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▼読んで楽しかった本:セレクト商品

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫) (詳細)
京極 夏彦(著), 山口 雅也(解説)

「第2弾にして、早くもシリーズ最高の出来。」「三重苦を乗り越えて、傑作!」「今回も京極さんの世界に はまらせてもらいました」「背筋の凍る重苦しさ」「思った以上!!癖になりそうっ!!」


文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫) (詳細)
京極 夏彦(著)

「傑作:「陰陽師」対「禅問答」」「なんとも鮮やか」「シリーズ中一番の完成度」「読めば「禅」の理解が確実に進む。」「「姑獲鳥の夏」以来の衝撃の再来」


慶安太平記 (光文社文庫)慶安太平記 (光文社文庫) (詳細)
南條 範夫(著)


吉原手引草 (幻冬舎文庫)吉原手引草 (幻冬舎文庫) (詳細)
松井 今朝子(著)

「花魁は何故消えた?」「真相は・・・藪の中?!」「面白い」「するする入る」「この手法、巧みなり。」


吉原御免状 (新潮文庫)吉原御免状 (新潮文庫) (詳細)
隆 慶一郎(著)

「隆慶一郎の原点」「夢の都-吉原-」「知的エンターティメント時代小説」「この作者の新刊が読みたかった」「敬愛する作家の処女作です。」


月と六ペンス (光文社古典新訳文庫)月と六ペンス (光文社古典新訳文庫) (詳細)
ウィリアム・サマセット モーム(著), William Somerset Maugham(原著), 土屋 政雄(翻訳)

「土屋政雄氏の訳について」「秀逸な解説」「モームを今まで知らなかった自分にびっくり」「毒舌を尽くした語り口によるある画家の人生の謎」


小森生活向上クラブ (双葉文庫)小森生活向上クラブ (双葉文庫) (詳細)
室積 光(著)


駿河城御前試合 (徳間文庫)駿河城御前試合 (徳間文庫) (詳細)
南條 範夫(著)

「祝!復刊!!」「読み応えある『シグルイ』の原作本」「真剣をもった総合格闘死合」「短編小説は苦手だが」「狂気」


燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫) (詳細)
司馬 遼太郎(著)

「男子必読の一冊」「心に歳三が住み着いてしまった」「目に見える表現で」「長編時代小説入門に最適!」「普遍的な美しさ」


雨の日も、晴れ男 (文春文庫)雨の日も、晴れ男 (文春文庫) (詳細)
水野 敬也(著)

「ゾウより面白い!」「「災いを転じて福となす」のことわざ通り!」「光」「引越し野郎」「『夢をかなえるゾウ』はまだ読んでません。」


夜市 (角川ホラー文庫)夜市 (角川ホラー文庫) (詳細)
恒川 光太郎(著)

「ダークファンタジー」「素晴らしい才能」「身に覚えのある罪悪感・・・・・」「心地いい幻想小説」「幻想ホラー小説」


嗤う伊右衛門 (中公文庫)嗤う伊右衛門 (中公文庫) (詳細)
京極 夏彦(著)

「日本語って素晴らしい!!」「美しい魑魅魍魎の世界」「心に何かが残ります・・・。」「愛の成就に嗤う」「久しぶりに「読むのを止められない」本でした」


輪違屋糸里 上輪違屋糸里 上 (詳細)
浅田 次郎(著)

「傑作」「浅田版「藪の中」と思いきや・・・・・。」「毒性や・・・」「最高傑作!」「心に染み入る一品です」


壬生義士伝 上   文春文庫 あ 39-2壬生義士伝 上 文春文庫 あ 39-2 (詳細)
浅田 次郎(著)

「浅田次郎、会心の一作(かな?)」「長編では、浅田さんの本で一番好き!」「涙でかすむ文字」「初めての浅田作品に泣かされた」「人生で出会ってよかった本」


火車 (新潮文庫)火車 (新潮文庫) (詳細)
宮部 みゆき(著)

「再読する価値あり!」「最高の一冊」「自らが居合わせてしまったような緊迫感」「最高傑作!」「読み応え十分」


理由 (新潮文庫)理由 (新潮文庫) (詳細)
宮部 みゆき(著)

「私的に宮部作品の最高峰」「家族という単位からはずれると」「宮部みゆきさんらしくない?」「この作品を読まずに現代ミステリーは語れない」「家と言うものは器に過ぎないのです」


日蝕日蝕 (詳細)
平野 啓一郎(著)

「気負いはあるが良作」「私は好きです」「合理の果ての非合理 理性の果ての非理性」「平野クン」「ハリポタやダ・ヴィンチ・コードに通ず」


ブリッジマンの技術 (講談社現代新書)ブリッジマンの技術 (講談社現代新書) (詳細)
鎌田 浩毅(著)

「バカの壁を乗り越えるには?」「「今・・イライラした?しない?」」「小さな意地を張って失敗することの多いプライド高き科学者諸兄へ」「科学者のコミュニケーション術」「いい事言うなあ。人と人の間には、溝があるので橋をわたすんだね。」


畑村式「わかる」技術 (講談社現代新書)畑村式「わかる」技術 (講談社現代新書) (詳細)
畑村 洋太郎(著)

「長く1つのことをやっていてでた教訓」「独特のようだが本質的」「「わかる」を理解する」「思考の枠組みを与えられた感じ」「自分の知識や経験を整理することから始めてみよう。」


薄桜記 (新潮文庫)薄桜記 (新潮文庫) (詳細)
五味 康祐(著)

「こんな佳作があったのか!」


新装版 戦雲の夢 (講談社文庫)新装版 戦雲の夢 (講談社文庫) (詳細)
司馬 遼太郎(著)

「なかなかの合戦ぶり」「長曾我部盛親の心の中」「主従の友情の物語」「己の器を賭けて」「.」


黒衣の宰相 (文春文庫)黒衣の宰相 (文春文庫) (詳細)
火坂 雅志(著)

「野望のままに生きる」「飽くなき野望」「権力とは何か?」「黒衣の宰相」「大名僧という新しいジャンル。戦国武将よりも強い光と影」


一夢庵風流記 (新潮文庫)一夢庵風流記 (新潮文庫) (詳細)
隆 慶一郎(著)

「男ならば誰もが憧れる生き様。女なら誰もが惚れる男っぷり。」「男の生き様。その美学。」「傾奇者 前田慶次郎の生き様(漫画 花の慶次-雲のかなたに の原作)」「未履修問題で補習を受ける高校生に読んで欲しい。」「読んだ後に爽やかさが漂うこの一冊」


▼クチコミ情報

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

・「第2弾にして、早くもシリーズ最高の出来。
京極堂シリーズ第2弾。

シリーズ第1弾『姑獲鳥の夏』で表された登場人物それぞれのキャラクターが、この作品でより濃くなり、固まっていく感じなので、やはり本書を読む前には『姑獲鳥の夏』は読んでおきたい(もちろん、本書を独立して読んでも十分に楽しめる)。

このシリーズ(というか京極夏彦氏)は、本当に多様な分野を扱ったストーリーを描く。作者自身はどういう意図でこのシリーズを書いているのかわからないけれど、個人的にはこのシリーズは啓蒙の書だと思っている。つまらん常識を覆す、という意味で。

特に本書は、(メインテーマとは少しズレるけれど)一般的な「犯罪者に対するイメージ」を覆そうとする作者の意図がよく見て取れる。そういう意味で、できる限り多くの人が本書を読んで欲しいなあと思う。評者は、テレビのコメンテーターやなんかが犯罪者を異常者扱いするのを観て、さらにそれらを無批判に受け入れる人間をみて、毎度ムカついているタイプなので、同じような方は本書に共感できるところが多いはずであるし。

評者は推理小説が好き、というわけではないので、本書のトリックや推理が推理小説として成功しているかどうかはわからない(この点、他のレビューでは良い風に評価していないものもあるようだ)。ただ、ストーリーの奇抜さ、それに伴ってついてくる知識、ボリュームがあるのに一文の無駄も無い構成etc...秀作が多いこのシリーズの中でも、本書の「面白さレベル」は群を抜いていると思われる。個人的にはシリーズ最高の出来。

なぜ商品の評価を「星5つ」までにしかできないのだろう・・・残念。

・「三重苦を乗り越えて、傑作!
京極夏彦の作品と言えば、「重い、暗い、長い」の三重苦。文庫のくせに携帯に適していないこの厚さ・・どうなってるの?

しかし、ご安心ください。この作品は一気に読めてしまうから。とにかくストーリーに勢いがあります。途中にお勉強になることがはさまれていません。(あんまり)

だから、宗教?戦後?妖怪??と??続きで、キーってなりそうな人および、京極作品は初めてなのって方にお勧め!レギュラー陣もほぼ出てくるし、ばっちりです。どうぞ、夜を徹してはまってくだされ。

・「今回も京極さんの世界に はまらせてもらいました
前作を読んだときもそうだったが、このシリーズを読んでいると、自分が京極堂のように理屈っぽくなる。そう、僕は影響を受けやすいのだ。それでいて、榎木津の特異性にもすごく惹かれる。また、木場の人間味もいい。

今回も登場人物がそれぞれ良さを出していて、おもしろかった。この作品は一度読み終えた後で、読み直すのがまたたまらなく好きだ。なるほど、こういうことだったのね、と繋がりを見つけながら読むと楽しい。今回読み直して思ったのは、人がすれ違う悲しさ。本音を語っていても、他人にはぜんぜん届いていないことが悲しい。

・「背筋の凍る重苦しさ
 人には開けてはならぬ箱がある。 あの超論理的かつ合理的弁舌を振るう京極堂があいまいな話をしてまで語るのを避ける箱。 善くない、後味が善くない

 確かに。 全てを読み終えて事件が解決してもなお残るこの重苦しさ。 魍魎という断定しきれないあいまいな憑き物に惑わされた人々は彼岸の間を揺れ動く。いったん越えてしまえばいくところまで逝ってしまう背筋の凍る恐ろしさ。 核心が箱へ向かうのを避け、最後まで秘密を明かそうとしない京極堂。箱とは何か。 事件が解明されていく憑き物落としの中で、その箱の全貌のあまりの凄さによろめき、または嘔吐しかけ、震え出す者達。やっぱり健在の関口の狂気。そして箱の中身を知っていても魍魎の誘惑に惑わされる事のない陰陽師京極堂。 箱とは開けてはならぬものなのだ 連続して起こるバラバラ殺人事件や新興宗教、箱型の建物、全ての事件に不気味に符号する箱の正体とはいったい何なのか。 とらえどころのない魍魎を京極堂は落とせるのか。 珍しくあいまいにはぐらかし、箱から目を逸らせようとする芥川龍之介の幽霊こと古本屋陰陽師京極堂シリーズ第2弾。   

・「思った以上!!癖になりそうっ!!
最初に読んだ京極作品『姑獲鳥の夏』が大当たりだったので、続けざまに『魍魎の匣』を読みました。他の方のレビューを見ると、本書が京極夏彦の最高傑作と評価しておられたり、星の数でも満点が連なっているのでさぞや面白いのだろうと期待大でした。その一方、本書の内容紹介文は『姑獲鳥の夏』のそれと比べるとうまくないな、と思います。好奇心のあおり方が弱いといいますか・・・。だからとにかく読んでみてください!後悔しない作品です。それはさておき、実際読んでみると、著者の才能にあっと驚かされます。前回とほぼ同じ顔ぶれ&同じように京極堂が憑き物を落とす、という設定でありながら、こうも違った作品に仕上げられるのかと思わず感嘆の溜め息。また、前作よりも人物描写・心理描写が細かく丁寧になったな、と思いました。誰も彼もかなりの個性派揃い。それでいて魅力的。本作では前回と違い、なかなか京極堂が出てこない。私は京極堂が関口相手に一席ぶつ場面がなかなか気に入っているので、まだかまだかとかなりじらされました(笑)。活字でこれだけ臨場感を出せる技量はさすがです。終盤物語が収束していくあの感じがたまりません!!

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫) (詳細)

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

・「傑作:「陰陽師」対「禅問答」
京極堂の「陰陽師」の「言霊」に対抗する、シリーズ最大の敵「禅宗」の「禅問答」。果たして、京極堂は「憑き物」を落とせるのか?言葉の奔流によって、読むことの面白さが堪能できる「京極堂シリーズ」は、この本でひとつの頂点を迎えます。骨董屋「待古庵」と、1作目で登場した老医師「久遠寺」が、重要な役割を果たします。

1作目のインパクトがあまりにも強かったので、2~3作目は内容にかかわらず私にとっては刺激が足らなかったのですが・・・本作で払拭しました。でも・・・またもや本が厚くなった・・・!。でも、厚さと面白さの比でいくと、本作が最高傑作かもしれません。

・「なんとも鮮やか
やはり京極先生は,鮮やかに美しく犯人を追い詰める達人です。

仏教やお寺に関する知識が皆無の状態で読んだので,正直難しいところもありました。しかし,なぜでしょう??がんばって読み通してみると大まかな仏教界の流れが見えてきて,そういう意味でも勉強したような気分になってしまいました。

後半,間違ったことは言わない,榎さんの台詞をヒントに,犯人を想像しながら読みました。書かれた時代背景を考えると,京極先生なりに訴えたいことも含まれており,キャスト的にはもちろん,内容的にもとてももりだくさん,私には欲張りな小説でした。

改めて京極ワールドにはまる一冊です!!

・「シリーズ中一番の完成度
 京極夏彦の作品中で一番の完成度だと思う。 登場人物たちが一箇所に集められるいわゆる館物のためか、一作目の登場人物の行方が伏線とされて深みを加えているためか。 京極夏彦の作品はミステリーになるのだろうか。ジャンル分けはよくわからないが、焦点はトリックではない。

 この作品の面白みは、巧妙に張り巡らされた伏線にある。注意と知識さえあれば、かなり早い段階で犯人が特定できる。それは伏線が確りしている証拠。それが楽しいと思うか、予想通りすぎてつまらないと思うかは読むひと次第だが。

「拙僧が殺めたのだ」という最初の一行のインパクトもすごい。閉ざされた山の中で修行する僧たちの超然とした姿が崩れていくさまも面白い。  

・「読めば「禅」の理解が確実に進む。
シリーズ第4弾である今作は仏教、それも禅宗がテーマである。

個人的にはシリーズ中、『魍魎の匣』に次ぐ面白さだと思うのだが、おそらくこの作品は京極堂シリーズが好きな人でも好みがわかれるだろう。まず、見た目からすぐ判断できるように、とても長い。そして単に長いだけならまだしも、扱う内容が上記の通り「禅」なので、興味を持てない人は読んでてただしんどい部分がかなりあると思う(笑)逆にそれが禅や宗教に興味がある人だと面白いことしか書いていない、と感じる程の出来。禅だけでなく、寺院で生活している人の生活がリアルに描かれているので、本作を読んだ後、京都や高野山をまわると余計に風情が理解できるようになった、と感じたぐらいだ。

文庫版の解説は、禅を本格的に研究している方が書いているのだが、それによると京極堂の(つまり京極夏彦氏の)禅の本質についての理解は、正にその本格的な禅の研究者と同じぐらいのレベルまでに達しているらしい(笑)確かに、つまらん禅の解説書を読むよりも、本作を読んだ方が絶対にわかりやすいと思う。

つまり、これだけ面白い上に読んだ後は禅の本質が理解できてしまうという、(人によっては)嬉しい副次的効果を本作は持っているということだ。個人的にはもっとそこに焦点が当てられて、もっともっと本作が評価されても良いんじゃないかなあと思う。

何度でも何度でも読みたい。

・「「姑獲鳥の夏」以来の衝撃の再来
間違いなくこのシリーズ最高傑作といっても過言ではないだろう。

いつの間にか読み手である自分もまた『檻』に囚われている不思議な感覚を覚えた。

最初はページ数と謎かけのような導入部に圧倒されるかもしれないが、読み進めるうちに本の厚さはは次第に気にならなくなる。そしてこの一連の事件の結末(というより顛末)を見届けるまでは頁を繰ることを止められなくなるはずだ。

京極堂のあざやかな憑き物落としも勿論健在だが、やはり見るべきは最大のテーマである『禅』の世界観であろう。この作品と同様、頭で『理解』しようとすると魔境に陥ってしまうあたりも非常に興味深いものだ。

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫) (詳細)

吉原手引草 (幻冬舎文庫)

・「花魁は何故消えた?
いわずと知れた直木賞受賞作。

ある日、突然、姿を消した花魁葛城。何故?今どこにいるのか?それとも...?

吉原の廓周りの人々の証言を、作者のこれまでの歌舞伎やら何やらの知識を生かして、その生業や、生まれや育ちで書き分けていく。その背景も見事に立ち上がり、自分が大門の中にいるかのようです。まさにお見事!の一言。

・「真相は・・・藪の中?!
吉原から花魁が一人消えた。人を引きつける天賦の才を持ち、吉原一の花魁、10年に一度、いや50年に一度の売れっ奴になるはずの頂点から、忽然と消息を絶ち、誰もその行方を知らない・・・

吉原に不慣れな人物(自分では戯作者と途中で名乗るが、本当の正体は不明)が聞き手となり、花魁に関わりのある吉原の人間に花魁について、あるいは吉原のしきたりについて語らせる。果たして真相は知れるのか?

最後まで読めば、取材して回った人物の正体は明らかになるが、花魁失踪の謎は解けたのか、解けなかったのか。

所詮はすべて真相は「藪の中」・・・という気がしないでもない。でもそれがこの小説のマイナス点になるかというとまったく違うんだなぁ、これが。

とにかく、一読をお勧めします!!

・「面白い
吉原ものが大好きな私にとって とても楽しく一気に読めました。花魁の失踪、という事件に関わった人々の語りで物語は進んでいきますが、推理要素もある中私には当時 見たことのないはずの吉原の情景が浮かぶような気がしました。

廓言葉は「ありんす」「わちき」などが有名ですが私は「ざます」が廓言葉とは知らなかったのでなんだかすごく新しいものを発見したような嬉しさです。話の中で「人を呼ぶざますよ」という花魁の言い回しがなんだかとても可愛くって興味深く楽しかったです。

吉原の文化に興味がある方は読んで損はない本だと思います。

・「するする入る
 時代小説の場合、話が長いと「情景を浮かべる」のに疲れ読むのを止めてしまうこともしばしば。しかしこの作品は会話のみで進んでいき、自分が作中に入りこんだような錯覚を覚えます。全てが水を飲むようにするすると頭にはいってきて、読むのをやめられなく成ります。面白かったです。

・「この手法、巧みなり。
吉原一の花魁(おいらん)、名を葛城(かつらぎ)という。その彼女が突然、姿を消した..

物語が進むにつれて明らかになってくるのは、事件ばかりではない。女と男、本当と嘘、そして危いバランスに成り立っている精緻な社会だ。

  お歯黒溝(おはぐろどぶ)にぐるりと囲われたこの三丁四方の遊郭  (くるわ)の中は、思えばひとつの大きな舞台なのかもしれませぬ。  いずれも綺麗に着飾った女郎衆を相手役にして、お客人は皆われこ  そ天下の二枚目なりという心意気で舞台に立つ。色事の口舌(くぜ  つ)や濡れ場はもちろん、惚れたあげくに死ぬの生きるのといった  愁嘆場もあり。されどそれすべて仮りそめの芝居だと思えば、下手  な間違いはせずとも済むのかもしれませぬ・・・(P12)

真実は時として、そのものずばりより、その「周り」を説明した方が良く分かる。この手法、巧みなり。

吉原手引草 (幻冬舎文庫) (詳細)

吉原御免状 (新潮文庫)

・「隆慶一郎の原点
後の代表作「一夢庵風流記」「影武者徳川家康」などに引き継がれる、隆慶一郎の思想的バックボーンが明らかにされている。

デビュー作ながら、重厚な資料解析に土台を置いた、綿密な時代考証と伝奇作家としての想像力の豊穣さ…そして、男が男に、女が男に、男が女に「惚れる」とはどういうことかを痛烈に教えてくれる。

僕ら団塊ジュニア世代は、氏の作品には週刊少年ジャンプの原作として、間接的に触れ、原哲夫の描くいい男・いい女を媒介として吸収した。

もっと多くの作品に触れてみたかったと思う作家だ。

・「夢の都-吉原-
松永誠一郎の剣技も柳生の執念も凄いが、ただの色町だと思っていた吉原がこんなに素敵すぎる、偉大な価値を持っていたなんて。。。タイトルからもわかるとおり御免色里。今日の吉原とはおよそかけ離れた誇り高き存在である。一読の価値あり。続編のかくれ里苦界行もオススメです。

・「知的エンターティメント時代小説
登場人物のキャラクターの魅力、活劇の魅力、吉原という特別なロケーション設定の魅力、ストーリーの魅力、・・・ 第一級品の時代小説です。そして、何より、この作品は、網野史学、日本中世史学の第一人者であった網野善彦氏のその歴史感を濃厚に反映した、知的エンターティメント時代小説として燦然と輝いていると思います。この作品から湧き上がる知的わくわく感は、ちょっと他の時代小説では味わえません。この作品から、『かくれさと苦界行』、『影武者徳川家康』、・・・ 隆慶一郎の諸作品に埋没するのもいい。網野善彦氏の史学書物に走るのもいい。どちらにしても、あなたの知的悦楽は約束されます。

・「この作者の新刊が読みたかった
作者の名前は以前から知っていたが、お亡くなりになっていたとは知らなかった。もっと以前にめぐり合えなかったことが残念でならない。よしはらとは、かくいう場所だったのかという瞠目の一冊である。

・「敬愛する作家の処女作です。
肥後山中で宮本武蔵に育てられ、二天一流の教えをうけた松永誠一郎。師の遺言に従い、理由もわからないままに江戸は吉原へと出てくるが、そこで待っていたものは、徳川家康の手による認可状「神君御免状」をめぐっての、裏柳生との血で血を洗う争奪戦だった。

我が敬愛する作家、隆慶一郎の記念すべき処女作です。流麗な文章といい、巧みな筋の運びといい、とても処女作とは思えないできばえです。さらには、後の多くの作品でも主題となっている傀儡子や山窩など、為政者から人に非ずと人としての地位を認めてもらえず差別されながらも、自由に気ままにそしてしたたかに生き延びていく流浪の者たちへと向けられた視点、史実として一般に受け入れられていることへ懐疑の目を向け、残されている史料を縦横無尽使い、独自の歴史観を持っての考察などなど、処女作にしてすでに完成していた作家といえるのではないでしょうか。

作者が第一作で目を向けた先は花街・吉原。飾り立てた花魁が行き交う華やかな町、「男には極楽女には地獄」の欲望と恨み辛みが積もりに積もった、それだからこそ余計に活気にあふれる町。しかしそれは表の顔。一歩裏に回ってみると、そこは・・・、と書けるのはここまで。詳しく書きたいんですが、あんまり書くと興味をそいでしまうことになりかねないので。この吉原の真の姿、史料を元に作者が想像を膨らませて創り上げた吉原像にすぎないのかもしれませんが、それでも、もしかしたら・・・と思わせるには充分で、今まで知っていると思っていたことが覆されていくゾクゾクとした快感はたまりません。

松永誠一郎と、ある一族の存亡と誇りを懸けた戦い、お気に召したら、続編『かくれさと苦界行』も読んでみてください。

吉原御免状 (新潮文庫) (詳細)

月と六ペンス (光文社古典新訳文庫)

・「土屋政雄氏の訳について
 例えば、34ページの女性作家の台詞。 「牛乳っておいしい。特にブランデーをちょっと垂らせばね。でも、雌牛としたらおいしいまずいは関係ない。さっさと搾り出してほしいだけ」 (Milk is very nice, especially with a drop of brandy in it, but the domestic cow is only too glad to be rid of it.) 従来の訳と比べてみてほしい。 土屋氏の良訳によって、この毒舌の面白さが生きてくるように思う。 読了後、モームの他の作品も読みたくなった。

・「秀逸な解説
訳語調ではなく自然で読みやすい。そして解説が出色の出来。日本では『月と六ペンス』の研究成果は芳しいものではないが、この解説は『月と六ペンス』における様々な要素を研究の初歩レベルで紹介してくれている。

・「モームを今まで知らなかった自分にびっくり
モームの「月と六ペンス」、もちろん作者と作品名は聞いたことありましたが、今まで読もうと思ったことが一度もないままでした。ひとつにはモームがアメリカ人だと勘違いしていたことがあります(私は基本的にアメリカ小説が嫌いなので・・・)。ある日ふと何気なく本を手にとってあらすじを読んでみると、なんだか面白そうではありませんか、それでモームの作品をはじめて読んでみました。

まず作品の面白さ、完成度の高さにびっくり。なんと、こんなにモームって面白かったのか!しかもイギリス人じゃん!(モームファンの皆様すみません・・・)非常に多作で全集にすると30巻近くになるほどの作品を残していることもはじめて知りました。そこで岩波のモーム短編集を読んで、そのレベルの高さに二度びっくり。一気にモームにはまってしまいました。ここからモーパッサンやチェーホフへの興味も開かれましたので、僕としては久しぶりのブレイクスルーになりました。

「月と六ペンス」はストーリーテラーと言われたモームの真骨頂と言える作品でしょうね、文句なくお勧めの1冊です。

・「毒舌を尽くした語り口によるある画家の人生の謎
モームの「月と六ペンス」が土屋政雄氏により翻訳されるということで、すごく楽しみにしていたが、訳文は期待どうり極めてreadabilityが高く、かつ自然で、日本語でそのまま書かれた作品であるかのように感じられ、十分に楽しむことができた。作品は、40才まで平凡な株式仲買人をしていたストリックランドが、ある日、突然すべてをすてて、画家の生活に入り、病魔に冒されながらも最後まで絵筆を握り、その死後天才画家としてその作品が知られるようになる。彼と面識があった作家の”私”が、その画家の足跡と謎を探りながら、彼の人生と、作品の謎に迫っていくという話である。今回10数年ぶりに、この作品を読んだが、以前は、病院で働き始め、多くの患者の死に接する生活を数年送った直後に出会っただけに、モームがこの作品でも描いている、人生の無意味さという視点、人間には一貫性のない矛盾した性質がいくつも同時に共存するという不思議さ、といった視点に対して非常に強い共感を覚えたことを覚えている。今回感じたのは、モームの作品としては、その緻密さや、作品の味わいの深さでは、やはり「人間の絆」や、「お菓子とビール」のほうが上を行くなと思った、反面、非常に読みやすく、毒舌を尽くしながら、知人たちの行動を面白おかしく語っていく滑舌は、北野武の漫談を聞くようで、気楽に楽しむことが出来て、モームの作品の良い入門編になっているということだった。また、本書の作品解説は非常に的確だと思われ、モームの作品全体についてよく解説していたと同時に、彼が同性愛者であったという、私がいままで知らなかった情報を得る事ができ、作品を新たな視点で読み直す機会を与えてくれて有益であった。

土屋氏には次は是非「人間の絆」を翻訳してもらいたいと思った。

月と六ペンス (光文社古典新訳文庫) (詳細)

駿河城御前試合 (徳間文庫)

・「祝!復刊!!
三代将軍徳川家光の実弟忠長が執り行った真剣勝負による「御前試合」の顛末だが、これが実に面白い。対戦者間にわだかまる情念、執念、怨嗟、等等を過不足なく綴り、刹那の勝負に全ての因果を収斂させる構成なのだが、これが十一篇続いても、まったく飽きさせることが無い。

相対する剣士をそれぞれに、ある意味追い詰めている武家の論理は前近代的なものであるが、その根底に流れるさまざまな感情は普遍の原初的なものであり、今日読んでもあまり古びた感じはしない。。。。。のは、やはり俺が時代劇が好きだからかも知れない。

むしろ今日的と言えるのは、その残酷描写であろう。腕が飛び、脚が飛び、体が両断される剣の破壊力は対峙する双方を無傷では終わらせない。『キル・ビル』や『シスの復讐』などが剣豪小説の映画化作品へのリスペクトとして残酷描写を描いており、そういうものと呼応している「愉しみ」であることは否定しない。が、今日的とはそうした表層的な意味合いのみを指すものではない。

駿河城南庭の白砂の上に繰り広げられる凄惨な殺し合いは、生き残った者の魂を更に深く傷つける。酸鼻を極める試合の描写は、達人ゆえの凄みと業を漂わせながら、「無情」の二文字を読む者の心にも刻み込むのだ。だがこれは、血で血を購う事の空しさを説教臭く語り、半端な悟りを錯覚させるものでは断じて無い。むしろ生の業苦とも言える、足掻いて足掻いて生き続ける様を、十一の試合は描いている。だが、十二編目では、いともあっさりと終焉を迎える生の空しさを突きつけるのだ。

「命は等しく無価値」というテーゼが今日的なのか?そうかもしれない。だが、その結論に至る醜いまでのバイタリティがあるから、ニヒリズムは「破滅の美学」に昇華するのである

・「読み応えある『シグルイ』の原作本
『シグルイ』の原作本としてすっかり有名になった一書。目下(第11巻まで)のところ、『シグルイ』で描かれているのは第一話「無明逆流れ」と第四話「がま剣法」であるが、他の諸編も歴史娯楽小説として十分楽しめた。個人的には、エロス感漂う第十話「破幻の秘太刀」と第十一話「無惨ト伝流」が好み。「剣の道は、一切のまよいを最も忌む」(315頁)。

それにしても、ネタバレになるため詳述は避けるが、『シグルイ』はやはり藤木源之助が登場する第十二話「剣士凡て斃る」をも描くのであろうか。これを描くとなると、正直あと何巻続くことになるのか想像もつかないのだが・・・

・「真剣をもった総合格闘死合
結構前に買った漫画「シグルイ」の原作本「駿河城御前試合」南条範夫よーやく読み終えた。まあまあ厚い上出てくる言葉が少し難しかったりするので少しずつ読んでたらすごい時間かかった。ようやく読み終わりました。

冷酷な城主徳川忠長の目の前で行われた11の真剣勝負をえんえんとかいているだけの話やけど・・・すげえ面白かった!それぞれの必殺技をもった剣豪がそれぞれの因縁をしょって(女がらみの逆恨みみたいなのが多い)命かけてすごい戦いを繰り広げるけど参加22人中14人死亡して残りも重傷を負う壮絶な結果に・・かなり残酷です。刀を格闘技に置き換えて考えながら読んでたけど格闘漫画的にも色々ないいヒントがあったのでこの本マイ名作文庫にいれときます。

・「短編小説は苦手だが
この作品は非常に楽しめた。南條 範夫の小説は初めて見ましたが、文体も仰々しくなく、適度に軽く読みやすいので、力を抜いて楽しめます。同じような話が多く飽きるという意見を聞いて少し躊躇しましたが、私はまったくその様には感じませんでした。忍法等はでてきませんので(笑)比較的リアル嗜好で楽しめます。

・「狂気
この本に登場する武士はみな強いが、誰もが特殊な性癖や狂気を抱えている。シグルイの原作にあたる話も載っているが、設定が違うところもあるのであまり漫画のノリを期待しないほうがいい。

駿河城御前試合 (徳間文庫) (詳細)

燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)

・「男子必読の一冊
『竜馬がゆく』が人間の生き様を、『峠』が武士の生き様を描いた作品であるならば、漢の生き様を描いたのが本作『燃えよ剣』。組織作りの才能と動乱の世に生まれた男としての信条を、一つの美学にまで昇華させ、そしてそれを新選組という徒花で表現してみせた土方歳三。思春期の男子が読もうものなら、人生観そのものを揺るがされかねない名作です。

「史実」がどう、とかの批判もあるでしょうが、そもそもそんな批判が出ること自体、本作に描かれた土方歳三がいかに活写されているか、それがいかに多くの読者の心を震わせたかを物語っていると言えるでしょう。幕末小説、司馬小説の入り口として自信を持って推奨いたします。

・「心に歳三が住み着いてしまった
「魅力的」という言葉以外にこの小説の主人公をどう評したらいいのか。女性は読まない方がいいかも知れない。たぶん私のように、歳三に惚れてしまうだろうから。

司馬さんを初めて読んだのが「菜の花の沖」で以来、ちょっと回りくどい文章なのではと、敬遠気味でしたが、本書を読んでとにかく、その筆致の見事さに感嘆。土方の「和泉守兼定」のごとく、司馬さんの筆は若く冴え渡る切れ味で、短い文章なのに目の前にありありと情景が浮かんで来ました。

本書を読むきっかけになったのは、先日終わった大河ドラマ「新撰組!」でしたが、前半は、大河で演じた「山本耕史」君の面影をイメージしながら、ぐいぐい引き込まれて行きましたが、流山で近藤と別れた後からは、実在の土方象に近くなり、最後には完全に、「土方歳三」という一人の人間の存在をありありと感じるまでになってしまいました。私個人としては、京都での若く自信に満ち、華やかな前半の歳三よりも鳥羽伏見の戦い以降の歳三の方が断然好きです。たぶん、彼が亡くなった年齢に、今近いからなのでしょう。全て自分が作り上げた「新撰組」という枠が、崩壊してしまい、時に、学問の高い幹部に混じって軍義をしなければならない。本当に居心地の良い場所は無くなってしまった、若干の寂しさと無学かもしれないが、それでも誰よりもクレバーに光輝くその頭脳が、読んでいて凄く眩しく感じました。

登場回数は少ないけれど、最愛の人であるお雪との挿話も、女性なら涙無しには読めないでしょう。司馬さんはこんなに的確に男女の機微も表現出来るのかと、それも新たな発見でした。少ない逢瀬ながらも、その関係が微妙に変化しているあたり、より、リアルに歳三という人を感じました。

一度読んだ本を二度読む事は滅多に無いのですが、この本は読後もなかなか手放せません。伏見の所から、再度読み直しをしている所です。

・「目に見える表現で
司馬遼太郎氏の小説は「古めかしく難しい」と勝手に思いこんでいた。それが、この夏の旅行の際、駅で「新潮文庫の一〇〇冊」から何となく購入して電車の中で読んだ。あまりにおもしろくて、五時間の旅があっという間だった。終わりに近づくにつれ、悲しくて切なくて、このままでは電車の中で号泣してしまうと思い、続きはホテルで読んだ。

土方歳三とはこんな男だったのか・・・・・立ち会いのシーンやお雪とのひととき、新撰組の終焉の場面などはあまりに生々しく、映像で見るよりはるかに真に迫っている。すばらしい本に出会えたと感謝している。

・「長編時代小説入門に最適!
学生時代は歴史が苦手だったので、時代小説は難解と思い込み、はたち迄全く読んだことがなかったのですが、00年前後のはたちになる頃NHKの「その時、歴史が動いた」で土方歳三を知り、その後に「御法度」の映画を見、新選組のことがもっと知りたくなり、まずは短編の「新選組血風録」を読み、本書ですっかり時代小説の虜になりました。この本でも映画でのビートたけしの土方は想像つかないですが(笑)武田真治の沖田はぴったりイメージ通りだなと思いました。この上巻では土方が夜市の祭礼で女を強姦(ころし)にゆくというくだりはえっ!?てかんじだし、前半のお雪に出会うまでの女性の扱いが、今迄時代小説を読んだことがない私にはヒドい男ぶりに衝撃でしたが(でも、これも時代小説の醍醐味)新選組の結成後はまさしくハードボイルドな世界!最初に読んだ頃は天然理心流 北辰一刀流 神道無念流といった剣道の流派で育ちの環境や学問・武芸のレベルがわかるとか、長州 土州等が日本のどこにあるか全く知らないし、人名や地名等これらのことが慣れるまで少し時間がかかりましたが、こういったことも読んでいくうちに理解していくのでとても勉強になります。

毎年夏に出る新潮文庫100冊の小冊子にも毎年登場し、男性が好きな本NO.1によく本書が選ばれているのが本当に納得!で強く 美しく 時に優しく 自分にも厳しくストイックな生き様に、私もこのような人間になりたいと思い、今までの考え方や価値観が変わっていったように感じます。(私は女だけど)この本に出会い、次の年には時代おくれになったり、1回読んだら簡単に理解でき、飽きるような旬な作品・作者を読むのではなく、読む前に人物・時代・社会背景等を自分の目で確かめ、時代を超えても歳を重ねても読むたびに新しい発見がある「登場人物の魅力」がある作品を選ぶようになりました。

・「普遍的な美しさ
幕末の激動の中、政治や思想など全くなく、ただ自分の信じるもののために戦い続ける。新選組の同志たちが次々と姿を消していき、そして近藤までもが去ってもなお、自分の信じた道を突き進む。こうした土方歳三の生き様に、震えるような感動を覚えました自分の信念を貫く、ということは人間(特に日本人)が感じる普遍的な美しさであり、そしてそれが新選組や土方の名を後世に残させたのだと思います。歴史的観点から見て土方や新選組の行動が日本史においてプラスの作用をもたらしたとは思いませんが、その生き様の激しさと美しさに比肩するものは少ないと思います。剣に生き、剣に死んだ土方歳三の生涯が、心に刻み込まれる一冊でした。

燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫) (詳細)

雨の日も、晴れ男 (文春文庫)

・「ゾウより面白い!
「夢をかなえるゾウ」がとても面白かったので、新聞広告を見てすぐに買いましたが、結論からいうとゾウよりずっと面白かったです。 自己啓発小説のなかではゾウはとてもすらすら読めるほうですが、晴れ男は普通の小説として読んでも感動でき、どんな辛いことがあっても笑顔を忘れないで人を楽しませようとすれば、自分に戻ってくるんだなと思いました。「情けは人のためならず」ということわざを思い出しました(本来の意味ですよ)。

・「「災いを転じて福となす」のことわざ通り!
【シュナ】と【アンダー】の二人の幼い神のいたずらで、【アレックス】は、不幸に見舞われる。しかし、【アレックス】は、常に他人を楽しませ、前向きに生きた。【シュナ】と【アンダー】が、天上界で最後に大地に刻んだ文字は次の通り。【シュナ】・神は、人を不幸にすることも、幸福にすることもできない。・ただ、出来事を起こすだけ。【アンダー】・【アレツクス】は、目の前にいる人を楽しませようとした。・つらいときも、苦しいときも、悲しいときも。

この、幼い神のいたずらの反省の言葉に示されるように、【アレックス】の、いつも、誰かを、楽しませようとしていた行動には、神のいたずらも通用しなかったのです。本書のタイトル「雨の日も、晴れ男」の、「雨」は幼い神のいたずら、「晴れ男」は、誰かを、楽しませようとする行動と考えれば、納得できます。どんな不幸に見舞われても、ストレスに感じることなく、希望を持って楽しく、生きていきなさいと言うことでしょう。『プラス思考、陽転思考』ですね。

読んでいて、引き付けられる本です。

・「
好奇心が止まらなくて読むスピードが早くなった本は久し振りでした。アレックスの前向きな姿勢は本当に大切な事で考え方、捉え方でプラスにもマイナスにもなるんだと忘れかけていた大切なハートみたいなものを思い起こしてくれました。要所要所にメッセージをくれます。ファンタジーな雰囲気とリアルな現実を上手く調和したストーリです。購入してよかったです。

今は未読のバッドラックが気になりますが本書の原版?らしいのですが・・・。

・「引越し野郎
雨の日も、晴れ男も好きです。

でも、ゾウさんの方がもーっと好きです。

・「『夢をかなえるゾウ』はまだ読んでません。
『夢をかなえるゾウ』はまだ読んでません。何故か、通勤電車には、厚くてでか過ぎます。寝ながら読むには、重くてメガネを割ってしまいます。新聞広告を見て文庫本なんで、早速購入して移動時間の電車の中で、気持ち良く読めました。『雨の日も、晴れ男』梅雨のシーズンにぴったりです。爽快感が溢れ出しました。

雨の日も、晴れ男 (文春文庫) (詳細)

夜市 (角川ホラー文庫)

・「ダークファンタジー
ホラー大賞ということですが、単行本レビューにあるとおりホラーというよりダークファンタージーです。怖さよりも、幻想的な美しさ、妖しさ、もの哀しさが漂います。また表紙が作品によく合った美しい装丁です。「夜市」をさらに引き立てているのが、同録の「風の古道」です。こんな古道があったら、子供でなくても大人だって迷い込んでみたくなるような異界。魅力的な放浪者が登場し物語に奥行きを持たせています。

すでに単行本を読んではいたのですが、文庫化をこんなに待ちわびた作品は久々です。風の古道は別のかたちでまた登場して欲しいです。

・「素晴らしい才能
 各所で取りあげられている人ながらまだ未読だった恒川さんの初文庫です。 「夜市」ホラー大賞の受賞作ということですが、読んだ感じで言えばホラーというよりはダークファンタジーというカテゴリの作品のような気もしますが、そういうジャンル分けをするには最近の新人の中ではダントツのオリジナリティと個性がありすぎる作家さんだなと思いました。 デビュー作の「夜市」と、この本のための書き下ろしの「古道」の二作品を収録。 どちらも切れ味が鋭い作品です。 ざっとあらすじを紹介すると、「夜市」は、いくつかの世界が重なり合うところで開かれる夜市という市場に迷い込んだ男女の物語。人間以外の客と店主が溢れかえる夜市におびえる彼女を横目に、男は確信に満ちた足取りで歩く。彼の目的と、意外な過去とは・・・。もう一方の「古道」はこちらも古来からある不思議な道に迷い込んだ少年と、そこでであった青年の話。こちらの「古道」も、現実の日本と重なり合うよりにありながら、特殊な人間以外は入れない、そしてそこには独特のルールのある異界が存在していたという物語。  どちらも、日常の陸続きに異なる世界が存在しており、そこに入り込んでしまった人間の物語です。 特徴としては、やはり語り口の不思議な味わいと、思い切ったストーリー展開でしょうか。こことは違う世界、異界だからでしょうか、人間の価値は絶対ではなく、あくまでその価値は相対的なもの。だから、売り買いもされれば、殺され、食べられ、捨て去られます。しかしながら、だからといって人間が一方的に弱いわけではなく、人間も数ある種族の一つとして独自の地位を築いています。あくまで人間が下位なわけではなく、ただ違う世界であるということがしっかり根底にあるからでしょう。そのあたりのさじ加減が絶妙だし、それはきっと著者の目には未耳にはその違う世界がくっきりと見えているからでしょう。だからこそ、その世界を説明する言葉はいたって平易、特におどろおどろしい形容や、ことさらに大仰な描写はありません。だけれども、明確なビジョンがあるからこそ、普通の言葉の組み合わせでも、読み手にはその世界が明瞭な輪郭をもって恐怖とともに伝わってきます。それも、ハードな勢いがあるものとしてではなく、しっかりとひそやかにあるものとして。 才能、なのでしょうね。 ということで、ベタポメすぎるように聞こえるかも知れませんが、才能を感じさせる作家さんにまた一人巡りあえました。 個人的には、「古道」のほうが「夜市」より数段気にいりました。

・「身に覚えのある罪悪感・・・・・
著者が繰り広げる不思議な世界での

・「心地いい幻想小説
ゆったりとずっと中をただよっていたくなるような、心地いい幻想小説です。決して甘いだけじゃなく、むしろ厳しい状景のほうが多いのですが、それでもずっとこの小説を読んでいたい、とそう思わせるような心地よさがあります。展開やストーリーもおもしろいのですが、なによりその心地好さが、この作品の凄さではないかと、そう思います。

・「幻想ホラー小説
子供のころに感じた、懐かしい匂いのようなものを感じつつも寓話のように淡々としつつも恐ろしい夜市そして美しくも悲しい世界風の古道

どちらもちょっとそちらの世界へとちょっと行きたくなってしまうような、蠱惑的な幻想譚

夜市 (角川ホラー文庫) (詳細)

嗤う伊右衛門 (中公文庫)

・「日本語って素晴らしい!!
色々出ていますが自分的にはこの中公文庫の外装が一番好きです。京極夏彦作品の中でも一際美しいのはこの「嗤う伊右衛門」だと思います。従来のお岩さんのイメージを打ち崩す儚い美しさがこの本のお岩さんにはあります。日本語は美しいです。世界に誇れる言葉である、という事を、この本で実感しました。これからまた夏ですし、美しいような物悲しいような、古きよき雅な、日本の魂を揺さぶる大人の夏の怪談に浸って見てはいかがでしょうか?

・「美しい魑魅魍魎の世界
どうして、この人が描く魑魅魍魎の世界はこんなに美しいのでしょう。漆黒の闇を舞台に、血の赤や肌の白さや蚊帳の朧さなどが際立って、まるで色鮮やかな絵巻物をみているかのようです。日本古来の言葉を駆使した文体は、まるで香を焚き染めたかのように匂い立ち、独特の言い回しや体言止めの多用が、語り手の息遣いがつたわってくるかのごとく臨場感をかもし出しています。日本のお化けの物語をこんなに品よく格調高く描ける人は、この人以外にいないのではないでしょうか。大好きな本のひとつです。

・「心に何かが残ります・・・。
最初、「京極夏彦の本だ」という事と、中身に多少惹かれ、好奇心で読み出しました。やっぱり読み出すと止まらなくて、読み終わってから何かが心に残ります。なんて美しい物語なんだろうと思いました。私は初めてお岩さんの話を読んだのですが、この本でよかったと思います。

・「愛の成就に嗤う
最近の読書では京極夏彦にはまっている。映画にもなった「嗤う伊右衛門」。この作品は傑作だと思う。四谷怪談「お岩さん」を下敷きにした物語だけれど、怪異をすべて人の為した業で説明できるようにしている点で一種のミステリーとしても楽しめる。しかし。それ以前に岩と伊右衛門の切ないラブストーリーであり、登場人物それぞれの業が絡み合い織り成す様々な愛憎劇とそれらの背後に潜む悪の権化の謀略が、多くの人を死に至らしめる様はシェイクスピヤ悲劇を思わせる。もともと歌舞伎の題材ゆえ演劇的要素を感じるのかも。ご一読を。

・「久しぶりに「読むのを止められない」本でした
四谷怪談については、「伊右衛門は悪いヤツで、お岩さんは騙されて殺されて化けて出た」という小学生並みの知識しかありませんでした。

それが、こんなに美しく哀しい話となって現れるとは・・・。背筋のまっすぐ延びた岩と自分なりの愛情を貫く伊右衛門、取り巻く人々。全員が揃いも揃って不幸です。よくこんな暗い話を考え付くねぇってくらい不幸です。当然ハッピーエンドは望めないと知りながら、それでも岩の幸せを願いながら夢中で読みました。

しかしねぇお岩さん。いくら愛していてもそれじゃぁ愛情は伝わりませんよ。そんなお岩さんがもどかしかったです。

嗤う伊右衛門 (中公文庫) (詳細)

輪違屋糸里 上

・「傑作
参った。「壬生義士伝」の泣かせっぷりにはいたく感動したが、これは更に読み物として上回る傑作。全ての登場人物に愛を与え命を吹きこみ、史実からここまで引き出すその筆力にただ脱帽。

号泣とまではいかぬが、読むほどに心に染入る刹那さ。「だあれもうらむのやぁない。」という台詞を思い出す度、胸が締め付けられる。一言一句逃さず読んで欲しい一冊だ。

・「浅田版「藪の中」と思いきや・・・・・。
非常に多くの語り手がいて、てんでに少しずつ違う見解をしゃべっている。どれ一つとして的はずれではなく、かつどんぴしゃの正解ではない。叙述的な地の文(客観的な正解を書く部分)が非常に少ない構成でありながら読者が破綻しない。これが浅田次郎の力量ということだろうか。なんだか芥川龍之介の藪の中のようだと思って読み進めていくと、芹沢鴨殺害に向かって流れが急速に集約されていく。さてこのクライマックスの語り手はというと・・・・・。書いてしまうとネタバレなので伏せるが、私にとっては意外な人物であった。壬生義士伝も読み返すと巧いと思ったが、初読では感動が先に来た。今回は「巧い」が先に来たという印象。壬生義士伝とは、題材こそ近いがやはり別物。でも自信を持って人に勧められる本といえる。

・「毒性や・・・
 読んでいてホントにそう呟きたくなるほど、物語はどうしようもなく悲しい方へ転がっていきます。時代の波に飲み込まれれていく新選組と、彼らに関わった女たち。誰もが魅力的に描かれています。芹沢一派がここまでフィーチャーされた新選組モノも珍しいのではないのでしょうか。やられたっって感じです。

・「最高傑作!
浅田作品に失敗作はありません。新撰組の知られざる世界が又ひとつ明かされ、上下巻とも一気に読み終えることができました。糸里のひたむきな、尚かつ意志の強さには女として見習うべきことがたくさんあります。「壬生義士伝」に次ぐ最高傑作!ベストセラー間違いなしの作品です。 

・「心に染み入る一品です
新撰組の物語には珍しく、「芹沢鴨の一味」それも女性の目から捉えた傑作。幕末という男が主役に躍り出ているこの時代を真摯に生き抜いてきた、女性の強さと内に秘めた儚さ、そして誰にも見せない弱さを浅田流の語り口調で切々と書き連ねられています。読む進めるほどに切なく、心に響きます。「だぁれも恨むのやない。ご恩だけ心に刻め・・・」。読破後はこの一言が胸に染み入ります。現代の人たちが無くしてしまった、大和魂と大和撫子の姿がこの物語には溢れています。現代の若い人達に是非読んで欲しい書物です。

輪違屋糸里 上 (詳細)

壬生義士伝 上 文春文庫 あ 39-2

・「浅田次郎、会心の一作(かな?)
「きんぴか」「プリズンホテル」「極道放浪記」「鉄道員」「地下鉄に乗って」ときて、次に手にしたのがこの「壬生義士伝」だった。

いろんな人間の手垢が付きまくった「新撰組」というテーマ。浅田次郎は吉村貫一郎という、南部藩の貧しい家族を食わせるために脱藩し、新撰組となり、人を切ることで見栄も外聞もなく銭をかき集め、故郷に送金する、ものすごく格好悪いが、心優しいサムライを登場させることで、彼の「新撰組」を編み出した。

吉村の家族、親友にして藩の上役、そして壬生浪人(みぶろ)、尊皇攘夷派の面々・・、幕末という吉村が生きる抜き差しならぬ武士の世の中で、それらとは到底相容れない親子愛、家族愛、友人愛という矛盾、言い換えればこの時代の武士が己に問いかけてはならない、『裸の、一個の、身分など関係ない、人間としての正しい道』という矛盾を激突させる。

その激突は、必然的に溶鉱炉のように真っ赤に煮えたぎり、読者の感情を揺さぶる。大阪南部藩屋敷で、親友であった大野次郎右衛門から切腹を申し渡され、部屋一面血の海と化して、貫一郎が静かに死ぬ場面でピークに達し、息子の五稜郭での死でさらに涙を誘う。

この小説の最後の部分には大野次郎右衛門から、藩に一連の状況を報告する候文が書かれているが、この時代にその概念としてさえ存在しない「人間正義」という矛盾した四文字に、この小説が数多くの男たちを泣かせる秘密が凝縮されているのではないだろうか。

「男を泣かせる小説を書く男」---浅田次郎、会心の一作・・・かな?。候文で終わるこのやり方は遠藤周作「沈黙」にそっくり。

・「長編では、浅田さんの本で一番好き!
この本を読んで、浅田さんにはまり、40冊以上読んできましたが、長編ではこの本が一番好きで完成度も高いと思います。以下、2007年9月に「下巻」の方のレビューに書いたものを少し修正しました。 武士道=家族愛という破天荒な価値観を何と新撰組に持ち込んで読者を納得させてしまう作者の筆力に驚愕してしまう。インタビューの形を通して、吉村貫一郎の人物像を浮かび上がらせる一方で、インタビューを受けるさまざまな人の人物像+時代背景まで浮かびあがらせてしまう。それがあまりにリアルなので、ノンフィクションかと思うくらいだが、実はフィクションなのである。 また、最後の大野次郎右衛門の手紙には、国家主義批判が隠されている。人は、自分の妻子のためになら死ねるのであって、主君や国のために死ねという風潮がはびこると国は亡ぶと読める。最後をあえて漢文調にしたのは、作者のこの思いを控えめに主張することを目的としたと思われる。この主張は、「蒼穹の昴」「珍姫の井戸」「天切り松闇がたり」「日輪の遺産」「シェエラザード」にも脈々として流れている。浅田さんは自衛隊出身でもあり、そのヒューマニズムは付け焼き刃ではない力強さがある。

・「涙でかすむ文字
武士とはこれほどまでに切ないものか。盛岡の美しい雪景色が読む人の心を純粋にさせるのか。登場する人物が全て善人という中で南部弁が美しく響きわたる。日本人が初めて日本という国の意識の中で激しく戦った時代の重さがひしひしと感じられる。 読みながらこれほど涙を流した本はこれまでない。

・「初めての浅田作品に泣かされた
私にとって初めての浅田次郎作品です。岩手県在住な者で、ちょくちょくTVCMで「壬生義士伝」の映画宣伝が行われています。「あ~、なんか暗い感じでいやだな~」と、元来ハリウッド好きで歴史もの嫌いの血が騒ぎ、この本を手にしようとは全く思っていませんでした。これまでも新撰組、忠臣蔵などなどには全く興味がなかったものですので。

しかし、岩手の人間を描いているらしいという安易な気持ちからこの本を手にとり、そして今・・・。初めてかもしれません。歴史もので涙を流したのは。いや、歴史ものという狭いジャンルにはくくりがたい作品であるのはいうまでもありません。歴史もの嫌いの私がのめりこんだ作品なのですから。

この本は、父親として、男として、侍として、岩手人として、そして人間としての生き様がえがかれているように思います。その南部訛(現在の岩手弁)で語られる吉村貫一郎の言葉が、あまりにもストレートに自分の心に、刃のように突き刺さってきました。

私も29歳の男、吉村のような人間にはなれぬとも、その生き様に触れられたこの浅田作品に感謝しています。そして、浅田作品、次は何を読もうか今考え中です・・・。

・「人生で出会ってよかった本
浅田次郎氏の本は読み終えた後、なんともいえない満足感が続く。こんな良い本に出会えたと言う幸せの余韻が残る。

たくさんの人に読んで欲しい本です。子供が生まれて家族というものに戸惑いと苛立ちを感じていた私に、家族愛の素晴らしさを再認識させてくれました。

本を読んで、読み終えた後も涙が出続けたのはこの本が初めてです。絶対に読んで欲しい本です。

壬生義士伝 上 文春文庫 あ 39-2 (詳細)

火車 (新潮文庫)

・「再読する価値あり!
私も何度も繰り返し読みました。クレジットカードの不透明性が割と身近に感じられて、飽きることがありません。 それから次から次へと謎が出てきては、それを解明するための小さな糸口が現れる。これほど巧みな謎解きはお目にかかったことがありません。

・「最高の一冊
宮部みゆきさんの大ファンです。その中でもこの作品はNo.1ではないでしょうか?特に内容については記述しませんが登場人物が実にリアルに描かれています。そして何と言ってもあのエンディング・・・。読後感がしばらくぬけません。

・「自らが居合わせてしまったような緊迫感
社会的問題を背景にして、個人がひょんなところから過ちを犯し、落ちていく。しかしラストはそれを幾分か救うような温かい眼差しが注がれているように思う。人間への温かい心を持ちつつ、社会の暗部を描き、そしてその周りの人の気持ちを詳細に書き綴るこの作品は世界に誇れると思う。

そして読者には、その現場に居合わせてしまったような緊迫感漂う

ラストシーンが待っている!!

・「最高傑作!
名作の多い宮部作品のなかでも、私はこの「火車」が最高傑作だと思います。物語の進め方、一つ謎が解けていくたびにはっきりとしてくる事件の輪郭。そしてなによりあのラストシーン!・・・流石宮部みゆき、と言ったところでしょうか。

犯人の人を殺す理由がとても切なく、思いっきり非難できないのも良いと思います。私は一度も姿を現さない犯人の女性に、とても感情移入してしまいました。

・「読み応え十分
宮部ミステリーの良さは、「量は重いけど苦にならず、読んだ後に充実感がある」ところにあり、本作品もその一つ。「借金」から逃げる為、「別人」になることを決意した犯人の人物像を、本人を最後まで登場させずに描ききるあたりはさすが宮部みゆきといった感じ。おすすめ。

火車 (新潮文庫) (詳細)

理由 (新潮文庫)

・「私的に宮部作品の最高峰
直木賞受賞作ということですが、レビューを見ていると結構好みが分かれる本作。宮部氏の作品は最近ファンタジーものや時代ものが多いですが、個人的には火車や模倣犯のような本格的なミステリーが好きです。ミステリーといっても活劇的な部分は皆無だし、ストーリーも説明的なところが多いのが本作の特徴。レビューでも一部の人が指摘しているように展開が遅いというのは一理あります。しかし私は逆にそれこそがこの作品の真骨頂ではないかと思います。一人一人の登場人物に事件そのものに大きく関わってない部分も含め、かなり詳細に説明してるのが一部の方には退屈なのだと思います。そのような一見無意味な細かい設定の連続性が登場人物に存在感をあたえ、この作品にリアリティーを生み出しているのではないかと思います。

この作品は事件の表面からスタートし、その全容を関わる人物のエピソードから少しずつ解明していきます。私たちが普段ニュースで知る事件はその被害者や加害者のほんの一部しか知ることができません。この本を読んだあと、普段その一面だけを見て理解したつもりになっている世の中の事件にはきっと多くのストーリーを含んでいるのだろうなと思いました。

関係ないですが私はこの作品を荒川の自宅マンション(15階)で読みました。読んでいる最中何気なく窓の外を見てしまいましたw

・「家族という単位からはずれると
直木賞を取ったのが、『火車』でもなく『模倣犯』でもなくこの『理由』だったのが、わかるような、わからないような・・・着眼が素晴らしい、一人一人の心理や状況説明は丁寧、都会の中の寂しさはせまってくる・・・面白かったし、読み応えあった。

・「宮部みゆきさんらしくない?
 第120回直木賞受賞作品。 「宝島社 このミステリーがすごい!」 99年版 3位 「週間文春 傑作ミステリーベスト10」 98年 1位

 宮部みゆきさんの他の作品を読んだことのある方なら、この「理由」を読んだ時に違和感を感じることがあるとは思う。しかし、その違和感は決して不快なものではない。この作品の手法はそれはそれで素晴らしいと思う。

 東京都荒川区にそびえ立つ超高層マンションで凄惨な殺人事件が起こる。犯人ばかりでなく、被害者はいったい誰なのか。そして、事件の起こった理由とは…事件が全て解決した後に読者を置き、ノンフィクションの手法で事件を紐解いていく。 事件に絡む人間関係等がノンフィクションの手法を使っているからか、現実のことであるかのようにすーっと自分の中に入ってくる。 また、読破後に「家族とは」ということを考えさせられた。 600頁以上ある長編だが、すらすらと一気に読破できる。

 ソレデハ…

・「この作品を読まずに現代ミステリーは語れない
99年度版 このミス 3位1998文春ベスト10 1位文春二十世紀傑作ミステリーベスト10 国内部門 7位

現代を代表する作家の直木賞受賞作。良質な社会派ミステリーである。

事件が解決した後に、関係者をまわってインタビューを集めた、ルポルタージュ形式で、事件を伝えるという形式が特徴的な作品。この形式が功を奏し、事実の積み重ねられることで、直接、作者の伝えんとすることが伝わってくる。

個人的には、本作品と、「火車」「模倣犯」が作者のベスト3と考えている(読者によってさまざまな意見はあると思うが・・・)。本作品は、先述のとおり、「ルポルタージュ形式で事件を再構築する」という特殊な手法を用いている分、ほかの2作品と比して、とっつきは悪いかもしれない。しかし、「この作品を読まずに現代ミステリーは語れない」という高いレベルの作品である。

・「家と言うものは器に過ぎないのです
バブルがはじけ、不良債権という言葉がはやり文句になっていた時代。バブルで見失った、自分の身の丈に合った生活に戻れず、怨念のように幻にすがりつく人。

家庭が壊れているのに気づかず、器である家にこだわる。器が家族だと誤解する人。

バブルで見失った、絆は修復できるのだろうか?血がつながっていさえすれば、家族になれるのだろうか?

この中で、一番家族だったのは、占有屋の他人たちだったのは皮肉である。

理由 (新潮文庫) (詳細)

日蝕

・「気負いはあるが良作
文学会に切り込む気負いと硬さは感じるが、読み方によっては堀田善衛を連想させるような非常に美しい文体であり、近代純文学に対する作者の親しみと愛情を感じる。読み始めは純文学へのオマージュ的なものかと思ったのだが、読み進めるうちに徐々にそういう穿った見方は蒸留されてゆき、美しいものだけが残った。初期の習作としての要素も強いが、ひとつの到達点としても屹立している。これ以降の平野作品もすぐれたものが多いが、日蝕のインパクトは忘れがたい。

・「私は好きです
評価が低いようですが、私はこの作品に衝撃を受けました。15世紀ヨーロッパにつていは、興味もなく知識も無かったけれど、何故か物語りにスッと入っていけました。その理由として、主人公やそれを取り巻く登場人物が、とても印象的だった事が挙げられます。とりわけ、唖で知的障害のある少年の描写には息をのむものがありました。

文体は、確かに読みづらい感じもしましたが、慣れると気になりませんでした。是非もう一度、じっくり読み返してみたい傑作だと思います。

・「合理の果ての非合理 理性の果ての非理性
著者のことが気になり出したのは、梅田望夫氏との対論であるウェブ人間論を読んで以来である。あくまで肯定的にインターネット・テクノロジーがもたらす社会の展望を語る梅田氏に対して、テクノロジーの恩恵を認めつつ、どうもそれに警戒感を捨てきれないらしい著者が、葛藤しながら言葉を紡ぐ様が妙に人間臭く印象に残っていたのだ。

で、そのウェブ人間論から遡ること約8年前に上梓された著者のデビュー作である。高潔な文体と筆運びの巧みさに打ちのめされると同時に、はぁなるほど、と変に納得させられた。すなわち、テーマはまるで異なるこの「日蝕」と先の「ウェブ人間論」が、自分の中で明確な一線で繋がったような気がしたからである。

やや独断になることを恐れずに言えば、著者の関心は一貫して、合理的な秩序を超えた世界にある。ただしこれは単純なオカルト志向とは趣が異なる。おそらく著者が拘っているのは、人間が合理化を徹底することによって、逆に非合理の世界を際立たせてしまうという過程なのではないか。だからこそ著者は、「合理的」な自然科学者のピェェルが両性具有者と交わる様を描くのであり、また世界の全てを「合理的」にデータベース化して検索可能にするgoogleのやり方に、薄気味の悪さを覚えてしまうのだ。

この小説に何か人生訓的なテーマを読み取ろうとするのはナンセンスだ。著者は単に彼の想うところの「非合理的な世界」の存在を、彼独自の美意識において提示したかっただけなのだ。擬古文の使用や、錬金術や魔女狩りといったモチーフは全てそのための手段と考えて良いと思う。然して、その印象は鮮烈なもので、その試みは大いに成功していると思う。

・「平野クン
平野は衒学者でかなりのナルシストだが、許せる。山田詠美の後に平野を読むと大笑いしてしまうが、作者は少なくとも、頑張って書いている。文化庁から派遣されて仏国へ行ったそうだ。平野はどういった批評家に受けて芥川賞を受賞したんだろうか。浅田彰か?高橋源一郎か?兎に角、活字中毒者である私は彼の文体を好んでしまうので、悪評はおそらくこういう文体に「疲れ」を感じてしまう人間の「嫉妬」か「浅はかな拒絶」だろう。私は本屋で書店員をしているが、店長曰く「平野は全然うれてねー。」である。読む人を選ぶ作者なので、マゾヒストは不快感を味わう為に一読するのも良いだろう。ちなみに、ストーリーは全く面白くない。純文学でもなく、レトリック辞典や漢検辞書を捲りまくって必死になった大学生の幻想文学と言える。平野よ、お前は冨樫義博を読め。一部の批評家から関心を惹くだけでは、お前が狙うノーベル賞は絶対に取れないぜ?

・「ハリポタやダ・ヴィンチ・コードに通ず
文学界での高評価と京都大学法学部在学中と言う話題性、擬古文を用いた斬新感。そのすべてを逆手に取られて、世間からはひがまれている、かわいそうな作者である。しかしやはりただ者ではないのだろう。深淵な内容であるにもかかわらず非常に読みやすく、どんどんと引き込まれる。筆力は半端ではないのだと思う。ストーリーは、キリスト教的なバックグランドを勉強してからのぞめば、かなり楽しく、知識もより深いものになっていく。試しに、『錬金術』という言葉を百科事典等で調べて頂くとよいと思う。いろいろ繰り返していくうちに、歴史感覚を無意識に養うことが出来るだろう。

日蝕 (詳細)

ブリッジマンの技術 (講談社現代新書)

・「バカの壁を乗り越えるには?
本書は人間個人個人がもつ「理解可能な小さな世界」へ、自分の考えや主張をどう伝えていくか、というハウツー本である。いわゆる「バカの壁」の乗り越え方の本ともいえる。本書によれば、バカの壁を打ち壊して相手の世界へ自分の世界を乗り込ませるのは無駄である。その逆で、バカの壁を自分のほうからどう乗り越えて(だから"ブリッジ"なのだ)、自分の意思を相手へどう伝えるかが重要だと著者は説く。従って相手の思いを知るノウハウと、自分の思いを相手に理解してもらうノウハウが本書には満載されている。ここであえて「ハウツー本」と書いたが、ビジネス書や啓蒙書のハウツー本には普通は著者の成功体験がこれでもかと書かれている。しかし本書にはむしろ、著者のコミュニケーション失敗談で満載である。ゆえに読んで楽しい「ハウツー本」である。著者の話はついには大衆の空気をどう読み、どうつかむかまで発展する。しかしそのノウハウには具体的に触れてはいない。残念ではあるが、しかしもしかして続著でその秘伝が?などと期待させるに十分な楽しい内容の書である。人へ優しく謙虚に(しかし力強く)接するための教科書と言える。

・「「今・・イライラした?しない?」
自分のコミュニケーションに何か問題がある・・そう感じていてもなかなか自分のそれを見直そうとはしないのが一般的。著者は自分の専門分野を一般の人に伝える、そんな立場にあったことも手伝って自分のコミュニケーションについて真摯に考え、もがき、苦しんだ・・・その「トンネルの出口」が「ブリッジマン」・・・ネーミングはともかく、アウトプットであるこの本は「伝える」ことが十分にできていると思う。コミュニケーションの専門家による技術論より、実践的であるのが特徴、結果として「門外漢」であったことが「分かり易さ」に繋がったのかも。・人それぞれ「フレームワーク」が異なる事を認識する・いま、自分がイライラしたか?を認知する・命令口調は有効ではない これを意識すれば「感情的なスパイラル」に陥らないように思う。「相手の関心に関心を持つ」・・これはコミュニケーションの大きなヒントだ。

・「小さな意地を張って失敗することの多いプライド高き科学者諸兄へ
●ブリッジマンとは、相手のフレームワーク(ポリシーや好き嫌いの範囲)を読みとって上手にコミュニケーションができる橋渡し(bridging)人のことである。要するに「相手の立場になって話をしなさい」という当たり前のことなのだが、その当たり前のことができない人が多いからこのような本が必要になる。

●著者も元々はそれができない典型的な学者であったそうだが、数々の失敗と反省の経験から最近ようやく「ブリッジマン」へと変身した。だから「どこをどう変えれば、相手のフレームワークが理解できるのか」という「ツボ」がハッキリ判っている。そのノウハウを伝授するのが本書である。

●この秘伝のテクニックは、他人と関わるすべての職種の人に有効であるが、何といっても、小さなことに意地を張って失敗することの多いプライド高き研究者たちや、市民に科学を伝えることが下手であるという自覚もない専門バ◯の大学教員諸兄にお勧めしたい。

●私が大いに共感したのは「この一点だけなら譲ってもたいしたことではないという項目を選んで、自分をほんの一時だけ変えてしまう」(P100)という作戦だ。しかし、この技を乱用すると、例えばAさんにはこう話を合わせてBさんにはこう合わせたあと、たまたまAさんとBさんと3人で会うことになったら困らないだろうか?

●これに対し、著者はおしまいにこう言う―「(わたしはこの技術を)目の前にいる誰に対しても使っているのではない」(P196)。なるほど、「ここぞ!」という大事な場面で技を使いなさいということである。なんともケアの行き届いたアドバイス集である。さすがブリッジマン。

・「科学者のコミュニケーション術
「成功術 時間の戦略」が面白かったので、こちらも読んでみました。科学者が陥りがちなコミュニケーション上の誤りと、それへの対策が、非常に分かりやすく解説されており、面白く読めました。

しかしながら、かつて追い立てるように門下生に雑誌論文を書かせておられた、との自省の弁?に、もし現在そうではないのであれば、分野は違えどもそのような学生時代を過ごした私には、学生さんにとって、少し残念なことではないのかな、とも思いましたが。

伝える技術も勿論大事なことですが、伝える内容を持っているように思えない人が単なる思いつきを、技術に物を言わせて電波に乗せている現状も、ちらと頭を掠めました。

・「いい事言うなあ。人と人の間には、溝があるので橋をわたすんだね。
相手の状態にあわせて、自分の技を繰り出せれば、それは有効な交流ができる。なかなかそう、うまくは行かない。それも人生。鎌田先生の伝達論。内容は畑村洋太郎さんともよく似ている。同じような結論に達しているのだろう。社会に目を向けたら分析して、分析にとどまらず、ちゃんと次の手を打つこと。様々な成功も失敗も自分の進化につなげることができる。講義を生で聴いてみたくなる。

ブリッジマンの技術 (講談社現代新書) (詳細)

畑村式「わかる」技術 (講談社現代新書)

・「長く1つのことをやっていてでた教訓
自分にも厳しく、愚直に技術者として長く生きてきた畑村先生だからたどり着いた「真理」をその人だけがわかるものとして隠すことなく、むしろ分解してヒントを出すことで(他のレビューでもあるように答えっぽいものは何も書かれていません!)読み取れた人に(多分同じような悩みを抱え、逃げずに来た人にとって)大きな教訓を示唆する本となっています。

ヒントの2つを紹介。

最後に書かれている手帳の使い方はまるきり同じではないけどもかなり似た使い方が出来ていることからうれしくなりました。さらに上を行く使い方のヒントを得ました。

また、文章だけではよくないとここ1〜2年絵を書くようにしていた私にとってこれも共感しました。しかし私より多くのポイントをもって絵を作成されているのみて今後の絵の書き方に刺激を受けました。

・「独特のようだが本質的
著者が今迄にない内容であると記しているとおり、独特の視点で書かれている。しかし、本質を突いているので、理解するという事についての、有益な示唆が得られる。例えば直観についてだが、数学や化学式を解いていて、途中の式を省略して解答を導き出した経験のある人も多いだろう。また、自分の考えを構築していくことや課題設定することも書かれているが、これらの重要性を経済同友会代表幹事や産業再生機構COOも語っているので、これからの社会で有益な考え方を知る事が出来る。おすすめです。

・「「わかる」を理解する
「失敗学」で有名な著者です。同じ著者(共著)「東大で教えた〜」を読んだことがありますがこちらは、あまり印象に残っていません。

しかししかし。この本は、なかなかよい。なにがよいか。

「わかる」過程がわかりやすく説かれていて、なるほどと腑に落ちます。

「わかる」というのは、自分がなぜいままで「苦労していたか。」「うまくいかなかったか。」が「わかる」のも含んでいます。読んだあとにあぁそうだったのか。と納得できる。それがよいのでしょう。

「わかる」から「創造」へつなげられるように、実践的方法論も述べられています。すべての人に、一読の価値ありです。

・「思考の枠組みを与えられた感じ
本書は、『失敗学のすすめ』以来、失敗学の意義を提唱されてきた畑村先生が、長年疑問に思い続けてきた(らしい)、「人が何かを「わかる」構造」に焦点をあてて書かれた。読んでいて納得させられるのは、学問には全てに共通する枠組みがあるということである。自然科学であれ、社会科学であれ、物事の要素、構造、機能を把握し、理解する作業には変わりない。ふ〜ん、と読んでいて納得する。自分自身、政治学を研究しているので、その観点からも納得がいった。本書は、「わかる」技術を習得するための本ではない。「わかる」ことの本質を理解できる本である。ゆえに、何かに打ち込んでいる人、夢中になっている人、研究活動をしている人、などなど、何かを対象にして熱心に探り当てようとしている人にとっては大変面白い本だと思う。逆に、方法論を学ぼうという人には向いていない。とにかく好著。

・「自分の知識や経験を整理することから始めてみよう。
わかることが、創造することの第一歩となります。わかる、しっかり理解する、創造する。創造するには、このような人間の頭の中の動きを知る必要があります。

本書では、一歩目の「わかること」の概念を紹介しています。分かろうとする内容と自分が持つ知識などのテンプレートが一致することが「わかること」としています。

この説明は概念なのでわかりにくいかもしれませんが、自分の知識や経験と結びつけたり、書籍内の他の記述と関連付けたりすることで、わかってくるようになります。これが正に「わかること」。

自分の知識や経験と結びつけやすくするための構造化(テンプレート化)をすることで、「わかること」がより早くなりますし、何より新しくテンプレートを作ることで新しい知見を生み出すことになります。

自分の知識や経験を一度整理してみてはいかがでしょうか。

畑村式「わかる」技術 (講談社現代新書) (詳細)

薄桜記 (新潮文庫)

・「こんな佳作があったのか!
 『柳生武芸帳』の作者の小説で、隻腕の剣士丹下典膳と高田の馬場の敵討ちで名を馳せた堀部安兵衛との数奇な運命を題材にしている。 主人公の典膳をはじめ、安兵衛ほか回りを固める主要人物が実に格好いい。特に、言葉少なで、しかし筋のしっかりと通った典膳は惚れ惚れする男振りだ。数は少ないが、緊迫した『チャンバラ』もあり、ストーリーも非常に充実している。二人の主人公といえる典膳と安兵衛それぞれを交互に視点に用いて、器用にしかしスムーズに物語が進む。 物語では、典膳と安兵衛の人生はねじれの関係にある。旗本であった典膳は左腕を失い、浪人になってしまう。一方、浪人中山安兵衛は堀部家に養子となり赤穂藩に仕える。その間二人の関係は惹かれあいながらも相容れない。 二人の数奇な運命を決定付けるのは、あの赤穂藩主浅野長矩が江戸城松の廊下で起こした事件なのだが・・・。 一つ残念なのは、元禄赤穂事件に差し掛かった頃から約100ページに渡り著者個人の歴史観を述べる随筆と化してしまうことだ。物語に著者の歴史観や史実の解釈が反映されるのは問題ないが、小説という形が崩れてしまっては興ざめしてしまう。

薄桜記 (新潮文庫) (詳細)

新装版 戦雲の夢 (講談社文庫)

・「なかなかの合戦ぶり
夏草の賦の続編、元親の息子、盛親の生涯です。盛親については、せいぜい関が原でぶざまに戦わず退き、そのことだけのために自国領土を失った二代目、という程度の知識しかありませんでしたし、一般的にも知名度は低い(一代目の元親にしてもそうですが)ような気がします。

しかし、本書を読むと盛親、なかなかの合戦ぶりですし、関が原も元親の死の直後であったため、つい中央の情勢に疎くなっていた虚をつかれた、という感の強いことも分かります。しいてあげれば元親がカリスマであり、彼が自ら亡き後の政治に対応する体制を土佐藩の中に作っていなかったことが最大の問題だったようです。

夏草の賦に比べると勇ましさは少なく、軟弱な感もありますが、やはり武士のプライドを感じさせるシーンは多く、男たるものいかに生くるべきか、共感すべきも多いと思います。

・「長曾我部盛親の心の中
英雄的な父親が築いた自家を滅亡させたドラ息子、という程度の認識でした。しかし、長曾我部家内の政治的混乱、急速に展開する世の中、常に後手後手にまわってしまう政策、関ヶ原では東軍に参加したいのに西軍に入らざるを得なくなってしまう不運等々、とにかく盛親が気の毒になってしまう前半。関ヶ原後は22万石すべてを没収され、あっという間に京都で浪人に。前々から元大名が浪人になってどう生活したのか興味があったので、つねに監視の目のある盛親の塾教師としての生活は興味深く読んだ。この本の面白いのは、盛親の心の中が手にとるように分かること。15年を超える浪人時代、そして大坂の陣で盛親が何を考えたかが、司馬遼太郎の暖かい視線で描かれている。緊密な主従関係にありながら、大阪では闘うことになる盛親と弥次兵衛の最期は圧巻。

・「主従の友情の物語
盛親と弥次兵衛の主従の友情の物語と読みました。出だしの弥次兵衛が盛親の京都遊びを諌めるシーン、二人の別れのシーン、そして戦場で再会する最期のシーン。主従の友情溢れる物語だと思います。もし盛親が東軍に付くことができていたなら、山内一豊が土佐守になることもなく、長曾我部のまま幕末を迎えたかもしれないし、そうなれば土佐郷士の活躍もなかったのかも、と思うとまたそれも面白し。

・「己の器を賭けて
四国の雄、長曾我部元親の息子、長曾我部盛親。

才はあるにもかかわらず、生まれる場所を間違えてしまった男の物語。

おそらく一兵卒や一武将であったならば、彼は才を発揮して人生を全うできたでしょう。 しかし、政治や権力に全く無関心な彼に国主の立場は重かったのでしょうか。 周りに流され、日和見、職務を半ば投げ捨てるような国主としては「凡人」にしか見えません。

しかし、流れに身を任せ全てを失った後、 初めて「自分とは何者か」の問いに答えを求め、大坂の役に身を投じる。 そこで初めて、生き生きとした盛親を見ることができました。 国主の立場では執りえなかった、最前線での采配、単騎駆け・・・

周りに流され続け、最後に初めて自分で行えた決断は死地に赴く事――― それでも、惰性で平凡な一生を終えるよりも、自分の器を確かめられる事の方が、 彼には幸せだったのかもしれません。

「士は己を知る者のために死す」といいますが、国主である彼にとって 「知る者」の存在がいなかったのではないかと思います。 そして己を知る者とは唯一「戦」だったのではないでしょうか。

・「.
関ヶ原では同じ西軍でありながら、近くにいる動きのあやしい吉川・毛利勢の動向を警戒するだけに終始し活躍の場も無いままに敗軍の将となって長年幽居を強いられた盛親が、家臣、坊主、女らと接していくうちに大名としての決意を固め、戦国最後の合戦の大坂の陣で最初で最後の一花を咲かせるという、人として一皮剥けて死地へ向かって活躍するその爽快さが良い。「城塞」では大坂の陣における盛親の様子はあまり触れられていないので是非こちらをお読み下さい。

新装版 戦雲の夢 (講談社文庫) (詳細)

黒衣の宰相 (文春文庫)

・「野望のままに生きる
天下に名を成す。乱世には、誰もがその野望を持つ。この小説の主人公「崇伝」もそうだった。

しかし、乱世は、豊臣秀吉の手によって統一されつつあった。武で駄目なら学でいく。日本一の学生となるべく明(中国)に渡ることにする。

”なまぐさ坊主”という呼び名を付けるなら彼ほど相応しい人物はいない。己の野望のために僧となり、それを恥じる事なく堂々と生き抜く。徳川家康の懐刀として、政治に介入し、謀略に参画する。その知能の拡がりは、留まる所を知らない。

彼のライバル達もまた、強い個性を放つ。逆の道をすすみ、聖人と呼ばれる”沢庵”。徳川政権下で、共に張り合う”天海”。共に愛する間でありながら、敵味方にわかれた”小宰相の局”。

大阪城落城の時、死を決意する”小宰相の局”の前に現れた崇伝。ふたりの愛の行方はどうなるのか?

政僧:天海は、実は明智光秀?その真偽は?

読んでいて飽きない一冊です。

・「飽くなき野望
金地院崇伝という人物を、バイタリティあふれる僧として、魅力的に描いています。より大きな権力を求め、手段を選ばず行動する彼を、同時代の清貧の僧沢庵と絡め、対比的に書いているところも心にくい構成です。権力をにぎり、政治を動かすのも、この世に平和をもたらすためだとすれば、彼の生き方もまた仏教者といえるのかもしれない、という気持ちにすらなります。そんな哲学的な話のほかに、紀香という女性をめぐる葛藤など、読み応え十分な時代小説です。

・「権力とは何か?
金地院崇伝。歴史好きならその名を知っているが、その人物像までは詳しく知らない人物。その人物を主人公にすえたことによって、江戸幕府の創建当時の様子が生々しく伝わってくる。崇伝の権力にかけるすさまじい執念が行間からにじみ出てくるが、単なる権力への執着だけではなく、人間臭さもにじみ出ているから、崇伝に好感らしきものまでもってしまった。読み終わって感じたことは、権力とはいったい何なんだろうということ。

・「黒衣の宰相
世に言う方広寺鐘銘事件に関する歴史小説にも名前が僅かしか登場しない金地院崇伝を、本書ではみごとに書き上げている。仏教禅僧としての人物評価はそれほどでは無いにしろ、小説としてはかなり面白い。崇伝の欲と苦悩が読み応えがある。歴史小説143作品目の感想。

・「大名僧という新しいジャンル。戦国武将よりも強い光と影
「ペンは剣よりも強し」という言葉があるが、戦国時代において「僧」という立場から新たな時代を切り開く異僧として崇伝の爆発的な魅力がこの本にある。軍師でもなく参謀でもない。ましてや武将でもない。あるのは「大名僧」というジャンルである。刀を振り回し戦うのではなく、戦国時代という「変化」と戦う崇伝の生きざまが、強く激しく描かれている。そのため、戦国武将よりも深く広く時代を読む先見性があり、感情に流されない修羅の道がある。戦国ファンには必見の本である。

黒衣の宰相 (文春文庫) (詳細)

一夢庵風流記 (新潮文庫)

・「男ならば誰もが憧れる生き様。女なら誰もが惚れる男っぷり。
強者に媚びず、己を曲げない。誰より強く、誰より優しく。天下人にすら尻を食わせる痛快ぶり。男ならば誰もが憧れる生き様。女なら誰もが惚れる男っぷり。それが天下無双の傾き者、前田慶次郎利益。読んでいると「こんな面白い男が居たんだよ。」と作者:隆慶一郎氏の語りかける声が聞こえるようだ。

「一夢庵風流記」は、漫画「花の慶次」の原作でもある。原作があって、それがマンガやアニメや映画に展開されてゆく事はしばしばあるが、ほぼ9割の確率で台無しになっている。そして原作から入ったファン・展開された作品から入ったファンそれぞれを失望させる。だが、この作品は違う。原作から漫画に入っても、漫画から入って原作に入っても慶次は生き生きと駆け抜ける。

それは描き手の手腕もさる事ながら、読み解き手が誰であろうと有無を言わせない慶次そのものの魅力という物が大きいのではないかなと思う。

こんな気持ちのいい男が、歴史上確かにいたという事実。人は、世界は、面白い。

・「男の生き様。その美学。
本書は私が手垢が付くまで繰り返し読み返した座右の書。隆慶一郎文学の中で、最も好きな一冊。

漫画化されており、それはそれで別の魅力があるのですが、是非活字で本書も読んでもらいたい。本書は、漫画よりも遥かに深い。恐ろしく深い。それでいて華やかである。

この主人公は一言で言えば無茶苦茶である。猿を殴った猿回しを気に入らないと言ってぶっ飛ばし、失恋して便所でオイオイ泣き、太閤秀吉を刺殺しようとしたかと思えば槍一本で負け戦の戦況を一変させる。自分を狙う刺客と酒を酌み交わし、朝鮮で腕比べをし、それでいて古典に通じ、当代きっての文化人でもある。

この物語、主人公が貫いているのは、漢としての美学である。信念と言ってもいい。

漢が10人いたら10通りの漢の道があると思ってよい。だから、慶次郎の命を狙いつつ慶次郎の男ぶりに惚れぬく刺客がいてもいいし、この男につきあったら身の破滅や!と叫びつつ徹底した商人道を目指す男や吉原色町の首領になった男、逆に組織の為に己の身を全て捧げる男や、義を貫く為になら重臣達の息子すら斬り捨てて眉一つ動かさぬ直江などが、それぞれの持ち味と信念の元に生き生きと活躍するのである。

徹底した信念は覚悟に通じ、覚悟から醸される迫力がこの登場人物達に宿り、その決して報われるとは限らない、どこか悲しげですらある生き様を、日常生活のふとした瞬間に思い出させるのである。

男の生き様、是非ご一読を。

・「傾奇者 前田慶次郎の生き様(漫画 花の慶次-雲のかなたに の原作)
作家 隆慶一郎 氏を知ったのは、本書が初めてだった。漫画で読んだ花の慶次の原作を僕も読んでみようと思ったのだ。本書は傾奇者、前田慶次郎の一生を鮮やかに描く歴史小説である。本書を読んで、原哲夫氏が漫画にしたいと思った理由がよく分かった。脚本家だった氏の文章には、いつも鮮やかな華がある。そして、それはいつでも絵になる文章なのだ。

本書は、それがもっともよく現れた本のひとつだと思う。それは、氏の描く小説世界にいつも共通する美しさであり、恐らく氏の生き方に深くかかわった美意識なのだろう。

・「未履修問題で補習を受ける高校生に読んで欲しい。
さて困った。この本に一体何かレビューが必要だろうか。面白く、かつ読後感さわやか。今更そんなレビューは必要ないだろう。とにかく、この本には人生が詰まっている。未履修問題でくだらない補習を何十時間とするぐらいなら、その分この本を読む方がよほど今後の人生に役立つだろう。これからの日本を背負う若者に是非とも読んでもらいたい。ついでに、同じ作者の「死ぬことと見つけたり」も。

・「読んだ後に爽やかさが漂うこの一冊
傾奇者であるが風流人でもある前田慶次郎の半生がダイナミックに描かれており、読んでいてその面白さに引き込まれていく。この物語に登場している脇役達は、他の隆慶一郎作品にも主役級で登場しており、他の作品へもスーッと入っていける。隆慶一郎作品への入門編としては最適の一冊だ。

物語の内容で特に面白いのは、秀吉との対面シーン。慶次郎と秀吉、利家のそれぞれの心模様が垣間見え、手に汗にぎる緊張感がたまらない。そして最後まで読み終わると、なぜか心に爽やかさが漂うとても面白い本だと思う。時代小説を始めて読む人にも読みやすい本だと思う。

一夢庵風流記 (新潮文庫) (詳細)
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