな一生を送れたらいいと思うようになった」(462頁)という文章で本文を締めくくりたい。

・「「割り切れなさ」に深く共感する
この作品に一貫したテーマは「割り切れなさ」じゃないでしょうか。悠木の性格と、悠木の更迭が言い渡される社内の最後のシーン。この部分が腑に落ちないという意見もありますが、私はむしろ最も象徴的に思えました。悠木はうっとおしい野郎です。徹底して自分の信念を貫けるかといえばそうでもなくまたその信念もよく変わり、部下に格好いいこと言っておきながら部下の為には死ねず、そのくせ説教はきっちり垂れる。弱くもないけど強くもない。軸はブレ続ける。こういう悠木のなんとも割り切れない性格に、理想化されないリアルな「凡人」を感じました。そして最後の「自分たちの日航デスクは悠木さんだけですから」と佐山が告げるシーン。これは決して佐山が悠木を全面的に許したという事ではなく、むしろ許せる部分と許せない部分がない交ぜの愛憎入り雑じった師弟関係だという事を作者は明らかにしたかったのでしょう。それまで完全に佐山の信を失っていると思い込んでいた悠木はその言葉で少しだけ救われる。佐山に対し完全な善でも完全な悪でもなかった悠木ですが、私たちの実際の人間関係もまさにそんなことばかりのように思えます。その関係が濃ければ濃いほど。この作品、単純に日航ジャンボ事故とそれに揺れる新聞社、と捉えて読んだとしても充分に面白いのですが、作者の描く「原色でないリアル」も非常に重要なテーマだと思えるのです。

クライマーズ・ハイ (文春文庫) (詳細)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

・「この作品における不遇な高校教師“石神”の描写は素晴らしい、現実的で悲しい。エンターテインメントとしては好い。
この作者の「ガリレオ」シリーズは全部我が家にありますが、読むのは家族で、私は主人公天才物理学者の名前の付け方の安易さが厭で読みませんでした。しかし、この作品では、主人公より、天才的な頭脳を持ちながら、結局は、高校の数学教師という不遇な日々を送る”石神“の描き方が、精神面も含めて非常に現実味を帯びていて悲しい。これは論理的に生きてきた男の性でもある。作者の描写は成功していると思う。エンターテインメントとして楽しめました。

・「●数学って、実に面白い!!
事前に『数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!』を読んでいたためか、文系出身の私でも、かなり楽しく読めました。数学的思考力によって「サキヨミ」ができる能力があると知っていると、天才数学者・石神の思考過程や行動が非常にリアリティーをもって感じることができました!

数学って、こんなにもスリリングでサスペンスな実用的な思考の訓練を学べる、超実用的なものだったのですね!私の人生は、これまで損をしていたように感じました。

理系のかたが書く本って、実にわかりやすくていいですね。ワクワクしながら読めました。これなら映画のほうも期待大です!

・「トリックは純愛
トリックを知った時鳥肌が立った小説を月に20冊は読む僕は推理小説を読むとトリックが解る事があるこれは全く想像もつかない展開そして想像もつかないトリック東野圭吾には感服推理小説でもこれ以上に凄い作品はもう出ないだろうと思う

・「完璧なトリックと不完全な人間
タイトルと背景、人物設定、トリック、その全てが見事な計算のもとに絡み合っている。ここまで無駄なく完璧に組み立てられた小説は他に知らない。これだけでも、十分すぎる程すばらしいが、その上に、繰り広げられる人間模様との対比がまた深みを持たせている。計算しつくされた、完璧で無機質な流れの中で戸惑う、不完全で有機的な人間心理。まさに傑作。

・「映画を見てから本を読みました 
映画をみまして、いろんな方から「本もいい!」と伺い、読んだ次第です。

原作を読んでしみじみ、映画は結構原作に忠実だったんだなあ。と思いました。まあ、映画は柴咲コウがいたので、じゃっかん設定は違いますけど。

草薙が絶対に必要だったので、北村一輝が出てたのはわかりました。・・・まあ、やはり品川とか真矢さんは必ずしも必要ではなかったな…というのもわかりました…。

それにしてもガリレオ先生。本で読むほうが頭よさそうです。まあ、いったセリフがくっきりと残っているからかもしれませんが。

そして、石神が花岡靖子の涙に吠えたあのシーン。

期待しすぎていたのか、そこは結構普通でした。それよりも、石神から花岡靖子にあてた手紙。あそこで涙がふっとでてきました。

終わり方は少し映画のほうが先までやっていましたが、原作の終わり方もとても情感があってよかったと思います。

よかった、と表現するには、とても切ないような悔しいような悲しいような、妙な気分ではありますが…。

容疑者Xの献身 (文春文庫) (詳細)

白夜行 (集英社文庫)

・「なんとも形容しがたい
 桐原亮司と西本雪穂。二人が小学生から大人になる十九年間の物語。高度成長末期からバブル経済の時代まで。彼らが歩む人生の周囲では、次々に不幸になる人々がいる。人々を絶望の泥沼に蹴落としながら、雪穂は睡蓮のように美しく咲き誇っていくのだ。 二人の主人公と読者の間には、レースのカーテンのような物が揺らめいていて、その姿ははっきり見えない。 特異な小説である。主人公二人の心だけが、一切描写されていないのだ。その周辺でもがく人々の主観を介してしか、亮司と雪穂に辿りつけない。

 テレビドラマに引き込まれて、一気に読破した。過去にドラマ化不可能などという形容の小説は幾多もあった。しかし、本当に不可能な小説に出会ったのは初めてであった。 亮司と雪穂という主人公の人生には、殺人事件、レイプ、失踪、ハッカー犯罪などの事件が溢れている。最後のピースがはまった時、それらが純粋な魂から溢れ出た「果てしない悪意」だと読者は知る。 この小説と、放送が開始されたTVドラマとは、全てが違う作品になっていくだろう。小説だけの読者は、雪穂たちから、究極の悪意の快感を覚える。TVドラマだけの視聴者は、絶対的な純愛に感動するだろうからだ。そして両方を知った者は、鏡のように全てが正反対の、原作とTVドラマの特異なコントラストにくらくらと酔う。 小説とTVドラマが意図的に乖離せざるおえない作品。 昔、映画の「風と共に去りぬ」観た。その後に原作を読み、映画版のできの悪い模造品に感じた。これとは対照的に、百夜行は原作と映像作品が別個に独立した作品となっていた。両方とも鑑賞される事を強くお勧めします。

・「じっくりと読ませる悲劇
仕事の合間を縫って、2日間ほどで読み終えました。最近この本を手にした多くの方と同様、私もドラマを見て、関心を持った一人です。 (売り切れの書店ばかりで大変でした)

読み終えて、真っ先に思ったのは、「ドラマを見る前に読めばよかった」という後悔でした。

ドラマの最初のシーンが本のラストにあたり、更に徐々に浮かび上がってくる二人の関係が、ドラマの初回で既に描かれてしまい、読みながら考えていく楽しみが減ってしまいました。また、読みながら俳優さんたちの顔が浮かんできて…(苦笑)

雪穂と亮司のふたりを決して同じ場面に出さず、出来事と周囲の人間の発言だけでつながりを浮かび出させていく…笹垣の口を通して描かれる解釈すら真実なのか?

あくまで最後は読者それぞれで彼らの人生を考えろ、というのが作者の狙いなのでしょうか。

確かに雪穂には人間の「情」というものが微塵も感じられません。心を失った彼女が、分身である亮司まで失ってしまった。美しいただの抜け殻であり、これから先の彼女の人生は、延々と続く悲劇でしかないでしょう。

全く救いがない物語ではありますが、救いのない悲劇をここまで描ききったことは見事としか言いようがないと思います。

最後に、この本とドラマは、全く別物として、それぞれ楽しんだほうがいいと思います。

・「活字でこそ深く味わえる物語
文庫版を解説している馳星周氏は本書をこう評している。「人間の暗い側面、邪な断面、人間のそうした性質を助長する矛盾した世界。それを描くのがノワールだと定義したならば、『白夜行』はもはや、ノワール以外の何ものでもない」そう、「白夜行」は紛れもなく上質のノワールなのである。暗黒街やマフィアが登場する作品ばかりがノワールではないのだ。

20年にもおよぶ亮司と雪穂のダークで沈鬱な物語。2人の人生には常に不気味な犯罪が見え隠れする。しかし、読者は2人の心の闇、心の傷をうかがい知る事はできない。小説には2人の内面はいっさい描かれていないのだ。冷たく、重い物語だ。出口がなく、救いのない物語だ。読後の爽快感はない。だが間違いなく後をひく傑作だ。

この名作がドラマ化されるという。小説では2人の内面描写がなく、余計な説明もないからこそ、深い読後感を味わえる構造になっているのだ。陳腐な純愛ドラマに貶められないか、非常に心配である。

この重い世界観は活字だからこそ味わえるものではないだろうか?表現手段が違うのだから、ベストセラー小説を何でも映像化するのは反対だ。活字だからこそ表現できるものもあれば、映像にしか表現できないものもある。「白夜行」は活字でこそ生きる物語だと思う。

・「日の当たらない青春を生きた大河小説
2回読破しましたが、2回とも変わらず楽しめました。舞台が私の住居と近い東大阪であることもひとつの要因として、のめりこみました。二人の人生の中で描かれている社会現象も懐かしく、共に時間をすごしているような錯覚すら覚えます。

懺悔のためか、決して太陽の下に出られないような人生を選び、愛するがゆえに影から守る。決してハッピ―エンドにはならないと分かる半生を生きるには勇気、絶望どちらが必要なのでしょうか?

著者の最高傑作のひとつであるのみならず、日本のサスペンス小説の宝であります。

・「読み取ることが大切。
書評を読んでから小説を購入し、読みました。主人公の二人からの細かな視点は、この小説に必要では無い、と私は感じました。

なぜなら、たくさんの登場人物たちの複雑に絡み合った関係。過去の事件の真相を探る上で知りえる情報。二人の台詞。事細かに描かれており、たくさんの章があって大変だとは思いますがそれらをしっかり読み取ることで、二人の関係や想いを感じることは、できるからです。

この小説に、「雪穂はこう思った」「亮司は雪穂に対してこうこうこういう気持ちだった。」なんて視点があったら、野暮だしおもしろくはありません。

それから、ネタバレになるので詳しくは書けないけれど、二人がそれぞれ違うシチュエーションで、違う相手に向かって言う、同じ意味の言葉があります。それが唯一、二人の関係を示すものとなるのではないでしょうか。

この小説を読み終わったとき、私は村上龍氏の「コインロッカー・ベイビーズ」を読んだときと同じような気持ちになりました。生きるため、自分を守るため、誰かを守るためのエネルギー。様々な策略が感じさせるダークな部分。そういう点が共通してるのではないでしょうか。

素晴らしい小説だと思います。

小説の内容とは無関係だけど、文庫本は上下に分けて欲しかった。。。あのページ数の文庫本は手に持って読むのに向いてません。

白夜行 (集英社文庫) (詳細)

探偵ガリレオ (文春文庫)

・「ドラマより面白い!
ドラマが面白かったので、読んでみました。ドラマとはまたイメージが違うんですね。ドラマだと理系的な会話が雰囲気だけで物足りないです・・・でも、ついて行けない人がかなり出そうだし。ドラマで面白いと思った人は、一度読んでみて欲しいです。本のほうがずっと深みがあります。

・「何となく得した気分になれる本
いきなり後頭部から発火したり、海上に火柱が立ったり、心臓だけ腐った死体が見つかったり…事件のきっかけは、警察も手を焼く超常現象。けれど、天才物理学者・湯川助教授の手に掛かると、「合理的」かつ「理論的」な説明で、いとも簡単に解決してしまう。

事件だけ見てると、これは確実に完全犯罪だったのにね…と思わず犯人に

同情してしまうくらい、凝った計画犯罪だったりします。

事件はオカルトっぽいですけど、内容は至って読みやすいミステリーです。

理系嫌いの人間でも、湯川助教授のキャラクターは好きになれると思います。内容は面白いし、豆知識は得られるし…お得な推理小説です。

・「実に面白い
新しいドラマ“ガリレオ”のオリジナルな本。僕は日本人じゃなくて、日本語もペラペラできませんのに、この本のことが大好きになりましたよ。でも、もしあなたは科学って大好きじゃなければ、少し分かりにくくなりますね。そうですけど、本当にすごかった本ですよね。カナダから日本の本屋まで行ったの僕、実にこの本は最高のプレゼントだったと思ってます。話毎は短かったから、特に僕のほう、読みやすくにしました。

唯一つのことって残念と感じてます…僕はこのシリーズのことをわからなかったから、続きの『予知夢』などを買いませんでしたよ!!もしかして日本へ再び行かなければいけませんの?!高いから… :(

・「理系東野
理系東野圭吾氏ならではの作品。

東野圭吾氏の作品は取り扱う題材の幅の広さが凄い、ということはよく知られていることだ。デビュー作は学園を題材にしたものであったために出始めの時はその方面の作家と思われていたが、その後の作品を読むとどれもこれも全く違う作品。”前に読んだのに似てる”ということのない稀有な作家の一人である。

 今回の作品は短編集。大学の教授と刑事というコンビが謎を解く。理系東野の理系的推理、そして理系的解答。実際科学的にこうなったのだと証明される過程はスリリングである。東野氏の作品のなかでも一押しの作品。

・「面白いです。
これが私の東野圭吾初作品だったのですが見事にはまってしまいました。刑事の草薙は不思議な事件が起こったので、大学時代のテニスサークルの友人で物理学科助教授の湯川の所へ向かいます。いつも湯川は人の気付かない所に気付き科学によって事件を解決します。こんな事普通の人間が出来るのか?という疑問もありますが、面白いミステリーだと思います。

探偵ガリレオ (文春文庫) (詳細)

予知夢 (文春文庫)

・「東野作品の真骨頂
数々の難事件を物理学者の湯川が解決していきます。 東野さんの作品はやはりこのようなミステリーものが一番です。 ついつい物語の中に引き込まれていきます。 このようなトリックを次々と考え付く東野さんはすごいです。

・「超常現象のようなことも科学的に解決!!湯川教授の推理の冴えを堪能しました!
ガリレオシリーズの第2弾短編集です。

不思議さが増した、オカルトめいた事件が起こります。草薙刑事も頭を悩ませたのでしょう、物理学教授湯川のもとに飛んでいきます。

それを文系人間にも分かるように、時に実験しながら解明してくれる時の爽快感はたまりません。

前作よりも登場人物たちの内面が描かれ、そちらのほうが好きな方(私もそうです)も楽しめるかと思います。

ある時期からぐらぐらゆれるようになった家の事件は、とても謎めいていて、真相はかなりどろどろしていて、いい雰囲気でした。ふたを開けたら真相は単純なのですが、解明されるまで落ちが分からないのが本当に巧妙。(単に私の勘が鈍いのかもしれませんが)

どの短編も非常に面白いのに、読む時のストレスが少ない秀作だと思います。

・「読み出すと止まらない
警察が解けないオカルト的な事件でも、ガリレオこと湯川助教授にかかれば科学的に立証されてしまう。メインの主人公は草薙刑事(殺人課)だと思うのですが、湯川の前では無知なイメージがついてしまう。これは探偵物の刑事の悲しい宿命か。それでも草薙は不可解な難事件を解決すべく、理工学部物理学科第十三研究室のドアを開ける。今回も事件には予知夢や幽霊といったオカルト的な出来事が起こっている。短編なだけに少し読み進めれば犯人が誰かわかってしまうが、内容は短編ミステリとしては面白いと思う。読み出せば一気に読めてしまうが、一気に読めるのは面白い証拠なのでは?ガリレオシリーズの続編は長編ミステリなので、そちらも読みたくなった。長編で草薙と湯川の活躍が楽しみです。

・「読みやすい短編集
TVドラマのDVDを見てから原作を読むことにしました。こちらは、原作の2冊目になりますが、TVドラマはこの1冊目と2冊目の全10話を元に作られています。

順番が違うのでまずは対比をしておきましょう。「予知夢」→TVドラマ1章 霊視る→8章2章 夢想る→6章3章 騒霊ぐ→3章4章 絞殺る→5章5章 予知る→7章

TVドラマを見た方へのレビューのつもりで書きます。前作も同じ感想でしたが、そもそもドラマとは湯川の事件への取り組み姿勢が違います。学友だった草薙刑事には協力的に活躍します。短編ということもあり、無駄な時間がないため、トリックはわりと短時間で解かれることが多くなります。原作だけでは湯川の人物像をきちっと捉えることは難しいでしょう。かと言って、ドラマとは全然違う雰囲気があります。純粋にトリックを楽しむという読み方が良いのだと思いますが、ドラマと種明かしは同じなので、TVドラマを見た人にはその楽しみが半減します。ただし、人物関係は多少違ったり、動機も変わっていたり、犯人が違っていたりしますので、そういう発見をして楽しめます。

1作目よりも若干薄くなっていますが、こちらの方が読みやすく感じられました。少々オカルトちっくなネタになっていますが、何故かそういう事件になると草薙は湯川を訪れます。最後には湯川の影響で、オカルトを科学で解明できるというような発言に、湯川も驚かされています。不思議に思える現象、偶然に思える現象も、それが実は必然的なものだと考えれば、そこに人の意志があり、事件の裏があるということです。小さな疑問から一気に推理を広げていく様が、湯川の本領という感じで面白いです。

・「ドラマ『ガリレオ』シリーズを観よう!
この書と、前作『探偵ガリレオ』を、徹底解体し、愉快なドラマ『ガリレオ』が誕生した。草薙警部の代わりに、可愛い柴崎コウが新米女性刑事として、福山雅治演じる湯川学と組んで難事件に取り組んでいく。快適なテンポと内容の分かり易さは、この小説を凌駕している。ドラマ『ガリレオ』を観た者としては、ドラマのために書かれた小説と思ってしまう。ドラマと小説を比較するのは、まことに贅沢な遊びである。手抜き無く、思いっきりふくらませたドラマ『ガリレオ』をご覧になることをお薦めする。本当に面白いのだから。福山と柴崎の魅力が最高に引き出されていることを保証する。

予知夢 (文春文庫) (詳細)

闇の子供たち (幻冬舎文庫)

・「こどもの後ろ姿に、複雑な思い。
「これは小説なんだ…」何度もそう思いながら読み進めました。

この小説はタイを舞台に幼児が売春宿に売り飛ばされ、挙げ句生きたまま臓器売買されるというショッキングな内容と並行して、それを阻止しようとする現地NPO団体の苦悩を描いたものです。 あまりにも後味の悪い結末とともに途中何度も憤怒の涙を流した私は、気になって他の方(有名無名を問わず)のレビューも読んでみました。 大体が「取材不足」や「リアリティ不足」などとありましたが、ルポルタージュではないにしろ、ここまで肉迫した文章を小説として世に出した梁 石日氏に私は拍手を送りたい気持ちでいっぱいです。

なぜなら、フィクション、ノンフィクションの違いはあれど、火のないところに煙は立たないのです。 取材不足といわれる所以となった現実味に乏しいと言われる文脈も、あえて『小説』という仮面をかぶせたら普段問題意識のない市井の人にも提起できると感じたからです。 それは普段平和の中に身を委ねた私自身が、作中涙も枯れ果てたこども達に魂を重ね合わせられた瞬間だったからです。

・「終わりなき戦い
「幼児売買春」「人身売春」「臓器売買」という事実があることを知っていても、その中身がどういうものかまでは知りませんでした。自分が空の上から一部始終を見ていたかのように錯覚してしまうほどの詳細な描写。買う側の大人は醜い私欲のために子供達を物として扱い、使い捨てることに微塵も心を痛めない。そして、売る大人(親)も貧しいのだからしょうがない、子供が働くのは親孝行という認識。その先に待っているのが売春やエイズ、死であることを知っていても。とても恐ろしい現実です。日本の日常からは信じがたい内容に、初めは(こんなことをして良いはずがない)、(なんてひどいことを)と思っていたが、読み進めていくうちに驚いたことに(これはフィクションなんだ)と思ってしまう自分がいた。だが、実際にアジアでは日常的に起きている問題であり、目を背けず現実として受け止めなくてはいけません。この本を読んでひとつ気がかりに思ったことは、世界各地にペドファイルが存在しているという背景があるなかで、これほど性的描写がきつい文章を読んだ隠れペドファイルの人が「なんだ、自分以外にもこういう人がいるじゃないか」と安心したり、幼児性愛に興味関心を持ち“新しい愛”に目覚めてしまう人もいるのではないかということでした。

個人的な感想としては、このような形で終わって良かったと思います。へたに終わりを与えてしまえば、著者が伝えたいことが嘘になってしまうように思います。音羽恵子は今やっと、彼女自身が戦いのスタートラインについたに過ぎません。闇の中にいるのは、子供達だけではなく彼女もなのです。そしてこれらの問題も。今夏、映画化された。それが日本での一過性のできごとで終わってしまうのではなく、アジアの国々の一般の人々の間でも認識され、人としてやってはいけないことであると意識が変わっていってくれればと切に願います。

・「事実をベースにした小説だからこそのリアル感
事実の裏づけがある程度あって、それをベースに小説にしたてあげたものだと思います。だから内容にリアル感があります。私はタイ周辺でNGO活動をしていますが、その私がそのように感じました。作者はよく調べたんだろうな、と感じました。さて、読まれた方の中には、問題の深刻さの一方で、自分の無力感を強く感じる方が多くおられるのではないかと思うのですが、しかしだからといって何もできないわけではありません。この小説を読んで、人身売買も実は農村の貧困に根本的に大きな原因がある、ということが理解いただけたものと思います。子どもを売るほど貧しくなければこのようなことは起きないわけですから。なので農村の貧しい人々がまともに生活していけるような活動をしているNGOの支援をしてはいかがでしょうか。簡単に、かつ根本的に子どもを救う方法だと思います。

・「国際協力とは
本書ではアジアの闇の部分をよりリアルに描写しているとともに、海外でボランティア活動を行う者にとっても考えさせられる内容も盛り込まれている。

アジアの最底辺で行われているもの。後を絶たない人身売買や児童買春、そして臓器提供の真実。しかし一見残酷そうに見える一方で、明日の希望も見出せない人々の魂の叫びのようなものが随所に感じられる。また、この宿命ともいえる先進国と途上国の関係性をリアルなままに描いている。さらに、一向に解決の糸口が見えないこの諸問題に対し「1人でもいいから助けたい」というようなNGO職員のひたむきで純粋な姿勢と葛藤の日々をこれまたリアルに描いている。

衝撃は文中最後の南部の台詞である。あくまで日本人という台詞はボランティア経験者にとって一番触れられたくない部分であろう。最後の音羽恵子とのやりとりは、NGOの困難さや脆弱な部分を生々しく示している。

また、これは映画として実写化されているが、映画の中でも新聞社社員の清水がNGO活動をする音羽に対し「どうせ自分探しだろ」という台詞に、ボランティア活動が世のためではなく自己実現の手段として成り立っている現実をさらけ出している。しかし、NGO所長のように本当に奮闘している人が大半であると思うが、興味本位の国際協力活動がいろんな意味でどれだけ危険であるかを示している。

・「 無知は最大の罪
 この作品に出会ってから、私はもう前の無知な自分には戻れなくなった。

今、その刹那にも大人達に汚され、弄ばれ、傷つけられ、エイズになるか、臓器売買か、もしくは薬の副作用か、いずれにしても成人出来ないであろう子供達。

目を閉じると、私も闇の子供達となった。彼らの恐怖、砕け散った精神と生命力、絶望、生き地獄、子供達の叫び声、声にならない悲しみ、汚された傷の痛み、殴られた打撲、薬の副作用の猛烈な嫌悪感

そして変わる価値観。つまりエイズになれば捨てられる。外にでられる。やっと死ねる。良かった。臓器売買で心臓を失えば、眠ったまま死ねる。もう、お客の相手をしなくてもいい。良かった。。。と。

売春、買春をする動物は人間だけです。人の英知を何故そんなことに使うのでしょう?

児童ポルノ、児童買春は犯罪です。子供達を守れるのは、大人だけです。子供達が豊かな精神状態でない国は滅ぶでしょう。

これからは、今までの無知を脱却し、子供達の人権を守る運動をすすめようと思う。

無知は最大の罪であるから。こんな悪夢は青い地球への冒涜である。

闇の子供たち (幻冬舎文庫) (詳細)

越境捜査

・「ラストが痛快で読み応えあり
時効間近の殺人事件と消えた12億円、その金が警察の裏金としてそっくり県警の裏金庫の中に・・?実際に裏金問題の話題が後を絶たないだけにリアリティがあって面白いです。誰が味方か敵か、最後までわくわくしながら読めます。消えそうな胸の奥のなけなしの正義を燃やす鷺沼と、不良デカ、味のあるやくざ、それにシーサーそっくりのちぃワル親父田浦、個性的で憎めない面々と爽快なラストでじめじめした雰囲気にならず、読後感の良い作品です。この方の作品では女性がひどい目に遭ったり、無意味に残酷な場面がないので、安心して読めます。オススメの一冊です。

・「殺人犯を突き止めるまでの道筋がよかった
消えた12億円と殺人犯を突き止めるまでの道筋が非常にしっかりしていて、リアリティがあってとてもおもしろかった。誰が味方で誰が嘘をついてるのか、読み応えのある展開でハラハラした。工場に閉じ込められて爆破される場面は手に汗握った。ただ、最後があっけなかった。それまでの流れから黒幕が一人で乗り込んでくるのはちょっと考えられない展開だし、黒幕があっさりとお金を奪われてしまうのもイマイチ納得できなかった。それでも最後までの展開がおもしろかったので評価は5。

・「なかなかおもしろかった
ラスト近くの端折り方と強引さは、今ひとつですが、話の展開が早く、おもしろいです。暇つぶしっぽく、読みたい向きには丁度良いです。結末は、個人的には好きです。中心の事件が無さそうで、十分あると思わせる内容なので、結構リアリティを感じました。福富当たりをスピンオフさせてもおもしろいかもしれません。北方謙三のブラッディドールシリーズみたいにしてもよいと思います。宮野のキャラ設定が甘いのは、残念な気がします。次回作でも系列作を期待します。

・「今はやりの警察小説
物語の展開にはスピード感があり470ページのボリュームにもかかわらずほとんど一気読みできました。主な登場人物の特捜刑事の鷺沼、不良刑事の宮野、横浜の暴力団幹部の福富など個性的な面々が消えた12億円にせまるかけひきが非常におもしろい。もう少し登場人物の書き込みが十分に書かれていたら星4つはいけたでしょう。残念なのはラストの黒幕の処理の仕方があまりにもあっけなくかなり拍子抜けしました。金髪、ピアスでチョッとカマぽい話し方の宮野でもう一本読んでみたい。

・「イマイチ・・・
話の題材としては非常に興味があり、楽しめたのですが、全編通しての芝居がかったセリフ、宮野の軽いノリの不良刑事というよりもどこかオカマっぽいしゃべり方やキャラ設定(料理好きな点等)、黒幕との強引な決着の付け方等々、いまいちリアリティーを感じることが出来ず、また悪い意味での裏切り感もなく、のめりこめませんでした。ただ、テンポのよさと結末のハッピーエンド感には好感がもてました。

越境捜査 (詳細)
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